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137 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:22:41 ID:D8MwDOUQ0
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
( ・∀・)君だけが僕の天使のようです(゚、゚トソン
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(゚、゚トソン「…? ちょっとタイトル全部見せてくださ…」
(´・ω・`) !
□ミ
(´^ω^`)∩ ヒョイ
(゚、゚トソン「あっ…」
.
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138 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:23:25 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)「これは、まず世界観から紹介しなくちゃあいけない」
(´・ω・`)「舞台は、まさしく非合法で溢れかえるところだ」
(゚、゚トソン「非合法?」
(´・ω・`)「ドラッグだったり、悪徳商法だったり、酒だったりオンナだったり」
(´・ω・`)「そんな、まさに好きな人にとってはそれだけでとっつける舞台となってる」
(゚、゚トソン「…」
(´^ω^`)「で、だ」
(´・ω・`)「主人公モララーには、絶望しかない」
(´・ω・`)「超安月給で、超危ないシゴトをやらされている。
. トラブルに見舞われるのなんてしょっちゅうで、光るものなんて何一つない毎日だった」
(゚、゚トソン「人間、堅実が一番ですよ」
(´・ω・`)「(クビになっといてよく言うなあ)」
.
-
139 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:24:09 ID:D8MwDOUQ0
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(゚、゚トソン「それはそうと……『だった』?」
(´・ω・`)「ある日、例によってばったもののコートを訪問販売で売っていた。
. 今回の商売相手は、玄関先でライフルなんて掲げているばあさんだった」
(´・ω・`)「そのばあさんもまあおつむのなってない、まさに世界観に合っている人でね。
. いやらしい笑みを浮かべながら、そのコートを買うことにしたんだ」
(´・ω・`)「めったに品物の売れないモララーにとっては、これは嬉しい展開だった。
. だが、人生、そううまくいくもんじゃあなかった」
(´・ω・`)「ばあさんは、金は払わなかったんだ」
(゚、゚トソン「…え?」
(´・ω・`)「代わりに、ばあさんが支払いに使おうと思ったものはなんだったか」
(´・ω・`)「……いたいけな、少女」
.
-
140 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:24:49 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「!」
(´・ω・`)「わかったね? モララーは、男。つまりは、そういうことだ」
(´・ω・`)「だが、モララーはそこでその餌にかかるほど頭のゆるい男じゃあなかった。
. むしろ、その少女の無垢なさまを見て、彼女に同情的になった」
(´・ω・`)「一目見て、モララーは、彼女を守ろうと決意した。
. このお人よしなところをモララーは日々自分で嘆いているが、
. しかしそのお人よしこそが、この物語の歯車となっているに違いない」
(゚、゚トソン「…」 コクコク
(´・ω・`)「そんなある日、モララーは捕まった」
(゚、゚トソン コクコク
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「…」
(゚、゚トソン「は?」
.
-
141 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:25:31 ID:D8MwDOUQ0
-
(´^ω^`)「いやあ。まあ、なにが理由かはさておいて、だ」
(´・ω・`)「当たり障りのない日々を求めていたモララーにとって、留置所行きはこの上ない悪夢だ。
. これも、読めばわかるが、実にいい描写がされている」
(゚、゚トソン「捕まったら、もうおしまいじゃないですか」
(´・ω・`)「奥さんからの助けは望み薄だし、上司が気を変えるのを願うしかない。
. つまり、八方手ふさがりだ。誰かが保釈金を持ってこない限りは、ね」
(゚、゚トソン「じゃあ…脱走劇のはじまり、とか?」
(´・ω・`)「それはそれで面白そうだ。だが、モララーはそんな非効率的なことをする男じゃあない」
(゚、゚トソン「じゃあ…」
(´・ω・`)「答えは簡単」
(´・ω・`)「あのときの無垢な少女が、お金を持ってきたんだ」
.
-
142 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:26:11 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「…え?」
(゚、゚トソン「少女って、つまり成人してないですよ、ね」
(゚、゚トソン「どうやってお金を用意したんですか」
(´^ω^`)「それが、この話のキーポイント!」
(´^ω^`)「当然、きみと同じようにその点が気になったモララー!
. それに対して、少女はなんと答えたか!」
(´・ω・`)「モララーは耳を疑ったよ。なんたって、」
(´・ω・`)「ばあさんが数え切れないほどの大金を持っていたみたいなんだから」
.
-
143 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:26:53 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「! じゃあ、彼女が持ってきたお金は…!」
(´^ω^`)「そうだとも! その、ばあさんのお金をちょろまかしたわけ!」
(´・ω・`)「さて、この大金をめぐって、モララーはなにをどうしてどうなるのか!
. 少女の行く末は? ばあさんは? 上司にお得意先に奥さんに!」
(´・ω・`)「各人のどす黒い心と狂気に満ちた、サスペンス作品!
. 予想外の展開に巧みな伏線回収! 初見じゃあ思わずぞくぞくするだろうね」
(゚、゚トソン「ぞくぞく…」
(´^ω^`)「これは、冷血非道ほど名の通った作品じゃあないが、いや、だからこそオススメしたい!
. 元ネタありみたいだが、それにしてもとにかく面白いんだからね」
(´・ω・`)「この一冊のなかには、様々な面白さが詰まっている。
. 特出してるのが、人間の心の黒さだ。それは、最後まで読めば、絶対にわかる」
(´・ω・`)「読んでいるこっちが狂ってしまいそうなほどには、ぶっ飛んでいる。
. 特に、最後のモララーのあのセリフには、ぐさっときたね。心が、これまたがりがり抉られた」
(゚、゚トソン「がりがり…」
.
-
144 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:28:13 ID:D8MwDOUQ0
-
(´^ω^`)「ちょーーっと紹介しすぎちゃったかな? とにかく、紹介は以上だ!」
(゚、゚トソン「…」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「(結局、タイトル全部見てないや…)」 スッ
(´^ω^`)「これは、この出版社の短編のなかでもかなり面白い」
(´^ω^`)「起承転結がはっきりしてるし、テンポがいい。
. キャラも立ってるし、世界観がまるで崩されてないから、飲み込まれやすい」
(´^ω^`)「その上で伏線回収から整合性から心が抉られたり手に汗握ったり……
. モララーの葛藤が随所随所で描かれているのもまたいいところだね」
□と(゚、゚トソン
(´・ω・`)「そんなわけで僕はこれをイチオシしたいわけだけど、え、なに、なんで本持ってんの!?」
.
-
146 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:28:53 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「ショボンさん」
(´・ω・`)「は、はい」
(゚、゚トソン「その少女って、つまり、売春に使われてたってことですよね」
(´・ω・`)「そ、そうですが…」
(゚、゚トソン「で、タイトルの少女が、その人にあたる、と」
(´・ω・`)「え、えっとだね、その、」
(゚、゚トソン「なんですか。私がそう簡単に股を広げるオンナって言いたかったんですか」
(´゚ω゚`)「違うって! いや、だからタイトル見せなかったんじゃないか!」
(゚、゚;トソン「し、しかも、天使! 私が、ですか!」
(´゚ω゚`)「いや、あんたじゃねーし! ドッペルゲンガー的なあれだし!」
.
-
147 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:29:34 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「とにかく、例によって借りません」
(´・ω・`)「例になってるんだ…」
(゚、゚トソン「紹介を聞く限りじゃあ、合いそうにありませんでしたしね」
(´・ω・`)「そ、それだったらしかたないんだけどさ。え、えぇぇ…?」
(゚、゚トソン「てなわけで、次」
(´・ω・`)「あのねえ。そんな食わず嫌いだったら…」
(゚、゚トソン「いままで紹介してない新しいジャンルだったらいいじゃないですか」
(´・ω・`)「そんなねえ、新しいものなんて……、……!」
(゚、゚トソン「…?」
.
-
148 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:30:18 ID:D8MwDOUQ0
-
(´^ω^`)「あ、あった! そうだ、この手の作品はまだ紹介してない!」
(゚、゚トソン「え、え…? あったの?」
(´・ω・`)「なにがっかりしてんだよ」
(゚、゚トソン「一応聞くと……そんなジャンルなんですか」
(´^ω^`)「これはだねえ。ズバリ一言で言うと……」
(´・ω・`)「ロボット」
(´・ω・`)「それも、少年なら憧れるであろう、巨大ロボットだ」
.
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149 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:30:59 ID:D8MwDOUQ0
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( ^ω^)は巨大ロボットを操縦するようです
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(゚、゚トソン「巨大ロボット……」
(´^ω^`)「マジスカーZ、好きだったなあ」
(゚、゚トソン「あれ。そんな名前でしたっけ」
(´^ω^`)「たぶん」
.
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150 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:31:41 ID:D8MwDOUQ0
-
(´・ω・`)「とにかく、だ」
(´・ω・`)「巨大ロボット」
(´・ω・`)「コックピットに乗り込んでは、その超合金の四肢を動かして、悪と戦う」
(´・ω・`)「レーザーを撃ったり、ミサイルを撃ったり、空を舞ったり」
(´・ω・`)「そんな、子供たちの憧れ、巨大ロボットを主題に据えたのが、この作品だ」
(゚、゚トソン「じゃあ、例によって主人公がロボットにのっては戦うんですか?」
(´^ω^`)「え? いや?」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「え?」
.
-
151 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:32:42 ID:D8MwDOUQ0
-
(´・ω・`)「主人公……主人公『たち』は、少なくとも
. アフロだの、オコリだのといった少年みたいなアレじゃあない」
(゚、゚トソン「というと?」
(´^ω^`)「幻滅しない?」
(゚、゚トソン「幻滅しない」
(´・ω・`)「……秘密株式会社内藤重工」
(´・ω・`)「言ったら、ただの貧しい会社なわけさ」
.
-
152 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:33:22 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「ゲンメツ」
(´・ω・`)「あってめえ!!!」
(゚、゚トソン「嘘ですよ。……で、なんなんですか、その会社」
(´^ω^`)「よくぞ聞いてくれた」
(゚、゚トソン「怪獣と戦わないで、ロボットを作り続けるんですか?」
(´・ω・`)「語弊があるな。いや、怪獣と戦うっちゃあ戦うんだよ」
(゚、゚トソン「あ、そうなんだ」
(´・ω・`)「そうだな。まずは舞台設定から説明したほうがいいだろう」
(゚、゚トソン「お願いします」
.
-
153 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:34:03 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)「時代ははるか未来」
(´・ω・`)「突如として地球に現れた謎の存在『怪獣』の攻撃により、人類は未曾有の大打撃を受けていた」
(´・ω・`)「次々に壊滅させられていく都市。逃げ惑う人々
(´・ω・`)「絶望の日々に終止符を打ったのは、ある『兵器』の登場であった」
(´・ω・`)「それは、全ての少年の夢と希望を具現化した、馬鹿げた『兵器』。そう……」
(´・ω・`)「巨大ロボット―――」
.
-
154 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:34:47 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「……なんだか、思ってたよりもまじめな感じd」
(´^ω^`)「―――ってのは、遠い昔なんだよな、これが」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「え?」
(´・ω・`)「確かに、怪獣は現れるようにあった」
(´・ω・`)「でも」
(´・ω・`)「そんな怪獣なんかよりも、人間様の科学のほうが強かったわけさ」
(゚、゚トソン「え」
(´・ω・`)「怪獣を駆逐するためのロボット」
(´・ω・`)「怪獣を駆逐するビジネス」
(´・ω・`)「もはやただの市場と変わらなくなったロボット産業で、
. 内藤率いるウンタラ会社がまあいろいろとがんばる作品だよ」
.
-
155 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:35:28 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「……子供たちの夢をなんだと思ってるんですか」
(´・ω・`)「だって、ビジネスになっちゃったら、そりゃこーなるでしょ! てか僕に言うな!」
(゚、゚トソン「ってことは、さっき言った『貧しい会社』ってのは…」
(´・ω・`)「……内藤たちの会社は、ロボット業界最王手の
. 『スギウラロボティクス』に食われていってるんだよねー」
(゚、゚トソン
(´・ω・`)「おかげで業績は毎年右肩下がり。給料日が楽しみにならないって体たらくさ」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン
.
-
156 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:36:11 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「…」
(゚、゚トソン「そんな状況で、どうやってロボット作るんですか」
(´・ω・`)「え? いや、つくらないよ?」
(゚、゚トソン「は?」
(´^ω^`)「つくらない……ってのは間違いかな」
(´・ω・`)「『つくれない』んだよ。財政が悪化の一途をたどってるから」
(゚、゚トソン「よくつぶれませんねえ」
(´・ω・`)「まあ、内職とかしてるみたいだし…」
(゚、゚トソン「内職」
.
-
157 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:36:53 ID:D8MwDOUQ0
-
(´・ω・`)「でも、つぶれないのはいいものの、財政はとんでもない赤字だ」
(゚、゚トソン「巨大ロボットを操縦する前に、まずそこをなんとかしないとだめじゃないですか」
(´・ω・`)「そこで、そういうのを担当する女性が言ったんだ」
(゚、゚トソン「え?」
(´・ω・`)「この会社が持っている唯一のロボット、歯車王」
(´・ω・`)「こいつ、売っちまおうぜ―――って」
.
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158 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:37:33 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「は?」
(´^ω^`)「こーこからがまた面白いんだ!」
(´・ω・`)「なにが面白いのって、少年たちの夢をことごとく潰すような設定と展開」
(´・ω・`)「魔王軍にスポットを当てた冷血非道みたいに、これもまた一風変わった作品なんだよ」
(´・ω・`)「だからこそ、妙な現実味があって、それが情けなくて、面白い」
(゚、゚トソン「あ、あの」
(゚、゚トソン「え、ええぇ………?」
.
-
159 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:38:14 ID:D8MwDOUQ0
-
(´^ω^`)「怪獣を駆逐する作品じゃあない!」
(´^ω^`)「子供たちの夢をつぶすかのようなキビシイ世界で、
. このままじゃあ食べていけない会社の面々が、どう生き抜くのか!」
(´・ω・`)「そんな、ユニークにしてコメディアスな作品、それがこれ。巨大ロボット」
(´・ω・`)「個人的には、この作者のギャグセンスにはなかなか光るものがあると思っている」
(゚、゚トソン「はあ」
(´^ω^`)「つまり、ちゃんと笑いどころが散りばめられているということさ。いいだろう?」
(゚、゚トソン「まあ、そこそこには」
(´^ω^`)「どう?」
(゚、゚トソン「借りない」
.
-
160 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:38:54 ID:D8MwDOUQ0
-
(´^ω^`)「……貸出期限は一週間ね」
(゚、゚トソン「いや、借りないって」
(´・ω・`)「なんで?」
(゚、゚トソン「あのね」
(゚、゚トソン「私、職がないってのに」
(゚、゚トソン「そんな、タイムリーにしてシビアな話なんか読んじゃったら、ほら」
(゚、゚トソン「いま、真顔ですが、内心、怒ってますよ」
.
-
161 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:39:34 ID:D8MwDOUQ0
-
(´・ω・`)
(´・ω・`)「ごめん」
(゚、゚トソン「わかればいいんです」
(´・ω・`)「あ、でも、面白いから、よかったら…」
(゚、゚トソン ギロッ
(´・ω・`)「ごめん」
(゚、゚トソン「わかればいいんです」
.
-
162 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:40:14 ID:D8MwDOUQ0
-
(´・ω・`)「そ、そっか〜〜〜」
(´・ω・`)「じゃ、じゃあ、そろそろ、アレ行っちゃうかあ!」
(゚、゚トソン「顔が笑ってないですよ」
(´^ω^`)「そ、そろそろ、アレ行っちゃおう!」
(゚、゚トソン「声も笑ってないです」
(´゚ω゚`)「断られるのが怖いんだよ! わかれよ、なあ!」
(゚、゚トソン「わかりました」
(´・ω・`)「ほんとかなあ」
.
-
163 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:40:56 ID:D8MwDOUQ0
-
(´・ω・`)「次は……そうだなあ」
(´^ω^`)「ミステリーな作品。ミステリーなら、トソンちゃんもイケる口だろ?」
(゚、゚トソン「えっと、……まあ」
(´・ω・`)「だったら、これは読んでおくんだ」
(゚、゚トソン「え?」
(´・ω・`)「最終回手前にして驚愕の休載」
(´・ω・`)「誰もが完結に絶望していた」
(´・ω・`)「だが……帰ってきた」
(´・ω・`)「やつが、帰ってきたんだ」
.
-
164 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:41:39 ID:D8MwDOUQ0
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( ^ω^)は十回死ぬようです
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(゚、゚トソン「……なんだか、確かにミステリーな感じはしますね」
(´・ω・`)「先に言っておこう。これも、名作としてたびたび名前が挙げられる」
(゚、゚トソン「そうなんですか」
(´・ω・`)「この出版社には未完作品が多いんだが、当時にしちゃあ、
. もっとも未完を嘆かれた作品のうちの一つと言ってもいいだろう」
(´^ω^`)「だけど、完結した。トソンちゃんが断る要素は、ないよ」
(゚、゚トソン「ムッ」
.
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165 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:43:06 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「なんなんですか、十回死ぬって」
(´・ω・`)「そのまんまさ」
(゚、゚トソン「そのまんまでわかってたら聞きません」
(´^ω^`)「いくら読みたいからって、そうはやりなさんな!
. いまから、この僕が紹介するんだから」
(゚、゚トソン「…」
(´・ω・`)「ある日ホライゾンは、夢を見た」
(´・ω・`)「………よくわからない空間に、ホライゾンは浮かんでいた」
(´・ω・`)「美人らしき人と向かい合って、話していた」
(´・ω・`)「なんだこの空間は。この人は誰だ。どうして自分は浮いている」
(´・ω・`)「だが、そんなことなど問題ではなかった。女の人は、言ったんだ」
(´・ω・`)「これから私は、あなたを殺すわ」
(´・ω・`)「これからあなたを十回殺すので、一回生き延びて。それがあなたの勝利条件」
(´・ω・`)「……そして、その夢が、醒めた」
.
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166 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:43:53 ID:D8MwDOUQ0
-
(゚、゚トソン「!」 ドキドキ
(´^ω^`)「……わかったかい?」
(´・ω・`)「言わば、ホライゾンはゲームに強制参加させられた、と言うべきだ」
(´・ω・`)「誰が、どうして、どうやって殺すのか。
. そんなこと、まるでわからない」
(´・ω・`)「そんな夢を見て、朝起きたら、いつも通りの朝だった」
(´・ω・`)「だから、やっぱり夢か、なんて思っていたんだ」
(´・ω・`)「だが……細かい点は省くが、ホライゾンは早速、『死んだ』」
(゚、゚トソン「…っ」 ワクワク
.
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167 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:44:45 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)「いや、殺された、というべきなんだ、これは」
(´・ω・`)「しかし、死因そのものはただの事故」
(´・ω・`)「じゃあ、殺人犯は? 黒幕は? 意図あってのものなのか?」
(´・ω・`)「……ホライゾンは、そういったものを、繰り返す命のなかで、探っていくことになる」
(゚、゚トソン「……!」 ワクワク
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン
(゚、゚トソン「あれ?」
(´・ω・`)「なに?」
.
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168 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:45:29 ID:D8MwDOUQ0
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(゚、゚トソン「それはいいんですけど、」
(゚、゚トソン「一回死んだら、どうなるんですか?」
(´・ω・`)「……ああ、それ」
(゚、゚トソン「まさか、蘇るとか……」
(´^ω^`)「ああ、そうだ」
(゚、゚トソン「そんな非現実的な」
(´・ω・`)「現実的な話にしてたら『十死』なんて名作は生まれてなかった」
(´・ω・`)「ミステリーだから現実的にしなきゃ、ってのは間違いだ」
(゚、゚トソン「え、ええ…?」
.
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169 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:46:10 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)「さて、きみの質問に答えよう」
(´・ω・`)「これは、実際に読んでもらいたいんだけど……しかたない」
(´・ω・`)「ホライゾンは、蘇る」
(´・ω・`)「もし殺されてしまったら、ホライゾンは……」
(´・ω・`)「この夢を見た、次の朝から……もう一度、その一日をやり直すんだ」
(゚、゚トソン「…!」
(´・ω・`)「一度目に死んだ理由は、なんだったのか」
(´・ω・`)「だったら、その原因に近づかないようにすれば、死なずに済むはず」
(´・ω・`)「これがホライゾンの、基本的な行動パターンだ」
(゚、゚トソン「な、なるほど」
.
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170 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:46:54 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)「どこか、異常な世界なんだ」
(´・ω・`)「簡単に言えば、この世界のブーンは四次元意識を持っている、と言っていい」
(゚、゚トソン「四次元、ですか」
(´^ω^`)「ウスペンスキーの次元論。聞いたことある?」
(゚、゚トソン「いえ」
(´・ω・`)「直線が、一次元。平面が、二次元。立体が、三次元」
. そして、その三次元に時間を足したのが、四次元ってわけさ」
(゚、゚トソン「あ、それでしたら知ってます」
.
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171 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:47:37 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)「だろ? で、四次元意識とは、だ」
(´・ω・`)「簡単に言えば、タイムマシンで昔に戻った状態の人を指す」
(´・ω・`)「この日、朝に納豆を食べたからおなかを壊した。
. その人がタイムマシンでその日の朝に帰ってきたとする」
(´・ω・`)「するとその人は、今日一日、何が起こるかを理解しているわけだ。
. 納豆を食べたらおなかを壊すし、おなかが壊れるから体育には出られなかったし、と」
(゚、゚トソン「ほうほう」
(´・ω・`)「そして、この四次元意識には、弱点がある」
(´・ω・`)「本来の未来と違う動きをしたら、瞬く間に三次元意識に戻ってしまう」
(´・ω・`)「つまり、違う動きをしたら、次に何が起こるかが、元通りわからなくなってしまうんだ」
(´・ω・`)「そしてホライゾンは、作中、つねにこの意識を持っていることになる」
.
-
172 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:48:19 ID:D8MwDOUQ0
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(゚、゚トソン「十回死ぬ……な、なるほど」
(´^ω^`)「あれもだめ、これもだめ、それもだめ……
. そんな経験を積んでいくなかで、ふと気づいた違和感だの。
. そういったものだけを頼りに、ホライゾンがゲームに挑む」
(´・ω・`)「黒幕は誰だ、どうしてこうなるんだ……なんて、ね」
(゚、゚トソン「……」
(´・ω・`)「面白いのは、だ」
(´^ω^`)「ただ、そのミステリーだけを楽しむ作品じゃあないってことだ!」
(゚、゚トソン「ほう」
.
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173 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:48:59 ID:D8MwDOUQ0
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(´^ω^`)「もちろん、謎解きもある」
(´・ω・`)「だが、純粋にサスペンス作品としても楽しめるんだ」
(´・ω・`)「次になにが起こるかがわかる世界。そして、わからなくなる世界」
(´・ω・`)「その因果によって引き起こされる結果。避けようのない未来……」
(´・ω・`)「もう読んでて、常にハラハラとドキドキの絶えない作品だ、と言える点がここにあるんだよ」
(゚、゚トソン「……」
(´^ω^`)「……個人的には、あの場面で母が現れたのが、最高に面白かったね」
(´^ω^`)「もう、読みやすい文体で、しかしどっぷり浸かってしまう内容だ。
. これは、ミステリーのなかでもオススメの一冊だ。完結してるしね」
(゚、゚トソン「(やけに完結を推すなあ…)」
.
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174 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:49:43 ID:D8MwDOUQ0
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(´^ω^`)「そんな作品だけど……」
(´^ω^`)「さ、さすがに借りるよね? ね?」
(゚、゚トソン「……」
(´・ω・`)「か、りる、よな? ね、ねえ?」
(゚、゚トソン「うーん」
(´・ω・`)「なにが問題なのさ!」
(゚、゚トソン「なんていうか」
(´・ω・`)「うん」
(゚、゚トソン「やっぱり、ミステリーは現実的なもののほうがいいなあ」
(゚、゚トソン「そうでしょ? ショボンさん」
.
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175 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:50:23 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)
(゚、゚トソン「? ショボンさん?」
(´・ω・`)
(´;ω;`)「げ、現実的じゃあなくったって、面白いんだい!」
(゚、゚トソン「あ、だだこねた…」
(゚、゚トソン「ま、まあ、そのうち…」
(´・ω・`)「もーう許さない。怒ったぞ、僕も」
(゚、゚トソン「あ、ごめんなさい…」
(´・ω・`)「あ、そういう意味じゃなくて、」
(゚、゚トソン「ごめんなさい…」
(´・ω・`)「あ、その、……ごめんなさい」
(゚、゚トソン「許す」
(´・ω・`)「は?」
.
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176 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:51:12 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)「………さて」
(゚、゚トソン「?」
(´・ω・`)「トソンちゃん。僕はいままで、たくさんの、
. ほんとうにたくさんの本を紹介してきた」
(´・ω・`)「続きが望まれなかったり、そもそも刊行されてなかったり。
. 僕のオススメだったり、最近の人気作だったり……過去のケッサクだったり」
(゚、゚トソン「どうしたんですか、急に」
(´・ω・`)「だけど」
(´・ω・`)「僕が、未読の人にほんとうに一番オススメしたい本。それが、この本だ」
(´・ω・`)「僕自身のオススメでもあり、この界隈における最高傑作とすら名高い本。
. 量が膨大すぎるけど、それを加味しても、やっぱり、僕のオススメナンバーワンだ」
(゚、゚トソン「…?」
(´-ω-`)「ついに………この本を、紹介するときがきたのか」
(´-ω-`)「実に……実に。」
.
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177 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/07/06(土) 19:52:06 ID:D8MwDOUQ0
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(´・ω・`)「実に、長かった。あまりにも、長すぎた」
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