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586 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 21:57:01 ID:H8nZc6To0
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「はぁ……はぁ……」
( ;・∀・)
デレの寮へたどり着いたモララーは、彼女の部屋の前までいき、まるで気配の無い室内の様子に
焦燥を覚え、しばし立ち尽くした。
駄目で元々とドアをノックするが、やはり彼女の返事はない。
( ;・∀・)
( ;・∀・) (時間がない)
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587 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:00:05 ID:H8nZc6To0
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( ;・∀・)
( ;・∀・) 会いたい……
ふと思い立ち、ドアの前から駆けだした。
深夜でも走っている無人タクシーへ乗り込み、ガイドマシンに行き先を入力する。
( ;・∀・) (デレ……)
確信などない。
どの程度の確率でその場所に彼女がいるのか、とても計算できない。
けれども、他に自分が行ける場所なんてない。
( ;・∀・) (もう一度だけで、いいんだ)
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588 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:01:44 ID:H8nZc6To0
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彼女と会って、どうしたいのか。
( ;・∀・)
今でもよくわからない。
( ;・∀・)
何かが変わるとは思えない。
( ;・∀・)
それでも気持ちだけは前に走り続けた。
( ;・∀・)
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589 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:05:21 ID:H8nZc6To0
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およそ合理的とは思えない自分の行動に、少し驚いていた。
( ;・∀・)
驚くと同時に、どこか嬉しさを感じている自分もいる。
( ・∀・)
焦りも悲しみも、この喜びも、彼女と出会ってから芽生えたものなのだと、今更気がつく。
( ・∀・)
負の感情だろうが正の感情だろうが、今はそれらの何もかもが愛おしい。
( ・∀・) それだけでも、伝えたかった……
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590 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:07:15 ID:H8nZc6To0
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( ・∀・) ζ(゚ー゚*ζ
( ・∀・)
ζ(゚ー゚*ζ
( ・∀・)
ζ(゚ー゚*ζ 何でかなあ
( ・∀・) ……え?
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591 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:19:25 ID:H8nZc6To0
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静寂の図書館で、また再び出会えた。
間違いなく今、この世界には二人しかいなかった。
ζ(゚ー゚*ζ 何となく、今夜だと思ったの
( ・∀・)
何が、と訊くまでもなかった。
( ・∀・) ごめん……突然
ζ(^ー^*ζ まあ、そういうもん、だと思うよ
( ・∀・) ……ごめん
ζ(゚ー゚*ζ 謝らないで。どんどん悲しくなるし
( ・∀・) なんて、言えばいいか、わからない
ζ(゚ー゚*ζ ……私も
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592 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:21:02 ID:H8nZc6To0
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( ・∀・) ζ(゚ー゚*ζ
( ・∀・) 僕は
ζ(゚ー゚*ζ モララーくん
( ・∀・) えっ?
ζ(゚ー゚*ζ 私、ずっとあなたが遠くにいるように感じてた
( ・∀・)
ζ(゚ー゚*ζ でもね、それ間違い
( ・∀・) 間違い……
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593 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:23:48 ID:H8nZc6To0
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ζ(゚ー゚*ζ 本当に遠かったのは、私自身
( ・∀・)
ζ(゚ー゚*ζ あなたはずっと、近くにいてくれたの
( ・∀・)
ζ(゚ー゚*ζ 私だけが、私から遠かった
僕も、きっとそうだ。
言葉には、出来なかった。
( ・∀・) ζ(゚ー゚*ζ
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594 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:26:08 ID:H8nZc6To0
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( ・∀・) 僕は――――
ζ(゚ー゚*ζ
( ・∀・) 僕は、本当は
ζ(゚ー゚*ζ モララーくん
( ・∀・)
ζ(゚ー゚*ζ いいの、それは
( ・∀・) デレ…………
ζ( ー *ζ
ζ( ー *ζ たぶん――きっと、それ自体は大事なことじゃないから
( ・∀・)
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595 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:29:27 ID:H8nZc6To0
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( ・∀・)( ー *ζ
( ∀ )
気がつけば、顔がくっつきそうな距離感で、じっと見つめ合っていた。
恐る恐る伸ばした手を、デレの肩に回し、体を抱き込む。
風呂上がりの香りが微かに鼻をくすぐった。
ζ( ー *ζ こんなに誰かのことを想ったのは初めてだった
( ∀ ) ――僕も、そうだよ
今度は、言えた。
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596 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:39:29 ID:H8nZc6To0
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ζ( − *ζ モララーくん
デレの胸が、悲哀と、焦燥で、荒れ狂う鼓動を奏でた。
モララーはただ黙って、全身で彼女の音を受け止めた。
ζ( − *ζ 一つだけ、お願いがあります
( ∀ ) なに?
見えなくてもわかる。
唇をかみしめて、声を押し殺して作る彼女の表情が、彼女の心が、魂が。
感じる。
ζ(;ー;*ζ ずっと、あなたを忘れなくてもいい?
( ∀ )
耳元で呟いた、モララーの最後の言葉に頷くと、しばらくの間、二人は静寂の世界に溶け込んだ。
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597 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:41:52 ID:H8nZc6To0
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―――
―――――――
―――――――………………………
(-@∀@) 忘れ物はないか
( ・∀・) 元々、自分の荷物なんてほとんど無かっただろう
(-@∀@) そうだな
(・∀・ )
小型の宇宙船には、小さいながらも窓がついていた。
空の暗闇に浮かぶ恒星の明かりだけが、彼らを見送っている。
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598 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:43:29 ID:H8nZc6To0
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(・∀・ )
(-@∀@) 忘れ物はなくても、未練はありそうだな
(・∀・ ) なあ
(-@∀@) 何だ
(・∀・ ) いつ、記憶を消すんだ
(-@∀@) ああ、それか。今のところ消す気はないな
( ・∀・)
(-@∀@) 別に消さなくてはいけない必要性も感じないしな
( ・∀・)
(-@∀@) どうした、鳩がサブマシンガン喰らったような顔して
( ・∀・) だって、消すって、言ってたじゃないか
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599 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:46:25 ID:H8nZc6To0
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(-@∀@) そのつもりだったが、やめた。心変わりというものだ
( ・∀・) そん……な、適当な……
(-@∀@) お前が望むなら、面倒だが消してやろう。はあ、あーあ、面倒だ
ボタン一つ押す労力、ああなんて無駄な労働を……
( ・∀・) 記憶は残したい
(-@∀@) じゃあ残しておこう
( ・∀・) 記憶は、僕そのものだ
(-@∀@) そういう考え方もあるな
(・∀・ )
(-@∀@) しかし、記憶などあてにならんもんだぞ。一昨日食べた夕食を覚えているか?
(・∀・ )
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600 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:53:48 ID:H8nZc6To0
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(-@∀@) 私は覚えているがな。えーっと……確か
(@∀@-)
(-@∀@) ……?
(-@∀@) コンタディーナとブイヤベースだったかな
< ふきの煮付けだよ
(-@∀@) そうだ!ニアミスだったか
< そうだな
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601 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2016/01/07(木) 22:56:38 ID:H8nZc6To0
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(-@∀@)
(-@∀@) そんなに夜空が好きだったか?
< 別に
(-@∀@) もう一つ訊いていいか
< ああ
(-@∀@) お前の目から流れているものは、何だ?
( ∀ )
「まがい物だ」窓をのぞき込みながら、モララーが呟く。
だが彼の言葉とは裏腹に、頬を伝うそれは、確かに熱を持っていた。