ξ゚听)ξ幽霊裁判が開廷するようです

case4:呪詛罪

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685 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 21:49:26 ID:VvLJ6h4.O

l从・∀・ノ!リ人「ゆーれーさいばん……。
       遊びなら、ちっちゃい兄者やブーンが付き合う筈ないし……これ、本当なんじゃなあ」

ξ゚听)ξ「ええ。分かってると思うけど、他言無用よ」

l从・∀・*ノ!リ人「のじゃ。……ツンさんが幽霊見えるっていうのも本当だったんじゃな!」

 妹者に動じる様子はない。
 もしかすると、流石家で母親の次に胆が据わっているのではなかろうか。

 ──というか。

( ^ω^)「何してくれてんですかお」

ξ゚听)ξ「いいじゃないの今更。内藤君の霊感を知る人が一人二人増えたって」

( ^ω^)「ギコさん、刑事なら拳銃持ってるでしょう。あのひと撃ってくださいお」

(,,゚Д゚)「残念ながら今は手元にないわ」

( ^ω^)「じゃあアサピーさん、とびきりキッツい呪い掛けてやってくださいお」

(;-@∀@)「エ……ああ、そうですネェ……。僕と子作りしないと3日で死ぬ呪いにしましょうか。
      高いですけどお」

ξ;゚听)ξ「んな呪い掛けられたら大人しく死を選ぶわ!!」

(´<_`;)「妹者達の前で子作りとか言うのやめろ!!」

【+  】ゞ゚)「くるうの前でもやめてくれ」

川*゚ 々゚) キャー

686 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 21:52:01 ID:VvLJ6h4.O

 てんやわんやの法廷。

 呆然としていたしぃが我に返り、机を叩いた。

(;*゚−゚)「ばっ、──馬鹿かあんた!!
     何考えてるんだ!? 小学生を幽霊裁判に連れてくる奴があるか!!」

ξ゚听)ξ「あら、証人に年齢制限はなかった筈だけど」

(;*゚ー゚)「そういう問題じゃない!!
     情報の漏洩とか──精神的な悪影響とか──その──い、色々と、何だ、問題が」

ξ゚听)ξ「妹者ちゃんはこんなこと誰にも話さないわよ。
      賢いし、それに、とーっても怖がりなお姉さんがいるものねえ?」

l从・∀・ノ!リ人「まず他人に話したら、妹者が馬鹿だと思われるのじゃ」

(´<_`;)「そりゃそうだろうけど」

(;*゚ー゚)「……待て! まず、彼女達はいつから廊下にいたんだ!?」

ξ゚听)ξ「初めから。ね、妹者ちゃん」

l从・∀・ノ!リ人「うむ。夜の旧校舎でじっとしてるってのは怖かったけど、
       裁判聞いてるの楽しかったのじゃ」

 法廷に入ったのは、しぃと内藤達、オサムとくるう、アサピー、遅刻したツン、という順番だった。
 ツンがやって来たときに、妹者とリリを廊下に待機させたのだろう。

 なら──リリが妹者をどう思っているのかも、妹者は聞いてしまった筈だ。
 それでも彼女はリリの手を握って離さなかった。

687 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 21:53:18 ID:VvLJ6h4.O

(;*゚ー゚)「……裁判長! あなたなら、彼女達がいるのに気付いていたんでしょう!?
     どうして放っておいたんです!」

【+  】ゞ゚)「弁護人が連れてきたようだったし、何か考えがあるんだと思って」

 しぃは頭を押さえ、よろけた。
 この状況、目眩だってしよう。

ξ゚听)ξ「それじゃ……まずは証人尋問といきましょうか。
      証人は、凛々島リリ」

 ツンがファイルを開き、のんびりと言い放つ。
 リリはびくりと震え、ツンやアサピーを見回してから、俯いた。

 彼女の表情は、恐怖だろうか。罪悪感だろうか。

ξ゚听)ξ「リリちゃん。あなたは、妹者ちゃんに対して嫉妬──やきもちを焼いていたそうね。
      羨ましかったの?」

⌒*リ;´・-・リ

 こくり。小さく首を縦に振る。
 ツンはしゃがみ込み、リリと視線を合わせた。

688 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 21:54:23 ID:VvLJ6h4.O

ξ゚听)ξ「どうして羨ましかったの?」

 答えはない。
 ツンはじっとリリを見つめ、辛抱強く返事を待った。

 やがて、小さな口が動く。

⌒*リ;´・-・リ「……妹者ちゃんばっかり優しくされて……みんなから贔屓されてたから。
        ずるいって思った……」

l从・∀・ノ!リ人「……」

(´<_`;)「妹者……」

 リリが腕を揺らす。
 妹者の手が離れ、リリは服の裾を握り締めた。

ξ゚听)ξ「いつから?」

⌒*リ;´・-・リ「……3年生になって、同じクラスになってから……」

689 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 21:55:59 ID:VvLJ6h4.O

ξ゚听)ξ「妹者ちゃんに、怪我や失敗をしてほしいと思うようになったのは、いつ?」

⌒*リ;´・-・リ「……」

(;*゚ー゚)「ですからそれは被告人と会ってから──」

ξ゚听)ξ「検事はちょっと黙ってちょうだい」

 リリの目がくるうに向けられる。
 体が震えていた。
 宥めるように、ツンはリリの頭を一度撫でた。

ξ゚听)ξ「あの女の人は、嘘をつくとすぐにそれが分かるわ。
      だから嘘をつかずに、素直に答えて」

⌒*リ;´・-・リ

ξ゚听)ξ「……もう一度訊くわね。
      いつから、妹者ちゃんなんか怪我しちゃえって思い始めたの?」

 また、答えはすぐには返ってこない。
 リリが、ぎゅっと目を閉じ、手に力を込めた。

 そうして、10秒。

690 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 21:57:02 ID:VvLJ6h4.O


⌒*リ;´・-・リ「……わかんない……」


 小さな、けれど皆に聞こえるほどの一言。

 くるうは黙っている。
 嘘のにおいはしないようだ。

 それを受け、しぃが目を見開いた。
 何で、と、か細い囁き。

 ツンが再びリリの頭を撫で、立ち上がった。

(;*゚−゚)「ぼ、僕のときと、言ってることが違、」

ξ゚听)ξ「検事。あなたのミスだわ」

(,,゚Д゚)「……だから、中途半端な騙し方するのやめなさいって言ったのよう」

 ギコが顔を背けて溜め息をつく。
 オサムとくるうは、同時に首を傾げた。

691 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:00:17 ID:VvLJ6h4.O

ξ゚听)ξ「あなた、カンオケ神社の職員を装って……
      『悪霊を祓うため』って言って、彼女から話を聞いたんでしょう?」

 咎める瞳。
 射るような、という表現がよく似合う。
 しぃが一歩、後退りをした。

ξ゚听)ξ「そんな風に言われたら、誰だって、全部『悪霊』のせいにしたがるわよ。
      それに、どうせあなたのことだわ。
      何もかもアサピーが悪いってスタンスで誘導したんじゃないの?」

(;*゚−゚)「──、……、……っ」

 反論も出来ない様子だった。
 自分の足元を見据え、しぃは言葉を失う。

 ツンは少しだけ表情を緩めて、別のファイルを手に取った。
 先程、一度開いたときにアサピーに邪魔され、諦めて閉じていたものだ。
 その中からA4サイズの紙を引っ張り出す。

692 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:02:25 ID:VvLJ6h4.O

 広げて掲げられたそれは、簡略化された見取り図。

 上部に、大きな横長の四角形。「校舎」と書き込まれている。
 左下の小さな長方形に「プール」、その上の更に小さい正方形には「倉庫」。
 そして空いたスペースには「グラウンド」という文字があった。
 プールの周辺に、いくつかの円。

ξ゚听)ξ「7月17日」

 右手に紙を持ち、左手で赤いペンを構える。

 ツンは「グラウンド」にペン先を置いた。

ξ゚听)ξ「男性教諭の蹴ったサッカーボールが──
      検察側の主張で言えば、『呪い』によって、プールの方角へ飛んでいきました」

 そのままペンを滑らせる。
 言葉通りに、赤い線が伸びていく。

693 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:04:30 ID:VvLJ6h4.O

ξ゚听)ξ「……ここからは妹者ちゃんとリリちゃんの証言」

ξ゚听)ξ「プールの近くには何本かの樹が植えられています。
      サッカーボールは真っ直ぐ飛んでいき──ひとつの樹にぶつかり、
      跳ね返って、プールの入口の前へと転がりました」

 赤い線は小さな円に行き着くと、そこで元の方向へ引き返し、「プール」の前で止まった。

【+  】ゞ゚)「それに躓いて、流石姉者は怪我をしたんだよな。
        ……弁護人の話に間違いはないな?」

l从・∀・ノ!リ人「ないのじゃ」

⌒*リ;´・-・リ" コクン

 オサムの問いに、妹者は臆することなく答えた。
 くるうからの指摘がないので、嘘はついていない。

ξ゚听)ξ「流石姉者は踏ん張ったときに負傷しただけで、決して転んでいないこと。
      この周りには石がごろごろしていたことを、先に言っておきます」

694 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:06:38 ID:VvLJ6h4.O

ξ゚听)ξ「さて。ボールが飛んできた瞬間、流石姉者は、生徒に声をかけられたために
      ボールに気付くことが出来なかった……のよね、内藤君?」

( ^ω^)「……姉者さんはそう言ってましたお」

ξ゚听)ξ「では──もし。
      『声をかけられていなかったら』、どうなってたかしら?」

(,,゚Д゚)「どう、って……」

 ギコはツンの持つ紙へ人差し指を向け、するりと動かした。
 ボールの軌道をなぞっているようだ。

 そして、「あ」と声をあげた。

ξ゚听)ξ「そう。ボールは一度、プールの前を通過している。
      このとき、流石姉者が誰にも呼び止められず、当初の予定通りに倉庫へ向かっていたら──
      まあ断言は出来ないけど、飛んできたボールが直接ぶつかっていたかもね?」

l从・∀・;ノ!リ人「あのボールの勢いでぶつかったら相当痛いのじゃ……」

ξ゚听)ξ「水着だったから無防備だしね。
      当たる場所によっては、転びもしたでしょう。
      もし転んで、地面の石に頭を打ちつけようものなら、最悪の場合──」

 口を閉じる。
 その先を想像したのだろう、弟者が青ざめた。
 内藤がアサピーを見ると、彼は何故か、ばつが悪そうに頬を掻いていた。

 いつもなら真っ先に何かしらの反応を見せるしぃは、まだ沈黙している。

695 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:08:37 ID:VvLJ6h4.O

ξ゚听)ξ「7月18日」

 紙とペンは机へと置かれた。
 オサムの背後から定位置へ戻ったくるうが、興味津々といった様子で話を聞いている。

ξ゚听)ξ「これは単純な話ね。
      鍋が倒れそうになった、それを支えたがために器をひっくり返した、そのせいで弟者君が火傷した。
      内藤君、そのとき、鍋の中身はどれくらいあったの?」

( ^ω^)「ええと、盛りつけ始めてすぐだったから、いっぱいありましたお」

【+  】ゞ゚)「……鍋の方が倒れていたら、大惨事になってたな」

(;,゚Д゚)「やだ、恐いわあ、それ」

(´<_`;)「たしかに……」

ξ゚听)ξ「そして同日午後。これは兄者君すら現場の詳しい状況を知らないわけだから、ちょっと分からないわね。
      でも、財布そのものを盗まれなかったり、カードは無事だったり──被害は軽い方だわ」

ξ゚听)ξ「7月19日。流石姉者が階段で転んだ際、たまたま居合わせた教師を巻き込んだおかげで、軽傷で済んだ。
      この教師がいなかったら、彼女の被害は如何ばかりか……」

川*゚ 々゚)(イカばかり……するめ……)

696 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:11:10 ID:VvLJ6h4.O

(;*゚ー゚)「……っ……」

ξ゚听)ξ「あのね、検事。アサピーはたしかに先日まで霊界にいたわ。
      でも、少しのブランクで──呪術のプロが、そう何度も失敗すると思う?」

(;*゚ー゚)「しかし、……」

ξ゚听)ξ「7月17日から24日までの間、ずっとリハビリしてたようなもんなのに、
      一回も成功しないってどうなの? おかしくない?」

ξ゚听)ξ「それも狙ったように──被害の度合いは、姉者、弟者君、兄者君の順に小さくなってるわ。
      ねえ?」

 やっとしぃが声を発したかと思えば、また黙り込む。
 気の毒と言うほかない。

 ツンは、アサピーに「そうでしょう」と問い掛けた。
 アサピーは目を逸らしたが、少し経って観念したのか、ツンへと顔を向け直した。

697 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:12:42 ID:VvLJ6h4.O

ξ゚听)ξ「あんたがどれだけ呪術に長けてるか、昔からよく知ってるわ。
      どれだけ詳しいか、もね」

(-@∀@)「……僕もセンセイがどれだけ単純で複雑で間抜けで賢いか、昔からよーく知ってますよ」

ξ゚听)ξ「なら、分かるでしょ。
      今ここでの『黙秘』は私が認めないわ。
      喋りなさい」

 室内が、静まり返る。
 全員の意識がアサピーに注がれる。



(-@∀@)「……呪いってのはー、血縁者が身代わりになることがよくあるんですネェ」

 ようやく。
 アサピーは、答えを口にした。

698 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:14:30 ID:VvLJ6h4.O

(-@∀@)「特に、そこの妹者サンは、御兄弟から大層可愛がられてる御様子で。
      意識せずとも、御兄弟が守ろうとするんでございましょうナァ」

【+  】ゞ゚)「兄弟が呪いを引き受けようとするのか」

(-@∀@)「ええ、ええ、その通り。
      とはいえ、呪われた対象と血縁者の『近さ』によって、そのレベルは変わってきます」

l从・∀・ノ!リ人「……近さ?」

(´<_`;)「距離の話か?」

(-@∀@)「イイエ。マァそれもありますけど。
      姉者サンは妹者サンと同じ性別、かつ、小学校という同じ敷地内にいた。
      だから呪いの効果も一番大きい」

(-@∀@)「弟者クンは妹者サンとは性別が違うが、最も歳が近くて、中学校と小学校もそこそこ近い。
      だから呪いの効果が程々に」

(-@∀@)「兄者クンは、性別も違えば歳も離れてるし通っている大学も──どこにあるかは知りませんが、
      まあ小学校の近くには見当たらなかったし、遠くにあるんでしょう」

699 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:15:32 ID:VvLJ6h4.O

(´<_`;)「……だから、兄者が一番軽い被害で済んでたのか」

(-@∀@)「そうなりますな」

川*゚ 々゚) ヘー

(,,゚Д゚)「仲いいものねえ、弟者君の家」

 理屈は通っている。と、思う。
 理屈が通じるものではないけれど。

 内藤はとりあえず納得した。
 姉者も兄者も弟者も、妹者には甘い。
 呪いなど、無意識だろうと意識的だろうと、代わってやろうとするだろう。

700 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:18:59 ID:VvLJ6h4.O


 ──と。
 そこに、弱々しい声が落ちた。

⌒*リ;´・-・リ「……じゃあ」

 リリ。
 彼女が自発的に話し出したことに、少し、驚いた。

701 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:20:06 ID:VvLJ6h4.O

⌒*リ;´・-・リ「じゃあ、妹者ちゃん、ずっと守ってもらってたの……?
        姉者先生にも、お兄さんにも……」

 両手を胸の前で動かしている。
 左手で右手を覆ったり、指を組んだり、ぎゅっと握ったり。
 襟より下の部分を掴み、ようやく止まった。


⌒*リ;´ - リ「何で……」


 そして。

702 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:22:30 ID:VvLJ6h4.O



⌒*リ´;-;リ「──何で妹者ちゃんばっかり!!」



 溢れた叫びは、悲鳴じみていた。

703 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:24:48 ID:VvLJ6h4.O

⌒*リ´;-;リ「妹者ちゃんばっかりみんなに人気あって、家族から可愛がられて、
       ──ずるい、ずるい、ずるい!!」

⌒*リ´;-;リ「私はみんなと上手く話せないのに! 私はお菓子もおもちゃも買ってもらえないのに!!」

 こんなに大きな声を出せるとは思わなかった。
 皆が、泣き喚くリリをただ眺めている。

 すると、リリの足元が、ぐいと盛り上がった。

 影──いや。
 真っ黒い煙。靄。

 オワタくん人形から生じていたものに似ているが、
 リリの周りを覆う「それ」は、それより遥かに巨大だ。

 ツンが瞠目し、後退りをした。
 リリへ手を伸ばした妹者を、ツンは慌てて引き寄せる。

704 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:28:44 ID:VvLJ6h4.O

⌒*リ´;-;リ「妹者ちゃんなんか、」


 僅かに生じた、間。

 うねうねと蠢いていた靄は急に動きを止め、てっぺんを鋭く尖らせた。


⌒*リ´;-;リ「妹者ちゃんなんか私の前からいなくなればいい!!」


 それが合図だった。

 切っ先が弟者の方へ折れ曲がる。
 反応する間もない速度で、槍にも見える黒は伸びていった。
 内藤に出来たのは、身を強張らせることだけ。

705 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:30:31 ID:VvLJ6h4.O

 その中で唯一、行動した者がいた。


(-@∀@)


 アサピーが左手を差し出し、何かを払うような仕草をする。

 途端、弟者目掛けて移動していた黒い靄が崩れ、
 全体の3分の2ほどがアサピーへ吸い寄せられた。
 そのままアサピーの指先へと潜り込む。

 それ以外の靄は弟者の額へぶつかり、通り抜け、窓の外へ消えていった。


 全てがたった3秒間の内に起こり、終わっていた。

706 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:34:22 ID:VvLJ6h4.O

 リリがへたれ込む。
 空気が乱れ、固まっていた──ように感じただけだが──オサム達が動いた。

【+  】ゞ゚)「今のは……」

川;゚ 々゚)「さっきの何?」

(;,゚Д゚)「ちょっと、弟者君大丈夫!?」

(´<_`;)「はい? 何が──うわ!!」

 突然、弟者が転んだ。
 ひっくり返り、尻餅をつく。

 未だ混乱しつつも内藤が助け起こすと、弟者は眉を顰めて呻いた。

707 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:38:10 ID:VvLJ6h4.O

(´<_`;)「いったたた……くそ、急に足滑った……」

(;^ω^)「弟者、頭は何ともないのかお?」

(´<_`;)「頭? いや、別に頭は打ってないけど」

(;^ω^)「そうじゃなくて……」

(´<_`;)「?」

 今しがた見たものを説明する。
 弟者は首を捻るばかりだった。弁護席にいる妹者も同じく。

 元々霊感のない者には見えなかったのかもしれない。

 張本人のリリはといえば、さめざめと泣いている。
 それを尻目にアサピーは、溜め息と共に非難めいた愚痴を漏らした。

708 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 22:41:16 ID:VvLJ6h4.O

(-@∀@)「もー、センセイ、何でよりによって妹者サンと2人で連れてくるんです……」

ξ;゚听)ξ「その方が都合が良さそうだったからだけど……ちょっと今のは予想外だわ」

l从・∀・;ノ!リ人「何が何だかさっぱりなのじゃ」

 咳払いをし、ツンが妹者を離す。
 左手を髪の先に、右手を腰に当て、彼女は微笑を浮かべた。
 腹立たしいくらい、得意気な顔。

ξ゚ー゚)ξ「まあ、これで最後の謎が解けたわね。
      ──本当に呪いを行っていたのが、誰なのか」

 「ほら早く言いなさいよ」。
 命令されたアサピーは、エエー、と頓狂な声を返した。

(-@∀@)「それ、僕に言わせる気です?」

ξ゚听)ξ「他の誰が、きちんと説明出来るっていうの」

(-@∀@)「……そうでしょうけどお」

 急かすように、オサムが木槌で宙を打つ。
 アサピーは一瞬だけ口をひん曲げ、
 首を振りながら、心底嫌そうに「説明」を始めた。

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