('A`)お化け・物の怪・都市伝説向け就職案内所のようです

第4話〜地縛霊〜

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785 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:20:19 ID:lanxDxCs0




o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「眠れん」

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「やばい」

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「うおぉ……」

786 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:21:22 ID:lanxDxCs0

o川*゚ー゚)o「とりあえず一回水でも飲んで落ち着こう」ガチャ

o川*゚ー゚)o「えーとコップは……」

( ∵)

o川*゚ー゚)o「……あれ?」

( ∵)

o川*゚ー゚)o「こんな時間にどうしたんだろ……」

787 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:22:11 ID:lanxDxCs0

o川*゚ー゚)o「ん?そういやどっくん家にいるのに出てくるのってもしかして初めて?」

( ∵)ゴ

( ∵)ゴエェ…

o川*゚ー゚)o「うお、鳴いた」

( ∵)ゴェ…

o川*゚ー゚)o「でもショボンの話だともう喋れないみたいなこと言ってたような……」

( ∵)ゴエ…

o川*゚ー゚)o「……最後の力を振り絞ってるのかな」

( ∵)

788 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:22:54 ID:lanxDxCs0

o川*゚ー゚)o「……やっぱりあたしには何もできないや」

( ∵)ゴェ

o川*゚ー゚)o「幽霊のことは勉強したって、結局自分じゃ何もできることがない」

o川*゚ー゚)o「……」

( ∵)ゴエェ

o川*゚ー゚)o「……あたしね、すっごく嬉しかったんだ」

o川*゚ー゚)o「ずっと自分で、自分のことを諦めてたの」

o川*゚ー゚)o「どうしようもないって、これは、口裂け女でいることはしょうがないことなんだって」

o川*゚ー゚)o「きっとこれが自分なんだ、口裂け女であることがあたしなんだって」

( ∵)

789 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:23:35 ID:lanxDxCs0
o川*゚ー゚)o「でもね、それが全部じゃなかったの」

o川*゚ー゚)o「あたしが諦めてたあたしを、助けてくれる人たちがいたんだ」

o川*゚ー゚)o「自分じゃどうしようもできなかったことを、魔法みたいにあっさり、かなえてくれて」

o川*゚ー゚)o「それがね、すっごく、すっごく嬉しくて」

o川*゚ー゚)o「それでね、あたしにも目標ができたんだ」

o川*゚ー゚)o「あたしも、どっくんやショボンみたいに、色んな人とか、人じゃない存在とか、そういうのの力になりたいって」

o川*゚ー゚)o「だからね、ショボンが案内所の秘書にならないかって言ってくれて、もうこれだ!!って思って」

o川*゚ー゚)o「だからね、絶対なりたいって」

o川*゚ー゚)o「だからね、勉強とか大変で、泣きたくなる時もあるけど、でも、目標に近付いてる感じがして……」

o川*^ー^)o「……だからね、今すっごく楽しいんだ」

( ∵)

790 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:24:57 ID:lanxDxCs0

o川*゚ー゚)o「……でも、やっぱり今のあたしじゃ何にもできないんだ、やっぱり」

o川*゚ー゚)o「すごく、悔しいな……」

( ∵)ゴェ

o川*゚ー゚)o「……どっくんだったら、何とかしてあげられるのかな…」

( ∵)

o川;゚ー゚)o「……あ!そうだった!どっくん!どっくんを呼ぼう!」

o川*゚ー゚)o「今まで手を打てなかったのもどっくんがいなかったからだし、どっくんに任せればなんと…か…」

o川*゚ー゚)o「……」

o川*゚ー゚)o「いや、そもそも」

o川*゚ー゚)o「なんでどっくんが家にいるのに、この子は出てこれたんだろ」

791 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:25:38 ID:lanxDxCs0

( ∵)ゴエェ…

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「あ」

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「そうだ……」

o川*゚ー゚)o「そうか……」

o川*゚ー゚)o「そうだ!!!!」

( ∵)ゴェ

792 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:26:19 ID:lanxDxCs0

o川;゚ー゚)o「そうだよし、よし、えっと、たしか台所に……」ゴソゴソ

o川*゚ー゚)o「あった!!鍋つかみ!!!もとい幽霊つかみ!!!」
  つ∋∋

o川*゚ー゚)o「これを使って……!」

o川*゚ー゚)o
 ∋( ∵)∈ガシッ

o川*゚ー゚)o「おおっ!!本当につかめた!ショボンやるぅ!!!」

三o川*゚ー゚)o「うおおおお!!このまま移動を……!」ダッダッ
三 ∋( ∵)∈

o川*゚ー゚)o「……ん?」

:o川;゚ー゚)o:
 ::∋( ∵)∈:: ググググ…

o川;゚ー゚)o「う、動かない…この部屋から出れないのかな…」

793 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:27:18 ID:lanxDxCs0

o川;゚ー゚)o「地縛霊…そうだよね…ここに縛られてるんだ…」

o川;゚ー゚)o「……いや」

o川;゚ー゚)o「存在が消えかかってる今、現世とのつながりは弱くなってるはず」

o川;゚ー゚)o「だったら!この場所という繋がりも!弱くなってるかもしれない!!」

o川;゚ー゚)o「あとは…そう…」

o川*゚ー゚)o「根性!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

:o川;゚Д゚)o:「ぬわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 ::∋( ∵)∈:: ググググ…

794 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:28:15 ID:lanxDxCs0

o川;゚ー゚)o「……ショボンがね!言ってたんだ!!」グググ…

( ∵)ゴェ

o川;゚ー゚)o「意志の強い霊は、自分の力で出てきたりできるんだって!!!」

( ∵)

o川;゚ー゚)o「きっと強い思いが、霊としての決まりごとに勝つことだってあるんだよ!!!」

( ∵)

o川;゚ー゚)o「だからあなたも!!!自分の意志で!!」

o川;゚ー゚)o「ここから出ようって!強く思ってみて!!!」

( ∵)

o川;゚ー゚)o「後はあたしが!!連れてってあげる!!!!!」

( ∵)

( ∵)

( ∵)ゴェ

795 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:29:13 ID:lanxDxCs0

:o川;゚ぺ)o:「ふぬううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!」
 ::∋( ∵)∈:: ググググ…

:o川;゚Д゚)o:「ぐうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!!」
 ::∋( ∵)∈:: ググググ…

:o川;>皿<)o:「ぬわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
 ::∋( ∵)∈:: ググググ…

三三:o川;゚Д゚)o:「どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
三三  ∋( ∵)∈ブチィ!!!!

o川;゚ー゚)o「い」

o川*゚ー゚)o「いけたああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

( ∵)ゴエェ…

796 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:30:18 ID:lanxDxCs0

o川*゚ー゚)o「なんか凄い音聞こえたけど…なんかブチィ!ってヤバそうな音聞こえたけど…」

o川*゚ー゚)o「まぁいっか」

( ∵)エェ…

o川*゚ー゚)o「とにかく急ごう!!もうすぐ消えちゃうかもしれないし!」

o川*゚ー゚)o「だからあなたも、最後の力を振り絞って出てきたんでしょ!」

( ∵)ゴエ

o川*゚ー゚)o「よし!じゃあ……」




(´・ω・`)「…キュート」

797 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:31:18 ID:lanxDxCs0

o川;゚ー゚)o「うおぉ!しょ、ショボンいつの間に後ろに……」

(´・ω・`)「どうしたんだいこんな時間に、玄関に立って」

o川;゚ー゚)o「いやぁこれには深い事情が……」

(´・ω・`)「深い事情ってのは、今君が抱えてるそいつに関したことかな?」

o川;゚ー゚)o「ギ、ギックー!!」
 ∋( ∵)∈

(´・ω・`)「……まさかとは思うけど、試験の前日のこの夜に、今からどこかに行こうとしているわけではあるまいね?」

o川;゚ー゚)o「う」

(´・ω・`)「この前も言ったけど、君の未来にはこれから救えるたくさんの……」

三o川;゚ー゚)o「ごめんショボン!!!!」ガチャダダダ

(;´・ω・`)「あ!ちょ!!こら!!!」

798 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:32:27 ID:lanxDxCs0

o川;゚ー゚)o「うおおおおおおおおおおおお!!!!」ダダダダダ


<僕の自由がああああああああ逃げていくううううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅ……


三o川;゚ー゚)o「なんか聞こえてくるけど無視だ無視!!!」ダダダ

三o川;゚ー゚)o「……」ダダダダ

( ∵)

三o川;゚ー゚)o「あたしね、ずっと分からなかったんだ」

三o川;゚ー゚)o「あなたが何でどっくんがいない時だけ出てこれるのか!!」

( ∵)

三o川;゚ー゚)o「でも、やっと分かったの」

三o川;゚ー゚)o「今日、あなたが出てきたから!!!!」

( ∵)

799 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:34:27 ID:lanxDxCs0

三o川;゚ー゚)o「ショボンが言ってたんだ、死ぬ前にどっくんと関わりのなかった霊は、どっくんが出現条件になることはないって!!」

三o川;゚ー゚)o「でもね、でも、そうじゃないって!!」

( ∵)

三o川;゚ー゚)o「どっくん自体が条件じゃなくても、どっくんが間接的に『きっかけ』になってる場合があるんじゃないかって!!!」

三o川;゚ー゚)o「そう、例えば……『映画』!!!」

( ∵)

o川;゚ー゚)o「『特定の人物』が来たときにしか『その場所』で流されない、映画!!!」

o川;゚ー゚)o「つまり、『とある映画館』で『とある映画』が流されるとき……その幽霊は姿を現す!!!」

o川;゚ー゚)o「どっくんはその条件を満たすきっかけだったんだ!!!」

( ∵)

801 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:35:34 ID:lanxDxCs0

三o川;゚ー゚)o「どっくん言ってたもん!2人の愛…えっと…なんちゃらは、どっくんが来たときだけしか流されないって!!」

三o川;゚ー゚)o「そう、今日まではずっとそうだった!!どっくんが来たときしか、流してなかったんだ!!」

( ∵)

三o川;゚ー゚)o「そう考えると分かるんだ!あなたが出てきたときに、どっくんに電話がつながらなかった理由!」

三o川;゚ー゚)o「どっくん、携帯の電源切ってたんだよ!!!映画館だから!!!」

( ∵)

三o川;゚ー゚)o「そして!!何より!!今あなたが出てきてる!!!」

三o川;゚ー゚)o「どっくんによると、今日はお客さんを入れずに、おばちゃんが自分の好きな映画を流してるらしいんだ!」

( ∵)

802 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:36:32 ID:lanxDxCs0

三o川;゚ー゚)o「きっと今、映画館では、2人の……えっと……その映画が流れてる!!!」

三o川;゚ー゚)o「だからあなたはこうやって、出てこられてる!!どっくんが家にいても!!!」

( ∵)

三o川;゚ー゚)o「だから!!分かったの!!!」

三o川;゚ー゚)o「あなたが、あの映画館で2人の……が流れてる時にだけ、姿を現すことができる霊だってこと!!!」

( ∵)

三o川;゚ー゚)o「きっと、大切な思い出なんだよね!!その映画も、そして、それが流れてる…映画館も!!!!」

( ∵)

三o川;゚ー゚)o「だからあたしが連れて行くんだ!!!」

( ∵)ゴェ

三o川;゚ー゚)o「あなたにあなたを、諦めてほしくなんてないから!!!!!!」

( ∵)ゴェ

804 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:37:26 ID:lanxDxCs0

三o川;゚ー゚)o「タイムリミットは映画が終わるまで……それまでに…絶対!!!!!!!!!」

( ∵)ゴエ

三o川;゚ー゚)o「絶対、連れて行くから!!!!!!!!!!」

( ∵)ゴエ

三o川;゚Д゚)o「ぬううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」





ダダダダダダダダ……………





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――…………………………

805 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:38:06 ID:lanxDxCs0




〜映画館〜


o川;゚ー゚)o「はぁ、はぁ……着いた……」

o川;゚ー゚)o「あれ、もしかして入り口……鍵かかってない?」

o川*゚ー゚)o「ええい!入っちゃえ!」キィ…

o川*゚ー゚)o「おじゃましまーす……」

o川*゚ー゚)o「とりあえず、どしよっか……ん?」

o川;゚ー゚)o「あれ……?」
  ∋  ∈

o川;゚ー゚)o「いつの間にかいなくなってる……」

o川;゚ー゚)o「もしかして映画終わっちゃったとか……」

o川;゚ー゚)o「うぅ……」

o川;゚ー゚)o「間に合わなかったのかな……」

806 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:39:12 ID:lanxDxCs0

o川*゚ー゚)o「……結局、何もできなかったんだな、あたし……」

o川*゚ー゚)o

o川*´〇`)oフワァ

o川*うー゚)o「う……気が抜けちゃったら、なんか急に眠気が……」

o川*´〇`)o「あ、ソファー……」

o川*´〇`)o「ちょっとだけ、ちょっとだけ仮眠してすぐ戻ろ……」

o川*´ー`)o「おやすみなさい……」ムニャァ

o川*´ー`)o「……ごめんね……」







――――――――――――――――――――――――――――――――……………………………

807 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:39:53 ID:lanxDxCs0





<あぁ…フレッド!

<どうしてあなたは私の前からいなくなってしまったの!


リハ´∀`ノゝ「ほんとうに、どうしてなのかしらね」

リハ´∀`ノゝ「どうしてあなたは、いなくなっちゃったのかしら」

リハ´∀`ノゝ「子供が自立したら、私たち2人で、あなたのご両親が残してくれた、この映画館を」

リハ´∀`ノゝ「…一緒に…一緒にやっていこうって、ずっと楽しそうに話してたのに」

リハ´∀`ノゝ「売店でどういう食べ物を出したいか、凄くこだわってたくせに料理はからっきしで」

リハ´∀`ノゝ「だからあたしは作ったことも無いポップコーンの味付けを必死に研究して」

リハ´∀`ノゝ「でも、二人で納得した味ができたときは、凄く嬉しくて」

808 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:40:53 ID:lanxDxCs0

リハ´∀`ノゝ「どういう映画を流したいかも、毎日のように私に、凄く嬉しそうに話してきて」

リハ´∀`ノゝ「春には目の覚める出会いの物語を流して」

リハ´∀`ノゝ「夏にはスクリーンいっぱいの海の前でかき氷を食べて」

リハ´∀`ノゝ「秋には張り裂けそうな恋物語で胸を切なくして」

リハ´∀`ノゝ「冬には下半身が温まるようなエッチな映画を流して」

リハ´∀`ノゝ「そんな風に、楽しそうにずっと話してて」

リハ´∀`ノゝ「…いやバカじゃねぇのか!」

リハ´∀`ノゝ「お前は!両親から継いだ映画館を!ポルノに染めるのか!!!」

リハ´∀`ノゝ「そう言ったらあなたは捨てられた子犬みたいな顔をして」

リハ´∀`ノゝ「それを見たあたしは」

リハ´∀`ノゝ(あぁ…コイツ本気で言ってたんだ…)

リハ´∀`ノゝ「って察してこいつやっぱりバカじゃねぇのって確信して…」

809 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:42:19 ID:lanxDxCs0

リハ´∀`ノゝ「実際映画館を運営するようになってからも、上映時間は間違えるわ、別のフィルムを流すわ、もう散々で」

リハ´∀`ノゝ「あたしもそのたんびに走り回って…もう大変で…」

リハ´∀`ノゝ「…でも、凄く楽しかったな…」

リハ´∀`ノゝ「もちろん、今も楽しいけど、やっぱり……」


<どうしようもない程!辛い思いをしたの!!


リハ´∀`ノゝ「そうね、どうしようもなく辛くなる時があるの…」

リハ´∀`ノゝ「あなたが、いなくなっちゃってからずっと…」

リハ´∀`ノゝ「……」



「いるよ」



リハ´∀`ノゝ「……え?」

810 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:43:05 ID:lanxDxCs0


「ここに、いるよ」


リハ´∀`ノゝ

リハ´∀`ノゝ「その、声……」

リハ´∀`ノゝ「……」

リハ´∀`ノゝ「……あなた?あなたなの?」

「そうだよ」

リハ´∀`ノゝ「そんな……でも、なんで……だって……」


<どうして!どうしてなんだ!!!


リハ´∀`ノゝ「どうして……」

「結婚記念日だからね、今日は僕たちの」

811 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:43:46 ID:lanxDxCs0

リハ´∀`ノゝ「で、でも……そんな……だって……」


<そんなの決まってるじゃない!!!!!!


「だって、約束したじゃないか」

リハ´∀`ノゝ「……」

「いつか2人だけの金婚式を、ここでやろうって」

リハ´∀`ノゝ「……覚えててくれたのね」

「忘れるわけないよ」

リハ´∀`ノゝ「……いつか結婚して50年経ったら……2人で思い出の映画を見よう」

「2人が出会うきっかけになった、あの映画を」

リハ´∀`ノゝ「そしてまた出会った時のように」

「もう一度、恋に落ちよう」

812 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:44:34 ID:lanxDxCs0

リハ´∀`ノゝ「……約束、だったものね」

「あぁ、約束だった」

リハ´∀`ノゝ「……覚えてる?私たちが出会った時のこと」

「覚えてるとも」

リハ´∀`ノゝ「この映画をここで見たとき、お客さんは私たち2人だけで」

「そう…ちょうどこのカーチェイスのシーンだったね」

リハ´∀`ノゝ「あまりの突拍子の無さに、2人とも思わず吹き出しちゃって」

「そして2人は出会ったんだ」

リハ´∀`ノゝ「……そうね……よく覚えてるわ」

813 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:45:32 ID:lanxDxCs0

「それからは毎日が楽しかった」

リハ´∀`ノゝ「私もよ」

「結婚して、子供も産まれて……本当に幸せだった」


<僕は君を愛していた…なのに!


「なのに、僕は事故で死んでしまった」

リハ´∀`ノゝ「私と一生を共にしてくれるって、約束したのにね」


<嘘つき!フレッドなんてもう知らない!


リハ´∀`ノゝ「ほんと、嘘つき」

「ははは、手厳しい」

814 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:46:58 ID:lanxDxCs0

リハ´∀`ノゝ「……でも、こうやって、また言葉を交わせてよかった」

「僕もだよ」

リハ´∀`ノゝ「……どうして、ずっと会いに来てくれなかったの?」

「色々、事情があってね」

リハ´∀`ノゝ「ふふ、あなたはいつもそうやってはぐらかしてたわね」

「あぁ、でも……」


<一生君だけを見ていたいんだ…


「ずっと君と一緒にいたかったという気持ちは、忘れなかった」

リハ´∀`ノゝ「私も、あなたのことを忘れた日はなかったわ」

「……そろそろ映画が終わってしまうね」

リハ´∀`ノゝ「……そうね」

815 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:49:05 ID:lanxDxCs0

「僕がこの映画を大好きなのは……」

リハ´∀`ノゝ「すべてが終わった後のこのやりとりが、冒頭の出会った時のやりとりと同じところなんだ…でしょ?」

「その通り…って、何度も話したんだっけ」

リハ´∀`ノゝ「そうね…何度も、繰り返すように、この映画のように」

「2人の物語は繰り返していく、ずっと2人は一緒にいられる、そういうところが」

リハ´∀`ノゝ「大好きだったのよね」

「……でも、僕はもうここを離れなくちゃいけない」

816 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:51:03 ID:lanxDxCs0

リハ´∀`ノゝ「いなくなってしまうの?」

「……いや、最後にどうしても見届けなくちゃいけないものがあってね」

リハ´∀`ノゝ「あら?浮気かしら?」

「そうじゃないさ…ただ」

「僕らをこうやって出会わせてくれた、かわいいキューピッドをね」

リハ´∀`ノゝ「そう……ふふ、妬けちゃうわ」

818 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/05(金) 23:54:11 ID:lanxDxCs0

「安心して……いつか」

「いつか、必ず会いに来る」

リハ´∀`ノゝ「……そうね」


<愛してるよジーナ……


「愛してるよ」


<フレッド……


「私もよ」







―――――――――――――――――――――――――――――――――――――…………………………

819 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:00:11 ID:.wFzZtMU0




o川*-。-)o「むにゃ……んぅ……」

o川*゚ー゚)o「はッ!!!!!!!!!!」

o川*゚ー゚)o「起きた……あれ……」

o川*゚ー゚)o「ここどこ……?……何で映画館に……」

o川*゚ー゚)o「……あっ、そうかあたし昨日ここに来て……」

o川*゚ー゚)o「……」

o川*゚ー゚)o「……外…明るい……」

o川*゚ー゚)o「……時計……」チラッ

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「く、九時……」

820 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:01:15 ID:.wFzZtMU0

o川*゚ー゚)o「たしか会場までは車で1時間とちょっと……試験開始は10時……」

o川*゚ー゚)o「事務所に戻るまで20分弱……」

o川*゚ー゚)o「そして準備もろとも……」

o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「終わった……」

o川*゚ー゚)o「この世の終わりだ……」

821 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:01:59 ID:.wFzZtMU0

o川*゚ー゚)o「終焉……」

o川*゚ー゚)o「the end……」

「ぁぁぁ……」

o川*゚ー゚)o「ふふ……心の断末魔が聞こえる……」

「ぁぁぁぁああぁあぁぁぁああ…」

o川*゚ー゚)o「あたしの心が死んでいく声が……」

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ」

o川*゚ー゚)o「なんか心なしか大きくなってるような……」

「あああああああああああああああああああ!!!」

o川;゚ー゚)o「って幻聴じゃないじゃん!これ外から聞こえてきてるって!!」

「ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

o川;゚ー゚)o「なんだなんだ」ガチャッ

822 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:02:52 ID:.wFzZtMU0



   n   .
... ⊆ ⊇  
   ̄U ̄  
      キ ィ            _, ========、.==== 、.、
        イ ィ    イィ  _/      //    ヽヽ____<姐さああああああああああああああああああん!!!!!!
            イ___/_( ;^ν^)//|/二)  |ヽヽ__/ノ 
         ,-=,~ ̄    , -- ,   _ ̄ ̄ヽ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ    ̄ヽ   (´⌒(´⌒;;;
        / - ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ― ´  /;;;;;;ヽ o .| イ  ィ   ノ ,-‐-、 0.| (´⌒(´⌒(´⌒;;;
        ( ニ  |゚ ゚̄|   ニフ  //  ̄ヽ| _ |   イ    / / ,.- .、.、_ )    (´´(´⌒;;      イ ィ
  ・;’.、   .>ヽ 二二二フ エニフ_|;:I  ノ |└┴―――― ´ _|::( ◎) |_/  イ ィ⌒(´⌒;;;イイ イ イ イ   イ
・;’.、)\)\人 ̄ ̄ゞゝ;;;;ノ ̄ ̄ ̄ゞ_ゝ ー,ノ ̄ゞゝ ̄ノ ̄ ̄ ̄ゞ_ゝ ーノ人/(・;’(´イ イ;;
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



o川*゚ー゚)o

o川*゚ー゚)o「へ」

o川;゚Д゚)o「変態がきたあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

823 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:04:35 ID:.wFzZtMU0

(;^ν^)「いた!姐さん!!!早くこの車に乗ってください!!!」ガチャ

o川;゚ー゚)o「何だ姐さんって!何かキャラ変わりすぎでしょ!!!!」

o川;゚ー゚)o「しかも!!服着てるし!!!」

(;^ν^)「そんなのどうでもいいからとりあえず乗ってくだせぇ!!」

o川;゚ー゚)o「何で!!?正直今のあんたへの信頼度マイナス999億万ポイントくらいなんだけど!!」

(;^ν^)「ドクオの兄貴に頼まれたんです!!姐さんを会場まで送ってくれって!!!」

o川*゚ー゚)o「…どっくんが!?」

(;^ν^)「必要なものは全部車に積んであります!!だから早く!!」

o川*゚ー゚)o「……わかった!!!ありがと!!!!」ガチャ





ブロロロロロロロロロロ…………………




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825 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:05:26 ID:.wFzZtMU0


ブロロロ………


o川*゚ー゚)o「でもよくあたしがあそこにいるって分かったね」

( ^ν^)「ドクオの兄貴に映画館付近に行ってくれって言われたもんで!」

o川*゚ー゚)o「あれ?あたし事務所出る時ショボンに行き先伝えたっけ……」

( ^ν^)「あ、そうだ!後ろのカバンにスーツと筆記用具、受験票、推薦状、その他諸々必要なものは入れてあるので!」

o川*゚ー゚)o「おぉ……本当だ……」

( ^ν^)「近くのネカフェで降ろしますんでそこで着替えなり化粧なりはやっちゃってくだせぇ!!」

o川*゚ー゚)o「で、でもそんな時間は……」

826 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:06:06 ID:.wFzZtMU0

( ^ν^)「大丈夫でさぁ!!俺は天才的なドライビングテクを持ってるんです!!」

( ^ν^)「人間の腕は2本…生物的な限界がある…しかし!!!」

( ^ν^)「俺には!!腕に加えこの舌がある!!!!つまり!!!」

( ^ν^)「手でハンドルを細かく動かしながら!!!舌でギアを華麗にさばく!!!」

( ^ν^)「通常の運転をはるかに上回るドライビング!!テク!!!」

( ^ν^)「必ず間に合うように送り届けて見せまさぁ!!!」

o川*゚ー゚)o「おぉ……」

o川*゚ー゚)o「ん?……そういやどっくんが言ってたけど、あかなめは今レンタカーやってるんだよね?」

( ^ν^)「はい!!」

828 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:07:36 ID:.wFzZtMU0

o川*゚ー゚)o「……一応聞いとくけど、その、舌を使って運転した車をレンタルに出してたりしないよね?」

( ^ν^)「もちろん!これは社用車ですから!!」

o川*゚ー゚)o「よかった……」

( ^ν^)「……こんな俺でも、思うようになったんです」

( ^ν^)「仕事をやるからには、全力でやりたい!!!お客様に出す車は、最高の状態であるようにしたい!」

( ^ν^)「だから、レンタルに出す車には、お客様を不快にする要素は絶対に与えないようにしたいんです!!」

o川*゚ー゚)o「おぉ……!」

o川*゚ー゚)o「なんか、ほんとに変わったね…こう、言葉遣いとかだけじゃなく……」

( ^ν^)「それはやっぱり……鈴木の兄ィと……ドクオの兄貴のおかげです」

830 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:08:23 ID:.wFzZtMU0

( ^ν^)「最初こそきつくてきつくて辛かったけど、でも」

( ^ν^)「今は凄く充実してるんです……!こんな自分が、誰かの為に、誰かの笑顔の為に働くことができてるんだって…!!」

o川*゚ー゚)o「あかなめ…!」

( ^ν^)「それに、給料でブラジャーやパンツを通販で山ほど買うこともできますし!!」

o川*゚ー゚)o「あかなめ……」

( ^ν^)「とはいっても限度ってものを知りましたからね!自分の欲望はある程度コントロールできるようになりました!!」

o川*゚ー゚)o「あかなめ…!」

( ^ν^)「まぁパンツ買っても月200枚が限度ってとこですよ!!」

o川*゚ー゚)o「あかなめ……」

831 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2016/02/06(土) 00:09:43 ID:.wFzZtMU0

( ^ν^)「…そんな風に自分が変われたのは、さっきも言ったようにドクオの兄貴との出会いがあったからなんです」

( ^ν^)「そして姐さんも、その仕事を手伝いたいって、そう思ってるんですよね」

o川*゚ー゚)o「…うん!」

( ^ν^)「だったら!!俺は全力で力になりますよ!!!」

o川*゚ー゚)o「あかなめ…!」

( ^ν^)「だから試験に合格して、俺みたいなのを、たくさん助けてあげてください!!!!」

o川*゚ー゚)o「…任せて!」

( ^ν^)「じゃあしっかり間に合わせるために……ちょいとトばしますよ!!!」

o川*゚ー゚)o「おっけー!!!!」






ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…………




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