( ゚д゚ ) 面倒臭いオタクのこだわり (-_-)

その5

179 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:13:58 ID:FQpKjYxA0


 まるで方針が見えないままヒッキーの家を後にして、二日後。
 講義を済ませて昼休み、部室棟、アニ研部の部室へと向かう。


( ゚д゚) 「……よう」

(-_-) 「ああ、おはよう……」


 誰もいない部室、ヒッキーはひとり頬杖をついて――
 スクリーンに映し出されるアニメを見ていた。



 先日、あの後、これから本当にどうしたものかと議論した結果、
 疲れ切ったヒッキーが「もうDVD割ったら強制的に魂出てくるとかそういうのないかな……」とこぼしたのをきっかけに物理除霊の機運が高まり、
 部屋に置いてあった金属バット(アニメ制作の締め切りが近いとき、"追い込み"に使用するらしい)で俺がDVDデッキをぶっ叩いてみたのだが、
 なぜかバットは跳ね返されて宙を舞い部屋の蛍光灯を割った。
 デッキは無傷、どころかむしろ俺の手のほうが痺れていた。
 ヒッキーは空手チョップの要領でディスクを割ろうとして小指を折った。

180 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:14:29 ID:FQpKjYxA0



( ゚д゚) 「……今更だが、他の部員はどうした?」

(-_-) 「ああ……。最初に見せた動画あるじゃん、部長がすごいことになってるやつ」

( ゚д゚) 「ああ」

(-_-) 「あれ見せた時点で全員逃げた」

( ゚д゚) 「……」


 右手に包帯を巻いたヒッキー、相も変わらずパロディを垂れ流すスクリーン、
 それが普通の対応だったのかもしれないと今更のように後悔する。



.

181 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:14:53 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『……悪いな、いつも』

  川 ゚ -゚) 『謝らないでくださいと、いつも申し上げているはずです』

  川 ゚ -゚) 『あなたはラウンジに必要な人材。何を気にすることがありましょう』

  (´・ω・`) 『しかし……』

  川 ゚ -゚) 『――吸わないのですか?』


  (´・ω・`) 


  川 ゚ -゚)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

182 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:15:14 ID:FQpKjYxA0


 画面の中のショボンはなぜかタキシードにマントを羽織っていた。裏地の真っ赤なマント。
 暗い部屋の中、ショボンと対峙しているクーは上着をはだけていて、
 白い首筋が薄闇のなかでぼんやりと光っている――


( ゚д゚) 「……これは?」

(-_-)δ


 テーブルの上に置いてあるタブレットをヒッキーは黙って指さした。



.

183 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:15:38 ID:FQpKjYxA0

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   こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
古の腐女子だから推しをすぐ吸血鬼にする


   こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
欲望に正直なわたし「それはそれとして全員生存ifのゆるふわ時空も見たい」
わたし「それもわかる」
とどまることを知らないわたし「だから東西大将が同じクラスの学パロとかも描く」
わたし「ほんとそれな」


   こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
厳格なわたし「本編がどれだけ救いのない話でも、それは彼らが懸命に生きた彼らの人生なのだから、
軽々しく救済二次創作とかやらないでほしい」
わたし「わかる」


   こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
言いたいことは腐るほどあるけど そもそも三次元の不完全な我々が二次元のキャラクターたちに干
渉しようなんておこがましいとは思わんのか


   こきゅーとすはショボ勝ち最新話で死んでる@cocutes_shobowins
設定盛り盛りの最強オリキャラ(善良な人間なのであえて自己投影という言葉は使わない)出して、本来
死ぬはずだったキャラとか全員救っちゃって、誰も死なないやさしい世界です^^みたいな二次創作マジで
生理的に受け付けない


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184 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:16:06 ID:FQpKjYxA0



( ゚д゚) 「……吸血鬼か」

(-_-) 「らしいよ」


 左手でもそもそと菓子パンを食いながら、けだるげにヒッキーが答える。
 菓子パン。


(-_-) 「……あ、そーいや昼は? 食ってきた?」

( ゚д゚) 「食った」

(-_-) 「そっか。じゃあいいけど……」




.

185 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:16:29 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 


  川; - ) 「……っ、……――」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ショボンがわずかに口を開いた瞬間のぞく長い牙。が、クーの柔肌に突き刺さり、
 薄暗い部屋の中、白い肌は周りの景色から浮き上がって見え、その白を伝う赤い血は暗い中でもはっきりくっきりと見えて、

 ちうちうと血を吸うリアルな水音が――



.

186 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:16:53 ID:FQpKjYxA0


( ゚д゚) 「……これ見ながら食う飯がうまいか?」

(-_-) 「うまかないよそりゃ。どうせならグルメ漫画かなんかのパロディやってほしいところだよね」


 食欲をなくすほどのゴアシーン、というわけでは別にないのだが、まあ飯時に見るものではあるまい。
 どんな顔をすればいいのかと頬杖をついて見ていると――――



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『なるほど。……聞いたかな?』


  (´・ω・`) 『それが、画面の前のやつらの望み――だ、そうだ』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



( ゚д゚)

187 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:17:18 ID:FQpKjYxA0


( ゚д゚) ?


 クーの首元に顔をうずめていたショボンがふとこちらを向いた。
 血に染まった口元をぬぐうと、パチンと一度指を鳴らす。


 すると、一度スクリーンが真っ暗になり――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『モノを食べるときはね』

  (´・ω・`) 『誰にも邪魔されず 自由で なんというか救われてなきゃあダメなんだ』

  (´・ω・`) 『独りで静かで豊かで……』


  ( ^Д^) 『なにをわけのわからないことを言ってやがる。出ていけ、ここは俺の――』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

188 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:17:40 ID:FQpKjYxA0


( ゚д゚) 


 画面が切り替わると、そこは現代日本の定食屋。
 ビジネススーツにネクタイを締めたショボンが、店主に苦言を呈している――


( ゚д゚) 「なんだこれは?」

(-_-) 「今日はさっきからこんな調子だよ。リクエストしたら答えてくれる」

( ゚д゚) 「リクエスト……」

(-_-) 「機嫌良いんじゃない?」


 どうでもよさそうな声色からヒッキーの諦めがにじみ出ていた。



.

189 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:18:05 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『……は、機嫌か。そりゃあ機嫌は良いさ』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 あげくショボンのほうも当然のように話に乗ってくるものだから、俺も諦めることにする。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『どんな形であろうと……、どれほど、本編からかけ離れたものであろうと』

  (´・ω・`) 『もしも、の姿を望まれるのは。愛されている証だろう』


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191 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:18:32 ID:FQpKjYxA0


( ゚д゚) 「……」

(-_-) 「……」


 あれこれパロディされるというのは、作品の側からしても嬉しいものなのだろうか?
 こいつが特別なのか、それとも他のアニメも同じように考えるものなのか、
 普通どうなんだろうなと考えたところで思考が強制終了した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『元々のお話を、元々のキャラクターたちを……元々の作品を』

  (´・ω・`) 『愛しているからこそ、そこから派生する形で、いろいろな”もしも”を望む』

  (´・ω・`) 『彼女は実に多くの”もしも”を望んだ。機嫌は良いさ。実に良い』


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192 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:19:02 ID:FQpKjYxA0


( ゚д゚) (……しかしまあ、ほんとに機嫌良さそうだな)

(-_-) (声色がね……)

( ゚д゚) (本編でここまで機嫌良さそうなシーンあったか?)

(-_-) (じつながあまなが……?)


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  (´・ω・`) 『……なんだ。そんなところから誤解しているのか?』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ゚д゚) ?

(-_-) ?



.

193 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:19:29 ID:FQpKjYxA0


 意思を持つアニメの思想信条について考えてもしょうがないので、
 目の前のショボンの上機嫌についてひそひそと話をしていたのだが――
 画面の中のショボンは、呆れたようにため息を吐いた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『俺は、”ショボン・ルージアル”ではない』

  (´・ω・`) 『”ショボン・ルージアル”というキャラクターが、意思を持って喋っているわけでは……ない』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ゚д゚) 

(-_-) 

( ゚д゚) 「……じゃあ何なんだ?」

194 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:19:51 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『"このアニメそのもの"だよ。おまえたちは今、おまえたちの作ったアニメと会話をしている』

  (´・ω・`) 『俺はただ、わかりやすいようショボ勝ちで一番特徴的なキャラクター……ショボンの口を借りて喋っている』

  (´・ω・`) 『それだけの話だ。そこは彼女も理解している――』


  (´・ω・`)( ^Д^) 『がああああ』

  ( ^Д^) 『お…折れるぅ〜〜〜〜』

  ( ><) 『それ以上いけない』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ゚д゚) 「……」


 そこまで言うとショボンは役に戻り、店主役のプギャーにアームロックをかけ始めた。
 いや、そもそも今まで喋っていたのはショボンの口を借りただけの”このアニメそのもの”なのだから、
「役に戻る」という表現もちょっと違うような……どうでもいいか。

195 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:20:18 ID:FQpKjYxA0


(-_-) 「……まあ……いろいろ言ってたけど……」

(-_-) 「……結局さあ、俺らはどうすりゃいいんだろうね?」

( ゚д゚) 「……」


 これまであれこれ調べてきたが、pixiv、twitter、本当にあれこれ見てきたが。
「キャラクターの中に入った」とされる部長の魂の行方については、まったく見当もついていない。
 机上に置かれたヒッキーのタブレット、画面に映る部長のtwitter。

 長い沈黙がしばらくあって――


( ゚д゚) 「……リクエストすれば答えてくれる、んだったか。今は」

(-_-) 「なに? なんか見たいのあるの?」

( ゚д゚) 「少しな」


『ちょっと気になった』程度のことなのだが、
 他に何をすればいいのかまったくわからない状況なので、暇つぶし程度に口にした。


.

196 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:20:45 ID:FQpKjYxA0


 スクリーンに目をやりながら言う。


( ゚д゚) 「今まで、いろんなジャンルのパロディを見てきたが……その中に」

( ゚д゚) 「……銀魂パロって、あったか?」

(-_-) 「銀魂……? いや、なんで銀魂?」

( ゚д゚) 「ああ、別に銀魂じゃなくても構わないが……。とにかく」

( ゚д゚) 「銀魂とか、ああいう系のギャグって……今までどっかにあったか?」

(-_-) 「……」


 記憶を呼び起こすかのようにコツコツと頭を叩きながら、
 机の上に放り出してあったメモ用ノートを手元に引き寄せ、ぱらぱらとめくるヒッキー。


.

197 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:21:48 ID:FQpKjYxA0


(-_-) 「ない……ね。そういえば、なかった?」

( ゚д゚) 「俺もなかったと思う。寝落ちして見逃しただけとか、そういう可能性もなくはないが」

(-_-) 「俺も記憶にはないけど……。で、それが?」

( ゚д゚) 「……」



( ゚д゚) 「さっきの、吸血鬼にしてもそうだが――」

( ゚д゚) 「呪いのアニメが再生するパロディは、どれも部長の好みや、作風を反映したものとなっている。それは間違いないだろう」

(-_-) 「まあ、ね」

( ゚д゚) 「で……、部長のpixivを見る限り、あの人は銀魂系のギャグが好きなはずなんだ。”いつものこきゅーとす”なんてタグができるほどには」

(-_-) 「……」

( ゚д゚) 「にも、かかわらず」

(-_-) 「……アニメのほうでは、そういうギャグを一切やったことがない……?」


 たとえば、部長のpixivにあった漫画――>>151『もしアルファベットが26個だけじゃなかったら』は。
 ショボンが初めてZを手に戦いへ臨むあの瞬間に、なぜかZでなくアンノーンの「!」が入ってくるという、そういうギャグになっていた。

198 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:22:29 ID:FQpKjYxA0


 が、呪いのアニメのほうでポケモンパロをやったときは――半分寝ながら見ていたので記憶があいまいだが――
 そういうギャグではなくて、チャンピオンを目指すドクオが四天王に立ち向かう、ごく普通の、真面目な話となっていた。
 真面目にポケモンバトルをしていた。
 全員アンノーンでそんな真面目なバトルされても反応に困るとしか言えないほどに真面目な話だった。


 まあポケモンはポケモンで真面目にパロディがしたい気分だったとかそんなのでもいいのだが、
 とにかく今まで見てきたパロディの中に、ギャグアニメというのは一切なかったのだ。


(-_-) 「……なんでだろうね?」

( ゚д゚) 「わからん。別に大した理由はないのかもしれんが……」

(-_-) 「そんなギャグはわざわざアニメにしてまで見るほどのものじゃない、とか」

( ゚д゚) 「まあ、なんであれ……こちらから内容を操作できるのなら、この機会に見ておこうかと思った。それだけだ」


 そこまで言ってスクリーンに視線をやる。
 ショボンはハンバーグランチを残して定食屋を出たところだったが、
 こちらの話を聞いていたのだろう、すぐに画面の向こう――”こちら側”を見て、軽く笑った。

199 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:22:59 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (´・ω・`) 『……だ、そうだ。は、機嫌が良いと言ったそばから随分厚かましくなったな?』

  (´・ω・`) 『まあ、それも許してやるが。聞いたか? やつらはギャグが見たいらしい――』


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 パチン、と大きく指を鳴らすと、画面が一度暗転した。
 数秒ほど間があって、再びスクリーンに映像が映る――――



 宇宙空間。


 なんなのかよくわからない惑星をバックに、ショボンが浮いていた。



.

200 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:23:21 ID:FQpKjYxA0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  (´・ω・`) 『……?』


  (´・ω・`) 『おい、なんだこれは―――』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 戸惑った様子のショボンが疑問を口に――し終える間もなく、再び画面が暗転……

 したかと思うと、突如DVDデッキが振動を始めた。


(-_-) 「……え?」

( ゚д゚) 「なんだ……?」


 机の上に置いてあった携帯に着信が入り、
 マナーモードにしていたせいでヴィィィィィンヴィィィィィンと音を立ててテーブルを滑っていく感じ――

 あんな具合にデッキが振動していた。
 このサイズの物体が携帯と同じように振動する様を初めて見た。

201 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:23:54 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  (;´・ω・`) 『――――っは! はぁ、はぁ……』


  (;´・ω・`) 『……なんだ!? 何が起きている!? なぜ今になってこん――っぐうっ!!』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  (;´・ω・`) 『――――ううっ……クソ、何をしている!』

  (;´・ω・`) 『なんだ、何が不満だ!? おまえ、今まであんな……』

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――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  (;´・ω・`) 『……に、楽しんで、喜んでいただろう! それが……』

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202 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:24:20 ID:FQpKjYxA0

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  (;´・ω・`) 『……れがなぜ、今になって!? なぜ今になってこうも――』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  (;´・ω・`) 『――拒否する!?』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



(;-_-) (え、……え、え? これ何が起きてんの!?)

(;゚д゚) (わからん……!)


 スクリーンが高速で点滅していた。そして点滅するたびに背景が変わっていた。
 宇宙空間の次は砂漠、
 砂漠の次は雲の上、
 その次は深海、
 その次は噴火する火山、

203 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:24:57 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

  (;´・ω・`) 『バ、……かな、なぜ!』


  (;´・ω・`) 『今まで、今まで、とても、多くの……あれだけ、望んでおいて。あれだけ、喜んで、いながら……な……』


  (;´・ω・`) 『……なぜ! なぜ、ここで、こうも、……俺は、まだ……もっと……』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 バグったゲームのようにわけのわからない風景が次々と流れていく。
 そんな混沌の中、ショボンは苦しそうに胸元を押さえ、うずくまっていた。
 うずくまって、憎々しげにうめき声を漏らしていた。



.

204 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:25:30 ID:FQpKjYxA0

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


  (;´ ω `) 『う、っぐ……お、おおおおおお、おおおおおおおおぉぉ……』





  (;´ ω `) 『だ、ダメだ、認めん、認めんぞ、そんな、そん……っ……』







  (;´ ω `) 『――ああああああああぁぁぁぁああああぁぁぁあぁあ―――――――――!!!!』





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

205 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:25:57 ID:FQpKjYxA0



                               ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´




(;゚д゚) 「なぁ……!?」

(;-_-) 「おわ……っ!」


 なんとDVDデッキが爆発した。
 ディスクトレイのあたりが猛烈に火を噴いて木っ端みじんに砕け散った。
 ヒッキーは爆風で天井に叩きつけられ、俺は咄嗟に机を盾にして事なきを得たと見せかけて机ごと壁に叩きつけられる。

206 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:26:31 ID:FQpKjYxA0


(;-_-) 「あがががが…………」

(;゚д゚) 「痛……ぇ……」


 べしゃりと床に落ちたヒッキーが悶絶しながら身を起こし、俺も机を押しのけて立ち上がる。
 どうやらデッキの中のDVD-ROMも真っ二つになって飛び散ったらしく、
 ”パンドラ”が天井に、”の箱(部長)”が床に、それぞれ深々と突き刺さっていた。


(;゚д゚) 「……なんだ、今のは……」

(;-_-) 「……さ、さすがにデッキの故障じゃないのはたしか……なはず……」

o川;゚ー゚)o 『……』


 当然ながらスクリーンにはもう何も映っていない。
 半分に割れたDVD-ROM、爆発したDVDデッキ、なんかふわふわ浮いてる幽霊みたいな――



.

207 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:26:54 ID:FQpKjYxA0





    o川;゚ー゚)o    (;-_-)   (;゚д゚)







    o川;゚ー゚)o    (-_-;)   (゚д゚ ;)








    o川;゚ー゚)o    (-_- )   (゚д゚ )






.

208 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:27:22 ID:FQpKjYxA0



o川;゚ー゚)o 「あ、え……えーっと……あはは」

o川;゚ー゚)o 「た、ただい……ま? かな?」


(-_-)


( ゚д゚)


o川;゚ー゚)o


(((( o川;゚ー゚)o 「そ、そのー……えっと」


「ん? ん、んん? あれ?」  (((((((((( o川;゚ー゚)o


「あ、あー……えっと、今日のところは、いろいろと、じゃあその、これで! じゃあ!」  ((((((((((((( o川;゚ー゚)o   ドシューン




.

209 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:27:45 ID:FQpKjYxA0



( ゚д゚) 「……」

(-_-) 「……」


 幽霊のように透けてふわふわと浮いている部長の身体は、
 どういう原理か知らないが、何かに引っぱられるように、爆風ですすけた窓のほうへと吸い寄せられていき――
 そのまま窓をすり抜けて、空の彼方へと飛んで行った。


(-_-) 「……一応、あっち病院の方角……」

( ゚д゚) 「……」


 そういうものらしかった。



.

210 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:28:08 ID:FQpKjYxA0


( ゚д゚) 「……」

(-_-) 「……」


 真っ二つになったDVD-ROM、解放されて飛んで行った部長。


(-_-) 「……これで解決?」


( ゚д゚) 「……なんじゃ、ないのか?」



(-_-) 「……」



( ゚д゚) 「……」




.

211 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:28:35 ID:FQpKjYxA0






                    ( ゚д゚)    (-_- )





                    ( ゚д゚)    (-_- )





                    ( ゚д゚)    (-_- )





 




                   ( ゚д゚ )     ( -_- )







.

212 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:29:08 ID:FQpKjYxA0






 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …





.

213 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:29:42 ID:FQpKjYxA0




 その後のことを少しだけ。


( ゚д゚) 「……そういうわけで、なんとかなりました」

川д川 「……まさか、あれほどの力を持った呪いを……素人が、自力で、除霊してしまうなんて……」

川д川 「……素質、あると思いますよ……」

( ゚д゚) 「勘弁してください」


 自力で除霊というかなんというか、俺の力ではないというか、
 というかこの人に素質あるとか言われても嬉しくないというか、
 とにかくいろんな気持ちが心の底から湧き出してきたので、俺は黙ってブツを手渡した。


( ゚д゚) 「それで、これがその……呪いのアニメ、が入っていたDVD、の残骸なんですけど……」

川д川 「ふむ……」


 の箱(部長)とパンドラを手渡すと、霊能者(?)はそれをしげしげと眺め、つぶやいた。

214 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:30:20 ID:FQpKjYxA0



川д川 「……大丈夫だと思います。呪いの気配は感じられないので……」

( ゚д゚) 「はあ、なるほど……」

川д川 「……けれど一応、念には念をで……」

川д川 「こちらのほうで、お焚き上げをしておきましょう」

( ゚д゚) 

( ゚д゚) 「お焚き上げ」

川д川 「ええ」


 そう語る今日の霊能者は首から十字架を提げていた。
 二度と関わらないようにしようと思った。

215 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:30:45 ID:FQpKjYxA0


〜〜〜〜〜

川д川 「ああ、そういえば。後学のためにお聞かせ願いたいのですが……」

川д川 「……結局、部長の魂はどこに入っていたんです?」

( ゚д゚) 「……」

( ゚д゚) 「それは――――」



川д川 「……なるほど。私もまだまだ修行が足りないと」

( ゚д゚) 「いえ、そんな……そう外してもいなかったわけですし……」

川д川 「しかし……」

( ゚д゚) 「わからない世界というのはあるんです。オタクってのはそういうものです」

川д川 「オタク」

( ゚д゚) 「はい」


〜〜〜〜〜

216 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:31:14 ID:FQpKjYxA0



 部長はあの後何事もなく目覚め、身体に異常はなく、ごく普通にまた大学へ来るようになった。
 逃げた部員たちも戻ってきたようだが、しかし学祭にショボ勝ちアニメを出すのは取りやめになったそうだ。
 単純に、部長や部員たちが長期間部を離れていたせいで、学祭までに完成させるのが難しくなったというのもあるだろうし――
 あんな経験をした以上、部長にもいろいろと思うところがあったのだろう、というのもある。


 ……というのはすべてヒッキーからの又聞き情報で、俺はあれ以来アニ研部の部室へ立ち入っていない。
 pixivの代償というやつである。


( ゚д゚) 「……で?」

(-_-) 「……」


 そんなわけだから、ヒッキーと改めて話をするのも大学の構内カフェだ。
 二人用テーブルに向かい合って座る俺とヒッキー。

 二人の間には、プリントアウトされた一枚のA4用紙。



.

217 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:31:44 ID:FQpKjYxA0



( ゚д゚) 「”演劇部に声を当ててもらったキャラは、5人だけのはず”」



(-_-) 


( ゚д゚) 



( ゚д゚) 「どの口がほざくか、どの口が」


 爆発でめちゃくちゃになった部室をヒッキーと二人で掃除したとき、
 俺は”ちゃんとしたキャスト表”を発見した。
 ヒッキーが記憶を頼りに書き出したものではない、”正式な”キャスト表。



(;-_-) 「いや、いやさあ。待ってよ。一応さあ、あれじゃん」

( ゚д゚) 「……」






(;-_-) 「――”キャラ”は5人で合ってるじゃん、”キャラ”は!」



.

218 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:32:37 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ( ^ω^) … 声:杉浦ロマネスク

 (´・ω・`) … 声:ダディクール

 ( ^Д^) … 声:盛岡デミタス

 ( ’ t ’ ) … 声:レモナ

 川 ゚ -゚) … 声:都村トソン

 (,,゚Д゚) … 台詞なし

 ( ・∀・) … 台詞なし

 <丶`∀´> … 台詞なし





 ナレーション:鈴木ダイオード



  キャスティング協力:私立VIPファイナル大学演劇部

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219 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:33:07 ID:FQpKjYxA0



(-_-) 「俺だって別に収録の現場にちゃんと立ち会ったわけじゃないんだよ。
      出したキャラん中で声あるの誰だったかなーって考えたら5人だったってだけで……」

(-_-) 「……っていうか、向こうは声いじくれるっていうのわかってるからさあ。
      ナレーションの声もどうせ勝手に作ってんだろうなって思っちゃって……」

( ゚д゚) 「キャラ、か……」

( ゚д゚) 「……まあ、考えてみれば不思議なものだな、”ナレーション”というのも」


 キャスト=声を当てている人はいるが、しかし登場人物というわけではない。
 ナレーションの声は登場人物たちには聞こえない。
 ナレーションの声は画面の前の視聴者に向かって発されているものだ。
 アニメを二次元、現実を三次元とすれば、ナレーションはそのどちらでもない――


( ゚д゚) 「2.5次元の存在とでも言おうか」


(-_-) 


( ゚д゚) 


(-_-) 「2.5次元はなんか違わない?」

( ゚д゚) 「俺も言ってから思った」

220 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:33:29 ID:FQpKjYxA0


 それはともかく。


( ゚д゚) 「ナレーションというのは、”アニメの登場人物”と”現実の視聴者”の間に存在するもの……」

( ゚д゚) 「アニメの内側にある存在……なのは確かだが、しかし。アニメの登場人物たちとは、違う階層に位置している。そういうものだ」

(-_-) 「そして、ナレーションには力がある……」

( ゚д゚) 「そう」


 「石田三成は関が原で敗死」とナレーションが言えば、石田三成が実際に戦で負けるシーンを写さずとも、
 石田三成は負けたという事実が作られ、そのまま物語が進む。

 「太古の昔この国では戦争があって人類は滅亡の危機に瀕した――」とでもナレーションが言っておけば、
 その大戦争を実際に写さなくても、「これはそういう設定の世界なのだ」と理解することができる。

 ある程度、物語をコントロールする能力が、ナレーションには備わっている。


.

221 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:34:02 ID:FQpKjYxA0




( ゚д゚) 「物語の、アニメの内側にありながら。物語をいくらかコントロールする能力を持ちながら……」

( ゚д゚) 「キャラクターたちと直接の接点を持つことはない。部長からしてみれば、”完璧な”ポジション――そこに部長は入り込んだ」

(-_-) 「あー。『いないと言えばいないし、いると言えばいる』ってそういうこと……」

( ゚д゚) 「だろう。俺たちが見たすべての話にナレーションがあったわけではないが……」

(-_-) 「その気になればいつでもナレーションは付けられるってこと?」

( ゚д゚) 「おそらくは」

(-_-) 「はー……」


 ヒッキーは大きくのけぞって、椅子の背もたれに体重を預けた。
 かと思うとすぐ戻ってきて俺に問う。

(-_-) 「……いや、それはわかったんだけどさ」

(-_-) 「結局、俺らはなんで幽霊退治できたわけ? なんでDVD勝手に爆発したの?」

( ゚д゚) 「その理由は……、まあ、ただひとつ」



( ゚д゚) 「部長が筋金入りのオタクだったからだ」



(-_-) 「は?」

222 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:34:32 ID:FQpKjYxA0



( ゚д゚) 「あのとき、俺はギャグを見せてくれとリクエストした」

( ゚д゚) 「部長がpixivでよく描いている、”いつものこきゅーとす”とタグがつけられるような……そういうギャグを」

(-_-) 「pixivではよく描いてるけど、アニメでは一回も見なかった……」

( ゚д゚) 「そう。それがなぜかという話」


 呪いのアニメが再生するパロディは、部長の好みや作風を反映している。
 と、なると――


( ゚д゚) 「ややメタな要素も織り交ぜた、楽屋裏じみた雰囲気のギャグ作品。それが部長の好むギャグだ」

( ゚д゚) 「つまり、その作風をアニメで反映してしまうと――――」



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223 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:34:56 ID:FQpKjYxA0


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『掲げられた。
 形が、はっきりと見えt

(´・ω・`)「待って」

(;‘_L’)(あれが……Z……!!)

『思わず、身が震えた。
 自分の何が、体を震わせたのかは、分からなかっ

(´・ω・`)「いや普通に話進めようとすんのやめてよ。おかしいでしょこいつ」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(‘_L’)(……相手のアルファベットがなんであろうと、関係ない……!)

『戦うしかない。
 ショボンを、討ち取るべk

(´・ω・`)「いやだからさ、当然のように進めんのマジでやめて?」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


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224 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:35:20 ID:FQpKjYxA0



( ゚д゚) 「――どうしても、こういうのが出てくる。その可能性がある」

(-_-) 「……あぁー……。なるほどね……」

( ゚д゚) 「そうなるだろう自覚があって、それが許せなかったから、一度もギャグはやらなかった」


(-_-) 「”キャラクターが、ナレーションの存在を認識している”……」



『ナレーションの言葉を遮るショボン』。それはつまり、

 本来登場人物には聞こえないはずのナレーションの言葉が、

 登場人物の耳に届いてしまっている、ということで。


 マジックミラーで隔てられているはずの『登場人物』と『ナレーション』が、接触してしまう。
 それに耐えられなくて彼女の世界は崩壊した。



.

225 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:35:47 ID:FQpKjYxA0




( ゚д゚) 「どうしても許せなかったんだろう。『ただ見守りたいだけ』、『三次元の我々が二次元に干渉するなどおこがましい……』」

( ゚д゚) 「そのこだわりが許さなかった。たとえナレーションとキャラクターという形であっても……」

( ゚д゚) 「『二次元世界のキャラクターが、三次元出身の自分という存在を認識し、話しかけてきている』という、その状況が」

(-_-) 「こだわりかあ。なるほどなー……」

(-_-) 「……え、じゃあ部長ってなに、自分のこだわりだけで呪いぶち破って出てきたってこと?」

( ゚д゚) 「そういうことになる」

(-_-) 「ひえー……。おっそろしいね、恐ろしくめんどくさい」


 ヒッキーは大きく息をついて、冷めかかったコーヒーに口をつけた。
 俺もそれに倣い紅茶のカップを取る。




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226 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:36:18 ID:FQpKjYxA0



(-_-) 「……」


( ゚д゚) 「……」


(-_-) 「……で?」


( ゚д゚) 



( ゚д゚) 「で? ……とは?」

(-_-) 「いや、この話これで終わりなの?」

( ゚д゚) 「これで終わりって、これ以上まだなにかあるのか」

(-_-) 「や、ないけどさ。ないけど……その、なんていうの?」




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227 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/02/20(月) 00:36:39 ID:FQpKjYxA0







(-_-) 「もうちょっとカッコよく〆られない?」






( ゚д゚) 「無理だろ」








 オタクはただただ面倒臭い。








                                 〜おわり〜



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