(゚、゚トソンムジナのようですミセ*゚ー゚)リ

Part21

390 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:01:31 ID:vmDd.ruE0

        Place: 草咲市 南梨町 字 節穴前 15-9 メゾンフシアナ 205号室
    ○
        Cast:都村トソン 都村ミセリ

   ──────────────────────────────────

391 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:02:28 ID:vmDd.ruE0

 慌てて帰った部屋に、ミセリの姿は無かった。
 靴が一組と、彼女が好んで着るブラウスとそれに似合うウィッグも無くなっている。
 テーブルの上には、メモを破った置手紙があった。



 『トソンへ。日用品の買い出しに行ってくる。昼までには帰る。』


 間違いなくミセリの字で、走り書きされていた。
 彼女のことだ、一度家を出ようとしてから思い出し、慌てて書いたのだろう。
 電話をかけてみる。
 無機質な電子音が、ベッドの枕元から鳴り響いた。

(゚、゚;トソン 「……携帯電話を、携帯しなくてどうするんですか……!」

 電話を切って、一旦ベッドに座る。
 落ち着こう。
 ミセリがいつの間にか部屋を空けるなんていつものことだ。
 置手紙をしていっただけいつもよりもマシとすら思える。

 いや。

(゚、゚;トソン (……普段しないことを、なんでこういう時に限ってするんです)

 余計に不安が煽られる。
 大学のカフェで聞いた、殺された女の吸血鬼の話。
 それがミセリである可能性は低いと思う。ミセリは、そう簡単に殺されるような吸血鬼では無い。

 でも、頭をよぎるのはいくらか前の、血を失い、仮死寸前まで消耗した彼女の姿。

392 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:03:12 ID:vmDd.ruE0

 最近のミセリは、常に何かをしていた。
 そしてそれは、少なくとも今のミセリの手には余ることなのだ。

 だから、もしかしたら。
 あの時のような消耗状態で、杭持ちに出会ったとしたら。


(‐、‐;トソン (……物事を悪く考えすぎるのは、私の悪い癖ですね)


 大丈夫だ。
 自分に言い聞かせる。
 彼女のことだから、こっちが心配でどうしようも無くなっていても、ひょっこりと帰ってくるのだ。


(‐、‐;トソン (………………)


 無理だった。
 もとより、不安症の妄想癖だ。
 悪い想像ばかりが頭を過って仕方がない。

 だんだん苛立ちが混じって来た。
 部屋にこもった熱が体を汗ばませて、頭の中がとにかく知っちゃかめっちゃかだ。

393 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:04:41 ID:vmDd.ruE0

 するべきことが分からなくなって、とりあえずテレビをつけた。
 興味の湧かない情報番組を三十秒だけ見て、もしかしたらと思いチャンネルを回した。
 名の売れた吸血鬼ならば、討伐された際に報道されてもおかしくは無い。

 十秒程度ずつ見て、チャンネルを切り替える。
 どの局も、ゴシップまがいの番組ばかりだ。
 時間も時間なので地方局の放送などなく、私が知りたい情報は得られなかった。

(゚、゚;トソン 「……」

 テレビを消し、意味も無く部屋を見回す。
 いつも通り。特に変哲は無い。
 もう一度見渡す。自分でも何を探そうとしているのか分からない。
 部屋の中にミセリが居ないのはわかり切っている。

(゚、゚;トソン 「…………暑い」

 冷房のスイッチを入れる。
 小さい唸りと共に口が開いて、風が出始める。

(゚、゚;トソン 「……」

 汗が滲む。
 胸の内に、何ともしがたい不安がじわじわと染みて広がる。
 少しでも体から追い出したくて、ため息を吐いてみるけれど、憂鬱はむしろ濃く重くなる。

394 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:05:37 ID:vmDd.ruE0

 頭の中を何度も、学校で聴いた見知らぬ誰か達の言葉が回った。
 女性の吸血鬼と言うのは、この街にどれくらいいるのだろう。
 ミセリは一体、何分の一の存在なのだろう。

(‐、‐;トソン

 もし、ミセリが居なくなったら、私はどうするのだろう。
 あり得ない話じゃなかったのだ。元々。
 ミセリがふらりといなくなってしまうことも、杭持ちに殺されてしまうことも。

 私が考えなかっただけだ。
 考えたくなかっただけだ。
 緩やかに、生ぬるく流れ日常に、甘えきっていただけだ。

 きっと、この部屋には残られないだろう。
 もしかしたら、私も吸血鬼の関係者として摘発され、今までのようには生活できないかもしれない。
 なんにしても、両親は今度こそ私を見捨てるだろう。
 
 でも。

 そんなことよりも、それももちろん嫌で不安で怖いけれど。

(‐、‐;トソン
 
 ミセリが居なくなってしまったことを想像するだけで、頭と胸の奥が冷たくなる。
 目が暗くなって、思考が鈍って、どうしようも無くなってしまう。
 私は、いつの間に、こんなにも、彼女に傾倒していたのだろうか。

395 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:06:57 ID:vmDd.ruE0

 いてもたってもいられず、立ち上がった。
 探しに行こう。
 日用品と言うのだから、ミセリが買いに行く範囲はたかが知れている。
 携帯電話を置いて行ったことも含めてそう遠出するつもりはないはずだ。

 気まぐれで奔放で後先を考えない彼女のことなので、思い付きで意味不明なところへ向かった可能性もあるけれど。
 このまま部屋の中で、暑さに蒸され不安に息苦しくなっているよりはマシなはずだ。

 ミセリの携帯電話を、テーブルの上に置きなおす。
 帰るかどうか迷った時に電話すれば、ミセリが家にいるかどうかの確認が取れる。

(゚、゚;トソン (……あり得るのは、すぐそこのコンビニ……)

 帽子を鞄に突っ込み、玄関へ。
 鍵を閉め忘れていたことを思い出しながら、ドアノブに手を伸ばす。

 その瞬間に、ドアノブから金属音が響く。
 鍵を差し込む音。
 ガチャガチャと、一度回して錠を掛け、もう一度回転して扉が開く。

 小さく、本当に小さく「あれ、閉め忘れてたっけ」という呟きが聞こえた。

ミセ*゚ー゚)リ 「お、トソン帰ってたんだ。お帰り。言ってたより随分早いじゃんか」

 開いたドアの向こうにいたのは、長い黒髪のウィッグをつけたミセリ。
 何の変哲も無く、買い物袋をブラさげて、部屋に上がる。

ミセ*゚ー゚)リ 「あんた心配しそうだから、先に戻ってくるつもりだったんだけどな。なんかあった?」

(゚、゚トソン

396 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:07:45 ID:vmDd.ruE0

 「あちー」とウィッグを外しながら、ミセリが奥へ。
 私は咄嗟にその腕を掴む。
 腰が抜けそうだった。自分でも驚くくらい安堵していた。

ミセ*゚ー゚)リ 「どした?」

 ミセリの顔を見た瞬間に、泣き出しそうだった。
 
ミセ*゚ー゚)リ 「トソン?」

( 、 トソン 「なんでも、ありません」

 しばしの沈黙。
 ミセリを掴んでいる手が震えていることに気づく。
 なにがなんだか分からない。
 自分がこんなにも怯えて、安心していることが、ただただ戸惑いだった。

ミセ*゚ー゚)リ 「なんか、あったのか?」

 がさりと音がして買い物袋が床に。
 振り返りながら、ミセリに抱き寄せられる。
 事情を答えようとして、まともに息が吸えなくて。
 ミセリの着るワンピースの脇を握って胸に顔を押し付ける。

ミセ* ー )リ 「なんだよ、そんなに心配だったのか」

 子供を落ち着かせるような手つきだった。
 ミセリの手が、私の背中を撫でる。
 情けなくなって、余計に息が乱れた。
 みっともなくて、脆弱すぎる自分に、嫌気がさす。

397 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:10:30 ID:vmDd.ruE0

ミセ* ー )リ 「ごめんな、置手紙したから平気かと思ったんだけど」

 静かな声。
 少しかすれた響きが、体の中の巡り廻る。

ミセ* ー )リ 「そらそうだよな、私の言葉なんか、信用できるわけないか」

 首を振る。
 ミセリが悪いのではない。

( 、 トソン 「……学校で」

ミセ* ー )リ 「ん?」

( 、 トソン 「学校で、女性の吸血鬼が殺されていた、という噂を聞いたんです」

ミセ* ー )リ 「……それが、私だと思った?」

( 、 トソン 「…………だって、ミセリ、最近なんだか、様子が変でしたし」

ミセ* ー )リ 「……そうだな。ごめん」

( 、 トソン 「……いえ。帰ってきだけで、良いです」

ミセ* ー )リ 「…………」

 ミセリが腕の力を緩め、体を離す。
 くっついたままでいようとしたけれど、体を撫で這ったミセリの手に肩を抑えられる。
 意図が読めずに顔を上げると、唇が重なった。

398 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:12:33 ID:vmDd.ruE0

 優しく触れあうだけの口づけ。
 僅かに戸惑って、でもすぐに目を閉じた。br>  ミセリの舌が、私の唇の隙間を撫ぜる。

 背筋が痺れた。
 口の力が緩む。
 滑り込んできた冷たい舌に、自分の舌を合わせる。

 口の中をくすぐり合う。
 ミセリの唾液で、舌が敏感になってゆく。

 絡み合う。
 唾液の水音が直接頭に響いて、体の芯がピリピリと疼く。

 口蓋を撫で上げられて声が漏れた。
 抜けかかっていた腰にさらに力が入らない。
 ミセリに縋りついて堪える。

 ミセリが体を引く。
 舌が離れて、名残惜しかった私は、口を開いて舌を伸ばす。
 唾液の糸が引いた。ミセリは、自分の唇をぺろりと舐める。

ミセ* ー )リ 「トソン、いいよね?」

 耳元でささやかれ、体が震える。
 女性の割に低く出された声が、神経を通じて全身を侵す。

 触れるか触れないかの距離で、唇が首筋を下ってゆく。
 胸元の汗を舐めとられた。喉の奥で、きゅっと、声が出る。

399 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:16:16 ID:vmDd.ruE0

 キャミソールに手が潜り込んできた。
 指の先が、羽毛のようにもどかしく背中を撫でてゆく。
 喉の奥から息が漏れる。

 いつもよりも、頭が痺れるのが早い
 理性が効かなくなってきて、縋りついたまま、ミセリの耳を食む。

ミセ* ー )リ 「ベッド、行く?」

( 、 トソン 「……ここで、してください」

 少しも我慢したくなかった。
 ミセリが熱っぽいため息を漏らして、私の首筋に歯を立てた。
 突き破られる皮膚。
 沁み込む唾液が痛みをぼかして、血が流れ出る感触を心地よさに変える。

 甘い触れ方で、背中を焦らしていた指先に、余裕がなくなってきていた。
 呼吸が荒い。
 まだ、ミセリには何もしていないのに、興奮している。

ミセ*  , )リ 「トソン」

( 、 トソン 「?」

ミセ*  , )リ 「お前、今日妙に可愛いぞ」

 右手で私の履くショートパンツのホックを外しながら、左手の中指を舐るミセリ。
 粘度の高い唾液が指に絡んで、糸を引いた。
 そのまま指は下着に潜り込み、私の中へ。

400 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:17:45 ID:vmDd.ruE0

 少し苦しい。でも痛みは無い。
 まだ硬い肉をよけて、指がより深いところへ。
 内から沁み込む唾液の感覚が、もう何度も味わっているからこそ、下半身の理性を奪ってゆく。

 無理に動かすことなく、指が引き抜かれた。
 唾液に変わって私の中に居た指を、ミセリが見せつけるように舐める。
 何度も舌を絡め、吸い、長し目で私を見た。
 脳まで裸にされるようで、顔を背ける。

 ふふ、と艶のある息が、見えないところで嗤った。
 下着ごと、ショートパンツを下げられる。
 抵抗しない。たぶんもう、待ち望んでいた。
 邪魔になって、途中から自分で脱ぐ。
 足を開いた時に、内腿に感じたのは、汗では無くて。

 視線が絡むまま、再び唇を重ねる。
 唾液で溶けて、舌が混ざり合う。
 ミセリの手が腰へ。尾てい骨を撫でてさらに下へ。

( 、 トソン 「っ?!」

 唾液の付いた指が、後ろの穴へ触れた。
 反射的に身を捩ったのを、抱きしめられて拘束される。
 逃れられない。
 唾液を塗り付け、解すように指が入口を刺激する。

401 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:19:37 ID:vmDd.ruE0

( 、 ;トソン 「そこは、きたな……」

ミセ* ー )リ 「力抜いて。痛いの嫌だろ?」

 口を離して拒否するも、ミセリは有無を言わせない。
 一度戻した指先に、たっぷりと唾液を滴らせ、再び背後へ。

 もう一度拒否することもできたかもしれない。 
 でも、私の体も頭も既に、唾液に、感情の高ぶりに狂わされていた。

( 、 トソン 「っ……ぅ」

 初めての感触だった。
 柔らかい指なのに硬く感じる。
 唾液のせいで痛くは無いけれど、変な心地がして、呼吸が止まって。

 指先が入っているだけなのに、切ないくらいに苦しい。

ミセ* ー )リ 「どう?」

( 、 トソン 「なんか、変な感じで、気持ち悪いです」

 意地悪に笑って、キス。
 体ごと押し付けられて、冷蔵庫に凭れかかる。
 八畳一間の、細い廊下。
 熱と湿気が篭って頭がどんどん正常さを失う。

 もう一方の手が、前に触れた。
 唾液の催淫効果で歯止めが利いていない。
 自分でも驚くほど、先ほどよりも抵抗なく、ミセリの指を受け入れる。
 切ない。もっと先の触れあいを、体が、意志よりも強く求めている。

402 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:21:25 ID:vmDd.ruE0

 ミセリの歯を舌で撫でる。
 犬歯を探り当てて、強く押し付けて横に滑らせた。
 痛みと、自ら感じる血の香り。唾液の中だ、すぐに直ってしまう。
 ミセリが、すぐに私の舌を強く吸った。

 不安や、憂鬱ごと血が吸い出されていくみたいだった。
 私の脳は、チーズかバターのようになって、もう溶け出している。
 胎の中で蠢く指の愛しさが堪らなくて、ミセリの体を抱きしめた。

 私の中身を挟んで、ミセリの両手が触れあおうとする。
 痛みに限りなく近い、快感。
 反射的に歯を食いしばったせいで、自分の舌を噛んでしまう。

( 、 トソン 「ミセリ、それダメ……っ」

ミセ* ー )リ 「コレ?」

 潰される蛙のような声が出た。
 味わったことが無い、こんな感触。
 抵抗したいのに体が言うことを聞かない。

 ずるりと、後ろの指が引き抜かれた。
 力が入っていたせいで、内側が引きずられる。
 ほんの一瞬だけ、心地よい。
 完全に指が抜かれても、穴が元に戻らないようなもどかしさがあって、物足りなくも感じる。

( 、 トソン 「指、汚い」

ミセ* ー )リ 「私にとっちゃ、全然汚くないんだけど」

403 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:24:29 ID:vmDd.ruE0

 右手も私の中から出て行って、私を抱え上げる。
 流しに座らされた。
 右手で抱き留められ、舌を貪り合って。
 左手は蛇口を捻って、私で汚れた指先を洗っている。

 私は腰掛けた姿勢のまま、落ちないように足でミセリの腰を挟む。
 
 左手が水を払って、背中から服の中へ。
 脇の下を撫でて、胸に触れる。
 優しい手つきで掴まれる。
 自分で分かる、痛いほど硬くなった先端。
 周囲を優しく揉まれ、さすられ、声になり切らない息が、合わさった口の隙間から抜ける。

 窮屈で、煩わしいと感じたのと同時にミセリが離れる。
 どちらのかなんてわからなくなった液体が蜘蛛の糸のように伸びて。
 
 向かい合う。足で抱えたまま、右手を腰に回したまま、互いの顔を見ていた。
 ミセリが笑う。
 吸血鬼らしくない上気した頬で、少女のようでも少年のようでも、妖艶な女性でもある綺麗な笑顔。
 のぼせてしまう。触れあう以外、まじりあう以外、どうでも良くなってしまう。

 余りに煩わしくて、キャミソールを脱いだ。
 下着もすぐに外して床に落とす。
 ミセリもワンピースを脱いだ。
 胸は下着をつけていなかったようで、既に露わになっている。

 ミセリの両手が、私の胸を挟むように触れた。
 掌で捏ねるように、先端だけは避けて刺激される。
 もっと触れてほしいけれど、このまま温いふれあいのままで脳を焼かれていたい。

404 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:28:46 ID:vmDd.ruE0

 ミセリの指が、胸の先を、同時に摘まんだ。
 急に変わった強い刺激に体が跳ねて、バランスを崩してミセリの肩を掴む。
 優しい愛撫から、激しく引っ張られ、痛いのに、甘さを込めた息を吐いてしまう。

 ミセリの頬が頬に触れた。
 擦り付け合う。匂いを移しあうように、愛しさを表すような頬ずり。
 少し油断したところで、耳に息を吹きかけられた。
 体が強張る。そのまま、ひだから穴まで舐められて、堪える余裕なく声が出た。

 執拗に、胸と耳を責められる。
 快感で痺れて、足の力が抜けそうだ。
 不安定な場所の、ハラハラで、快感に身を委ね切ることが出来ず。
 もどかしくて、欲求が焦れて、もっと、もっと欲しくなる。

( 、 トソン 「ミセリ、ミセリ」

ミセ* ー )リ 「ん?」

( 、 トソン 「触れて、ください。もう、切なくて」

ミセ* ー )リ 「…………いいよ」

 流しから降ろされて、立たされる。
 自分で思っていたより足に力が入らなく、尻餅を付きそうになったのを、ミセリが支えてくれた。

 ミセリが屈み、私の右足を持ち上げる。
 左足は腕で抱え支えられる。
 愛液に塗れた足の付け根が露わになった。
 見られている。でも、恥じらいよりも、触れてほしい思いが勝った。

405 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/08/24(日) 15:32:48 ID:vmDd.ruE0
 ここがアパートの一室であることも、もう関係が無かった。
 声が上がる。性器の硬いところにミセリが吸い付く。
 電流。皮膚が毛羽立つ。私の体からミセリ以外の感覚が吹き飛ばされた。
 両手でミセリの頭を抱える。

 さらに強く吸わる。取れてしまうそうなほどだ。
 充血して過敏になったそこに舌が触れる。
 悲鳴が喉を裂いて出た。脳みその中にある大事な糸が残らず引き千切られていく。

 束ねた二本の指が、私の中に入ってくる。
 刺激が二重になる。鋭い刺激の隙間を埋めるように粘度の高い快感が頭を埋め尽くす。
 欠けていた部分が、丁度良く満たされた、充足感。

 涎がだらしなく零れる、
 吸血鬼の唾液でこの上なく敏感になった体は、もう私のものでは無くなっている。
 体が痙攣するのに伴って、シンクがギシギシと軋みを立てた。

 空いている左手の指が、口に変わって肉の芽を摘まむ。
 場所を譲った口が、挿入を繰り返す指に合わさって、入口を舐め嬲る。
 指がお腹の裏側を撫で上げて、掻きだした愛液を、舌が啜りとる。

 指先が、私の弱いところを執拗に捏ねる。引っ掻く。舌を入れて舐めまわす。
 やめてほしいけれど、やめてほしくない。
 永遠に続けてほしいけれど、死んでしまうかもしれないくらいに頭が白くなる

 しばらく、一体どれくらい貪られたか分からない。
 何度、脳幹が焼け飛んだかも分からない。
 廊下はサウナのように暑く、私とミセリは互いの汗にまみれきっている。

 私は立っていることができず、床に倒れ込んで。
 ミセリは私の足の付け根を、優しく、しつこく、舐り続けた。
 お腹の中の栓が緩んで弛んで、汚い水音と共に、愛液が零れ出る。
 体が痙攣する。ミセリの手が止まってゆっくりと引き抜かれた。
 ミセリは、死体のような私の体を力強く体を抱き抱える。

406 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/24(日) 15:34:16 ID:vmDd.ruE0

ミセ* ー )リ 「指がふやけちゃった」

( 、 トソン 「そう言う、こと……」

 冷たい床にへたり込みながら、舌を絡める。
 心地よい気だるさ。
 根拠のない安心感に満たされて、瞼が重くなる。

ミセ* ー )リ 「なあ、まだする?していい?」

( 、 トソン 「……好きなだけ、どうぞ」

 ミセリが私を抱え上げ、ベッドへ。
 押し倒すように乗せられ、ミセリは押入れの方へ。
 散々弄ばれた名残で、ぼんやりとミセリを待っていると、さほどせずに戻ってきた。

ミセ* ー )リ 「……じゃ、いくね」

( 、 ;トソン 「…………なんですか、それ」

ミセ* ー )リ 「通販で買った」

 ミセリが舌を這わせて居たのは、男性のそれを模した、何かだった。
 当然ながら指よりも太く、腕ほどに長く、凶悪さがにじみ出ている。
 ベッド膝を付き、ミセリが私の足を開く。抵抗は、したものの無駄だった。

( 、 ;トソン 「ちょ、ちょっと、ミセリ?」

ミセ* ー )リ 「………好きなだけって、言ったもんね」

( 、 ;トソン 「待ってください、そんなの入ら―――」

407 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/24(日) 15:35:04 ID:vmDd.ruE0

 時間で、二時間弱程度だろうか。
 気付かぬ内にカーテンの隙間から覗く陽光がさらに強くなっている。

 乱れに乱れたベッドの上で、私とミセリは抱き合っていた。
 ミセリが腕を出してそこに私が頭を乗せて、抱えられているようなものなのだけれど。
 シーツが湿気ている。替えはあるけれど、好感する気力なんてなかった。

 冷房の吐き出す空気の冷たさが心地いい。
 熱を持って静まらない体が、少しだけ癒される。

ミセ* ー )リ 「ごめんな、無茶しすぎた……?」

( 、 トソン 「吸血鬼のあなたに、本気出されたら、死んじゃいますよ」

ミセ* ー )リ 「……今日は、ダメだ。がまんが利かなかった」

( 、 トソン 「……」

ミセ* ー )リ 「…………あの時、出会ったのが、トソンで良かったよ」

( 、 トソン 「……」

 応えるべき言葉が思い浮かばなくて、とにかく触れていたくて足を絡める。

 ダメなのは、私も同じだった。
 一線を引いたつもりでミセリと過ごしてきていた。
 体を許しても、所詮人と吸血鬼なのだから、心を完全に預けるわけにはいかないと。

 けれど。

408 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/24(日) 15:36:51 ID:vmDd.ruE0

( 、 トソン 「……今日、本当に貴方が死んでしまったかもしれないと思ったら」

ミセ* ー )リ 「うん」

( 、 トソン 「他の何を失うより怖ろしいことだということに、気付いてしまいました」

ミセ* ー )リ 「……」

( 、 トソン 「おかしいと思いますよね。女同士で、人と吸血鬼で」

ミセ* ー )リ 「ああ、おかしいな。おかしいけど」

( 、 トソン

ミセ* ー )リ 「悪くない」

 ミセリが、私の頭を抱きしめる。
 胸が顔を圧迫して苦しい。苦しいけど、このままが良い。

ミセ* ー )リ 「正直なことを言うよ。初めてあんたに会った時、私はあんたに催眠術をかけた」

( 、 トソン 「……そうだろうとは思ってました」

ミセ* ー )リ 「血を貰ってあとは解放するつもりだったんだ、でも」

 家出して、何も持たず行くあても無く、途方に暮れていた私をミセリは憐れんだ。
 憐れんで、連れ帰った。血を代償に私に居場所をくれた。

409 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/24(日) 15:37:56 ID:vmDd.ruE0

ミセ* ー )リ 「だから、あんたが私に好意を持っていても、それは暗示のせいだった、はずだったんだ」

( 、 トソン 「違いますよ」

ミセ* ー )リ 「うん」

( 、 トソン 「絶対に違います」

ミセ* ー )リ 「…………おかげで、あんたを愛しいとしか思えなくなった」

 絆されていく。
 互いに超えるべきでないと分かっていた線が、気付いたら後ろにあった。
 もうだめだ。自覚してしまったら、自認してしまったら、きっともう戻れない。

 吸血鬼の時間は悠久で、人の時間はそれに比べれば酷く短い。
 交わったところで、いつかずれてすれ違って、終わってしまうと分かっている。
 でも、だからと言って触れあったことを無かったことにはできない。
 希望の無い沼の深みでも構わないんだ。どうせ、望む未来なんて、そもそもないんだから。

ミセ* ー )リ 「…………後悔するなよ」

( 、 トソン 「さっき散々したので、大丈夫かと」

 静寂。夏なのに、蝉の声すらない。
 時計の針の音が聞こえた。カチカチと、時間を刻んでいる。

( 、 トソン 「……だから、教えてください。最近躍起になっている、何かについて」

ミセ*  , )リ 「…………ああ」

410 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/08/24(日) 15:40:03 ID:vmDd.ruE0

 おわり


 三行


 真
 昼
 間から

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