ξ゚听)ξ幽霊裁判が開廷するようです

case6:道連れ罪、及び故意的犯罪協力の罪/後編

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367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/09(土) 23:59:19.90 ID:HchMcUk8O
 
 静寂がそこにあった。
 未だ近くにいたフォックスがドクオの手を取り、優しく握り締め、ゆっくり離すと裁判官の席へ戻っていった。

 木槌を打つ。
 ごくごく小さな音が鳴る。

爪'ー`)「……照屋刑事が戻るのを待とうか」

( ^ν^)「いや、しばらく戻んねえですよ。あれ。キレてるから」

 発散するまで帰ってこないだろうとニュッは言う。
 どんな発散の仕方なのか考えると恐ろしいが、
 検察官である彼が放置するのなら、まあ違法行為ではなかろう。

 そもそも、デミタスに、ではなく騙されていた自分に怒っているらしいので
 他者へ危害を加えることもないとか何とか。そうであることを願おう。

 そうか、とフォックスが頷く。
 ツンが控えめに手を挙げた。

371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:01:01.62 ID:IUhRzvqEO
 
ξ゚听)ξ「最後にどうしても、内藤君の名誉のために解いておきたい誤解があります」

爪'ー`)「誤解?」

ξ゚听)ξ「内藤君が親に見捨てられた、という検察側の主張です」

 ツンは机上のファイルケースを開いた。
 そこから、何通かの封筒を取り出す。

( ^ν^)「……手紙か?」

ξ゚听)ξ「内藤君の居候先、流石家長男……流石兄者君に宛てられた手紙です」

 おおよそここで出るような名前でなかったため、驚いた。
 なぜ今、兄者が。

 クエスチョンマークを飛ばす内藤だったが、次いで出された名前に、さらにぎょっとした。

ξ゚听)ξ「差出人は、内藤君のご両親」

( ^ω^)「……僕の……」

ξ゚听)ξ「一部、読みます」

 複数の手紙の内、一通を開いて、
 ツンは朗々と読み上げる。

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:02:29.73 ID:IUhRzvqEO
 
ξ゚听)ξ「──『兄者君、いつも手紙と写真をありがとう。
      大学も忙しいだろうに、まめにホライゾンの写真を届けてくれて、感謝しています。
      友達と仲良く遊ぶホライゾンの顔は、うちにいるときには見られないものばかりです。
      毎月、楽しみにしています。』……」

 今度は、別の手紙を。

ξ゚听)ξ「『申し出はありがたいけれど、気恥ずかしいので、私達の手紙はホライゾンには見せないでいてください。
      あの子も、こんな手紙を読むのは照れくさい年頃でしょう。
      ただ、出来たらあの子がうちに戻ってくるときにまとめて、いや、一通だけでも渡してほしいのです。
      ずるいかもしれないけれど、帰ってくるときには、ちゃんと私達の思いを知ってほしい。』……」

 畳んだ便箋を丁寧に封筒に収め、ツンはそれを内藤に手渡した。
 ご両親の意思を無視してごめんなさい、と小声で内藤に告げる。

 目の前のものを信じられなかった。
 力の入らない手で便箋を取り出し、広げる。
 母の字と、父の字があった。

ξ゚听)ξ「兄者君は、内藤君の写真を定期的にご両親に送っていました。
      ご両親もそれを喜んでいます」

 兄者が写真を送っているのは知っていた。
 言っては何だが──彼のお節介だと思っていたのに。

 手紙には、去年ヴィップ中学校で行われた体育祭の写真への感想があった。

381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:04:06.16 ID:IUhRzvqEO
 
ξ゚听)ξ「ご両親は内藤君を疎んでなどいません。
      ただ、想い合っている親子でも、どうしても互いに噛み合えぬものはあるでしょう。
      それが彼らの場合は『霊感』で、また、日々の生活を送る上で無視出来る事情でもなかった」

ξ゚听)ξ「だから、彼らは内藤君を流石家に預けた。
      信頼出来る人達が──内藤君を愛してくれる人達がいる家に」

 フォックスの目から、涙が零れた。
 これまでとはどこか違う、ほろほろと優しく落ちる涙だった。

ξ゚听)ξ「これで、愛情がなかった筈がありません。
      内藤君は聡い子です。全ては無理でも、いくらかは、両親の愛を感じていたでしょう」

ξ゚听)ξ「連絡する頻度が少ない? それでも彼らの間で、手紙やメールのやり取りは皆無ではありませんでした。
      内藤君が定期テストで学年上位に入ったときにはご褒美もあったそうです。
      図書券だったって兄者君は言ってたけど、合ってる?」

( ^ω^)「……それと、小さい子向けのお菓子の詰め合わせも。
       あの人達、中学生男子が何をもらえば喜ぶか、よく分かってなくて」

ξ゚听)ξ「もらったとき、どう思った?」

( ^ω^)「……嬉しかった」

 ツンは微笑み、踵を返して検察席へ向かっていった。

 ドクオが肘で内藤をつつく。
 無表情ではあったが、「良かったじゃねえか」と囁いてくれた。

384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:06:15.09 ID:IUhRzvqEO
 
 検察席の前で、ツンが立ち止まる。
 二度目の対峙だ。

ξ゚听)ξ「不思議ね、検事さん。
      私、あなたから連絡があったとき、たしかに内藤君が演技上手なこととか、色々話したわ」

ξ゚听)ξ「でもその後に──『人の気持ちがよく分かる子で、心根は優しい子』だとも言った筈なんだけど。
      法廷では削ってくれたみたいね」

( ^ν^)「……聞き取れなかったんだろうなあ」

ξ゚听)ξ「……。他人のやり方にいちいち口出す気はないし、今まであなたがどうやってきたのかは知らないけどね。
      真犯人にいいように利用されて、偽の証拠鵜呑みにして、人の証言いじくって、いたいけな少年責め立てて……
      反省くらいは、してくれるわよね?」

( ^ν^)「……言われなくても、今回の失態は何らかの処分の対象だろうよ。
       死にてえくらいの赤っ恥だよ、くそが」

 フォックスが、弁護人席へ戻るようにツンに言う。
 ニュッに舌を出して、ツンは内藤の隣へ戻ってきた。肩に手を乗せられる。温かい。

爪;ー;)「判決を出そう」


 そうして、木槌は振り上げられた。



*****

390 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:08:08.51 ID:IUhRzvqEO
 

ξ゚听)ξ「おめでとう。……と素直に言える結末でもないわね」

 裁判所近く、24時間営業のファミリーレストラン。
 ツンはアイスティーを飲みながら、目を伏せた。

 無罪判決のお祝い、という名目で連れ込まれたのだが、
 夜食というにはあまりに重すぎる量の飯を貪るツンを見るに、ただ腹が減っていただけなのだろう。

 昨日の昼から今夜に至るまで頭と体を酷使していたというので、そりゃあ腹も空こう。

( ^ω^)「……ですおね」

 内藤の注文はスープバーだけ。
 わかめと玉子のスープを飲みつつ頷いた。

 横目で、半端に浮遊しているドクオを見遣る。

('A`)「まあ……カーチャン殺されて、嫌な過去バラされて、味方だと思った弁護士が糞野郎で……
    俺からしちゃ、最低な話だったな」
 ツンのステーキをちょくちょく摘まみながら(量は減らないが味は極度に薄まる)、
 ドクオは他人事のように言った。
 一時、彼を疑ってしまったことを申し訳なく思う。

394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:10:21.02 ID:IUhRzvqEO
 
 裁判所を出るとき、彼の顔がどこか清々しさを感じさせるものになっていたのが不思議で、
 そのことを訊ねてみる。

('A`)「もう何か、吹っ切れた。っつうか、色々驚きすぎて……なんだろうな、うん、諦めた。
    最後の最後には、カーチャン、喜んだまま消えたみたいだし。
    ……たとえ偽者の『俺』に会った喜びでもな。いいんだ。嬉しかったなら」

ξ゚听)ξ「……ドクオさん、食べたいのある? 注文するわよ」

('A`)「気ィ遣うなよ弁護士」

ξ゚З゚)ξ「私のご飯食べられても困るのよ」

 注文を追加して、ツンは一旦食事を中断した。
 無糖のアイスティーを飲み干し、ぷは、と息をつく。

ξ゚听)ξ「内藤君、ここに来て2日で事件に巻き込まれて、旅行らしいことあんまり出来なかったでしょ。
      ……朝一でG県行ってみない? 日帰りプチ観光。お金は私が色々出してあげる」

 唐突な提案だった。
 G県、というと──ここN県の隣の県だ。

397 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:12:06.94 ID:IUhRzvqEO
 
('A`)「ただG県に行くだけってんなら、ニューソク駅から電車で行ける筈だぞ、たしか」

( ^ω^)「何か用でもあるんですかお?」

ξ゚听)ξ「ミセリさんの、『真犯人』に関して、ちょっとね。
      ラウン寺ってとこに寄ってみたいの」

 今度の話題は、三森ミセリの事件。
 そういえば彼女の病室に出た男を、ドクオが発見したのだっけか。

 ミセリの事件での「真犯人」が、そのラウン寺とやらに痕跡を残していたのだとツンが説明する。
 だから、何か手掛かりはないか、少しだけ調べてみたいのだと。

 納得し、せっかくなので同行することにした。
 頷く内藤にツンが笑う。手伝いが出来るのならしたかった。せめてもの礼だ。

 だが、

('A`)「あんたが行って何になるんだ?」

 こちらは、納得できないようだった。
 ひどく怪訝な顔で首を傾げている。

399 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:13:19.88 ID:IUhRzvqEO
 
('A`)「おばけ課の連中がもう調べたんだろ?」

ξ゚听)ξ「周辺の霊達に聞き込みとか……」

('A`)「それもおばけ課がやったんだろ」

ξ゚听)ξ「嘘ついてた霊がいるかもしれないじゃない?」

('A`)「だったらあんたにも嘘つくんじゃねえの?」

ξ;゚听)ξ「おっ、ぐうっ……」

 たとえ霊が嘘をつこうと、ツンには真実を辿る力がある。
 もちろん相性はあるので全て分かるわけでもないが、可能性はなるべく押さえておきたいのだろう。

 ツンとドクオが睨み合う。

('A`)「……約束、覚えてるよな?」

ξ;゚ v゚)ξ「……」

('A`)「前から少し気になってたが、今回の件で確信した。
    ──あんた、どうも『全部』知ってる節がある」

 ツンは目を泳がせた。
 それは怪しすぎるだろう。

404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:14:26.52 ID:IUhRzvqEO
 
('A`)「少年も言ってた。『ツンさんがいればなあ』だとよ。
    えらく信頼されてるもんだ。監視官よりもだぜ」

ξ;゚ v゚)ξ

('A`)

('A`)「……あんた、何か妙な力あんじゃねえのか?
    盛岡弁護士みたいに、ただの霊感以上のものが」

 ツンが笑った。これ以上の「苦笑い」もないだろう。
 内藤が助けてやるべきなのかもしれないが、彼女とドクオの約束だ。口は挟まない。

 ツンは熟考し、熟慮し、たっぷり数分かけて、結論を出した。

ξ;--)ξ「……あなたの生前の誠実さを信用して話すわ。
      ぜっっったいに、誰にも言わないでね?」

 

410 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:16:16.24 ID:IUhRzvqEO
 
 ──そうして、彼女は自身に備わっている「追体験」について、洗い浚い話した。
 ドクオはといえば、とても信じられないといった顔付きで聞いていたが、
 かといって嘘だと一蹴することもなかった。

('A`)「ええと……じゃあ今回は、あの人魂と一反木綿の記憶から真実を知ったわけか?
    開廷前に話したっつってたし」

ξ゚听)ξ「いえ、大体は自分で推理してたり勘だったりするんだけどね。
      ただ、あの2人のおかげで確信したっていうか」

(;'A`)「……おい、俺のは見るなよ。霊にもプライバシーってもんがだな」

ξ゚З゚)ξ「ドクオさんは私に対する警戒心が半端ないせいで全然見えないから大丈夫よ。
      それはそれでちょっと寂しいけど」

 ほっと息をつきつつ、ドクオが頭を掻く。
 訊いてはいけないことを訊いてしまったと反省しているようだった。
 そう思ってくれるだけ、やはり悪い人ではなかろう。

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:18:15.47 ID:IUhRzvqEO
 
('A`)「……まあ、分かった。あんたは俺を信じてくれたし、俺も信じる。
    誰にも言わねえ。言ったところで、俺に得があるわけでもないし。
    ──G県の捜査、手伝ってやるよ。詫びと礼だ」

 ツンの顔が心なしか嬉しそうだった。

 ──自分の秘密を信じてもらえる、その上で秘密を守ってもらえることの嬉しさは、
 内藤にもよく分かる。
 殊にツンのそれは仕事に差し支えがあるものなので、ひとしおだろう。

 注文した料理が届く。
 それをドクオの前に置き、彼女は内藤に微笑みかけた。

ξ゚ー゚)ξ「……内藤君、帰ったら兄者君と弟者君にお礼言っときなさいね」

( ^ω^)「弟者?」

 兄者には、あの手紙の礼を言うべきだろう。
 しかしなぜ弟者にも?

 ツンは、鞄から取り出したノートを内藤の方へ滑らせた。
 法廷でも初めに開いていたものだ。
 やはり、どこかで見た気がする。

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:19:46.15 ID:IUhRzvqEO
 
 ページを開き──納得した。

 夏休みの課題、「税について」。
 そのメモ書きがあった。
 弟者のノートだ。

 ページをめくっていく。
 幾分か震え、乱れた字が大量に書かれているページが現れた。

 「8:15 とりつく」「右うでにキズ」「ニチャン20」「さぎ」──
 今回の裁判で出た言葉が、たくさん並んでいた。

 それらのメモ書きは4ページに及んでいた。
 ほとんど単語ばかりで、これだけでは何のことだかさっぱりだ。

 だが、その次のページに、全ての情報をまとめたものがあった。

ξ゚听)ξ「法廷で、傍聴しながらメモをとって……
      旅館へ帰ってから、徹夜で情報を整理して、分かりやすくまとめたんですって」

ξ゚听)ξ「それでヴィップ町に帰ってきてから……弟者君はギコに連絡とって、私に会いに来たわ」

422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:22:08.90 ID:IUhRzvqEO
 
#####


(´<_` )『あんたに頭を下げたくはないけど。
       でも、あんたに頼るべきだとは思う』

ξ゚ -゚)ξ『珍しいわね、あなたが』

(´<_` )『……お願い、します。
       ブーンを、助けてやってください』


#####


ξ゚听)ξ「これのおかげで、スムーズに状況の把握が出来たの。
      検察側のどこを責めるべきかも分かった」

('A`)「おーおー、あの怖がり、おばけに囲まれて傍聴するだけでも大変だったろうに。
    よくここまで頑張れたもんだ」

 傍聴席で震えていた弟者を思い出す。
 あのとき、彼は──内藤のために。

426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:23:40.74 ID:IUhRzvqEO
 
ξ゚听)ξ「『実験』のこともそうだわ。
      私がお願いしたら、母者さん、事情を訊かずにすぐに了解してくれた」

ξ゚听)ξ「自分の娘や次男が嫌ってて、世間からも白い目で見られてる私の頼みを──
      『内藤君のため』って聞いただけで、あっさり頷いてくれたのよ」

 ──ツンとドクオが、目を丸くした。
 何故だろう。内藤は自分の顔に触れた。

 涙が落ちていた。

 演技以外で泣いたのは、いつぶりだろうか。

 ツンが微笑む。何だか恥ずかしくて顔を手で隠した。
 頭を撫でられる。位置からして、ドクオの手だろう。

 ありがとう、という言葉を、何とか絞り出せた。

 

430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:26:47.01 ID:IUhRzvqEO
 

 ──自分は恐らく、運がいいのだろうと思う。

 霊が見えることを知ってなお、それを受け入れてくれる友人がいるのも。
 自分そのものを愛してくれる親と、それとはまた違う「家族」がいるのも。
 幽霊裁判なんてものに関われたのも。

 出連ツンに出会ったのも。



 ヴィップ町に帰ったら、兄者に写真を撮り直してもらおう。
 演技をしていない内藤の写真でも、両親はきっと喜んでくれるだろうと思った。



*****

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:28:37.08 ID:IUhRzvqEO
 

 ──それから内藤は旅館へ帰り、泥のように眠った。
 早朝、旅館を後にする際に、母者へ何度も深く礼をした。
 彼女は何をそんなに感謝されているのか分からなかったようだが、気恥ずかしそうに頭を撫でてくれた。



 で。
 結局、G県ではこれといった情報を得られなかった。

 ご当地料理が美味しかったし──ツンやドクオと騒ぐのが楽しかったといえば楽しかったので、
 そういった収穫はあったけれど。

 ヴィップ町に帰り、G県土産を弟者達に渡したところ、
 何故G県、とたいへん怪訝な顔をされたのが少し面白かった。

434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/11/10(日) 00:31:03.22 ID:IUhRzvqEO
 

(´<_`*)「──そ、それでさ、あの、で、デレさん、だっけ。
       あの人、何か言ってなかったか?」

 内藤が心からの礼を伝えると、
 返事もそこそこに、もじもじしながら弟者が小声で訊ねてきた。

 今回は弟者のおかげで助かったようなものだ。
 感謝してもし足りない。

 なので、真実を伝えてあげることにした。

( ^ω^)「あのひと妖怪だお。吸血鬼。いや、嘘じゃなくて。比喩でもなくて。ほんとに」

 呆然とする弟者の肩を叩く。

 「初恋は実らないもんだお」。
 陳腐な慰めの言葉を吐く。

 「妖怪はノーカンだし」。
 呟く弟者は涙目だった。



case6:終わり

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