■('A`)しりとりをするようですo川*゚ー゚)o
└第九話「…… 」
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485 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:02:55 ID:lNo/nBJY0
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第九話
o川*゚ー゚)o「…… 」
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486 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:03:52 ID:lNo/nBJY0
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Part 1
12年前(ドクオ、小学一年生)
(;A;)エーン、エーン
J( 'ー`)し「どうしたの、ドクちゃん。いじめられたの?」
(;A;)「あのね、か、家族の絵を描くことにな、なってね」
(;A;)「俺、とーちゃんのことよくわからなくて、そしたら、『変だ』って」
J( 'ー`)し「……」
(;A;)「かーちゃん」
(;A;)「俺のとーちゃん、どんな人なの?」
(;A;)「なんでいつも家に居ないの?」
J( 'ー`)し「…………あの人はね」
J( 'ー`)し「とても自由な人なのよ」
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487 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:04:53 ID:lNo/nBJY0
-
(;A;)「自由?」
J( 'ー`)し「そう」
J( 'ー`)し「そしてそれをお仕事にしているのよ」
J( 'ー`)し「きてご覧、お父さんのお部屋」
(;A;)「うん……?」
テクテク
ガチャ
J( 'ー`)し「ほら」
(;A;)「う」
(・A・)「うわーーーー」
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488 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:05:49 ID:lNo/nBJY0
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(・A・)「どうしたの、これ!?」
J( 'ー`)し「お父さんの写真よ」
(・A・)「しゃしん?」
J( 'ー`)し「そう、それがお父さんの仕事」
J( 'ー`)し「お父さんはね、世界中を飛び回って写真を撮ってるの」
J( 'ー`)し「それで、綺麗な写真を撮って、みんなを感動させてるの」
(・A・)「へえー!そうだったんだ!」
(・A・)「すごいなあ。どうして言ってくれなかったの?」
J( 'ー`)し「もう少し大人になったら、言おうと思っていたの」
J( 'ー`)し「だって、あんまり会えないのに、写真だけ見せても、寂しいでしょ?」
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489 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:06:50 ID:lNo/nBJY0
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(・A・)「さみしくないよ!」
J( 'ー`)し「……本当に?」
(・A・)「うん!」
(・A・)「だって、なんだかここ、お父さんがいるみたい」
J( 'ー`)し「……」
(・A・)「これなら、僕友達に自慢できるよ!僕のお父さん、こういう人なんだって」
J( 'ー`)し「……」
(・A・)「かーちゃん?」
-
491 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:07:58 ID:lNo/nBJY0
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J( 'ー`)し「ああ、ううん。なんでもないの」
J( 'ー`)し「私、ドクちゃんのこと誤解していたわ」
J( 'ー`)し「そんなに強い子だったなんて」
(・A・)「……うーん、よくわかんない!」
(・A・)「かーちゃん、僕今度友達連れてくる」
J( 'ー`)し「はいはい」
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492 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:08:49 ID:lNo/nBJY0
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別の日
(・A・)「かーちゃんかーちゃん!」
(;^ω^)「うひーおたすけー」
J( 'ー`)し「ドクちゃん、どうしたのそんなに慌てて」
(・A・)「この前言ってた友達!」
( ^ω^)「お?」
J( 'ー`)し「あら、遊びに来てくれたの?」
(;^ω^)「あ、まあ、引っ張られただけというか…」
J( 'ー`)し「ゆっくりしてね」
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493 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:09:40 ID:lNo/nBJY0
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(・A・)「ほら、早く部屋いくぞ!」
(;^ω^)「え、ちょ、もうちょっとゆっくり!」
(;^ω^)「ドクオは元気がありすぎるおー」
ドタドタ
ドウコレ
フォーーーーーーーーーー
J( 'ー`)し「ふふふ」
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494 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:10:23 ID:lNo/nBJY0
-
また、別の日
(・A・)「ただいまー」
J( 'ー`)し「お帰り、ドクちゃん」
J( 'ー`)し「ふふふ」
(・A・)?
J( 'ー`)し「ドクちゃん、この人、誰かわかる?」
(・A・)「え?」
J( 'ー`)し「ほら、隠れてないで」
「あ、ああ」
ヌッ
-
495 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:11:18 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)
(・A・)「……だーれ」
.
-
496 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:12:02 ID:lNo/nBJY0
-
J( 'ー`)し「言いなさいよー」
(;´・_ゝ・`)「あ、ああ。なんだか小さい時ぶりだから、なれてなくて」
(・A・)「……もしかして」
(・A・)「とーちゃん?」
(´・_ゝ・`)「……」
(´・_ゝ・`)「そうだよ、ドクオ」
(・A・)「うわーーーーー」
ドタドタ...ヒュッ
(;´・_ゝ・`)「うわ、飛びつくなって」
(*・A・)「とーちゃんとーちゃん、初めて見た!とーちゃんだ!」
(´・_ゝ・`)「初めて、か。一応3歳までここで暮らしてたんだけどな」
J( 'ー`)し「覚えていないものよ」
(*・A・)「とーちゃんー!」
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497 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:12:53 ID:lNo/nBJY0
-
(・A・)「とーちゃんとーちゃん」
(・A・)「写真見せて!」
(´・_ゝ・`)「ああ、いいとも」
(´・_ゝ・`)「どれが見たい? 海でも山でも、砂漠や遺跡、なんでもあるぞ」
(・A・)「うーん……」
(´・_ゝ・`)「ん、どうした?」
(・A・)「……僕」
(・A・)「とーちゃんの写真がほしいな」
(;´・_ゝ・`)「え?」
-
498 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:13:43 ID:lNo/nBJY0
-
(;´・_ゝ・`)「……あ、ああ。どこかにあるかな」
(;´・_ゝ・`)「自分で撮るから、僕のはあんまり、ないかも」
(・A・)「じゃあ今撮って!」
(;´・_ゝ・`)「え、ええ!?」
J( 'ー`)し「どうしたの、あなた」
(;´・_ゝ・`)「いや、ドクオが、僕の写真がほしいって」
(・A・)ジタバタ「写真ほーしーいー」
J( 'ー`)し「あらあら、この子がこんなに欲しがるなんて」
(´・_ゝ・`)「うーん、今機材はないし」
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499 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:14:36 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)「この辺で写真屋はないかい?」
J( 'ー`)し「本格的に撮るの?」
(´・_ゝ・`)「僕だってプロなんだ。やるからには綺麗に、ばっちり撮らなくちゃ」
(´・_ゝ・`)「それに……これからいつ会えるかもわからないし」
J( 'ー`)し「……ふふふ」
J( 'ー`)し「近くにあったと思うわ。電話してみるわね」
(´・_ゝ・`)「頼むよ」
(・A・)「いいの?いいの?」
(・A・)「やったー!」
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500 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:15:25 ID:lNo/nBJY0
-
写真屋
(´・_ゝ・`)「遅くにすいません」
「いえいえ、いいんですよ」
「デミタスさんみたいな人に撮っていただけるなんて光栄です」
(´・_ゝ・`)「はは、あんまりこっちに戻って来れなくてすいません」
J( 'ー`)し「ほら、ドクちゃん。準備できた?」
「礼服の衣装、どれでもいいですよ」
(・A・)「えーっと、えーっと」
タッタッタ
(・A・)「うーん」
(・A・)(どれも同じに見える)
(・A・)(困ったなあ)
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501 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:16:16 ID:lNo/nBJY0
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ガサガサ
(・A・)「ん?」
(・A・)(服の奥に誰かが)
ξ゚听)ξ
(;・A・)「う、うわ!」
ξ゚听)ξ「なによ、大声出して」
ξ゚听)ξ「服さがしてたんでしょ?」
(・A・)(気の強そうな人だ)
(・A・)コクコク
ξ゚听)ξ「うーんとね」
ゴソゴソ
ξ゚听)ξ「これなんか、お似合いよ」
-
502 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:17:06 ID:lNo/nBJY0
-
(・A・)「え?」
ξ゚听)ξ「なによ、嫌だっての?」
(;・A・)「い、いや」
(;・A・)「着ます着ます」
ξ゚听)ξ「よろしい」
「ドクちゃんできたー?」
(・A・)「今行くー」
(・A・)「それじゃ」
ξ゚听)ξ「うん」
タッタッタ
-
503 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:17:46 ID:lNo/nBJY0
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J( 'ー`)し「へえ、いいのがあったのね」
(・A・)(あ、本当にいいのだったんだ)
(´・_ゝ・`)「よし、撮るぞ」
(・A・)「うん!」
「はい」
「いきまーす」
パシャ
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504 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:18:43 ID:lNo/nBJY0
-
○ ● ○
4年前(ドクオ、中学三年生)
('A`)「え、そのうち上京するかも?」
( ^ω^)「そうだお。僕のとーちゃん、単身赴任することになって」
( ^ω^)「僕が高校生になるときに、そっちに暮らしたらどうってかーちゃんが」
('A`)「それで、行っちゃうのかよ。もう中学三年の秋だろ?」
('A`)「あと半年くらいしかねーじゃねーか」
( ^ω^)「うん、もしいけるなら行きたいんだお」
('A`)「マジかよ……」
( ^ω^)「だって、東京にはなんでもあるし」
('A`)「なんでもって?」
( ^ω^)「アニメや漫画のグッズとか!」
-
505 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:19:34 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「……はあ」
(;^ω^)「そんな失望しないでくれお」
( ^ω^)「それ以外でも、田舎じゃ不便なんだお」
('A`)「廃れてるものなあ」
('A`)「あー、俺も上京してー」
( ^ω^)「母親と相談してみたらどうだお?」
('A`)「ああ、いいかもな」
-
506 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:20:26 ID:lNo/nBJY0
-
その日の午後
('A`)(今日も部活で遅くなっちまった)
('A`)(上京か……)
('A`)(考えてみるかな)
テクテク
ガチャ
('A`)「ただいまー」
('A`)「……かーちゃん?」
('A`)「いるんだろー?」
ガラガラガシャン
(;'A`)「!!?」
-
507 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:21:12 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「な、なんだ?」
タッタッタ
(;'A`)「かーちゃん!」
J( ー )し「……うう」
(;'A`)「かーちゃん!おい、どうした!」
(;'A`)「しっからしろよ、病気か?今救急車呼ぶから」
J( ー )しコクコク
-
508 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:21:53 ID:lNo/nBJY0
-
病院
( <●><●>)「……」
('A`)「先生、どうなんですか」
( <●><●>)「この画像、ここに白い塊があるの、見えますか?」
('A`)「……え」
( <●><●>)σ「ほら、ここです」
ピッ
('A`)「あ、ああ、確かに」
( <●><●>)「ここ、要するに膨らみがあるですけどね」
('A`)「はあ」
( <●><●>)「こんなものは、普通の人にはない」
-
509 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:22:43 ID:lNo/nBJY0
-
( <●><●>)「これは腫瘍です。簡易検査の結果をみても、悪性のものである可能性が非常に高い」
('A`)「……?」
( <●><●>)「……お母さんは、食道癌です」
('A`)「……え」
ガタッ
(;'A`)「そんな! かーちゃんは」
( <●><●>)「いえ、待ってください」
( <●><●>)「幸い、まだ腫瘍は小さい。比較的早期で発見されています」
( <●><●>)「転移していない今のうちに摘出すれば、2年から3年で普通の生活が送れるようになります」
(;'A`)「普通の……」
-
510 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:23:33 ID:lNo/nBJY0
-
( <●><●>)「無理な運動は厳しいかもしれませんが」
( <●><●>)「家の中で、普通に暮らせるようになるくらいには」
('A`)「……助かるんですよね」
( <●><●>)「もちろん」
('A`)「なら、お願いします!」
( <●><●>)「……はい」
( <●><●>)「すぐ手術にとりかかります」
('A`)「待ちます!」
-
511 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:24:23 ID:lNo/nBJY0
-
( <●><●>)「それと、お父さんには連絡、取れました?」
(;'A`)「あ……それが、その」
(;'A`)「まだ返事が来てなくて、一応国際メールは送ったんですけども」
( <●><●>)「……そうですか」
('A`)「はい」
( <●><●>)「いいですよ。ゆっくり待ちましょう」
('A`)「はい!」
-
512 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:25:12 ID:lNo/nBJY0
-
手術室前
('A`)(……)
シーン
('A`)(静かだと、変なことばっかり考えちまう)
(;'A`)(ちくしょう、まだかよ)
('A`)「……」
ジー
フッ
('A`)!!
-
513 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:26:04 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)(灯りが……消えた)
(;'A`)(終わったのか)
(;'A`)ドキドキ
シーン
('A`)「……」
ガチャ
( <○><○>)「……」
('A`)「先生!」
( <○><○>)フラフラ
-
514 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:26:53 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「先生!?」
( <●><●>)そ「ああ、ごめん。平気ですよ」
( <●><●>)「ちょっと長い時間、緊張しすぎてね」
('A`)「そ、それで、かーちゃんは?」
( <●><●>)「……」
( ― ―)フゥ
( <●><●>)コクリ
(;'A`)「……」
(;'A`)「や、やった……ってことですか?」
-
515 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:27:45 ID:lNo/nBJY0
-
( <●><●>)「はい!」
('A`)「お、おおお」
('A`)「ありがとうございます!!」
( <●><●>)「いえいえ」
( <●><●>)「安静にしていれば、半年ほどで面会ができるようになります」
( <●><●>)「それまで、待つことになりますが、いいですか?」
('A`)「もちろんです!」
-
516 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:28:38 ID:lNo/nBJY0
-
帰宅後
('A`)「……もう夜中か」
シーン
('A`)(かーちゃん、いないから、ここで1人)
('A`)(静かだな……)
('A`)(あ、とーちゃんのメール!)
ドタドタ
-
517 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:30:01 ID:lNo/nBJY0
-
ドクオの部屋
カタカタ
('A`)(とーちゃん……)
('A`)「あ」
from demitasse
('A`)「来てる!」
('A`)「よっし」
カチ
('A`)「……え?」
-
518 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:30:51 ID:lNo/nBJY0
-
面会できるのはいつからですか?
('A`)「……すぐには帰って来れないのかな」
('∀`)「いや、きっと面会できるようになったら、こっちにいてくれるさ!」
('∀`)「はは」
カタカタ
('A`)「返信っと」
-
519 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:31:41 ID:lNo/nBJY0
-
数分後
('A`)「……」
('A`)「あ、返事来た!」
カタカタ
from demitas
2、3ヶ月先というのはわかりました。
また、正確な日付がわかったら連絡してください
('A`)「……」
('A`)(……)
('A`)「……はい」
カタ
-
520 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:32:30 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「……」
('A`)(なんだろう、すごく、モヤモヤする)
('A`)(……写真、引き出しにあったかな)
ゴソゴソ
ゴソゴソ
('A`)「……あった」
('A`)「……俺、ちいせえ」
('A`)「……とーちゃん、見た目とか変わってるのかな」
('A`)「……とーちゃん」
-
521 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:33:19 ID:lNo/nBJY0
-
5ヶ月後(ドクオ、高校一年生の春)
( <●><●>)「では、あとひと月後のその日に面会開始ということで」
('A`)「はい!」
( <●><●>)「早く会いたいでしょう。朝の10時から、できるようにしておきます」
('A`)「ありがとうございます!」
('A`)(やった……かーちゃんに会える)
(;A;)ブワッ
(;A;)先生、ありがとうございます
-
522 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:34:10 ID:lNo/nBJY0
-
帰宅後
('A`)「とーちゃんに連絡連絡と」
カタカタ
from dokuo
かーちゃんは、ひと月後の○○日に面会できるようになります。
朝の10時から可能です。
そのとき、一緒にいきませんか?
('A`)「……一緒に、か」
('A`)「行けたらいいな」
(*'A`)ヘヘヘ
-
523 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:34:59 ID:lNo/nBJY0
-
数分後
ピロッ
('A`)「お、早いな。ちょうど見ていたのかな」
カタッ
('A`)「…………」
from demitasse
すいません、その日の頃は伺えません。
というのも、私が今いる国で、数十年に一度と言われる自然現象が起こるころだからです。
自然が相手のため、具体的な日付を決定することができません。
その他にも、回らなければならない場所があり、空くのは二カ月後となります。
伺うのはそのあたりになります。
ご了承ください。
('A`)「……」
('A`)「なんだよ、これ」
(#'A`)「なんなんだよ」
-
524 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:35:50 ID:lNo/nBJY0
-
('A`='A`)ブルブル
(-A-)「だめだだめだ、考えすぎちゃ」
('∀`)「そうさ、仕事なんだ。とーちゃんだって忙しいんだ。仕方ないんだ」
('∀`)「それより、どうやってかーちゃんを励ますか考えよう」
('∀`)「とーちゃんが来れない代わりに、俺が元気づけてやらないと」
('A`)「俺が……どうしよう」
シーン
-
525 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:36:38 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)(とーちゃん来れないって知ったら、ショック受けるだろうな)
('A`)(そのあたり、ごまかせないかな……)
('A`)そ「ん、そういえば」
ゴソゴソ
('A`)「……あった」
ハラリ
-
526 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:37:30 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)(小学生のときに撮った、とーちゃんとの写真)
('A`)「……」
('A`)(そうだ。かーちゃんは外に出れないから)
('A`)(とーちゃんが来たかどうかなんて、わからないはず)
('A`)(……思いついたぞ)
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527 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:38:19 ID:lNo/nBJY0
-
後日
ザー
ξ゚听)ξ「突然降りだして、ずっと雨のまま」
ξ--)ξ「うるさいったらしゃーないわ」
ピンポーン
ξ゚听)ξ「誰か来た?」
ξ゚听)ξ「母さん、お客さん!」
「出ておいてー」
ξ゚听)ξ「はいはい」
-
528 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:39:08 ID:lNo/nBJY0
-
タッタッタ
ガチャ
ξ゚听)ξ「はい、どなたです……か」
(; A )
ξ;゚听)ξ!?
ザーッ
-
529 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:40:01 ID:lNo/nBJY0
-
ハア、ハア
ξ;゚听)ξ「……びしょぬれじゃない」
(; A )「割と、急いできたから」
ξ;゚听)ξ「はやく入りなよ! 風邪ひいちゃうよ!」
ガシッ
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと!」
(; A )「頼む、俺に……」
(; A )「カメラを教えてくれよ。なあ」
ξ;゚听)ξ「わ、わかったから早く」
キィ
バタン
-
530 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:41:02 ID:lNo/nBJY0
-
ξ゚听)ξ「母さん、タオルとか置いてあるー?」
「洗濯機の前にない? というか、お客さん?」
ξ゚听)ξ「ああ、うん。ちょっと。部屋に連れていくねー」
ξ゚听)ξ(やれやれ、奥の部屋にいてくれてよかった。見られたら大騒ぎよ)
('A`)「えっと、あの」
ξ゚听)ξ「しっ!」
ξ゚听)ξ「二階が私の部屋だから、そこで待ってて」
('A`)「ああ、わかった」
-
531 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:41:45 ID:lNo/nBJY0
-
ちょっとしてから
ξ゚听)ξ「はい、タオル」
('A`)「おう……むぐ」
グシグシ
ξ゚听)ξ「あんまりこすりつけないでよ」
('A`)「いやあ、寒かったもので」
ξ゚听)ξ「なんで傘とかないの? 死んじゃうじゃない」
('A`)「すぐに済むと思ったから。それに、そんなすぐ死なないよ」
ξ゚听)ξ「どうだか。今のあんた、酷い顔してるわよ?」
-
532 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:42:30 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「え?」
ξ゚听)ξ「どんだけ我慢してるんだか」
ガタン
?
(;'A`)「し、してない」
ξ゚听)ξ「へ?」
(;'A`)「我慢なんてしてねえよ!」
ズイ
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと」
-
533 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:43:19 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「我慢なんて、怖がってなんて、何も!」
ξ;゚听)ξ「近い近い、落ちついてって! なによもう!」
('A`)そ「あ」
シーン
('A`)「……ごめん、つい」
ξ;゚听)ξ「急に否定しまくるんだもの、怖いなあ」
('A`)「……ごめん」
-
534 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:44:09 ID:lNo/nBJY0
-
ξ゚听)ξ「だいたい、なんで私のところに来たの? そこまで親しくないでしょ」
('A`)「いや、だって……昔写真を撮ってもらったから」
ξ゚听)ξ「小学一年生のときじゃない!」
('A`)「そうだけど、カメラは出来るんだろ? だからそれで」
ξ゚听)ξ「……」
ξ--)ξ「まあ、出来るけど」
ξ゚听)ξ「カメラって、ようするに写真を撮りたいの?」
('A`)「ああ、とーちゃんと同じレベルの写真を撮りたい」
-
535 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:44:59 ID:lNo/nBJY0
-
ξ;゚听)ξ「と、とーちゃんって、デミタスさん?」
('A`)「ああ」
ξ;゚听)ξ「何惚けたこと言ってんの! 無理に決まってるじゃない、素人が」
('A`)「そうかな」
ξ゚听)ξ「使うカメラも、機材も、センスも何もかも、あんたにはないでしょ」
('A`)「それを助けてほしいんだって」
ξ゚听)ξ「なんでよ!」
('A`)「……かーちゃんに、見せたい」
-
536 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:45:51 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「とーちゃん、面会の日に来れないからさ、絶対かーちゃん寂しがるから」
('A`)「上手い写真撮って、とーちゃんが撮ったってことにして、渡したいんだ」
ξ;゚听)ξ「…………」
ξ゚听)ξ「理屈はわかるけど、何を撮ればいいの?」
('A`)「えっと、外じゃダメかな」
ξ゚听)ξ「バカ、この辺の景色撮ったら、なんで面会来ないのかって話になるでしょうが」
(;'A`)「あ……」
(;'A`)「じゃ、じゃあもっと別の。森とか空とか、外国にもありそうなものならなんとか」
-
537 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:46:44 ID:lNo/nBJY0
-
ξ゚听)ξ「あー……ごまかせそうではあるわね。被写体も、技術も」
ξ--)ξ「でも、プロが使うカメラは高いしなあ。私のカメラをどうにか使って、それでなんとか」
('A`)「それでお願いしたい」
ξ゚听)ξジー
(;'A`)「な、なんだよ」
ξ゚听)ξ「いや、なんだか必死だなと思って」
(;'A`)「必死って」
-
538 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:47:42 ID:lNo/nBJY0
-
ξ゚听)ξ「……」
ξ゚听)ξ「私、準備しておくから。また呼ぶわ。今日は帰ってて」
('A`)「あ、ああ」
ξ゚听)ξ「ひと月でみっちりしごいてやるから覚悟してな」
('A`)「……恩にきるよ」
-
539 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:48:30 ID:lNo/nBJY0
-
ひと月後
( <●><●>)「ドクオくん、今日の面会、君のお母さんはまだたくさんしゃべることはできない。時間も30分が限界でしょう」
( <●><●>)「だから、なるべくドクオくんから話しかけてあげてください」
('A`)「はい」
( <●><●>)「それじゃ、どうぞ」
ギィ
('A`)「……失礼します」
シーン
J(ゝ'ー`)し
('A`)
-
540 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:49:18 ID:lNo/nBJY0
-
(;A;)ブワ
ダッ
(;A;)「かーちゃん!」
J(ゝ'ー`)し「……ああ、ドクオ」
(;A;)「いいよ、無理しなくていい。俺、話すから」
(;A;)「俺、ずっとかーちゃんの傍にいるから。いつでも、いつまでも」
-
541 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:50:09 ID:lNo/nBJY0
-
数分後
('A`)「……でさ、ブーンの奴がまた俺にアニメを勧めてきてさ」
J(ゝ'ー`)し「……そうなの」
('A`)「あー」
('A`)(かーちゃん、疲れてきているのかな)
('A`)(もうそろそろ、切り上げる時間か。なら)
('A`)「かーちゃん、見せたいものがあるんだ」
('A`)「これ」
ヒラリ
-
542 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:50:59 ID:lNo/nBJY0
-
J(ゝ'ー`)し「なんだい、写真?」
('A`)「とーちゃんが撮って、送ってきてくれたんだ。外国の森だぜ?」
J(ゝ'ー`)し「ええ? 本当に?」
(;'A`)「ほ、ほんとだよ」
J(ゝ'ー`)し「ふーん、なんだか普通の森みたい」
(;'A`)「あー、意外と植生が似ているところだったのかもな。でも送ってくれたんだ」
('A`)「ほら、上手いだろ? ピントの合わせ具合とか、空と木々の配置のバランスとか」
('A`)「素人が撮るより、全然」
J(ゝ'ー`)し「そういわれてみれば……」
-
543 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:51:40 ID:lNo/nBJY0
-
J(ゝ'ー`)し「上手いわね。うん、父さんみたい」
('A`)「な!」
('A`)(……よかった)
('A`)「とーちゃん、今日は忙しくて来れないけど、こうして写真送ってくれているし」
('A`)「かーちゃんに早くよくなってもらいたいと思っているし」
('A`)「だから、さ。早く元気になって」
J(ゝ'ー`)し「……ふふふ、ありがとう」
-
544 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:52:44 ID:lNo/nBJY0
-
ガチャ
( <●><●>)「時間です」
('A`)「え。もう?」
( <●><●>)「はい」
('A`)「そうか、それじゃ、かーちゃん。写真は置いておくよ」
J(ゝ'ー`)し「ええ」
('A`)「また、すぐ来るから! きっと」
-
545 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:53:42 ID:lNo/nBJY0
-
帰路
(*'A`)ヘヘヘヘヘ
(*'A`)「あとでツンにお礼を言わなくちゃ。途轍もない密度の修行だったから」
(*'A`)「かーちゃん、喜んでくれたよな」
(*'A`)「絶対」
(*'A`)「……残りの写真は」
(*'A`)ヘヘ
テクテク
-
546 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:54:34 ID:lNo/nBJY0
-
...タッ
(*'A`)(帰宅)
(*'A`)(……あれ?)
ドタドタ
('A`)(……物音がする)
ガチャ
('A`)「誰か、いるんですか」
-
547 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:55:15 ID:lNo/nBJY0
-
ドタドタ
ヌッ
(´・_ゝ・`)
('A`)「あ」
(´・_ゝ・`)「……ひょっとして、ドクオか」
('A`)「……と」
(;A;)「とーちゃああああん!!」
ガバッ
○ ● ○
-
548 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:56:12 ID:lNo/nBJY0
-
Part 2
現在(ドクオ、大学一年生) 8月25日 20時
祭り会場
川 ゚ -゚)「それじゃ、私はこのあたりで帰るよ。ブーンくん」
( ^ω^)「はいですおー」
ξ゚听)ξ「さよならですー」
ξ゚听)ξ「……綺麗な人だなあ」
( ^ω^)「おっお、素直さんのところの人ですから」
ξ゚听)ξ「素直さんって……ひょっとして中学校の頃同級生だった?」
( ^ω^)「そうだお」
ξ゚听)ξ「あんた、縁あったんだ」
(;^ω^)「あるといっていいんだろうか」
ξ゚听)ξ?
-
549 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:56:55 ID:lNo/nBJY0
-
ξ゚听)ξ「さてと、私も帰ろうかね」
( ^ω^)「あ、ちょっと待ってくれお」
(^ω^ = ^ω^)キョロキョロ
( ^ω^)「うん、いないお」
ξ;゚听)ξ「な、なに? 身の危険を感じるんだけど」
(;^ω^)「失礼な。聞きたいことがあるだけだお」
( ^ω^)「ドクオのことだお」
ξ゚听)ξ「ああ、仲良かったんだっけ」
( ^ω^)「高校生になって離れても連絡は取り続けていたお」
( ^ω^)「でも……正直あいつが何考えているのかよくわかっていなかったお」
-
550 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:57:48 ID:lNo/nBJY0
-
( ^ω^)「ツンと仲いいことも知らなかったし」
ξ゚听)ξ「あんたがちょうど行っちゃうあたりからだったしね、話すようになったの」
( ^ω^)「……なあ、ツン。教えてくれないかお」
( ^ω^)「ドクオは何があったんだお? 母親が倒れたことは知っているけど」
( ^ω^)「そんなことメールで詳しく聞くわけにもいかないし、だからあいつの状況はよくわからなくて」
ξ゚听)ξ「……あんまりいい話題ではないと思う」
( ^ω^)「構わないお」
ξ゚听)ξ「……それじゃ、場所、移しましょうか」
( ^ω^)コクリ
-
551 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:58:33 ID:lNo/nBJY0
-
8月26日 0時過ぎ
病院
( A )ソワソワ
o川*゚−゚)o「……」
o川*゚−゚)o(ドクちゃん、もう3時間以上も、足が震えてる)
o川*゚−゚)o(私が何か言っても、返事してくれない)
o川*゚−゚)o(……ドクちゃん)
ガチャ
-
552 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 22:59:19 ID:lNo/nBJY0
-
(;A;)そ「!!」
o川*゚ー゚)oそ「!!」
( <●><●>)「終わりました」
(;A;)「先生!!」
ガバッ
(;;A;)「かーちゃんは!?」
( <●><●>)「……無事です」
-
553 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:00:08 ID:lNo/nBJY0
-
( <●><●>)「おそらく疲労がたまっていたのでしょう。倒れたものの、がんの再発ではありませんでした」
(;;A;)「ほ、本当ですか!? よかった……」
ヘナヘナ
(;;A;)「よかった……かーちゃん生きてるんだ」
( <●><●>)「ええ、ただ、念のため一週間は入院して安静にしておきましょう」
( <●><●>)「なに、明日には、軽い会話できる程度には回復しますよ。それまで待っていてください」
(;;A;)コクコク
-
554 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:00:59 ID:lNo/nBJY0
-
帰路
('A`)「……」
o川*゚ー゚)o「ドクちゃん、良かったね!」
('A`)「……ああ」
o川*゚ー゚)o「ドクちゃん?」
('A`)「……キューちゃん、あの、悪いんだけどさ」
('A`)「今日は仕方ないけど、明日はお姉さんのところいってくれるかな」
o川*゚ー゚)o「え?」
('A`)「先生が親父に連絡してくれたらしいんだ」
-
555 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:01:39 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「明日、来るって。だから明日は別のところにいてほしいんだ」
o川*゚ー゚)o「……うん」
('A`)「うん、ありがとう」
o川*゚ー゚)o(なんだろう)
o川*゚ー゚)o(ドクちゃん、なんだか遠くを見てる気がする)
o川*゚ー゚)o(私じゃない、どこか遠く)
-
556 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:02:25 ID:lNo/nBJY0
-
o川*゚ー゚)o(お父さん、なのかな。あんまり好きじゃないっていっていた、お父さん)
o川*゚ー゚)o(私に似ている人……)
o川*゚ー゚)o(いや、おうちのことに首を突っ込んじゃいけないな)
o川*^ー^)o「じゃあ、明後日に帰るね! シュークリームお土産に持っていくよ!」
('A`)「あ、ああ……シュークリーム? ありがとう」
o川*^ー^)o「へへ」
-
557 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:03:17 ID:lNo/nBJY0
-
8月26日 朝
o川*゚ー゚)o「それじゃ!」
ガチャ
('A`)「ああ、また」
('A`)ノシ「明日」
o川*゚ー゚)ノシ「うん、行ってくるー」
ギィ
...バタン
('A`)「……ごめんね、キューちゃん」
('A`)「遠ざけちゃって」
シーン
● ○ ●
-
558 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:04:07 ID:lNo/nBJY0
-
高校一年の春
(;A;)「とーちゃん!」
ドッシーン
(;´・_ゝ・`)「ぬわあああああ」
バラバラバラ
(;´・_ゝ・`)「ああ、箱の荷物が。写真が!」
(;'A`)「あ、俺のも……」
バララーー
(;'A`)「ご、ごめんとーちゃん。嬉しくて」
(´・_ゝ・`)「いや、いいよ」
-
559 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:04:57 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「集めるの手伝うぜ!」
(´・_ゝ・`)「ああ」
ヨイショ
ガサガサ
('A`)「本当に一杯写真あるんだ」
(´・_ゝ・`)「ちょうど整理してたからなあ。折れないように気をつけてくれ」
('A`)「……わかった」
('A`)(なんか、思ったより反応薄いな。とーちゃん)
('A`)(俺、背とか伸びたんだけどな)
-
560 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:05:37 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)「ええと、これはこっちの箱で」
('A`)「……」
('A`)「……ねえ、とーちゃん。お見舞いにきてくれたんだよな?」
(´・_ゝ・`)「ん? ああ」
('A`)「いかないの?」
(´・_ゝ・`)「んー、場所がわかんないからお前が帰ってくるのを待ってたんだ」
('A`)「そっかー、すれ違っちゃったんだな。じゃあ、これから案内しようか?」
-
561 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:06:27 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)「言ったろ? 整理してるんだ」
(;'A`)「そ、そっか。ごめん」
(´・_ゝ・`)「いやいや。その代わり、こっちにしばらくいるぞ」
('A`)「え!?」
(´・_ゝ・`)「ああ。仕事はお休み。遊園地も行けるしおもちゃも買えるぞ、嬉しいだろー」
('A`)「……いやいや、そこはお見舞いでしょ」
(´・_ゝ・`)「そ、そうか? はは、すまない」
('A`)「それに俺もう高校生だし、遊園地やおもちゃはないわ」
-
562 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:07:17 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)「ん、そういうものなのか……いやはや」
('A`)「……」
(;'∀`)「ね、ねえとーちゃん! 今度とーちゃんの写真見せてよ!」
(´・_ゝ・`)「今見てるだろ?」
(;'∀`)「そうじゃなくてさ、どうやって撮ってるのかとか! プロっぽいの」
(´・_ゝ・`)「へえ、なんだ。興味あるのか?」
(;'∀`)「うん、いろいろ機会があって。あのねあのね!」
(´・_ゝ・`)「ん、これは……」
スッ
-
563 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:08:10 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)□ジー
('A`)(あ、あれは俺の)
('∀`)「それ、実は――」
(´・_ゝ・`)□「なんだこれ、こんな失敗作どうして保存しておいたんだろう」
('∀`)
('A`)「え……」
シーン
-
564 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:09:14 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)□「間違って顧客に出したら大変だ」
(´・_ゝ・`)⌒◇ ポイ
ハラリ
ハラリ
パサッ
('A`)
('A`)「……それ、俺の」
-
565 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:10:03 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)「え?」
('A`)「その、さっきのやつ、俺の」
(;´・_ゝ・`)「え!? あ、そ、そーなのか」
(´・_ゝ・`)「ごめんごめん。えっと、どこやったかな」
('A`)「これだよ」
スッ
(´・_ゝ・`)「そうそう、それだ! ごめん、よく見てなかったんだ」
-
566 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:10:47 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「……俺、部屋行ってるから」
(´・_ゝ・`)「あ、ああ。いいぞ。好きなように」
('A`)「うん」
タッタッタ
タタッ
バタン
( A )
-
567 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:11:40 ID:lNo/nBJY0
-
( A )
( A )「…………ああ」
(#'A`)「あああああああああああああああああああああああ」
ガシャーン
○ ● ○
-
568 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:12:22 ID:lNo/nBJY0
-
8月25日 21時
街の喫茶店
(;^ω^)「…………それじゃ、あいつ、それからずっと塞ぎこんでいたのかお」
ξ゚听)ξ「ええ。ほとんど、私としか話していないんじゃないかしら」
(;^ω^)「でも、写真を貶されたくらいでそんなに」
ξ゚听)ξ「きっとそれはきっかけにすぎないのよ。それまでにいろいろ我慢していた思いがあったんだと思う」
ξ゚听)ξ「だって、病気の母親相手に、『上京したい』とか、『自由になりたい』なんて、言えないでしょ?」
( ^ω^)「……そんな、言えないものを抱え込んでいたら、親父さんによって刺激されて」
( ^ω^)「爆発して、人と関わりたくなくなった」
ξ゚听)ξ「いっつも死んだ魚のような目をしているものね。あいつ」
( ^ω^)「……そうだったのかお」
( ^ω^)「確かに、昔よりもさらにガリガリになったとは思っていたけど、まさかそんな事情があったとは」
-
569 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:13:26 ID:lNo/nBJY0
-
ξ゚听)ξ「うん……お母さんの介抱もあるから、さらに大変みたい」
( ^ω^)「…………あいつはきっと、寂しいんだおね」
ξ゚听)ξ「そうね……」
( ^ω^)「せっかくこっちに帰ってきて、近くにいてあげたのに、気付いてあげられなかったお」
ξ゚听)ξ「これから、気にしてあげればいいじゃない」
ξ゚听)ξ「そうしたら、あいつも喜ぶと思うし」
( ^ω^)「そうだおね。うん」
( ^ω^)「僕も、あいつに恩があるんだお。だからなんとか、役に立ちたいお」
( ^ω^)「今日はどうもありがとうだお。話してくれて」
ξ゚听)ξ「構わないわよー」
○ ● ○
-
570 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:14:13 ID:lNo/nBJY0
-
8月26日 昼前
ガチャ
ギィ
('A`)(……とーちゃんだな)
('A`)(控え目な足取り、前と変わんねえや)
('A`)(自分の家なのに)
トットット
ヌッ
(;´・_ゝ・`)
-
571 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:15:03 ID:lNo/nBJY0
-
(;´・_ゝ・`)「……や、やあ。ドクオくん」
('A`)「どうもです。デミタスさん」
シーン
(´・_ゝ・`)「荷物……部屋に置いてきていいかな?」
('A`)「いえ、とりあえずそこに置いてください」
('A`)「話、あるんで」
(´・_ゝ・`)「話?」
-
572 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:16:04 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「そこの座布団にどうぞ」
(´・_ゝ・`)「はあ……わかった」
テクテク
('A`)「…………」
(´・_ゝ・`)「座ったよ。それで、話って?」
('A`)「出ていってください」
(;´・_ゝ・`)「は?」
-
573 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:16:54 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「俺はあなたを呼んでません。呼んだのは医者です」
('A`)「俺はあなたに会いたくありません。だから出ていってください」
シーン
(;´・_ゝ・`)「ちょ、ちょっと待ってくれよ。なにがなんだか」
('A`)「俺はあなたともう関わり合いたくないんです。嫌いなんです。だから」
(#´・_ゝ・`)「いい加減にしないか! 親に向かってなんだその口の聞き方は!」
(#'A`)「あんたに俺の父親を名乗る資格なんてねえんだよ! くそ野郎が!!」
-
574 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:17:44 ID:lNo/nBJY0
-
(;´・_ゝ・`)「……なんだと?」
(#'A`)「子どもの頃からよお、俺はあんたと数えるくらいしか会ったことねえんだ」
('A`)「ものすげえ小さいときの数年間と、15年前に一回と、5年前にかーちゃんが倒れたときから一週間程度」
('A`)「それで今日。これのどこが親なんだよ、同級の奴らの方がまだ会ってるぞ。まるで他人じゃねえか」
(;´・_ゝ・`)「し、しかしそれは仕事が」
('A`)「別に忙しいことを咎めているわけじゃないさ」
('A`)「現に、5年前までは俺も、あんたに期待していたんだ。きっとあんただって、忙しいけど、家族のことを想ってくれているだろうって」
-
575 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:18:25 ID:lNo/nBJY0
-
(;´・_ゝ・`)「想っているじゃないか。だからこうして来てやっている」
('A`)「そんなもん、形だけだろ。昔っからそうだ。今思い返してもよくわかるぜ」
(;´・_ゝ・`)「そんなこと言われても……」
('A`)「本当に俺たち家族のことを想ってくれているなら、まあ、本当は仕事を変えるのが一番てっとりばやいんだろうけど」
('A`)「それが無理なら、遠くからでも連絡を取り続けたり、写真とか送ってくれたり、繋がりを示してくれてりゃ良かったんだ」
('A`)「なのにあんたはそれをしないで、自分のやりたいことだけやっていて、俺に関わろうとしなかった」
('∀`)「なあ、覚えているかよ? 5年前にあんた、俺の写真を見てバカにしていたろ?」
(;´・_ゝ・`)「え? あ、ああ……そうだったっけ」
-
576 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:19:12 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「そうだよ、そうだったんだよ。あんたにとってはどうでもいいことかもしれないけど、俺にとっては辛かった」
(;´・_ゝ・`)「そうなのか……うっかり悪いことを言ってしまってすまない」
('∀`)「はは、言うと思った」
('∀`='∀`)フルフル
('∀`)「でも、ちげえよ。そうじゃねえよ」
('∀`)「俺はあのとき思ったんだ。自分の部屋の中に入ったときに」
('∀`)「もっとちゃんとした関わりが合って、普段から慣れ親しんでいる人相手だったら、もっと気を使っていたはず」
('∀`)「写真が俺のだとわかったあとのフォローも、もっと誠心誠意込めたものになっていたはず」
('∀`)「それがなかったうえ、俺が怒っていたことに気付いていない時点で、あんたは俺の親である資格はないんだよ。わかるだろ?」
(;´・_ゝ・`)「…………」
● ○ ●
-
577 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:20:02 ID:lNo/nBJY0
-
高校一年の春 病院
J( 'ー`)し「ドクちゃん、いつもすまないね」
('A`)そ「え?」
J( 'ー`)し「前までいっつも部活部活って、忙しそうだったのに」
J( 'ー`)し「このところ、私にかかりっきりでしょ? だから」
('A`)「何言ってんだよ。病人は謝らなくていいんだよ」
J( 'ー`)し「でも……」
-
578 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:20:50 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「いいよ! せっかくまともに話せるようになってきたのに、そんなこと言ってちゃだめだって」
('A`)「それに、本当ならとーちゃんが来てくれればいいけど、無理だから、その代わりなだけだって」
J( 'ー`)し「でも、それじゃドクちゃんは、私がここに居る限り、ずっとこの町で、私の世話をすることに」
('A`)「うん。そう」
J( 'ー`)し「……いいのかい?」
('A`)「うん」
-
579 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:21:52 ID:lNo/nBJY0
-
シーン
J( 'ー`)し「ドクちゃん」
('A`)「……」
J( 'ー`)し「ごめんねえ」
('A`='A`)フルフル
('A`)「良いんだよ。かーちゃん」
('A`)「別にいいんだ。この町だって好きだし」
J( 'ー`)し「本当かい?」
('A`)「…………」
('A`)"コク
('A`)「とーちゃんの代わりくらいできるよ」
('A`)(もうなにも期待していないから)
-
580 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:22:42 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)(俺はこの田舎で、かーちゃんを守って生きていくんだ)
('A`)(それが俺の人生なんだ)
('A`)(大丈夫、耐えきれるさ。俺なら)
('A`)(きっと……)
○ ● ○
-
581 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:23:28 ID:lNo/nBJY0
-
現在
(;´・_ゝ・`)「……」
('A`)「……でてけよ」
(;´・_ゝ・`)「……う、いや」
('A`)「……」
( A )ハアァ
(;´・_ゝ・`)「d、ドクオ、話を」
(#'A`)「もう何も聞きたくない!」
(;´・_ゝ・`)「だ、だが」
(#'A`)「うるっせえ!!」
-
582 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:25:19 ID:lNo/nBJY0
-
(#'A`)「はやくでてけよ! でてって、いつまでも、家族の責任とかそういうのかなぐり捨てて、好きなことばっかりやってろよ!」
(#'A`)「いらいらすんだよ、あんたみたいな人を見てるとさ、俺の持てなかったものを、捨てなくちゃいけなかったものを、見せつけられてるみたいな気がするんだよ」
(# A )「俺だって、俺だってな、最初は耐えられると思ったさ。ずっとここで暮らしていたって、かーちゃんのこと好きだし、可哀想と思っていたから」
(# A )「でもダメだった。俺はそんなに強くなかった。ときどき、ふっと、出てくるんだよ。考えが」
(# A )「この家もかーちゃんも、俺を縛る何もかもをぶち壊したくなるどす黒い感情が、ずっとずっと腹の奥でぐるぐる回ってんのさ」
(# A )「そいつを必死こいて胸の奥に抑えつけて、寂しくて辛くてわけわかんなくて」
(# A )「そうこうしているうちに周りの知り合いとかがみんな東京とかどっかへ行っちまって、そういう奴らと顔合わせるのがつらくなって」
(# A )「そうして塞ぎこんでいるうちに知り合いとかどんどん疎遠になって孤独になった。」
-
583 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:26:12 ID:lNo/nBJY0
-
(#;A;)「なんだってんだ。ちくしょう。なんで俺だけがこんな目に合ってるんだ。どうして俺だけが苦しまなきゃいけないんだ」
(#;A;)「俺はこんなさびれたくそ田舎に、かーちゃんの世話するために閉じ込められて、ひとりぼっちだってのに」
(#;A;)「あんたは俺のことなんか見返そうともせず、頭の中にいる俺がいつまでも子どものままであることを」
(#;A;)「どうでもいいことであるかのように、一切気にもせずに、良い年して自由を謳歌しやがって」
(#;A;)「誰のせいでこうなったんだと思ってんだ! あんたが、ここに、いねえからだろ。かーちゃんの傍にいなくちゃなんねえはずのあんたが!」
(#;A;)「大っきらいなんだよ、見たくもねえんだよ! あんたのことなんか思い出したくもない!」
(#;A;)「俺に何もかも押しつけやがった、その自由人らしい自分勝手な性格が、俺は、心の底から、憎たらしくてしかたねえんだよ!」
-
584 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:27:08 ID:lNo/nBJY0
-
(;´・_ゝ・`)「…………」
(#'A`)フウ、フゥ
(#'A`)「以上だ」
(´・_ゝ・`)
(´−_ゝ−`)「わかったよ」
スッ
テクテク
グッ
(´・_ゝ・`)「お前がそこまで言うなら、私はもうここへは来ない。どこかホテルにでも泊って、明日には出掛けるとするよ」
(#'A`)「……」
-
585 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:27:48 ID:lNo/nBJY0
-
(´・_ゝ・`)「……もう、俺が何を言っても聞いてはくれないんだろう」
(´−_ゝ−`)「母さんを、頼んだぞ」
テクテク
ガチャ
...バタン
('A`)...ハァ
('A`)「……当たり前だ、くそ親父」
-
586 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:28:38 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)
シー...ン
...ヒ
('A`)そ
-
587 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:29:29 ID:lNo/nBJY0
-
...ック
('A`)(何か、聞える?)
...ヒック
('A`)
(゚A゚)ゾク
-
588 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:30:22 ID:lNo/nBJY0
-
ダダダダダ
(゚A゚)(階段の、上の、方)
(゚A゚)(この声……まさか)
ダダダダダッ
ダンッ
(゚A゚)「キューちゃん!」
o川*;−;)o「ひっ!?」
-
589 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:31:11 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「……なんで、二階に?」
o川*;−;)o「お部屋にまだ忘れ物があったから」
o川*;−;)o「鍵、たぶんお父さんが締め忘れていたから、入ることができて」
o川*;−;)o「私が入ってきたときはまだ静かに話していたから、邪魔しちゃならないと思ってこっそり取っていこうと思って」
o川*;−;)o「二階に上がったら、ドクちゃんが大声で怒鳴り始めて、それで……怖くて」
-
590 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:32:06 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「……キューちゃんには関係ない話だよ」
( − *川=川* − )フルフル
('A`)?
o川* − )o「ドクちゃん、自由な人が憎いって言うから」
('A`)「……え」
o川* − )o「それで、私のことも自由って言っていたから、だから」
(;'A`)「そ、そんなの全く別の話だろ! 何言ってるの」
o川* − )o「あと、私のことお父さんに似てるって。それで、そのお父さんのこと大っきらいって」
(;'A`)「似てねえよ! そんなこと、確かに言ったけど、でもあいつとキューちゃんは全然違う」
o川* − )o「何が? 何が違うの?」
-
591 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:33:26 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「え……」
o川* − )o「ずっと言ってたじゃん。私は自分のやりたいことやりたいって。ドクちゃんのお父さんと同じだよ」
o川* − )o「ドクちゃんは、心の中でずっとそう思って、イライラしていたんだよ。優しいから普段口に出さないだけで」
(;'A`)「ち、ちが」
o川* − )o「違くないよ。ドクちゃん。私を傷つけちゃうかもとか、思わないで、純粋に自分の気持ちを考えてみてよ」
o川* − )o「ドクちゃんは私と会うとき、何を考えていた? 私のことどう考えていた?」
('A`)「…………」
-
592 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:34:08 ID:lNo/nBJY0
-
o川*゚ー゚)oフッ
o川*゚ー゚)o「私、ここ出るね。今までごめんね。無理させちゃって」
o川*゚ー゚)o「それじゃ」
( A )
トントントン
タッタッタ
...
...
バタン
-
593 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:34:58 ID:lNo/nBJY0
-
( A )(……純粋に、考えてみると)
( A )(俺はいつも、少なくとも自分から進んでは、キューちゃんを恋愛の対象として見たことはなかった)
( A )(ブーンやモララーさんに唆されて、浮かれて言ってしまっただけだった。だからこそ、すぐに謝ることができた)
( A )(そのことについては、特に疑問は抱いていなかった。そう見えないだけだろうって)
( A )(でも、もしかしたら、俺は)
( A )(キューちゃんが、自由な人だと知り)
( A )(親父と同じであることを知り)
( A )(そしてそれを意識しないようにと自分に言い聞かせ、常に一歩引いた視点から彼女を分析していたのではないだろうか)
-
594 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:35:57 ID:lNo/nBJY0
-
( A )(さらにいえば、俺は、キューちゃんを見ていたときある期待をしていた)
( A )(それはもうずっと前から感じていたことだったが、そのときはぼんやりとした考えだったし、気のせいだとも思っていた)
● ○ ●
o川*゚ー゚)o
('A`)「…………」
('A`)(……俺はこの子に何を思っているのだろう)
('A`)(何を期待しているというのだろう)
('A`)(単純に惹かれているのだろうか)
('A`)(それとも……)
○ ● ○
( A )(でも、今、素直に思い返してみると、わかる)
-
595 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:37:17 ID:lNo/nBJY0
-
( A )(俺は彼女に対し、自分の親父を、デミタスを、投影していたんだ)
( A )(そして、その二人の共通点である自由な精神、やりたいことをやるという気持ちが)
( A )(折られる様を見てみたいと思うようになっていた)
( A )(それが俺の期待の根本だった。その期待は、4年前までは親父にかけていたものだ)
( A )(それが叶わないと俺が悟ると、その期待は幻影となって俺の中に封印された。それを、今更になって、俺は無意識のうちにキュートにかけていた)
( A )(そのことに対する罪悪感があったからこそ、俺はひたすらにキュートに尽くしていたんだ。無意識の贖いとして)
( A )(それだけのことだったんだ)
-
596 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:38:11 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)
('A`)「……今日は、一人だな」
('A`)「明日からも、ずっと」
('A`)「……」
シーン
('A`)(なんだかもう、疲れた)
('A`)(ちょっと部屋で横になろうか)
('A`)(もう、夏も終わりなんだ)
('A`)(このくだらない、子どもの遊びのような、ひと夏は、もう)
-
597 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:38:51 ID:lNo/nBJY0
-
Part 3
8月26日 昼過ぎ
ムググ
( ^ω^)「あー、よく寝た」
(;^ω^)「え! もうお昼過ぎてるお!」
(;^ω^)「まいったお。昨日歩き疲れたとは思ったけど、ここまでとは」
ノソノソ
( ^ω^)「かーちゃん、めし……うわ、いないお」
( ^ω^)「僕が赤子ならネグレクトだお、社会問題だお」
( ^ω^)「まあ、ひと月前まで遠くにいたやつの言うことじゃないか」
( ^ω^)グルルル
( ^ω^)「……やべえ」
ピンポーン
( ^ω^)「お、誰か来たのかお」
-
598 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:39:38 ID:lNo/nBJY0
-
ノソノソ
ガチャリ
( ^ω^)「はいですおー」
( ^ω^)そ
川 ゚ -゚)ノ「よっ」
o川*゚ー゚)o「こんにちはー」
(;^ω^)「え、ちょ、今寝まきで」
川 ゚ -゚)「いい、いい。すぐ終わる」
(;^ω^)「はあ、何ようですかお?」
川 ゚ -゚)「実はな、キュートがな……」
○ ● ○
-
599 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:40:43 ID:lNo/nBJY0
-
8月26日 夕方
.
-
600 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:41:29 ID:lNo/nBJY0
-
ドクオの部屋から
ピンポーン
(-A`)そ
('A`)「え?」
ピンポーン
('A`)「……なんだ」
ピンポ、ピンポ、ピンポーン、ピピピピンpピャー
(;'A`)「なななななんだよう、誰だよう」
-
601 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:42:20 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「部屋を出て、玄関に、降りてかなきゃ」
ガチャ
トントントン
テクテクテクテク
('A`)「時計は……」
チラリ
('A`)「もう夕方か。昼飯も食べてねえや」
ピンポーン
('A`)「へいへい」
テクテク
-
602 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:43:08 ID:lNo/nBJY0
-
ガチャ
('A`)「はい、どなたで」
( ゚ω゚)「うおあああああああああああああああああああ!!!」
グワッシャ!!
(;'A`)「!!?」
( ゚ω゚)「表でろやこらああああああああああああああ!!!」
-
603 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:44:09 ID:lNo/nBJY0
-
ブワアアアン
(;'A`)「え、えええええええ投げる気? 投げる気!?」
(;'A`)「そっちは塀が……ああああああ!」
ゴッシャアアアアアア!!!!!!
(゚A゚)ゲボォ
(;'A`)「ぶ、ぐ、てめ、なにしやが、あ」
-
604 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:44:59 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)「こっちのセリフじゃわれ」
ドゲシッ
(゚A゚)グボァ「つ、つま先が腹に」
( ゚ω゚)「そこで蚯蚓みたいにのたうちまわりながら良く聞けやクソモヤシ」
(゚A゚)ピクピク
( ゚ω゚)「キューちゃんが、さっき電車に乗って帰って行ったお」
-
605 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:45:48 ID:lNo/nBJY0
-
('A`)「……」
( ゚ω゚)「クーさんと一緒に、僕のところに挨拶に来たお。もう帰るって」
('A`)「……」
( ゚ω゚)「で」
('A`)?
( ゚ω゚)「お前はいったい何をやらかしたんだお」
('A`)「はあ? なんで俺がでてくんだよ」
-
606 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:46:38 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)「ピンとくるもんがあるんだお、こっちには」
('A`)「んなむちゃくちゃな」
( ゚ω゚)「じゃあちげえのかお」
('A`)「そうじゃ、ねえけど……」
( ゚ω゚)「ほれみろだお」
グワシ
(;'A`)「結果論じゃねえ……お、おい襟元掴むなよ」
ズイ
( ゚ω゚)「……キューちゃんに何をしたのか、を聞いているんだお」
-
607 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:47:27 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「……」
('A`)「俺が何かしたんじゃない。キュートが勝手に思っただけだ」
('A`)「俺があいつのこと、心の底の純粋な気持ちでは嫌っているって」
( ゚ω゚)「……お前にそう言ってきたのかお? キュートが?」
('A`)「ああ」
( ゚ω゚)「じゃ、なんて答えたんだお」
('A`)「何も」
( ゚ω゚)「何も?」
('A`)「何も言わないままでいたら、出て行っちまったから」
-
608 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:48:17 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)...
(#゚ω゚)ピキキキ...
(#゚ω゚)「このぼけがあああああああああああああああ!!!」
グググ
-
609 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:49:08 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「へ!? えええ!」
ズオオオ
(;'A`)「そっちは道路おおおぉぉぉあああああ」
ドゴシャアアアアア
(#゚ω゚)「アーンド、スペシャルドロップキーック!!!」
ズキュウウウウウウ
(゚A゚)ピギャアアアアアアアア
-
610 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:49:58 ID:lNo/nBJY0
-
(゚A゚)ピク...ピク...
(#゚ω゚)「てめえ、なんでそこで否定しねえんだお!」
(゚A゚)「……は?」
(#゚ω゚)「女の子が不安になることを言っていたら、それを取り除くのが男の宿命!!」
(#゚ω゚)「不安に同調して、何一緒になって女々しくブルーになっとんだお!! 玉ついてんのかああん!?」
グリグリ
(゚A゚)アアン、チョヤメ、アアアアア
-
611 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:50:48 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)ハアハア「ぶ、ブルーって……だって」
(;'A`)「お、俺だってキュートに言われてから、純粋な気持ちになって考えてみたんだ!」
(;'A`)「そうして、わかったんだ。俺はキュートのこと、あの自由が好きな性格を、心の片隅で憎んでいたってことが」
(; A )「なあ、もういいだろ? そういうことなんだって。それがキュートにもわかったから、キュートだって自分から離れてったんだ」
( ゚ω゚)フン
(; A )?
( ゚ω゚)「何が純粋だお。純粋な気持ちばかりに従って生きてる人間なんて、この世の中にいやしないんだお」
-
612 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:51:38 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)「人は誰に対してだって、気に入らないところの一つや二つあるもんだお。それが無いって言う奴は、頭がおかしいか、どっかで無理してんだお」
( ゚ω゚)「その、ほんの少しの気に入らないところばっかりクローズアップして、嫌だ合わねえなんてのたまって、それで世の中生きていけるかってんだお」
(; A )
( ゚ω゚)「その相手がキューちゃんだってんなら、なおさらだお。良いとこのが一杯あんだろうがお。可愛いし可愛いし可愛いし明るいし優しいし可愛いし」
( ゚ω゚)「そんな彼女を傷つけたまま、安心させもせずに放っておいた貴様は男として、屑で、間抜けで、愚かな、怠け者でしかねえお」
(; A )ア、アウ
( ゚ω゚)「それで良いって言うんだったら、そこで一生這いつくばって、蚯蚓のように」
ガシッ
-
613 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:52:28 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)「お?」
( A )「俺は……俺は」
( A )「仕方ねえだろ、あんなこと言われたの、直接言われたの初めてだったし」
( A )「ずっと胸の奥にしまいこんでたもん、引っ張り出されたら、誰だってびっくりする」
(;A;)「なあ、ブーン、わかるかよ!? 俺はずっと寂しかったんだよ! こんな田舎で一人ぼっちで生きてんだぞ!? でもかーちゃんに本音を言うわけにもいかない!」
(;A;)「かーちゃんは傷つけたくない、でもみんなは離れていく。だから、俺にどうにもできないことが、できてしまえる自由な人が、嫌い」
(;A;)「でもそんなことを、ずっとしまいこんでいて、とうとう言ってしまったら、今度はキュートが傷ついた!」
(;A;)「もうわけわかんねえよ、どうしたらいいんだよ! 俺は、俺は、この寂しさをどうしたらいいのか」
( ゚ω゚)「何言ってんだてめえ!」
ゲシッ
(;A;)「うぐ」
-
614 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:53:18 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)「何が寂しいだお、どこが一人ぼっちだったんだお」
( ゚ω゚)「僕がずっとメールで連絡していたじゃねえかお。忘れたのかお?」
(;A;)「あれは……あんなの、面と向かってじゃないし」
( ゚ω゚)「顔合わせなきゃ孤独だ、なんてのは勝手にそうイメージしてるだけだろうがお。それなのに、できねえもんとりあげて嫌々言いやがって」
( ゚ω゚)「だいたい何が孤独だお。高校時代は自分から塞ぎこんで声をかけようともしていなかったくせに」
(;A;)「は? な、なんで高校時代の話が」
( ゚ω゚)「昨日の祭のときツンに会ったんだお。それでいろいろ、お前の話を聞いたんだお」
( ゚ω゚)「その話聞いて、親父さんとの仲違いも聞いたお。それが、さっき言いそびれたピンとくるものってやつだお」
(つA;)「な……なるほど」
-
615 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:54:09 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)「……その親父さんとも、同じだろうがお」
('A`)?
( ゚ω゚)「お前だって、親父さんが忙しいのはわかっていただろうがお」
('A`)「……それはそうだが、許せないものはある。苦しんでいるかーちゃんに、必死で会おうとしなかったこと」
( ゚ω゚)「だからそれを、許してあげようと考えたことはなかったのかお」
('A`)「……あったよ、でも、無理だった」
( ゚ω゚)「無理って?」
('A`)「無理な無理だ。ああいう勝手な奴がいるって思うとイライラする。俺は親父が根本的に大嫌いなんだ。だから」
( ゚ω゚)「嘘だお」
('A`)「…………は?」
-
616 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:54:58 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)「お前が親父さんのことを根本的に嫌っているというのは、嘘だお」
('A`)「……なんでそんなのわかるんだよ」
( ゚ω゚)「ツンから、お前が母親に写真をあげようと頑張っていたという話を聞いたお」
('A`)「……ああ」
( ゚ω゚)「僕はもう、東京に行っちゃっていたから知らなかったけど、お前は親父さんに貶されてショックを受けていたおね?」
('A`)「……それなりに」
( ゚ω゚)「少し、気になることがあったんだお。なんで親父さんはその写真を貶したのか」
('A`)?
-
617 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:55:47 ID:lNo/nBJY0
-
( ゚ω゚)「お前は親父さんに写真のことを隠していたんだおね? だから親父さんは、その写真がお前のだと知らなかった」
('A`)「ああ……隠していたな。かーちゃんに、それが親父のだと思わせたくて」
( ゚ω゚)「いや、それは親父さんに言わない理由にはなってないお」
('A`)そ「え? ……あ」
( ゚ω゚)「かーちゃんに黙って、親父さんには口裏でも合わせておけばよかったんだお」
(;'A`)「そうだけどそれは」
( ゚ω゚)「いや、そもそも親父さんに『写真撮ってかーちゃんに送れ』と連絡しておけばもっとすっきりしたはずだお」
( ゚ω゚)「それをしなかったのは、おそらく、『親父さんに黙って、親父さんの写真に近いレベルのものを撮りたい』という発想が先に浮かんだからだお」
( ゚ω゚)「なぜそんなことをしたかといえば、お前はきっと、親父さんに、認められたかったんだお。こんな写真撮れるようになったんだよって」
( ゚ω゚)「そうして、認められれば親子としての関係が生まれてくれると、いや、とにかくまずは親父さんと仲良くなれると、お前は期待していたんだお」
-
618 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:56:28 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「……推測、だろ?」
( ゚ω゚)「そうだお。真相はお前の頭の中だお」
( ゚ω゚)「でも、だったら教えてくれお。お前は、母親のいないところで父親に写真を見せたんだおね?」
( ゚ω゚)「それはつまり、母親へ見せるための写真以外にも、写真を現像していたということだお」
( ゚ω゚)「父親に見せるつもりがないなら、どうしてそんなことをしたんだお?」
● ○ ●
(*'A`)「……残りの写真は」
(*'A`)ヘヘ
○ ● ○
(;'A`)「……」
-
619 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:57:08 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「……確かに見せようとはしたかもしれないが、結局貶されて、落ち込んで、それで嫌いになったってことも」
( ゚ω゚)「でもツンとは交流を続けていたおね? 写真のことで」
(;'A`)「う」
( ゚ω゚)「貶されたものを好きでい続けるのは並大抵のことではないお。その原動力は何かといえば、そのときの悔しさじゃないのかお?」
( ゚ω゚)「お前は、いつか父親を見返してやりたいと思っていたんだお。だから写真と言う趣味を続けていたんだお」
● ○ ●
ξ゚听)ξ「どうしたの、急に」
ξ゚听)ξ「最近全然うちに来ないから、何してるのかと思った」
(;'A`)「ああ、あれはもうやめたんだ、うん」
○ ● ○
(;'A`)「だ、だけど結局はもうやっていない。写真なんて。だから悔しさも何も――」
( ゚ω゚)「何もないというのかお。でもそれは嫌いとは違うお。逃げ続けて、挑もうとしなくなっただけ、興味自体は今も持っているはずだお」
-
620 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:58:00 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「…………なんでそんなことがわかる」
( ゚ω゚)「なあ、ドクオ。それに覚えているかお? 東京に行ったとき、お前はお店のショーウインドウを見ていたお」
● ○ ●
('A`)ボー
( ^ω^)「おーい」
('A`)そ
( ^ω^)「何をぼんやり眺めていたんだお? 電気屋?」
(;'A`)「ああ、いや。なんでもない」
○ ● ○
( ゚ω゚)「あのときは、電化製品を見ているのかと思っていたお。でも、あそこに何があったか思い返してみれば」
( ゚ω゚)「あのお店にはカメラが置いてあったお。プロが使うような、高いのが」
( ゚ω゚)「それだけでも、お前がカメラに未練があるというための根拠になるなんじゃないのかお?」
-
621 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:58:49 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「……」
( ゚ω゚)「さあ、もう充分説明したお。お前は写真に興味があり、親父さんにも興味を抱き続けているお」
( ゚ω゚)「だから嫌いではないんだお」
( ゚ω゚)「ゆえに、まだ、親父さんのことを許し、良いところを見つけるだけの余裕が」
( ゚ω゚)「それさえあれば、いいお。また立ち上がれるお。めったに会えなくても、確かに親子なのだから」
(;'A`)「お前、いったいどうしちまったんだよ」
( ゚ω゚)?
(;'A`)「そんなに推理して行動するやつだったのかよ。知らなかったぞ」
( ゚ω゚)「……」
( ^ω^)フッ「そんなの、友達だからに決まっているお」
-
622 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/08(日) 23:59:39 ID:lNo/nBJY0
-
(;'A`)「ええ?」
( ^ω^)「僕はそういうぐちぐちした悩み吐き出すの苦手だから、メールにも書かなかったけど、僕だって東京ではいろいろ辛い目にあったんだお」
( ^ω^)「そんな中お前と話して楽しかったから、それなりに感謝しているんだお。そして苦しんでるのに気付いてやれなかったことに苛立っているんだお」
( ^ω^)「それだから、普通以上に、考えたんだお」
('A`)「はあ」
('A`)「……なんか、その、ありがとう」
('A`)「でも、これだけ暴行をするのはやりすぎなんじゃないかな」
( ^ω^)「あ、立てない感じかお?」
(;'A`)「おい」
-
623 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:00:56 ID:LhuuoMe20
-
( ^ω^)「じゃあ今すぐ助け」
クウクウ
( ^ω^)「お?」
クルリ
∪・ω・)クゥ!
ダダダダダ
(#><)「コラー! そこの少年! 今さっき暴行をはたらいていたと通報が」
(;^ω^)「げっ!」
∪・ω・)クワー
ガブリ
(;^ω^)「やめろうおやっべいってうおおおおおお」
-
624 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:01:47 ID:LhuuoMe20
-
(;^ω^)「あばよ、ドクオ! 明日また会おうお、お前の家で!」
ダダダダダ
∪・ω・)クウウウウ
ドドドドド
('A`)「……行っちまった」
( ><)「……コルレオーネが行ったか」
( ><)「では、僕はもういいですね」
(;'A`)「おいおい、駐在さん。助けてくれよ」
-
625 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:02:36 ID:LhuuoMe20
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( ><)「はあ? 勝手に仕事増やした輩が何言ってるんですか」
(;'A`)「被害者だぞ、俺は」
( ><)「喧嘩をするなら通報されない程度に」
(;'A`)「喧嘩じゃないです一方的暴力です、ていうか早く助けろおい」
( ><)「はいはい」
グッ
グイ
(;'A`)〜('A`;)フラフラ「うーん、よろめくなあ」
( ><)「お疲れ様」
('A`)(…………でも、ありがとう。ブーン、おかげですっきりした)
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626 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:03:49 ID:LhuuoMe20
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('A`)(俺は、自由な人は苦手かもしれない)
('A`)(でも、嫌ってばかりもいられない)
('A`)(もう孤独は嫌だから)
('A`)(明日、親父と話そう。今度はちゃんと、怒鳴らずに、相手の言うことも聞いてあげて)
('A`)(そして時間があれば、またキュートと会おう)
('A`)(今朝のことを、謝りに)
○ ● ○
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627 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:04:40 ID:LhuuoMe20
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8/26 夜 ショボン邸、つまりはキュートたちの家
(*´・ω・`)「あっはっはっはっは、あっはっはっはっはっは」
川 ゚ -゚)「父さん、今時特撮ものの悪役でもそんな笑い方しないよ」
(*´・ω・`)「愉快で仕方ないのだよ、不安なものがなにもない! これこそが至上の喜び! あっはっはっは」
川 ゚ -゚)「やれやれ」
ジリリリリリ
(´・ω・`)「ん、電話か?」
川 ゚ -゚)「でたほうがいい?」
(´・ω・`)「いや、どうも仕事の方のようだ。私が出よう」
-
628 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:05:26 ID:LhuuoMe20
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テクテク
チャッ
(´・ω・`)「私だ」
(´・ω・`)「え」
(´・ω・`)「er du på ordentlig」
川 ゚ -゚)「!?」
(´・ω・`)「Jeg ble overrasket på kort varsel.」
川 ゚ -゚)「何こいつかっけえ」
(´・ω・`)「Det er dagen etter i morgen. Er OK. Jeg er nå forbereder.」
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629 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:06:20 ID:LhuuoMe20
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ガチャン
(´・ω・`)フゥ
(´・ω・`)「これは困ったな」
川 ゚ -゚)「どうかしたのかい?」
(´・ω・`)「ああ、ちょっとやっかいなことになったな」
(´・ω・`)「キュートに話してくれるかい、これから言うことを」
川 ゚ -゚)「いいけど、なんだ?」
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630 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:07:15 ID:LhuuoMe20
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キュートの部屋
o川*゚−゚)oツンツン
o川*゚−゚)oチョイチョイ
トントン
「はいるぞー」
o川*゚ー゚)o「お姉ちゃん! いいよ!」
ガチャ
川 ゚ -゚)「ん、それはなんだ」
o川*゚ー゚)o「しまうまのぬいぐるみだよ! お姉ちゃんがとったんでしょ?」
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631 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:08:00 ID:LhuuoMe20
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川 ゚ -゚)「ああ、祭のときか」
o川*゚ー゚)o「ツンツンして遊んでた!」
川 ゚ -゚)「……なんかごめん」
o川;゚ー゚)o「え! な、なにもないよ! なんかもう頭の中ぼんやりしてひたすら暗い妄想ばっかりしていたりとかそういうことないから!」
川 ゚ -゚)「oh」
川 ゚ -゚)「そんなことより、キュートよ」
o川*゚ー゚)o「なに、お姉ちゃん」
川 ゚ -゚)「お父さんから伝言だ」
o川*゚ー゚)o「え……なんだろ」
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632 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:08:54 ID:LhuuoMe20
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川 ゚ -゚)「実はな」
川 ゚ -゚)「明日の晩、飛行機に乗ってこの国を発つぞ」
o川;゚ー゚)o「ええええええええええええええええ」
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633 名前: ◆MgfCBKfMmo[sage] 投稿日:2013/12/09(月) 00:09:49 ID:LhuuoMe20
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第九話
o川*゚ー゚)o「……しまうま」
おわり
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第九話「…… 」
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