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709 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:45:06 ID:VvLJ6h4.O
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(-@∀@)「呪いは誰でも簡単に出来るんですよう。
その中でも特に無意識にやっちゃう人が多いのが──『言霊』を使ったやつなんですね」
( ^ω^)「ことだま……」
(-@∀@)「『こうなったらいいなあ』って何気なく口にした言葉通りのことが起きるとかね。
よく、噂されるとくしゃみする、なんて迷信聞きますが、
それだって言霊による呪いみたいなもんでしょう」
(-@∀@)「……マァ、これは一旦置いといて。
呪いを行うために必要なエネルギーは、案外、子供から生まれやすい。体も心も不安定ですからね。
感情を上手く放出できなくて、どんどん溜まってって、ついには悪い念に変わってしまう」
アサピーの指が、未だ泣いているリリをさした。
ここまで来れば、内藤にも大体の予想はつく。
(-@∀@)「オジョーサンは、それが特に顕著だった。
普通は自分自身への呪いとか戒めに変化して消化されちゃうもんなんですが……。
彼女の場合、あと少しで、周囲の人間を無差別に巻き込むことになりかねませんでした」
【+ 】ゞ゚)「それを阻止してたのか?」
平たく言えばね、とアサピーが肯定する。
ひどく顔を歪めている。
何故、そんなに話すのが辛そうなのだろう。
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710 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:48:08 ID:VvLJ6h4.O
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(-@∀@)「とりあえず正しい方向……妹者サンに向けさせて、言霊で形を整えて放出させて、
出来得る限り僕が呪いを──何と言いましょうかね、ええと、食べてました。
オジョーサンは『怪我すりゃいい』程度のこと言ってましたが、
呪力自体は、そんなもんじゃ済まないレベルでしたよ」
(-@∀@)「だから食いきれなかった分は諦めてましたが──
うまーいこと妹者サンの御兄弟が吸収したおかげで、威力もますます弱まってくれて。
良かったですねえ、ホント」
l从・∀・;ノ!リ人「う、ううむ」
(-@∀@)「あ、ついでにさっきの。
今までで一番でかかったです。
弟者クン1人じゃどうにも出来ませんでしたので、姉者サンと兄者クンの方にも行かせました」
(´<_`;)「え」
今頃2人して転んでるかも。
付け足された一言は、わざとらしさを覚えるくらいに小さい。
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711 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:51:36 ID:VvLJ6h4.O
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(-@∀@)「まあ命にゃ関わりません」
(;,゚Д゚)「……何よ、あんた、意外といい奴じゃないの」
( ^ω^)「ですお」
(;-@∀@)「アーッ!! 言いましたね!
それ言われるの嫌だったから黙ってたんですよ僕ァ!!」
アサピーが服越しに腕を掻きむしる。
過剰なくらいに喚き、今度は頭を抱えて身をくねらせた。
消滅処分を聞いたときよりもリアクションが大きいように思えるのだが、気のせいか。
(;-@∀@)「僕は人間様の恨み辛み妬み嫉みから生まれた存在なんですよ!
そんなこと言われたら立場なくなっちゃうじゃありませんかあ!!」
川 ゚ 々゚)「でも、妹者のこと助けてたんでしょ?」
(;-@∀@)「ボランティアでやってるとお思いで?
美味しそうな匂いに釣られて、オジョーサンを見付けたってだけなんでございますよ?
人間様の呪力は僕にとって素敵な養分でございますから」
(-@∀@)「……ま、そのオジョーサンも、さっきのでようやく使い果たしてくれたみたいですけれどもねえ」
弟者は最早、アサピーをどんな目で見ればいいのか分からないようだった。
非常に複雑な面持ちで「へえ」と呟いている。
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712 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:54:19 ID:VvLJ6h4.O
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ξ゚听)ξ「──しぃ検事は、『アサピーが逮捕されてからは呪いが収まった』って言ったけど……
そりゃそうでしょうよ」
l从・∀・ノ!リ人「あ。妹者の学校、25日から夏休みだったのじゃ」
ξ゚听)ξ「夏休みで妹者ちゃんに会うこともないし、
嫉妬を煽るアサピーもいないし、ね」
それが、完全なトドメだった。
だが──やはり、しぃは黙るだけだ。
そろそろ心配になってきた。
(* − )
( ^ω^)「……しぃさん」
(,,゚Д゚)「いいのよ、そのままにしときなさい」
( ^ω^)「でも」
どうすべきか内藤が悩んでいると──
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713 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:56:24 ID:VvLJ6h4.O
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l从・∀・ノ!リ人「……とにかく、妹者、理解しきれてないんじゃが……」
妹者が、ツンの顔を見上げて言った。
リリと弟者を指差す。
l从・∀・ノ!リ人「さっきのは、またリリちゃんが妹者を呪って、
そのせいでちっちゃい兄者が転んだってことでいいのじゃ?
姉者とおっきい兄者も?」
ξ゚听)ξ「ええ、そうね」
l从・∀・ノ!リ人「……そうか」
声のトーンが落ちる。
妹者は唇に手を当て、俯いた。
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714 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:58:41 ID:VvLJ6h4.O
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l从 ∀ ノ!リ人「……妹者のために……」
ξ゚听)ξ「……妹者ちゃん。あなたのせいじゃないわ。
自分を責めちゃ駄目よ」
そうよ、とギコが援護する。
オサムも、無言ではあるが首肯するように一度だけ頭を揺らした。
ツンがしゃがみ込む。
彼女に肩を叩かれ──妹者は、けろりとしながら顔を上げた。
l从・∀・ノ!リ人「そりゃ妹者のせいじゃなかろう。
何で妹者が責任感じなきゃいけないのじゃ」
ξ;゚听)ξ「へ」
妹者の顔は不満で溢れていた。
そういう子だ。内藤と弟者が苦笑する。
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715 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:00:10 ID:VvLJ6h4.O
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ツンから離れ、妹者はリリの腕を引っ張った。
立ち上がらせ、向かい合う。
じっと瞳を覗き込む妹者に、リリは、恐々と視線を合わせた。
l从・∀・ノ!リ人「リリちゃん。妹者はのう、たしかに可愛い。たしかに人気者じゃ」
⌒*リ´;-;リ「……う、うん……?」
l从・∀・ノ!リ人「そしてもちろん性格悪いのじゃ。最悪じゃ。
世の馬鹿な男共は妹者に利用されても仕方ないと思ってるし、
姉者や兄者達が妹者を可愛がって守ってくれるのも当然だと思っておる」
なかなか、初っ端からかましてくる。
リリは戸惑いながらも聞いていた。
というより、聞くしかなかった。
l从・∀・ノ!リ人「何より、こんな性格だから、
妹者のことを大ッッッ嫌いな人もいて当然なのじゃ」
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716 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:04:11 ID:VvLJ6h4.O
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l从・∀・ノ!リ人「妹者は人に嫌われても、悪口を言われても構わん。
だって妹者は今の自分が好きじゃ。今の生き方が好きじゃ。
全部承知の上で、こうしてるんじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「だからリリちゃんは思う存分妹者を嫌って馬鹿にすればいい。
『大きくなったら劣化する』『上手くいってるのも今の内だけ』、好きなように言えばいいのじゃ。
妹者だって否定は出来ん」
ツンが机に手をつき、腰を上げた。
妹者を指差して内藤達に目で訴えかけてくる。
「ここまで酷いの?」と問われている気がしたので、
弟者と一緒に頷いた。
l从・∀・ノ!リ人「たとえばお金持ちのぼるじょあ君なんかは、きっと、成長するにつれて色んな女に言い寄られる。
そうして気付くのじゃ、『妹者っていうクラスメートもこいつらと同じだったんだ』と」
l从・∀・ノ!リ人「同窓会なんかでは、男達が言う筈じゃ。『妹者は悪女だったな』って。『俺ら馬鹿だったな』って。
妹者がまた言い寄ったって、今度は、余程の馬鹿しか引っ掛からなくなるのじゃ」
妹者の手が、リリの手を掴む。
リリはびくりと震えた。
唇を噛み、俯き、それから妹者を見る。
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717 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:06:23 ID:VvLJ6h4.O
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⌒*リ´;-;リ「……そしたら、どうするの……」
l从・∀・ノ!リ人「そうなったらのう、妹者、賢い人に言い寄るのじゃ。
妹者なんかに騙されないような賢い人。真面目で優しい人。
妹者みたいな女が嫌いな人」
l从・∀・ノ!リ人「そういう人をオトして結婚するのが妹者の目標なのじゃ。
それが出来たら、妹者はもう、その人にしか色目は使わん。
その人だけ愛して愛されるのじゃ。それが妹者の野望じゃ。随分と都合がいいじゃろう」
あれ、何の話だったっけ。
呟いて、妹者は空中を見遣った。
l从・∀・ノ!リ人「……ああ、そうそう、それでな。
そんな野望を持つ素敵な妹者じゃが、絶対に『やらないこと』を決めておる」
⌒*リ´;-;リ「やらないこと……」
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718 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:10:43 ID:VvLJ6h4.O
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l从・∀・ノ!リ人「誰かの人生に、おっきい傷をつけること。
体とか心とか、お金とか。
そういうのを、必要以上に傷付けること」
l从・∀・ノ!リ人「優しい人だろうと、妹者みたいに悪い奴だろうと──
誰であろうと、それはやっちゃいけないことじゃ」
⌒*リ´;-;リ「い、妹者ちゃん、ぼるじょあ君から高い物もらってたじゃん」
l从・ε・ノ!リ人「あれは、『キャンディセットもらったけど飴は好きじゃない』って話してたの聞いたから、
じゃあ妹者がもらってやろうと思って遠回しに手助けしただけじゃ!
山崎君の消しゴムは50円で買えるものだし!
山崎君のお小遣いの半分の半分の半分の半分の……多分もう半分くらいじゃ!」
妹者が頬を膨らませ、そっぽを向いた。
しかし、すぐに笑う。
握った手を、優しく揺らす。
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719 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:13:54 ID:VvLJ6h4.O
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l从・∀・ノ!リ人「リリちゃんに嫌われたのは妹者じゃ。
でも、嫌いだからって、呪って怪我させてやろうとしたことは──リリちゃんが悪い」
l从・∀・ノ!リ人「だから一回、一回だけ、謝ってほしいのじゃ。
そしたらのう、明日、リリちゃんさえ良ければ妹者と一緒に遊ぶのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「妹者は性格は悪いが、可愛いし賢いし気を遣えるし、そこそこユーモアもあるから、
仲良くなりさえすれば、きっと妹者のことを好きになってくれるのじゃ」
「ね?」。
リリの両手を胸の前まで上げ、離す。
その手に妹者の両手をぴったり合わせて、指を絡ませた。
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720 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:16:18 ID:VvLJ6h4.O
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リリの涙は、一層溢れる。
しゃくり上げながら、彼女は言った。
⌒*リ´;-;リ「ごめ……な、さい……」
返事代わりの妹者の笑顔は、今までにないほど綺麗だった。
(;,゚Д゚)「……たくましい子だわー」
【+ 】ゞ゚)「弁護人が証人を連れてきた判断は、正しかったな」
川*゚ 々゚)「めでたしめでたし?」
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721 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:17:53 ID:VvLJ6h4.O
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──ごつり。
しぃの拳がゆっくりと机にぶつかり、小さな音をたてた。
(* − )
この場に不釣り合いな、いっそ不気味にすら思える無表情。
内藤は声をかけようとして、やめた。
触れるのが恐ろしかったのだ。
*****
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722 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:19:19 ID:VvLJ6h4.O
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(-@∀@)「マァ、何と言いますか。ありがとうございました?
善人扱いされたのが気に食わなかったですけど、
そこそこ楽しかったです」
旧校舎の前。
アサピーは宙へ浮かび、ツンに手を振った。
彼に下された判決は無罪。
当然の結果ではある。
(-@∀@)「それではね。バレないように呪術の勉強続けます。
機会があったらまた遊びましょ、センセイ」
眼鏡の奥でウインクをかまして、アサピーは消えた。
ツンは舌を出して中指を立てて応えたが、果たしてアサピーが見ていたかどうか。
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723 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:20:12 ID:VvLJ6h4.O
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l从・∀・ノ!リ人「眼鏡の人、まだいるのじゃ?」
ξ゚听)ξ「もう消えたわ」
旧校舎を出てから、やはり妹者と弟者にはアサピーもオサム達も見えなくなっていた。
見えたら見えたで怖いが、見えないとそれはそれで怖いのだろう、弟者が忙しなく辺りを見渡している。
リリは、ギコとしぃが送っていった。
彼女の家は母子家庭らしく、母親は遅くまで仕事に出ているとのことだった。
「お菓子もおもちゃも買ってもらえないのに」──リリの妹者に対する妬みは、
家庭環境が大きく関わっていたのかもしれない。
しかし、まあ。
宣言通り、リリと遊ぶ約束を取り付けた妹者の豪胆ぶり──
呆れればいいのか、感心すればいいのか。
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724 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:25:30 ID:VvLJ6h4.O
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ξ゚听)ξ「妹者ちゃん。
何度も言うようだけど、幽霊裁判のことは内緒にしてね」
l从・∀・ノ!リ人「分かってるのじゃ」
ちらりと、妹者が内藤を一瞥する。
内藤はわざと目線を外した。
l从・∀・ノ!リ人「ブーンも、知られたくないことがあるんじゃろう。
せん、せん……せんたく……?」
ξ゚听)ξ「詮索?」
l从・∀・ノ!リ人「それじゃ。せんさくはしないのじゃ」
( ^ω^)「……ありがとうお。こんなに信頼出来る小3、なかなかいないお」
l从・∀・ノ!リ人「まあ──」
本当に、末恐ろしい。
物分かりの良さは、そんじょそこらの子供の比ではない。
妹者の大きな目が、今度は弟者を収めた。
いたずらっぽい笑みを浮かべる。
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725 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:26:44 ID:VvLJ6h4.O
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l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者が、おばけ相手に悲鳴あげてたのは非常に気になるが」
(´<_`;)「だっ、誰にも言うなよ!! 特に姉者に! あと兄者は言い触らすから一番駄目だ!!」
l从・∀・ノ!リ人
(´<_`;)
(´<_`;)「……妹者好みの文房具買ってやる……」
l从・∀・*ノ!リ人「おっと、ちっちゃい兄者に関する秘密を知った気がするがもう忘れたのじゃ!
あのね、この前、すっごく可愛いペンケースとノート見付けたのじゃ。
もしあれが手に入ったら、きっと夏休み明けにみんなに自慢したくなっちゃうのじゃ!」
(´<_`;)「うん……今度買いに行こうな……」
l从・∀・*ノ!リ人「わーい!
……それじゃツンさん、妹者もう眠いし、帰るのじゃ」
ξ゚ー゚)ξ「うん。ついて来てくれてありがとう。
送らなくて大丈夫?」
l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者もいるし、ブーンもいるから、
まあ何とかなるのじゃ」
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726 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:27:52 ID:VvLJ6h4.O
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ξ゚ー゚)ξ「そう。じゃあ、ばいばい」
l从・∀・*ノ!リ人「ばいばーい。ブーンも行くのじゃー」
( ^ω^)「おー」
弟者は妹者と手をつなぐと、一度、じろりとツンを睨んだ。
何も言わず顔を背け、歩き出す。
内藤が続こうとしたところで、ツンに手を引かれた。
( ^ω^)「……何ですかお」
ξ゚听)ξ「トソンさんのことなんだけど」
( ^ω^)「トソンさん?」
都村トソンの顔が脳裏を過ぎる。
どうして、このタイミングで彼女の名が。
ツンは辺りを見渡し、小声で続けた。
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727 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:29:17 ID:VvLJ6h4.O
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ξ゚听)ξ「彼女の、昏睡状態に陥っているお友達……ミセリさんいるでしょ。
その人の病室でね、変な男を見たんですって。
トソンさんに気付くと、すぐ逃げたそうよ」
( ^ω^)「……はあ」
ξ゚听)ξ「私は単なる浮遊霊か何かだろうとは思うんだけど……。
トソンさんは、それが『真犯人』じゃないかって言ってる」
( ^ω^)「ツンさんは何で浮遊霊だと思ったんですかお?」
ξ゚听)ξ「だって、事件が起きたのは7年前よ。
その男が真犯人だとしたら、何で今更ミセリさんのもとに現れたんだか……って話になるでしょ」
それもそうだ。
納得する内藤に、ツンが顔を寄せる。
ξ゚听)ξ「とりあえず、ギコと一緒に色々調べてみるわ。
続報があったら教えるわね」
( ^ω^)「……気が向いたら、聞きますお」
返し、ふと、気になっていたことを思い出した。
「追体験」のことだ。
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728 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:30:58 ID:VvLJ6h4.O
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( ^ω^)「今回はアサピーさんが無実だってこと知ってたんですかお?」
ξ;--)ξ「あいつが、私に心さらけ出してくれると思う?」
( ^ω^)「……うーん」
ξ゚听)ξ「……まあ。あいつ、本当に悪いことって滅多にしないのよ。
それに本人が『僕はやってません』っつうから、
普通に弁護士としての職務を全うしただけ。結構冷や冷やしたわ」
手が離された。
同時に、数メートル先で弟者と妹者が内藤を呼んだ。
それに返事をし、ツンに会釈する。
( ^ω^)「さようならツンさん」
ξ゚听)ξ「気を付けて帰るのよ」
( ^ω^)「ツンさんも」
ξ゚ー゚)ξ「あらありがとう」
弟者達のもとへ駆け寄り、3人並んで校門を出た。
敢えて幽霊裁判のことは話題に出さずに、帰路につく。
遠回りにはなるが、明るい道を行くことで3人の意見は合致した。
.
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729 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:36:11 ID:VvLJ6h4.O
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──家が近付いてきた頃。
( ^ω^)(……)
ふと、視線を感じた。
後ろを見る。
( Ф Ф)
曲がり角の向こうからこちらを覗く男がいた。
顔のほとんどが闇に覆われているのに、瞳だけがくっきり確認出来る。
気味が悪い。顔を顰める。
目が合うと、男は、一瞬で消えた。
( ^ω^)(……霊かお)
そこら中にありふれている霊の1人だろう。
そう思い、内藤は今の男を早速忘れることにした。
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730 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:37:14 ID:VvLJ6h4.O
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(*゚−゚)「ギコ」
(,,゚Д゚)「……はいはい、なあに?」
リリを送り届けた後。
隣を歩くしぃに名前を呼ばれ、ギコはなるべく明るい声で答えた。
(*゚−゚)「僕は……僕は、あんな人に負けてていいのか」
(,,゚Д゚)「検事としては、まあ、弁護士に負けるのは良くないことかもね」
(*゚−゚)「検事弁護士ってだけじゃない。あんな……あんなふざけた女に、この僕が……」
しぃが唇を噛み締める。
ギコはやめさせようとして、下手に注意するのも良くないだろうと考え直した。
ひとまず喋らせておけば、唇を離す筈だ。
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731 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:38:54 ID:VvLJ6h4.O
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(,,゚Д゚)「たしかに、あのふざけ倒した女に負けるのは屈辱よねえ……」
(*゚−゚)「こんなんじゃ、父さんに顔向け出来ない……」
ぶつぶつ呟き続けるしぃ。
彼女から垂れ流される空気は、誰でも関わるのを躊躇うほどに淀んでいる。
何を言えばいいのか、ギコはすっかり困り果ててしまった。
とりあえず頭に手を乗せ、ぽんぽんと叩く。
すぐに振り払われたが、ほんの少しだけ空気が和らいだ気がした。
*****
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732 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 23:42:13 ID:VvLJ6h4.O
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( ;_ゝ;)「俺のFMVが壊れた……」
∬;_ゝ;)「今度は左足が……」
(´<_`;)「……あー……」
l从・∀・;ノ!リ人「えーっと……」
( ^ω^)「確証はないけど、もう安心していいと思いますお。確証はないけど。確証は」
∬;_ゝ;)「ていうか3人共、いつの間に出掛けてたの……」
(´<_`;)「いや、それは……いや、うん、あの……ゴメンナサイ」
case4:終わり