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479 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:32:28 ID:/3Wqmaig0
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(´<_` )「妹者、妹者」
l从-∀-ノ!リ人゜「んにゃ……」
(´<_` )「朝だぞ妹者。そろそろ起きなきゃ」
l从-∀-ノ!リ人「んー」
眠そうな声で返事をして、もそりと布団から上体を起こす妹者。
体は起きても、その寝惚けまなこは閉じられたまま。
瞼の裏では未だ、心地良い夢の続きを見ているのかもしれない。
l从-∀-ノ!リ人「あふ……」
(´<_` )「お、起きれたな。偉い偉い」
あちこち寝癖のはねた髪を、そっと撫でつける。
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481 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:34:15 ID:/3Wqmaig0
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(´<_` )「顔洗っておいで。もうすぐ朝ご飯できるってさ。
今日は兄者とお出かけするんだろ?支度しなくちゃ」
l从-∀-ノ!リ人「んー、わかったのじゃ、ちっちゃいあに……」
(´<_` )
l从-∀・ノ!リ人「……む?むむむ!」
(´<_` )「?どうした?妹者」
l从・∀・ノ!リ人 ハッ
l从・∀・ノ!リ人「き、きさまはっ!?」
(´<_` )「おいおい、貴様て」
びしっ。
鋭くも、どこか可愛らしい効果音を伴って、俺の眼前に一本の指が突き立てられた。
寝癖髪をピンと跳ねさせた水玉パジャマの名探偵が、その姿勢のまま決めのセリフを言い放つ。
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482 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:35:16 ID:/3Wqmaig0
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m9l从・∀・ノ!リ人「きさまはっ……!
ちっちゃい兄者のフリしたおっきい兄者じゃな!?」バーン!
(´<_` )
(´<_` )「……ふっ」
( <_ )「ふっふっふ……」
マジ天使幼女探偵に正体を暴かれた犯人の俺は
動揺することもなく不敵な笑みを浮かべ……
ヽ(*´_ゝ`)ノ「あったりー!!」
今まで保っていたぱっとしないフェイクフェイスを、後光差すイケメンフェイスへと変貌させた!
l从・∀・*ノ!リ人「やっぱり!おっきい兄者なのじゃー!」
(*´_ゝ`)「おはよー妹者ーっ」
l从・∀・*ノ!リ人「おは兄者ー!」
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483 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:36:21 ID:/3Wqmaig0
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こうして俺の待ちに待った、妹者との楽しい一日が始まったのだった。
( ^ω^)マインドB!のようです 9.5話
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484 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:37:39 ID:/3Wqmaig0
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(*´_ゝ`)「いやーやっぱり名探偵妹者には敵わないなー」
l从・∀・ノ!リ人「ふっふー。寝ぼけ妹者だからってあなどってもらっちゃ困るのじゃ。
当てっこは妹者の十八番なのじゃ!」
(*´_ゝ`)「流石だ妹者!それでこそ妹者!そんな妹者が大好きだー!!」
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l从・∀・ノ!リ人「しかし寝起きにそのテンションは
懐深い流石の妹者でも若干ざらりとくるものがあるのじゃ……」
(;´_ゝ`)「おおぅ急激な温度差!どこかに何かがグサリと刺さったぞ今!」
l从・∀・ノ!リ人「大体、妹者が気づかないフリしてそのままスルーしたりしたら
後でこっそり泣いちゃうんだから、よせばいいのにのぅ」
(;´_ゝ`)「へぁっ!?なっななっ泣いてなんか……ないんじゃからね!!?」
l从・∀・ノ!リ人「あからさまな動揺っぷりが逆にすがすがしいのじゃー」
( ;_ゝ;)「てか、気づかないフリとかそんな殺し技やめてくれよ妹者ー
どこでそんな技覚えたんだ、入れ知恵者はどいつだ!
姉者か?姉者だな?あの女狐ッ!」
l从・∀・ノ!リ人「妹者オリジナルなのじゃ。ちなみに今の女狐発言は上申させてもらうのじゃ」
( ´_ゝ`)「ぅゎょぅι゛ょっょぃ」
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485 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:38:56 ID:/3Wqmaig0
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l从・∀・ノ!リ人「大体、姉者や父者にはいくら間違われても平気なくせに……
おっきい兄者の変態思考ロジックは、純な妹者には理解不能なのじゃ!」
(*´_ゝ`)「だって妹者に当ててもらうのが一番嬉しいんだもーん。 もはや生き甲斐?」
l从・∀・;ノ!リ人「う、うわあ……だんだん可哀想な人に思えてきたのじゃ……」
(;´_ゝ`)「や、やめてー実の兄者をそんな一歩引いた目で見ないでー?」
ヽ(*´_ゝ`)ノ「ま、ま、それより!遊びにいこう妹者!」
l从・∀・ノ!リ人「朝ご飯食べてからなのじゃよー」
それもそうだ。腹が減ってはなんとやら。
2人で布団を丸め、その場で正座し妹者の準備が終わるのを待とうと思ったが
レディのお着替えタイムなのじゃと、しっしと部屋を追い出されてしまった。
仕方が無いので、そのままその足でリビングへと向かう。
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486 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:39:48 ID:/3Wqmaig0
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( ´_ゝ`)ノ「姉者おはよー!」
∬´_ゝ`)「おはよ。兄者」
リビングのテーブルについている、先ほど女狐呼ばわりした流石家長女に挨拶する。
日曜日なので、ゆったりしたルームウェアを着込んでコーヒーを飲んでいる姉者。
妹者には後でクレープでも献上して、先ほどの失言については忘れてもらえればいいのだが。
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「おはよう兄者」
( ´_ゝ`)「あ、おは……」
左向かいの席、広げられた新聞紙の向こうから名前を呼ばれ振り向く。
持っていた新聞を卓上に降ろし、そこからこちらへ顔を覗かせた
このどことなく幸の薄そうな顔をしたハg(ry おっちゃんは……
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487 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:40:50 ID:/3Wqmaig0
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( ´_ゝ`)
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)
(;´_ゝ`)
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)
(;´_ゝ`)「………??」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「ちょwwwwwwwwwwww」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)ノシ「わ、私私!パパだよ父者だよー」
∬;´_ゝ`)「こら兄者、父者いじめないの。可哀想でしょ」
姉者の言う通り、流石に可哀想なので冗談はこのくらいにしておく。
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488 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:42:46 ID:/3Wqmaig0
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( ´_ゝ`)「うそうそ、冗談だってwwwwおはよ、父者」
彡⌒ミ
(;´_ゝ`)「うう、その冗談やめて本気で凹むから……」
そりゃあ、自分の息子に顔忘れられてたら凹むなんてものじゃ済まないだろう。
まぁ、半分くらいは冗談じゃなく、本気で時々存在忘れそうになるんだけど……。
だってこの人本当に影薄いんだもん……頭も薄いんだもん……。
それでも一応この家の大黒柱、父者とも挨拶を済ませ
椅子をひいて、姉者の隣の席に座る。俺と弟者の席はここ。
台所からお味噌汁の良い匂いがする。
トントンと葱を刻み、みんなの朝食を作っているのは、我が流石家のドン・母者だ。
そして、忘れちゃいけないマイブラザー弟者と、マイエンジェル妹者。
これが俺の家族、流石家の面々である。
もうすぐ妹者も起きてきて、家族揃って朝ご飯。みんなで食べるのは久しぶりだ。
弟者は寝てるけど、その分俺が食べるから、いるってことにしといて。
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489 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:43:55 ID:/3Wqmaig0
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(*´_ゝ`)「「いただきまーす!」」l从・∀・*ノ!リ人
妹者と会える月に三回の機会、俺はこうしてリビングで食卓につくことを許される。
だって家族揃ってご飯を食べるということは
どうしたって妹者と顔を会わせることになってしまうからだ。
それはルール違反で、してはいけないことだと母者や弟者、ブーン先生と約束している。
誰も何も言わなくたって、この家の人達はみんな良い人なので
その事に対して罪悪感じみた何かを感じているのが、何となく伝わってしまうのだが
仲間外れにされたような疎外感なんてこれっぽっちも抱かない。もうとっくに慣れたことだ。
ちっとも苦ではないしイジけてなんかいないよ。いやほんとにほんとに。
それでも俺に申し訳なく感じるようなら、空いてる席に可愛いテディベアでも置いて
それに「兄者」って書いた紙貼って、俺もいるってことにしといて。
なんてな。あーやっぱり、家族で食べる飯は上手い!
朝食が終われば妹者とお出かけだ。
最近クラスであった面白い話をしたり、今日一日の予定を妹者と相談したりして
みんなで過ごす朝の時間は楽しく過ぎていった。
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490 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:45:28 ID:/3Wqmaig0
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+ + + + + + + + + + + +
〜ニューソク町繁華街、映画館前〜
(*´_ゝ`)「『マゾか★マジか』面白かったなー!妹者」
l从・∀・*ノ!リ人「面白かったのじゃ!ほむほむちゃん最強にかわいいのじゃ!」
(*´_ゝ`)「お嬢ちゃんわかってるねぇ。それでこそ俺の妹!」
(*´_ゝ`)「よーしじゃ、次どこ行くー?妹者」
l从・∀・ノ!リ人「どこでもいいのじゃ?」
(*´_ゝ`)「いいよいいよ。妹者が決めて」
l从・∀・ノ!リ人「んー、えっとじゃあね、あのね……」
(*´_ゝ`)「うんうん」
l从・∀・ノ!リ人「……ラウンジ公園行きたいのじゃ、おっきい兄者!」
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491 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:46:24 ID:/3Wqmaig0
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( ´_ゝ`)「おっ、公園か?
いいけど、今日は沢山お小遣い持ってきたから
ゲーセンでも買い物でも、何処でも妹者の好きなとこ行っていいんだぞ?」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃ!妹者、公園でおっきい兄者と遊びたいのじゃ!」
(*´_ゝ`)「……!そかそか!
よーし、じゃあ行くか−!」
l从・∀・*ノ!リ人「れっつごー!」
妹者と手を繋いで、久しぶりに、近所の公園へと向かった。
俺が子供の頃から変わっていない、妹者ともよく遊んだ懐かしい公園だ。
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492 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:47:46 ID:/3Wqmaig0
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『ちょっ、おい、待てよ弟者ー』
『今日の弟者ははっちゃけてるなぁ』
『じゃあまた明日なー、弟者!またな!』
『こらっ、弟者!あんたまた体中泥だらけにして!』
『あら弟者、母者に怒られたの?』
『ただいま弟者。ほーら、お土産あるぞー』
『………』
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493 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:48:38 ID:/3Wqmaig0
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『……妹者!ただいま!』
『わーい、あにじゃじゃ!あそんで!』
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494 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:49:51 ID:/3Wqmaig0
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――――誰も。
俺のことを気づいてくれる人は誰もいなかったけれど。
それでもあの頃は、ただ1人 大好きな妹者さえ
自分が”兄者”であると分かってくれていたなら、俺はそれで良かったんだ。
世界には俺と妹者の2人だけで、子供の俺はそれで満足だった。
あの頃はな。
………でも今は、世界に2人だけじゃちょっと寂しいかなぁ。
俺を“兄者”と呼んでくれる人が、こんなに沢山増えたから。
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495 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:50:37 ID:/3Wqmaig0
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+ + + + + + + + + + + +
l从‐∀‐ノ!リ人゜「ふぁ……」
( ´_ゝ`)「いっぱい遊んで疲れたなー。
お風呂も入ったし、そろそろ寝よっか」
l从‐∀‐ノ!リ人「んー」
半分寝かけている妹者を、部屋の前で降ろす。
そろそろお別れの時間だ。
楽しい時間はあっという間で、名残り惜しいが仕方が無い。
俺はそっと扉を開けて、妹者を部屋の中へ入れた。
( ´_ゝ`)「じゃあ、おやすみ。妹者」
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496 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:51:26 ID:/3Wqmaig0
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l从・∀・ノ!リ人「……、おっきい兄者!」
( ´_ゝ`)「ん?」
l从*・∀・ノ!リ人「今日は、おっきい兄者と遊べて
とってもとっても、とーっても、楽しかったのじゃ!」
(*´_ゝ`)「……おう!俺も楽しかったぞ妹者ー!」
l从・∀・ノ!リ人「それじゃ、おやすみなさいなのじゃ。おっきい兄者」
(*´_ゝ`)「おやすみのちゅっちゅー」
l从・∀・ノ!リ人「キモいのじゃ!良い夢見ろよ!」
バタン
(*´_ゝ`)「ぶべっ」
漢らしい捨てセリフと共に勢いよく閉じられた、木製の扉に熱いキスをかます。
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497 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:52:44 ID:/3Wqmaig0
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(*´_ゝ`)「妹者も良い夢見ろよー」
さて。じゃあ、俺もそろそろ眠ろうかな。
明日学校で、ブーン先生達に今日のことを話すのが楽しみだ。
妹者の部屋の前。
スマートフォンを開いて時間と画面を確認したあと、俺は心の内側に意識を向けた。
( ´_ゝ`)「……おやすみ、妹者」
( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`)
( _ゝ)
( <_ )
(´<_` )
(´<_` )「……」
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498 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:54:06 ID:/3Wqmaig0
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(´<_` )「い」
(´<_`;)「……い、あいだっ!いたたた……」
(´<_`;)「……あー?」
(´<_`;)「え、なにこれ?なんであちこち打ち身やすり傷だらけなんだよ……体痛いし。
一体今日一日何やってたんだ。映画観てモール行くんじゃなかったのか?」
(´<_`;)「ったく……。
……ん?」
(´<_` )
(´<_` )「……ま、とにかく楽しくは過ごせたみたいだな」
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499 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/02/08(日) 16:55:33 ID:/3Wqmaig0
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【(*´_ゝ`)vvl从・∀・*ノ!リ人】
右手に握られていた携帯機器を掲げ、何気なく開いてみたら
そこには画面一杯の、満開の笑顔が2つ並んでいた。
揃ってピースをきめる2人の人物のうち、片方は確かに自分である筈なのに
その幸せな記念写真に映っている笑顔は紛れも無く、俺ではなく兄者のものだった。
今は意識の奥で眠っている兄の、自慢気な声が聞こえた気さえして、思わず笑みが零れる。
扉の向こうの妹者に声無くおやすみを言い、俺は自分の部屋へと向かった。