('A`)どうやら時は金なりのようです(゚∀゚ )
その1.目覚まし時計



1 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:06:20 ID:P1O5gTg20


('A`)「たまに思うんだけど」
  _
( ゚∀゚)「ん?」

('A`)「俺ら高2じゃん」
  _
( ゚∀゚)「うん」

('A`)「えーと、モララーって生徒会長なったじゃん、この前」
  _
( ゚∀゚)「うん」

('A`)「で、今ホッケー部のキャプテンもやってなかったっけ」
  _
( ゚∀゚)「やってるな、うん」

('A`)「で……その、クラスでも割と人気者的なあれじゃん」
  _
( ゚∀゚)「うん。で?」

('A`)「楽しい時間は早く過ぎるって言うじゃん?」
  _
( ゚∀゚)「ん?」

('A`)「いやなんというか……集中してる時というか、充実してると、時間が過ぎるのも早く感じるじゃん」
  _
( ゚∀゚)「まあ……そうだな」

('A`)「ってことは、俺ら今高二じゃん? 俺も、モララーも」
  _
( ゚∀゚)「うん」

2 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:07:00 ID:P1O5gTg20

('A`)「同じ高二だけど、体感時間で言うとモララーはもう高校卒業して大学行くくらいのところまで行ってるんじゃないかなー、と……」
  _
( ゚∀゚)「あー……確かに、言っちゃ悪いがお前とモララー比べたらまあ……お前の生活そんなに充実してそうじゃないし……」

('A`)「^^;」
  _
( ゚∀゚)「言いたいことはわかるよ、まあ」

('A`)「なんていうの? その……俺がここまでに体感してきた時間を、モララーのほうに当てはめると、そのくらいになるんじゃねーかなって」

('A`)「そんで、モララーの今までの体感時間を俺のほうに当てはめると、まだ中学生くらいだったりして……」

('A`)「……ん? いや、なんか……あれ、わけわかんなくなった」
  _
( ゚∀゚)「あれだ、軸がごちゃごちゃしてるからだろ」

('A`)「うーん……」
  _
( ゚∀゚)「えーと。現実の時間、1日は24時間だろ? この時間を絶対的な時間として、お前らが体感する時間を相対的なものとしよう。で、この2つの単位は同じとする」

3 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:07:51 ID:P1O5gTg20


( ・∀・) ――――――   【モララー相対時間/h】
  _
( ゚∀゚)   ――――――――――――――― 【絶対時間/h】

('A`)     ――――――――――――――――――――――― 【クズ相対時間/h】


  _
( ゚∀゚)「図解するとこんなにもステキ」

('A`)「いや違うぞ、違うからな、流石にここまでの差はないはずだ」
  _
( ゚∀゚)「でもあれだな、結局絶対時間は同じなんだから、この図だとクズのほうが圧縮されて濃い人間になるはずじゃね?」

('A`)「あ、たしかに……」
  _
( ゚∀゚)「つまり、虚無をいくら濃縮したって結局そこには何もないと」

('A`)「いい加減俺へのdisをやめろ」
  _
( ゚∀゚)「はいはい。あと、ついでに……」

4 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:08:31 ID:P1O5gTg20
ジョルジュはおもむろに立ち上がると、黒いカーテンをがらりと開けた。

  _
( ゚∀゚)「いい加減現実逃避はやめろ」

('A`)「ああ……そうだったな……」


外は一面紫色だった。






その1.目覚まし時計

5 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:09:12 ID:P1O5gTg20

('A`)「なんでこんな話始めたんだっけ」
  _
( ゚∀゚)「時計見たからじゃねえの?」


ここは東棟の3階なので、窓の外には向かいの西棟と青い空が広がっているはずなのだが、ガチで一面紫だった。
マジでなにもない。下を見ても地面がない。つーか下の階すら見えない。塗りつぶしたようにパーフェクト紫。若干のグラーデションはあるが。
で、その空間には無数の時計が浮いていた。安っぽい腕時計からごっつい古時計まで、いくつもいくつも時計が浮いてる。


('A`)「なんか見覚えあると思った、あれだ、タイムマシン」
  _
( ゚∀゚)「あー……ドラえもんの?」

('A`)「そうそう、それそれ」


のび太の机の引き出しの中、あいつらがタイムマシンに乗ってる時、そのときの背景がちょうどこんな感じだったはず。色は違うが。
どうやらこの理科室はタイムマシンと化したようだ。


('A`)「なんでこんなとこ来たんだっけ」
  _
( ゚∀゚)「知らねーよ気付いたらこうなってた」

6 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:09:55 ID:P1O5gTg20

整理。
わたくしドクオとこいつジョルジュは、私立VIP高校の2年。俺F組でこいつD組。
俺たち2人は生物部というクソみたいな部活に入っている。

「ヒマそう」という理由で入部したら1年が俺たち2人しかいなかったのが去年。
そして3年は引退したのに新入部員がいないのが今年。
幽霊部員がいくらかいるため、ギリギリ廃部を免れている。


というわけで、実質この部活は俺たち2人のものなのだ。
放課後はこの理科室(正式名称:生物実験室)でテキトーに好き放題やっている。たまに活動もするが、基本はテキトーだ。

ちなみに俺は入学当時、部活に入ることで友達を作ろうと計画していたのだが、いたのがこいつだけだったので友達もこいつだけである。
生来のコミュ障なもので、高校で友達を作るなぞ絶対に無理だろうと思った。しかし部活で多くの時間を共に過ごせば嫌でも仲良くなるだろうと、そう思ったらこれである。
つーわけでリア充とは程遠い俺。だからこそ今日は体感時間がどうのこうのと言った話をしていたのだが……

  _
( ゚∀゚)「窓開けてみろよ」

('A`)「怖い」
  _
( ゚∀゚)「だよなー……しょうがねえ。お前がやるしかない、開けろ」

('A`)「怖いって言っただろ……」


どこかのクラスが実験で使ったのか、放課後俺たちがここに来た時、部屋の暗幕が閉まり切っていた。
特に気にもせず雑談をして、ふと暗幕を開けてみるとこうだ。

7 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:10:51 ID:P1O5gTg20
見なかったとしてカーテンを閉めそのまま雑談に興じてみたが、これ以上目を背けると死ぬ。
冗談じゃなく死ぬ気がするほどヤバイ異常事態である。


('A`)「なんでお前そんな落ち着いてんの?」
  _
( ゚∀゚)「え、それお前に言われんの……?」


('A`)
  _
( ゚∀゚)


('A`)「いや、お前がやたら落ち着いてるから、なんか焦るのもダサいっていうか、もしかしてなんか知ってんのかなーって」
  _
( ゚∀゚)「ねーよバカじゃねーのお前。つーか俺のほうこそお前が落ち着いてるから……」


('A`)
  _
( ゚∀゚)

8 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:11:39 ID:P1O5gTg20

('A`)「マジ怖え」
  _
( ゚∀゚)「俺も」



(((( A ;))))
    _
(((( ; ∀ ))))



2人でひたすら怯えた。


でも怯えててもしょうがないので、またテキトーな雑談に戻る。

  _
( ゚∀゚)「……ありがちだよなァ、こーいうの」

('A`)「ん?」
  _
( ゚∀゚)「いや、外に時計あるだろ。アホほど」

('A`)「あー、うん」


大小さまざまな時計が浮いてる。
そーいや今何時だっけとそれらの時計を見つめ……

9 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:12:23 ID:P1O5gTg20

('A`)「時間バラバラじゃん。どれだよ合ってるの」
  _
( ゚∀゚)「それ」

('A`)「は?」
  _
( ゚∀゚)「いや、だから全部時間バラバラって話」

('A`)「……ああ、そーいう……」


たしかにありがちっちゃありがちな気がする。
意味のわからない空間に、無数の時計が浮いていて、それらはすべて時間がバラバラ。
ドラえもんだけじゃなくローゼンとか……あとまあ他にもなんかあるだろ。


('A`)「しかしすげーな、あれ逆回転してるぞ」
  _
( ゚∀゚)「あと時計回りに半回転した後で逆時計回りに変わるやつがある」

('A`)「どれ?」
  _
( ゚∀゚)「あれ」

('A`)「ほー……」


ジョルジュはいろんな時計を見ている。よくもまあいろいろ見つけるもんだ。

11 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:13:58 ID:P1O5gTg20
  _
( ゚∀゚)「あ、んであれは止まってる」

('A`)「ほう」


テキトーに返事をする。おーマジだ、マジで方向変わった。
そのあとでその時計を見る。小さな木製の目覚まし時計。俺が昔使ってたやつもあんな感じだった。


('A`)「……ん?」


あんな感じというか、あれだ。あれたしか俺の使ってたやつだ。
普通に同じ機種ってだけなのか。つーかこの時計群そういうあれなの? 機種とかあるやつなの?

  _
( ゚∀゚)「どした?」

('A`)「いや、あの止まってるやつ、俺昔持ってた」
  _
( ゚∀゚)「マジで?」

('A`)「うん」

12 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:14:46 ID:P1O5gTg20

遠くのほうで浮いている、木製時計を指差した。
時計がこっちに飛んできた。









(゚A゚)「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
  _
(;゚∀゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


窓ガラスをぶち抜いて部屋の中に入ってきた。


(゚A゚)「ガラス――――!! ガラス――――――!!!!」
  _
(;゚∀゚)「押さえろ! カーテン!! カーテン抑えろォ―――!!!」


室内の酸素が流れ出すのではと思い、ジョルジュの指示でカーテンを閉めた。必死だった。
が、実際のところまるでそんな気配はなかったので、とりあえず1回真困窮した。変換ミスる程度にはテンパった。深呼吸した。

13 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:15:28 ID:P1O5gTg20
  _
(;゚∀゚)「はァー、ハァー、ハー……」

(;゚A゚)「死ぬかと……マジ死ぬかと……」


窓ガラスには大穴が空いた。
もはや窓の体をなしていないが、外に顔を出す勇気はまだない。

  _
( ゚∀゚)「……これか? お前が持ってたやつ」

(;'A`)「ああ、まあ……」


部屋に転がり込んできた時計。
ジョルジュは手を伸ばしたり引っ込めたりしていたが、覚悟を決めてそれを拾った。

  _
( ゚∀゚)「目覚まし時計か」

('A`)「うん、そうだ」


何の意味もない会話だった。
ジョルジュが時計を机に置いた。

14 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:16:13 ID:P1O5gTg20
('A`)「うん、そうだ……これ俺の時計と同じ……」


表面の保護ガラスは割れていて、長針短針がむき出しに。
何の気なしに持ちあげてみる。爆発した

(゚A゚)「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
  _
(;゚∀゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


反射で時計をぶん投げた。ジョルジュに当たった。奴も死にそうな顔をしていた。
持ちあげた瞬間爆発は言い過ぎだがいきなり時計が破裂した。死ぬかと思った。ガチで。
床に転がった目覚まし時計。木もネジも板もぶっ飛んで、バラバラの残骸に成り果ててしまった。


(;'A`)「び、びっくりした……」


持ってた右手をぶるぶる振る。特にダメージはないのが幸い。
顔を上げるとジョルジュが死人の顔をしていた。

15 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:16:54 ID:P1O5gTg20
  _
(; ∀ )「おい……」


ジョルジュは顔を上げていたが目線は完全に下向きだった。
その下に向いた両方の目が、ふるふる視線を定めずに震える。
ジョルジュは床を指差していた。俺も再び下を見る。


('A`)「……?」


よくわからない板があった。2枚。真っ黒で先端が少し膨らんでいる、まるで時計の針のようだ。
しかし針にしてはサイズが大きすぎる。しかもムクムク膨らんでいって


(;'A`)「なんだこれ」


声が震えた。

  _
(;゚∀゚)「知らねえよ……」


ジョルジュも震えた。


うん、たぶんこれ針だと思う。時計の長針と短針だと思う。
ワカメみたいに膨張していた、というよりは伸びていた。

16 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:17:51 ID:P1O5gTg20
  _
( ゚∀゚)


ジョルジュはじっとこちらを見ていた。
目が拾えと言っていた。


('A`)


だから俺も目で答えた。
嫌だと。


  _
( ゚∀゚)


('A`)


しばらく2人で立ち尽くした。

17 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:18:35 ID:P1O5gTg20
  −=≡    _ _
 −=≡   ( ゚∀゚)
−=≡   ⊂   o
 −=≡   ( ⌒) 
  −=≡  c し'


突如ジョルジュがその場を飛びのく。
見ると長針(たぶん)が奴の足元まで伸びてきていた。


  
      (ノ'A`)ノ    
      (  )  
   , , , , / > 


なんとなく俺もその場を移動。


  _
( ゚∀゚)「……」

('A`)「……」


2人で机の上に乗り、膨らむ針をじっと見つめる。

  _
( ゚∀゚)「……止まったか?」

('A`)「……止まったな」


短針は太く平たくなり、長身は長く棒のようになった。どうやらこれでストップらしい。
笑う膝で机から降りる。

18 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:19:40 ID:P1O5gTg20
  _
( ゚∀゚)「……」

('A`)「……」


目が拾えと言っていた。
俺は一度深呼吸して、恐る恐る、そーっと、恐る恐る。つま先で短針を蹴った。


何も起きない。

  _
( ゚∀゚)「……」


目が拾えと言っていた。


('A`)「一緒に拾おう。お前それ、俺これ」
  _
( ゚∀゚)「……わかった」


らちが明かないので、死ぬ時は一緒だぜ作戦を提案した。
ジョルジュは頭を掻きむしり、それで覚悟を決めたらしい。


('A`)「行くぞ……」
  _
( ゚∀゚)「おう……」

19 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:20:22 ID:P1O5gTg20


2人で一緒にかがみ込む。
また5回ほど深呼吸をして、俺は腹を括って叫んだ。


('A`)「せー、のぉ!!」
  _
( ゚∀゚)「はいッ!」


ジョルジュがその場で手を打つと同時に俺は短針を掴み立ち上がる。
大学ノートより若干細くそれでいて若干厚


(#゚A゚)「てめーーーーー自分やってねーじゃねーかええええェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!」
  _
( ゚∀゚)「いや、すまん」


ジョルジュはそのまま腰を下ろすと、仁王立ちする俺を眺めてけらけら軽く笑ってみせた。

  _
( ゚∀゚)「けどまあ、なんてことなかったな」

('A`)「あー……」


握った短針を改めて見る。
ノートより若干細いというか狭く、厚みはノートよりもある。先端は割と尖っていて、質感は別に普通としか。
対してジョルジュの足元に転がる長針のほうはかなり長い。なんだろう、2メートル、いや3メートル……どのくらい?

20 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:21:04 ID:P1O5gTg20
  _
( ゚∀゚)「何なんだろうなこれ、っつーかマジでなんだこの状況」


ジョルジュはさらりと腰を上げ、落ちた長針を拾い上げる。

  _
(; д )「ぉンべぁッ!!!」


そして後ろにぶっ飛んだ。


(;'A`)「え!? おい! お―――い!! おい! 大丈夫か!? 大丈夫か!!?」


弾かれるようにぶっ飛んで、持ちあげた長針を取り落す。
すぐに駆け寄ろうとした瞬間、長針がひとりでに浮き上がった。
そしてこちらに飛んでく


(゚A゚)「!!?!?!?!!?」


まっすぐこっちに飛んできた。

21 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:21:44 ID:P1O5gTg20
避けるとか逃げるとかそんなことを考える暇もなかったので、とりあえず頭だけはガードするのが精いっぱい――


ガチンと大きな音がした。


(; A )「…………」

( A )「……」

(;'A`)「……?」


それ以外特に何も起きなかった。右手の重みが増したくらい。短針と長針が合体していた。
合体していた。


('A`)

(;'A`)「!?」


先端の尖った元短針に、長い棒のような元長針が、柄のような形でくっついていた。
驚いてあちこち見回してみるが、継ぎ目っぽいのは見つからない。

  _
(; ∀ )「ィっつ……なんだそれ?」

(;'A`)「あ、大丈夫なのか……!?」
  _
(;゚∀゚)「なんとかなァ。見た目ほど痛くはなかった……で、なんだよそれ」

22 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:22:31 ID:P1O5gTg20

ジョルジュがゆっくり起き上がり、服の埃を自分で払った。たしかにヤバそうな感じではない。
言われた俺は改めて、手の中の針を見直してみる。まっすぐ持つとかなり長い。俺の身長の倍くらいはありそう。


('A`)「……槍?」


なんとなくそう思った。
長針を柄だと考えて、この短針が刃になるとすれば、そういう風に見えなくもない。かなりチープなデザインだが。

  _
( ゚∀゚)「いやまあ、それっぽいっちゃっぽいけどよ……なんだよ、槍って」


ジョルジュは槍(仮)をじろじろ見る。どこか腰が引けているのは、さっきのアレのせいだろう。
というか俺は普通に持ててるが、これ本当に大丈夫なのか。


('A`)「……」
  _
( ゚∀゚)「……」


謎の時計槍(仮)を握り、ただひたすらに立ち尽くす。この空気どうすればいいの。
ジョルジュもひたすら黙っているし、俺も何を言えばいいかわからん。


('A`)「……」


何だかひどく気まずいので、窓の外へと視線を外す。相変わらず紫色の空間。

23 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:23:18 ID:P1O5gTg20
  _
( ゚∀゚)「とりあえず……いい加減、出る方法、考えようぜ」


ジョルジュが先に重い口を開けた。
一度やれやれと息をつき、スタスタ早足で歩き出す。向かう先はこの部屋の入口。

  _
( ゚∀゚)「とりあえずここから出てーよ。外はあれだがまあ校舎ん中は……」

('A`)「まあ、そうか……」


この理科室に入ってきた時、入口にも暗幕がかかっていた。俺もジョルジュも気にすることなく、まあ別にいいかと暖簾をくぐる要領で入ってきた。
だから今、この教室の外がどうなっているのか、俺たちには見えない。

  _
( ゚∀゚)「……それ一応持ってくか?」

('A`)「え? ……あ、これか」


ジョルジュは途中で足を止め、俺に向き直り聞いてくる。
何のことかと思ったら、どうやらこの時計槍(仮)らしい。


('A`)「……まあ、持ってくだけは持って……」

24 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:24:12 ID:P1O5gTg20





(;゚A゚)「!?!!!!????」
  _
(;゚∀゚)「!!?!??!?!?」


言いかけたところでドアが弾け飛んだ。蹴破られた。
俺もジョルジュも硬直する。

ぶっ飛んだドアの向こう側には、窓の外と同じ、紫一色の世界があった。廊下はどこに行ったんだ。
というかそれより、その前に……

25 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:24:56 ID:P1O5gTg20


(;゚A゚)「なん……なんだ……? なんだ……!?」
  _
(;゚∀゚)「……」


ドアをぶち抜いたのは誰なんだ。何なんだ?
2人して教室の後ろへ移動。槍を握る手に汗がにじんだ。


(;゚A゚)
  _
(;゚∀゚)


ジョルジュの荒い息遣いが聞こえる。
俺は息が止まっていた。


やがて扉の向こうから、紫色の物体が、ぬっと姿を現した――

26 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:25:37 ID:P1O5gTg20













  _
(;゚∀゚)


今まで見たことがないような、驚きと恐怖に満ちた目で、ジョルジュは語り掛けてきた。
ナスだと。


だから俺も、目で答えた。


(;゚A゚)


ナスだと。

27 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:26:19 ID:P1O5gTg20
足が4本生えていた。







理科室の中に入ってくると、ナスは一度その場で止まった。
どこに目があるか知らないが、体をぐるりとこちらに向けて、その場でぴたりと静止する。

  _
(;゚∀゚)


(;゚A゚)


誰も一言も発せなかった。
ナスと目を合わせたまま、俺とジョルジュはゆっくりと、少しずつ後ろに下がる。
いつの間にか、部屋の隅に追い詰められていた。



ナスが突進してきた。

28 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:27:02 ID:P1O5gTg20


(;゚A゚)「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
  _
(;゚∀゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」



固定されてるはずの理科室の机を、ものともせずに破壊しながら。
まっすぐこちらに突っ込んでくる。


(;゚A゚)「うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
  _
(;゚∀゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


無我夢中で逃げようとしながら、めくらめっぽう槍(仮)を振る。

ナスは予想以上に早かった。

29 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:27:44 ID:P1O5gTg20




30 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:28:35 ID:P1O5gTg20


  _
(; д )「げッ……」


(; A )「うげあッ!!」



ナス突進の直撃を受け、2人同時にぶっ飛ばされた。
宙を舞う俺たちの体は、そのまま窓ガラスをぶち割って――


無数の時計が浮いている、紫の世界に落下した。

31 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/11/01(金) 02:29:57 ID:P1O5gTg20
その1.目覚まし時計 ここまで



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