ブーンの楽しい○○

1.ブーンの楽しい大航海時代

ブーン2世(1432 - 1487)

53 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:06:13 ID:SzL2U0n.0
§ ブーン2世(1432 - 1487)                                  https://www.youtube.com/watch?v=Qe4yTxbOTi4


さて、臆病者のブーンはあっさり死んでしまったわけだが、その後すぐに航海史に残る大きな事件が起きた。

                 (/( <: : : : : : : : : : :>- ノ(/(
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               ¨ア : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ノ
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               }: : : : :/芹苧ミ.  \: : : : : : : : }
.               ノ: : : :八_ `¨¨^  __{ノ : : : : : : ノ
               {: : : : : : : :ー=彡  ┼=彡: : : : し  「三馬身差で勝利のエアネス、サンバ踊る、なんつって。
              : : : : : : : ー=ニア   ' ー=: : : イ(.}   これが本当のお馬ギャグ。うまい。馬だけに」
             ( : : : : : : : : :ア¨ --― - ア: :r=彡′
            }ト-=彡: : : : :ハ    こ  . : : |
            ゝ-=彡: : /刈込     /: : : { }i
              }八(⌒V  ∧〕=- .ィ⌒ー=彡
                /     / V`¨¨¨7∧ム
.              人   /  ∨___,/ ,∧L
             <   \_,/    ∨,/   ∧ >---

            ジル・エアネス (生年没年不詳) 


エンリケ王子に許さて再び航海に出たジル・エアネスがなんと、あのボハドル岬を越えてしまったのだ。
ボハドル岬と言えば、あの世とこの世の境界線。そこを過ぎると海は燃え、奈落の底に落ちるといわれる、あのボハドル岬である。
それをジル・エアネスは超えて見せたのだ。当時の船乗りたちの常識を覆す出来事である。

「少し怖かったけど、得意の馬の世界に入って事なきを得たヒヒーン」と、馬の世界が抜けきらない様子のジル・エアネスにエンリケ王子もご満悦。
しかもボハドル岬より先に自生する植物まで持って帰って来た。地元ポルトガルではヒーローである。

54 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:08:42 ID:SzL2U0n.0

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            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「信じていたぞ、心の友よ!!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
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                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
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                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

エンリケ王子が考えていたように、ボハドル岬の先は普通の海だった。良く知るアフリカ西部の気候ともあまり変わらず、太陽は今まで通りに輝く。
気温は少し上がったが、陸は続き、人のいる痕跡もあった。燃え盛る海も大いなる滝も、一切ウソっぱちだったのだ。

これを知った地元の船乗りたちは「俺が俺が!」と、ここぞとばかりに”僕もっと南に行けますアピール”をしまくる。
エンリケ王子は「征け! 海の王者たちよ!」と、ただでさえ乗りまくってる船乗りたちを乗らせる乗らせる。これが本当のノリノリ、なんつって。
こうして大航海時代はついに本格的に幕を開けるのであった。

55 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:11:28 ID:SzL2U0n.0
そろそろ皆様はお気づきであろうと思うが、エンリケ王子は決して自分から海に出ようとしなかった。
なぜなら船酔いが激しかったからである。こんなでも王子、船乗りたちの前で「オロロロロロ」とするわけにもいかない。王子なりのメンツがある。
しかし、海に出ないとなると、それなりには暇になる。暇すぎて迷路を描いて自分で辿ってみたりもした。

そんなある日、エンリケ王子のイスラム嫌いがついに爆発した。

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            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「今こそ勝利の時! 掲げよ、豚の首を!」
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                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

周囲の大反対を押し切って、当時イスラム戦士の拠点の一つ、モロッコはタンジェに進軍したのである。
心のどこかであのプレスタージョンが助けてくれると思っていたのだろう。哀れにもそれは二番煎じ。おギャグ担当はすでに十字軍の手の中。

56 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:13:22 ID:SzL2U0n.0
エンリケ王子、あっけなく敗北。敗北しただけならまだ良い。
愛する弟が人質に取られる始末。これには身内からも大バッシング。今までそんな怒られたことなかったエンリケ王子はヘコたれた。

そのまま、”軍事怖い病”に陥った挙句、身内からも「あのバカ王子には戦争は任せられんぞ」と陰でコソコソ言われ始めた。
まさに悲劇の王子である。

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                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「私には海しかない。なぜなら、海も私しかないからである」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
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                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
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               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
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                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

軍事に関しての評価がボハドル岬の奈落の底にまで落ち込んでしまったので、エンリケ王子は開き直った様にすべてを海に捧げた。
こうして、エンリケ王子は1460年に”王子の村”とかいう自分で作ったクッソウケる名前の村で死ぬのであった。享年66歳。なお、借金まみれだった模様。

57 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:15:33 ID:SzL2U0n.0

はてさて、茶化しはしたがエンリケ王子の功績はシャレにならないくらいデカいものであった。
エンリケ王子が死ぬまでにヨーロッパ人がたどり着いたのはシエラレオネ。

          ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
         /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
       ,/                    ヽレ、
      /                      ヽヽ
     |                         ヽ ヽ
     `|                         ヽ ヽ
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      |                           \`´,-フ
      ◎ ここ!                       ̄  /
        `\,,〜〜〜´`L_、                  /
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                 く               /
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                    )            |    

アフリカの西側をちょこっと行っただけでビビりまくってた当時を考えたら本当に大したものである。

エンリケ王子亡くなったとて、この大航海時代を終わらせるわけには行くまい。エンリケ王子が開拓したアフリカとのやり取りでそれなりに
儲かってもいるし、もったいない。
そう考えて立ち上がったのがジョアン2世という男であった。なんと、彼はポルトガル国王である。国王が本気で航海事業に乗り出したのだ。

そして、このジョアン2世というお人、若くして国王になったせいもあってか、とんでもなく熱い男であった。

58 名前:名無しさん[] 投稿日:2016/06/08(水) 20:19:24 ID:SzL2U0n.0
                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _              https://www.youtube.com/watch?v=S86ppy4jdxg
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「もっと熱くなれよ!!! 海の男だろ!?!?
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        熱い血燃やしてけよ!!!人間熱くなった時が本当の
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /           自分に出会えるんだよッ!!!!」
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった
                                  

熱いどころか、暑苦しすぎる王様であった。今でこそ名君として名を馳せている男であるが、どうにも熱すぎた。しかし、これくらいでなくては後世に名は残らない。
とにかく、この王様は手抜きや諦めというのを許さなかった。本当の本当に許さなかった。
すこしの手抜きであれば”情熱”で対処するのだが、ちょっと度が過ぎる手抜きになると法的処置に出た。この王様はそれくらい本気なのであった。

さて、このジョアン2世。なぜそこまで本気になっていたかと言うと、ちょっとした理由があった。
もちろんエンリケ王子の熱い意思を熱い心で受け止めたのもあるのだが、これ以上に抑えきれない熱い気持があったのだ。

59 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:20:41 ID:SzL2U0n.0
もう、皆さまならお分かりであろう。あのお方への熱い思いなのである。


            殺 伐 と し た 中 世 に プ レ ス タ ー ジ ョ ン が !
             \                    /
               \  丶       i.   |      /     ./       /
                \  ヽ     i.   .|     /    /      /
                  \  ヽ    i  |     /   /     /
               \
                                              -‐
              ー                  「プレスタージョン!」
             __               。。               --
                 二           ∧∧         = 二
               ̄              (・∀ ・)               ̄
                -‐             <(  )>             ‐-
                             <  >
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そう、こいつだ。

60 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:22:26 ID:SzL2U0n.0
このジョアン2世という熱血漢、本気でプレスタージョンを信じていた。

                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「プレスタージョンは史上最高の味方だ!!
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        心の底から好きなことに本気で取り組めるなら、
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /           それは本当の幸せッ!!」
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった


ジョアン2世は考えていた。アフリカ探索を進める事によって、いつか絶対にプレスタージョンに出会うことが出来る!
シンパシーが共鳴しあって、軍事同盟を結ぶことが出来る! 情けないイスラム戦士に強烈な熱血をおみまいする事が出来る!

少し前までエチオピアあたりにあるとされていたプレスタージョンの国は、度重なる設定の変更を経て今はナイジェリアあたりにあると
考えられていた。もちろん、ナイジェリアには黒人たちのほんわかした国があるだけで、プレスタージョンなどはいない。

61 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:25:06 ID:SzL2U0n.0
ジョアン2世のプレスタージョンへの熱い気持ちもさることながら、ポルトガル王国幹部の連中も熱い可能性に燃えていた。

国の”頭いいマンズ”はアジアやアラブの商人たちから仕入れた情報により「アフリカから東に回って、インドいけるんじゃね?」という
可能性を抱いていたのだ。

その頭いいマンズの中に、あのブーンの息子、ブーンはいた。
父の功績をたたえられ、国に仕えることが出来たのである。実際にブーンパパは何にもしていないに等しいのだから、これはラッキーとしか言いようがない。


( ^ω^)


このブーン、もし船でポルトガル人がインドに行けるのなら行っちゃったほうがいいんじゃないの? と考えていた。
なぜなら、インドには香辛料が山ほどあると考えられていたからである。しかも、安価で買うことが出来る。アンカーテイクではないぞ。

当時のヨーロッパ人にとって香辛料、もとい”胡椒”はハチャメチャに大切なものだった。
この時代のヨーロッパ人の主食は肉。春、夏に豚や牛を育る。その間は穀物も取る。秋になったら頭カチ割ってぶっ殺す。そのお肉で冬を越すわけだ。
が、当然冷蔵技術なんて一切ない当時のヨーロッパ。冬とはいえ、しばらく保存していたらそりゃ腐る。春先になればもう臭くて臭くて食べれたものじゃない。

それでも悲しいかなヨーロッパ人は腐った肉を食べなくてはならなかった。エンリケ王子などはある程度新鮮な肉を食えたろうが、ブーン達くらいの
身分の人間だとやっぱり腐った肉を食べた。

しかしどうだろう。胡椒をパッと振りかけてみると、アラ不思議。肉の臭いのが消える消える。
ヨーロッパ人たちはものすごい勢いで胡椒を買いたがった。ブーンだって、あのブーンパパだっていっぱい買っておきたかった。
冬だろうと春先だろうと、おいしいものをたっくさん食べたい。有史が始まる前からブーンは食いしん坊と設定がされているのである。

62 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:26:44 ID:SzL2U0n.0
とはいえ、このコショーなる品物。ハチャメチャに高い。
胡椒は東南アジアあたりで取れるのであるが、

東南アジアから中国へ→モンゴル被害者の会の友達アラブへ→アラブと仲良しイタリアへ→ポルトガル()スペイン()

というルートを踏むもんだから、ポルトガルやらスペインやらにたどり着くころにはアホみたいに値段が釣り上がっていた。
だから、ブーン達はインドと直接やり取りをして、コショーをた〜〜んと使ったお肉料理が食べれたらいいんじゃないのかな。みたいに考えていたのだ。

                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「腐ったって食べれるんじゃないのか!?
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        感謝しろよ!! お前、感謝しろよ!!
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /           なんでそこでやめるんだよ!! ダメダメ!!」
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ           
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった

中にはこういう風に考える熱血野郎もいただろうが、当時の庶民たちは喉から手が出るくらい胡椒が欲しかったのであった。

63 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:28:59 ID:SzL2U0n.0
しかし、”アフリカ西海岸から東に回ってインドに行ける説”というのは、常識で考えたらムリムリムリムリカタツムリな理論なのである。

なぜならば、アフリカ大陸と南極大陸(南極大陸があるとは思ってない)は陸で繋がっていると考えられていたからだ。
ふーむ、確かにそれなら無理だろう。が、そういう話をするとアジアの商人たちに何言ってんだコイツみたいな顔をされてしまう。
ここで先ほどの疑問に戻る。”アフリカから東に回って、インドいけるんじゃね?”。もし本当に行けたのであればそれはとってもハッピーなのだ。


ここで、ポルトガルのブレイン達がジョアン2世に”アフリカ西海岸から東に回ってインドに行ける説”を説いてみると

                    _,.ィ≦圭圭≧x .. _                       https://www.youtube.com/watch?v=YqHJrRBu1uA
                    .ィ為圭圭圭圭圭圭圭≧x
                 /圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭会:
                ,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圦
                  |圭圭才⌒ー=≠寺圭圭圭圭圭|
                 ⅧiⅣ          ̄ ̄Ⅷ圭圭|
                   ⅧIi  、        _   ⅧIli:圭!
                     Ⅷ| `ー=≠'.  ,.ィ=彳`  Ⅵ圭7       「良いじゃんそれ。食いしん坊、万歳!」
                 Ⅵ <てハ :::i : rt_j ァ  }才' /        
                       }|    ...::::ノ 、   ̄    iレ /          
                  ト、   ,.ィ   .     /.イ           
                  ヘ  / ー-=彳ヽ  //_
                     ヘ : r=ニ ニ=ォ,   /圭≧x 、
                .ィ≦Ii圦 、 レ⌒⌒レ’ ,.イ|圭圭圭会:
                   /圭圭圭ハ `ー==イ  /  |圭圭圭圭L.. _
           _,ィ≦圦:寺圭圭∧ゝ... _ ,イ  ,イ圭圭圭圭圭圭圦
        ,.ィ≦圭圭圭圭≧ュ...`寺∧ ー=≠≡彳圭圭圭圭圭圭圭圭≧x
       /圭圭圭圭圭圭圭圭会ュ. Ⅶ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ハ

                ジョアン2世 (1455 - 1495) ※この時代にもテニスはあった

と、結構乗り気になった。

64 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:32:37 ID:SzL2U0n.0
王様が乗り気になったところで、ブーン達は本格的に”アフリカ西海岸から東に回ってインドに行ける説”証明する探索隊を作ることになった。
もちろん、プレスタージョンとコンタクトをとる目的の方が上である。絶対に笑ってはいけない大航海時代。


( ^ω^)
   φ...


ブーンは人材を集める担当を受け持った。立候補だった。ブーンパパからのパイプもあったので、適任であると自分で思ったのだ。
もう今は死んでしまっていないが、ツンのパイプだってある。女手一つで自分を育ててくれたツンは王立の病院で働いていたのだ。
ツンがマジメに働いてくれたおかげで、今こうしてブーンは王国のために働いているのだ。これほどありがたい話はない。

流石は父の代から卓上の仕事は得意なブーン、そうこうしている内に人材は集まった。今回も海には出ないが、探検隊の大きな力となった。
さて、肝心の司令であるが、これにはあの熱血漢ジョアン2世から直々に任命された”お気に入り”がいた。

                                             https://www.youtube.com/watch?v=c2i2LhWSv-A
                  ./            ;; ;;    :  l
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

この男、バーソロミュー・ディアスである。

65 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:33:43 ID:SzL2U0n.0
冷静であり、大胆。頭は常にさえており、判断は適格。仲間思いで、勇敢。そう、この人こそバーソロミュー・ディアス!
父も同じく海に体をささげた男。エンリケ王子に直々に仕えていたのであった。うーん、これは信用できる。
さらに彼自身も王の僕。騎士であり勇猛。仕事も出来、貯蔵庫の管理だって任されていた。

それがスペシャリスト。これこそがスペシャリスト。バーソロミュー・ディアスなのである!

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「いいか、よく聞け。注意しろ。この航海は危険だ」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {                              ドドンッ!
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

バーソロミュー・ディアス探検隊の発足にポルトガル王室中が沸いた。あのバーソロミュー・ディアスが海に出るのである。


( ^ω^)「これは凄いことになったお」


たまらずブーンも家に帰ってから妻や息子のブーンに自慢話。あのバーソロミュー・ディアスの目力の凄い事。あの声の優しく響くこと。
バーソロミュー・ディアスのおおよそ全てのことについて自慢したといっては過言ではない。
それほど、スペシャリスト。そう、彼はスペシャリストなのであった。誰もを虜にするスペシャリストなのだ。

66 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:34:51 ID:SzL2U0n.0
いよいよ航海の日が近づいた。
ブーンは人材の確保が終わったので、あんまり進んでなかった船や積み荷の確保に急いだ。
流石は父の代から裏方だけは得意なブーン。ひょいひょいひょいひょいと集めて行った。すごいぞ、ブーン!

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「上出来じゃないか、ブーン。ハッハッハ」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {                              ドドンッ!
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

( ^ω^)「こ、光栄ですお!」


仕事のできる男、ブーン。直々にあのスペシャリストから声をかけられた。これにはブーンも有頂天。家に帰ってから早速自慢をした。

今回はこのバーソロミュー・ディアスの考えもあって、キャラベル船2隻に武装を施した。
この人はスペシャリスト。敵には武力をもって対抗する。来るなら来てみろ、野菜野郎! こっちにはスペシャリストがいるんだぞ!
ブーンは誇らしかった。この偉大なる男がプレスタージョンと会おうと言うのだ。インドへの道を見つけようと言うのだ。

ブーンは家族や同僚にこう言いふらしていた。「航海の日はかならず港でお〜〜い!ってするお!」と。

が、その晴れやかな気持も一気に不安となる出来事が起きる。

67 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:36:58 ID:SzL2U0n.0
なんと、何の前触れもなくあの熱血漢ジョアン2世から手紙が届いたのだった。

      ある日がんばるブーンに
       手紙が届きますた・・・
          _____
         / ヽ____//
         /   /   /
        /   /   /
        /   /   /
       /   /   /
       /   /   /
      /   /   /
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                    https://www.youtube.com/watch?v=wEQ0-ZzEacQ

       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
       |                    |
       |                    |
       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /                   /ヽ__//
     /  もっと熱くなれよ!  /  /   /
     /              /  /   /
    /   ____      /  /   /
   /             /  /   /
 /             /    /   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /
                      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

( ; ゚ω゚)「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

ブーンはあの熱血漢に「海にも出ずに仕事をした気になってるムカツくヤツ」と思われていたのだ。

そして、ブーンは知っていた。海に出る事の過酷さを。亡き父が身を持て証明してくれた。海に出れば、命は無いという事を!
哀れブーン、ブーンパパに続きまたしても海と藻屑になる運命なのである。

69 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:41:44 ID:SzL2U0n.0
                                        https://www.youtube.com/watch?v=hvDBWw2C3Hg

無念、ブーン。ブーンは無念。こうなってしまっては仕方がない。命令を無視すれば”情熱”で対処されてしまう。
あの王様は諦めや躊躇などの類が世界一嫌いなのだ。スマッシュ!アンドスマッシュ!

家に帰ってブーンは妻と息子のブーンと孫のブーンに海に出なくてはならない事を伝えた。
妻はそれなりに悲しんだのだが、息子のブーン達は違った。


(*^ω^)「父ちゃん、すげぇお! カッコイイお!」

(*^ω^)「おじいちゃんゴイスー!」


などと孫にだって言われてしまう始末。若者にとって海は夢と希望であふれる大海原なのだ。息子のブーンの息子のブーンに至っては大学1年生の
ごとくハシャギまくりで、友達に自慢しまくる。おじいちゃんは海の男なんだぞ! ウェーーーーーーーーイ!
貴重な紙を消費して海の男ブーンシリーズのマンガまで描いてしまった。かわいいかわいい。

しかし、現実を知ってしまったつまらない大人代表のブーンはそういう目で大海原を見ることが出来ない。

一攫千金を夢見たり、自分で地の果てを見てみたい、歴史に残ることをしてみたい! と思っている人間なら別だ。
だが、コイツはブーン。相も変わらず王国に仕え、それなりに安定した生活をしている。こないだも”お仕事頑張ったから”という理由で
胡椒をすこ〜しだけ頂戴した。今の生活で大満足なのである。海になど出たくはない。


( ´ω`)「じーちゃん、がんばるお」


優しい男ブーン。キラキラした目を向けてくる我が子や孫に情けない事は言えまい。大きくなったとは言え、まだまだブーンにとっては永遠の子供。ブーンにだって
プライドがある。それに、こんなに慕われたのもいつぶりだろう。子供は成長すると人の子になってしまうのだ。
しかしブーン、ここは最後までヒーローに徹した。俺は大海原を征く海の戦士なのだぞ!ゴーゴー、トリトン!

悲しいかな、大人の務めはしっかり果たしたブーン。あとは海に死にに行くだけだ、頑張れ!
え? 死ぬとは限らない? いや、死ぬんだ。作者の俺が言うからには間違いない。死ぬ。このブーンも息子のブーンもみんな死ぬ。孫も死ぬぞ!

70 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:45:06 ID:SzL2U0n.0
さて、ついに出港の日となった。
リスボンの港には大勢の人が集まっている。あのスペシャリストが海に出ようと言うのだ。旗まで振ってお祭り騒ぎである。
大勢の人の中にはブーンの息子ブーンと、孫のブーンもいる。肩車なぞをして、孫はけなげに手なんか振っちゃったりしているわけだ。


( ´ω`)


あーあ、ブーン。ホントはそっち側の人間だったのに、運命は逃がしてくれないのだ。こうなったら諦めて頑張れ、ブーン!

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「よし、出港だ! アフリカを捜索する。いいな!」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {                            ドドンッ
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                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

大歓声の中、リスボンの港から飛び立ったバーソロミュー・ディアス探検隊。
タイトルはこうだ。”15世紀の奇跡を見た!!人跡未踏の海洋にインドへの道は実在した!!”。高視聴率は間違いない。

武装キャラベル船を二隻、それに補給船を1隻といったパーティ。バーソロミュー・ディアスは先頭を行くキャラベル船に乗船。
不運の男、ブーンもバーソロミュー・ディアスとおんなじ船に乗り込んだ。

71 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:46:56 ID:SzL2U0n.0

                  ./            ;; ;;    :  l 
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                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「いいか、気が付いたことがあったら俺に言え!」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {                              ドドンッ!
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
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                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)

海を出てからもスペシャリスト、バーソロミュー・ディアスのお陰で船員の士気は高かった。
何とも頼もしいその声と、的確な指示によって順調な航海を続けていた。
陸から攻撃してこよう野菜野郎がいれば、大砲を容赦なくブチかますバーソロミュー隊長。船員も「これヌルゲーだろ」とか思っちゃうレベル。

      っ
     っ
( ´ω`)

卓上の仕事は得意なブーンも、それなりに力仕事をこなした。あーだこーだグチグチ言う暇もなく、あっさりとボハドル岬を越えてしまった。
ブーンの父親が越えられなかったボハドル岬をあっけらかんと超えてしまった探検隊。これにはブーンも唖然。
哀れブーン、航海ってこんな簡単でいいのか? ともはや半信半疑の様子。

流石はあの熱血漢からも熱い信頼を寄せられている男。これがスペシャリスト、これこそがスペシャリストなのである。

72 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:48:38 ID:SzL2U0n.0
快進撃のバーソロミュー・ディアス探検隊。その勢いは収まることを知らず、ギャンギャンと南下していく。
天候が味方したこともあって、ボハドル岬どころか、赤道なんて遊びに行くみたいに越えてしまい、果てはディオゴ・カン
というオヤジが超絶苦労してたどり着いた、当時の最南端であるナミビアはクロス岬までなんのトラブルもなく到達。


      ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ                        https://www.youtube.com/watch?v=c2i2LhWSv-A
     /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
   ,/                    ヽレ、
  /                      ヽヽ
 |                         ヽ ヽ
 `|                         ヽ ヽ
 (                          ヽ |  _、-
  |                           \`´,-フ
  \                            ̄  /
    `\,,〜〜〜´`L_、                  /
              )                /
             く               /
              \            (
               ヽ            |
                )            |    、
               ◎´この辺!      _) ,,ノ´ |
               (,,          、〜´  )  |´
               ヽ          ヽ   (  |´
                |,        、ノ    し-´
                 ヽ       ノ
                 ゝ     ノ
                 `-〜〜~´

しかし、スペシャリスト、一切の油断をしない。
「いいか、気を付けろよ。航海はなにがあるかわからないからな……」などと渋みを利かせたトークで船員たちを盛り上げた。
ヒュー。かっこいいぜスペシャリスト。

73 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:50:36 ID:SzL2U0n.0
しかし、リスボンを出てから相当の時間がたっている為、船員も疲れてくる。
特に臆病で情けのない、座ってしか仕事のできないブーンみたいなやつはここまで到達すると急に不安になって来るのだった。


(; ´ω`)「ま、まだ先に行くんですか……?」


先に行くこと在り気で出発した船なのに関わらず、ぶっ飛ばされそうな質問までしてしまう有様。
当然バーソロミュー・ディアス隊長はその先まで行く気マンマン。そもそもの目的はプレスタージョンの国を見つけ、いや違う。
アフリカ西海岸から東に回ってインドへの道を見つけるという目的。

ここで諦めたらおいしいお肉が食べれなくなってしまうぞ!という言葉だけを胸にブーンは自分と戦った。


(; ´ω`)「がんばるお!」
   p q


バーソロミュー隊長は、少なくなった補給船の荷物のほとんどを他の船に積み込んで、武装船2隻で南を目指すことにした。
ブーンは意外に少ない荷物を運びながら思った。

「あれ? 物資ギリギリなんじゃないの?」 と。
でも、ブーンは大人! そんな小さな疑問なんて吹き飛ばしたぞ! 偉い!

そして、再びバーソロミュー隊長率いるスペシャリスト探検隊は出発することになるのだが、ここまで来て予期せぬ事態に直面すること
になるのだった。

74 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:51:59 ID:SzL2U0n.0
                                                 https://www.youtube.com/watch?v=Opwq0C0hjOg
なんと、大嵐に巻き込まれたのだった。


( ; ゚'ω゚)「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


これがとんでもない規模の大嵐。ベテラン船員たちもこんな大嵐体験した事無いくらい。
何人かは風に巻き込まれて海に放り出されてしまうほどであった。あいにくブーンは有史以前に決まっていたデブという設定により風に
飛ばされることはなかったのだが、それでも普通に立ってはいられないくらいの風。
ペチペチあたる雨水にくじけそうになるが、ここはスペシャリスト。船員の士気をギャンギャン上げる。

                  ./            ;; ;;    :  l  
                  {           ミ゛ ミ     : l
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                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「最悪の時にこそ本質がよく見えるものだ。逆境こそ大いなるチャンス。
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {   大時化の時こそ  大物を釣り上げるチャンスだ」
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll                            ドドンッ!
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
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                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

雨水と共に最高の名言を浴びせるバーソロミュー隊長。これを聞いて船員たちも死ぬまい死ぬまいと頑張って船を守った。

75 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:54:54 ID:SzL2U0n.0

      っ
     っ
( ; ゚'ω゚)


ブーンも一生懸命頑張った。入ってくる水をオケで一生懸命外に捨てた。ディズニー映画みたいになりながらもバッシャバッシャ捨てた。
デブという設定を生かしつつ、飛ばされちゃいそうになる船員を支えたりもした。ここぞとばかりに頑張るブーン! 意地でもポルトガルに
帰るんだ! かわいい孫が待っているぞ!

全員が死ぬ物狂いで船を守っている内に嵐は過ぎ去った。これもすべてバーソロミュー・ディアス隊長のおかげだ!
全員が声を揃えて讃えた。ありがとう、隊長。ありがとう! と。
嵐にまみれて死ぬ直前だった船員たち。もうほんとマジで早いとこ家に帰りたい。

しかし、嵐が過ぎ去って新たな問題が発生したのであった。

                                        https://www.youtube.com/watch?v=FBQr6ryEorg
( ; ゚'ω゚)「ここ……。どこだお……?」


そう。自分の今居る位置が全く持ってわからなくなってしまったのだ。
もうほんとわかんない。ここどこ? 状態。周りを見ても海しかない。知っている海ならまだいい。
が、ここは未開の海。ヨーロッパ人がたどり着いたことの無い、未知の領域なのである。

船員全員が大パニックになってしまった。哀れブーン、この男も大パニックに陥った一人。

      っ
     っ
( ; ゚'ω゚)「早く! 早くリスボンに帰りましょうお!!」


率先して帰る事を提案する、情けなき男ブーン。こんなものジョアン2世が聞いたら、湿疹が出るくらいの”情熱”をおみまいされるに違いない。

76 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:56:03 ID:SzL2U0n.0
慌てふためく船員たち。だが、その船員たちを見て、あのスペシャリストは口を開いた!

                                                https://www.youtube.com/watch?v=c2i2LhWSv-A
                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
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                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「落ち着け! 東に舵を取れ!」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {                    ドドンッ!
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                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

冷静であり、大胆。頭は常にさえており、判断は適格。仲間思いで、勇敢。そう、この人こそバーソロミュー・ディアス!
バーソロミュー・ディアスは船を東に進ませた。理由は単純。東に進めば嫌でもアフリカ大陸が見えてくるのである。
もう当然の理論。アフリカの西を行っているんだもの。が、パニクった船員たちはそんな単純なことさえ忘れていたのだ!

流石は隊長! この男についていけば何の間違いもないのだ! これで早くポルトガルに帰れるぞ! やったね、ブーン!

77 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 20:59:48 ID:SzL2U0n.0
が、行けども行けども陸地が見えない。船員たちは理屈は知っているので、それでも諦めずに東を目指した。
しかし、やっぱりどうにも陸地が見えない。これはおかしい。

      っ
     っ
( ;´ω`)


もう2週間は東に向かっている状態。これには相変わらず冷静沈着なブーンもパニック。
自分たちの知らない世界の海を進んでいるのではないのか、と本気で心配するようになった。


( ^ω^)


やがて、段々と士気は下がっていき、ついにはブーンは考えることを止めた。

この状況にはスペシャリストも不思議に思った。どう考えても東に進めば陸地は見えてくる。これはおかしい。
が、ここで冷静な頭脳を持ち合わせたこの男に、とある閃きが舞い降りた。


「これ、大陸最南端通過しちゃってるんじゃないかな」


バーソロミュー・ディアスは「北に舵を取るんだ!」と命令。この推測が当たっていれば、北に舵を取ることで陸地が見えてくるからである。
が、早く帰りたい病に陥ってしまったブーンはようやく帰れると哀れにも早合点。ブーンより下の身分の人間にカッコイイ息子とかわいい孫の話を
始めてしまうので、これはもう始末に負えない。普段歌わない歌まで歌った。ブーンはウザい上司ナンバーワンだ。

78 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 21:02:30 ID:SzL2U0n.0
                                                      https://www.youtube.com/watch?v=wsztV6HFGuA
すると、ほんのちょっと進んだだけなのに陸地が見えてきたではないか。
間違いない。バーソロミュー・ディアスは確信した。あれこそが、アフリカ最南端だ!

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「見ろ……!あれを見るんだ……!
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {   我々はついに成し遂げたのだ……!」
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll                    ドドンッ!
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
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                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)

さらに東には海岸が続いているではないか。これでアフリカを越えてインド洋に出られるという可能性が現実味を帯びてきたのである。
ポルトガルが直接インドとやりとりが出来るかも知れないのである! ジョアン2世がマグマを噴出させる出来事だ! スマッシュ! アンドスマッシュ!


( ; ゚'ω゚)「そ、そんな……」


一方、アフリカ最南端とかいう歴史に残る発見でさえ、どうでも良いと考えているブーン。
早く帰れるとばかり思ったのに新発見をしてしまって、膝が砕けるほどにショック。まさに歴史の足枷状態である。

80 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 21:04:04 ID:SzL2U0n.0
このまま東に進めると分かれば、答えは決まっている。ついに我らが隊長は口を開いた!

                                                https://www.youtube.com/watch?v=c2i2LhWSv-A
                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
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                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「さあ征くぞ。モタモタはしていられない。
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {   いざ、インドへ出港だ!」
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll                    ドドンッ!
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                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
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               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

冷静であり、大胆。頭は常にさえており、判断は適格。仲間思いで、勇敢。そう、この人こそバーソロミュー・ディアス!
俄然やる気満々のバーソロミュー・ディアス隊長だが、疲れ果ててしまったブーン含む船員は”いやいやいやいや!”と全員で首を振った。
これは冗談じゃない。これ以上東にいったら本気で帰れなくなってしまう!

ほぼ船員全員で猛抗議。これ以上はスペシャリストについていけないぞ!

ブーンに至ってはものすごい勢いでもう抗議をした。ありとあらゆる理由をつかった! 補給船が遠くなってしまう! ポルトガルには小さな孫が!
妻が悲しんでしまう! 果ては、父が危篤なんです! うんこがもれそうだ!! とあからさまなウソまで並べる始末。というかウンコは漏らした。
最終的にはバーソロミュー・ディアス隊長の足に縋り付いて泣きわめいた。なんと意気地のない。設定上隊長は年下だぞ!

81 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 21:05:50 ID:SzL2U0n.0

。・゚゚・( ´ω`)・゚゚・。「帰りたいんですぅ〜〜〜〜〜」 オーン


ここまでされたら仲間思いのバーソロミュー・ディアス。考えざるを得ない。無様に泣きついたブーンの様に負けたのだ。

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「よし。多数決を取ろう。二つに一つだ。
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {   先に進むか、戻るか。良いか!」
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll                    ドドンッ!
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
                      ,.  ヽ.  '`''-二-'   /./   l ; ヽ ""'''-=,,,
                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
              ''"       / ;  〈:::: ヽ ""      // .; ,'  l

                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)

                                                        https://www.youtube.com/watch?v=mmCnQDUSO4I
結果は先に進みたいバーソロミュー・ディアス1人に対し、他全員が帰りたい票という有様。
これにはバーソロミュー・ディアスもずっこけた。多数決ならしかたがあるまい。仲間思いのバーソロミュー・ディアスは逃げ帰る
事に決めてアフリカ最南端を後にしたのである。


( ´ω`) Zzz...


プライドの欠片もないブーンはホッと胸をなでおろした。この日はいつもより多くのかたーいお肉を食べて、ぐっすりとおねんねした。殺せ!

.

82 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 21:07:05 ID:SzL2U0n.0
なお、嵐の後で一番最初にたどり着いた場所は最南端ではなかった。最南端を通り越して、ほんのすこし東の場所だったのだ。
ポルトガルの帰り道にちょこーんとした岬を発見したのだが、それこそがアフリカ最南端。その岬には「嵐の岬」という実にシンプルで男らしい名前を付けた。

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
                 l            ./| ' \    : }
                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「男! 嵐!!」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {           ドドンッ!
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
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                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
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               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

はてさて、ようやく帰れる事になったブーン。だがしかし、哀れブーンにとっての悲劇はこれからなのであった。
ポルトガルへの帰路について早1週間をすぎた所。やはり持つべきものはスペシャリスト。気候に恵まれて全速力で北上中。
途中で置いてきた補給船も動かして、早く帰るぞと船員全員の士気が上がっていたところ。


( ;´ω`)  ポタ…
    ・


ブーンの歯ぐきから血が出た。

83 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 21:08:41 ID:SzL2U0n.0
これはどうしたことだろうか。放置していた虫歯が悪化したのか? それとも知らないうちに歯ぐきを切ってしまっていたのだろうか。


( ;´ω`)「……?」


ひとまず、その日は大して気にはしなかった。
その日も手帳に自分の息子と孫への思いと、孫には”決して大人になっても海になんか出るなよ〜”という事を記して寝たのである。

翌日は歯ぐきから血が出ていなかったので、やっぱり知らないうちに歯ぐきを切っていたのだなぁ、と思った。
のだが、2日くらい経つと歯が痛い。グラグラしてきた。


( ;´ω`)「あうあう」


さらには指やら肘やらに痣が出来ている。あんまり寝相が悪かったのだろうか。
いや、そうではない。ベテラン船乗り達はこの症状を知っていた!

             ,,,、、、、、,,,,
          ,.: .:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:.、
         ,f;:;:;ミミヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:',.
        ,;:;:;;;;ミミヽ:;:;;;;;;;f⌒'^^リN;;                            https://www.youtube.com/watch?v=_B0CyOAO8y0
       ,;:;;;;;;;;;;;;ヲヲ'''ィイハ、  ノi;;;;;!
       ',;:;;;;;;;;;ィイ ,,、、、、   ,r- 、;;;;!
       V;:;;:;;;ル'゙゙,rモテ.:;' ノッャ''';;シ 
         Nいiij       ~` リ         「壊血病ですね、これ」
        Nいii!':,    、;::′ ,j!       
        ル:;;;;{,    ,, --、  1 
        ルハシヽ   ´ 二`` ,′ 
        `フリハ `丶、.    / 
       ,/ i ',     ``ーイ     
  _,.. -‐''ニ7.  ヽ ヽ     i ヽ   
 ̄ `ー─'"7_ _ \\    ハ  \_   
  ',        _>\     /7⌒゙```ヽ、  
   i        <_   \  / \      ト、
 .  l        ``ヽ,  ', ! /      l '

85 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 21:09:57 ID:SzL2U0n.0

( ; ゚'ω゚)「か、壊血病……?」


壊血病! それはバランスよくお野菜や果物を取らないとかかってしまう欠乏症である!
かかってしまうのも当然、長らく海に出ていればお野菜や果物なんて取れるはずもない。
大航海時代の船乗りたちは何万人とこの壊血病に倒れてきたのであった。ノービタミンC、ノーライフ。

哀れブーン、遠いアフリカの海で壊血病にかかってしまった! ああ、なんということだ、ポルトガルまではまだまだかかる。

やがてブーンの体はだるくなって動かなくなってきた。足も手も痛いし、歯ぐきからは血が出るし、とてもじゃないが生きた心地がしない。
咳をするたびに血が出てきて、これは見ていられない有様。こうなってしまっては残念だが死ぬしかない!

                  ./            ;; ;;    :  l 
                  {           ミ゛ ミ     : l
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                 l        ._,, . '/丿  .ヽ     {
                 {     _,,,-''/ /. / ,,.   {     |
                 ヽ  { .r'~  .i' i″   ,,,,-−、`i   { .}  「クッ……、大切な仲間をここで失くすとは……」
                  `、  !rニニコ、{,,, i !、,;;ニ三 ̄ , {  .{l  {                            ドドンッ!
                    i  i  r..uュ .,  、 ..'┴'' `  リ`i.j'  ll
                    .l ト,l   ''' ';   `゛゛   , ,. }   l
                    {.{ .l    , '   ヽ、  : . ''|  ..{{
                    `'. !   ./ 、,,_, ''゛ .\  ; ./;; .!川
                       、  !  __,,,_,,,,..−、', ,' / l /ヽ_`
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                  _,,=-''''''" / ,'.ヽ、      ,,ン'.   /l ;  .i
               ,,=-''″    / ,' i::::.` ー一'''" ..   //;  ,' .!
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                 バーソロミュー・ディアス (1450 - 1500)  ※ 、 はつかない

心配になって見に来てくれたバーソロミュー・ディアスも、ダラダラと徳光のごとく涙を流してもはや諦めムード。
必至になって生きてるブーンを目の前に、死んだ人間扱い。かわいそうに、ブーン!

86 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 21:11:06 ID:SzL2U0n.0

( ;´'ω`)


時間がたってボロ衣のようになってしまっても、なんとか生きていた。
頑張って生きて帰って、息子と妻に会うんだと、静かな情熱を燃やしていたのであるが、
             ,,,、、、、、,,,,
          ,.: .:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:.、
         ,f;:;:;ミミヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:',.
        ,;:;:;;;;ミミヽ:;:;;;;;;;f⌒'^^リN;;      
       ,;:;;;;;;;;;;;;ヲヲ'''ィイハ、  ノi;;;;;!
       ',;:;;;;;;;;;ィイ ,,、、、、   ,r- 、;;;;!
       V;:;;:;;;ル'゙゙,rモテ.:;' ノッャ''';;シ 
         Nいiij       ~` リ         「死んじゃいましたね……」
        Nいii!':,    、;::′ ,j!       
        ル:;;;;{,    ,, --、  1 
        ルハシヽ   ´ 二`` ,′ 
        `フリハ `丶、.    / 
       ,/ i ',     ``ーイ     
  _,.. -‐''ニ7.  ヽ ヽ     i ヽ   
 ̄ `ー─'"7_ _ \\    ハ  \_   
  ',        _>\     /7⌒゙```ヽ、  
   i        <_   \  / \      ト、
 .  l        ``ヽ,  ', ! /      l '

完全に死んでしまったと勘違いされてしまった模様。
死体は船には積んではならない! なぜなら、腐ってしまって他の病気を呼んでしまうからである!
船員たちは「よし、海に捨てよう」「遺品は取ったか?」「誰が奥さんに告げる?」などと生きている本人の目の前で死後の処理を相談中。


( ;´'ω`)


生きているぞ! ブーンは生きているぞ!

87 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/08(水) 21:12:33 ID:SzL2U0n.0
しかし、喋れないし動けないブーンはたくましい船員たちにいっせーのーせっ! で持ち上げられて、ぽーいと海に捨てられてしまった。
ブーンは必死に心の中で叫んだ。生きているぞー生きているぞー! と。


( ´'ω`)。0 ○


しかし悲しいかな、ブーン2世ここアフリカ西海岸にて溺死!ぶくぶくと溺れて海の藻屑となってしまった。無念! 合掌!

             ,,,、、、、、,,,,
          ,.: .:;;:;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:.、
         ,f;:;:;ミミヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:',.
        ,;:;:;;;;ミミヽ:;:;;;;;;;f⌒'^^リN;;      
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         Nいiij       ~` リ         「ただいま〜」
        Nいii!':,    、;::′ ,j!       
        ル:;;;;{,    ,, --、  1 
        ルハシヽ   ´ 二`` ,′ 
        `フリハ `丶、.    / 
       ,/ i ',     ``ーイ     
  _,.. -‐''ニ7.  ヽ ヽ     i ヽ   
 ̄ `ー─'"7_ _ \\    ハ  \_   
  ',        _>\     /7⌒゙```ヽ、  
   i        <_   \  / \      ト、
 .  l        ``ヽ,  ', ! /      l '

その後、バーソロミュー・ディアス探検隊は無事にポルトガルに到着! 生き残った船員は家族との再会を喜んだ! おめでとう、おめでとう!


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