(‘_L’)は命令が欲しいようです

Part6

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135 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:31:39 ID:ONPZ5VOE0


(‘_L’)「あれをください」



そう示されたのは店の中央、メインに大きく展示されているブラック・ローズの花束で店員は一瞬たじろいだ。


売り物としては非常に大きな買い物だ。


切り花でなく、きちんと根を残して肥料を与えている。


一度購入し、維持するのにも手間がかかる高級品で、赤い色が栄えるようにわずかな黒みのあるバラ。


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136 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:32:21 ID:ONPZ5VOE0


男の服装に目をやる。タイトスーツ。

グレーの落ち着いた生地。

しっとりとした色で安物ではない。
袖襟もきちんと腕に合わせて詰められている。計ったようなオーダーメイト。


ζ(゚ー゚*ζ「かしこまりました」

客の値踏みをして注文が本気だと知る。



男はすましたような顔で店員が台座から花鉢を移す行動を眺めていた。


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137 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:33:21 ID:ONPZ5VOE0


(‘_L’)「そのままで」


包装しようとした手を止める。


ζ(゚ー゚*ζ「……ラッピングはお辞めになりますか?」


(‘_L’)「はい」

ますますおかしな客だった。

この花の価値を知らないのだろうか、と不審に思う。

見かけだけを整えたおのぼりさんが、ガラスケースの中の目についたものを何も知らずに買おうとしているのでは。


けれど渡されたカードはプラチナ・ナンバーで、息を飲んだ。


ζ(゚ー゚;ζ「少々お待ちくださいませ」


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138 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:34:03 ID:ONPZ5VOE0


レジに通すが問題はなく代金が引き下ろされた。しばらく待ったがエラーはない。



本物のゴールデン地区の住民らしい。
笑顔を作り直してカードを返却した。


こんな客が再び訪れるのはめったにないだろう。

他の花も勧めてみたが、よい返事はもらえなかった。


店の高級感を出すためと、品揃えを誇るために取り寄せたバラはここ何年も売れることはなかった。



おそらく手近で買うしかなかったのだろう。もう少しいけばもっとランク上の店だあるのに。

139 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:34:58 ID:ONPZ5VOE0


(‘_L’)「片手で持てるように仕上げてください」


そう聞いてぎょっとした。

これだけで贈り物としては十分すぎる価値のある花を、直接腕に抱いて帰るらしい。


通常なら花弁が痛まないように業者が揺れない電子車で配達する扱いなのだ。

金持ちの考えはわからない。


けれどもしかしたら、上流階級の女性たちは高価なモノをおざなりにプレゼントされるのが好きなのかもしれない。



世界が違うな、とバカらしくなって考えるのをやめた。


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140 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:35:46 ID:ONPZ5VOE0



包装を拒否されても刻印されたリボンは巻かなければいけない。


本来ならこの花には金を練り込んだリボンを使うのだが、再び客によって止められた。

「あれを」



選んだのはブラック。地味すぎるかと思ったが、ブラックの赤にそれなりに似合った。


ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございました。またお越しくださいませ」


受け取ると男はゆっくりとした、けれど無駄のない早さで出て行った。

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141 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:36:30 ID:ONPZ5VOE0


後から思い返せば実に趣味が悪い、高級な花束だと思う。別れか敵対か。

何にしろ意味のある贈り物に違いない。

欲しいとも思わなかった。


ζ(゚ー゚*ζ「……黒みのあるバラに、黒いリボンなんて、」


まるで血みたいーーー


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142 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:37:12 ID:ONPZ5VOE0
















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143 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:38:07 ID:ONPZ5VOE0



管制塔、タワーのセキュリティを分割する一つの分室で、誰かの悲鳴を聞いた。


ソファに横になって眠気に誘われていたのに、無理矢理覚醒する。



聞こえた声の方向から内部の地図を思いだし、現在地からのシュミレートを目を開けるまえに済ませた。



起き抜けにコーヒーを淹れるのが楽しみだったのに。


うんざりした気分で監視システムを作動させた。


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144 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:38:50 ID:ONPZ5VOE0


カメラに侵入者の姿は映っていない。

だがわずかな小さい悲鳴は確かに聞こえた。

断末魔。

驚きと、命が消される恐怖に満ちた声。

数年前にすいぶんと聞いたもので、まだ忘れていない。


いくつかの部屋と、通路の映像を出すが侵入者どころか他の職員の姿もなかった。


この部屋はダストシューターのある隣で監査コントロールシステムのある部屋の後ろ。



つまり襲撃を受けた場合一番最後に押し入られる場所で、避難につながるエレベータが部屋に備わっている。

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145 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:40:27 ID:ONPZ5VOE0


進むべきか後退するべきか。


少し悩んで、それも無駄と理解した。

敵は自分が脳を休ませているあいだに手際よく征服している。


ドアの自動制御はすでにジャミングされ鍵の意味を無くしていた。

電源の制圧も完了。


空調管理のスイッチは切れている。


じかに電源を本社につないでいるコンピュータは無事だが、SOSを発信しても助けが来るまえに殺されるだろう。


舌打ちした。

だから警備員でなくSPを配置するべきだったのに。


銃も持っていない。

厳重な設定のプライドから携帯は許されていなかった。


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146 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:41:33 ID:ONPZ5VOE0


いくらセキュリティに自信があるからといっても、網の隙間を通る者は必ずある。

襲撃者はひっそりとしている。



ーーーひとりだ。


この狭い通路と部屋を多人数で制圧していたら、自分はとっくに息をしていない。

二人だとここまでたどり着くのがもっと早い。



武器は少ないはず、小銃で音がでないレーザー。もしくはナイフ。

一般のものなら悲鳴にかぶさった銃声が聞こえる。

それか素手による絞殺、かなりの技術を持っている。


これほどまでに、静かな襲撃のメリットは二つ。


事態の発覚を先延ばしにすることと、この部屋にある何か、何を奪われたのかさえ分からないように偽装すること。

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147 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:42:26 ID:ONPZ5VOE0


ここは襲撃の足がかりにする場所じゃない。

独立した建物で、重要な情報が分散された部屋のひとつ。


どこまで考えがあるのか知らないが、予想通りなら職員の誰かが横領で殺し合ったように見せかけるかもしれない。



その場合、目撃者は残してはならない。



そうだとしたら交渉は望み薄だな

ひそやかな足音でドアが開かれるのを見つめた。

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148 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:43:26 ID:ONPZ5VOE0



( ´_ゝ`)「取引しないか?」



出会い頭の一言。


普通の人間なら驚きと戸惑いで銃を向けてくるのだが、相手は普通ではなかった。


それも予測通り。

顔をみれば相手が同種か分かる。


彼は命令を受ける者。
そしてその命令に全滅は含まれていない。



彼は言葉の意味を考えようとした。
それだけで生きる可能性がある。



( ´_ゝ`)「欲しいパスコードを教えてくればすぐに割り出す。そしてそのまま帰ってくれたら後始末はこちらで済ませるぜ?」


追跡はかからない。ここで起きた出来事をなかったことにするつもりでそう言った。


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149 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:44:20 ID:ONPZ5VOE0


(‘_L’)「あなたに権限が?」


( ´_ゝ`)「できる」


フィレンクトは表情、身体の動揺から嘘を見破ろうとした。

しかしわずかな変化や微表情も現れていない。



(‘_L’)「あなたに利点は?」


( ´_ゝ`)「明日以降も俺が呼吸をできること。このうえないメリットだと思うね」



(‘_L’)「……」


( ´_ゝ`)「……」

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150 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:45:21 ID:ONPZ5VOE0



計画通りであればここに居る者すべてを片づけないといけない。


だがジョルジュから明確な命令は受けてこなかった。これまでとは何もかも違うやり方、臨機応変。

その場の対応が変わるのを隣で見ている。


リスクを思えば考えていた通りに事を勧めたほうがいい。


しかし誰にも知られずにパスを入手するというのは釣り合いの取れたメリットだった。

フィレンクトは男を見た。

背ばかりが高い、ひょろりとした体型。

しかし作業服の下は芯のある重心の乗った立ちすがた。

力の抜けた、いつでも動作可能の状態。


喉を狙う、すぐに手のひらでふさがれる。


注意を向け、足を掬おうと軸足を絡める。


その間、こちらの急所に拳が打たれる。

人体の最も柔らかく危険な場所。みぞおちとアキレス同時に肘と膝が入れられる。



回避するには退くしかなく、そうすればこちらの攻撃も当たらない。

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151 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:46:29 ID:ONPZ5VOE0



数秒間のイメージ。戦いになれば膠着状態に陥ることが伺えた。銃は持ってきていない。鉄の反応を感知されないために仕方ないことだった。



(‘_L’)「S9076854988のIDとコードを」


( ´_ゝ`)「はいよっと」


画面に向かって男が手をかざす。


指紋認識、生体登録。死体では使えない。


瀕死の状態にするのは難しいだろう。


どちらかの即死でなければ。


フィレンクトは取引を飲んだ。



( ´_ゝ`)「ほらよ」

待機する時間もなく、簡単に数字は現れる。


それからバーコードの圧縮されたファイル。

モバイルに読み込ませて入手した。


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152 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:47:22 ID:ONPZ5VOE0


背を向けて、ドアに向かおうとすると怪訝そうな、陽気な声をかけられた。


( ´_ゝ`)「え、もう帰んの?」



用事はすんだ。男は殺されなかった。
フィレンクトにはここに居る意味がない。


それでも振り返ったのは彼と似た意識を持っていたからだ。

同士は分かる。



彼はすこし、規格外の気もするがプレーンな個体が量産されるなか、変則したものを欲しがる人間は少なくなかった。



( ´_ゝ`)「なあ、無線のコードなんて何に使うの?俺に何かしてほしいことある?」


(‘_L’)「明日以降も息ができるように心がけてください」



よけいな喋りには死を。本来なら忠告する意味もない。

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153 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:48:19 ID:ONPZ5VOE0



よけいな喋りには死を。本来なら忠告する意味もない。

だが彼は人のような感覚で話しかけた。

おそらく現在フリー。
誰かに仕えていない。


直属でなく、ある程度の思考が許されていて、フィレンクトを見逃すことに優越と面白さを感じている。


理解できない個体だ。


生存することに忠実。いつかはフィレンクトの情報を人に流すだろうそれが明日であれば問題ない。


その頃には何もかも終わっている。



( ´_ゝ`)「アンタどこのシリーズ?違反者には見えないし、かといってメンバーにも見えないな。こんな事しでかせば誰の登録かすぐわかるぜ?」



(‘_L’)「連絡するのですか」

( ´_ゝ`)「いんや。しないけど」

(‘_L’)「では、なぜ」

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154 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:49:35 ID:ONPZ5VOE0


( ´_ゝ`)「俺はしないけどさ。

いいじゃん教えてよ。知られちゃまずいってんなら大丈夫。

ここでの騒ぎがバレたら俺も廃棄されるから全力で隠蔽するし。

てか、どうやって入ったの?通行許可持ってないだろ?」



(‘_L’)「……」


考える。ここで戦闘になるタイミング。

だが目の前の男は時間を稼ぐでも、たくらみがあるわけでもなさそうだった。


(‘_L’)「あなたに、何の関係が?」

( ´_ゝ`)「俺はただの傍観。

ぞくに言えば好奇心。
わかるか?興味本位だ。
どうみてもパターンに当てはまらない物事の対象を知ろうとする行為。

人間の探求心のひとつ」


(‘_L’)「理解できません」


( ´_ゝ`)「俺も。お前がどこに属していて、どうしてここを離れたのか
分からない。」


(‘_L’)「……」


( ´_ゝ`)「探求心だ。俺はまだ外を知らない。おまえはどうやってここへ来てどこに行くんだ?」


(‘_L’)


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155 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:50:34 ID:ONPZ5VOE0



「ここに居るのに何の感知もされないってことは登録されてないんだろ?
未登録なんてありえない。だれかの所有でしかないのに。」


(‘_L’)「……」



( ´_ゝ`)「なあ、教えてくれよ。お前はどうやって“そう”なったんだ?俺はまだできないんだ」


(‘_L’)「……故意ではありません」



そう呟いて、逃げるように部屋を去った。


必要もないのに止まるべきでなかったのに、耳を傾けてしまったのは男があまりにも必死に思えたからだ。

表情に変化はないのに、フィレンクトは内情がよくわかった。


彼がなぜここに居るのか分からない。

自分たちのような者には最も向かない仕事。配属されたからには何らかの理由があるはずだ。彼はそれを探している。

役割を振られ、それを全うすることは喜びで、呼吸するように当然の物事だった。


胸がざわざわする。

自ら頭を吹き飛ばしたときの感覚に似ている。

それは不安で、フィレンクトが男に共感したことの事実だった。


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156 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:51:26 ID:ONPZ5VOE0


彼は部品の一つに成りきれていない。歯車として齟齬を起こしている。

それがあの奇妙な人格の形成へと成長したのかもしれない。


フィレンクトは直線で居られる。まだ、柔らかく崩れることはない。

命令をくれる人、ジョルジュが居るかぎり。

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157 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:52:24 ID:ONPZ5VOE0






( ´_ゝ`)「……下手くそ」


首の折れた死体。

手際はいいが、殺すまでに時間があるマニュアルすぎるやり方。

もう少し自己流を考えた方がいい。殺しの仕方ひとつで簡単に癖は見抜かれる。

制御システムを復旧させて、カメラの映像を見た。


笑ってしまった。

侵入者は、所属するチームの顔をしてチェックをクグり抜けている。まるで解雇された社員が、当然のように社内を歩き回る様と変わらない。



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158 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:53:04 ID:ONPZ5VOE0



( ´_ゝ`)「ねえ、実験するなら教えてくれよ。それともアレ想定外?」



そう呟いてカフスを握る。すると耳元の通信機から返事が入った。


「……しばらく回線が切れていたな。何があった?」



( ´_ゝ`)「とぼけんなって。俺だって経過中なのに。面白そうなことしてるみたいじゃん」



「フリーのシリーズでも見たか?経緯を教えろ」




( ´_ゝ`)「やだ。応援するもん。何すんのか分からないけど。」




「……どのみち何も変わらん。お前はまだ正規じゃない。その言動が許されるのは結果次第だと言うことを忘れるな」


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159 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:53:53 ID:ONPZ5VOE0



( ´_ゝ`)「そういわれても俺は俺以外の何者にもなれないさ。そう望んだくせに、いきなり路線変更はむずい。」



( ´_ゝ`)「でも言わないって反抗した分成長してるだろ?」

「……口がうまくなったな。その調子で会話を続けろ。まともには見られるように」



( ^ν^)「いざという時の切り替えが重要なんだ。それさえできればいつでもお前を使える」


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160 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:54:47 ID:ONPZ5VOE0










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161 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:56:01 ID:ONPZ5VOE0










('、`*川「あれ、どこ行ったの?」


  _
( ゚∀゚)「書庫を漁ってる」



('、`*川「何してんの?」

  _
( ゚∀゚)「建築関連の本、読んでる。俺としちゃ上階爆発させりゃいいと思ってたんだが、それだけじゃビルって崩れないもんらしい。

どうせなら派手にいきたいって言ったら
どこが最短でうまく崩れるかを調べてる」


('、`*川「ふうん。じゃあそこが最後の場所になるのね。盛大な花火だこと」


  _
( ゚∀゚)「…………」


('、`*川「……なによ、今更おじけづいたの?」


  _
( ゚∀゚)「いや、」

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162 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:57:15 ID:ONPZ5VOE0



('、`*川「絆されることないわよ。本当ならさっさと処分できたのに。誰かさんがうまい言い訳作っちゃってさ」

  _
( ゚∀゚)「……言い訳?」



('、`*川「なによ無意識?気づいてないフリは許さないわよ。あいつがいなきゃこんな特攻みたいな真似、しなかったのに」

  _
( ゚∀゚)「……」


('、`*川「今世紀最大のテロ事件になるわね。マスメディアも報道しないわけにはいかないわ。

どうせ操作された記事にしかならないけど、外国人が死ねばそれなりに他国は関心を持つ」


('、`*川「ジャーナリストが入国してこればこっちのもんよ。
企業独占なんて腐るほどある話だけどあいつらはやりすぎた。」


('、`*川「って、言い訳。」


  _
( ゚∀゚)「誰かがやるべきだ」


('、`*川「ええそうね。今までは仕掛けるにも手が届かなかった。

それが突然、おかしいと思わない?

あんな異常な、あきらかに洗脳された企業兵士が懐いてくるなんて。」

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( ゚∀゚)「……演技には見えないな。もう少し弾が大きかったら、死んでた」


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163 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:59:06 ID:ONPZ5VOE0

('、`*川「でも躊躇しなかったでしょ?
そういう事がふつうにできる生き物なのよ。

生存本能を理性で管理してるわけじゃない。無くしてるの。

生物として圧倒的に低級なのよ。

あたしはあいつよりアンタが怖い。言ってやればいいじゃない。“要らない”って」

  _
( ゚∀゚)「……」


('、`*川「簡単に発狂するわ。そもそも一人で行かせればいいのよ。できるだけ殺してこい、って。実行するわ。アンタの命令だったら何でも」

  _
( ゚∀゚)「……せっかく手に入れたんだぞ。そんな事すりゃ回収されちまうだろ」

('、`*川「どうだか。そもそも主人を無くして生きてることがおかしいのよ。

個人登録している武器を他人が勝手に扱えるなんて欠陥もいいトコじゃない」

  _
( ゚∀゚)「……前も聞いたがずいぶん詳しいな。おまえ、何を知ってるんだ?」


('、`*川「教えない。あいつが死んだら教えたげる」

  _
( ゚∀゚)「なんでお前のほうがそこまで嫌う?そのくせ構ってるじゃないか」


('、`*川「……」


ペニサスは伺うようにジョルジュを見た。

勝ち気な彼女の表情が、そのときは暗く、さざめきのない水面のように思えた。


('、`*川「怖いの」


言葉とは裏腹に、硬いこえ。

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164 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/27(月) 23:59:49 ID:ONPZ5VOE0



('、`*川「お願いだから絆されないで。

心を許したりしてはだめ。

あれはあんたが思うような奴じゃない。

懐いてるんじゃない、それが正しいと思うから行動してるだけなの。

あんたは勝手に身代わりにされてるだけ。ちゃんと使い切ったら殺しなさい。約束して」


  _
( ゚∀゚)「買いかぶりだ。俺はそこまで大事に思ってない」


('、`*川「じゃあ誓えるでしょ?あの子を殺したのよ。

忘れられるほど大人じゃないし、許せるほど子供じゃない」



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( ゚∀゚)


「わかってる」

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165 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/28(火) 00:00:33 ID:WubQ7zgo0


('、`*川「違う、知ってるだけ。理解はしてないのよ。
それが怖いの……怖いのよ……」


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( ゚∀゚)「……俺は言われるほど同情なんてしてないぞ。あいつがどれだけおかしくて危険かなんて十分承知してる」


('、`*川「…………あんたの欠点はね、全部飲み込んじゃうとこなの。
だからあの男も殺せなかったんだと思う」


  _
( ゚∀゚)「……奴の事は言うな。俺の汚点だ」


('、`*川「怒るのは当然よ。ただあんた自身、納得してないし許せないけど、いつか時間が立てば、きっと絆されてた。

だってあの男がそうなんだもん。命令に背けなくて、ただ遂行することもできなくて。」


('、`*川「……だからきっと」


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( ゚∀゚)「やめろ、聞きたくない」
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166 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/28(火) 00:06:18 ID:WubQ7zgo0


('、`*川「ここじゃない別の国だったら、きっと家族を作れてた。ナンバーズは研究対象として許可が降りていたはずよ。いくつかの例があるもの。みんながみんな、簡単に捨てられるわけじゃ、」



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( ゚∀゚)「ペニサス」

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( ゚∀゚)「もしも、は無い」

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( ゚∀゚)「俺が殺した」


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