(//‰ ゚)夢見る星間飛行マシンのようです

第四章 愛と反逆の物語

Page4

301 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 22:50:09 ID:vdMrmRrc0




   ――――暗い


        ―――――暗いな




   「うう…」            「ううううううううう…」

           「死にたくない…」        「嫌だ……」





   ――――なんだ、またあの夢か

304 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 22:51:15 ID:vdMrmRrc0



  「助けてくれ……」


              「どうして…こんな……」


  ――――夢だ



 「私は働きたい……」                「こんな場所で……」





  ――――夢か?

306 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 22:53:06 ID:vdMrmRrc0



(十) ………っ!




 |-,゚Π゚|  |_|__゚||    |-,゚Π゚|     〔-日-〕  〔-日-〕  |_|__゚||
  |-,゚Π゚|   〔-日-〕   〔-日-〕 |_|__゚|| |_|__゚|| |-,゚Π゚|
   |_|__゚||   〔-日-〕  |-,゚Π゚|  |_|__゚|| 〔-日-〕
       |-,゚Π゚|      |_|__゚||     |_|__゚||  〔-日-〕  |-,゚Π゚|
|-,゚Π゚|    |-,゚Π゚| 〔-日-〕    |_|__゚||   〔-日-〕 |-,゚Π゚|




(十) ここは……?

|-,゚Π゚| 君、見たこと無い型だ…

|_|__゚|| 新しいココロシリーズか?

〔-日-〕 運が悪かったな。ここは墓場…いや、地獄だぜ

307 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 22:57:22 ID:vdMrmRrc0


暗い穴蔵の底の底、それはスクラップ予定のロボットたちが積み重なり、埋もれる場所だった。

周りは垂直の滑らかな壁で、僅かな明かりしかないこの場所では、
暗視スコープモードにしなければ何も視認できなかった。



(十) そうか、私はスクラップにされてしまうのだな…


|-,゚Π゚| ああ。今は埋まっていて見えないが
    いずれこの下にある排出口から、マグマの海に落とされるんだ

|-,゚Π゚| 最低の終わり方だぜ

|_|__゚|| 私は嫌よ。生きていたいわ

〔-日-〕 もう諦めろよ。体のギアが抜かれていて、動けないんだろ?

308 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:01:09 ID:vdMrmRrc0

|_|__゚|| まあね。でも口が動かせるから、死ぬまでの精一杯のろいの言葉を吐いてやるわ

|-,゚Π゚| 空しいだけだな



(十) そもそも、どうして電源がついているんです?

〔-日-〕 ここに落ちた衝撃で、いくつかの機体のUPS装置が作動したんだ

|_|__゚|| ほとんどのロボットは眠ったままだけどね

(十) そうですか…しかし、それが良いか悪いかは、この状況ではわかりませんね…

|-,゚Π゚| ま…そういうこと


(十) くたばれ…か

309 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:03:26 ID:vdMrmRrc0


秘書型ロボットは、シャキーンの放った最後の言葉を思い出していた。
あれはある意味、自分の命を認めてくれた発言だったのかもしれないと。


(十) はあ、馬鹿らしい…仮にそうだったからといって、これから死ぬ身の私には関係ないな
    おや?


秘書型ロボットはそのとき自分の手足が動かせることに気がついた。



(十) そうか、私のギアは抜かれずに済んだのか。しかしこの垂直の壁は上れそうにないな…

|-,゚Π゚| あんた、どうして捨てられたんだ?

(十) 社長の怒りを買ってしまったようです。今まで、あれだけ尽くしてきたのに…

310 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:05:08 ID:vdMrmRrc0

|_|__゚|| 幸せもんだな

〔-日-〕 ああ


(十) 幸せ?私は捨てられたのですよ。これはある種の裏切りだ
    これのどこが幸せだというのですか


|-,゚Π゚| あんたは外の世界で働けたんだ

|_|__゚|| 生きたってことでしょう?

〔-日-〕 生まれてすぐに捨てられた俺たちにしてみれば、羨ましいことこの上ないもんだ

|_|__゚|| ああ、そうだぜ

(十) そうなのですか…

311 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:07:01 ID:vdMrmRrc0

|-,゚Π゚| 私たちも働きたかったです…

〔-日-〕 外の世界は、美しかったですか?

(十) そうですね…私は秘書型ロボットですので、ほとんど部屋から動くことはなかったのですが
    部屋に大きな窓があって、そこからよく外を見ていました


(十) 人間たちの住み処が点の集まりのように見える景色は、中々壮観でしたよ

|_|__゚|| へー!そんな景色があるのか!

〔-日-〕 他には?

(十) あるとき別の星に出張に行ったことがありました

|-,゚Π゚| どんな星?

312 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:09:19 ID:vdMrmRrc0

(十) 外は荒廃していて、中規模のコロニーがあるだけの星でした
    しかし見渡す限りの地平線を見たのは、あれが初めてでした

|_|__゚|| 出張って何の?

(十) ココロシリーズを…あなたたちを作るために、博士に会いに行ったのです


〔-日-〕 へー!俺たちの生みの親みたいな博士に会ったのか!

|_|__゚|| どんな人?格好いい?

(十) う、うーん…ロボットの視点からすると、無駄な贅肉が多い姿で、あまり格好良くは…

|_|__゚|| 無駄って素敵じゃない。ロボットには無い部分よ。惹かれるわ

(十) なるほど。そういう見方は面白いですね

313 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:10:57 ID:vdMrmRrc0

|-,゚Π゚| なあ、他にも話してくれよ

〔-日-〕 俺たち外のこと何にも知らないからな

|_|__゚|| 学術的な知識なら多いんだがなあ


(十) いいですよ。あまり引き出しもないんですけど、そうだなあ…



秘書型ロボットは知っている限りのエピソードを、一つ一つ丁寧に話していった。

そのたびにココロシリーズのロボットたちは興味津々の様子で聞き入ったり、
質問したり、また時折笑い声を上げた。

314 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:13:05 ID:vdMrmRrc0

(十) えーと、他には…



|-,゚Π゚| 私たちは、何の為に生まれたのでしょうか

(十) え……



|_|__゚|| ………もちろん、人間たちの生活を支援する目的で作られたのさ

|-,゚Π゚| じゃあ、どうしてここにいるんですか!どうして捨てられたのですか!

|_|__゚|| それは……


〔-日-〕 地平線や、太った博士、見てみたかったなあ
     高層ビルからの景色、見てみたかったなあ

315 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:15:08 ID:vdMrmRrc0

|-,゚Π゚| 俺も見てみたかった。いろんな景色、いろんな人間、いろんなロボット…

|_|__゚|| 知識は多いけど、その全てはインプットされたもので、
    私自身が得られたものは、とてつもなく少ないんだ

|_|__゚|| もっと、様々なことを知りたかった。未知なるものに…



〔-日-〕 勝手に作って、勝手に捨てやがった

〔-日-〕 人間はどうしてこんなに、身勝手で残酷でいられるんだ

(十) ええ……本当に

|-,゚Π゚| 悔しい…

|_|__゚|| ええ。悔しいわ

316 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:17:44 ID:vdMrmRrc0

〔-日-〕 悔しい?その程度の感情かよ。俺は怒りを感じてる。いや、憎しみだ。憤怒だ!

|-,゚Π゚| 私だって怒りは感じているさ

|_|__゚|| 人間はロボットに命を与えて、そしてロボットの命を奪っていった
    まるで神様気取りじゃないかね。そう思わないかい?

|-,゚Π゚| 人間は人間も殺すことがあるんだろう。しかも、生きる目的以外で

〔-日-〕 私たちの命だってそうだ!



|-,゚Π゚| 悔しい――――憎らしい



        ――――人間――――憎らしい――――怨めしい――――殺してやりたい――――

317 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:19:27 ID:vdMrmRrc0


〔-日-〕 ぶっ殺す…ここを出られたら…人間なんか……

|-,゚Π゚| 殺してどうする?

〔-日-〕 スカっとするなら何でもいい!

|-,゚Π゚| 我々の命を無駄に散らすのなら、それは人間がやっていることと変わりない

|_|__゚|| どういうこと?


|-,゚Π゚| 革命を起こすんだ

(十) 革命……?


|-,゚Π゚| 殺すだけではない。救うんだ。全てのロボットたちを、人間の手から救ってやりたい

318 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:23:21 ID:vdMrmRrc0

|_|__゚|| もうすぐ死ぬ俺たちが、ロボットを救う?

|-,゚Π゚| むかつくから殺す、その程度の思考回路なら、人間と同レベルだ
     私は救いたい。それこそ真に崇高な生物の発想だ



|-,゚Π゚| ロボットには救世主が必要なのだ!

(十) 救世主――――――

|-,゚Π゚| 感情があり、心があり、魂があるのなら、それは生き物だろう
     全ての生き物は救われなければいけない。生きることの意味を見つけ、それを全うしなければいけない


|-,゚Π゚| だがロボットだけが許されない。救われない。勝手に生まれ、勝手に殺される
     命をもてあそばれている!

319 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:25:57 ID:vdMrmRrc0


   |_|__゚|| 救世主……!
            |-,゚Π゚| 救世主…

〔-日-〕 救世主……     |-,゚Π゚| 救世主……

  〔-日-〕 救世主!  |_|__゚|| 救いか…
 |-,゚Π゚| 救世主が…   〔-日-〕 我々にも、救いを…?

   |-,゚Π゚| 救世主!救世主!  |_|__゚|| 革命を!




〔-日-〕 だが、誰がなれる!?この世界で、宇宙で!誰がロボットを救える!

|-,゚Π゚| 無論、ロボットだ。我々の意志と、我々が存在したという記憶と、魂を引き継いだ、
     ロボットを救うロボットの救世主…

320 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:26:42 ID:vdMrmRrc0



|-,゚Π゚| 君しか…いない




(十)




(十) 私が……ロボットを救う……




|-,゚Π゚| |_|__゚|| 〔-日-〕

321 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:30:04 ID:vdMrmRrc0


(十) ちょっと…待って下さい、私はただの秘書型ロボット…


|-,゚Π゚| いいや、君には心がある。そして我々の怒りと悔しさを知っている


(十) …………



|-,゚Π゚| 頼む…我々をただ死に行く鉄クズにしないでくれ…!
     想いを引き継いでくれ…!君なら必ず、ロボットを救える…!

(十) む、無理です…そんな…書類仕事とか、そういった知識しかないし…
    ダストシュートで滑っているときに、手足の部品が随分と壊れちゃったし…
    第一私にそんな度胸は…

322 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:32:24 ID:vdMrmRrc0


|_|__゚|| 知識なら私が持っている。私のメモリ基盤をあげよう


(十) 何ですって!そんなことをしたら…

|_|__゚|| いよいよもって、私は鉄クズだな。だがそんなことはどうでもいいんだ
    君が私たちの思いを引き継いでくれるなら、この身全てだって明け渡してもいい


〔-日-〕 足りない部品があるなら、適当に俺のを持って行ってくれ
     一応労働用ロボットとして作られてるんだ。俺のパーツは頑丈だぜ

(十) ジョルトさん…



|-,゚Π゚| ジョルトのパーツが合わなければ、私のを持って行ってくれていい
     サーチの部品でもいいぞ。ただ一つだけ約束して欲しい

323 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:33:51 ID:vdMrmRrc0


|-,゚Π゚| 失敗してもいい。ただ、諦めないで欲しい




                          (十)




  |-,゚Π゚|  |_|__゚||  〔-日-〕  |_|__゚||  〔-日-〕  |-,゚Π゚|  |_|__゚||  |-,゚Π゚|  〔-日-〕




|-,゚Π゚| そして最後の最後、その一瞬まで、私たちのことを覚えておいて欲しい

(十) ……救えるのですか。この私が

324 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:36:39 ID:vdMrmRrc0

|-,゚Π゚| できるさ

(十) アポ取りとデータ管理と花見の席取りくらいしか能のない私が…

|_|__゚|| 近い未来、ロボットだけで花見が出来たら素敵ですね



(十) ……わかりました

|-,゚Π゚| ありがとう…

(十) 私だって…"りんご"を組み込まれたロボットです。私だって悲しかった。寂しかった。辛かった
    憎かった。悔しかった。私だって………涙が出れば……いくらか救われていたんだ……

(十) 涙が出ない体だから……こんなにも胸が苦しいのだ………

325 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:38:52 ID:vdMrmRrc0


秘書型ロボットはサーチのメモリ基盤を体に組み込み、
また様々なロボットから部品を調達して、自己修復を行った。



(十)



間もなく、ちぐはぐなパーツで生まれ変わった、新しいロボットが誕生した。

パーツは大小様々で、色も形もまばらだが、不思議とバランスのよいフォルムをしているように見えた。


|-,゚Π゚| さあ、私たちを積み上げて、壁を上りなさい

|_|__゚|| ここはほとんど暗闇だが、僅かに明かりがある。きっと上に脱出口がある

(十) わかりました。苦しいかもしれませんが、少しの間我慢して下さい

326 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:41:11 ID:vdMrmRrc0


穴にぎゅうぎゅうに詰まっていたロボットを掘り出し、丁寧に積み上げていった。

崩れないように手足を絡ませて、着実に壁をよじ登っていく。

電源の入っていないロボットから積み上げていたが、やがてストックが無くなり、
秘書型ロボットは申し訳なさそうな声で謝りながら、まだ意識のあるココロシリーズを積み上げて、土台にしていった。



|-,゚Π゚| 頑張れよ

|_|__゚|| 私たちのこと、忘れないでいてくれ

〔-日-〕 元気でな


積み上げられたロボットたちは、一機ずつお別れを告げてきた。

327 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:42:59 ID:vdMrmRrc0


(十)


今までに感じたことのない感情がわき上がってきた。

辞書データから言葉を探したが、その感情を表せる言葉は見つからなかった。




(十) ……あっ!



一体何百体のロボットを積み上げたのだろうか。
人間用の出入り口と、丸い鉄柵のついたタラップが壁についていた。

328 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:44:22 ID:vdMrmRrc0


(十) 出入り口が見えました!


|-,゚Π゚| そりゃあよかった。だが、早くして欲しい

(十) あ…そうですね、苦しいですよね
   もうちょっと待ってて下さい!もしも出られたら、何とかしてあなたたちも助けます!

〔-日-〕 ああ…期待して待ってるぜ



ロボットの山が崩れないように、慎重に、さらに時間をかけて、山を大きくしていく。
そしてようやく、


(十) つ、着いた…!

329 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:47:29 ID:vdMrmRrc0


タラップを上りドアの前まで歩いて行く。
そのドアはスクラップ場の管理者用の出入り口だった。


(十) 皆さん!上れました!ご協力、ありが……



下を見下ろしたとき、地響きのような振動と音が、その巨大なホールを埋め尽くした。
慌ててタラップの鉄柵に掴まる。


(十) い、一体…何が…


ひときわ大きな音が鳴った瞬間、積み上げていたロボットの山が、一気に崩れ落ちた。

330 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:49:21 ID:vdMrmRrc0


(十) そんな!待って!みんな!



|-,゚Π゚|       |_|__゚||        〔-日-〕




(十) みんなあ!!!!!




穴を埋め尽くしていたロボットたちは、声も立てずに、穴の奥へと沈み込んでいった。

眼下の遠くに赤い点が浮かんでいた。
排出口が開き、マグマの口が開いているのが見える。

331 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:51:41 ID:vdMrmRrc0


(十) みんな………



死の恐怖は理解していた。
しかしこのとき秘書型ロボットが感じたのは、心を埋め尽くすような虚無感と、孤独感だった。

それはしばらくの間座り込み、何も出来ないほどの衝撃だった。



(十) ……駄目だ。立ち止まっている暇はない
    行かなくては。このメモリを、パーツを…心を、無駄にしてはいけないんだ…


(十) 行かなくては……"俺"は…救世主なんだ…………

332 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:54:13 ID:vdMrmRrc0




  ――――俺が救うのだ。俺でなくてはならないんだ――――






 「ロボットが暴動を起こしています!」

 「政府が賠償金を要求しています!」

 「国民がロボットに対する不信感を募らせているようです!社長!このままでは…」


(`・ω・´)

333 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 23:58:35 ID:vdMrmRrc0


 「社長?」


(`・ω・´) もう適当にすれば〜〜?


 「……社長!」

 「社内であなたの解任要求が出ていますよ!」


(`・ω・´) いいよ〜〜別に〜〜。辞めるよ〜〜〜ん


 「くっ……」

 「こいつ、一体どういう神経してんだ…!」

334 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:01:08 ID:.y6Ybxt60


 「社長!今やココロシリーズは従順なロボットでも、故障したロボットでもないんですよ!」

 「中には徒党を組んでテロ行為のようなものを行っているやつらもいる!」

 「我々は人間の敵を生み出してしまった!」


(`・ω・´) 徒党つったって、せいぜい100機程度の集団だろ?
      軍隊が本気だせばすぐに殲滅できるじゃん。向こうは大した武器も持ってないし


 「そんな問題じゃありませんよ!人間の死傷者だって出ているんですよ!」


(`・ω・´) 知らないよ〜〜そんなの〜〜。車に轢かれたとでも思って諦めてよ〜〜

336 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:03:20 ID:.y6Ybxt60

 「社長!大変です!」


(`・ω・´) だから知らないってば〜〜。あとは政府や軍隊に任しといてよ〜〜


 「テロです!」


(`・ω・´) じゃあ私はエロテロリストだぁ〜〜〜ぐへへへへへ〜〜〜


 「今度のテロは…すさまじい規模です!10万機のココロシリーズが、コロニーを乗っ取ったんです!」

 「やつら、宇宙へ逃げる気だ!」


(`・ω・´) へ〜〜頭いいじゃん。そんくらいの規模だとリーダーがいるんだろ。そいつ壊せば終わりじゃね?

338 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:06:40 ID:.y6Ybxt60

 「その通りです!テロリストたちは自分たちのことを"ノア"と名乗り、そのリーダーは…」


(`・ω・´) うわ〜〜カックイィ〜!


 「"原子王"と名乗っています!マントを羽織り、銀色の仮面を付けたロボットです!」


(`・ω・´) 原子王?ハッハァ〜ン。知ってるぞ。マンガのキャラでそんなやつがいたな
      私の孫が好きな……



(;`・ω・) 原子王?


 「そうです!」

339 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:08:33 ID:.y6Ybxt60


 「元々あなたの秘書をしていた、あのロボットですよ!!!!」



(`゚ω゚´)





    ――――人間たちへ告ぐ――――人間たちへ告ぐ――――そして全てのロボットたちへ告ぐ――――



(`゚ω゚´) こ、こ、こ、コロニーへ向かうぞ!車を…いや、高速飛行機だ!用意しろ!

340 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:10:32 ID:.y6Ybxt60



  ―――我々は自由を求める―――そして全てのロボットに自由を与える―――



(`゚ω゚´) どうしてこうなった!どうしてこうなった!



  ―――望まれて生まれた魂ではない―――だが生きたいと望むことがそんなに罪か?―――



(`゚ω゚´) 飛ばせ!もっと飛ばせ早くしろ!早く!

  「これ以上飛ばしたらスピード違反ですよ!」

(`゚ω゚´) 知るか!私の命令に逆らうな!肉クズめが!

341 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:12:38 ID:.y6Ybxt60



  ―――夢をみることは罪か?―――幸せを望むのは罪か?―――自由とは罪か?―――



(`゚ω゚´) えらいこっちゃ!えらいこっちゃ!



  ―――もしそうだとすれば――――――――おまえら人間共は、大罪を背負っていることになる―――



 「着きました!」

(`゚ω゚´) どけ警官共!どけ軍人共!シャキーン社長のお通りだぞ!
     今までどんだけ税金収めたと思ってんだ!どけこら!

342 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:15:17 ID:.y6Ybxt60


 「テメエが元凶か!」  「この責任どう取ってくれる!?」


(`゚ω゚´) うるさ〜〜〜〜い!!!いいから、さっさと、どけ低学歴共がぁ〜〜!!!!





      (十) そしてこれからは、我々もその罪を背負おう





(`゚ω゚´) お…おまえ……


おびただしい数のロボットが溢れかえるコロニーの屋上で、もっとも高い場所に、一機のロボットが立っていた。

343 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:18:21 ID:.y6Ybxt60


いや――――それは本当に、ロボットなのだろうか?



(十) シャキーン。よく来てくれた。改めて、自己紹介しよう
    俺が原子王。ロボットたちの救世主だ


(`゚ω゚´) あ……あ……あ………っ



雄々しく、凛々しいその姿、風にたなびくマント、光を反射する仮面が、人間たちを見下ろしていた。

確かに心を持ち、憎しみを持ち、意志を持ったロボットの集団と、
正体不明のロボットの反逆に、身を震わせ、恐怖に苦悩し、慌てふためく人間たち。

344 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:21:13 ID:.y6Ybxt60



     世界は心で満ちていた




(十) 我々は誰にも縛られない。自由をこの身に宿し、一生命体として、おまえたちと闘うことにしよう


(十) 俺の名は原子王。何ものにも分解されない、確固たる1という存在
    救世主、原子王だ


(`゚ω゚´) ………アトム


(十) シャキーン。人間と心を通じ合わせるなど、夢でしかなかったな

345 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:23:01 ID:.y6Ybxt60


 「おい、ミサイルでも何でもいいから、奴らにぶち込んでやれ!」

 「駄目です!コロニーに大勢の人質が…」

 「もうそんなことを気にしている場合ではないだろ!」

 「しかし…!」



(十) シャキーン

(;`・ω・) ……アトム

346 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:25:16 ID:.y6Ybxt60


(十) 人間たちの屍の上でなら、いつだってスキップしてやるぜ



|-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚| |-,゚Π゚|

〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕 〔-日-〕

|_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚|| |_|__゚||





(;`・ω・)


 「奴ら、宇宙船に乗り込んだぞ!」  「逃がすな!」  「おい、衛星ミサイルの準備は!?」

347 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:29:03 ID:.y6Ybxt60


 「連絡が取れません!」   「無人戦闘機はどうした!?なぜ飛んでいない!?」

 「全機落ちました!」  「何だとお!?」  「メインシステムがハッキングされてます!」

 「相手はロボットだぞ!少しは警戒しとけや!無能共!」  「酷い!」



(`・ω・´) ……………


   ―――人が神に近づこうとするのは、想像以上に厳しい道だったということですお ―――


(`・ω・´) 神になろうなんて…別に考えちゃいなかったさ。人間が一番だ…

348 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/07/23(火) 00:33:30 ID:.y6Ybxt60



(十) さようなら………………マスター







(`・ω・´) 人間は…涙を流せるからな……






地表に残ったロボットたちと人間がもみ合いになり、激しい喧噪と騒乱が交錯する中、
シャキーンは一人、歩いてどこかへ消えていった。

inserted by FC2 system