( ^ω^)千年の夢のようです

(´・ω・`)ω・´):傷痕留蟲アサウルス

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104 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:28:42 ID:mGtrpong0

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ー ザ□ッ 、υOΣ £。adiΠg----ー


ィ'ト―-イ、
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怕・S紮銀!・誌・帥 >∞
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l痺cヮ&・怜 > 續医・膩
莟翫R九訣:
売:/羶絎我)・散 ・初≡蕭倅コ



(推奨BGM:Crisis & Warning)
http://www.youtube.com/watch?v=qW7d5otOnjo&sns=em
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105 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:38:43 ID:mGtrpong0
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三

              二二三三三三
           三三三三三三三三三
       三三三三三三三三三三三三三
  二三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三

 

106 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:40:43 ID:mGtrpong0

               三三三三三
(´つω ・`) 「     ん ?」 

     「
      お( ^ω^)



      っ
            ξ;; -⊿-)ξ   「
      ?

                …

      」

           …

          」

107 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:42:09 ID:mGtrpong0


ーー 瞬間、彼らは自らの場所を見失った。


    (´・ω・` )( ^ω^)ξ;; -⊿-)ξ


そこは雲浮かび髪撫でる空の上ではなく
指先ほどの輝きを点在させ、
漆黒に囲まれた…
まるで見たことのない宙の上に感じられる。


( ´・ω・`) 「……」


ブーンがアサウルスの太陽を破壊した途端、
もう片方の太陽にもヒビが入ったかと思えば
その隙間をこじ開けるように、堪えきれず黒い霧が漂い始めたのをショボンは見た。

あの時、目をまばたき気付けば此処にいる。
…ブーンを見やれば同じような表情。


(^ω^ )「…どういうことだお」

(´・ω・`) 「僕にも分からない」

ξ;; -⊿-)ξ


ここは酸素もあるのか、息苦しさとは無縁。
互いに姿を目視できるのは
辺りに散らばる粒子の灯りによるものかもしれない。

とはいえそれは照らしているのではなく、
浮き上がらせている……というイメージだが。

取り戻した平衡感覚を確かめるように、
彼らは二、三足踏みをする。
感触は無く、だが薄く張られた水が波紋のような揺らめきを生んだ。

108 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:43:26 ID:mGtrpong0

(;^ω^)「ツン、…ツン?」
 ∪ ∪"
(("ξ;; -⊿-)ξ))


横たわるツンからの反応はない。
魔導力を吸いきられた…と言っていたのをすぐに思い出すと、ブーンもひとまず立ち直す。


(´・ω・`) 「平気そうかい?」

◎⊂(;^ω^)「魔導力は所謂精神力だから…どうやら昏睡してるみたいだお」

(´・ω・` ) 「…魔導力を元にした魔法っていうのは、僕の思うよりも複雑そうだね」


ブーンがツンに与えているのは【キュア】。
傷や体力を癒す【ヒール】と異なり、
身体に備わる免疫力や異物、異常をそれぞれ活性減退させる効果をもっている。

魔導力の枯渇はそのどれにも当て嵌まらないが、昏睡に至る精神ダメージへの、
抵抗力の手助けにはなる。


二人は筋肉を緊張させたまま
しばらくの間、その場から動かない。

これもアサウルスの攻撃なのかと警戒するが
待てども一向にその予兆は見られなかった。

109 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:44:09 ID:mGtrpong0

( ^ω^)「ショボン」

掛けられた声に目を向ける。

( ^ω^)σ「あっちの灯りだけ、少し周りと違くないかお?」


彼が指差す方角に目を凝らすがショボンには今一つ伝わらない。
単に視力の問題か、でなければ魔導力の消耗によって見えているものが違うのかもしれない。


( ´・ω・`) 「…行ってみよう。
僕が前に立つ、君は後ろへ」

ξ;; -⊿-)ξ
∪( ^ω^)「頼むお」


ツンを背負い、ブーンは後方に陣取った。

ーー アサウルスは人を騙す。
ショボンは有事の対応のために得物を構えようとして、

( ´・ω・`) (……そういえば剣が)

手元から無くなっていることに気が付く。
残しておいた鉄槍も、鉄剣もない。
黒い槍も先ほど投擲してしまったのだから、
持っているはずもない。

今の彼は徒手空拳…
更に、体術の心得もない。
出来ることはただ一つ。


(´・ω・`) (壁になるしかないな)

 

110 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:45:29 ID:mGtrpong0

足音のない空間に、
ただ靴の裏にある感触の存在を証明する波紋だけが広がる。

周囲の光の粒子は一切を停止しており
歩いている感覚とまるで乖離しているようで…時に、自信が無くなっては自身の脚を確認する。


ξ;; -⊿-)
∪( ^ω^)「なんだか……ちゃんと歩けてるかどうか不安になるおね」

( ´・ω・`) 「たしかに」

ξ;; -⊿-)
∪( ^ω^)「ショボンはあの灯りが見えないのかお?」

( ´・ω・`) 「灯り…っていうならね。
粒子なら分かるんだけど、正直見分けはついていない」


消えては浮かぶ光の粒子……
なんともなしに腕を伸ばしてはみるが距離感をつかめず、やはり手のひらは空を切る。

目を閉じても、開けていても、
残像が同じ風景を創り出してしまう。
暗闇は…想像を増長するものだ。

111 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:46:13 ID:mGtrpong0

( ´・ω・`) 「……神の眼球、か」

ξ;; -⊿-)
∪( ^ω^)「おっ?」


ふと呟き、ブーンがそれに応えた。
ショボンは独り言が多い…
癖のようなものだが、それは寂しさの裏返しでもある。


( ´・ω・`) 「かつて "ふたごじま" にあった
教典の文頭…その一節に出てくる単語さ」

( ´・ω・`) 「《-偉大な神は、真っ暗闇な
その世界を憂いて己の眼球を取りだし、
その虹彩からは光を…瞳孔からは闇を…
硝子体は大地を…水晶体は海を産んだ》」

ξ;; -⊿-)
∪( ^ω^)「《この世界は
神の眼球そのものとして生まれ変わり、
また神の瞼の下に埋め直された。

これにより神の体温を得たことで世界には暖かみが生まれた》
ーー だったかお?」


続いて語られたことに驚きながら、
そういえば彼も昔、島に来ていたのだと思い出す。


ξ;; -⊿-)
∪( ^ω^)「《だが神もまた真っ暗闇の中にいる。
神が目を開ければ夜になり…
目を閉じれば朝になる…-》」(´・ω・` )

112 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:47:11 ID:mGtrpong0

こんな場所で男二人が読み上げた言葉がおかしくて、見合わせて少し笑った。
それは兄者が繋いだ、彼らの共通の思い出。

不死でなくとも、
人は思い出を数珠繋ぎにして心のなかで
永遠に生き続けることが出来る。



      【永遠の命】とは、
   必ずしも不死者を指すとは限らない。



      (( ( ´・ω・`) 「…それなら、
不死者っていうのは一体なんだろうね?」

       ξ;; -⊿-)
      (( ∪( ^ω^)「……」


最後のショボンの呟き…
ブーンの口から応えは返ってこなかった。



            「……」 ξ;; -⊿゚)
               (( ∪(

113 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:47:56 ID:mGtrpong0

……やがて三人の前に現れたのは
アサウルスの胸部に宿存した橙の輝き ーー
熱源を持ち、鼓動脈を打つあの太陽だった。


アサウルスに埋め込まれていた時と違うのは
今、それが目の前の宙に浮かんでいて
内蔵のような球体を、
半身でなく、堂々と晒している点だ。


(´・ω・`) 「剣を一本借りるよ」


ブーンの腰鞘にある数本から手前の柄を握り
慎重に引き抜く。
血糊や刃こぼれも無い、極上の一振り。
自分が用意して使っていたものよりも、その重量には大きな差があった。


これとまともに斬り結ぶなどすれば、
並みの得物では堪えきれず破壊されるだろう。

そしてそれを難なく扱い、手入れを怠らなかったであろうブーンに対して、
ショボンは尊敬と畏怖を覚えた。

114 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:48:51 ID:mGtrpong0

ξ;; -⊿-)
∪( ^ω^)「気を付けるお」


剣の扱いに、ではない。
此処に来て依然、沈黙を守るアサウルスは
不意討ちを喰らったあの時とまったく同じシチュエーション。


(´・ω・`) 「ああ」


最大限の警戒を解かないまま、鞘ごと借りて腰を落とした。


(´・ω・`) 「……」


ショボンが身に付けた抜刀術の利点は
"刃を抜くその瞬間まで自由に身を動かせる"
というもの。

間合い取りに焦らなければ、
そして、不意討ちに気を配りさえすれば
ギリギリまで回避に徹することが出来る。


(´・ω・`) 「…」


今のショボンでも
初撃だけならなんとかこの剣は扱えるだろう。


タメを作り上げながら


太陽まであと一歩。



 

115 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:50:01 ID:mGtrpong0


太陽はド   ク…ン      ーー と、
     ッ
その衝撃に反発して歪み、反り返る。

反れた衝動は反動となり内部を打ち付けた。
封じられ行き場を失ったエネルギーが、
何度も、何度も何度も何度も何度も ーー。



            ( 三 (´・ω・`; )

ショボンは定位置に戻ると、鍔を鳴らして刃を納めた。
ーー 彼の居合いは太陽を切り裂かなかった。


ξ;; ゚⊿-)
∪(;^ω^)「なんだお、これは?!」

剣を抜く前にその異変は起きたのだ。


 「分からない、どっちだ?!」(´・ω・`;)


ξ;; ゚⊿゚) 「……魔導力が」
∪(^ω^;)「ツン ーー?」



ξ;;゚⊿゚)ξ「魔導力だけが、激しく膨らんでる」

116 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:50:49 ID:mGtrpong0

ツンのその言葉に呼応するかのように、
太陽内部から確たる何かが突き破らんと
動きは激しさを増していった。


此処にいるぞ! 此処にいるぞ! 此処に!


そう主張する太陽は腕を生やす。
サイズにして、人間と同じ形をした腕。
引っ張られるように段々と、

肩、顔、頭、胸、腰……
やがて足先まで生え揃った頃、太陽は
いつのまにか姿を消してしまう。


ξ;; ゚⊿゚)
∪(;^ω^)( ;´・ω・`) 「 ーー…」


あとには全身橙の人型が佇む。
……誰かが唾を飲み込む音がして、
それと同時に "それ" はひっくり返った。

・・・・・・・・・
天地ではなく、表裏。


蛸を捲るように、服を捲るように。
剥き出しの血管が捲れ仕舞われる。


 

117 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:52:27 ID:mGtrpong0


ξ;; ゚⊿゚)
∪(  ゚ω゚)「!!!」


           そうして現れたのは



        从 ∀从


一人の女性らしき、人間。



(;´・ω・`)

ショボンの心中は驚愕に満たされつつも、
視線は釘付けにはならなかった。
なぜならば ーー



ξ;゚⊿゚) 「あな、た……」
∪(;゚ω゚)「な、なんでこんな、ところにいるんだお…?!」


……不死者である、ブーンとツンが
より大きなショックを隠しもせずにいたのを見てしまったから…。

 

118 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:53:20 ID:mGtrpong0

从 ∀从

从 ゚∀从

从 ゚∀从 「ーー ……ぁ」


(´・ω・`;) 「…知ってるのかい? あれを」

ξ; ゚⊿゚)
∪(; ゚ω゚)「……」

从 ゚∀从 「……よう、久し振り」


その声は人間だった。
その姿形は紛れもなく人間だった。

此処がどこだか分からなくとも、
アサウルスと無関係であるはずはない。


ξ;゚⊿゚)
∪(;゚ω゚)「ーー ハインリッヒ…」


从 ゚∀从 「ありがとな二人とも。
それと…もう一人のお前も不死者だろ?」

(;´・ω・`) 「!」

从 ゚∀从 「いまは限られた時間しかない。
聞いてくれ、そして、伝えてほしい」

119 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:54:19 ID:mGtrpong0

涼しげな声だった。 だが微かな焦り。
ハインリッヒと呼ばれた女性から
敵意を感じることは全く無かった。

むしろショボンには…
悲痛のなか掴みとった一握りの機会を
一切合切逃さないために身を潜めていた囚われの神のように思われた。


从 ゚∀从 「アサウルスは死なない。
"生きる概念" と "生きたい願望" が
この世にある限り、遅かれ早かれまた現れる」

从 ゚∀从 「前者は人間に必要なもんだ…
でも、後者はすぐに行く先を誤っちまう」

从 ゚∀从 「何かに祈るな、見えないものにすがるな。
人は自分の足で歩けるように出来ているし、
他人の手をひととき握ることは、すがり祈りとは関係がない」


その言葉は唐突で、
前提が何かも分からなければ
答えが何かも解らないものだ。


ξ;; ゚⊿゚)
∪(  ゚ω゚)「……」 (;´・ω・`)


ーー 尚もハインリッヒの独白は続く。
神託のように。

120 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:55:30 ID:mGtrpong0

从 ゚∀从 「ブーン、俺のことは気にすんな。
済んだことをいちいち引き合いに出しても仕方無いしな」

从 ゚∀从 「これからだ。 未来のこと。
もうこれ以上、不死者なんていらないんだよ」

从 ゚∀从 「でないとアサウルスが利用しちまう……
生きる願望の、塊であるお前らを」

:从; ゚∀从:「ーー ぐっ」

(; ´・ω・`) 「…?」

:从; ゚∀从σ:「…ダメだ時間が全然足りねえ。
この、上にいる奴も…連れてけ、邪魔だ」

ξ;゚⊿゚)ξ「え……あっ!」


ショボンとブーン達が見上げると、
そこにはもう一つの太陽が脈動していた。
さっきは気付かなかったが
同じようにモゴモゴと動いている。

121 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:56:46 ID:mGtrpong0

:从; ゚∀从:「そいつは、そいつで……
アタシとは別のところから、アサウルスに引き摺り込まれたらしい」

:从; >∀从:「ーー っはあ、はあッ」

ξ;;゚⊿゚)ξ「ハイン!」

:从; ゚∀从:「……いつだか前…アタシにはちと分からないが…
先に降りた、もう一匹のアサウルスがいた。
……東の方角、そいつが処理した、
けど、代わりに……、そのザマだ」


ハインリッヒは苦しんでいる。
だが、一体何に対して ーー


            《ビシィッ》


⊆‖(´・ω・`; ) 「?!?! ーー なっ?!」


直後、ショボンの腕には
闇から伸びた黒い何かが巻き付いている。
慌て、隣を見ればブーンやツン、
そしてどうやらハインリッヒにも既に。


⊆ξ; >⊿゚)ξ⊇「くっ ーー!」

     ( ゚ω゚)⊇「ふぉぉぉっ?!」

 

122 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:58:24 ID:mGtrpong0

:从; ゚∀从:「ーー ちくしょう、あんだけ時間かけてもこれしか主導権が握れねえのか?!」

:从; ゚∀从:「ブーン、お前の拘束だけならアタシがなんとかしてやる!
すぐに…アイツの太陽も ーー ぶっ壊し、たら…!」


      ⊆(´・ω・`;) 「?!」



:从; ↑∀从:「お前らだけでも此処から逃がしてやるからよ!」

123 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 19:59:24 ID:mGtrpong0

《パリンッ》
      (;^ω^)⊃「?!」


硝子の割れる音と共に、ブーンを捕らえていた闇が解放される。

ブーンは迷わなかった。
バランスを崩しながらも真上に跳ぶと、
もがき足掻く太陽目掛け、
重い剣を突き出すとビチビチ血の雨を降らす。


割れる太陽の中から、血にまみれた男が一人
…もたれていた身をゆっくりと落下させる。

赤く紅く熟れた果実の種が握られ/.,:;;'A)
押し出されるように。

                  ",
                 ,...:,
                 ( A )
片手に銃斧を握りしめて離さない男を抱き止める余裕は無かった。
ブーンも共に落ちながら、叫ぶ。

手を伸ばすように、その声で。


  「ハイン! お前も ーー」(^ω^;)

 

124 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:01:06 ID:mGtrpong0






从; Γ∀从 「ーー …クーに、よろしく頼むわ」

 

125 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:02:33 ID:mGtrpong0
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三       
三三三三三          



三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三

126 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:03:16 ID:mGtrpong0
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三

              二二三三三三
           三三三三三三三三三
      三三三三三三三三三三三三三三
  二三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三
三三三三三三三三三三三三三三三三三三三三

127 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:04:04 ID:mGtrpong0


血涙を流しながら笑ったハインは…
    そのまま闇腕に囚われ呑まれた。


それは僕達の視界が呑まれるのと
      どちらが早かったのか。


気付けば三人は離れ離れになった。


        僕は海にたゆたい、
   通りかかりの船に掬い上げられる。




   結局そこが何だったのか
       分からないまま ーー。



 

128 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:04:56 ID:mGtrpong0


(推奨BGM:おわり)
 

129 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:05:59 ID:mGtrpong0
------------


〜now roading〜


从 ゚∀从

HP / D
strength / E
vitality / E
agility / C
MP / B
magic power / B
magic speed / B
magic registence / C


------------

131 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:15:36 ID:mGtrpong0



「ーー 以上が僕の話。     (´・ω・`)
長くなってすまなかったね」


ショボンが大きな溜め息をつくと、
山小屋の中は空気の鳴る音に満たされた。
組んでいた腕を離し、代わりに指を絡める。

  _
( ゚∀゚) 「……」

ジョルジュは完全に聞き入っていたようだ。
当人の記憶の夢の後すぐに
こんな話を聞かされたからだろうか、
一点を見つめて動かない。

ショボンは何か声をかけようとしたが
考えをまとめる時間も必要だろうと思い、
彼の視線が揺れるのを黙って待っていた。


……だから、その沈黙を破ったのはもう一人。
今回の話が始まる直前にドアをぶち破り
乱入を果たした、遠慮知らずの狼藉者。

その細く長い腕が振られたかと思うと
パァン、と、掌から心地よい叩音を鳴らす。
ジョルジュの肩が跳ねる。
顔を上げてじとりとそちらを見るが、鳴らした本人はたいして気に止める様子もない。

気にするような人格でも無さそうではあるが。

132 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:16:58 ID:mGtrpong0

川 ゚ -゚)「それでここに私を連れてきたのか」

(´・ω・`) 「途中で勝手に寄り道してたのはそっちでしょ」

川 ゚ -゚) 「…出逢ったばかりの相手に
妙に馴れ馴れしい口を利くんだな、お前は」


水の都に立ち寄った際、同じく出入り門で
追い返されていたのが彼女だった。
清く長い黒髪を隠しもせず、伸ばした背筋は神々しさすら感じさせる。


ーー 初対面ではない。
クーとショボンは過去、既に出逢っている。

だが…
今の彼女はそれを憶えてはいなかった。


(´・ω・`) 「利害が一致してるんだから言いっこ無しだ。
僕の話もこれで終わったし、これからどうやって水の都を元に戻すか考えようよ」

133 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:17:44 ID:mGtrpong0

ワカッテマスの遺した策略の一部であろう
都住人以外の締め出しは、他の地域からすれば大問題となりつつある。


すなわち
『証を持つ者だけを受け入れる永久中立国』
…こんなもの、皮肉にも程がある。


川 ゚ -゚) 「…まったく、なぜ私が追い出されなければならないんだ」


彼女をここに連れてきたのは、その問題を解決するに役立つであろう期待。

そして、もう一度……
ハインリッヒから承けた
たった一言を彼女に届けるために。

134 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:18:46 ID:mGtrpong0

川 ゚ -゚) 「あの門番の顔は覚えた。
後で処罰してやりたいが……職務に忠実なのは誉めてやるべきか」
  _
( ゚∀゚) 「……」


なぜ記憶を失っているのかは分からないが
ショボンの知る彼女は、聡明な大魔導士。

道の途中で何かに気をとられると、
すぐ横道に逸れるような行動を取る点を除けば、率直で嘘のない人物だとショボンは評価する。


ただし、
「水の都の女王である」
という彼女の言葉には強い驚きを受けた。

  _
( ゚∀゚) 「都の住人すべてに配られたオーブ
…それをなんとかして手に入れるか?」

(´・ω・`) 「都市に入れなければ、都市から出てくる人もいないのに?
中立国ゆえの自給率の高さが、習慣的な商人の出入りも抑えてしまっているのが仇になってるね」

川 ゚ -゚) 「外部からの影響をなるべく受けないために、私がそうやって作り上げたのだから当然だ」


ε_ (´-ω-`;) 「…だから。
今はそれがまずかったんだってば」

135 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:19:39 ID:mGtrpong0

過去を忘れた彼女は
どうやらまた懲りずに歴史へと介入していたらしい。

ショボンの驚きはそういう意味だ。


川 ゚ -゚) 「何を言うか。
真に責めるべきは、この事態を引き起こしたワカッテマス……あ、今はお前だったな」
  _
(;゚∀゚) 「だから俺じゃないっての。 いや、
違わないけどさ…俺だけど俺じゃない」

川 ゚ -゚) 「お前を締め上げればソイツが出てくるんじゃないか?
そうでもなければ信用できないんだが」
  _
(;o゚∀゚)o 「おーっとそこまでだ、危害を加えるなら反抗するぜ?
ただでさえ、そのしょぼくれから痛い目見させられてるんだからな」


彼女は……あの時も女王だった。

記憶がなくなれば、
人はまた同じことを繰り返すのかと。
そう、ショボンは思わずにはいられない。

136 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:20:50 ID:mGtrpong0

(´・ω・`) 「真面目にやってくれるかな?
都を戻す手段を考えないと先に進まないんだけど」


彼女は一度裏切られた。
守ろうとしていた普通の人々に。

  _
( ゚∀゚) 「あっ、そうだ! 土塊!
賢者フォックスに成り済ましてた泥人形が、
他にいるかもしれないんだよ」

川 ゚ -゚) 「フォックス…しくじったか?
それほど迂闊な奴では無いと思ったが」


そして今度もまた、
意図せず裏切られようとしている。


ワカッテマスという彼女のイレギュラーは、
歴史のイレギュラーと同義。
何かを作り上げるということは、歴史を作り上げるのと同じことだ。


人が誰かに声をかけて、
その誰かは人に触れて、
積み重なって創られるのが ーー 歴史。


ショボンが、兄者を通して
ブーンやツンと出逢ったように。

ジョルジュが、ツンを通して
ショボンと出逢ったように。

アサウルスを通して、
ハインからクーに、クーからワカッテマス、
ワカッテマスはジョルジュへと ーー。


ミルナやでぃも、
きっとどこかで誰かと繋がっていくのだ。

137 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:21:53 ID:mGtrpong0

川 ゚ -゚) 「なんとかして王宮の侍女にでも接触できればいいのだがな…」

(´・ω・`) 「まがりなりにも女王なら、
いざという時の抜け道か何か、用意しなかったの? 」

川 ゚ -゚) 「内から外には出られるが逆は無い。
……というか、よくそういうのがあると判ったな?」
  _
( ゚∀゚) 「……」

(;´・ω・`) 「…あのねえ」


穏やかだったはずの歴史が
時に酷く歪曲してしまうのは何故だろうか?


人の歩みが道となり、河となる。
人の寄り添いが森となり、空となる。

自然に生きるならば
人が傷付かなければならない理由など
見当たらないのに。


川 ゚ -゚) 「…」
  _
( ゚∀゚) 「……」

川 ゚ -゚)「貴様、さっきから何を見ている?」

138 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:22:43 ID:mGtrpong0

クーに当時の記憶が無かったのは
幸いなのかもしれない。

  _
( ゚∀゚) 「…いい乳だ」

川 ゚ -゚) 「は?」


ジョルジュ…そしてワカッテマスの傷は、
少なくともクーに向けられない。


(´・ω・`) 「まさか……ジョルジュ、君は」

川# ゚ -゚)「さっきからそれを見てたのか?」


クーから、彼に向けて傷を抉ることもない。

  _
( ゚∀゚)o彡゜ 「キレイなものは癒しだろ?
きっと君の胸は俺の運命の ーー」


川# ゚ -゚)つ 「…【フォース】」

 

139 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:24:27 ID:mGtrpong0



    ーー 傷痕を留める人数は
        少ないほうがいい ーー


 

140 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:25:13 ID:mGtrpong0


 

141 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:26:41 ID:mGtrpong0
----------



ーー それはパラ…パラリと
   少しずつ、確かに空から落ちてきた。


きっかけは一筋の黒き雷。

髪の上から感触を覚えるそれが、
自分のためにそぼ降っているわけではないことくらい、彼は重々知っている。

水面に浮かぶフェノメノンは
波紋として型どり広がりきる前に、
間断なく産まれる新しい波紋と、ぶつかり合って消えていく。


周囲には雨が降り始めていた。


( ゚д゚ ) 「……」


思い起こすのは、今朝の朝雲。
天気が下ることも、
いつもの日常であれば何事もない。


(# - )

142 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:28:30 ID:mGtrpong0

いつもの日常であれば ーー

洗濯物を自室に干して、
湿気を利用して壁や床の汚れを拭き、
踏み均した絨毯の塵を取り除き、
外に出たがらない人々に頼まれれば
「わかった」と二つ返事で仕事を承ける。


(゚д゚ ) 「……」


そんな日常であれば ーー

作業を黙々とこなしているだけで時間は過ぎ
やがて暮れ往く夕日を眺めては
「また明日に」と身体を休める。


今日は記念すべき
彼にとって、そんな世界の終わりの日。

143 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:30:03 ID:mGtrpong0

(; ゚д゚ ) 「これは……」


見上げれば。

巨躯を有する怪物 ーーアサウルスの石像が
ミルナとでぃの乗る舟と、三日月島との間に
途方ない大きさのアーチを遺している。


蔦が互いに絡み合うように
捻れた大蛇の幹と、
大輪を咲かせたかのように
捻れた触手の花が。

大木に太陽を乗せた石のオブジェクトとなって三日月島を大陸から隔離していた。


     [この海、航るべからず]


そんな声がどこからか聴こえてきそうで、
ミルナは奥歯を強く噛む。

144 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:31:17 ID:mGtrpong0

彼の傷痕は決して浅くはない。


しかし、自傷した心の爪跡ならば
やがて癒せる日がやってくるだろう。

対して、でぃの心の爪跡は
生々しく残ることとなる。


ーー ミルナは清算しなくてはならない。


( ゚д゚ ) 「ショボン…お前の」


舟の荷物のなかには
長刀と騎兵槍も共に乗せていた。
戒めのためか、感染した何かのせいか。

……そこに走り墜ちた黒い雷が
発光に紛れて騎兵槍の中へと消えたように、
ミルナにはそんな風に見えた。


     ーー いや、むしろ紛れもなく。

145 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:32:03 ID:mGtrpong0

(; ゚д゚ )  「黒い ーー 槍…」


見間違いではない。
ショボンが握りしめ、持っていったはずの黒い槍がそもそも雨天の始まりを告げたのだ。


目の前と頭上を交互に見やるが、ショボン達は帰ってこない。
だんだんと、
視界を動かす比率も片寄り始める。


サイズとしては元来大きい得物の騎兵槍が
ミルナの目の前でメキメキと蠢きたつ。
金属で出来ていたはずの騎兵槍は、徐々にそのフォルムを増長。

少しずつ…少しずつ、
身長よりも少し大きい程度だった騎兵槍が、
アサウルスの願望により拡大膨張する。


内部に宿る黒い蟻、生まれたての命に似て。

146 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:32:56 ID:mGtrpong0

…しかし、殻を破らんとするも力尽きたのか
ミルナが意を決してそれを握った瞬間、
騎兵槍はその動きを止めた。


( ゚д゚ ) 「…」


無音に感じられた世界に音が戻る。
ミルナは己の意識が周りの世界から離れていたのだと、そこで自覚した。



           ーー それきりだ。
               彼の前で
   その騎兵槍が二度と蠢くことはない。


 

147 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:34:40 ID:mGtrpong0


至り、彼にとってその黒い槍は、
傷痕を留めるアサウルスの欠片などではなく

友として過ごした記憶の中の
ショボンから与えられた激励へ姿を変える。


『ずっと見ているから』
たとえ欲からなる希望的観測だとしても、
彼からそう言われている気がした。


再会叶わぬ夢のために、
彼はその後の生涯を過ごす運命にある。


だからといって彼の魂が今、それを知り、
悲しみ…気力を失うことはない。

銷魂は、
前向きに生きる者を妨げられはしない。

148 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/09/24(水) 20:36:00 ID:mGtrpong0


今はまだミルナに無い勇気。

だが求めれば、
いつかはそれを得ることができる。

その命が永遠でなくとも、
次の瞬間、尽きる命だとしても。



( ゚д゚ ) 「この槍は…
いつか、いつか返しに行くからな」



無意識に丸くなっていた背中。
意識して筋を伸ばす。


顔を上げる。



島よりも遥かに広大な地平線が
弱い人間の歴史を受け止めるべく、出迎える



   いつか胸を、胸を張って
   借りたものを返せるように。



     限られた年月と魂が
     弱き者を、強き者に変える為に。





        (了)

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