(‘_L’)は命令が欲しいようです

Part8

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342 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:26:15 ID:PpHh.7g.0





終章



そして 誰も いなくなった



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343 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:27:26 ID:PpHh.7g.0




フィレンクトはしばらくの間停止していた。

抱いている柔らかな身体がゆっくり冷たさを増していき、堅い肉に変わるまで。

思考も冷えたように固まった。

従うべき人間が欠如。

考える。


だが考えは堂々巡りになり、答えの出ない計算は苦痛しかなかった。

ジョルジュの不在。

順位は繰り下がりペニサスが準になるはずだった。

その彼女はフィレンクトの腕のなかで覚めない眠りにある。



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344 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:28:38 ID:PpHh.7g.0



無意識に武器をさがした。

自分の頭を吹き飛ばしたときの、少しの間完全に己を消失していた。

その間記憶もなく、不安もなく、命令もなかった。

無いことが安心につながりそうだったが、ジョルジュの言葉を思い返す。

死ぬつもりはなかったが、自己で管理できない肉体の破損は死に直結する。


行動は起こせなかった。


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345 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:29:59 ID:PpHh.7g.0


(‘_L’)


フィレンクトはペニサスをゆっくりと床に寝かせた。

それからぐるぐると動き回る。

考えるときはじっとしている方が効率的のはずだが、なぜか猛るような衝動でそれができなかった。


ジョルジュが居ない。

ペニサスも居ない。


ジョルジュの命令ーー壊すこと。死なないこと。

彼が殺しにくるまで。

第二の命令は実行不可だ。彼は死んだ。死人は行動できない。

それなのになぜ彼はあんなことを?錯乱にしては落ち着いていた。
落ち着いてフィレンクトに指示をした。


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346 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:31:14 ID:PpHh.7g.0



ならば彼の命令だ。遂行しなければいけない。

だがもう彼がいない。

成果を報告できない。これからの命令をもらえない。

離れるだけならいくらでも待っていられるのに、帰還予定がないことはーーーとてもとても、困る。

思い返す。フォックスの時は彼が居た。


そしてあの瞬間に彼を選んだ。

選んだからには命令をそのまま実行しなければならない。ならない。


(‘_L’)

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347 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:32:17 ID:PpHh.7g.0



フィレンクトは死んではいけない。

ジョルジュが殺しにくるまで。

フィレンクトは壊さなければいけない。

ジョルジュが望んだ通りに。

矛盾はない。

ただジョルジュの望みを叶えるためにはしばらく生き延びて、武器と情報を調達できるようにならなければいけない。

そのためには他の主人を見つけれることができない。命令は遂行中であるから。


フィレンクトは考える。

すべてを壊さなければいけない。

いまある命令をこなさなければ、この喪失した何かを埋めることができない。

だがそれはこなしただけで埋められるだろうか。



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348 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:32:59 ID:PpHh.7g.0




恐ろしかった。

予感だけでフィレンクトは動けなくなる。
死を看取ってしまったから。

だがフィレンクトの足を動かすのも彼の命令だけだ。
立ち止まり、歩き、また立ち止まるを繰り返しているといつしか行動の予定を考えていた。


現在テロの収縮を計っているはずだがレジスタンスの抵抗で収まってはいない。

数時間後には制圧部隊が押し戻すがそれまではほぼ無法地帯だ。

片腕の市民は保護区に送られる。

それに紛れて一度土地を離れる。
早く逃げなければ手配される。

フィレンクトの行ったことよりも所属していた身分が明らかになるほうがまずい。

全力をあげて捜索されるだろう。
いまから逃げ出して間に合うかどうか。

計画をたてると恐ろしかった予感が一時的に薄らいだ。

やはり考えることはない。
ジョルジュの命令だけを覚えていけばいい。

(‘_L’)

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349 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:34:11 ID:PpHh.7g.0



フィレンクトは気がつかない。

これは彼の希望で選んだ選択だった。

フィレンクトは認識していない。

だが初めてあげた産声だった。


ジョルジュへの、再認識、恐らく好意。
希望、彼の望み。


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350 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:35:14 ID:PpHh.7g.0






フィレンクトは




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351 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:36:33 ID:PpHh.7g.0
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((‘_L’))

移送されるトラックのなか、太陽よけのローブをかぶって顔を隠す。

シティは黒い粉塵にまみれて、それでもきらびやかに輝いていた。

無くなった柱は三本。
すべてを倒すにはまだ足りない。何もかも。
道徳を学んでこなかった。

フィレンクトにとってはそれが正しく、なすことなので疑いようもない。

光に反射する銀の義手に表情のない顔がうつる。

唇がうごいて、誰かの名を発音した。


はじめて呼んだ、主人の名だった。


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352 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2015/02/24(火) 05:37:15 ID:PpHh.7g.0








フィレンクトの章

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