ξ゚听)ξ幽霊裁判が開廷するようです

幕間

60 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 22:40:49 ID:cvAHUaU6O



 幕間


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61 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 22:42:53 ID:cvAHUaU6O

(´・_ゝ・`)「私が全て指示してきたわけじゃないんだ」

 神経質そうに眼鏡をかけ直し、盛岡デミタスは言った。

(´・_ゝ・`)「高崎が独断で行動することも多かった。
        だから私は、全てを把握してはいない」

ζ(゚、゚*ζ「嘘は良くありませんよ」

(´・_ゝ・`)「嘘じゃない」

 ついと顔を背け、デミタスは何かを探すような素振りを見せる。
 照屋デレは彼の動きを注意深く観察した。

(´・_ゝ・`)「エクストとダイオードは」

ζ(゚、゚*ζ「検事局の方へ」

(´・_ゝ・`)「彼らも裁かれるんでしょうね」

ζ(゚、゚*ζ「大変ですよ、余罪が色々ありますから。あなたに協力させられて」

 気の毒だなとデミタスが呟く。
 他人事のような、本気で心配しているような、どちらとも取れる声音だった。



*****

62 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 22:46:46 ID:cvAHUaU6O


ζ(゚、゚#ζ「もー話が進まない!! ようやく新しい証言したと思ったら『自分もよく分かってない』?
      ああ、血を吸い尽くしてやりたい!!」

 鵜束、と表札がついた日本家屋。
 その居間で、どんと飯台を叩くパジャマ姿のデレを見て
 鵜束ニュッは内心舌打ちした。

( ^ν^)「優秀な照屋さんでも手こずる相手がいるんですねーはいはい頑張れ頑張れ」

 数時間前に届いた夕刊を見下ろしながら、棒読みで返す。

 彼が聞いているか否かはデレにとって然程重要でない。
 ただ愚痴りたいだけで、会話がしたいわけではないのだ。

ζ(゚、゚#ζ「ダイオードさん達はデミタス様ごめんなさいだのデミタス様悪くないだの
      そんなんばっかり!」

( ^ν^)「あいつらは心酔してるからな。盛岡弁護士との付き合いもかなり長いだろ」

ζ(゚、゚#ζ「あー苛々する!!」

( ^ν^)「サキイカうめえ」

ζ(゚、゚#ζ「サキイカ食べながら豆乳飲むってどういう組み合わせですか!」

63 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 22:48:11 ID:cvAHUaU6O

 ひとしきり怒鳴って満足したのか、デレはころりと表情を変えた。

ζ(゚ー゚*ζ「ふう。参っちゃいますよ本当に」

 くわえたサキイカを口の端で揺らしながら、ニュッは新聞をめくった。
 様々な事件の報道はあるが、不審なニュースは少ない。

 ふと小さな記事に目を留めた。
 事件自体は大して心惹かれない。
 ただ、「G県」という文字が引っ掛かっただけだ。

ζ(゚、゚*ζ「何か気になるのありました?」

( ^ν^)「出連ツン」

ζ(゚、゚*ζ「はい?」

 あの女の顔が脳裏を過ぎる。
 ──あの日から度々、出連ツンのことを思い出しては
 腸が煮えくり返って仕方がない。

64 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 22:49:46 ID:cvAHUaU6O

( ^ν^)「あの日──裁判が終わった後、駅で出連ツンを見かけたから
       その辺の霊を雇って、あの女の後を尾けさせた」

ζ(゚ー゚;ζ「えー何それ間接ストーカーですかニュッさん気持ち悪っ」

( ^ν^)「死ねよ蚊」

ζ(゚、゚#ζ「誰が蚊ですか! 私が血吸っても痒くならないでしょ!!」

( ^ν^)「どこに怒ってんだよ」

ζ(゚、゚#ζ「で、あの弁護士さん尾けさせてどうしたんです?」

( ^ν^)「内藤ホライゾンと鬱田ドクオを連れてG県に行ったんだと」

ζ(゚、゚*ζ「……G県? あの人A県の弁護士さんじゃありませんでした?」

( ^ν^)「ラウン寺に用があったらしい。
       何のために行ったかまでは確認しなかったそうだ。役立たずめ」

 ──だが、手がかりが無いこともない。

 そのことを告げると、デレが小首を傾げた。

65 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 22:51:43 ID:cvAHUaU6O

ζ(゚、゚*ζ「どんな?」

( ^ν^)「化け猫の事件があるだろ」

ζ(゚、゚*ζ「化け猫……ああ、全国で多発してる霊能力者の変死事件ですか。
      話は聞いてます」

 事件に関する噂は、あちこちへと広まっていた。
 明日は我が身か、と霊媒師や呪術師が不安になっている。

 元はといえば、A県で出連ツンが弁護をした裁判が切っ掛けだったそうだ。
 旧友の体を借りたという女の裁判。その真犯人を探る内に
 化け猫と、そいつの関連が疑われる事件に辿り着いたとか何とか。

66 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 22:58:55 ID:cvAHUaU6O

( ^ν^)「5年前、G県のラウン寺で坊さんが化け猫に殺されたそうだ。
       それについて調べに行ったんだろう」

ζ(゚、゚*ζ「あの弁護士さんも猫事件を追ってるわけですか」

( ^ν^)「恐らくな」

ζ(゚、゚*ζ「ていうか何でニュッさんはラウン寺の事件のことまで──
      あっ、最近しょっちゅう同僚からニュッさん宛ての荷物頼まれるのって……
      あれ猫事件の資料だったんですか」

( ^ν^)「4年前にK県であった占い師の不審死、3年前I県のリーマンの怪死、
       他にもF県、T県──至るところで化け猫の痕跡が認められた。
       あの女、この現場全部回ったりしてな。だったら笑える」

67 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 23:00:12 ID:cvAHUaU6O

ζ(゚、゚;ζ「……ニュッさんは猫事件には関係ないでしょうよ。
      内藤君たちの裁判以来、こまごまとした事件しか回されなくなっちゃったじゃないですか。
      何でそんな資料なんか集めてるんです?」

( ^ν^)「つまんねえ事件ばっかじゃ飽きる。でけえ事件眺めるのぐらいは許されてもいいだろ」

 あの女が今一番関心を寄せているのは、多分、その化け猫の件だ。
 自分も知っておきたかった。
 そうやって、間接的にでも出連ツンと繋がっておかなければ。

 いずれ、出連ツンに会わねばならない。
 泣かせてやらないと気が済まない。

 あのふざけきった弁護士を。
 ついでに、あの小憎らしい嘘つき中学生も。

ζ(゚、゚*ζ「ニュッさんにやにやして気色悪いですよ、にやにやしてなくても気色悪いですけど」

 とりあえず目下一番泣かせるべきなのは、この吸血鬼なのだが。

68 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 23:01:21 ID:cvAHUaU6O

 デレは立ち上がると襖を開けた。
 欠伸を漏らし、ニュッへ振り返る。

ζ(-、-*ζ「私は歯磨きして寝ます。
      ニュッさんはどうぞ夜更かしして体調管理怠って寿命縮めてください。
      おやすみなさい」

( ^ν^)「一生起きなくていいぞ」

 ぱしん、と襖が閉められる。

 ニュッは豆乳の紙パックを空にすると、飯台の上を片付け、
 自分も寝る準備をするべく、デレが出ていったのとは逆の方向の襖へ手を伸ばした。



*****

69 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 23:03:11 ID:cvAHUaU6O



 ──まずい。

(;ФωФ) ハァッ ハァッ

 顔を見られた。
 間近で、あの弁護士と顔を合わせてしまった。

 あいつは特殊な力を持っている。
 だから近付かないように決めていたし、警戒していたのに。
 うっかりというか、運が悪いというか。自分の行きたい方角にあの弁護士がいたのは予想外だった。

(;ФωФ) ハァ…

 忙しなく動かしていた足を止め、振り向く。
 追い掛けてくる者の姿はない。
 上手く撒けたか、あるいは自分にさしたる興味を抱かなかったか。後者ならいいのだけれど。

70 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 23:05:10 ID:cvAHUaU6O

(;+ω+)

 路地に潜り込んで丸まり、目を閉じる。
 眠りたい。

 けれど焦燥が意識を冴えさせる。


   ξ゚听)ξ『「ロマネスク」って──』


 弁護士は、自分の名前を呼んだ。

 どこまで知ったのだろう。
 どこなら知らないだろう。

 早く目的を果たして、この町など出ていってしまいたい。
 こそこそ逃げ回るのは疲れた。


(;+ω+)「……」


 男は。猫は。「ロマネスク」は。
 何も考えないように努め、ようやく心を落ち着けると、一時の眠りについた。



*****

71 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/02/28(金) 23:06:29 ID:cvAHUaU6O





:ξ;゚ -゚)ξ:「!?」ブルッ

( ^ω^)「どうしましたお、ツンさん」

ξ;゚听)ξ「今、何か悪寒が……。
      たとえるなら、性根の腐った性悪検事が良からぬ企みをしているような」

(*゚ー゚)「それもしかして僕のことですか」

ξ;゚听)ξ「いや、しぃ検事より数倍タチ悪そう」

( ^ω^)「そう言われると僕には1人しか思い浮かばないんですが……」

ξ;゚д゚)ξ「ええい、んなもんどうでもいいわ!
      さっきの人どこに逃げたのよ! もー!」



幕間:終わり

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