ξ゚听)ξ幽霊裁判が開廷するようです

case4:呪詛罪

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602 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:09:42 ID:VvLJ6h4.O


 ずるい子だと思う。


(*・3・)「妹者ちゃん、これ……」

l从・∀・*ノ!リ人「あ! ソーサク堂のキャンディギフト!
        くれるのじゃ? けっこう高いんじゃろう?」

(*・3・)「た、大したことないYO。パパの友達がソーサク堂の社長で、その人からもらっただけだC……」

l从・∀・*ノ!リ人「CMで見て、ずっと欲しかったのじゃ!
        はあ……綺麗じゃのう、飴がきらきらしてるのじゃ」

(* ^^ )「あのっ、妹者ちゃん、これも」

l从・∀・*ノ!リ人「おおっ、お菓子の形した消しゴム!
        妹者、こういう文房具集めるの大好きなのじゃ。
        2人共、ありがとうなのじゃ!」


 ──この間、聞こえよがしに飴や消しゴムの話をしていたくせに。
 遠回しに催促していたくせに。
 わざとらしい。

603 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:10:54 ID:VvLJ6h4.O

⌒*リ´・-・リ「……」

(-@∀@)「──オジョーサン。ありゃあ、羨ましい限りでございますネェ。
      あの子、もてもてですよう。プレゼントまでもらっちゃって、まあ」

⌒*リ´・-・リ「……転んじゃえばいいのに」


l从・∀・;ノ!リ人「──のじゃっ!?」

(;・3・)「わっ」

(; ^^ )「だ、大丈夫ですか?」

l从・∀・;ノ!リ人「大丈夫じゃ、転びかけただけ……。
        何じゃろ、今、足に何か引っ掛かった気が……」

(;・3・)「何もないYO?」

l从・∀・;ノ!リ人「うーむ?」


(-@∀@)「あれま残念、転びはしませんでしたねえ」

⌒*リ´・-・リ「……ふん」

.

604 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:11:17 ID:VvLJ6h4.O



 case4:呪詛罪


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606 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:13:51 ID:VvLJ6h4.O

 夏休みに入ってから数日が過ぎた、7月31日。

 大多数の学生が真夏の訪れに様々な思いを抱き、
 何かがありそうな予感に期待と不安を膨らませる、そんな日。

 内藤ホライゾンは思考を放棄していた。



ξ#゚听)ξ「この──馬鹿眼鏡!! よれよれ白衣野郎!!」

 怒鳴る出連ツンに、

(*゚ー゚)「……仲のよろしいことで」

(,,゚Д゚)「あれで仲いいことになるなら、あんただってツンと仲良しってことになるわよ?」

 呆れ顔の猫田しぃと埴谷ギコ、

川;> 々<)「んん〜、うーるーさーいー」

【+  】ゞ゚)「よしよし、耳ふさいでやるからな」

川*゚ 々゚)「あ……ちゅーするときみたい……」

 戯れ合うオサムとくるう。

( <_ ;) カエリタイカエリタイカエリタイカエリタイカエリタイ

 ついでに内藤の後ろで震える流石弟者。

607 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:15:08 ID:VvLJ6h4.O

( ^ω^)

 この既視感溢れる状況に慣れてきた自分に絶望し、
 内藤は、考えるのをやめたのであった。

 本当に、いつぞやと同じ状況だ。
 大きく違うとすれば──

(*゚ー゚)「あの人は毎回ながら、大人げない人だね。ねえ、内藤君」

( ^ω^)「……え? ああ、はい。そうですおね。話聞いてませんけど」

 内藤と弟者が、「検察席」に立っていること。

 左隣に立つしぃは、例によって学ラン姿。
 右隣のギコはキャミソールにミニスカートだった。
 左を向けば暑苦しい。右を向けば見苦しい。

608 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:17:36 ID:VvLJ6h4.O

 ──暑苦しいといえば。
 頭を再起動させた内藤は、被告人の方を見遣った。

ξ#゚听)ξ「分かってる? あんた、被告人なのよ? 訴えられてんの!
      で、私があんたの弁護しなきゃいけないの!
      仕事の邪魔しないでくれる!?」

(-@∀@)「──邪魔だなンて、そんな」

 黒いタートルネックにくたびれた白衣。薄汚れたジーンズ、革のブーツ。
 夏場に合わなすぎる格好をした男は、へらりと笑って眼鏡の位置を直した。

(-@∀@)「僕は、センセイと会えるのが楽しくって、チョットはしゃいじゃっただけでございますよう。
      あんまり酷いこと言わないでくださいな」

 妙な調子の声で言って、自身の頬を両手で押さえる。
 自分の立場を理解しているのかどうか──何と言うか、非常にマイペースだ。

ξ#゚听)ξ「……『ちょっと』はしゃいで……
      弁護してくれる人間を呪うっていうの……?」

(-@∀@)「あっは。怒るセンセイかーわいい」

 男の一言に、ツンの額辺りから何かの切れる音がした。

609 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:18:46 ID:VvLJ6h4.O

ξ#゚д゚)ξ「有罪!! 有罪じゃ!!
      貴様なんか今すぐ霊界ぶち込まれろ!!!!!」

(*゚ー゚)「僕の仕事取らないでくれます?」



 審理の必要もないのではないか。
 そう言ってやろうか迷いつつ、内藤は、3日前のことを思い返した。


.

610 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:20:03 ID:VvLJ6h4.O


#####


 その日、内藤と弟者は、友人の小森ヒッキー宅で遊んだついでに夕飯をご馳走になった。
 流石家に帰宅したのは午後8時頃。

 玄関に見知らぬ靴があったため、珍しく客人が来ているのかと思えば──

(*゚ー゚)『やあ』

(,,゚Д゚)『お邪魔してまあす』

 これだ。

 食卓の前に座っている2人を指差し、
 弟者は顔を青ざめさせた。

(´<_`;)『ギコさん……と、あんた、裁判の……!』

∬´_ゝ`)『裁判?』

(´<_`;)『いや、さ、さいば……菜箸、菜箸買いに行ったときに会ったことあって、あの、』

l从・∀・ノ!リ人『随分と不自然な気がするが……』

611 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:21:23 ID:VvLJ6h4.O

(*゚ー゚)『その節はどうも。……内藤君もね』

( ^ω^)『はあ』

 しぃ達の向かいには、流石姉者と流石妹者。
 弟者の苦しすぎる言い分に妹者は怪訝な顔をしたが、姉者の方は「あらそう」とすっかり騙されていた。

 まさか、しぃと裁判で会ったなどと──しかもそれが幽霊裁判だとは、姉者にだけは言えない。
 そんなことを話せば、彼女が失神する。

∬´_ゝ`)『えっとね、この子、ギコ君の親戚の子でね。
      学校の調べものがあって、うちに来たの』

(*゚ー゚)『「家庭の在り方について」という夏休みの課題が出されて……。
     ご両親が不在の家庭が、どのような生活を送っているのか調べていたら、
     ギコがこちらを紹介してくださって』

∬*´_ゝ`)『いきなりギコ君から電話があって、ちょっとびっくりしたわあ』

(*,゚Д゚)『前に連絡したときは、兄者君がコンパで酔い潰れてたの保護したときだものねえ』

 手を取り合い、きゃっきゃと親しげに笑う姉者とギコ。
 これでギコ以外の男が相手だったなら、弟者が怒っていたかもしれない。

612 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:22:24 ID:VvLJ6h4.O

l从・∀・ノ!リ人『いっぱい答えたのじゃー』

(*゚ー゚)『協力してくれてありがとうね。後で何かお礼を持ってくるよ』

l从・∀・*ノ!リ人『んふふー』

(*´_ゝ`)『……ブーン、おいブーン』

( ^ω^)『はい?』

 少し離れたところで漫画を読んでいた流石兄者が、小声で内藤を呼ぶ。
 内藤は兄者の傍にしゃがんだ。

( ^ω^)『何ですかお』

(*´_ゝ`)『お前のこと「内藤君」って呼んだってことは、知り合いなのか?
       仲いいのか? あの可愛い子と?』

 兄者の指が、しぃをさす。
 内藤は冷めた目で兄者を見てから、しぃの方へ顔を向けた。

613 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:24:41 ID:VvLJ6h4.O

 ──彼女は、セーラー服を着ていた。

 半袖から伸びる細い腕。正座の形に折り曲げられた、滑らかで張りのある足。
 こうして見ると、やはり「女の子」だ。
 詰襟の学生服姿を見慣れている内藤には、どうしても違和感があった。

 対し、ギコはワイシャツにスラックス。化粧もしていない。
 端正かどうかは分からないが、それなりに異性から好まれそうな顔つきだし、
 がっしりした体つきだし。「男」だ。仕草と発言以外は。

(*´_ゝ`)『ギコさんいいなあ……あんな子と親戚だなんて。
       なあブーン、あの子の連絡先とか知らない?』

( ^ω^)『……さあ、知りませんお。連絡先どころか、ほとんど何も。
       でも多分、性格良くないんじゃないですかお』

(*´_ゝ`)『あんなに礼儀正しいのに?』

( ^ω^)『結構ヒステリックな方だと思いますお。
       まあ、全然知らないけど』

(;´_ゝ`)『なん、お前、なんでそんな知らない人のこと下げていくの!?
       可愛い女の子に嫌な思い出でもあんの!?』

614 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:26:14 ID:VvLJ6h4.O

(*゚ー゚)『──内藤君!』

 唐突に、しぃからお呼びが掛かった。
 しぃに見とれる兄者を置いて、そちらへ移動する。

(*゚ー゚)『君の部屋、少しお邪魔していいかな』

( ^ω^)『は』

(*゚ー゚)『君と弟者君にも話を聞きたいんだけど……。
     ……ほら、君達くらいの年齢じゃ、家族の前で素直に答えるの、何かと気恥ずかしいだろう?
     だから、内藤君の部屋でゆっくり話したいんだ』

 ──端から、「学校の課題」なんて信じていない。
 しぃとギコが揃っている時点で、目的など一つしかないであろう。

 そもそも。
 半ば、内藤が呼んだようなものなのだ。きっと。
 呼んだというか、こうなる「きっかけ」を作ったというか。

615 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:27:14 ID:VvLJ6h4.O

 内藤は答えあぐねる。それに焦れたか、弟者が口を開いた。

 が。

∬*´_ゝ`)『協力してあげて? ね?
      お茶とお菓子持ってくから、先にお部屋行っといて』

 にっこりと笑いながら姉者に頼まれてしまえば、
 弟者は、何も言えなくなってしまうのだ。

.

616 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:28:24 ID:VvLJ6h4.O


 そうして内藤の部屋へ行き。
 部屋の真ん中に座って、開口一番、しぃは言った。

(*゚ー゚)『裁判に証人として来てもらえるかな』

 案の定。

 内藤は溜め息をついた。
 予想通りすぎる。

(´<_`;)『裁判って……』

(*゚ー゚)『幽霊裁判だよ、勿論』

 弟者が、目にもとまらぬ速さでしぃとの距離をとった。
 壁に引っ付き、ぶんぶんと首を横に振っている。

(´<_`;)『行くわけないだろ!』

(*゚ー゚)『僕も、君に来られると面倒なことになりそうだと思っているんだけどね……。
     でもやはり、証言を書類にまとめるだけより、証人に来てもらった方がこちらとしても有利だし。
     君は幽霊裁判に参加したことがあるから、呼びやすいし』

617 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:29:14 ID:VvLJ6h4.O

(´<_`;)『ブーンだけ連れてけよ!』

(*゚ー゚)『内藤君は法廷に呼ぶ必要はないかな。事情聴取だけでいい』

( ^ω^)『あ、やった』

(´<_`;)『え? 何? 俺だけ連れてく気?』

(,,゚Д゚)『そうなるかしら……』

(゚<_゚;)『いやあああああああ!! 行かない! 絶対行かない!!!!!』

 そこへ、盆を持った姉者がやって来た。
 弟者は即座に壁から離れ、ぴしりと正座を決めた。何事もなかったかのように。
 いっそ感心する。

∬´_ゝ`)『お茶どうぞ。和菓子しかなくてごめんね』

(,,゚Д゚)『いいのよー、黒糖まんじゅう好きよ。ありがとね』

(*゚ー゚)『ありがとうございます』

618 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:31:25 ID:VvLJ6h4.O

∬´_ゝ`)『おかわり欲しくなったら呼んでね』

(´<_` )『いいよ、俺がやるから姉者は下でゆっくり休んでな。
       まだ足痛むんじゃないのか』

∬´_ゝ`)『もう大丈夫よ』

 微笑み、姉者が右足を前へ出す。
 その足首には湿布が貼られている。

 ごゆっくり、と言って姉者は階下へ戻っていった。
 その後はしばらく誰も口をきかず、飲み食いする音だけがそこにあった。

 沈黙に飽きた内藤が、もっちりしたまんじゅうを齧りながらしぃに話しかける。

( ^ω^)『今日は女子の制服なんですね』

(*゚ー゚)『学校からここまで真っ直ぐ来たからね。……今日は夏期講習があったんだ』

(,,゚Д゚)『あたしも一応仕事中だからこんな格好なの。ごめんねー、こんなもの見せて』

( ^ω^)『いや、寧ろ心安らぎましたお』

619 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:35:38 ID:VvLJ6h4.O

 かさこそ。
 まんじゅうを包むポリシートを剥がす音が響く。
 お茶を一気に飲み干した弟者が、首筋を掻きながら訊ねた。

(´<_`;)『……裁判で扱う事件ってもしかして、「あれ」なのか。……なんですか』

(*゚ー゚)『恐らく、君の想像通りだよ。
     だから本当は、呼ぶべきなのは──君の妹さんとか、お姉さんなんだよね』

(´<_`;)『……妹者と姉者?』

 ぴくりと弟者の肩が揺れる。
 見事に弱点を突かれた。特に姉者。

(*゚ー゚)『そう。被告人の非道ぶりを証明するのに丁度いい。
     ……君が来てくれないなら、彼女らを証人として呼ぶしかないかな。
     とはいえ妹さんはまだ小さいから、お姉さんを1人で連れてくべきか』

 そう言って、しぃはわざとらしく襖を一瞥する。
 「その脅し方ツンさんみたいですよ」と言ってやると、あの人と一緒にするなと怒られた。

620 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:37:16 ID:VvLJ6h4.O

 さて、こうなれば、弟者はしぃの言うことを聞かざるを得ない。
 しかし1人で幽霊裁判に参加するなど、怖がりな彼には無理だ。

( ^ω^)(……結局かお)

 半ば諦めたように、内藤が溜め息を吐き出した。

 今回は検察側の証人ということになる。
 いわばツンの敵。

 彼女は──今回も、被告人の記憶を「追体験」したのだろうか。
 下されるべき判決を、既に知っているのだろうか。


 どんな裁判になるのか興味を持ち始めている自分に気付き、内藤は項垂れた。


#####

621 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:39:07 ID:VvLJ6h4.O


 そんな経緯で、また幽霊裁判に来てしまった。

 今回は何より場所が悪い。
 妹者の通う小学校の隣、旧校舎。その中の教室が法廷に使われている。

 ただ今、夜の9時前。
 裁判の間だけ電気が通されているとはいえ、
 「雰囲気」は過剰なくらいにたっぷりあった。

( <_ ;) オウチカエルカエルカエルカエラセテクダサイ

 おかげで弟者はずっとこんな調子だ。

622 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:42:49 ID:VvLJ6h4.O

(-@∀@)「センセイ、ブレイクブレイク」

ξ#゚听)ξ「お前が余計なことするからじゃろがい!!」

 ツンも、開廷する前から怒りっぱなしだし。
 どうも被告人の男──アサピーが原因のようだが、いまいち分からない。

 また内藤が思考を停止させようとしたところへ、オサムが木槌を打ち鳴らした。

【+  】ゞ゚)「弁護人」

ξ#゚ -゚)ξ「……」

【+  】ゞ゚)「開廷してもいいか」

ξ#゚听)ξ「……はい」

(-@∀@)「センセイ頑張ってー」

ξ#゚皿゚)ξ

 ツンがアサピーを睨みつける瞳の鋭さたるや。

 ビームでも出そうなそれが、今度は内藤へと照準を合わせてきた。

623 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:44:50 ID:VvLJ6h4.O

ξ゚听)ξ「……内藤君、今日はそっち側なのね。何かちょっと裏切られた気分だわ」

( ^ω^)「正確には僕じゃなくて弟者が呼ばれたんですけど」

 そろそろまた気絶するのではないか、という勢いで怯えている弟者を指差す。
 途端にツンの表情が哀れみへ変わった。

ξ゚听)ξ「よりによって、その子を選んだのね」

(*゚ー゚)「彼が適任でしたので」

(,,゚Д゚)「妹者ちゃんは小さいし、兄者君はあんまり役に立ちそうにないし、
     ……姉者は弟者君以上に無理があるからねえ」

(-@∀@)「弟者クン弟者クン!」

(´<_`;) ビクッ

(;;゚"∀,,。)「いないいないばぁあああああああああっああああ」

(゚<_゚;)「ぎゃひぃいいいいいいいいあああああ!!!!!」

 一瞬にしてゾンビのように顔が崩れたアサピーに、弟者の口から凄まじい悲鳴が飛び出た。

 内藤の背後で、弟者がゆっくりと倒れる気配。
 ギコが背中を支えたおかげで、何とか弟者の足は地を踏んだまま耐えた。

624 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:47:23 ID:VvLJ6h4.O

(;,゚Д゚)「弟者君しっかり! ほら、姉者と妹者ちゃんのツーショット写真よ! これで意識を保って!
     ご希望とあらば兄者君の写真も!」

(´<_`;)「あ……姉者、妹者……兄者はいらない……」

(*゚ー゚)「何なんだ君は」

( ^ω^)「まずギコさんは何でそんな写真持ってんですかお」

 ギコの持つ写真を眺めた後、弟者は再び内藤の肩に手を置いた。

 内藤は、流石家で一番まともなのは弟者だと思っていたのだが。
 そろそろその認識を改めねばならないだろう。

(-@∀@)「アッハッハッハ。面白いですねえセンセイ」

ξ#゚听)ξ「余計な! まね! すんな阿呆!!」

川*゚ 々゚)「もっかいやってー」

(-@∀@)「イイですよーう」

ξ#゚听)ξ「やるな!!」

 元の顔に戻り、けらけら笑うアサピー。
 随分と癖のある男のようだ。
 アサピーは白衣の裾を翻しながらくるりと回って、また笑った。

625 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:50:43 ID:VvLJ6h4.O

 オサムが木槌を鳴らす。
 面に覆われていない目が、呆れたような視線をツンに送っていた。

【+  】ゞ゚)「開廷の前に、弁護人、何があったのか話せ。
        何でそんなに怒ってるんだ」

ξ゚З゚)ξ 〜♪

【+  】ゞ゚)「それで誤魔化すのは至難の業だぞ」

ξ;゚听)ξ チィッ

(*゚ー゚)「さっき、『呪う』とか何とか言ってませんでした?
     被告人に呪いでもかけられましたか?」

ξ;゚ v゚)ξ「え? え? 何? 何の話? ツンちゃんに分かんない話やめてくれる?
      呪いとか知らないんですけどやだ怖い」

(,,゚Д゚)「図星なのね」

( ^ω^)「図星ですかお」

川 ゚ 々゚)「嘘のにおい」

(-@∀@)「センセイの頭悪いとこカワイイと思いますヨー僕」

ξ; )ξ「何でお前は他人事のスタンスなんだよ……! 何でお前は他人事のスタンスなんだよ……!」

 頭を抱え、ツンは長机に突っ伏した。
 どちらかというとしぃや内藤を振り回すことの多いツン。
 彼女がこうも振り回されているのは、見ていて、なかなか気分がいい。

626 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:53:19 ID:VvLJ6h4.O

【+  】ゞ゚)「どんな呪いだ?」

(-@∀@)「しょうもないもんですよ? 僕とキスしないと3日で死ぬやつ」

【+  】ゞ゚)「……死ぬやつはしょうもなくないぞ」

(-@∀@)「でも、ちゅっと一発やりゃ解除出来るンだから簡単でしょう?」

(*,゚Д゚)「キスしたの?」

川*゚ 々゚)「したの?」

ξ#゚听)ξ「するか! 昼に呪い解かせたわ!!」

(-@∀@)「ザンネンでしたねえー。ザンネン。アハハ」

(´<_`;)「ていうか、何だその呪い……」

 オサムが顎に手をやった。
 アサピーとツンを交互に見る。
 漂う空気や瞳の冷たさからして、被告人に対して好意的ではない。

【+  】ゞ゚)「自分の弁護人をいたずらに呪っておいて、反省の色無しか」

ξ;゚听)ξ「いや裁判長、でもね、実害ないし、彼だって本気じゃなかったですし──」

(*゚ー゚)「……だとしても、相当たちの悪い冗談だと思いますよ?」

 嘆くようなしぃの声色。
 そこに滲むのは嫌悪感、はたまた侮蔑。

627 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/09(土) 19:53:56 ID:VvLJ6h4.O


(*-ー-)「『呪詛罪』で起訴されてるのを知りながら、そういうことするっていうのはね」

(-@∀@)「……アッハ」



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