(´・ω・`)マーケティング・ライブラリアンのようです

「ゲイ」

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214 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 20:55:16 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(゚、゚トソン「ショボンさん」
 
(´・ω・`)「は、はい」
 
 
 
 
 
 
 
 
(゚、゚トソン「読みます」
 
(´・ω・`)「!」
 
(゚、゚トソン「全巻、貸してください」
 
(´・ω・`)「!!!」
 
 
 
 
 
.

215 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 20:55:58 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
 
(´^ω^`)「え、……」
 
(´・ω・`)「ほ……ほんとうかい? ほんとうかい!!?」
 
(゚、゚;トソン「な、なに…?」
 
(´・ω・`)「確定だよね!? 冷血非道のときとは違って、確定なんだよね!?」
 
(゚、゚;トソン「か……確定、……ですが………」 ボソボソ
 
(´^ω^`)「や………っ」
 
 
 
(´;ω;`)「やったあああああああああああああああっ!!!」
 
(゚、゚トソン  ビクッ
 
(´;ω;`)「見たか、兄貴いいいいいいいいっ!!! 僕は、勝ったんだああああ!!」
 
(゚、゚トソン
 
(゚、゚トソン「え、ちょ」
 
(゚、゚トソン
 
 
(゚、゚トソン「まだ張り合ってたの?」
 
 
.

216 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 20:57:00 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´^ω^`)「ど、どうして借りようと思ったんだい!?」
 
(゚、゚トソン「どうして、って……」
 
(´・ω・`)「正直……今まで、ほとんど借りようとしてくれなかったじゃない」
 
(´・ω・`)「借りようかなーとは思っても、『また今度』『機会があったら』ってな感じだし」
 
(´・ω・`)「……途中で、紹介するのやめようかな、とすら思ってたんだよ、僕」
 
(゚、゚;トソン「え、ええと……」
 
(´・ω・`)「?」
 
(゚、゚トソン「わ、笑いませんか?」
 
(´^ω^`)「わ、笑わないよ!」
 
(゚、゚トソン
 
(´^ω^`)
 
(゚、゚トソン
 
(´・ω・`)
 
(´・ω・`)「どうぞ」
 
 
.

217 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 20:57:41 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(゚、゚トソン「……私、実は、中身がムジュンしてたんです」
 
(´・ω・`)「ムジュン?」
 
(゚、゚トソン「面白い作品を読みたい、とは日々思っている。これはほんとうなんです」
 
(゚、゚トソン「が、いざオススメを聞いても、面白いって聞いても、話題になってても。
.      読もうとは思いつつも、いざページを開いた作品は、はっきり言ってほぼゼロだったんです、最近」
 
(´・ω・`)「…」
 
 
(゚、゚トソン「なんだか、漠然とオススメとか、面白いとか聞いても、読もうとは思えない」
 
(゚、゚トソン「そのオススメだの、面白いだのは、所詮、主観じゃないですか」
 
(゚、゚トソン「せっかく時間をつぶして読んでも、それが私自身の主観とあわなかったら、むしろ損した気分になる」
 
(゚、゚トソン「その損した気分というのとそのとき読んだ本の間に因果関係はないはずなのに、
.      どうしても、この作品がつまらなかったから自分は時間を無駄にしたんだ、って気になっちゃうんです」
 
(´・ω・`)「……」
 
 
.

218 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 20:59:44 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(゚、゚トソン「過去に……学生時代に、何度もオススメは聞いてきたし、読みもしました」
 
(゚、゚トソン「でも、だいたいが、そうでもないなあってものばっかりで」
 
(゚、゚トソン「すると、私、実は自分の眼ってかなり肥えてるんじゃあないかなあって」
 
(゚、゚トソン「よっぽど面白いものじゃないと自分を満足させられない、
.      人に聞いたオススメ程度の作品なんかじゃあ、満足できない」
 
(゚、゚トソン「そう錯覚するようになってたんですよ」
 
(´・ω・`)「…」
 
 
(゚、゚トソン「自分で読んでみないと、自分に合った面白い作品は見つけられない」
 
(゚、゚トソン「でも、もし合わなかったらと思うと、時間の件といい、錯角の件といいで……」
 
(゚、゚トソン「この二つがぶつかり合うせいで、最近、新しい、未読の作品なんてほとんど読んでこなかったんです」
 
(゚、゚トソン「過去に読んで面白いと思った本ばっかり、読んでました」
 
(゚、゚トソン「だから……正直、紹介をいくら聞いても、借りよう、読もうとは思わなかった」
 
(゚、゚トソン「ただ、そんな作品もあるんだ、へえって感じで、受け流してた」
 
 
.

219 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:00:25 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「……僕の紹介だけじゃあ、
.      その主観どうこうの話に引っかかってしまってたんだね」
 
(゚、゚トソン「だからですよ」
 
(´・ω・`)「え?」
 
 
 
 
 
(゚、゚トソン「今までの作品の紹介は、あらすじだけだったり、それっぽいことばっかりで」
 
(゚、゚トソン「漠然とした、抽象的なことが多かったり、全体的に中身が薄かったりだったのに」
 
 
 
(゚、゚トソン「今回、初めてたくさんの魅力、面白さ、見所を紹介してくれたじゃないですか」
 
 
 
 
.

220 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:01:18 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「…!」
 
(゚、゚トソン「導入からはじまって、主要人物の紹介から魅力、
.      アルファベットという世界の設定だけじゃなくてその膨らみ、厚み。
.      裏切りだの死亡だの、読む楽しみを奪いかねないことまで言ってくれたし」
 
(゚、゚トソン「そこまで言われちゃうと、自分のなかで、
.      読んでもないのにその話の世界を想像しちゃうんです」
 
(゚、゚トソン「その想像でできた世界ですが、自分で言うのもアレだけど、すごく、面白い。
.      断片だけをつなぎ合わせた世界がこうなんだったら、ホンモノはどうなんだろう。
.      この作品だったら、自分の肥えているかもしれない眼が潤うかもしれない」
 
(゚、゚トソン「……高慢ではありますが、そう思ったんです」
 
(´・ω・`)「……」
 
(゚、゚トソン「今までの紹介は、それだけじゃあ、読むのがコワかったんです」
 
(゚、゚トソン「どうとでもとれる雑な紹介なんか聞かされて、
.      それで自分のなかで高みの理想を創りあげて、
.      読んだらそのギャップにやられて、つまらないと錯覚してしまう」
 
(゚、゚トソン「でも、今回は、必要以上に高い理想を組み立てることはなさそうなんです。
.      具体的なことばっか言われたから、自分のなかで勝手に
.      『これは想像を絶する面白さなんだ』とかそういったイメージが出来上がることはないだろうから」
 
 
.

221 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:01:59 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「……そう、か」
 
(゚、゚;トソン「た、たぶん、私だけですよ? こんな考え方してるの」
 
(´・ω・`)「いや。そう言われると……自分にも覚えがある」
 
(゚、゚トソン「え?」
 
(´・ω・`)「自分が気に入った作品を他人にも読んでもらいたいがために、
.      必要以上に面白いだの、オススメだのをただ漠然と言ってしまったことだよ」
 
(´・ω・`)「自分が気に入ったのは偶然で、その作品に絶対的な面白さがあるわけじゃあないのに。
.      あたかも、それが絶対的な面白さを持っているように言って、オススメしたんだ」
 
 
 
(´・ω・`)「根拠を、自分の感性や、名作なんて肩書きに丸投げして、ねえ」
 
(゚、゚トソン「あっ…」
 
 
 
   (´・ω・`)『借りるでしょ? これ、有名作だし』
 
   (´^ω^`)『読まないと損をする名作なんだ。読まないとだめだよ、うん』
 
   (゚、゚トソン『有名だから、読むべき』
 
   (゚、゚トソン『人気だから、読むべき』
 
   (゚、゚トソン『……そんなの、私、だいっきらいなんですけど』
 
 
.

222 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:03:31 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「作品を誰かにオススメするとき、ほんとうは紹介じゃなくて、感想としてオススメするのがいいんだよ」
 
(´・ω・`)「ネタバレなしの感想だなんて難しいけど、魅力だの、欠点だのが、あらすじ含めて全部、わかるからね」
 
(´・ω・`)「それが主観に基づいたものだとしても、ただ淡々とあらすじとかが書かれるよりは、
.      ずっと、その作品を読むかどうか選ぶ基準にはなる」
 
(´・ω・`)「感想なんて主観性のかたまりなんだから、客観性を追求する紹介よりは難しいけど。
.      読む基準としては、主観であっても感想から本を選んだほうがよっぽど建設的だ」
 
(゚、゚トソン「…そうしないんですか?」
 
(´・ω・`)「これは言い訳になるかもしれないけど……
.      場所がない、んだよ」
 
(゚、゚トソン「場所?」
 
 
(´・ω・`)「昔は、本の感想は、レビューとかに書かれていた」
 
(´・ω・`)「でも、いま、レビューだの口コミだのは、ほとんど廃れてる」
 
(´・ω・`)「感想が、書かれなくなったんだ」
 
(゚、゚トソン「どうしてですか?」
 
 
 
 
(´・ω・`)「それが、主観性に満ち溢れてるからだよ」
 
(゚、゚トソン「…!」
 
 
 
.

223 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:04:16 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「主観性に満ち溢れてるから、絶対、少なくとも何人かの人とは意見が食い違う。
.      両者ともにものの分別ができる人ならいいんだけど、そうとは限らない」
 
(´・ω・`)「自分が好きな作品に対して、感想という形でマイナス点が指摘されているのを見ると、
.      平生じゃあ思考のまともな人でも、つい、カッとしてしまうことがある。僕だってそうだ」
 
(´・ω・`)「で、そこから程度はどうであれ諍いに発展することが、なくはない」
 
(´・ω・`)「だから、最近じゃあ、感想とは名ばかりの、当たり障りのない紹介ばっかが書かれるんだ」
 
(´・ω・`)「それが、トソンちゃんがさっき言ったことにつながるんだと思う」
 
(゚、゚トソン「……」
 
 
.

224 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:04:57 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「いい感想に悪い感想、すべてをひっくるめて感想だ」
 
(´・ω・`)「だから僕は、人に本を貸したり紹介するときは感想を言ってくれ、って言ってるんだ」
 
(゚、゚トソン「あっ…」
 
 
 
   (´・ω・`)『その代わり、読んだら、感想なんかを聞かせてくれるとうれしいな』
 
 
 
(゚、゚トソン「(……だから、か)」
 
(´・ω・`)「どうしたの」
 
(゚、゚トソン「なんでも」
 
(´・ω・`)「は、はあ…」
 
 
.

225 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:05:37 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「……なにはともあれ」
 
(´^ω^`)「それでいて本を読もうと思ってくれたのは、嬉しいことだ!」
 
(´・ω・`)「ちなみに、アルファを読もうと思った理由はなんだい?」
 
(゚、゚トソン「え、えっと、」
 
(゚、゚トソン「戦い以外のところにも厚みがあるってのがいいなあって。
.      ……120話ある長編なんだし」
 
(´^ω^`)「おお、そうだともさ!」
 
(゚、゚トソン「やっぱり、恋愛だったり、喧嘩だったりもあるんですか?」
 
(´^ω^`)「あるともあるとも! そりゃあ、もっちゃり!」
 
(゚、゚トソン「ちなみにショボンさんは、どんなところが好きでした?」
 
(´^ω^`)「僕かい? 僕はそりゃあ、あそこだよあそこ!」
 
(゚、゚トソン「あそこ?」
 
(´^ω^`)「言うまでもなく、」
 
 
.

226 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:06:20 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ※警告!
 
 「( ^ω^)ブーンがアルファベットを武器に戦うようです」を未読の方で
 オブラートであれネタバレは絶対に嫌だ、とお思いの方は、
 この作品を読了後に、続きをお読みいただけるようお願いします。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

227 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:07:09 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(´^ω^`)「―――――が、裏切ったシーンさ!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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228 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:07:49 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
 
(゚、゚トソン「        」
 
(´^ω^`)
 
 
 
(´^ω^`)「     ……」
 
(;´^ω^)「……………」
 
( ;´゚ω゚)「………ッッ!!!」
 
 
 
(゚、゚トソン「    」
 
(゚、゚トソン「  え  ……? 」
 
 
.

230 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:08:49 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
( ;´゚ω゚)「―――ち、違う! あいつじゃなくて、裏切ったのは、え、ええと……」
 
( ;´゚ω゚)「そ、そう! 名わき役となる、え、ええと、フル=ヌードだ!」
 
(゚、゚トソン「・・・・うら・・ぎるの・・・?」
 
( ;´゚ω゚)「裏切るよ!? フル=ヌードが!!」
 
(゚、゚トソン「   ・・・  ・ ・   え 。」
 
( ;´゚ω゚)「忘れて! いまのは違うんだ! そ、そのッ……!!」
 
(゚、゚トソン「そ、その、……」
 
:(゚、゚トソン:「えっと………え……っ」 フルフル
 
:( 、 トソン:「う、裏切る……んだ………?」 フルフル
 
( ;´゚ω゚)「ちがッ――――」
 
 
.

231 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:10:03 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
:(;、 トソン:「  ……… ……。」 フルフル
 
:(ぅ tトソン:「……や……やっと、面白そうだな、って思った本、…なのに……」 フルフル
 
( ;´゚ω゚)「……」
 
(;´・ω・)「……」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(;´-ω-)「………………ごめん。」
 
 
.

232 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:10:56 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(;、;トソン「―――なにが、ごめん、なんですか!! 返してよ、私の楽しみを!!」
 
(;´-ω-)「……」
 
(;、;トソン「や、やっぱり、ネタバレサービスなんて、ばかげたことをするつもりだったんだ! 最初から!!」
 
(;´-ω-)「……」
 
(;´・ω・)「………それは、違う」
 
(;、;トソン「なにが違うんですか!」
 
(;、;トソン「ネタバレされたほうの気持ち、わかってるの!?」
 
(;、;トソン「た、たのしみとか、わくわくとか、」
 
(;、;トソン「そんなものが、全部、なくなるんですよ!!」
 
(;、;トソン「い、家で、ゆっくり読むのが、楽しみだったのに!」
 
 
(;´・ω・)「……」
 
(;´・ω・)
 
(;´-ω-)
 
 
.

235 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:12:40 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
 
 
 
 
 
(;、;トソン「もう読まない!」
 
 
 
(;、;トソン「名作だろうと面白かろうと、」
 
 
 
(;、;トソン「ぜったいに、読まない!!」
 
 
 
(;、;トソン「もう、金輪際、本なんて読まない!!!」
 
 
 
 
 
 
 
.

236 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:13:33 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
 タタタッ…
 
 バタン
 
 
 
(;´・ω・)「あっ…」
 
(;´・ω・)
 
(;´・ω・)「………」
 
(;´・ω・)「…………」
 
(´・ω・`)「………………」
 
 
 
(´・ω・`)「……ネタバレされたほうの気持ち、か……」
 
(´・ω・`)「………されたことがないもんだから……考えたこともなかったな」
 
 
 
 
 
(´・ω・`)「は、ははは。」
 
(´・ω・`)「司書、やめるかなあ」
 
 
 
.

237 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:14:17 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
 
 
 
 
 
 バタン
 
 
(;´・ω・)「! トソっ―――」
 
(`・ω・´)「……やっぱり」 ヌッ
 
(´・ω・`)「! ……兄貴」
 
 
(`・ω・´)「いま、ここから飛び出していってたのは……彼女だったのか」
 
(`・ω・´)「なにかあったのか、ショボン」
 
(´・ω・`)「……いやあ。はっはっ。ちょっとね」
 
(`・ω・´)「読む楽しみでも奪ってしまったのか?」
 
(´・ω・`)「!」
 
 
.

238 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:15:10 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(`・ω・´)「やっぱりな」
 
(`・ω・´)「読書が好きな子が泣くのは、感動したときか失望したときだ」
 
(`・ω・´)「いまのあの子の涙は、後者だったからな」
 
(´・ω・`)「なんだ、嫌味か?」
 
(´・ω・`)「本を好きにさせる立場が、本を嫌いにさせたのってのによ」
 
(`・ω・´)「いいや。昔を思い出しただけさ」
 
(´・ω・`)「昔?」
 
 
(`・ω・´)「まだ、私がオムライスにいたときのことだ」
 
(`・ω・´)「本が好きな恋人がいたのだが……」
 
(`・ω・´)「些細なことで彼女の読書好きをぶち壊してしまってなあ」
 
(`・ω・´)「なにも考えないで言った一言で、本そのものまで嫌いにさせてしまったんだ」
 
(´・ω・`)「……兄貴に彼女なんていたっけ」
 
(`・ω・´)「昔の話さ」
 
 
.

239 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:15:58 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「で、それからはどうなったんだ」
 
(`^ω^´)「いやあ、はっはっ。わからないんだな、それが」
 
(´・ω・`)「わからない?」
 
(`・ω・´)「どこで住んでいるのかも、なにを食べているのかも、誰と付き合っているのかも。
        いまとなっちゃあ、もうただの他人さ。ただ嫌われているだけの、ね」
 
(´・ω・`)「………そうか」
 
 
(`・ω・´)「……このままほっておいたら、あの子は二つのものを失うぞ」
 
(`・ω・´)「ショボンとの仲と、本への愛好だ」
 
(`・ω・´)「それで、いいのか?」
 
 
.

240 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:17:24 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「かまわないよ」
 
(`・ω・´)「……!」
 
 
(´・ω・`)「むしろ、今、あの子になにか言うほうが間違っている。
.      これもまた一つの運命だったと思って、甘受するさ」
 
(`・ω・´)「………」
 
(`・ω・´)「それで、いいのか? おまえのことはともかく、読書嫌いにさせたままにするのは……」
 
(´・ω・`)「いいさ。もう司書でなくなるんだから、僕は」
 
(`・ω・´)「なに?」
 
 
.

241 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:18:04 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「そろそろ閉めようかなあ、って思ってたんだ、僕も」
 
(´・ω・`)「読む人がいるからこそ、本は生きるんだ。
.      で、本が生きているからこそ、僕がいる」
 
(´・ω・`)「読む人がいないんじゃあ、読み物なんておしまいだよ。
.      いつまでも過去の産物にすがりついてちゃあ、だめだ」
 
(`・ω・´)「……」
 
 
 
(´^ω^`)「………じゃあ、市のほうに届出出してくるよ」
 
(`・ω・´)「私が司書を引き継いでやってもいいのだが」
 
(´^ω^`)「え、あんたが? ぶっひゃひゃひゃ!」
 
(´^ω^`)「司書は、野球選手と同じくらいなるのが難しいんだよ。諦めなって!」
 
(`・ω・´)「………、……そうか」
 
(´^ω^`)「そうだともさ!」
 
 
.

242 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:18:55 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
(´・ω・`)「……閉館手続きって、どれくらいかかったっけな」
 
(`・ω・´)「おまえにわからないことを私が知ってるとでも?」
 
(´・ω・`)「そうだな。まあ、届出出すときについでに聞いてみるさ」
 
(´・ω・`)「そうと決まったら、さっそく行くか」
 
(`・ω・´)「今日行くのか?」
 
(´・ω・`)「一週間ほど家でゆっくりしてから、のんびり行くさ」
 
(`・ω・´)「そうか」
 
 
 
 
 
 
(´^ω^`)「………じゃあな、兄貴」
 
(`・ω・´)「ああ。じゃあな、ショボン」
 
 
 
 
 
.

243 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 21:19:54 ID:D8MwDOUQ0
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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