ブーンの楽しい○○

1.ブーンの楽しい大航海時代

ブーン(1401 - 1434)

2 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/04(土) 23:58:02 ID:vPSzzjtE0

                                                        https://www.youtube.com/watch?v=_gn0bozZVyU











            大航海時代。それは、海にまだ見ぬ夢を見た希望の時代である。
















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3 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/04(土) 23:58:54 ID:vPSzzjtE0

高い空。どこまでも続く海。遠くには入道雲が見える。潮風の香り。鳥の声。顔を上げれば頬に風が当たり、髪が優しく舞う。
海の向こうには何が待っているのだろうか。きっと何かが待っている。人々は海の向こうを想うのだ。

憧れは果てない。いつの時代でも、人間は憧れをもって生きている。

海の人は想った。この海の向こうには黄金がある。
海の人は想った。この海の向こうには仲間がいる。
海の人は想った。この海の向こうには憧れていた何かがある。

大航海時代。それは憧れの時代。誰もが希望を持っていた時代。
そんな楽しい時代を生きる、一人の男がいた。その名はブーン。彼もまた、時代の夜明けに大きな夢を抱いていた。

遠い海を見つめ、彼は冒険を想う。まだ見ぬ仲間、絆を想う。


夢と希望があふれるこの時代。今回はモニターの前の皆さまと一緒に青い世界へ出港してみたいと思う。
もちろん、このブーンも一緒に。


( ^ω^)


さあ、夢と希望の大海原へ。

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4 名前:名無しさん[] 投稿日:2016/06/05(日) 00:00:15 ID:EcTaGEX20









                                https://www.youtube.com/watch?v=pUJdHQqsEFM



  /⌒\
 ( ^ω^)      n
 ̄     \    ( E)  ブーンと一緒に出港だお!
フ     /ヽ ヽ_//



行こう! 運命は君を待っている! 数々の驚き、喜び! それは君だけの物語だ!
ポケットのコイン! ユワナビーマイフレンド!

ロマンあふれる大航海時代。君は大切な”何か”を見つけることが出来るだろうか?
答えはすでに決まっている。きっと君は見つけることが出来る。なぜなら、君の心には希望の二文字が輝いているのだから!











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5 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:01:03 ID:EcTaGEX20
































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6 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:01:53 ID:EcTaGEX20



                                    https://www.youtube.com/watch?v=FWiyKgeGWx0








         _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
         > だが、実際の大航海時代はそんな生易しいものではないのだ<
          ̄Y^Y^Y^ Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^YY^YY^Y^Y^ ̄












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7 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:03:04 ID:EcTaGEX20
夢や希望などあったものではない。あったとしても金と名声、果ては支配欲にまみれた夢や希望である。
そして海に待っているのは孤独と絶望。まさに狂気の世界。
人は海などに出なくてよかったのだ。人は海に出て、世界を乱した。

さあ、地獄の時代が幕開ける。今日はモニターの前の皆さんに大航海時代は如何なるものかというのを知ってもらいたい。
もちろん、ブーンも一緒だ。
だが時代が時代の為か、どうせ海に出ればすぐ死ぬのでブーン一人ではなく、一族に登場してもらおう。




  「僕はブーンだお!」 「僕はブーンだお!」 「僕はブーンだお!」「僕はブーンだお!」 「僕はブーンだお!」

      ( ^ω^)       ( ^ω^)       ( ^ω^)       ( ^ω^)        ( ^ω^)

         ブーン       ブーン2世      ブーン3世       ブーン4世        ブーン5世
    (1401 - 1434)    (1432 - 1487)     (1460 - 1500)    (1480 - 1497)     (1498 - 1521)




ここに5世代に渡って時代に振り回された哀れなブーンを用意した。それぞれが気のいい奴で、憎めない、絶妙な具合になっている。
彼が身をもって大航海時代がどんな時代だったかを紹介してくれるハズだ。

長い前書きもこのくらいにして、時代とともに無様に死んでいくブーン達を実際に見てみよう。
さあ、ブーンの楽しい大航海時代の始まりだ。


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8 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:03:55 ID:EcTaGEX20
















                                ( ^ω^)

                          1. ブーンの楽しい大航海時代













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9 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:05:45 ID:EcTaGEX20

§ ブーン(1401 - 1434)                                 https://www.youtube.com/watch?v=Qe4yTxbOTi4


さて、前置きもそのくらいにして、と言っておきながら背景を少しは押さえておかなくてはゴリラのココでも中々理解がしづらい。
そもそも大航海時代とは、ポルトガル、スペインを中心とする国が活発に海外進出が盛んだった15世紀あたりのことを言うのであるが、
どうしてそんな時代になったのかということを知っておくと、ふりかけ位にはウマ味が増すだろう。


大航海時代になるキッカケとしては、以下の3つを押さえておけば良い。


         _人人人人人人人人人人_
         > イスラムマジ強すぎィ!<
          ̄Y^Y^^Y^Y^Y^YY^Y^Y^Y^ ̄

         _人人人人人人人人人人人_
         >  プレスタージョンッ!!  <
          ̄Y^Y^^Y^Y^Y^YY^Y^YY^Y^Y^ ̄

         _人人人人人人人人人人人_
         > コショー便利すぎひん!?<
          ̄Y^Y^^Y^Y^Y^YY^YY^YY^Y^Y^


これだけ押さえておけば、小学生相手に大航海時代を知っている風を吹かせることが出来る。
詳細は順を追って短めに説明していきたい。特にコショーの話に関してはもう少し後、さしあたって一匹くらいのブーンがくたばった後くらいの話になるだろう。

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10 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:06:34 ID:EcTaGEX20
物語に入る前、ブーンの先祖の住むヨーロッパのすぐ隣にモンゴルさんというキチガイ虐殺おじさんが住んでいた。
が、実家で喧嘩があったとか何とかでずっと東の方まで帰って行ってしまう。
人の親を目の前でみじん切りにしていたモンゴルおじさん。そんな彼に恐れおののいていたイスラム国家はラッキーとばかりに元気になった。

そんな中、ヨーロッパではモンゴルおじさんにビビりながらもキリスト教ブームが巻き起こっていた。
だいたい1990年代の安室奈美恵や浜崎あゆみ程度には盛り上がっていて、それなりの人たちがキリスト教いいよね〜と口を揃えていた。

当時のヨーロッパはブーン系ツイッター民ぐらいに排他的なお国柄。のそのそやってきたイスラム野郎どもをぶっ殺そう!と騒ぎ立て始める。
が、このイスラムはちゃめちゃに強い。ホントつよい。強さには理由があった。
イスラムに人間にとってアッラーの敵との闘いは聖戦である。聖戦の中で死んだ肉体は魂となって天国みたいなハッピーなところに行くのである。

つまり、イスラムの人間は戦争で死ぬことがまったく怖くないのだ。これには、遊びとばかりに王をも殺すヨーロッパ人もビビりまくり。

           |      丶
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「オッス! オラ、イスラム戦士! いっちょジハードやってみっか!」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜−_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

            イメージ画

兵器に物言わせてオラオラやってるヨーロッパもこれにはタジタジアンドタジ。とはいえイエス様が見ているので引くに引けない。
一進一退の泥沼試合が続いていくのである。

11 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:07:12 ID:EcTaGEX20
強いイスラムにコテンパンにされてもめげないヨーロッパ戦士。彼らが頑張るのにもちょっとした理由があった。
それは、




            殺 伐 と し た 中 世 に プ レ ス タ ー ジ ョ ン が !
             \                    /
               \  丶       i.   |      /     ./       /
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               \
                                              -‐
              ー                  「プレスタージョン!」
             __               。。               --
                 二           ∧∧         = 二
               ̄              (・∀ ・)               ̄
                -‐             <(  )>             ‐-
                             <  >
                /
                        /               ヽ      \
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         ◎                                    ∥∥
. ./ ̄ ̄ ̄ / . /''7    / ̄ ̄ ̄/  / ̄ ̄ ̄ /         . /__7 , /''7       / ̄/ ./''7
   ̄ ̄/ /  / / ___   ̄ .フ ./.  / ./二/ / .         /__7 ./ / / ̄ ̄. ̄/  ̄  / / 
  ___ノ / .. / /_ ノ /  .__/  (_.. /__,--,  /   / ̄ ̄. ̄/.   ___ノ / ./ ̄ ̄ /  ___ノ /  .
/____,./   ./_____.ノ  /____ノゝ_/   /___ノ   .   ̄ ̄    /____,./ ,.二二/ / /____,./  .
                                                 ̄


プレスタージョンの存在である。

12 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:08:47 ID:EcTaGEX20
プレスタージョンって何だろう、プレデターみたいで強そう。みたいな人も多いだろう。
簡単に言えばプレスタージョンとは、東方にあるキリスト教国家の王様である。
しかもその国はハチャメチャに強い。グレートコナンみたいな筋肉隆々としたゴリラみたいな人間がアホみたいにいて、クッソ強い。そんな国だ。

だが、この国は本当にあるのかどうか確認されたことがないまま今日まで来ている。ネタをバラしてしまえば、いわば当時の都市伝説である。

が、この (・∀ ・) 「プレスタージョン!」 なる男。たびたびイスラムとの戦いに現れているので、侮れない。
なんたって「ペルシャよりもずーっと東方からプレスタージョンとかいうカッコイイキリスト教君主がムキムキ野郎を引き連れてペルシャをぶっ飛ばした」
という報告がガチンコでされているのだ。

ペルシャより東方といえば、キタイやインドなど。そしてインドといえばキリスト12使徒随一のおもしろ男”聖トマス”が営業しに行った場所。
たしかに、あの聖トマスが笑いを取った場所なら、そこに”おもしろキリスト軍勢”がいてもおかしくない。

時代が過ぎるにつれ、プレスタージョンなるすんごい強いキリスト教マンはマジで存在するという気になって来たヨーロッパ人。
そんな中、十字軍が「プレスタージョンが助けてくれたおかげで勝った!! ヴィクトリーーー!」なんて報告をしてきた。
連日負けっぱなしで泥水を飲むにふさわしい有様の十字軍が勝ったなんて言うからヨーロッパ人はビックリ。

      rfニ、ヽ
      l。 。 f9i  プレスタージョン!
      t≦_ノゝ、            ,,....,,,,__
      `ブ´,,:: -- ::、       ,r''"''''''ヽ:::`ヽ.
      ,rニュf::r-‐t::::::::ヽ     f´,,..、 r"::::::::::i   プレスタージョン!
     /,,, Y.. -‐ ヾ::::::::l      ノ゙ f・=  7:::::::::::l.
      ム゚゙゙' く、'゚`  ゙'"):::l    ヽ''    ゙'⌒リ:ノ  ,:rニテ三ミゝ、
     l=,,;;:. l=、  ..::" ,)ヽ、   j⌒    ト'"fノ ,r"彡彡三ミミ`ヽ、
    /`ゝ-''^ヽ''"  ,/: : : :\  ヽ、: : : '" ノ^i,  ゙ゞ''"´   ゙ifrミソヘ,
    /rf´ i′  ,f^ヽノ:,. - - 、 ヽ,,. -テ) ,/  `ヽ:,i ,,.,...、  ヾミく::::::l
   ゙'゙  l   l: : j :f´: : : : : ヽ,/   '''"´  ,,.: -  lヲ ェ。、   〉:,r-、::リ
      !   /: :ノ l: : : : : : : ノ,      ,:'"   / ,, 、   '"fっ)ノ::l
      /-‐-/: :/: l: : : : : : ,/ /     /       `i- 、ヽ  ,.:゙''" )'^`''ー- :、
. _,,..::-,テ   /`7: :(: : : : : //'´ミ)ゝ^) 〃      i、ヺi .:" ,,. /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙
`_,:ィ''"  _,r''" f: : :ト---ヲ ト、つノ,ノ fノ       ノ゙i  ,,.:ィ'" /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
-‐-‐'''フ"  ,.ノ,:::::」、,:r'"  i _,,.:イ  /      ,r''";;;;;;`゙゙" ヽ_,,ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
、..、く´_,,∠"ィ''"´ /    ,ヽ  ゙:、 /\、   /;;;;;;;;;;;;;;;;;r-'"´`i,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
´  ,ヘr:、-、=---/    ,:イ ヽ  \  `ヽ〃_;;;;;;;;;;;;f´'     ll;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
ーフ´ > ヽ`ー、/    /く _,,..ヽ   ヽ ,/  `゙''ーハ.     l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
/ / ,,ゝヽ, )  ,./ ィ'"   ゙t    `'     /^t;\  ,,.ゝ;;;;;;;;;;;;;;;i;;;;;;;;;;;;

やがて、民衆は声を揃えてプレスタージョンを称えるようになった。

13 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:09:32 ID:EcTaGEX20
しかし、所詮は都市伝説。大衆は騙せても知識人は騙せない。
知識人たちはプレスタージョンに半信半疑であった。

「本当にそんな話があるのか?」 「いや、信じがたいな」 「しかし、あの十字軍が……」 などと偉そうなハゲ頭をぶつけあって議論する始末。
知識人たちはものすごく頭を悩ませた。悩んだ。悩んだ。

そして存分に悩んだ末に、「東方に存在するプレスタージョンの帝国は広大であり、土は越えている。黄金があらゆる場所から出土するため、川は
金に染まり、蜜の味がする。また、宝石が良く転がり落ちていて誰でも好きにとれる。故に最強であり、出陣の時には筋肉隆々の軍団の象徴として
14本の黄金の十字架が並ぶのである。すごい国だ」 という、知識人全員が大納得の優しい結論に落ち着いた。

そんなすごい人と国があるのなら、俺たちもがんばろ〜!お〜! といった具合にヨーロッパ戦士たちは立ち上がった。

            殺 伐 と し た 中 世 に プ レ ス タ ー ジ ョ ン が !
             \                    /
               \  丶       i.   |      /     ./       /
                \  ヽ     i.   .|     /    /      /
                  \  ヽ    i  |     /   /     /
               \
                                              -‐
              ー                  「プレスタージョン!」
             __               。。               --
                 二           ∧∧         = 二
               ̄              (・∀ ・)               ̄
                -‐             <(  )>             ‐-
                             <  >
                /
                        /               ヽ      \
                /                    丶     \
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  ___ノ / .. / /_ ノ /  .__/  (_.. /__,--,  /   / ̄ ̄. ̄/.   ___ノ / ./ ̄ ̄ /  ___ノ /  .
/____,./   ./_____.ノ  /____ノゝ_/   /___ノ   .   ̄ ̄    /____,./ ,.二二/ / /____,./  .
                                                 ̄

プレスタージョンはヨーロッパ人の心なのである。
なお、その後十字軍がプレスタージョンの援軍頼りに最強イスラム軍団のいるエジプトに特攻しているが、そんなものが来る訳なく、大敗。
そのままヨーロッパのおギャグ担当を欲しいままにした事は喜ばしいニュースである。

14 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:10:36 ID:EcTaGEX20
はてさて、こんな話をいつまでも続けてもしょうがない。
そろそろブーンを登場させようと思う。


( ^ω^)「ブーンだお!」


彼はブーン。出来立てほやほやの赤ちゃん国家、ポルトガルで生まれた。
ブーンのお父さんは国に仕える人。いわゆる公務員みたいなもので、ブーンはあんまり不自由することなく育ってきた。
とはいえ、キリスト教ブームのさなか、近くのイスラム国家に喧嘩を売ることはしばしば。決して生活が安定していたわけではない。

そしてブーンは大人になってお父さんと同じように国に仕えることになった。

当時、ポルトガルにはエンリケ王子という、いかにも王子っぽい名前の王子がいた。

                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',   「私はイスラムが嫌いだ!
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |    イスラムが滅びるならアッラーを崇めたって良い!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l 
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

彼はブームに乗りまくってイスラムが大っ嫌い。暇さえあればイスラムをぶっ潰すことばっかり考えていた。

15 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:13:30 ID:EcTaGEX20
しかし、エンリケ王子のいるイベリア半島にはイスラム勢力が結構な感じで蔓延っていた。
蔓延っていた所か、グラナダとかいう一国まで出来てしまっている始末。これにはイスラムアレルギーのエンリケ王子もたまらない。

エンリケ王子も頑張ってイスラムを叩くが、前述のとおりイスラムは強い。エンリケ王子もくじけそうになる。
アフリカ北部はイスラム一色。いつイベリア半島にイスラムの皆さまが大手を振って駆けてくるかわからない。エンリケ王子は恐怖に震えた。
しかし、エンリケ王子。ある日ひょんな事を思いつく。

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                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
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            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「イスラムを背後から刺せば
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    良いんじゃないだろうか……」
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
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               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
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                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です


正面からやっても歯が立たない。ならば背後から、と”引いてだめなら押してみな”理論を思いつくのである。

16 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:14:20 ID:EcTaGEX20
エンリケ王子の考えは、こうだ。
               
      ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
     /´         `〜、_ |`〜、_,、__/   
   ,/                    ヽレ、
  /        イスラム         ヽヽ     ← このへんのイスラム勢力を
 |                         ヽ ヽ
 `|                         ヽ ヽ
 (                          ヽ |  _、-
  |                           \`´,-フ
  \                            ̄  /
    `\,,〜〜〜´`L_、                  /        ※アフリカ北部です
               ↑
              この辺から攻めていきたい

うーん、実に見事な考え。これにはカルタゴのハンニバルも脱帽。
これは最高! と、エンリケ王子は即行動に移した。国の大きなバックアップを受けて”アフリカ背後からグサり作戦”を決行するのだ!

モニターの前の皆さんはそろそろ疑問に思うかもしれない。「こんなふんわりとした考えで国が動くのか……?」と。
それが、動いた。理由は

            殺 伐 と し た 中 世 に プ レ ス タ ー ジ ョ ン が !
             \                    /
               \  丶       i.   |      /     ./       /
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                  \  ヽ    i  |     /   /     /
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                                              -‐
              ー                  「プレスタージョン!」
             __               。。               --
                 二           ∧∧         = 二
               ̄              (・∀ ・)               ̄
                -‐             <(  )>             ‐-
                             <  >
                /
                        /               ヽ      \
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         ◎                                    ∥∥
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   ̄ ̄/ /  / / ___   ̄ .フ ./.  / ./二/ / .         /__7 ./ / / ̄ ̄. ̄/  ̄  / / 
  ___ノ / .. / /_ ノ /  .__/  (_.. /__,--,  /   / ̄ ̄. ̄/.   ___ノ / ./ ̄ ̄ /  ___ノ /  .
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                                                 ̄

こいつだ。

17 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:16:05 ID:EcTaGEX20
この頃、東方のプレスタージョンはなぜかアフリカ中部(現在のエチオピアあたり)に国を作っていた。もう完全に設定ブレブレ。
偉い人たちは考えた。エンリケ王子が一生懸命アフリカを背後から突くのであれば、あの憧れのプレスタージョンに会えるのではないか?
となると、すでに乗り気だったエンリケ王子も100倍乗り気になる。

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            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「もしかしたら、プレスタージョンと
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    軍事同盟なんかも結べるかも……」
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
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                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
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               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
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                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

エンリケ王子は思った。これを機に国をあげてプレスタージョンと友達になろう!
こうしてはいられない。早いところアフリカの南の方まで行かなくては!

18 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:16:55 ID:EcTaGEX20
エンリケ王子は早速海洋事業に乗り出した。
アフリカの西側の海を南下して、ある程度のところで拠点を築き、イスラム勢力を攻撃しようとしたのである。
しかし、当時の船乗り達にとって、アフリカの西側の海はまったくもって未知の世界だ。

ひとまずエンリケ王子の命令を受けて、ポルトガル中の船乗りはアフリカに向けて出港した。
が、ちょっとも経たないうちにホイホイと戻ってきてしまう。大半の船はアフリカの西の先っちょだけを航海して戻ってきてしまうのである。

ここでエンリケ王子、ムキになる。

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            / ト、 l \_/                      \ノ
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            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「我が親友を海に捧げる!!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
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                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

ついにエンリケ王子はリーザルウェポンを導入した。ジル・エアネスという人物である。

20 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:18:15 ID:EcTaGEX20
                 (/( <: : : : : : : : : : :>- ノ(/(
                ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/(
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               /: : : : : /⌒V(\ : : : : : : : ーく
               }: : : : :/芹苧ミ.  \: : : : : : : : }
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               {: : : : : : : :ー=彡  ┼=彡: : : : し  「馬、いいよね……」
              : : : : : : : ー=ニア   ' ー=: : : イ(.}
             ( : : : : : : : : :ア¨ --― - ア: :r=彡′
            }ト-=彡: : : : :ハ    こ  . : : |
            ゝ-=彡: : /刈込     /: : : { }i
              }八(⌒V  ∧〕=- .ィ⌒ー=彡
                /     / V`¨¨¨7∧ム
.              人   /  ∨___,/ ,∧L
             <   \_,/    ∨,/   ∧ >---

            ジル・エアネス (生年没年不詳) 

エンリケ王子の素敵な友達、ジル・エアネス。普段は馬のお世話をしている生き物係だ。
エンリケ王子は命令した。「アフリカ西部を本気で探検してこい」と。
今まで完璧に馬のお世話をしてきた、ジル・エアネス。エンリケ王子は彼なら完璧に仕事をしてくれると考えた。

ジル・エアネスは二つ返事で承諾。すぐさまジル・エアネスを司令とした西アフリカ探検プロジェクトが始動した。


( ^ω^)
   φ....


国に仕えていたブーンもこのプロジェクトの一員だ。上司の命令に従って、長期の航海に必要な物資を集めた。
乗船はしたことがないものの、何回か航海プロジェクトに参加しているブーン。ノウハウは大体わかっている。
水は腐るからワインをたくさん積んで……。干し肉やビスケット、チーズにバター……。

それなりに出来る男のブーン。人だって集める。ポルトガル中のベテラン船乗りたちをたくさん引き抜いた。


( ^ω^)「完璧!」
  p q

そうこうしている内に、いい感じに準備が整った。ブーンも上司に褒められてうれしい。
がんばった! というような顔をしてジル・エアネスが出帆するのを港から見送った。

21 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:20:03 ID:EcTaGEX20
                 (/( <: : : : : : : : : : :>- ノ(/(
                ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/(
               ¨ア : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ノ
               /: : : : : /⌒V(\ : : : : : : : ーく
               }: : : : :/芹苧ミ.  \: : : : : : : : }
.               ノ: : : :八_ `¨¨^  __{ノ : : : : : : ノ
               {: : : : : : : :ー=彡  ┼=彡: : : : し  「馬が恋しくて……」
              : : : : : : : ー=ニア   ' ー=: : : イ(.}
             ( : : : : : : : : :ア¨ --― - ア: :r=彡′
            }ト-=彡: : : : :ハ    こ  . : : |
            ゝ-=彡: : /刈込     /: : : { }i
              }八(⌒V  ∧〕=- .ィ⌒ー=彡
                /     / V`¨¨¨7∧ム
.              人   /  ∨___,/ ,∧L
             <   \_,/    ∨,/   ∧ >---

            ジル・エアネス (生年没年不詳) 


が、しばらくしてジル・エアネスは戻ってきてしまう。もちろん、アフリカ西部はほとんど探検出来ないままだ。
何の成果もあげられずに帰ってきてしまったこの男。当然エンリケ王子に怒られた。

                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
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            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「もう絶交だ!!!!!」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
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                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

エンリケ王子は”もうお前なんか知らない!”とばかりに彼を冷遇してしまった。
プンプンのエンリケ王子、ジル・エアネスに”お前はいれてやんねー!”と、実力ある他の人間を司令に、どんどこアフリカへと送り出す。

22 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:23:27 ID:EcTaGEX20
こうして白羽の矢が当たったのがブーンの上司だ。

               ,. -‐ 、
            , '  ,ハ 、 ` 、
           /   .,'  `゙ヽ、、`ヽ
            !  ィ'._ニ .._ ,  `ヽノ
            l ,' ゙!| ``’`  {ェテ}
           |.! !}      i. !    「ワシは有能だ」
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ブーンの上司は非常に有能な男だった。詳しいことは書かないが、非常に有能だった。
このブーンの上司は何度か航海に出たことがあり、少し前のセウタ攻略では結構頑張ってイスラムをぶっ叩いた。これがエンリケ王子にウケたのだ。

ブーンの上司がアフリカに征くというので、ブーンもプロジェクトを動かした。


( ^ω^)
   φ....


今回は自分がプロジェクトリーダー。乗船はしないものの、それに必要なものを集めて回った。
それだけじゃないぞ、今回のブーンはちょっと違う。出帆の許可を港にとったり、手配書を回したり、自分の足で商業会に赴いたり、
いつものブーンじゃないくらい働いた。

よーし、いい感じに準備がすすんできたぞ〜と思った矢先、衝撃的な事件が起きてしまう。

.

23 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:24:36 ID:EcTaGEX20
なんと、ブーンの上司がポックリ死んでしまったのだ。

               ,. -‐ 、
            , '  ,ハ 、 ` 、
           /   .,'  `゙ヽ、、`ヽ
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            l ,' ゙!| ``’`  {ェテ}
           |.! !}      i. !    「ワシは死んだ」
               },゙r1  , _`_′'     
           ´}!_ \.   -  ,'
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( ; ゚ω゚)「えええええええええええええええええええええええええええ」


死因は当時良くある”食あたり”だった。
謝肉祭で食べきれなかったお肉を食べてしまったのだ。ちょっと糸引くなぁ、と思ったが食べてしまったのだ。
これにはブーンも参った。香典なんかも集めたり上司の奥さんを慰めたりしたけど、プロジェクトのことが気がかりで仕方がない。

果たしてブーンの上司亡き今、誰がアフリカに向けて出帆すると言うのだろうか。


( ;´ω`)「……?」


ある日、ブーンの元に一通の手紙が届いた。恐ろしい事にエンリケ王子からだ。

24 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:26:13 ID:EcTaGEX20

      ある日がんばるブーンに
       手紙が届きますた・・・
          _____
         / ヽ____//
         /   /   /
        /   /   /
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       /   /   /
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       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                                    https://www.youtube.com/watch?v=wEQ0-ZzEacQ


       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
       |                    |
       |                    |
       /    ̄ ̄ ̄ ̄      /_____
       /                   /ヽ__//
     /    お前が行け     /  /   /
     /              /  /   /
    /   ____      /  /   /
   /             /  /   /
 /             /    /   /
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /
                      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


( ; ゚ω゚)「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

ブーンは知っていた。アフリカの西にちょっと行っただけなのに結構な数の船員が死んでいることを。
ブーンは知っていた。3分の1は船長が亡きまま帰ってくることを。
ブーンは知っていた。自分に白羽の矢が当たってしまうことを。

25 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:28:23 ID:EcTaGEX20
ああ、哀れブーン。こんなことになろうとは。
王子から直々にお前が行け、と言われたのであれば上野のトイレでさえ尻を磨いて裸で行かねばなるまい。
その上ブーンはまだ船に乗ったことがない。初航海が司令でアフリカ探検なのだ。こども店長がゴールドマンサックスを買収しようとするものだ。

ブーンの用意した食料だって、ハチャメチャに節約をしなくては生きて帰ってこれない。食いしん坊のブーンにはこれがつらい。
これ以上積もうものなら海の藻屑だ。ただでさえクラゲみたいな体が本当のぶよぶよぷくぷくクラゲとなって海に打ち上げられる。
誰よりも航海の厳しさを知っていたブーン、絶対に海には出たくない!


( ;´ω`)


しかし、もう決まりである。ブーンは出帆しなくてはならない。海の荒くれ達を連れて。
かわいそうなブーンはとぼとぼと帰路につく。妻のツンと息子のブーンにそのことを告げねばなるまい。

もちろん、海に出ることというのは世間的に考えれば非常に誇らしいことである。
希望と野心に燃える冒険家! 川口浩みたいで非常に聞こえが良い。

しかしブーンにそんなものは一切ない。
上司が死んで、仕方がなく生死を賭けるのだ。仕方がなく死ぬ思いをして海に出るのだ。
出てしまえば二度と帰ってこれないかもしれない。あのムカツク顔したエンリケ王子に無理やりに海に追いやられるのだ。

少しでも名声を手に入れたい、とか、見たことないものを自分の目で……、とか打倒イスラム!とかそういった気持があればよいのだが、
ブーンにとっての幸せとはツンと息子のブーンと仲良く三人で幸せに暮らすことなのである。
誰がブーンをこんな運命にさせたろう。時代がそうさせたのだ。プレスタージョンは悪くない。

26 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:30:00 ID:EcTaGEX20
                                                  https://www.youtube.com/watch?v=hvDBWw2C3Hg

帰宅して早速、妻のツンに航海に出ねばならないことを告げた。
この話を聞くと妻のツンはわあわあわあわあと泣き出してしまった。


。・゚゚・ξ><)ξ・゚゚・。 ビエーン


無理もない。夫が死にに行くようなものなのである。その上小さな息子までいる。この殺伐とした中世を女で、かつ一人で育てて行かなくては
ならなくなるかも知れないのだ。当時、女一人で育てるなんて言ったら体を売らねばならない。
泣きすがってでもエンリケ王子にブーンのアフリカ行を止めたい所なのである。


( ´ω`)


そんなツンを見ていたら、なんだか不憫でかわいそうで。ブーンは非常に申し訳なくなった。
そう考えていたら、なんで自分は海に行かなくてはならないのだろう、自分が何をしたというんだろう、と考え始めた。


。・゚゚・( ´ω`)・゚゚・。 オーン


今度は自分がとてもかわいそうになって来て、ブーンまでわあわあわあわあ泣き始めてしまった。


(;^ω^)


大の大人二人が子供みたいに泣いているのを見ていた息子のブーン。
お父さん、お母さんがこんなに泣きわめくのなんか生まれてこの方一度も見たことがない。

28 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:31:42 ID:EcTaGEX20
そんなの見ていたら、全く意味の分かっていない息子のブーンもなんだかだんだん悲しくなって来て、結局息子のブーンまで
わあわあわあわあと泣いてしまった。


。・゚゚・( ´ω`)・゚゚・。 オーン  。・゚゚・ξ><)ξ・゚゚・。 ビエーン  。・゚゚・( >ω<)・゚゚・。 エーン


悲しいことにこれが中世。一家三人が涙での結束を果たした所で運命は変わりはしない。
ブーンは海に行き、ツンは一人で小さなブーンを育てなくてはならなくなるのだ。



( ´ω`)(´ω`)ξ´凵M)ξ



その日、三人は肌を寄せ合って眠った。
泣きはらしたところで運命を変えることは出来なかったが、三人の間にはちょびっとだけの家族愛みたいなのが生まれた
ような気がした。




さて、しばらく時が過ぎて出港の日となった。
今日と言うXデーが来るまでブーンはまったく眠れなかったが、どうにかして妻のツンと息子のブーンには笑顔でサヨナラをいう事が
出来た。やれやれ、かわいそうなブーン。こうなったのは決してプレスタージョンのせいでは無いぞ。

29 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:33:29 ID:EcTaGEX20
ブーンの船は当時にしては大きめのキャラック船一隻とキャラベル船だ。どちらも最新鋭の船だった。
キャラック船の方にたくさんの積み荷を詰め、キャラベル船の方には人員を多く配備した。
もちろん、ブーンは司令官であるため、大きいキャラック船の方に乗り込んだ。


( ´ω`)ノシ


さて、出港の時である。アルガルヴェの先端から、アフリカ西部へと旅立つ。
地元民の歓声に手を振ってはみるが、まっっっっっったく気乗りしない。吐き気さえ催すブーン。なんとかわいそうだろうか。


ブーンの航路は、こうだ。


                 この辺を
                / 
             / 
          /   ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
        ◎    /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
 こう進んでいく!,/                    ヽレ、
          /                      ヽヽ
         |                         ヽ ヽ
         `|                         ヽ ヽ
         (                          ヽ |  _、-
          |                           \`´,-フ
          \                            ̄  /
            `\,,〜〜〜´`L_、                  /
                      )                /


単純にして完璧! 古くからプロジェクトに関わってきたブーンに狂いはない!! これでアフリカ攻略だ!

30 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:35:26 ID:EcTaGEX20
さて、出港してからしばらくたち、ついにアフリカの大地が見えた。
これもブーンの計画通り。あとは陸から目を離さないで南下すれば良いだけなのである。航海は順調。幸先が良い。

当時は近海航法が主流であった。
陸の近くをのんのんとのんびり進んでいく、と言ったもので当時ビビり野郎の多かった船乗りたちの間ではそれが普通だったのだ。
だって、陸が見えなくなったら怖いじゃん。という理由ただ一つである。

少し頭の回転の速い人なら、ある一つの疑問が浮かぶであろう。
”座礁するんじゃね?”と。

ご名答である。

    .ソ三三ニ|      ─               ヘ                        https://www.youtube.com/watch?v=FBQr6ryEorg
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「キャラベル船が座礁……、しました……」
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /


( ; ゚ω゚)「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


思い出していただきたい。エンリケ王子が海洋事業に乗り出したとき、多くの船がアフリカの西をちょっと行っただけで逃げ帰ってきた事を。
その半数が仲間の船が座礁したのを見て、逃げ帰って来たのである。

そして今、ブーンはその危機に直面した!どうする、ブーン!

32 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:36:43 ID:EcTaGEX20

( ; ゚ω゚)「あわわあわわ」


これは困った。しかもキャラベル船には多くの人員が乗っている。アフリカの海に詳しい人間や海図に詳しい人間もいるのだ。
慌てふためくブーンに船員から”とにかく、向こうの船長に連絡しましょう”との神の声。
早速ブーンは連絡船を出して、座礁した船へと向かわせた。

と、同時に陸から何隻かの船がこちらへ向かってきた。一体何者だ!


           |      丶                                https://www.youtube.com/watch?v=rjdJHEQ-85g
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「おめぇらやっぱドジだなぁ〜。オラ、おどれぇたぞ!」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜−_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

            イメージ画


イスラム戦士だ!! 忘れてはならない、この土地はイスラムの支配下だ。
地元のイスラム戦士は知っていたのだ。この辺を通れば座礁するかも、という事を。

.

33 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:38:22 ID:EcTaGEX20
万事休す、ブーン。すでに座礁した船はイスラム戦士に取り囲まれている。連絡船員もイスラム戦士に切り付けられて海に捨てられた。
そして、ついにイスラム戦士たちはブーンのいる船にまで近寄って来た! これはまずい、ブーン逃げろ!


( ; ゚ω゚)「逃げるお! 逃げるお!」


ケツまくって逃げるブーン。幸い天候が味方して簡単に振り切ることが出来た。が、多くの人員と少しの貨物を紛失。
これは大きな痛手だ。もう、すぐにでも帰りたいブーン。早く帰りたい。が、慌てて逃げたのでもっと南下を始めてしまった。
戻ればイスラム戦士がいる。ここで戻ってしまうのは自殺行為。しかし、陸から離れて大回りするのもあり得ないくらい怖い。

長らく考えた後、ブーンは孤独と絶望の中、南下することを決めた。


( ;´ω`)


もうこの時点でブーンのメンタルぼろぼろ。涙さえ出てこない。なんだか手足もむくんでくるし、最悪。
戻りたくても戻れず、知らない土地に行くだけのブーン。そんな哀れなブーンに船員たちもなんだか可哀想になってきて、


    .ソ三三ニ|      ─               ヘ   
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「歌いましょうか……?」
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /


なんて聞いてくる始末。

35 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:40:42 ID:EcTaGEX20
さて、一隻失った後も南下をしていたわけであるが、ついにカナリア諸島へ到達する。

 
              ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
             /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
        ◎ ,/                    ヽレ、
         カナリア諸島                ヽヽ
         |                         ヽ ヽ
         `|                         ヽ ヽ
         (                          ヽ |  _、-


ひとまず、ブーンの他にもメンタルぼろぼろの船員が多くいたので、立ち寄って、地に足を付けることにより元気になろうとした。
あわよくば、新鮮な水を少し積み込みたかった。
が、カナリア諸島の人間はブーン達にマジギレ。全くブーンの船を島に入れてくれない。

理由はコイツである。

                 (/( <: : : : : : : : : : :>- ノ(/(
                ノ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :/(
               ¨ア : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ノ
               /: : : : : /⌒V(\ : : : : : : : ーく
               }: : : : :/芹苧ミ.  \: : : : : : : : }
.               ノ: : : :八_ `¨¨^  __{ノ : : : : : : ノ
               {: : : : : : : :ー=彡  ┼=彡: : : : し  「馬、好きかい?」
              : : : : : : : ー=ニア   ' ー=: : : イ(.}
             ( : : : : : : : : :ア¨ --― - ア: :r=彡′
            }ト-=彡: : : : :ハ    こ  . : : |
            ゝ-=彡: : /刈込     /: : : { }i
              }八(⌒V  ∧〕=- .ィ⌒ー=彡
                /     / V`¨¨¨7∧ム
.              人   /  ∨___,/ ,∧L
             <   \_,/    ∨,/   ∧ >---

            ジル・エアネス (生年没年不詳) 

この男、ジル・エアネス。アフリカから逃げ帰る時、何も持たないで帰るとエンリケ王子が怒ると思って、あろうことかカナリア諸島の人間を
さらってしまったのだ。何を考えているんだジル・エアネス。これは人間の所業ではないぞ!

36 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:42:58 ID:EcTaGEX20
怒るのも無理もないカナリア諸島の人々。ブーン達も戦う気力なんてこれっぽっちもない。脳裏にはあのイスラム戦士のニヤケ顔
が張り付いている。ブーン達は流されるように追い返されてしまった。


(ヽ´ω`)


メンタル面で本格的にピンチのブーン一行。ちょんぼししか残っていない精神ゲージを切り詰めて南下していく。
ブーンにとっては穏やかな海も、高い空もただの地獄の光景にしか見えなくなる。

しかも船内で病気が流行り始め、毎日2、3人の死体を海に投げ捨てている。冗談ではなく、地獄の光景になり始めた。

カナリア諸島を越えて、ブーンの船はある岬に差し掛かった。


              ,へ〜~~ ̄ ̄フ,           フ
             /´         `〜、_ |`〜、_,、__/
          ,/                    ヽレ、
         ◎ ボハドル岬               ヽヽ
         |                         ヽ ヽ
         `|                         ヽ ヽ
         (                          ヽ |  _、-


ボハドル岬だ。ブーンはあの岬にたどり着いて、早いところ地に足を付けたいと考えていた。
が、岬が見え始めてから船員たちがざわざわとし始めている。
メンタルがすでに死んでいるブーンもこれには何事かと思い始める。

37 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:43:56 ID:EcTaGEX20
    .ソ三三ニ|      ─               ヘ   
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「こ、これ以上は危険です」
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /

ベテラン船乗りの話を聞くブーン。すると、こんな訳の分からない事を言い始めた。

    .ソ三三ニ|      ─               ヘ   
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「あれはボハドル岬。あれより南に海はありません」
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /

(ヽ´ω`)「……?」

ブーンにとっては意味不明である。

38 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:44:45 ID:EcTaGEX20
当時の船乗りたちの常識としては、こうだ。
ボハドル岬を越えると巨大な滝があり、奈落の底へ落ちる。これ以上、海はないのだ。
冗談ではなく、船乗りたちは大マジでこの話を信じていたのである。


(ヽ ゚'ω゚)「!?!?」


この話を聞いたブーンはひっくり返ってしまう。正常な思考能力であれば、分かるであろう迷信もマジに信じてしまうブーン。
さらに頭の良いベテラン船員は続ける。

    .ソ三三ニ|      ─               ヘ   
   〈三三三.ヽ,,,   / ̄ ̄ ̄ヽ、       ─  ヘ
   〈三三三三/    /ニニニヽヾ.ヽ、    /⌒ヽ .リj
  .  (/⌒ヘミ三/    /     .\ゝ   /ニニニゝ /ミl.
   /人 |三|   =、`─‐o─-  /__ソ.     | | |彡〉
  .|/ ソ>.|三|    ヽ、` ̄ ̄´ ノ     \to─、レ゙ lr‐i   「その上、このまま南下すると赤道が近いです。
   | ゝ .|三|   u  ̄ ̄ ̄´       ヽ ̄¨´  |6 }   赤道の海は燃え盛っていて、この船ではとても……」
   ヽ、 .{三|          _r'`    ,__、} ̄^  / /゛
     ゞレ|三〉        /   .、 ̄   ヽ、   / /
      .|ヽ        l───ッヽ、    )  ト/
      .| \\             ヾ____ノ  /f′
     /\    \   i ッ--―ー──、 /  /
    ィ////.ヽ、         ` ̄ ̄ ̄ ̄''´/  /


確かに。確かに、この話はブーンにもしっくり来るところがある。
つい先日、外に出ていたら皮膚が赤くなって、夜にはペリペリと皮が剥けたのだ!しかも昨日はヒリヒリと痛かった!
流石は頭の良いベテラン船員。ブーンをうならせる。

39 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:45:29 ID:EcTaGEX20
このまま南下すれば海は沸騰する。そして燃え盛る。これはマズい。南下しても燃えて死に、北上してもイスラムおばけに殺される。
ブーンは終わりだった。いわゆる、詰みの状態である!
                        , -― '" ̄ ̄ ̄ ̄ > 、
                 ,イ  ,ィ    ,  '"                \
            / ト、 l \_/                      \ノ
            l   `ー―'       /               \
            ゝ            /                      ',
            ト、_,>、  l      /        、   、             ',
                \__,才  \_  l     ,  l   ト、            ',
              /   \___人   ,イ /!  /l ム   |         |   「海が燃え盛るとか笑止千万」
                { , ,  <   ノム / | / ノ/_ノ 人ム  乂       |    
              ヽl l , ハ´ ̄≧x ゝ | l/ 才f升幵手、   >     \
                 ヽ| ト、{ l 乏込式l 乂    ´込r少'´ |         \
                     ヽ __≧=‐'     | l        ,ィ   |          \
                /    ',      | |      { t_ノ              ',
                  /       '     j j       ,仆、_,イ  /     ,      l
                   /       ',     ヽr'     { `ー'  /     /        l
               l       ' ,   ,ニニ,__    \_____/    /       l
               |          >,  ー--      ,イ       ,ハ       l
               |      ,  '"∧         / |      /  ',         l
               |  , -‐'"       l>、   , r<⌒ヽl       l   ',        |
                j/            |  ` ´ |     ム     |    ',       |

                    エンリケ王子 (1394 - 1460) ※男です

なお、あのエンリケ王子は天文学やら地理学やら結構勉強していて、周りの人間には”迷信やで”とか、”自信もって進んで良いで”
とか喋っていたのだが、下々の船員までには伝わってはいなかった。
      っ
     っ
(ヽ ゚'ω゚)

ともかく、一大事となった。早く引き返さなくては海が燃えてしまう。奈落の底に落ちてしまう!

40 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:46:39 ID:EcTaGEX20

(ヽ ゚'ω゚)「い、今この場より北上するお!」


これは英断だ、ブーン。このまま進んでは全滅必至。船員の命を守るために北上するのだ。
あーあー、哀れ大司令官ブーン、迷信を真に受け北上開始。ブーンのアフリカ探検は今この時より幕を閉じる。

南下しないのだから海が燃え盛ることはない。だが、ブーンは相当パニクっており、何故か”炎が迫ってくる”と設定変更。
全速力で北上していくのである。

早く帰ろう。優しいツンが待っている。かわいい息子のブーンが待っている。
船員にだって家族がいる。早く帰してあげたい。
逸る気持ちを押さえて北上するブーン。その速さはまさに韋駄天。が、ブーンは肝心なことを忘れていた。


           |      丶                            https://www.youtube.com/watch?v=_B0CyOAO8y0
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「おめぇら忘れ物かぁ〜? やっぱドジだなぁ〜!」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜−_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

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イスラム戦士の存在を。

41 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:47:32 ID:EcTaGEX20
ブーンの船は陸に近づきすぎたのだ。ガゴッと言う大きな音とともにあっけなく座礁。
遠くからイスラム戦士が近づいてくる。何やらヘンテコな剣やら縄やらを持っているぞ。これでブーン達をどうするつもりだ!!
ニヤニヤしやがって何を考えている!

       っ
      っ
(ヽ ゚'ω゚)


ブーン焦る! これは本当の終わりに近づいているぞ!
船員たちは武器をもってイスラム戦士と戦おうとするが、下から水が溢れてきて思うように動けない!

イスラム戦士はテキパキとブーン達の積み荷を運び出す。手慣れた仕事っぷりにブーンもなんだか”もう良いや、僕たちもテキパキと
殺されるんだろうな”、と思った。
まさにその通り、何の躊躇もなくサクサク殺されていく船員たち。若い男は縛られて連れていかれたが、25を超えたような男は
サックサック首を斬られていった。

いよいよブーンの目の前にイスラム戦士が立つ。

           |      丶
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「おめぇ偉ぇヤツなのになんで戦わねぇんだ? オラわかんねぇぞ」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜−_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

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42 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/06/05(日) 00:48:17 ID:EcTaGEX20

(ヽ´ω`)「はい」



みんなが殺されていく様子をボーッと眺めていたブーン。あーあ、死ぬ前にひどい事まで言われてしまった。
こうなっては仕方がない、無様に死ぬのだブーン。


           |      丶
           |       )
    -  ⌒  ` ↓   ⌒  ⌒へ
 /~                   \
∠ _ 、       イ  イ       丶    「ま、次はうまくやれよ! じゃあな!」
      丶    / |  /     イ    L_
  -〜 -  - - (  | /  | / | ヘ     ⌒ ー _
 `〜−_ _   \く ⌒ヽ レ /⌒丶   _- - ⌒
      へ(⌒∨(⌒ヽ  /⌒)∠    ̄ー__
    〜 ̄_ヘ℃| |_  0  0  _/ / ヘ  __丶
      ̄ ̄ヾ  |   ⌒ 、 ⌒   /p 丿\
          ̄- l  ⊂  フ  ノ〜  ̄
             ヽ  _  /

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哀れブーン、屈強なイスラム戦士に首をチョンっと斬られてコロリンコ。妻ツンを残して死んでしまった。合掌。
船は解体されて、イスラム戦士たちの家々や日用家具になった。ありがとう、ありがとう!



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