( ^ω^)千年の夢のようです

( ^ω^):白い壁 黒い隔たり

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374 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:23:01 ID:NIpLrbB.0


様々な感情が行き交う、人の命は約100年……
東方では更に永く生きる人もいた。

楽しいことばかりとはいえないが、その触れ合いに寄り添うことは
ブーンのような不死者が生を実感できるチャンスともいえる。
それはもちろん、人から承けるのみに留まらない。
年月が経ち、姿を変える土地からは、また新しい発見をすることもあった。

    ガヤ…      ガヤ
( ^ω^)「…ツンなら、これからどうするお?」
      ガヤ

ブーンがこのウォール高原に来るのは何百年振りだろうか?
隣り合う砂漠が、まだ砂漠になる前だったのは間違いない。

大地は目まぐるしく模様を変える万華鏡…
いくら時を経ても同じ絵柄が映し出されることはない。
だから旅をしていて飽くことも決してなかった。
……今までは。
                  ザワ

( ^ω^)「ダイオードを助けることは、レモナさんを罪人にしてしまうお…でも」
…ザワ


どこか灰色の世界。
思い出すのはヘリカルの瞳。
ダイオードに比べてあまりに貪欲に映ったあの眼差しは、しばらく忘れられそうにない。

     ザワザワ
 

375 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:24:10 ID:NIpLrbB.0
            ガヤガヤ
周囲の音がよく聴こえるようになった。
思いにふけた意識を視界に戻すと、
街人らの頭が右往左往に流れていく夕暮れ時の景色に改めて気が付く。

それはただただ流れるのではなく……時にぶつかり、規則性からほど遠い無規律な雑流。


「逃げろっ!! 化け物が──」
「うわあぁあ!」

あがる悲鳴。
瞬時に切り替わるブーンの脳内スイッチ。
しばらく眠っていた細胞が目まぐるしく、弛んでいた身体の芯を引き締める。

「家の中じゃあ潰される…! 離れろ、離れろぉ」

「…向こうかお」


           三( ^ω^)


呟きを置き去りにブーンは駆け出していた。
腰に下げた数本の剣が、がちゃがちゃりと静かに音をたてる。


視線の先、白い建物群の頭からは鈍色ひかる鉄の翼が生えていた。

 

376 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:25:28 ID:NIpLrbB.0
( ^ω^)「これは…」

境界線は無い、いつの間に足を踏み入れていたのか。
飛び交う瓦礫、人の身体。
血で血を洗うには些かその量が多すぎる。

弧を描くよう放られ、その場にタイミングよく現れたブーンの腕へ "がくん" と収まったのは肉のカタマリ。

仰向けに垂れる身体の中心には紅い背骨。
成人男性の死体。


( ^ω^)「……」


勢いよく飛んできてもその衝撃に身をよじることなく、ブーンは巨木のようにまっすぐ立ち、死体を見下ろす。

腕に伝わる死の感触……
首の肉も崩れ、千切れそうな舌がだらしなく口許から零れているのを直視してしまう。
たち込めるは新鮮な血の匂い。

死体はフィレンクトと同じ布兜…警官の格好をしていた。


ブーンの周辺にはいまもなお、宙に警官隊が浮かび、そしてぼとぼとと降り注ぎ続ける光景が止まない。

今この場を支配しているのは、聴く者を慄かせる破砕音と、雷を思わせる唸り声──

377 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:26:41 ID:NIpLrbB.0

 《グ ゴ ォ ア ア ア ァ ア!!》

      ('∀`)「ひひっ、ひひひ!!」


(;^ω^)「ドク?!」


ひときわ巨大な鳥が大地を暗く染める。
広げる翼が、空の蒼さをその体躯以上に隠している。
   その背中で笑うのは──不死者ドク。
 

378 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:27:51 ID:NIpLrbB.0
('A`)「おい、そこでいいのか?」

('∀`)「まーそのまま死ぬのもいいぜぇ?
ひひっ! 羨まーし〜ぃい♪」


誰に話し掛けているのか、グリガンの生み出す風に乗せられたドクの声が届く。
それを聴き取れたのは、辺り一面に動くものが無くなったからだ。


/::;  <●>)  …ゴトリ


──たった一つ、死体の山から立ち上がった呪術師を除いて。

大きな瞳孔、闇を模倣するフード。
その衣の奥から【カース】と囁く声がした。
ブーンがそれを捉えたと同時、黒い炎が柱となってワカッテマスを囲む。


「……気色悪いもん造りやがって」('A`)


           ('A`)
     ('A`) ( <●><●>)   ('A`)
       ('A`)


(;^ω^)「──どうなってんだお」

381 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:37:12 ID:NIpLrbB.0
ワカッテマスはいち早く領主に取り入り、土塊を製造していた。
元となっているのはボイズンの臓物。
そのすべての土塊の手に、長身の銃が握られている。


( <●><●>) 「…すり潰してみなさい。
貴方自身の内臓で良ければ

A`)  ザザッ
( <▲><●('A`)      ──ね」


ワカッテマスを護るよう身構える二体。
他の一体はドクに向けて走りだし、残る一体はワカッテマスの背後で…


('A`)「……」


('/ :
  :/A`) ズ リ
       ュ ッ

       ──身体ごと裂かれ、崩れる。


         (<●><●>; ) 「?!」


( ^ω^)
 つΓーーーー,
    ̄ ̄ ̄

土塊の身体から、温もりなき重い剣が姿を見せていた。
滴るものは何もない。
"隕鉄" とも異なる両刃剣は、土塊の肉と骨と血を切断面から【破壊】し尽くしたブーンの得物。

 

382 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:38:52 ID:NIpLrbB.0
( <●><●>) 「…何者です? いえ、答えずとも良いのですが」


だが、すぐ真後ろで起きたそんな迅速劇にもワカッテマスは動じていない。
頭から割れ伏した土塊から粉が舞い、光る粒子となって人形は消えていく。


呪術師の瞳…こちらの観察に努めているのだろうとブーンは感じ取った。
相手に恐怖という感情は恐らくない。

足元に残った砂を無造作に蹴飛ばしながらブーンは続ける。


( ^ω^)「見つけたお。
君だおね? ツンにあの呪いをかけたのは」


  『黒い……瞳孔の大きな… ⊿ )ξ
     あれは赤い森の────』


( <●><●>) 「さあ? 存じません。
"この私ではない" と思いますが」

( ^ω^)「【カース】…ツンはその魔法を受けてから、ああなってしまったお」

( <●><●>) 「……………ほう?」


「興味がありますね……



 

383 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:39:44 ID:NIpLrbB.0



 ( <▼> <▼> )  …どうなりました? それ」


 

384 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:40:27 ID:NIpLrbB.0
下卑た笑み…その瞳孔を弧月に歪ませる。
後頭部が熱くなる気がした。
そんなブーンの視界に映るのは
『クックッ』と笑うワカッテマスと
空の上から墜ちる、喰い千切られた "ポイズン" の下半身。


( ゚ω゚)「……やっぱりお前なのかお」


"ポイズン" の下半身は大地を前に粒子となる。
土塊はその身を繋ぎ止める媒体が破壊されればこの世に存在できない。

真上には巨獣グリガンと、不死者ドク。
ダメージを受けた様子はなかった。
……土塊はドクの力をもコピーするに至っていない。


( <●><●>) 「……解凍が早かった…仕方ありませんか」

( ゚ω゚)「ツンを元に戻すお」

(<●><●> ) 「知らないものは戻せません。
先ほど言った通り、それは私ではない。

……ですが見せてもらえるなら──」

385 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:41:19 ID:NIpLrbB.0
突然ワカッテマスが大きく跳躍した。
動き自体は素早くないが、予備動作はなく、さらに周囲を囲む土塊までも同時にその場を離れている。

(゚ω゚ )「なん──っ」

追うつもりのブーンを襲う突風、そして鉄の羽根。
ワンテンポの遅れがその身を封じ、肉を切り刻む。

    《ギィィイイッッ!!》

Σ(# ;゚ω゚)「ふおぉぉおっ!!」

──グリガンの【ダウンバースト】。
はるか上空から注ぐ刃と、
全体重を乗せた体当たりがブーンに迫り、
                  邪
                  魔
                  す
                  ん
                  な
と、
耳にがなり声をこびりつかせた。

爆発音はグリガンと共に、ブーンは白い瓦礫の山へと吹っ飛んでいく。


            ('A`)
    「それは俺の獲物なんだよボケが」
 

386 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:43:59 ID:NIpLrbB.0
ガリ(ガリ ガリ ;;゚ ガω゚リガリガリッ!

ブーンの意思を断ち切らんとする巨獣のメテオ。
背中に受ける衝撃が意識を失うことを許さない。

瓦礫の山を爆砕してなお、グリガンの【ダウンバースト】は止まらない。
遥か先で原型を保っていた建物という建物すら粉砕しながら翔んでいく。


('A`)「てめーはそこで戯れてな」


グリガンから降り、それを眺めていたドクは
そのままワカッテマスの消えた方角へと足を向ける。


(  )「…」

( 'A)「…なんだと?」


…グリガンの攻撃が止んだ。
巨獣の体当たりは、この程度で終わる攻撃ではないはずだった。


「…待、つお……!」


空によく通る声がする。
衝撃の余波がびゅうびゅう土煙を押し退けていく。

ひらけてゆく景色…新たに出来た瓦礫の壁。
蜘蛛の巣状にひび割れたその中心に。

グググ…
::(;つ^ω^)つ::「…あいつには…訊かなきゃ、いけないことがっ、あるんだお!!」

グリガンの牙を抑え込み、膨張させた筋肉によって巨獣を怯ませるブーンの姿。


( 'A)「…」

( 'A)「ひひっ、おもしれぇ〜」

387 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:45:03 ID:NIpLrbB.0
グググ…
::(;つ^ω^)つ::「ドクもアイツに用があったのなら、目的は一緒のはずだお!」

('A`)「んー、あぁ〜そうねえ〜」

::(;つ^ω^)つ::「それなら一緒に──」

('A`)「馴れ合うつもりはねえ。
どーしてもってんなら、てめーはそこでグリガンを倒してみろ。
おもしれーぞソイツは」

::(;つ^ω^)つ::「ド、ドク…頼むお!
僕は君と争うつもりはないんだお!」

('A`)「争ってんじゃねえか、どっちが先にワカッテマスを捕まえるかをよ」

::(;つ^ω^)つ::「ツンを助けるために、アイツから病気を治す方法を僕は知りたくて──」

('A`)「他人の事情なんざ知ったことか。
俺の用が済んでからにしろよ」

::(;つ^ω^)つ::「どうしてだお! 話を聞いてくれお! ドク!」

( 'A)「あばよ、ブーン。 …ひひっ」


そういって、ドクは去っていった。
グリガンの向こう側にいるブーンから見ることも出来ず、ただ気配でドクが居なくなったことを知る。


グググ…
::(;つ ω )つ::

::(;つ゚ω゚)つ::「……ドクオー!!!」

388 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:48:57 ID:NIpLrbB.0
ブーンの叫びに呼応してグリガンの牙が震えだす。
──否、震えているのは鋭い体毛か。 それも全身。
七色の羽根をもつ孔雀が異性に対してアピールするのと同じように、鉄の羽根もまた、強者に向けて。


::(;つ゚ω゚)つ::「ま、マズイお!」


グリガンが短く鳴いた。
『お前の力、もっと見せてみろ』
そう言いたげに、無数の羽根が死神の鎌を連想させるほど逆立ち…欠けた月を作り出す。


『【バーストウィング】…!』

    ____、
   `ーーーと(# ゚ω゚)つ::
    ミ  「…ッこの──」






…羽根が身体を貫く音も、叫び声も、
ドクには届かない。

389 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:49:46 ID:NIpLrbB.0
----------

「ぐあぉお!!」ギシギシッ

   「ははは ( <●><●>) ははは」

            「ギャアァァッ」
            ギシィッ
( < ●>< ●>) つ 「【カース】…」
         ギシッビシッ
    「あ゛ー! あ゛あ゛あ゛ー!」
ガッシャーン

     ⊂(<● ><● > ) 「…【カース】」


街中に次々と、氷の柱が生えそびえる。
ドクとグリガンから逃げるワカッテマスはしかし、素直に街から出ようとしなかった。


「しね…シネ…
       <●> <●>
             死ね…しネ…」

ピキリ、パキリと結晶を踏み締め。
優雅に歩くその姿はさしずめ童話の笛吹男だった。
いまや凍えそうな寒空の下、愉しげに振り蒔かれる赤黒い魔導力。

なす術なく人々は瞬時に石化し "凍って" ゆく。
それが柱の正体。
            《バスッ!》


         「おめーが死ね」('A`)

 

390 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:51:28 ID:NIpLrbB.0
咄嗟に目を向けるしか出来なかったワカッテマス。
その眼前にドクの弾丸が迫った。


( <●><▲>  「──
           '=⊂('A`) ひひっ」


      フード越しに頭が揺れる。
   ドォゥンッ…と鈍く重い音。
──そして


('A`)「…! 野郎」


弾力性に富む分厚い衝撃吸収材を鈍器でなぐればそんな音がするだろう。
ダメージの大部分を散らす陽炎の壁がワカッテマスを囲んでいるのを、ドクは確かにみた。


('A`)「GC (ガードコンディション) …このタイミングでか」

( <●><●>) 「…貴方でなくグリガンであれば貫けたでしょうにね」

('A`)「それじゃあ意味ねぇんだよ」

391 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:52:45 ID:NIpLrbB.0
任意で一定量の魔導物理壁を張る【シールド】とは違い、
GCは発動もまちまちで、単一では弾丸を防ぐほどの壁も作れない。
──それが魔導研究者達の常識であり、大陸戦争時代には
[戦場の奇跡][女神のお目こぼし]とも呼ばれていたほどだった。

グリガンのような規格外の存在でもなければ覆せない。


人は群れ、心から仲間と連携し、団結することではじめてGCが発動するが──

( <●><●>) 「貴方の土塊とは随分と相性がよろしい…それを収穫としておきますか」

主従関係よりも強固な上下関係。
土塊人形とワカッテマスにはおあつらえ向きなのかもしれない。


('A`)「……」

('A`)「ひひひ」

土塊から奪った銃では貫けない。
本来の得物であればGCを減少させるリングが共に在ったはず──……などと悔やむのは、限られた時間を生きる者だけの特権。

千年を生きる彼の心に、悔いるという文字はない。


('A`)「俺が諦めると思うか?」


ドクは両腕をだらりと下げ、首をかしげると
ワカッテマスを見下すよう睨み付けた。


('A`)「たっぷり時間はあるんだ、遊んでやるよぉ〜っひひひ♪」

('∀`)「…お前の企みも、怨念も、生きる目的も希望も

手足も首も顔面も目玉も舌も血も肉も骨も、
全っ部 ────


          もう、俺のもんだ」


----------

392 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:53:43 ID:NIpLrbB.0


街の至る場所で発砲音が紫空に舞っていた。

色に灰塵が混ざるのは、同時に放たれた炎のせい。
主人に寄り添うよりも優先度の高い命令を受けている土塊の所業は、常人にすれば狂気の沙汰だった。


「なぜ…私達がなにをしグェッ」
「助けてくれ! た──ッハギァ」

人々を襲う凶行。 止めることは出来ない。
土塊が引き連れた領主の姿を背景に残したまま、鉛の雨に撃たれて地に沈んでいくばかり。


|(●),  、(●)、| 「この区域の住人は反逆者だ!
収容所などもういらぬ! 資源の無駄だ!
老人もいらぬ! 国の未来に必要ない!」

|(●),  、(●)、| 「殺せ!」


興奮のあまり瞳孔を開いた領主がその手を振りかざし、控えていた警官たちも場の鎮圧にかかる。

──なにが反逆で、誰を殺せばよいのか?

誰一人としてそれを把握している者はいないのだろう。
国民を撲り倒し、流れ弾に貫かれながら、彼らの耳元では法が囁いている…。


『職務を放棄した公務員は、生命刑…つまりは死刑』



殺せ!
     殺 せ!!
            殺 せ!!

 

393 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:55:36 ID:NIpLrbB.0

『殺せ !』
     『殺 せ !!』
            『 殺 せ!!』


      /; ゚、。 / 「…なんのおと?」

狂気を運んでいる張本人、
ウォール高原の領主の声が地に吸われ聴こえてくるそこは、地下に建設されている収容所。

冷えているはずの壁床からじりじりと熱を感じ始める。
フィレンクトも、制服の一部である布兜ごしに、パラパラ降る小石や砂埃の重みを感じた。

表情は自然と歪み、天井のあちら側から目が離せない。


「私にも分からない……石が降る、その毛布を頭に被っておくんだ」

/ ;゚、。 / 「う、うん」

「……いったい何が起こっている?」


人間とは思えないほど悪意に満ちた頭上の声を、ダイオードはどう受け止めるだろうか。
フィレンクトは無意識に階段へと足を向ける。


/; ゚、。 / 「おかあさん! ねえ、おかあさんは??」

394 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 20:58:47 ID:NIpLrbB.0
「レモナさん……そうだ! 避難活動はされているのか?!」

/; ゚、。 / 「えっ…」

「君はここで待っ……いや!」


フィレンクトは踵を返し、牢を開錠する。
二日ぶりに開かれる鉄柵。
その奥でいそいそと、薄汚れた毛布にくるまろうとするダイオードが慌てて顔を上げた。


「おいで。 私から離れないように。
レモナさんの所まで必ず送り届けよう」

/ ゚、。 / 「…うん」


もう分別のつく年頃だ。
地上に起こる騒動はともかく、フィレンクトの焦り…住民を守ろうとする優しさは感じとるのだろう。

その時──ひときわ大きな震動が収容所を揺さぶった。
他の牢ではまだ繋がれた罪人達が恐怖に叫び、
「俺達も出せ! クソガキ! おい殺すぞ!」
と、この期に及んでまだ恐喝じみた言葉を投げつけてくるが、フィレンクトの聴覚はそれを遮断する。


「上では何があるか分からないが…君はとにかくお母さんのところに行かなくては。
…怖いかい?」


問い掛けから間を置かず、
ダイオードは首を小さく横に振る。


/ ゚、。 / 「フィレンクトさんがいるならへーき」


……その口許は、笑っていた。

395 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:00:16 ID:NIpLrbB.0
警官として特にここ数年、フィレンクトがやってきたのは誰かを罰する職務ばかりだった。

──罪を犯すほうが悪い。
──なぜ法を破るのか?
……どうして規律を破ってまで私達の目を逃れ、信用してくれないのか。


いつしか意識の谷底へと沈んでいった。
公務員試験に合格し、当初抱いていたはずの
"純粋に誰かを守り、平和に過ごせるよう助けたい" という想い……。


それがまだ自分の中に残っていて、打てばこうして鐘を響かせるのだ。
なにも恨まれ疎まれる仕事で生涯を終える必要はない。
自分にはまだ道が他にもある。
この国に拘らず、素直に生きる人生がある。


(‘_L’) 「さあ、行こう」


そう考えたフィレンクトの顔は晴れやかで、活力に充たされる。
今までの死んだような顔ではなくなった。

そして誇らしげな微笑みをダイオードに向けると、



      ──頭から瓦礫に潰された。

 

396 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:01:46 ID:NIpLrbB.0
パラパラ……

      パラ…パラ … パラ


          / ゚、。 / 「……」

(  ω )


ダイオードの目の前に広がる無惨な天井瓦礫。
大量の土がザラザラと…
夕焼けに照らされた砂煙が、牢獄の空を彩った。

フィレンクトと入れ替わりその場に現れたのは、先日顔を合わせたばかりの青年──ブーンの姿。


          / ゚、。 / 「……」


ダイオードはその瞬間を見ることが出来なかった。
フィレンクトはどこにいったのだろうと、幼い瞳は瓦礫、空、ブーン、砂を順番に見つめる。


(  ω )「……ぉ」


ブーンが唸り、その身に背負っていた毛布をうっとおしげに引っ張り捨てた。
それはあまりに巨大で厚みのある、ダイオードにとって見たことのない、生々しい鉄色の光沢を映し出す。

ずる
  り、ず
     るり、ビ
(  ω )    チャッ。 /; ゚、。 /

397 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:03:46 ID:NIpLrbB.0
彼女の頬に跳ねるは、血。
目の前に押し寄せられた毛布は一枚の絨毯のように牢獄を埋めつくし、
しかしところどころ羽をむしられ、むせかえる獣の臭いをダイオードの鼻腔に充満させた。

ブーンがそれに気付いたかは分からない。
…剣を立て、支えるように立ち上がる。
顔を上げるとはじめて辺りを見回した。


( ;; ω^)「……ダイオード?」

(;;; ω^)「いてて……。 じゃあここは、収容所かお?」

/; ゚、。 / 「……」

(;;; ω^)「?」


見開かれた瞼から覗く瞳孔が…
驚きによって小さな黒点となりながらも、ブーンからついて離れない。

正確には──その足元の瓦礫から。
 

398 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:05:36 ID:NIpLrbB.0
ブーンは天を仰ぐ。 月のない空。
牢獄に開いた大穴から、相容れない熱と冷気が流れ込むのを感じた。
灰塵は見えどグリガンの気配はない。


翼を失いどこかへ去ったのだろうか。
深く息を吸って静かに吐く…。 すると背中にどっと汗をかいた。

手をあてながら、我ながら頑丈な身体と強運に感謝する。
運良くGCが発動していなければ、彼の胸を鉄の羽根が貫いていただろう。


(;;;^ω^)
  つ◎    (そうなれば、後はやられ放題だったはずだお)


…肩から片翼を丸ごと分断して尚、
グリガンの攻撃は凄惨の一言に尽きるものだった。
思い出すに震える手で【ヒール】を発動する。

さらにその中のもう一つの救いは、完全にグリガンと密着していたことだった。
こちらの攻撃さえ届けばどんな強敵相手にもチャンスはあるのだから。


手の内にある使い古された両刃剣…
"デュランダル" を一瞥すると、ブーンはもう何度かの深呼吸を繰り返す。

永きに渡りブーンの愛用してきたこの不滅の刃は、不死すら屠ることが出来る。
ともすれば不死を屠るためだけに存在する剣。
 

399 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:06:29 ID:NIpLrbB.0

      …ドサリ。
その時、何かが倒れる音がした。
見やればダイオードが尻餅をつき、小さな歯と身体を小刻みに震わせている。


( ^ω^)つ「驚かせてごめんお…どこか怪我してないかお?」

/; ゚、。 / 「やだ」

(;^ω^)つ「?」

/; ゚、。 / 「……いやだ」


差しのべた腕は、所在無く宙に留まる。
ブーンには理由が計り知れない。


 (( /; ゚、。 / 「こないで」

(;^ω^)つ「?? 僕を忘れたかお?
ほら、おかあさんから頼まれて、ぬいぐるみを持ってきた──」

     (( /; ゚、。 / 「いやあ!」

(;^ω^)「……あぅ」


はたと気付き、"デュランダル" を鞘に納めたが、ダイオードの態度は一向に変わる様子を見せない。

仕方なくブーンはその場を後にする。
「もう少しここに隠れていてくれお、おかあさんを連れてくるお」
……そう伝えてから階段を登った。

大地を揺るがした衝撃によって壊れそうな扉に、荒く手をかけながら一度振り返る。


先ほど自分の居た場所で、四つん這いのまま項垂れているダイオードの後ろ姿が見えた。
まるでそこに何かがあったかのように。

 

400 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:08:18 ID:NIpLrbB.0
…きっとこの予感は当たっている。
ぬいぐるみを下敷きにしてしまったのかもしれない。
だがそれを確認するより、街の被害が拡大する前に安全を確保したかった。
レモナとダイオードを会わせなければ。

多少なりとも恨まれるのは構わない。
それでもできる限りのことはしてやりたかった。


(^ω^;)「すぐ戻ってくるお!」


返事は聞かず、地上に出てまずは周囲を確認した。


…やはりグリガンの姿はない。
代わりに人々が倒れ、秋夜の空気と混ざりあう冷気の湯気が例外なく立ちのぼっているのを見た。

場に残留する微かな魔導力が、
かつて【カース】を受けたツンを治療した際に感じたものとあまりに似通っている。


( ^ω^)「…ドクにやらせちゃダメだお」


ブーンの捜しものは形を為した。

ツンを治すための手掛かり…
ドクがあの呪術師をまだ殺害していなければ、間に合うかもしれないのだ。
そのためドクよりも先に、呪術師を捕まえる必要がある。

──だが。

はやる気持ちを抑えつつ、ブーンはレモナの住む郊外へと走り出す。


遠いどこかでブーンの知らない、誰かの笑い声が聞こえた気がした。

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402 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:09:12 ID:NIpLrbB.0


(推奨BGM:Eclipse of Time)
http://www.youtube.com/watch?v=Avl3A--8xYU&sns=em

403 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:10:08 ID:NIpLrbB.0

ダイオードの拒絶以降、ブーンの表情は曇り続けていた。

道行く道は軍兵が無秩序に侵攻したかのように荒れている。
郊外に向かう分には迷いはしない。 クレーター状に緩やかなこの街は、坂を上れば高原側に進むことになるからだ。

だが街の中心地から離れても、離れても…。
惨劇の跡と静寂が、わずか半日で街中に蔓延っていた。


走るブーンの視界、白い建物は古び、冷気を帯びる死体の数もまばらになっていく。


(;^ω^)「…【ウォータ】ではこんな冷気を発しないお」タッタッタッ

(;^ω^)「まるで氷の……でもそんな魔導力は聞いたことないお」タッタッタッ

ツンの症状を思い出す。
緩やかな石化…一切の動きを停止した身体…。

(;^ω^)「誰かいないかお?!」タッタッタッ


張り上げたその声も虚しく暗闇に消えた。
この辺りはまだたくさんの人が溢れ住んでいたわけではない。
うまく避難していてくれたなら善し……さもなければ──

時折《パキリ…》と冷たい音がする。
氷の柱だった名残が、死体の一部から剥がれ落ちる音であると知り、ブーンの胸はざわついた。


まもなくレモナの家に着く頃。
前方にはビロードの医院が、その背と輪郭を現し始めた。
…窓はことごとく割れ、壁に大穴を空けて。

速かったブーンの歩調が更に速度を上げる。

404 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:11:39 ID:NIpLrbB.0
(;^ω^)「ビロード!」

(^ω^;三「…ビロード?! 居るかお!」


穴からそのまま中に入り込むと、ブーンの声が再び飛ぶ。
医院内には人影もなく、死体も見当たらない。


         「……だれ、ですか?」

(;^ω^)「!! ビロード!!」


返事があった。
弱々しくはあるが、それは紛れもなくビロードの声だった。
ブーンは声のする方角……医院の正面口へと走る。


(;^ω^)「良かった、無事だったのかお」

「………」


彼は外にいた。
[po・od]の看板が外れ、土にめり込んでいるその真横…。
安宿入り口の石畳に座り込むビロードは俯き、顔は夜の暗さに紛れてよく見えない。


「その声は…あの時の」

( ^ω^)「だお。 怪我がなくてなによりだお」

「なにより……ですか」

405 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:13:18 ID:NIpLrbB.0
「私の隣のこれ…お店の看板ですよね?」


ビロードの手が優しげに置かれる。
数時間…いや数十分前には入り口の扉頭上に掲げられていたであろう看板。

ビロードが重い腰をあげると腕を伸ばし、看板の端から中央にかけてシワだらけの指を這わせる。


「私ね、途中からひょっとして…と思っていました。
お久し振りです、ブーンさん。
            ……ですよね?」

( ^ω^)「…!」


彼が立ち上がったことで、扉に描かれたウェルカムメッセージに深い影が差す。
目の見えないビロードは言葉を続けた。


「…ぽっぽちゃんが建てた宿、まだ営業できますか?
私の触れないところは、無事に形を残してくれていますか?」

「あっという間だったんです。
はじめは外が騒がしくなったな、と思う程度だったんです」

「でもそのあとすぐに地震が来て、私は夢中で医療用ベッドの下に潜り込みました」


その視線は当然定まらず、彼はずっとブーンに対して横を向いていた。

406 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:14:39 ID:NIpLrbB.0
( ^ω^)「…大丈夫だお、少し修理すればすぐに…」

「街の人々は無事ですか? この国は、旅人がまた泊まりに来てくれますか?」


……ブーンは答えられなかった。
広い街ではあるが、この現状が街の反対側で起こらなかったという保障はどこにもない。

領主が何をしていたのかすら、ブーンには把握しきれていないのだから。


「……すみません。
これでは八つ当たりですね、ブーンさんに私がしていいことではない」

「流行り病にかかった時、ぽっぽちゃんは宿の扉に貴方へのメッセージを遺してから逝きました。
私たちはあの砂漠道で、ブーンさんとツンさんから、大人としてのお手本を見せてもらいました」

( ^ω^)「……」

「子供に優しくすること。
命令ではなく、一緒に行動すること。
…なによりも、あんな子供だった私たちの個人の意思を、とても尊重してくれていたのだと。

歳をとるたび、私たちは様々なことを振り返っては、貴方たちに感謝したんです」


ビロードは白衣の裾で目元を拭う。
洩れない嗚咽は、彼がここまで生きてきた我慢強さの表れか。

──なのに、その顔が見えない。

407 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:15:51 ID:NIpLrbB.0
「おかえりなさい、ブーンさん
ここはウォール高原の貴方の家なんです。
僕たちの…もうひとつの家族のための」


ビロードは少しだけ笑っていた。
ブーンからは顔が見えなくとも、なんとなくそれが判った。
…ここにツンが居ないことを申し訳なく感じてしまう。


「一日だけしかおもてなし出来なくてごめんなさい。
もっともっと、貴方には柔らかなベッドで身体を休めて欲しかった」

「だからまた…この場所に来てください」

「その時に私はもう居ないけれど……証しを遺しておきます」


──ブーンの心臓が跳ねる。
続くビロードの言葉は、更にその激しさを増した。

408 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:16:52 ID:NIpLrbB.0
「少しだけ触れた、貴方の指先はあの頃のままでした。
さっきも貴方が呼んでくれた声で、確信できたんです」

「普通ならそんなはず無いけれど……
きっと、ずっとずーっと長い間、貴方は生きているんですね? ──そして、これからも」

「だからまた来て欲しいんです。 私たち兄妹が住んだこのお家に。
……ブーンさんとツンさんが、旅をして、またここに来ればいつでも休めるように」


「それが、私たちから貴方への恩返しです」

 

409 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:19:27 ID:NIpLrbB.0


最後まで、ビロードはこちらを向いていたはずだった。


……なのに最後まで
この時の彼の顔はブーンの記憶に残らなかった。



(推奨BGMおわり)

410 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:20:30 ID:NIpLrbB.0
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ザァザァと降りしきる秋の大雨。

いつもなら風に吹かれて草木も囁く高原の自由さを、頭ごなし大地に押さえつけるかのように強く…。
大粒の滴を、これでもかと言わんばかりに放出している黒雲の仕業だ。


      ( ^ω^)


丘の上、見下ろす景色はここへ来た時とそう代わり映えしない。
ただ今は天候のせいで見通しが悪い。


白く高い壁がぐるりと囲むウォール高原の街は、丘にいてなお、中の様子を窺い知ることは難しかった。

二段構えの白い壁は内側から丘を展望できても、外側からは不可視となる。
戦時の際の外敵から街を守りやすい構造になっているのだろう。


………そんなウォール高原に存在した国は、皮肉にも内側から崩壊した。

411 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:21:19 ID:NIpLrbB.0
( ^ω^)「なにが…原因だったんだお?」


ブーンからすれば、あっという間の出来事だった。

ドクとの邂逅…
思えばその時──ツンの居ない寂しさを抜きにしても──大きな喜びに浮き足立っていた気がしなくもない。

あの時点で予兆はあったのだ。
アサウルスを倒した不死者が『捜し物をしている』のだと…その言葉に、ブーンは自身の境遇を無条件に重ねてしまった。


もっと何かを感じても良かったのだ。
ドクに訊きたいことが、今になっていくつも頭に浮かぶ。
 

412 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:22:23 ID:NIpLrbB.0

ビロードと別れた後、レモナとヘリカルは見つからなかった。


置き去られたダイオードは
収容所のあの場所で疲れ果てたのか、眠っていた。
目の下に、泣き晴らした跡を残して。


あの街に残っているのは一部の住人だけだった。
領主は消え、生き残り解放された警官隊が涙を流して救助活動を行っていた。


ダイオードを抱えて宿に戻った時も、ビロードの顔はやはりよく見えなかった。


     ( ^ω^)

     ( うω^)グイッ

     ( ^ω^)


  『まってるから ⊿ )ξ
 貴方がアタシを治す手段を見付けて──』

 

413 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:23:03 ID:NIpLrbB.0

( ^ω^)「…もう少し待っててくれお」


フードの呪術師、そしてそれを狙うドク。


手掛かりは増えた。
どちらかを捜すことでも、ツンを治す第一歩となる。


大丈夫…まだ大丈夫なはずだ。
そう自分に言い聞かせ、ブーンはウォール高原を後にする。


雨でぬかるんだ草と土がブーツにしがみつく感触を、少しだけ疎んじた。

 

414 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:23:49 ID:NIpLrbB.0


ビロードの親孝行は嬉しかった。
その気持ちに嘘はない。


だが、それを素直に受け取るためには
ツンが必要不可欠なのだとブーンは思う。
……ビロードの想いとは裏腹のエゴで。




土砂崩れに埋もれ命をおとした、
ニューのことが脳裏をよぎった。


そしてレモナの居ないあの街で、
ダイオードは大丈夫だろうかと悩んだ。
……知り及びもしない過ちに、ブーンは気付かないまま。



雨は人の言葉を通さない。
音を悪戯に拡散する。
止むまでは再現なく増殖し、見えるものも見えなくなる。

 

415 名前: ◆3sLRFBYImM[] 投稿日:2015/01/22(木) 21:24:41 ID:NIpLrbB.0


すれ違う。
親の心、子は知らず……。


間違い続ける。
──子の心、大人は知れず。



迷い続ける。
自分自身に抗いながら。




それでももし、いつか。
その "いつか" の為に、

人は希望を抱き、
なんとか生きているのかもしれない。




(了)

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