( ^ω^)マインドB!のようです

20話

60 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:04:32 ID:4uKayUrE0

Σ(´゚'ω'゚`)「ぅひィッ!!」ビクゥ‼

Σ(;´_ゝ`)「ひぃ!?」

突如、目の前のシャキンが物凄い顔になって
今まで聞いたことが無いような奇声をあげた。

( l v l)ノ「おっ、シャキン!また明日なー」

今しがた3-Cの教室から出てきた、シャキンのクラスメイト。
彼が何気なくこちらに手を振り、声をかけてきた瞬間だった。

大袈裟な動作で勢いよく両肩が跳ねあがり、その顔は電でも直撃したかのように引き攣って
普段の彼の固く引き締まった表情と、美男子ぶりは一瞬にして地に堕とされたのだった。

ぎょっとして後退りする兄者と、その物凄い形相のまま小刻みに痙攣し始めるシャキン。

61 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:05:25 ID:4uKayUrE0


:(´゚'ω'゚`):


(´゚ω゚`)


(`・ω・´)


―――が。それは実際には一瞬
声をかけられてからほんの2、3秒くらいの短い時間だった。

原型を無くしていた顔が、まるで、丸めた紙を元の状態に戻すかのように引き伸ばされる。
至近距離でそれを見る兄者には、その不気味な光景がスローモーションのように映った。

(`・ω・´)

(`^ω^´) ニコォ

Σ(;゚_ゝ゚)「!?」ゾワワッ

全身の肌が粟立つのを感じ、反射的にさらに距離を取る兄者。
不意に体ごと視線を逸らすと、級友に向けてシャキンは陽気に手を振った。

62 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:06:11 ID:4uKayUrE0

(`^ω^´)ノ「ああ、またな!明日は遅刻するんじゃないぞ、宗男!」

( l v l)ノ「わかってるってーwwww」

(;゚_ゝ゚)(……な)

(;゚_ゝ゚)(なにこれ怖い!!!)

僅か数秒の間に目の前で起きた怪現象を、彼は忘れはしないだろう。

63 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:07:01 ID:4uKayUrE0

(;´_ゝ`)「………あの」

(`^ω^´)「うん?」

腰に手をあて、下校するクラスメイト達の後姿をにこやかに見送るシャキンに
寒気だった感覚から幾分解放された兄者は恐る恐る声を掛けた。

(;´_ゝ`)「シャキ兄、今日……どっか具合悪いの?」

(`^ω^´)「え?いいや?絶好調だよ」

(;´_ゝ`)「む、無理しなくていいって。ごめん気づかなくて。
      風邪かなんかなら、俺、今日は出直すからさ。
      シャキ兄も……か、帰って休んだら」

(`^ω^´)「やだなぁ、風邪なんてひいてないよ」

(;´_ゝ`)「じゃあどっかに頭ぶつけ―――」

(`^ω^´)「だって、すごく気分が良いんだもん!
      シャキンの間はね、ほんと、最高の気分だよ」

(;´_ゝ`)「へ?」

64 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:08:03 ID:4uKayUrE0
(`^ω^´)「ねぇ、今の見た?シャキンには友達が沢山いるんだよ。
      クラスのみんなから慕われているんだ。みんな頼りにしてくれる」

(;´_ゝ`)「え……、は?」

(`^ω^´)「……あれ。まだ理解できない?
      悲しいな、同じ特別クラスに通う仲だっていうのに……」

そう言うと、それまでのわざとらしい笑顔と態度を不意に消して
急に、自信を失ったように彼の眉尻が下がった。寂しげな溜め息が漏れる。

(´・ω・`)「まぁ、仕方ないけど。ボクのことなんて、誰も気づく訳ないよね」

(;´_ゝ`)「……?」

その表情や聞き取りづらい喋り方、そして、どこか存在が薄くなったような雰囲気。
それはまるで、いつも堂々とした態度でエネルギーに満ち溢れたシャキンとは正反対で
普段親しく接している彼とは、まるで別人のように見えた。

そう、まるで別の人間のよう―――

兄者はハッとして目の前の人物を見た。

65 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:09:06 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「あ!えっ、も……もしかして」

(´・ω・`)

(;´_ゝ`)σ「もしかして……ショ」

同級生A「あ、シャキン!また明日なー!」
同級生B「シャキン君、バイバーイ」

Σ(´゚'ω'゚`)「ぅぎぃッ!!」ビグゥ‼

Σ(;゚_ゝ゚)「うあああ!!」

(´゚'ω'゚`)

(`・ω・´)

(`^ω^´)ノ「ああ、また明日!学校で会おう!」

(;゚_ゝ゚)

(;゚_ゝ゚)(この人なんなのお!!?)

(`^ω^´)ノシ「さよならー」

67 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:11:36 ID:4uKayUrE0
(`^ω^´)「……兄者君」

(;゚_ゝ゚)「はいっ?」

シャキン―――否、ショボンがゆっくりと振り返る。
笑顔が怖い。名指しされた兄者はびくりと肩を跳ねさせた。

(`^ω^´)「あのさ……場所を移して話さない?」

(;゚_ゝ゚)「へ?」

(`^ω^´)「だって、ここ……ちょっと、ね?」

ね?と言われても、何が言いたいのか分からない。

(;´_ゝ`)「?」

(|li`^ω^´)「……だから、ほら……こ、ここはちょっと、人……
       人の出入りが……ほらっ、おお多いからさぁ……!」

68 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:13:02 ID:4uKayUrE0
急な相談を持ちかけられ、改めて相手の表情を伺ってみれば
笑顔とは裏腹に、その顔色は薄ら青褪めかけていることに兄者は気がついた。
目は落ち着きなくギョロギョロと左右を行き来し、顔面の筋肉がピクピクと引き攣っている。
視線を下に向ければ、足も僅かに震えているではないか。

その様子を見て―――シャキンの基本人格、ショボンは
極度の対人恐怖症だという話を思い出す。

兄者にはよく分からなかったが、「対人恐怖症」というからには
やはり人と話したり、人が沢山いる場所は苦手なのだろう。

だが、その割にはつい今しがた
あっけにとられる自分に対して機嫌良くペラペラと喋っていたように見えたが。
今だって、目の前で友達に明るく挨拶していたじゃないか。一瞬物凄い顔になるけど。

69 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:13:52 ID:4uKayUrE0

:(|li´゚'ω^`): ピクッピクッ

(;´_ゝ`)「……」

また顔が引き攣ってきた。―――そうだ、無理をしすぎたのかもしれない。
目の前のショボンは明らかに様子がおかしいし、本当に気分が悪そうだ。

兄者には現時点で分からないことが多すぎた。どうすればいいのかも分からない。
誰か、いや、ブーン先生を呼んだ方が良いんじゃないだろうか。

(;´_ゝ`)「や……やっぱり具合、悪いんすか?だったら、ブーン先生のとこ行ったほうが」

(|li´・ω・`)「先生には会いたくないよ。君と、話がしたいんだ」

青い顔をしたショボンは、決して兄者と目を合わせようとはせず
不安気に視線を彷徨わせながらボソボソと早口でそう言った。

(;´_ゝ`)「……」

70 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:15:20 ID:4uKayUrE0





(;´_ゝ`)「……大丈夫すか?」

ショボンに言われるがまま、人通りの少ない目立たぬ場所をと考えて
とりあえず別館にある薄暗い地下へと移動してきた。

文芸部等、あまり表立たないクラブの部室がおざなりに詰め込まれている場所だ。
それでも時々人は通るだろうが、1から3年生までの教室がある校舎内よりはマシだろう。


此処まで連れだって歩いている間も、始終オドオドと忙しなく視線を巡らせ
他の生徒とすれ違う度隣で小さな悲鳴をあげて肩をビクつかせるショボンの姿は
シャキンである彼しか知らない兄者にとっては違和感が凄まじく、なんとも複雑な心境だった。

その怯えようは傍から見ていて気の毒になる程で
やはり、対人恐怖症という話は本当なのだと認めざるを得ない。

(|li´^ω^`)「……うん、ここなら良いね」

病人のように青い顔をして落ち着きない様子のショボンだったが
人のいない静かな場所に来て、ようやく彼にも心の平穏が訪れたようだ。


黴臭さの混じった埃っぽい空気を吸って、気分が落ち込むと同時に頭が冷静になってくる。
兄者は改めて、目の前で安堵の表情を浮かべる男を注意深く眺めた。

71 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:16:29 ID:4uKayUrE0


八又ショボン。


病的なまでに外界との接触を拒絶し、実生活のほとんどをシャキンに任せ
普段はその意識奥にて頑なに沈黙を貫いている存在。

シャキンとは、この学校に入学してからずっと特別教室での2時間を共に過ごしてきたが
彼の主人格であるショボンとは、これまでの2年間一度だって顔を合わしたことすら無かった。

文字通り掴みどころの無い霞か空気のような存在で
シャキンに別人格がいることさえ時々忘れそうになるくらいだ。

シャキンの口から時々、他愛ない会話のついでに彼の話を聞くことはあった。
だがそれはいつも、人見知りで内気な弟を庇うような、どこか保護者じみた情を感じる
エピソードでしかなく、まさかその弟が、あんな奇妙な振る舞いをする人物だなどという
事実は一言も教えてはくれなかった。

加えて、対人恐怖症という言葉から抱いた消極的なイメージから
兄者が今までぼんやりと思い浮かべていた人物像と、目の前のショボンは違った。

72 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:17:19 ID:4uKayUrE0
なんというか、おかしい。いや、さっきから色んな意味でおかしいけど。

向こうから歩いてくる誰かにもいちいち肩をビクつかせるような人物が
急にシャキンのようになって、明るく他人と会話できるとは思えない。

少なくとも兄者には、先程教室前での一連の流れの中で
ショボンが素早くシャキンと人格交代しているようには見えなかった。

さらに気になるのは、何気ない様子でその口から発せられた意味深なワードの数々だ。

正直言って、今のところショボンに抱く感情はシャキンに対するそれとは正反対で
さっきから危機感にも似た嫌な感覚と共に若干の恐怖心さえ抱いていたが
その薄気味悪さはさて置いて、聞きたいことは山程あった。

73 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:19:15 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「……えっと……ショボン先輩?」

顔色は大分良くなったものの今尚不自然に視線を彷徨わせ
挙動不審気味のショボンに、意を決し尋ねてみる。

(´・ω・`)「え?」

(;´_ゝ`)「さっき言ってたの……どういう意味ですか。
      『シャキンの間は』って」

(´・ω・`)「ああ!そうそう、その話を君にしたかったんだ」

よくぞ聞いてくれました。
そう言わんばかりに頷いて、ショボンは再び満面の笑みを浮かべた。

(´^ω^`)「その言葉はね、そのままの意味」

(´^ω^`)「シャキン兄さんに”なってる”間は、最高って意味だよ」

(;´_ゝ`)「?」

74 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:20:08 ID:4uKayUrE0
(´^ω^`)「ボクはねぇ、時々シャキン兄さんになるんだ。みんな気づかない。すごく楽しいよ」

(´^ω^`)「シャキンでいる間は、何も怖くない。ほら、こうして人とお喋りだって出来る」

言葉の意味が分からずに疑問符を浮かべる兄者の前で
ショボンは得意気にそう言い放ち、愉快で堪らないという顔をした。

(´^ω^`)「言ったでしょ?『あの時あそこにいたのは、ボクなんだから』って。
      みんな、あの日、あそこにいたのはシャキン兄さんだと思ってた。君もそう。
      でも、ほんとはボクだったんだよ」

(;´_ゝ`)「……!?」

(;´_ゝ`)「シャキ兄のフリ、してたってこと?」

(´^ω^`)「そうだよ。驚いた?」

76 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:20:49 ID:4uKayUrE0
悪びれる風でも無く、ふざけた態度を全面に押し出しながらケロリとそう言ってのけるショボン。

―――――有り得ない。

兄者は咄嗟にそう思った。

(´^ω^`)「兄者君も得意なんだよね?弟者君のフリするの!
      完璧に真似てて、すっかり騙されちゃうって兄さんが言ってたよ」

(;´_ゝ`)

確かに、確かに自分もほんの悪戯心で時々、弟者のフリをすることはある。
家族は妹者以外なら大抵の場合気づかないし、友達にだって見破られない自信があった。

だが、そんなちょっとした悪戯と、これとは話が違う。全然違う。

77 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:21:43 ID:4uKayUrE0


だって―――シャキン、いやショボンか。はあの時、ブーンと一緒にいた。


つーが倒れた現場に2人で駆けつけ、それ以前の時間はずっと相談室で話をしていたと聞く。
丁度、自分がつーと話をしていた時間。渡辺と合流し、つーが倒れるまでの時間。

だが、シャキンは”あの日”のことは知らないと言った。
放課後ブーンと会っていたことも、つーのことも全部。
とても嘘を吐いているようには見えなかった。

つまり、先程3年生の教室から呼び出したシャキンが、兄者のよく知るシャキン本人で
そして、「知らない」「覚えていない」と言った彼の言葉が真実だとすれば
”シャキンに成りすましたショボン”は、少なくとも1時間以上
ブーン、そしてロマネスクと一緒に居たことになる。

78 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:23:02 ID:4uKayUrE0
ブーンとロマネスクは教師であり、マインドB専属カウンセラーの資格を持ち
同時に、自身が発症者でもある。真の意味でマインドBに関してプロの人間なのだ。
普段からクラスの生徒一人一人のことを心から大事に思い、誰より理解してくれている。

そんな2人を相手にして、最後までその正体に気づかれず演技で騙し通すなんてことが
ボロを出さずに他人になりきるなんてことが、果たして出来るのだろうか?

(;´_ゝ`)(出来るわけない)

物真似が上手いとか、相手の特徴をよく知っているだとか、そんな単純な話では無いのだ。

現に、さっきのような様子なら誰だっておかしいと気がつく。
ブーンとロマネスクの最強コンビが、それを見破れない筈が無かった。

ただの”フリ”なんかじゃ有り得ない。

第一、そんなことをする目的は何なんだ?

79 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:25:35 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「……なんで」

(´・ω・`)「ん?」

(;´_ゝ`)「なんでそんなこと」

(´・ω・`)「言ったじゃない。最高の気分になれるからだよ」

(;´_ゝ`)「……」

(´・ω・`)「ボクは自分が大嫌い」

唐突にショボンは言った。

(´・ω・`)「シャキン兄さんは皆に好かれていて、友達も沢山いて
      勉強も、スポーツも、なんでも出来る。誰からも頼りにされる」

(´^ω^`)「自分じゃない、そんな人間でいるのって、最高の気分だよ。
      だから、『自分は馬鹿なショボンなんかじゃなくて、シャキンなんだ』って
      自分に言い聞かせるのさ」

80 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:26:34 ID:4uKayUrE0
当たり前だとでも言わんばかりに、平然とそう言ってのける。

そうして、尚も疑わしげな目つきを自分に向けている兄者の顔を見た。

(´・ω・`)「君もそうなんじゃないの?兄者君」

(;´_ゝ`)「俺は違う」

咄嗟にそう否定すると、ショボンはわざとらしく首を傾げた。

さっきから、その厭に馴れ馴れしい態度や演技じみた振る舞いがチクチクと癪に障る。
まだ出会って数十分の付き合いだったが、少なくとも今の時点では好きになれそうにも無いと
兄者は思った。

(´・ω・`)「そうかなぁ?じゃあ、どうして名乗らなかったの?
      自分は、弟者じゃなくて兄者だって」

(;´_ゝ`)「は?」

81 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:27:59 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「自分の存在を口に出して言ってしまうことで、否定されるのが怖かったんでしょ?」

(;´_ゝ`)「?なに言って」

(´・ω・`)「妹者ちゃんだけが自分の存在を認めてくれた」


“妹者”。


出し抜けに、思いもしない名前を出されたことで兄者の表情が固まった。

82 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:29:10 ID:4uKayUrE0

(´・ω・`)「でもそれは、何も知らない小さな子供だから。
      大人や他の人達は、きっと信じてくれない。
      嘘吐きだって言われるのが、認められないのが怖かった」

(;´_ゝ`)「っな」

(;´_ゝ`)「何言ってんだ?なんの話だよ!」

(´・ω・`)「君は、自分を納得させたんだ。傷つくくらいなら、黙ってる方がマシだ」

(´・ω・`)「世界にたった1人だけ、ただ1人だけでも
      それが例え、ほんの4歳の、幼くあどけない女の子だったとしても
      誰かが自分のことを認めてくれるならそれで良い」

(´・ω・`)「そうして子供の君は、満たされない思いに見て見ぬふりをした。
      傷つくよりも、”いい子の弟者”として振る舞う楽な道を選んだ」

(#´_ゝ`)「誰がそんな話した!?俺はシャキ兄にそんなこと話してない!」

(´・ω・`)「ブーン先生だよ」

(#´_ゝ`)「嘘だ!!」

83 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:30:05 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「嘘じゃないよ。ほら、僕は人に喋ったりしないだろ?誰とも話なんかしないもんね。
      だから、面談の時にこっそり教えてくれた。
      とあるマインドB患者の、エピソードの一つとして」

(´・ω・`)「心理学のテクニックだよ。
      他人の具体的な体験談を聞かせることで、患者に自分の話を喋りやすくさせる」

信じられない思いで兄者は目の前の男を見た。

(;´_ゝ`)「……ッ!先生はそんなことしない。
      人には言わないって……約束したんだ、から」

(´・ω・`)「困ったことに、僕は先生にとっても厄介な生徒だったんだよ。
      ああそんなに傷つかないで。何も世間話のネタに使ったわけじゃない。
      カウンセラーとして、1人の患者を救う為なら使える材料は有効に使わないと」

『材料』。その言葉が、思いがけず兄者の胸に刺さった。

84 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:30:53 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「まさか、このボクが、こうして君と普通にお喋りしている光景なんて
      先生はきっと想像もしなかったんだろうな」

言葉を失う兄者を置いて、ショボンは飄々とした態度を崩さず周囲をブラブラと歩き回る。

(´・ω・`)「でも、ボクはその話を聞いて君に興味が湧いたんだ。
      いつかお喋りしてみたいなと思っていたんだよ」

(´^ω^`)「それがついに今日、叶えられて良かった!」

(;´_ゝ`)(良くねぇよ落ち着け)

頭の中を一気に埋め尽くそうとする、とりとめのない情報の氾濫に流されないように
兄者は下唇を噛み、その痛みで早まる鼓動とパニックを抑えこもうとした。

この男の作る波に流されてはいけない。

85 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:32:57 ID:4uKayUrE0
ショボンの言っていることはさっきから突拍子が無くて、何が本当のことなのかよく分からない。

ブーンやロマネスクに気づかれず、シャキンになりきるなんてこと出来るわけ無い。

いつだったか、ショボンは家族とさえあまり話したがらないとシャキンが言っていた。
それ程までに人と接することが苦手で、本当に対人恐怖症だったのなら
そもそも今、こんなに余裕を持って初対面の自分と流暢に話せる筈が無いじゃないか。

最初からみんな、嘘だらけなのかもしれない。

ただ適当なことを言って面白がっているだけなのかもしれない。

86 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:33:52 ID:4uKayUrE0
……だが、彼が知る筈の無い話を、知っていたのはどういう事だろう。
妹者。4歳。誰も気づいてくれなかった。あの頃の話を、そんなことまで細かく。

本当に、ブーンが喋ったのだろうか?そんなこと信じたくない。
自分の個人的な話を臆面なくショボンに喋る、ブーンの姿が脳裏をよぎる。

じくりとした痛みが胸に走った。

―――いや違う。そんなわけ無い。でも。

(;´_ゝ`)

そもそも、今日シャキンを訪ねたのはもっと大事なことを確認する為だった筈だ。
それが今、一体どうしてこんな状況に陥っているのだろうか。自分は今何をしているんだ?

87 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:34:57 ID:4uKayUrE0
突然妹者の名前を出されたことで
兄者は自分が思っている以上に動揺してしまっていた。

この男の口から、大事な妹の名を出されたことすら腹立たしく思う。

(´^ω^`)「ボク達似てるね。本当の自分じゃ認めてもらえない。
      だから、自分によく似た他人の皮を被って、普通の人のフリをする者同士」
  _, 、_
( ´_ゝ`)

同じにするな。
いい加減殴りたくなってきたその満面の笑みに向け
そう言ってやりたくなったが、何故か言葉は出てこなかった。

88 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:36:00 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「このことは2人だけの秘密にしよう」

(´・ω・`)「ボクは誰にも話さない。兄者君だって、誰かに話したりしないでしょ?
      そう、特に―――弟者君には」

(;´_ゝ`)「何?」

今度はなんだ。面食らって、兄者はショボンをまじまじと見た。

(´・ω・`)「弟者君に、ボクのことを話したりしないよねぇ?
      いや、出来ないのか。現に、君は今彼との共在意識を断っている筈だ。
      ボクと対峙しているこの状況が、決して彼に伝わらないように」

(;´_ゝ`)「なっ……」

―――――なんでわかった?驚き。混乱。
虚を突かれた兄者は、容易くそれを表情に出してしまった。

(´^ω^`)「やっぱり。当たりでしょ」

89 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:36:50 ID:4uKayUrE0
(´^ω^`)「君って優しいね。ボクの兄さんみたいだ。
      大事な弟を、怖いものには近づけない。絶対に、危ない目に遭わせたりしない」

(;´_ゝ`)「……!!」

そう、事実ショボンの言う通りだった。弟者には話せない。


今や目の前の男は、兄者の中で完全に
得体の知れない不審な人物として認識されてしまっていた。

弟者にその存在を知らせることで、少しでも彼がその危険人物に近づく可能性がある以上
自分の意識奥で眠っている弟に、ショボンという男の影を話すことはおろか
今この状況を知られることさえ絶対に避けなければいけなかった。

その思いから、兄者は既に人格間の共在意識を断ち
外界から入る情報を自分だけのものにして弟者には一切渡さないようにしていた。


それを何故かショボンに見抜かれている。
そんなこと、自分にしか分からない筈なのに。

90 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:37:40 ID:4uKayUrE0
兄者はぞっとした。

心の内を見透かされ言い当てられたことだけでは無い。

目の前で見せた脈絡の無い態度の急変や
嫌に挑発的とも取れる神経を逆なでする言動。

それら全てが、最初から自分を危うい存在だと印象づける為の計算された行動だったとしたら。

目の前で笑う、ショボンという人物に対する危機感が増していく。
これが彼の狙いだとすれば、兄者は最早完全に嵌められていたのだ。

91 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:39:07 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「……そうやってずっと、弟者君のこと守ってきたんでしょ」

(´・ω・`)「 “昔から”ずぅっと」

(;´_ゝ`)「……!?」

兄者の鼓動が一気に早まる。
何を言ってる。何のことを言ってるんだ。

(´・ω・`)「不公平だと思わない?君ばかりが嫌な思いをして」


―――――こいつは何を知っているんだ。

.

92 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:39:48 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「……っ」

(´・ω・`)「ああ、そうそう!不公平と言えばね」

ショボンのペースは止まらない。
兄者は、この男に頼まれるがまま人のいないこの場所に連れてきてしまったことを後悔した。

(´・ω・`)「先生は、君と妹者ちゃんの”ルール”についても教えてくれたんだよ」

(´・ω・`)「君、妹者ちゃんとは月に3回しか会っちゃいけないんだろ?
      変なルールだよねー。君は”家族”の筈なのに」

(;´_ゝ`)「……っ妹者はまだ小さいから
      マインドBの病気のこと、理解できないからだ!
      だから……会えないけど、仕方ない」

(;´_ゝ`)「でも、もうすぐ」

(´・ω・`)「ふーん。先生はそういう風に君に説明してるんだ。なるほどなぁ」

(;´_ゝ`)「あ?」

93 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:40:42 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「ボク、先生に聞いてみたんだよ。どうしてそんなルールが必要なのかって」

(´・ω・`)「ボクが興味を見せる素振りを見せたら
      先生も乗り気になって、詳しく教えてくれたんだ」

(;´_ゝ`)「だ、だからっ!それは」

(´・ω・`)「妹者ちゃんが幼すぎるから?―――ああ、そっか」

(´・ω・`)「きっと、本当のこと言ったら君がショックを受けるから、そんな風に言ったんだろうな」

(;´_ゝ`)「……本当の、こと?」

(´・ω・`)「あ、言っていいの?いや、言わないほうが良いだろうな。
      先生が隠してるんだったら、僕が言うべきことじゃ……」

(;´_ゝ`)「隠してる?何……何のことだ!?」

(´・ω・`)「……」

(´・ω・`)「嫌な話になるよ。それでも聞きたいの?」

(;´_ゝ`)

94 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:44:14 ID:4uKayUrE0
今まで、調子良く話しかけている間も
避けるように、目だけは決して合わそうとしなかったショボンが
不意に向き直り、自信を持って兄者の目をまっすぐに覗きこむ。

その、何を考えているかわからない暗い瞳の奥を見ていると
言い様のない不安に心を掻き乱され、世界がぐにゃりと歪むような不快な感覚に襲われた。

(´・ω・`)「先生はね……ファイルした昔の新聞記事を見せてくれた」

(;´_ゝ`)「新聞?」

(´・ω・`)「昔起きた、ある事件について書かれた記事だよ」

(;´_ゝ`)「……?」

(´・ω・`)「―――19XX年、X月X日」

95 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:45:25 ID:4uKayUrE0


―――ショボンが暗唱した、その”事件”についての全容はこうだ。


19XX年X月。当時、マインドB発症者だった30代の男性Aが逮捕された。

罪状は暴行罪。同じ家に住む、自分の娘に手を出した。

男性Aは裁判所で、犯行は『自分ではなく別人格の”B”がやった』と主張した。
彼は当時マインドBの診断を下されていて、治療を受けている最中だった。
後に、犯行があった時間帯は意識喪失を起こしていたことも立証される。

長期間に渡る、精神科医、心理学者、様々な分野の専門家による厳密な検証の結果
犯行は、Aの証言通り別人格”B”によるものであることが確定し、結果的にAは無罪となった。


―――だが、事件を起こしたBには当然有罪の判決が下された為
結局その男性Aは、事件を起こした彼のマインドBと共に
その後数年間刑務所にて懲役を科される事となる。

96 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:47:05 ID:4uKayUrE0

それだけの内容をスラスラと話し終え、一息吐くと
ショボンはその他にも、ファイルに残されていたという
数件の事件について事細かに語り聞かせてみせた。

起きた年代や登場人物は異なるものの、それらの事件に共通しているのは
いずれも『マインドB発症者が主人格の家族に乱暴を働いた』という事柄。

出てくる単語は『性的暴行』『強姦』等
聞いていて嫌な気持ちになるものばかりだった。



(´・ω・`)「……」

言葉が途切れて不気味な沈黙が訪れた。

3件ほど同じような事件の内容を立て続けに語り終えた後
急に静かになったショボンは、それ以上何も言わず
まるでその先の答えを促すかのように、兄者に意味ありげな視線を送った。

(;´_ゝ`)「……な……」

(;´_ゝ`)「……何が……っ言いたいんだよ……」

絞り出した声は震えていた。

97 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:48:01 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「わかるだろ?」

わかりたくない。それ以上聞いてはいけないと、頭の中で警報が鳴り響く。

兄者は咄嗟に、耳を塞ぎたくなる衝動に駆られた。
今だけ言葉が分からなくなれば良いのに。

(´・ω・`)「つまりね兄者君。君が妹者ちゃんと引き離されているのは
      妹者ちゃんが病気を理解できないからじゃない」

いっそのこと、全力でこの場から逃げ出せば良かったのかもしれない。



(´・ω・`)「マインドBの君が、妹者ちゃんに何かするんじゃないかと皆が思っているからだよ」



(;゚_ゝ゚)


.

98 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:49:27 ID:4uKayUrE0

(´・ω・`)「妹者ちゃんだけじゃない」

(´・ω・`)「マインドBの君が、もし何か犯罪を犯したら
      結果的に、罪の無い弟者君までもがその人生を奪われることになる」

(´・ω・`)「家族は妹者ちゃんはもちろん、弟者君のことだって守らなければならない。
      残念ながら今の法制度では、マインドBと主人格とが
      別個の人間として認められた例は無いからね」

(´・ω・`)「ねぇ?兄者君。ショックかもしれないけどさ」

(´・ω・`)「でも……こういう事件が過去に何度も起きたのは事実だ。
      先生も家族も、それを無視することは出来ないからね。
      何よりも守るべきは家族であって、”体も持たない誰か”じゃない」

(´・ω・`)「残念だけど」


事前に練習したのかと疑いたくなるくらい、饒舌にベラベラとよく喋る。
演技の経験でもあるのかと思うくらい、心から同情しているような
哀れみを込めた表情とその言い回しが巧みだ。


だが、兄者にはそれどころでは無かった。

99 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:50:57 ID:4uKayUrE0
(;゚_ゝ゚)

(´・ω・`)「……そうそう。僕が君と話をしたかったのはね。
      一つ、忠告をしてあげたかったからなんだよ」

(´・ω・`)「君の家の人、とても優しくしてくれるんだってね?
      まるで、本当の家族と同じように」

彼の声は静かで、平和と言ってもいいような響きを含んでいた。


(´・ω・`)「でも、それってさぁ。実は……
      君に大人しくルールを守らせる為なんじゃないのかい」


そうして、感情の読み取れない声で、そう告げた。

100 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:51:50 ID:4uKayUrE0


(;゚_ゝ゚)


……眩暈を起こした時のように視界が明滅し、ショボンの姿が、声が遠のく。


尚も何か話しているようだが、その内容はほとんど聞き取れない。


何も頭に入ってこない。

思考が、世界が―――カチリ と音をたてて停止した。

101 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:52:38 ID:4uKayUrE0

心をバラバラに破壊されたような喪失感と

     (  ω )

              ( ω  )

砕け散る幾つもの破片の中に

        ∬ _ゝ )
 @@@
@#   @
 (  ノ ) 

沢山の人の顔が次々と浮かんでは

                             彡⌒ミ
                             (  _ゝ )

淡い光をちかちかと反射させながら闇の中へ消えていって


            l从 ∀ ノ!リ人





( <_  )



.

102 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:53:34 ID:4uKayUrE0





やがて―――――




              ―――――何も見えなくなった。




.

103 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:54:24 ID:4uKayUrE0

(`・ω・´)「兄者」

(;゚_ゝ゚)

(`・ω・´)「兄者?……どうした?」

シャキンは不思議そうな顔をして
その場に凍りついたように立ち尽くしている、目の前の後輩の顔を覗きこんだ。

そしてすぐに、ハッと辺りを見回す。

(`・ω・´)「ん?」

(;`・ω・´)「……え」

104 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:58:49 ID:4uKayUrE0
混乱している様子が見てとれた。
周囲の景色が、自分が今まで立っていた筈の教室前の廊下では無く
馴染み無い灰色の地下に変わっていることに気がついて驚いているようだった。

(;`・ω・´)「なっ……、これは、一体」

困惑するシャキンが尋ね終えるよりも先に、兄者は彼から距離を取っていた。
恐怖に引き攣った顔をして、愕然と、シャキンを視界に捉えたまま後退る。

そして―――

(;`・ω・´)「兄者!?」

何が起こったかシャキンが理解するよりも早く、彼は踵を返しその場から走り去っていた。

105 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 18:59:36 ID:4uKayUrE0
残されたシャキンは、咄嗟にその後姿を追おうとする。
が、すぐに躊躇いの表情を見せ、数秒迷った末
―――伸ばした手を諦めた。

(;`・ω・´)「ショ、ショボン」

(;`・ω・´)「ショボン!?」

見えない誰かに向けて叫ぶ。心の内側にも、どこにも、居るべき筈の相手がいない。

最早その場には何者も居らず、残されたのはシャキン1人だけだった。



そうして彼は行ってしまった。

106 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 19:01:10 ID:4uKayUrE0





(´<_` )「えっ」

弟者は思わず声をあげた。

さっきまで見ていた教室の景色から、気づけば辺りの様子はガラリと変わっていて
夕暮れ色に染まりはじめた住宅街の裏道に1人、ぽつんと立っている自分に気がついたからだ。


最後の記憶によれば、放課後用事があるという兄者と教室でバトンタッチした筈で
なのであれから時間が経って学校から外へと風景が変わっていることについては
何ら不思議なことでは無いのだが、問題はその場所だ。

内容は明かさなかったものの、その”用事”とやらが済み
学校から家への帰路に着いている途中だったとするならば
どう考えても今自分が立っている此処は家から逆の方向だったし
こんな中途半端な道の真ん中で、何の前触れも無く彼が意識を手放し
自分に責任を放り投げるようなことはあまり考えられなかった。危ないじゃないか。

107 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2015/11/27(金) 19:02:03 ID:4uKayUrE0
いつものように、次に目を覚ませば見慣れた石垣に『流石』の文字があると思っていたのに
気づけば普段あまり気にしないような通りに立っていて、その理由も分からない。

おまけに何故か、此処まで走って来たのだろうか
少し苦しいくらいに息があがり汗も掻いている。

(´<_`;)(何かあったのか?)

そう思い、呼吸を整えながら心の中で兄者の姿を探した。

だが、彼は見つからない。返事が欲しい時に沈黙だけが返ってくるのは珍しいことでは無い。
いつものことだ。兄者は本当に気まぐれな性格で、いなくなる時はひょいといなくなる。

いつものこと、の筈だった。

(´<_` )「……?」

僅かに胸に生じたその違和感が何なのか、よく分からないまま
しばらくそこに立っていたが、いつまでもそうしていても仕方が無いので
携帯で時間を確認してから、弟者は家に向かって歩き出した。


どうしてあんな場所にいたのか、それに、用事とはなんだったのか気になるが
とにかく家に帰ってから、部屋でゆっくり聞いてみれば良いか。

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