ξ゚听)ξ幽霊裁判が開廷するようです

case3:復讐罪

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510 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:01:04 ID:qgnrL7UgO

('(゚∀゚∩「僕、ヒートのためなら何でもするよ。
      好きな人にはそういうものじゃないの?」

ノハ;゚听)

(;*゚ー゚)「いや、今は──ヒートさんのためにヒートさんを殺せるかって、そういう話なんですよ?」

('(゚∀゚∩「分かってるよ」

 なおるよが奇妙なものを見る目でしぃに答える。
 しぃもまた、同じような目をしていた。

 ──かちり。
 内藤の頭の奥で、何かが噛み合う音がする。

 「得も言われぬ引っ掛かり」。
 なおるよがヒートを庇うような発言をした際、内藤が感じたそれ。
 今になって、具体性を帯びてきた。

( ^ω^)「なおるよさんって」

 反射的に口を開いていた。
 このタイミングで言わなければいけないような、そんな直感。

511 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:05:08 ID:qgnrL7UgO

( ^ω^)「ずっとヒートさんのことばっかり口にしてますお。
       5日前にヒートさんに殺されたっていうのに、
       自分が死んだのより、彼女のことしか気にしてませんおね」

 なおるよが怒ったとき、内藤は「恐い」と思った。
 彼の怒りぶりもたしかに恐かったが、それ以上に、
 ヒートへの執着が恐ろしかった。

 考えてみれば、彼はどこかズレている。

 生前、自分が守らなかったせいでヒートの名誉が一方的に傷付けられ
 退職にまで追い込まれたことは自覚していながら、
 「ヒートが復讐する筈がない」の一点張り。

 その根拠は全て、彼の主観に依るものだ。
 信頼と言うにはあまりに盲目的すぎる。

('(゚∀゚;∩「だって──ヒートが悪者にされそうになってるんだよ?
      僕のこと考えてる暇ないよ!」

(;*゚ー゚)「は? え? いや、あなた、ただ死んだってだけじゃないですよ? 殺されたんですよ?」

513 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:06:37 ID:qgnrL7UgO

【+  】ゞ゚)「……俺はどうにも、人間の恋慕だとか、
        そういうものの『普通』は分からん」

 続いて言葉を発したのはオサム。
 手持ち無沙汰に木槌を弄びながら、溜め息を吐き出した。

【+  】ゞ゚)「だから弁護人、おかしいところがあるならとことん追及してくれ」

川 ゚ 々゚)「……くるうは、なおるよの言ってること、分かるけどなあ……」

 ツンが、背筋を伸ばす。
 また「波」が来たのか、彼女の手は震えていた。
 それでも瞳は真っ直ぐで。

ξ゚听)ξ「──なおるよさん。
      あなたは頑なにヒートさんの高潔さを信じ、彼女をまるで聖人のように扱っています」

('(゚∀゚;∩「?」

.

514 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:07:49 ID:qgnrL7UgO





#####


('(゚∀゚∩『……また、娘さんの話で喧嘩になったよ』

ノパ听)『なかなかしつこいなあ。院長もなおるよのこと気に入ってるもんな……。
     ……別れてなんかやらないからな!』

('(゚∀゚*∩『僕だってヒートと別れるつもりないよ』

ノハ*゚ー゚)『当たり前だろ』

 笑って、ヒートは僕の手を握った。
 愛おしい。

 やっぱり、僕には彼女しかいない。
 誰にも邪魔などさせるものか。


#####

515 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:09:15 ID:qgnrL7UgO


ξ゚听)ξ「私にはそれが、……あなた自身に言い聞かせているような気がしてなりません」

ξ゚听)ξ「復讐なんてする筈がないって──
      『自分が彼女に恨まれる筈がない』って」

 それだ。
 それがしっくり来る。

 彼は今に至るまで、自分自身を庇いこそしなかったが──
 つまるところ、「ヒートが自分を憎んでいる」とは、「嫌っている」とは言わなかった。

 恐らくは、ツンが触れなければ、誰も「それ」には見向きもしなかっただろう。
 わざわざ気にかけるものではなかった。
 今まで皆の注意は、ヒートにばかり向かっていたのだから。

517 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:10:56 ID:qgnrL7UgO

(;*゚ー゚)

 しぃが戸惑いを浮かべ、ギコの服の袖を掴んでいる。

 徐々に広がっていく違和感。
 急に、「よく分からないもの」が目の前に放り込まれたような。

 辺りには、不気味な空気が漂い始めていた。

ξ゚听)ξ「死んだ恋人が化けて出てきて、ずっと付きまとってきて、
      最終的には体を乗っ取られて殺されたのに。
      それでもあなたは、彼女に憎まれていなかったと思いますか」

('(゚∀゚;∩「へ……」

ξ゚听)ξ「会話も触れることも出来なかったのに、
      彼女があなたとの生活を楽しんでいたとどうして言い切れるんです。
      彼女は笑いましたか? あなたに対してポジティブな表情を見せましたか?」

.

518 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:12:19 ID:qgnrL7UgO





#####


ノハ;゚听)『あ……なおるよ、大丈夫だった?
     ──ほっぺた腫れてるぞ!? 殴られたのか!?』

('(゚∀゚メ∩『今日は特に父さんの機嫌が悪かったみたいだよ。
      大丈夫、そんなに痛くないから』

ノハ;゚听)『……ごめん。私がなおるよの車に乗ったから……』

('(゚∀゚メ∩『ヒートは悪くないよ』

519 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:13:08 ID:qgnrL7UgO

 僕とヒートが一緒にいるところを見ると、両親は怒る。
 早く別れろ、誰と結婚するべきかぐらい分かるだろう──
 そう言って僕を責める。

 誰と結婚するべきかなんて、そんなの、好きな人とするべきに決まっているじゃないか。
 僕はヒートがいい。
 ヒートと一緒になりたい。


#####

521 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:13:54 ID:qgnrL7UgO


ξ;゚-)ξ「……っく、」

 ツンがよろける。
 斜め後ろに立っていた内藤が慌てて手を伸ばしたが、
 ツンは何とか踏みとどまった。

 なおるよは、しぃ以上に戸惑っている。
 困惑を笑みに貼りつけ、ツンに反論した。

('(゚∀゚;∩「な、何で? どうして? だってヒート、昔、僕に言ったんだよ。生きてたとき。
      『ずっと傍にいたい』って。
      だから僕のところに来てくれたんだよ? そうだよね、ヒート!!」

ノハ; )


.

522 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:16:31 ID:qgnrL7UgO





#####


('(゚∀゚∩『……ごめんね、ヒート』

ノパ听)『いいよ。しょうがなかったんだろ。
     下手に私を庇えば、ますます拗れてただろうし』

ノパー゚)『ま、人の噂も七十五日って言うしな!
     どうせしばらくしたら、みんな忘れるよ』


 彼女は気丈に笑った。
 僕は、そういうところが何より好きなのだ。


ノパ听)『……なあ、なおるよ。私、別の場所で──』

('(゚∀゚∩『ヒート』

523 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:17:03 ID:qgnrL7UgO


 どんなに言おうと、両親はきっとヒートのことを認めてくれないだろう。
 このままだと、さらに酷い方法でヒートを傷付けかねない。
 でも僕は彼女が傍にいてくれないと嫌だ。彼女だってそう思っている。きっと。

 だったら。

.

524 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:18:30 ID:qgnrL7UgO










('(゚∀゚∩『今度、食事に行こうよ。誰にも見られないように、違う町で』





 だったら、彼女が僕にしか見えないものになればいいんだ。





#####

525 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:19:05 ID:qgnrL7UgO





('(゚∀゚;∩「──僕の言うこと聞いてくれたんだ!!
      幽霊になって僕の前に出てきてって、
      僕が何回も言い聞かせたから!! 素直に言う通りにしてくれたんだ!!」




.

526 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:20:45 ID:qgnrL7UgO

 しぃやギコが、息を呑んだ。
 ツンが内藤に手を伸ばす。
 距離を詰めると、ツンは内藤の肩に寄り掛かった。

(;,゚Д゚)「言い聞かせたって……」

【+  】ゞ゚)

川;゚ 々゚)「? なに? 何なの? 今、どうなってるの? オサムぅ……」

 こん。
 オサムが手を揺らし、木槌は無意味に空間を叩く。
 その音は小さく、それでいて、いやに重かった。

 しぃが乾いた唇を舐める。
 呼吸を2回。
 ペットボトルを持ち上げ、一秒間ほどの逡巡。結局、ペットボトルはそのまま下ろされた。

(;*゚−゚)「──あなたが被告人を殺したんですか」

 その答えは、いやにゆっくりと返ってきた。

 なおるよが一瞬表情を消し、辺りを見渡す。
 数秒。
 視点を検察席へと固定し、頷いた。


('(゚∀゚∩「僕はヒートと一緒にいたかっただけだよ」

527 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:22:35 ID:qgnrL7UgO

 ヒートが俯く。
 同時に、ツンが呻いた。

(;^ω^)

 内藤は何も言えない。動けもしない。
 中学2年生がどうこう出来る状態ではなかった。


('(゚∀゚∩「だったら、ヒートが幽霊になればいいって、……分かるでしょ。みんなだって納得するでしょ。
      他の人は気付かない。僕だけがヒートを見ることが出来るんだから」

(;*゚−゚)「だからって──殺人ですよ!? 立派な犯罪行為だ!!」

('(゚∀゚#∩「……それがおかしいんじゃないか!!」

 空気が揺れた。
 語気を荒げ、なおるよはしぃを睨みつける。

('(゚∀゚#∩「どんな理由にしろ、人を殺せば捕まるなんて常識だ、分かってたよ!!
      だから、こそこそやるしかなかった!! 本当は──堂々とやりたかったんだ!!
      誤魔化すためとはいえ、ヒートの自殺に見せかけるのだって嫌だった!!」

529 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:24:27 ID:qgnrL7UgO

('(゚∀゚#∩「あれは僕とヒートのための儀式だ!!
      犯罪で括れるもんじゃない、何より尊重すべき行いだった!!」


 とんでもない理屈に、頭の中が痺れそうだった。
 なおるよの声の余韻がいつまでも消えないような、そんな錯覚。
 聞いていると足元が不安定になる。理解出来ない。

 なおるよが項垂れ、長々と息を吐いた。
 そうして顔を上げた彼の表情は、元の通りに。

530 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:26:54 ID:qgnrL7UgO

('(゚∀゚∩「……いっぱい苦しんだ方が幽霊になりやすいって、知ってた。
      病院で見る霊のほとんどが、苦しい思いをして死んだ患者さんだったから」

('(゚∀゚∩「可哀想だけど、でも、ヒートを幽霊にするために僕がんばったよ。
      そしたら──」

('(゚∀゚*∩「そしたら本当にヒートが僕の前に現れてくれた!
      僕は正しかったんだよ!」


 内藤にも明確に分かること。
 彼は「まとも」ではない。

 しぃは絶句し、ギコとオサムは真剣な表情でなおるよを見据え、くるうは怯えている。
 くるうの怯えは、なおるよではなく、場の雰囲気に向けられているようだった。

ξ; )ξ「……くそったれ……」

 ツンの囁きは、ひどくか細い。
 内藤の耳元に落ちて、そっと消えていく。

('(゚∀゚*∩「ヒート、もう回りくどいのはやめようよ!
      僕と話せなかったのが嫌だったんでしょ? 僕に触れなかったのが悲しかったんでしょ?
      だから僕のことを殺したんだ!」

532 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:28:16 ID:qgnrL7UgO

('(゚∀゚*∩「みんなに説明してあげてよ!
      君に罪なんかないんだ、僕と同じで、正当な儀式だったんだから!!
      ごめんねヒート、初めから心中してれば、こんな面倒なことにならなかったのに」

 どこまでも晴れやかな顔。
 罪悪感など欠片もない。
 それはそうだ、彼にとっては、全てにおいて正しかったのだから。

 ヒートは首を擡げ、なおるよを見た。
 この数分で、すっかり窶れたような顔付き。

 そして──彼女の顔が、くしゃりと歪んだ。

.

533 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:30:06 ID:qgnrL7UgO



ノハ;;)「お願いだから……もう放っといてくれよ……」


('(゚∀゚;∩「……え?」


 さぞかし予想とかけ離れた返答だったのだろう。
 なおるよは、ぽかんと口を開け、ヒートを凝視した。

534 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:33:23 ID:qgnrL7UgO

 ヒートの顔が一層歪む。憎悪が塗り込められた表情は、内藤に更なる寒気を与えるほどの。

ノハ#;;)「病院を辞めさせられたときには、もう、お前と別れるつもりだったよ。
     遠い場所で、何もかも新しくやり直すつもりだったんだ。
     なのに……」

ノハ#;;)「……何で私があんな思いしなきゃいけなかったんだよ! 痛かった! 苦しかった!!
     早く一思いに殺してって、何回も、何回も、何回も何回も言った!!」

ノハ#;;)「やっと死ねたと思ったら、勝手にお前のところに引っ張られて、
     離れたいのに全然離れられなくて、憎くて憎くて殺したくて
     お前のこと殺しても成仏出来なくて──」



 ずるり、ヒートの顔の右半分が落ちた。
 いや、落ちた「ように」見えただけだ。
 実際には、皮膚が捲れて垂れ下がっていた。

.

537 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:35:00 ID:qgnrL7UgO


ノハ#::";)「──まだ痛いよ、まだ苦しいよ、苦しい……」


 ばらばらと爪が地面に散らばり、身体中から吹き出た血液が床を汚す。
 見ていられないとばかりに、しぃは目を背けた。
 ツンが内藤の目元に手を当ててきたが、指の隙間から見えてしまう。

 ヒートは尚も何かを訴えている。
 しかし彼女の言葉は、喉の奥でごぽごぽ泡立つ音に邪魔され、少しも聞き取れない。

('(゚∀゚;∩「ひ、ヒート……?
      嘘だよ、ヒート、何で? 嬉しくなかったの?
      一緒にいられるなら──あんなの、どうってことないでしょ?」

 ついにヒートが膝から崩れ落ちる。
 血まみれの顔を血まみれの手で多い、血を吐きながら彼女は泣き叫んだ。

 その泣き声はあまりに悲痛で。
 内藤の耳と胸が、びりびりと震えた。

538 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:37:25 ID:qgnrL7UgO

('(゚∀゚;∩「どうして泣くの?
      ねえ、ヒート……、……ヒート!」

 ふらふら、なおるよが机をすり抜け、ヒートのもとへ向かう。
 ツンが内藤から離れて手を伸ばしたが、一歩遅く、なおるよには届かなかった。

 ヒートは、引き攣った悲鳴をあげて身をよじった。

('(゚∀゚;∩「そりゃ……たしかに苦しかっただろうけど……でも、分かってくれた筈だよ!
      僕は君の顔や体じゃなくて、君の心が何より好きなんだって、
      君の魂そのものが愛しいんだって証明したん、」

 声が途切れる。

 なおるよの後ろに立ったギコが、服の襟を掴んでいた。
 彼を見るギコの瞳は、いつもより鋭い。

(,,゚Д゚)「……あんたの証言はもうお腹いっぱいだわ。
     いい加減、口閉じなさいよ」

('(゚∀゚#∩「離してくれよ! いま僕はヒートと──」


 音が響いた。

 木槌の音。今までで一番大きくて、身の内に威圧感が広がるような。

542 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:39:55 ID:qgnrL7UgO

【+  】ゞ゚)「被告人」

ノハ#::";)「う……あ……」

 オサムが再び木槌を振り下ろす。
 すると、ヒートの姿が綺麗な状態へと戻った。
 床に広がっていた血も消える。

【+  】ゞ゚)「今まで事実を黙っていた理由は何だ?」

 ヒートはがたがたと震え、自身を抱き締めるような体勢をとった。
 血の代わりに、涙が床へと落ちていく。

ノハ;;)「……話せば、新しい捜査や事情聴取で裁判が長引くと思った。
    それに……生前の事件じゃあ、なおるよが罰せられることもないだろうって思って……」

【+  】ゞ゚)「被告人は、おばけ法のことはよく知らないんだったか」

ノハ;;)" コクリ

543 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:41:34 ID:qgnrL7UgO

【+  】ゞ゚)「……ならば安心するといい」

 弱々しく頷くヒートに、
 オサムは毅然とした態度で返した。

 木槌を握り直し、彼が口にするのは、ヒートへの──救済にも似た答え。


【+  】ゞ゚)「生前裁かれなかった大罪は、
        幽霊裁判において断罪される」


【+  】ゞ゚)「それも今回は本人自ら罪を認め、全てを証言済みだ。
        延期するまでもない。この場で裁いてやろう」

(*゚ー゚)「……ギコ」

 青ざめてはいるが、いつもの調子を取り戻した(らしき)しぃが
 ギコに向かって木製の小箱を投げた。
 片手で受け止め、ギコは中から細長い紙──恐らくお札──を抜き出した。

 そこでまたもや木槌が鳴る。

544 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:45:13 ID:qgnrL7UgO

【+  】ゞ゚)「設楽なおるよ。
        お前の犯行は実に身勝手で独り善がりに終始し、その内容も悪質だ。
        砂尾ヒートの魂を自分のもとに引き寄せるほどの執着心も、害悪そのもの」

【+  】ゞ゚)「色々言ってはいたが、結局、自分の罪を隠していたのは保身でしかなく
        今に至っても反省の色一つない」


 声には何の感情も見られない。
 しかし、なおるよを睨む瞳の、何と恐ろしいことか。


【+  】ゞ゚)「これより一年間。
        霊界にあるSSビルの展望台から、飛び降り自殺を繰り返せ。
        飛び降りるごとに苦痛を感じるから嫌気が差すだろうが、なに、一年経てば浄霊してやる」

.

546 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:48:28 ID:qgnrL7UgO

('(゚∀゚;∩「……は?」

(*゚ー゚)「詳しくは後で説明します」

('(゚∀゚;∩「な……何だよそれ!? 僕は悪いことをしたわけじゃない!!」

【+  】ゞ゚)「刑事。耳障りだ」

(,,゚Д゚)「かしこまりましたあ」

 一瞬、なおるよが身を竦ませた。
 かと思えば瞼を下ろし、前方へ倒れていく。

 ヒートにぶつかる、と思った瞬間、なおるよは消えた。

(,,゚Д゚)「……とんだ困ったちゃんねえ」

 ギコが左手に持った札を揺らす。
 なおるよはそこに入った──のだろうか。

 ヒートはぽかんとしながら一連の出来事を眺めていた。

547 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:50:25 ID:qgnrL7UgO

 ふらふらなところ申し訳ないとは思いつつ、内藤は机に寄りかかっているツンに訊ねた。

( ^ω^)「今の何ですかお。霊界とか」

ξ゚听)ξ「……霊界は、馴染みのある言葉で言うと『あの世』ってことね。
      正確には、あの世の一部」

 意外にも、ツンの声はしっかりしていた。
 内藤だけでなく、ヒートにも聞かせようとしているのかもしれない。

 そこまで言って咳き込んだツンに代わり、しぃが続きを引き継ぐ。

(*゚ー゚)「建物も自然物も、そっくりそのまま、この世と同じように存在しているけど……
     生き物は全くいない。いるのはおばけだけ。
      まあ簡単に説明するなら処刑場ってことだよ。
      有罪かつ悪質と見なされたおばけは、そこで刑が執行される」

(*゚−゚)「これから彼が受ける刑は、さっき裁判長が言った通り。
     結構厳しい方だね」

( ^ω^)「おー……説明ありがとうございますお」

548 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:51:33 ID:qgnrL7UgO

(,,゚Д゚)「しぃ、お札持っといて」

(*゚ー゚)「はいはい。……とんでもない奴だったな」

 呟きつつ、しぃは鞄から取り出した台紙に札を貼りつけた。
 妙な緊張感に包まれていた空気が、僅かに弛緩する。
 ずっと硬直して人形のようになっていたくるうが、やっと動いた。

川;´々`) フー

(,,゚Д゚)「くるうちゃん大丈夫ー?」

川;゚ 々゚)「うん……こわかった」

ξ゚听)ξ「私の心配は? ねえ具合悪くしてる私の心配は?」

(,,゚Д゚)「もう飽きたわ」

ξ;゚听)ξ「飽きたとかねえだろこういうの!!」

( ^ω^)「元気じゃないですかお」

 僅かに、というのは違った。
 完全に弛緩した。

550 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:54:15 ID:qgnrL7UgO

 オサムはくるうの頭を撫でると、定位置から離れた。
 ヒートの前へ行き、屈み込む。

【+  】ゞ゚)「被告人。……砂尾ヒート」

ノハ;;)「は、はい」

【+  】ゞ゚)「誰が相手だろうと、お前が復讐のために殺人を行ったのは事実だし、それは罪だ。
        しかし原因となった件……そのときにお前が得た苦痛と絶望は、察するに余りある」

【+  】ゞ゚)「有罪であることに変わりはないが、刑は非常に軽いものに出来るぞ。
        ……どうしたい?」

551 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:56:08 ID:qgnrL7UgO

ノハ;;)


 ヒートの答えは、ただ一言。


ノハ;;)「……全部忘れて、消えたい……」


【+  】ゞ゚)「……分かった」


 オサムが目を閉じる。
 彼の手がヒートの頭上に翳されると、足元からほんのりと光が溢れた。

 光はヒートの体を包んでいく。
 美しいとさえ思える光景だった。

 徐々に消えていきながら、ヒートがツンを見た。それから内藤を。

 小さく口を開く。

552 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/06(水) 20:56:37 ID:qgnrL7UgO



ノハ;;)「ぁ、り、がと」





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