从 ゚∀从魔法使いとハゲのようです

第二十二話

360 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 17:49:51 ID:Sp8TySSs0

一言で言えば、ハインは調子に乗っていた。
吸血鬼を倒したこと。オーガを倒したこと。
他にも様々な魔物を倒し、確実に強くなっていったハイン。


从 ゚∀从「もうさ、魔物とかチョロいよ。ホント」


完全に天狗であった。
その結果、段々街の人に対しての態度も悪くなっていったのである。


(´・ω・`)「ハインちゃん、怪我しないようにね」

从 ゚∀从「オレが怪我するわけないじゃん! ショボンさんも、オレが怪我しないと収入減っちゃうのかなぁ」

(´・ω・`)「……」

361 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 17:51:07 ID:Sp8TySSs0
  _、_
( ,_ノ` )「ハインちゃん、コロッケ買っていくかい?」

从 ゚∀从「そういえばオレって街を守ってるんだから、タダになったりしないの?」
  _、_
(;,_ノ` )「た、タダには出来ないよ。ごめんね」

从 ゚∀从「そっかー。じゃあいらないや」


(‘_L’)「今日も神のご加護を」

从 ゚∀从「いやー、オレの加護の方が良くない?」

从 ゚∀从「ま、フィレンクトさんの事もちゃーんとオレが守るからさ! 」

(‘_L’)「……そうですか」


まるで自分が上の存在であるかのように振舞っていたのである。
その態度は最早、街を『守りたい』から『守ってやるか』に変わっていた。

特に、デレに対してはぞんざいな扱いをするようになっていた。

363 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 17:59:45 ID:Sp8TySSs0

从 ゚∀从「デレはオレがいないとダメだなぁ」

ζ(゚ー゚*ζ「そんな事ないよ……」

从 ゚∀从「一緒に森に来るのも良いけど、足手まといだけにはなるなよー?」

从 ゚∀从「まぁ、それでもオレには何の問題も無いんだけどな! むしろ良いハンデみたいな?」

ζ(゚ー゚*ζ「……」


自分が面倒をみてやっているんだ。こいつは、オレがいないと何にも出来ないんだ。
まるで子分でも従えたかのように、見下しているような態度が明け透けになっていたのだ。

一方、デレはそんなハインに苛立ちを覚えながらも、しかし羨ましさを抱いていた。


ζ(゚ー゚*ζ(ハインちゃんは凄い。私なんかより、ドンドン先に進んでいる。)

ζ(゚ー゚*ζ(一人で何でも出来て、強くて、格好良くて)

ζ(゚ー゚*ζ(……ホント、凄いね)

ζ(゚ー゚*ζ(私だって……)


そしてそれは、同時に嫉妬でもあった。

364 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:00:35 ID:Sp8TySSs0

それからしばらくして、ついにハインとデレが喧嘩をした。
ハインの無神経な一言。
デレの中の積もりに積もった鬱憤が、爆発した。


ζ(゚ー゚*ζ「ハインちゃん、最近おかしいよ」

从 ゚∀从「あ?」

ζ(゚ー゚*ζ「私に対しても、街の人に対しても、態度悪過ぎない?」

从 ゚∀从「はは。いや、そうか?」

ζ(゚ー゚*ζ「……」

从 ゚∀从「つーか、何?デレ、オレに説教する気なの?弱いくせに」

ζ(゚- ゚*ζ「っ!! 」

365 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:02:36 ID:Sp8TySSs0

ζ(゚- ゚*ζ「もう、ハインちゃんと一緒にいたくない」

从 ゚∀从「あーあー、そうだな。オレもお前みたいな役立たず、一緒にいたくない」

ζ(゚- ゚*ζ「!!! 」

ζ(゚- ゚*ζ「ハインちゃんのバカ!!! 」 タッタッタッタ

从 ゚∀从「……なんだよ」

从 ゚∀从

从 ゚∀从「ッチ」

从 ゚∀从「帰る、か……」


全面的にハインが悪かった。
だがデレがハインに嫉妬していたからこそ、そして鬱憤が溜まっていた事もあった。
だが、それでもやはりハインが悪かった。

ハインが家に帰ると、盛岡が居間に来るように呼びかけた。


从 ゚∀从「何?もしかして飯でも作ってくれてた?」

(´・_ゝ・`)「ハイン」

从 ゚∀从「何だよ。悪いけど今は気分が……

(´・_ゝ・`)「最近の態度は少し目に余るぞ」

366 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:03:16 ID:Sp8TySSs0

从 ゚∀从「……」

(´・_ゝ・`)「ちょっと強くなったくらいで調子に乗ってると、痛い目を見るぞ?」

(´・_ゝ・`)「その時、ハインの周りに誰も居ないという事になっても良いのか?」

从#゚∀从「うるせー! お前も説教かよ!! オレだって頑張ってんだよ! ちょっとくらい良いだろ! 」


机を叩くと、ハインは家を飛び出す。


(;´・_ゝ・)「あ、おい」

(;´・_ゝ・)「……」

(;´・_ゝ・)「参ったな、居候だから今まで何も言えなかったのがまずかったか……」

(;´・_ゝ・)「もうちょっと早くから、言っておけば良かったかな……」

367 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:04:04 ID:Sp8TySSs0

───────
───




从 ゚∀从「何だよどいつもこいつも」

从 ゚∀从「……」

从 ゚∀从「……町長のとこ行って、依頼無いか聞いてみるか」


依頼があれば、とりあえずの時間は稼げるだろう。
この場から逃げ出したいという、今の気持ちから逃げ出したいという思い。
今は、それしかハインの頭には無かった。

368 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:04:45 ID:Sp8TySSs0

( ;ФωФ)「おぉ、ハインか……」

从 ゚∀从「何か依頼無い?」

( ФωФ)「う、うむ。実はだな」


町長の家に行くと、運が良いことに一つの依頼があった。
どうやらウェアウルフが大量に集結しており、何とかして欲しいというものであった。


( ФωФ)「うぅむ、しかしこの依頼……」

从 ゚∀从「じゃ、行ってくるぜ町長! 」


何か言いたげな町長の言葉を遮り、ハインは家を飛び出した。


( ;ФωФ)「あ、ハイン……」

( ;ФωФ)「……ウェアウルフは、この前の騎士隊で大分退治されてたと思うのであるがなぁ」

( ;ФωФ)「……」

369 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:06:06 ID:Sp8TySSs0

ハインはウェアウルフが集まっていると言われている森へと走っていた。
森に辿り着くのに、時間はそうかからなかった。


从 ゚∀从「……この森か」

从 ゚∀从「さて、ウェアウルフくらいちゃっちゃと退治しちまうか」


ハインはウェアウルフを探すべく、森の中を走り回った。
しばらくすると、ウェアウルフと思わしき足跡を発見する。
それを辿ってみると、なるほど確かにウェアウルフが群れを成していた。
しかも、今まで見たことも無いような数であった。


从 ゚∀从「結構いるなぁ」

370 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:07:02 ID:Sp8TySSs0

从 ゚∀从「まぁ、でも」

从 ゚∀从「いけるな」


だがしかし、ハインは怯むことは無かった。
今更ウェアウルフが何匹集まろうと、もはや敵ではないと踏んだのだ。

飛び出すハイン。


ミ,,゚又゚彡「!! 」


しかし、ハインの存在を知っていたかのようにウェアウルフはハインの飛び出しに合わせて散開する。
円形となったウェアウルフの群れの中に、ハインは取り残される形となった。


从;゚∀从「は……?」


今までに無い、動き。
まるで、ハインをおびき寄せる為の罠を張っていたかのような動き。

371 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:07:44 ID:Sp8TySSs0


ミ,,゚又゚彡「アオオオオオォォォン!!! 」


一匹が大きく吼えると、ウェアウルフはハインに跳び掛かる。
しかし、今までのような単純な跳び掛かりでは無かった。
ハインの動きを封じるように、連携の取れた動きでハインを追い詰めていく。


从;゚∀从「なっ……このっ!! 」

从;゚∀从「ふっざけん……な!! 」


それでも何とかウェアウルフを倒していくハイン。
一匹、また一匹と着実に倒していく。

372 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:09:54 ID:Sp8TySSs0


ミ,,゚又゚彡「ガウ!! 」


背後から襲い掛かってきたウェアウルフを、回し蹴りで弾き飛ばす。


ミ,,゚又゚彡「……」

从 ゚∀从「?」


すると、ウェアウルフの猛攻は治まりをみせた。
恐れをなしたのか?相変わらず嘗めた思考のハイン。
そこへ、ウェアウルフの向こう側から一つの声がかかった。


(,,゚Д゚) 「なるほど、確かにやるようだ」

373 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:11:43 ID:Sp8TySSs0

同時に、声の主はウェアウルフを押し退けて姿を現す。


(,,゚Д゚)


ウェアウルフよりも大きく、知性もあり、全てにおいて勝っている魔物。
ガルムという魔物であった。

ガルムはウェアウルフのボスとでも言える存在であり、
その力は吸血鬼をも凌ぐというのを、ハインはデレから教わったのを思い出す。


从;゚∀从(……デレ)

(,,゚Д゚) 「俺はギコ。ここらのウェアウルフのボスをしている」


ハインより二回り以上も大きい巨体が、ハインを睨み付けた。


(,,゚Д゚) 「よくもまぁ、人間の分際でオレの子分たちをたくさん殺してくれたな」

(,,゚Д゚) 「お前も同じように殺すからな」


ギコと名乗るガルムは、騎士隊によって大勢のウェアウルフ達を殺されたことに対し、怒りを感じていた。
ハインと騎士隊は関係は無かったが、そんな事ギコにはどうでも良い事だった。
人間が憎い。ただその一心であった。

374 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:13:15 ID:Sp8TySSs0

だから今回、人間を誘き寄せる為にウェアウルフを集めたのだ。
こうして集めれば、きっと人間は討伐しに来るだろう。
そこを待ち構えて、逆に殺す。

それが、ギコの狙いだった。
足跡もわざと目立つようにし、いつ来ても大丈夫なように構えていたのである。

しかし、ハインが予想以上に持ちこたえた。
だからこうして、ギコ自らも姿を現したのである。


(#゚Д゚) 「ゴルァ!!! 」

从;゚∀从「!! 」


ハインを殺す為に。
憎き人間を殺す為に。

375 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:14:24 ID:Sp8TySSs0

(#゚Д゚) 「どうしたどうした!? 弱いなぁおい! 」

从;゚∀从「こ、こいつっ! 」


ギコの動きは吸血鬼の比ではなかった。
ハインが突進を躱しても、ギコはその脚力や腕力で地面を掴み、軌道を変えて襲ってくる。
蹴りを避けても、尻尾が影から追い討ちをかけてくる。

距離を取ろうにも、ウェアウルフが邪魔をする。


从;゚∀从(やばい、やばいやばいやばいやばい)

(#゚Д゚) 「ガアアアァァァ!!! 」


ギコの爪が、ハインの腹を横一線に走る。
魔力で纏っているはずのハインの体に、血が滲んだ。

376 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:15:20 ID:Sp8TySSs0

从;゚∀从「つぅ!! 」

ミ,,゚又゚彡「ガウ! 」

从;゚∀从「!? 」


しかし休む暇も無い。
跳び掛かるウェアウルフを躱し、ギコを視界から外さないように気をつける。
一度視界から外れようものなら、


(#゚Д゚) 「ゴルァ!!! 」


背後か真横か。
少なくともハインの死角からの攻撃が襲ってくる。

377 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:16:45 ID:Sp8TySSs0

从; ∀从「ぐぁっ……」


ギコの蹴りが、わき腹を抉った。
ばきり、と骨の折れる音が聞こえた。


(#゚Д゚) 「オオオオオオオオオオオ!!!! 」


しかしギコは止まらない。
殺す気なのだから当然である。

爪を伸ばし、跳ぶ。


从; ∀从「ッチ」


それをハインは跳んで躱す。
狙ってたかのように、ウェアウルフがハインの背後を襲う。
しゃがみ、躱し、隙となったウェアウルフの腹目掛けて拳を叩きつける。

378 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:17:34 ID:Sp8TySSs0


从; ∀从「ハァッ……ハァッ……」

(#゚Д゚) 「死ね」


息も絶え絶えなハイン。
背後に回り込むギコ。


从; ∀从「クソがああああああああああああああああ!!!! 」


ギコの爪が、ハインの首を切断しようと肉薄する。
その瞬間、ハインは纏っていた魔力を外へと向けて、放った。


(;゚Д゚) 「ッチ」

379 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:18:21 ID:Sp8TySSs0

その衝撃に吹き飛ばされるギコ。
もう一度魔力を身に纏ったハインは、ギコを睨み付ける。

しかし


ミ,,゚又゚彡「アオオオオオオオオオォォォォン!!! 」


一匹のウェアウルフが、ハインを押し倒した。


从; ∀从(しまっ─────)


痛みや疲れからか、集中力が切れてしまった。
ハインは、迫るウェアウルフの気配に気づけなかったのだ。
何とかその一匹を弾き飛ばすと、ハインは急いで起き上がる。
だが、ギコの姿が見えない。


(#゚Д゚) 「手間取らせやがって」


背後から、ギコの声がした。

380 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:19:35 ID:Sp8TySSs0

瞬間、もう一度魔力を外に向けて放つ。
しかし、ギコはそれを跳んで回避する。


(,,゚Д゚) 「同じ手は食うかよ」


ハインの背後から、前へ。

もう一度魔力を纏うとするハインだが、ギコの方が早かった。
魔力を纏っていないハイン。
ギコの爪が、命を刈り取る爪が、迫る。
思わず、ハインは目を瞑ってしまった。
何度も魔物と戦い、強くなったハイン。
しかし、まだ少女であるハインは、今まさに襲い掛かる恐怖に、目を瞑ってしまったのだ。
思い浮かぶのは、街のみんな。デレ。
湧き上がったのは、後悔。

しかし、無慈悲にもギコの爪が





从; ∀从「……あれ?」






襲ってこなかった。






「はぁ……」

381 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:20:23 ID:Sp8TySSs0


「そういえば、初めて会ったときもこんな感じだったっけ?」


从;゚∀从「……ぁ」



目を開ければ、見慣れた黒マント。



(´・_ゝ・`)「全く。調子に乗るから痛い目を見るんだ」

(´・_ゝ・`)「反省しろ、反省」



盛岡デミタスが、そこにいた。

382 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:22:13 ID:Sp8TySSs0

───────
───





ハインと喧嘩したデレは、湖に居た。
盛岡が召還された湖である。
湖の前に座って、小石を手のひらの中で遊ばせる。


ζ(゚- ゚*ζ「喧嘩しちゃった……」

ζ(゚- ゚*ζ「でも、ハインちゃんが悪いんだもん……」

ζ(゚- ゚*ζ「……」

ζ(゚- ゚*ζ「もう少し別の言い方があったかな……」


ぽちゃん、と小石を放り投げる。


ζ(゚- ゚*ζ「でも、私だって……」

383 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:23:00 ID:Sp8TySSs0

ζ(゚- ゚*ζ「……」

ζ( - *ζ「弱いって……足手まといって……」

ζ( - *ζ「そりゃ、ハインちゃんは魔法使いで強いけどさ……」

ζ(゚- ゚*ζ「私だって、ハインちゃんみたいに魔法が使えれば……」

ζ(゚- ゚*ζ「少しでも力になれるかなって勉強も一杯したのに……」

ζ(゚- ゚*ζ「……」

ζ(゚- ゚*ζ「……」

ζ(゚- ゚*ζ「魔法使い、か……」

(*゚ー゚)「あら、魔法使いになりたいの?」

ζ(゚- ゚;ζ「!?」


突然背後からかかった声に、デレが驚く。
振り返ると、綺麗な女性がそこにいた。


(*゚ー゚)「ごめんなさいね、急に」

384 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:23:49 ID:Sp8TySSs0

(*゚ー゚)「私はね、この湖の精霊なの」

ζ(゚- ゚*ζ「精霊……?」

(*^ー^)「えぇ。精霊よ」

(*゚ー゚)「何だか強い思いを感じたから出てみたのだけれど……」

(*゚ー゚)「あなた、魔法使いになりたいの?」

ζ(゚- ゚*ζ(盛岡さんを召還した、この湖……その精霊……)

ζ(゚- ゚*ζ(……)

ζ(゚- ゚*ζ(願い事を、叶えてくれるの……?)

(*゚ー゚)「どうかしら、私があなたを魔法使いにしてあげるけど」


女性が手を差しのばす。


ζ(゚ー゚*ζ「……」


そして、デレはその女の手を取ったのであった。


(* ー )「うふふふふふふふふ」


湖の近くに生えていた黄色いシスラナの花は、枯れていた。

385 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:24:34 ID:Sp8TySSs0

───────
───





(´・_ゝ・`)「ちょっと考えれば、このまえ騎士隊が倒したウェアウルフがたくさん集まるなんておかしいと思うだろ」

(´・_ゝ・`)「少しは反省したか?」

(´・_ゝ・`)「町長に聞いて良かったよ」

从;゚∀从「盛、岡……」

(#゚Д゚) 「随分と余裕だな」


ハインに止めを刺せなかったギコが、怒りを露にする。
盛岡はギコへ顔を向けると、手をかざした。


(´・_ゝ・`)

(;゚Д゚) 「! 」


そして、手を真横に振りぬく。
見えない何かが、盛岡の手の動きに合わせて周囲をなぎ払った。

386 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:25:52 ID:Sp8TySSs0

だが、ギコはそれよりも先に後ろに大きく跳びあがって躱す。
しかし周囲に居たウェアウルフ達は、躱す事が出来ずに再起不能となった。


(#゚Д゚) 「今度はこっちから行くぞゴルァ! 」


着地と同時に、駆けるギコ。
それに対し、盛岡は見えない何かで押しつぶすような一撃を放つ。


(#゚Д゚) 「……!! 」

(;´・_ゝ・)「くそっ」


しかしギコはそれを全て躱し、近づいてくる。
盛岡はハインを抱えると、ギコと距離を取るために跳んだ。
着地を邪魔をするウェアウルフを、素早く片付ける。


(#゚Д゚) 「ゴルァ!! 」


その間に盛岡に追いついたギコが、爪での一撃を狙って襲い掛かる。
それを、盛岡はまた見えない何かでギコの腕を押さえて応戦した。

387 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:26:52 ID:Sp8TySSs0

(#゚Д゚) 「ガアアアアアアアアァァァァァ!!!! 」


反対の腕で盛岡を引き裂こうと、ギコが腕を振りぬく。
それを、盛岡は跳んで避ける。


从;゚∀从「も、盛岡……」

(´・_ゝ・`)「大丈夫。僕のほうが強い」


そのまま着地する盛岡。
前からはギコが駆けてきている。

ぐ、と足に力を入れると


从;゚∀从「はぁ!? 」


前方へ、大きくハインを放り投げた。

388 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:27:52 ID:Sp8TySSs0

(#゚Д゚) 「余所見すると思ってんのかゴルァ!!! 」

(´・_ゝ・`)「そしたら儲けものだと思った」


駆ける盛岡。
そして、ギコの爪と、盛岡が交差した。


(,,゚Д゚)

(´・_ゝ・`)

(,,゚Д゚)

(´・_ゝ・`)

(,,゚Д゚)

(;´・_ゝ・)

(,,゚Д゚)

(;´・_ゝ・)

(,, Д )


土ぼこりを上げ、倒れたのはギコであった。

389 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:30:59 ID:Sp8TySSs0

从;゚∀从「ウオおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁああああああアアアア!? 」

(;´・_ゝ・)「よっと」


そして落ちて来るハインを、盛岡はチャッチする。


(;´・_ゝ・)「うわぁ、それにしても危なかった」

从;゚∀从「え?」


冷や汗を流す盛岡。
見てみると、黒マントの一部がギコの爪によって裂けられていた。


(;´・_ゝ・)「思ってたより、速かった……」


盛岡がギコの方へ目をやると、ウェアウルフ達がギコに寄り添っていた。
恐らく、まだギコには息があるだろう。
だが、それも時間の問題であった。


(´・_ゝ・`)「……」

从 ゚∀从「……」

(´・_ゝ・`)「帰ろうか」

从 ゚∀从「……ん」


立ち去る2人を、ウェアウルフ達はずっと見つめていた。

390 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:34:29 ID:Sp8TySSs0

───────
───




(´・_ゝ・`)「はぁ……疲れた」

从 ゚∀从「……」

(´・_ゝ・`)「……」

从 ゚∀从「……」

(´・_ゝ・`)「……」

从 ゚∀从「……」

(´・_ゝ・`)「……」

从 ゚∀从「……」

(´・_ゝ・`)「帰ったら、まずは謝ろうか」

从 ゚∀从「……ん」

(´・_ゝ・`) ナデナデ

从 ゚∀从「触るな変態が移る」

(;´・_ゝ・)「ここはデレる場面じゃ……!? 」

391 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:35:26 ID:Sp8TySSs0

そのまま2人は歩き続ける。
森の出口が見えてくると、ふとそこで何か違和感を感じた。


从 ゚∀从「あれ?」


出口だというのに、何故か暗い。
というか、霧深い。


(´・_ゝ・`)「……」

(´・_ゝ・`)「……黒い、霧か?」

从;゚∀从「……」


嫌な予感が、した。
帰る足がだんだんと速くなる。

霧が晴れることは無い。
街に近づくにつれ、嫌な予感が強まる。

392 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:36:30 ID:Sp8TySSs0

从;゚∀从「なっ」


街が見えてきた頃になると、嫌な予感は確信に変わった。
街が、霧に包まれていた。
黒く、気味の悪い霧に。


(´・_ゝ・`)「急ごう」

从;゚∀从「お、おう」


2人は街に向かって走り出した。
本来なら聞こえてるはずの喧騒が、聞こえない。
羊の鳴き声も、鳥の鳴き声も、何もかも聞こえない。

まるで、街が死んでいるかのようだった。


从;゚∀从「どういう事なんだよ! 」

(;´・_ゝ・)「ぐっ……」


街に辿り着いた2人が目にしたのは、倒れている街の人達であった。

393 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:37:38 ID:Sp8TySSs0

(;´・_ゝ・)「……っ」

(;´・_ゝ・)(なんだ、声が……)

(;´・_ゝ・)(頭の中に……)


【 …思い出せ……汝は………… 】

【 …汝は……我……我は……… 】


(;´・_ゝ-)「ぐぅっ……」

(;´・_ゝ-)「この、声……は、夢の……」



  、_
(;,_ノ )「……ぅ」

从;゚∀从「渋沢さん! 大丈夫か!? 」
  、_
(;,_ノ )「ハイ……ちゃ……」

从;゚∀从「あぁ! オレだ! ハインだ! 何があったんだよ! 」

394 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:38:20 ID:Sp8TySSs0
  、_
(;,_ノ )「お……が……」

从;゚∀从「渋沢さん! 」
  、_
(;,_ノ )「おん……なが……」
  、_
(;,_ノ )「きゅ……血、鬼……」

从;゚∀从「きゅ、吸血鬼が来たのか!? 」
  、_
(;,_ノ )「で、デレちゃんが……」

从;゚∀从「デレ!? デレがどうしたんだよ! 渋沢さん! 渋沢さん!! 」
  、_
(;,_ノ )「ぅう……」

(;´・_ゝ-)「やめろハイン。今はそっとしておくんだ」

从;゚∀从「で、でも! 」

(;´・_ゝ-)「渋沢さん達がこうなっているのは、この霧の仕業だ」

从;゚∀从「!? 」

395 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:39:43 ID:Sp8TySSs0

(;´・_ゝ-)「僕は、この霧を知っている」

(;´・_ゝ-)「瘴気だ」

(;´・_ゝ-)「そしてこの霧を、瘴気を出せる魔物と、僕は……昔……戦ったことが……」

从;゚∀从「も、盛岡?」



「あらぁ、この瘴気を浴びても平気な人間がいるのね」



从;゚∀从「だ、誰だ! 」

(*゚ー゚)「もしかして、あなた魔法使い?」

396 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:40:34 ID:Sp8TySSs0

从;゚∀从「だったら、なんだよ……! 」

(*゚ー゚)「うふふふふふ。じゃあもしかして、モララーもモナーちゃんも貴方が倒したの? 」

从;゚∀从「モララー?モナー?」

(*゚ー゚)「うふふふ。まぁ良いわ。私の瘴気でも平気なんですもの。きっと、あなたが倒したに違いないわぁ」

(*゚ー゚)「うふふふふふふふふふふふふふふ」

从;゚∀从「!! お、お前が吸血鬼だな!? 街を、みんなをこんな風にしたのは!! 」

(;´・_ゝ-)「……」

(*゚ー゚)「やぁねぇ。ただの吸血鬼じゃないわよ」

(*゚ー゚)「吸血鬼を統べる王」

(*゚ー゚)「ヴァンパイアロードのしぃよ」

397 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/27(水) 18:43:08 ID:Sp8TySSs0

从#゚∀从「んな事はどうだって良いんだよ!! お前をぶっ飛ばせばこの霧は晴れるんだな!? 」

(*゚ー゚)「せっかちねぇ。まぁそうだけど……」

从#゚∀从「今すぐぶっとばしてやる!! 」

(;´・_ゝ・)「まて、落ち着けハイン!! 」


魔力を纏い、しぃに向って走り出すハイン。
するとその間に、一つの影が割って入った。


ζ( ー *ζ

从;゚∀从「で、デレ!? 」

(*゚ー゚)「あら、もしかして知り合いだった?」

从;゚∀从「お、お前デレに何したんだよ! 」

(;´・_ゝ・)「……」

(*゚ー゚)「別に?」

(*゚ー゚)「ただ、魔法使いにしてあげただけよ?」

ζ( ー *ζ「……」

(*゚ー゚)「まぁ、魔物になっちゃったけどね」

从;゚∀从「……え?」


呆けるハインに、デレの魔法が襲い掛かったのはすぐだった。



第二十二話 『完』

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