( ^ω^)千年の夢のようです

( ゚∀゚):此処路にある

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733 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:14:14 ID:3.a9DpCc0
( ^ω^)千年の夢のようです


- 此処路にある -

734 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:17:26 ID:3.a9DpCc0


  _
( ゚∀゚) 「……あれ?」


目を覚ますと、
そこは見知らぬベッドの中だった。

薄暗くもセピア色に彩られた空間は、
寝起きの眼に優しい。

窓からは空が見え、
それ以外の景色は映されていない…
しかし「昼間の山小屋といったところか」と、ジョルジュはごく自然に察した。
山蝉のような虫が片隅で留まっている…
部屋が暗いのは陽の当たる方角を壁が遮っているからだろう。

  _
( ゚∀゚) 「ん?」


スーツ着のまま寝ていたからだろうか…
シワが出来ている…
しかも、ところどころが特にクシャクシャとなっていた。
ジョルジュにとっての身だしなみは数少ない楽しみの一つなのに。

  _
( ゚∀゚) 「しくじったな…また新調するか」

  _
( ゚∀゚)o彡゜ 「さーて、起きたての体操、体操!」


腕を振り肩を回す。
腰をひねり太股を交互にお腹につける。
ふくらはぎを伸縮させ足の爪先を伸ばす。

違和感は無い。
身体にも、そして記憶にも。



不意にガチャリ ーーと、
ドアノブをひねる音に反応して振り向く。
…古くなってるのだろう、ノブに続いて扉も軋みながら…
しかし部屋の中に不釣り合いな自然光を注ぎ入れる。

.

735 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:18:32 ID:3.a9DpCc0

|o(´・ω・`)「ーー おっと失礼、もう起きてたんだ」
  _
( ゚∀゚) 「…おはよう。 というか…どなたで?」


男はショボンと名乗り、
扉を開けたまま腕を組み、その身を壁に預ける形でジョルジュを見つめた。


(´・ω・`) 「…覚えてないのかい?」


ショボンへの第一印象は "他人を信用しないタイプだな" と感じた。
腕を組むのは勿論、己に対する眼差しと
その腰に帯刀する得物がすぐに抜けるよう
体勢を整えている…

  _
( ゚∀゚) 「?? 酔っぱらってたとか?」


…彼の記憶は、賢者ぬーと共に船を走らせ、
他の賢者を追い掛けていた所で途切れている。
  ーー より正確には、
"その後はぬーと別れて賢者じーを捜すために一人東へと向かっている"
と思っていた。


(´・ω・`) 「……」
  _
( ゚∀゚) 「…?」

(´-ω-`) 「嘘をついてる風には見えないしね」


(´・ω・`) 「君はここからずっと南の、"美しい湖" から僕が運んできたんだよ」

736 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:19:58 ID:3.a9DpCc0
  _
( ゚∀゚) 「…なんだって?」

(´・ω・`) 「ワカッテマス、という名に聞き覚えは?」


ショボンは今にも帯刀の柄を握りかねない威圧感で問い掛ける。

  _
( ゚∀゚) 「いや、ないな」


ジョルジュは嘘をついていない。
だから即答できるし、部屋を包む威圧感にも動じることはない。


(´・ω・`) 「…ちょっと腕を出して。
そう、その状態で力をぐっと入れてくれないかな?」


言われた通りに力を込める。
見た目より鍛えられたその身体は
【パワーデス】を唱えなくともショボンを凌駕する強靭さを露にする。

737 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:23:15 ID:3.a9DpCc0

ショボンの表情からはまだ疑念が消えなかった。
…しかし、発していた威圧的な雰囲気は失せ
ジョルジュを見る目も心なし和らいだ。


(´・ω・`) 「…運んでる時にも思ったんだ。
君の肉体は僕の探していたワカッテマスとは明らかに異なっている…」
  _
( ゚∀゚)o 「すまないけど、言ってる意味がわからない。 …なにか困ってるのか?
詳しく聞かせてくれ」


ショボンは目を細めて再び壁に寄りかかった。
腕を組むのは癖なのかもしれない。


(´・ω・`) 「いいよ。 僕が君を運ぶ前に見た事を話してあげる」


(´・ω・`) 「…代わりに君が一体誰なのか?
それを先に教えてよ。 それこそ詳細にね」


その細い瞼の奥に潜む瞳を見ると、
ジョルジュはどうしたことか素直に従うつもりになる。


おかしな話だ… 初対面、しかも得体の知れない男に。


まだ自分は寝惚けてるのかもしれない。


.

738 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:27:13 ID:3.a9DpCc0

----------



ーー これは…俺、ジョルジュの昔話だ。


(推奨BGM)
https://www.youtube.com/watch?v=OTJLtz4ItZk&feature=youtube_gdata_player


.

739 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:28:02 ID:3.a9DpCc0


 俺はいつ生まれたのか覚えていない。

物心つく頃には、すでにある程度の金や知識をもってこの世界を放浪していた。


別段、生きる目標も無かった…

『大金持ちになりたい』とか、
『商売で一発当てたい』とか、
『人様の役に立ちたい』とか、
『こいつを幸せにする』とか、

どれもピンと来なかった………。


旅をしていて気付いたのは、そんな風に
誰もが未来の自分を思い描いて生きる姿をみて
…俺はそういう想いの無い、
つまらない人間なのか?

って事だ。

.

740 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:28:52 ID:3.a9DpCc0

…だが、それも道理を理解できていた。
周囲の人間と違って俺は歳を取らない。


  _
( ゚∀゚) 『なあ、もう防人は辞めたのか?』

『いつまでもできる仕事じゃない。
子供に任せて、俺は引退さ…』


ついこの間まで一緒につるんでいた仲間が
老いぼれていく様を俺は見て。

……何年も一緒につるんでいた仲間が
全く変わらない様で俺は見られていた。


『ーー お前は…
いつまでそうやっていられるんだ?』


あの頃たしかに通じ合っていた心は、
鈍感な俺を差し置いていつのまにか
どこへ消えていったのだろう。

.

741 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:30:48 ID:3.a9DpCc0

同じ場所に居れば
やがて友の死を目の当たりにする。


『あの頃は…楽しかったな』
  _
( ゚∀゚) 『……』


起き上がることもできない身体を寝かせ、
懐かしそうに話す友の声…

「そうだな」 とは咄嗟に言えなかった。
友の言うあの頃は、遠い "過去" であり、
俺にとっての "現在"だった。
今の自分を振り向けるほど、俺は器用じゃなかった。


『生まれ変わりって信じるか?』
友は、しわくちゃになった風体で言う。


『きっとあの世で待ってもお前は来ないんだろう?』
  _
( ゚∀゚) 「…そう、なのかもな」

『ーー だったら俺が生まれ変わるしかない。
また、一緒に肩を並べて同じ景色を観よう』

『そして…すまなかった』

『…あの日のこと、ずっと謝りたかった』


そう言って、友は俺に別れを告げた。

  _
(  ∀ )

何を謝る事があったのか?
友からすれば、いつまでも同じ所で燻ってる俺を見かねてわざわざ声をかけに戻ってきてくれたようなものだ。

謝るのも、礼を言うのも俺の方なのに。


生まれ変わったかつての友。
俺は出逢えたのか…未だそれは分からない…。

.

742 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:31:32 ID:3.a9DpCc0

それ以来、
俺がひとつの土地に定住した記憶はない。

朧月のように曖昧な目的がそうさせたのか
あっちこちへと旅をしながら、
その場その時を楽しむようになったな。


 ーー ああ…そういえば。

時々長い夢を見るよ。
具体的なものじゃないけど、なんだか
懐かしい気持ちになる…そんな夢。

.

743 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:32:28 ID:3.a9DpCc0

それはなんていうか……色だ。

一面が暖かいオレンジの事もあれば、
肌寒い青を塗り潰すように後から暖かみのある水が差したり…

そんな夢なら良いんだ。
なんつーか… ーー 見たこともない母親が
すぐそばにいてくれる気になる。


俺が恐かったのは、
心地よい肌色が突然真っ赤に染まったり、
…かと思えば闇より深い漆黒に包まれて
……しかもそれがずーっと続く景色。


俺の声は届かないし、
  誰の声も届かない。


ーー たまらなく孤独なんだ、そんな時は。

やめてくれ! …って叫んでも
黒が赤を塗り潰す。

助けてくれ! …って叫んでも
赤が黒を塗り潰す。


それはまるで、発作のように繰り返す
【絶望の色】なんじゃないか……?

.

744 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:33:18 ID:3.a9DpCc0

……そんな目覚めは決まって不幸なことが起きる。

知人の事故死、
見知った土地を巻き込む事件、
…理由は様々だけど。


例えば予知夢ならどんなにいいか ーー でもさ、
 予知しても…いつも終わった後なんだ。
誰も助けられない。
いつも俺は蚊帳の外だった。


ひょっとして俺は、そういう不幸を運ぶ
星の生まれなのかもしれない。

他人に関わらない方が…
いいのかもしれない。

それも旅をしていた理由かもな。


.

745 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:34:02 ID:3.a9DpCc0


    ーー それでも。

やっぱ目の前で誰かが困ってるなら、
懲りずに助けてあげたいと思う。


前向きな想いが囁く…不幸なんてのは結果論だと。

その瞬間、誰かが助けを求めてる
"その瞬間ってのは現在" だから……

まだ結果は出てないんだよ。
俺の中にも。 その人の中にも。
ましてや神様にもわかってたまるか。


なにかを不幸だと思うのは
"未来が創りだす過去" の仕業だ。

それをどうして
"現在を生きる自分が恐怖" しなきゃならない?


目標のない俺なんかと違って、
毎日違う暮らしを過ごす普通の人々からすれば
いつもが同じ事の繰り返しなんて、
そんな保証はどこにもない。


似たような出来事があっても
それは全く同じ出来事じゃない。
人は毎日、螺旋を描く。
生きて死んで…
そしてきっと別の生命に生まれ変わる。

俺の友はそう信じてた。

俺もそんな友を信じたかった。



(推奨BGMおわり)
----------

746 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:35:08 ID:3.a9DpCc0


  _
( ゚∀゚) 「ーー "俺達" みたく、
生命の定めから目をそらされたような奴には
退屈な話か? ショボンさんよ」


…語り終えるジョルジュの瞳には、
先程まで無かったような力強い光が宿っていた。


(´・ω・`) 「……いきなりなに?
まるで僕が普通じゃないみたいな言い種だね」
  _
( ゚∀゚) 「いや、はっきりとは知らない。
ただ ーー 俺の記憶の【絶望の色】と、
あんたの纏う雰囲気が同じなんだ」


「いま話してみて気付いた」…ジョルジュはそう言って立ち上がる。
なぜならショボンの手には今にも抜刀しそうな得物の柄が握られていたからだ。


(´・ω・`) 「面白くて、君という人が分かる
よく出来たお話だった」

   ( "出来たお話" ーー ?)

(´・ω・`) 「…ただ僕はあまり非論理的な事を信じない質でね。
今の君の話しには足りない部分があるよ」

   ( "……貴様がそれを言うのですか?" )

(´・ω・`) 「…なぜ僕にその色を感じたのか。
君はきちんと説明できるの?」

  _
( ゚∀゚) 「分からないって言ったじゃんか。
そっちこそなんで今、柄に手をかける?
俺になにか恨みでもあるのか?」

(´・ω・`) 「それをいまから調べさせてもらうんだ ーー 」

747 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:36:27 ID:3.a9DpCc0

「よ!」と。

ショボンの身体が天井を這うように頭上から襲い掛かる。
部屋の片隅にいた虫も驚いて逃げるほどの殺意と速度。

そして抜刀した先端はすでにジョルジュの鼻先を掠めていた。
  _    ,,
( ゚∀゚)) 「ーー っなろ」
 彡

顔を引いてなければその一閃で観音開きの
血花が咲いていたところだ。

「まさに最悪の"けっか"は免れたな!」と笑いながら、
僅かに舞う己の血に構わずそのまま反転し
ショボンごと天井を突き破る勢いで蹴りを放つ。

 バッカァンッ ーー !
(≡ (・ω・` ;) 「ぅおっ」

飛び散る天井破片がショボンに降り掛かる。
壁を跳び直撃は免れるも、その圧力に重心が逸れて床を転がっていく。


そしてその隙を縫ったジョルジュの詠唱が、
  _
( ゚∀゚)o 「【ドッジ】!」


ショボンの疑惑を一つ解消する。

(´・ω・` ;) 「君はその魔法が何か…!
知ってて使っているのか?!」


問い掛けと同時に赤黒い光が、
ジョルジュの足元から弾けるように天に昇る。


ーー その赤黒い光こそ、赤い森の一族が使う呪術の証。


ショボンが追って追われる、
ワカッテマスと同じ門外不出の魔法だった。

748 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:37:31 ID:3.a9DpCc0
  _
( ゚∀゚)o 「この魔法はっ ーー」

   (…… "この魔法は" ?)


  _
(  ∀ )o

   (……"この光は" ?)



【絶望の色】…そう形容したのは自分自身。

それなのに、なぜ迷いなく行使するのか?
どうして、力を与えてくれるのか?


記憶をまた呼び戻す。
希望をもつ人に憧れ、希望をもった人が絶望し、絶望した人から死んでいく。


人は…そんな人生ばかりだろうか?

749 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:38:14 ID:3.a9DpCc0
  _
( ゚∀゚)  (…そうじゃないはずだ。
人の数だけ、また希望をもって死ぬ事もある)


夢を塗り潰し合った赤と黒、青と水。

流動しているのだ、
      (……果たしてそうですか)
きっとこの世は。
      (……私にはわかりません)


いつかの  友のように。
      (……いつかの、貴方も?)


.

750 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:39:04 ID:3.a9DpCc0

正しい答えか彼にはまだ分からない。
だがその【赤黒い色】は、
平和と戦争で一生を閉じた一族の ーー

  _
 ゚̄∀゚ 「 ーー【生まれ変わった証】!」


ジョルジュの姿が消えた。


´・ω・−  「ワカッテマスは、それを
【全ての怨念の証】と言ったよ」


ショボンの姿も消える。


神速の二人は部屋の壁すべてを足場にして
互いを牽制し、衝突し、結び合う。

ジョルジュの体術は
ショボンの刀筋を見破り往なし、

ショボンの刀術は
ジョルジュが繰り出すその膂力を受け流す。


三 ・ω・`)「君も実のところ、そう思っているんじゃないか?」
   _
 ( ゚∀゚ 三 「俺は俺だ。
この魔法は必ず俺に纏われてくれる。
そもそもそいつの事も知らないのにどーしろと?」

751 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:41:15 ID:3.a9DpCc0

ーー キギュリィッ!と、
陶器を擦り合わせたような、
それでいて骨が軋むような音が二人の耳をつんざく。

  _
:( ゚∀゚)oo(´・ω・` ): 「…さっきの続きだけど」


幾度目かの衝突の末、まるで鍔迫り合いのような体勢になる。
ショボンはあと少しでも強く押し込むか、
手首を捻るだけで、
ジョルジュの肩にその刃が届くほどに肉薄している。


:o(´・ω・` ): 「僕はワカッテマスを捜していた。
…彼はなかなかに頭が回ってね。
いざ痕跡を見付けてもそれは尻尾のかけらばかりでイタチゴッコが続いてたんだ」
  _
:( ゚∀゚)o: 「ほうほう」


対するジョルジュは、ショボンの刀を握るその拳ごと被うように握り潰す。
彼の膂力は手首すら動かすことを許さず、ショボンも抵抗するだけで精一杯だった。

油断すればジョルジュの膝蹴りが彼を襲う。
ショボンはその為にスタンスを広げて半身を相手深くへと陣取り、
腹筋から下部 ーー 下半身の先まで集中しなくてはならない。


:o(´・ω・` ): 「大陸を席巻してる流行り病も高い確率でワカッテマスが原因だ。
そんな中、僕はやっと彼に追い付いた
……けれど、直後にアクシデントがあってね」
  _
:( ゚∀゚)o: 「そんな大事な奴を逃がしたってか?
アンタも俺からすれば大概だな」

:o(´・ω・` ): 「…いるんだよ、目の前に」


.

752 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:42:18 ID:3.a9DpCc0
  _
:( ゚∀゚)o: 「…なんだって?」

:o(´・ω・` ): 「君だよ。 ワカッテマスは君なんだ…理屈は分からないけど。
痕跡の根元には、君がいた」


互いに口は動かしながらも、
ぶつかり合った力のベクトルが正面衝突し
磁石のように離れない。


:o(´・ω・` ): 「ワカッテマスは結果として
僕が滅ぼしてしまった赤い森の残滓だ。
そして君も同じ類いの呪術を使う」
  _
:( ゚∀゚)o: 「じゃあ俺も生き残りってことじゃないか?」

:o(´・ω・` ): 「先に君に出逢っていればそう考えたかもしれないね。
僕が結果として殺した一族の中に不死になった者がいた ーー とか」


:o(´・ω・` ): 「でも、もうその線は遥か過去に消えた。
いま僕が知りたいのは君の中に彼がいるのか…
それとも彼の中に君がいるのか……だ!」


ーー 徐々にだが、
ショボンの押し込む力が勝り始める。

ジョルジュの体力が劣っているわけではない…
だが精神的な柱はショボンに分が有り、
会話が進むにつれてジョルジュの心に揺らめきを生じさせた。

  _
:(;゚∀゚)o: 「…くっ、好き勝手言ってくれるもんだ」


ジョルジュの全身に赤黒い光が集束し始める。
身体が動かないのから動くようにするまでだ。

753 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:44:21 ID:3.a9DpCc0
  _
:( ゚∀゚)o彡: 「【パワーデス】!」

:o(´・ω<` ;): 「ーー くそっ!」


増強された腕力で振り抜くも、瞬間、
ショボンは危険を察知して無理矢理に腕からその身を捻り膠着を解いた。

その代償に、握っていた刀も宙を舞う。
  _
((# ゚∀゚)) 「せえっ!」
   彡

歯止めを失ったジョルジュの掌底が空を切る ーー が、そのまま身体を一回転させ
踵で刀の背を真下へと蹴り抜いた。

 一瞬でチェーンソーと化した頭上の刃。


    「 ーー !!」 (´・ω・` ;#)

避けられるはずが無い ーー それほどに刹那。

754 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:46:18 ID:3.a9DpCc0

しかしショボンは即座に白刃取り往なすと
勢いそのままにジョルジュへ

            投擲。

  _
(#;゚∀゚) 「んなっ ーー 」


……風を切る音が思い出したように、ザクリ

  _
(  ∀ ) 「ーー がッ」


ジョルジュの片足には甲を貫き、
床深く刺さる隕鉄の刀が鎮座した。


(`-ω- ´;) 「…はぁ、…はぁ、」


ε_ (´・ω・`∩;) 「ーー ふう、危ない危ない」



…お互いにどこまで本気だったのか、
その顔からは読み取ることはできない。

755 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:48:11 ID:3.a9DpCc0

  _
(;゚∀゚) 「……やばい、すげー痛い、タンマ。
ちょっと抜いてくれないか」

(´・ω・`) 「ん」


両者共にあっさりと ーー
ショボンはジョルジュの足を貫いて床に突き刺さった刀を引き抜いた。

  _
(#; ∀ ) 「ばっ…!」


その時、軽く捻り回したせいでジョルジュには激痛が走る。


( ´・ω・`)
 つ◇" 「…むしろその程度で済んだ事で僕の気持ちも察してよね」


刀に付着した血を懐紙で拭き取りながら
刺し穴の空いた…ジョルジュの足が解放され、持ち上げた下を見やる。

  _
(;゚∀゚) 「…途中で気が付いたよ、
いてて…なんだこの虫は?」

(´・ω・`) 「僕達を盗撮するための媒体っていうのかな」


それは部屋の片隅を陣取っていた山蝉…
踏み潰され、刺し殺されてはいるが
その体からはみ出した臓器に紛れて、
砕けたレンズが辺りに散乱していた…。

756 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:49:09 ID:3.a9DpCc0

(´・ω・`) 「虫そのものはなんてことない。
ワカッテマスの放った監視用のこのレンズこそが問題なんだ」


そう言って忌々しげに残骸を踏み潰し、呟く。


(´・ω・`) 「こいつが姿を変えて、いま水の都中に散っている。
全住人の手に渡ってる上、これを持ってない人間は即牢屋行き…
外部からは都市に入ることすらできやしない」
  _
(;゚∀゚) 「はあっ?」


ジョルジュがツンと都を出発するまでにそんな動きは無かった。

  _
( ゚∀゚) (…まさか、あの泥人形が他にもいたのか?)

(´・ω・`) 「ワカッテマスに直接聞き出したいところだけど…君が君である以上はそれも難しそうだしね」


剥き身だった刀を腰鞘に納めながら、ショボンはこちらを見やった。
今度こそ、その瞳には敵意も威圧感も持ち合わせていない。


(´・ω・`) 「誤解しないでね。
まだ君がワカッテマスである事の疑いは
僕のなかで晴れていない。
ただ…君自身が少しは信頼できるってだけだ」

(´・ω・`) 「君はこの虫を踏み潰そうとして
さっき僕ではなく刀を蹴り飛ばしたろう?
君ほどの体術が扱えるなら【パワーデス】後の僕は死んでるよ」


ショボンはニヤリとしていた…
言葉は本心ではなく、
上から見下すような言い種であることが伝わってくる。

  _
(# ゚∀゚) 「なんてこった、殺せば良かった…
あんたの話だと全部知ってて俺の足をぶっ刺してるんだし」

(´・ω・`) 「だから、まだ少ししか君は信頼されていないって事だよ。
あの瞬間、僕が隙を見せてワカッテマスに急変貌されたら面倒だからね」
  _
( ゚∀゚) 「……」

757 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:51:10 ID:3.a9DpCc0

今度はすぐに否定できなかった。

彼の追うワカッテマスが自分…
そのワカッテマスが流行り病の原因…
ワカッテマスは自分と同じ赤黒い光の呪術を使う…

  _
( ゚∀゚) (そして俺にはその自覚がない…)


ショボンが話すその内容はあくまで推測でしかない。
……とはいえ心当たりが全くないわけでもなかった。



彼が旅を繰り返していたもう一つの理由…

ーー "目覚めると、別の土地にいる" という事。
ーー そんな時、"記憶はあるがその詳細が思い出せない" という事。
  _
( ∩∀゚) 「いや、まさか…だろ」

  _
( ∩∀゚) 「はは…でももし、
もしも……俺が都市伝説の元凶だとしたら…
とんだ詐欺野郎だ」


その笑いは渇いていた…
昨日の出来事のように、
ツンをナンパした日を思い出す。


ξ゚听)ξ『ーー あんな現象は人為的以外に有り得ないわ』
  _
( ゚∀゚) 『きっと君は俺の運命の人さ。
困ってるなら助けるし ーー』


一方では災厄をばら蒔き、
一方ではそれを鎮めようとする

他者からすればなんと卑劣だろう。
ショボンでなくとも自分が怨まれて仕方無い。


  だが ーー

758 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:52:36 ID:3.a9DpCc0

(´・ω・`) 「取りあえず君は僕と共に居てもらおうかな」


背後でショボンの声がする。
起きぬけに動いたせいか、頭が重い。


(´・ω・`) 「結局のところ確証が取れてない事を僕は信用しない。
君がワカッテマスに切り替わる事がなければそれで良し…
でなければ、やっぱり僕は君ごとワカッテマスを封殺する方法を考えなきゃ」



…後でショ ーー …の声が…る。


(´・ω・`) 「そ…間は ……くり君と情報共有…もして ーー」



ι;' ・ω・`∫ ∫お、…いっ 大丈 ーー∫

  _
(  ∀ )



ーー ジョルジュの意識が、
      溶けてゆく……



.

759 名前: ◆WE1HE0eSTs[] 投稿日:2014/08/19(火) 21:55:48 ID:3.a9DpCc0
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〜now roading〜

  _
( ゚∀゚)o彡゜

HP / A >> A
strength / B >> A
vitality / C >> D
agility / C >> B
MP / E >> C
magic power / F >> D
magic speed / B >> C
magic registence / E >> D


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(推奨BGM)
http://www.youtube.com/watch?v=t1bzIOvNVO4&sns=em

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