从 ゚∀从魔法使いとハゲのようです

第二十話

319 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/02/26(火) 18:42:42 ID:vEqha/uM0



【 ……我は………出すのだ…… 】



(´-_ゝ-`)Zzz...



【 …の…者………汝は…… 】



(´-_ゝ-`)Zzz....





【 ……我なり…… 】





(´-_ゝ-`)

(´-_ゝ-`)

(´・_ゝ-`)「ん……」

320 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:43:36 ID:vEqha/uM0

(´・_ゝ・`)「……」

(´・_ゝ・`)「またあの夢か……」

(´・_ゝ・`)「……顔洗って畑仕事するかな」


ハインに召還されて、大分月日が経過した。
半ばやる気の無かった畑仕事だが、盛岡は最近気づいたことがあった。
畑仕事が楽しい、と。意外にも、楽しいのだと。

土の感触。耕す為に体を動かす。肥料を撒く。野菜の様子を見る。
時折、通りかかる人に声をかける。

その全てが、どことなく、何となく、楽しかった。


(´・_ゝ・`)「ふぅ、終わった終わった」

从 ゚∀从「お、サンキューな。お疲れ」

321 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:49:55 ID:vEqha/uM0

从 ゚∀从「ほれ、飯作っておいたぞ」

(´・_ゝ・`)「相変わらず美味しそうなご飯だな……」

(´・_ゝ・`)「ハインって生活力あるだけに、料理上手だよね」

从 ゚∀从「そうかぁ?」

(´・_ゝ・`)「デレちゃんに教えてあげればいいのに」

从 ゚∀从「……一度教えたことあったけど」

从 ゚∀从「…………何度やっても……その……」

(´・_ゝ・`)「ご苦労様です……」

322 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:51:14 ID:vEqha/uM0

从 ゚∀从「それで今日はオレ、デレと遊びに行くから」

(´・_ゝ・`)「依頼とかは無いの?」

从 ゚∀从「あったらやるけど、まぁオレ一人で十分だろ」

从 -∀从=3「なんたって、吸血鬼だけでなくオーガまで倒したんだからな! 」

(´・_ゝ・`)「あぁ、あの大きい……」


そう、ハインはシベリャまでの、迂回していく道にある洞窟に住むオーガを倒していたのだ。
力関係的には、ドクドクロよりもオーガの方が強い。そんなオーガを、ハインは倒していた。

( ;´∀`)『モナァァァァァ!! この一鬼当千筋肉ダルマと呼ばれたこのモナーがこんな小娘とハゲにいぃぃぃぃいいい!!!! 』

思い返してみると、結構な怪力をもっていた。素早さもあった。知性もあった。
ハインだけならば、確実に苦戦はしていただろう。ハインだけならば。
当然、オーガを倒せたのは盛岡の協力があったからこそなのだが……


(´・_ゝ・`)(最近調子に乗ってるから、痛い目に遭えば反省するかなと思ったけど)

(;´-_ゝ-)(つい見えないようにサポートしちゃったからなぁ)

从 ゚∀从「もうオレ、この辺りで最強じゃね?」

(;´-_ゝ-)(余計に調子乗っちゃったなぁ)

323 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:52:12 ID:vEqha/uM0

从 ゚∀从「それじゃ、ちょっとデレのとこ行ってくるわー」

(;´・_ゝ・)「あ、おい……」

(;´・_ゝ・)

(´・_ゝ・`)「まぁ、良いか。いつか痛い目を見て反省するだろ」

(´・_ゝ・`)「それよりも今日は何をして過ごすかが問題だな……」

(´・_ゝ・`)「暇すぎて困る……」

(´・_ゝ・`)「……」

(´・_ゝ・`)「とりあえず出るか」


そうして、盛岡はハインの家を出て街を散策しだした。

324 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:53:01 ID:vEqha/uM0

渋沢さんと軽く会話をし、あらやださんとヒートの聞きたくなくても聞こえる会話を耳にし。
適当に、ただブラブラと街を歩く。そして、辿り着いたのが


(´・_ゝ・`)「また来てしまった」


シタラバニア図書館であった。


(´・_ゝ・`)「えーっと、確か前にデレちゃんが案内してくれたのが」


【喫煙者物語】
【夢を見た世界】
【泡になった】
【シタラバニア英雄譚】
【ティナーサックスによる幻覚】
【勉強をしない人たちの部屋】
【友人とクソ野郎】


(´・_ゝ・`)「あったあった」

325 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:53:42 ID:vEqha/uM0

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)「……」

(´・_ゝ・`)「……おや?」

(´・_ゝ・`)「性欲豚が……無い……だと? 」

(´・_ゝ・`)「……」

(´・_ゝ・`)「仕方無い」

(´・_ゝ・`)「これでも読むかな」

(´・_ゝ・`)「シタラバニア英雄譚……」

(´・_ゝ・`)「どんな英雄がいるのかねぇ」

(´・_ゝ・`)「僕は英雄には程遠いしな」

(´・_ゝ・`)「ちょっと、気にはなるね」

326 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:56:10 ID:vEqha/uM0

(´・_ゝ・`)「どれどれ……」


昔々、一つの村がありました。
とても小さく、地図にも載ってないような村でした。
ある日、その村に一人の赤ちゃんが生まれました。

しかし、どこかの街の、どこかの偉い占い師が、その子供を英雄だと予言しました。
子供は、英雄になりました。なってしまいました。

しかし運が良かったのか、その子供には才能がありました。不思議な力がありました。

もしもその力がなければ、偽者の英雄として殺されていました。
村もまた、そんな子を産ませたという理由で焼き払われていたかもしれませんでした。

子供は成長し、立派な男になりました。力もますます強くなりました。彼は、英雄であり続けました。
しかし、彼には自分の、小さな村を守りたいという思いしかありませんでした。
村の手伝いもし、彼は村の人たちに好かれていました。

327 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:57:07 ID:vEqha/uM0

そんな彼に王様がある日、命令をしました。

「魔物を全て滅ぼせ」、と。

彼は言われるがままに魔物を滅ぼす為、旅立ちました。
村の人たちは、彼を笑顔で送り出しました。彼もまた、笑顔で村を出ました。
魔物を滅ぼせば、村を守れる。その思いは魔物と戦っていくにつれ、
いつしか世界を救うという思いに変わっていました。

そんな彼は、ある日旅の疲れを癒そうと村に帰ることにしました。
魔物との戦いは、それほどまでに熾烈だったのです。

しかし、そこに村はありませんでした。
何も無い、荒野になっていました。
村は滅んでいたのです。

魔物が、彼を産み出した村という事で襲い掛かったのです。
村には守る者がいませんでした。だから滅んでしまったのです。
彼は、一番守りたかったものを守れなかったのです。

彼は、そのままどこかへ消え、一人、寂しく死んでしまいました。

そんな彼を、神様は可哀想に思い天国へ連れ帰りました。
そして彼は、地上を見守り、時には救いの手を差し伸ばしてくれる存在になったのです。

今も彼は、きっとみんなを見守り続けている事でしょう。



その英雄の名前は、( ФωФ)「おや、盛岡さん。こんな所で偶然である」

328 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:57:54 ID:vEqha/uM0

(´・_ゝ・`)「あ、町長さん」

( ФωФ)「ふむ、英雄譚を読んでいるであるか」

(´・_ゝ・`)「デレちゃんが以前、オススメしてくれまして」

( ФωФ)「あぁ、デレは本が大好きであるからなぁ」

( ФωФ)「ふふ。懐かしいのである。よくその本をデレとハインに読んでいたであるよ」

(´・_ゝ・`)「へぇ、あのハインが……」

( ФωФ)「この英雄が天国に行くときに、彼の不思議な力が地上に撒かれて」

( ФωФ)「魔力として受け継がれているとも言われているのであるよ」

( ФωФ)「だからハインも身近に感じてよく聞いていたのである」

(´・_ゝ・`)「ほぉ……」

(´・_ゝ・`)「そういえば町長さんは図書館へ何をしに……?」

( ФωФ)「うむ、少し借りていた本をな」

( 司書) テクテクテクテク

(´・_ゝ・`)「あ、司書さん」

329 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 18:59:43 ID:vEqha/uM0

( 司書) スッ


【喫煙者物語】
【夢を見た世界】
【泡になった】
【性欲豚は入り浸る】 ← in
【シタラバニア英雄譚】
【ティナーサックスによる幻覚】
【勉強をしない人たちの部屋】
【友人とクソ野郎】


( ФωФ)

(´・_ゝ・`)

( ФωФ)

(´・_ゝ・`)「町長……」

330 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 19:03:30 ID:vEqha/uM0

────────
────





  _
( ゚∀゚)「ふむ、ここか」


ジョルジュ長岡。
大きな槍と最新の装備を身に纏う彼は、騎士隊の隊長であった。
廃城を目の前にし、精鋭の部下を引き連れた彼にはある任務があった。


(-_-)「えぇ。情報によるとここで間違いは無いかと」
  _
( ゚∀゚)「つまり、魔物のボスがいる可能性が高いのか」


そう、前回のウェアウルフ狩り。それで判明したのは、この付近にとても強い魔物が居るという事。
前回の狩りで、この付近だけ異様に被害が大きかったのが分かったのだ。
それでもう一度騎士隊が派遣され、調査がされたのである。

そして詳しく調べてみた結果、どうやらこの廃城に魔物が居るというのが分かったのである。
件の魔物の討伐。それが、彼に与えられた任務であった。

331 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 19:04:13 ID:vEqha/uM0

廃城のドアをゆっくりと開け、中に入っていく。
部下の数も入れると、全部で20人。しかも精鋭中の精鋭だ。
よほどの事があっても対処できる力があった。


  _
( ゚∀゚)「……」


一歩一歩、慎重に進むジョルジュ。
だがしかし、魔物の気配は一つも感じられない。
隊員の中には段々と緊張を解いていく者もいる。

だが、ジョルジュだけは決して緊張を解くことはしなかった。

気配が、無さ過ぎるのだ。
ネズミも、虫も、本当に僅かな気配一つない。

  _
( ゚∀゚)(どういう事だ……?)

332 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 19:05:58 ID:vEqha/uM0

疑問に思うジョルジュ。
廃城の中でも一番広い部屋に入り、同じように気配の無さに薄気味悪さも覚え始める。
その時である。部屋の真ん中に女性が居ることに気づいたのは。

  _
( ゚∀゚)「誰だ」

(*゚ー゚)「ふふ。気配を消しすぎたのは失敗だったかしら」


美しい女性だった。
思わず、見蕩れてしまうくらいに。
何でもいう事を聞いてしまいそうになるくらいに。
まるで、催眠にでもかけられたかのように。

  _
( ゚∀゚)(……あ?催眠……?)

333 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 19:07:17 ID:vEqha/uM0
  _
( ;゚∀゚)「……っ!! 危ねぇ!!! 危うく催眠にかかるところだった!! 」
  _
( ;゚∀゚)「てめぇ、吸血鬼だな!? 」

(*゚ー゚)「あら。私をただの吸血鬼と一緒にしないでくれる?」

(*゚ー゚)「でも私の催眠にかからないなんて。魔法使いでもないのに凄いわね」
  _
( ゚∀゚)「鍛えてるからな! 」

(*^ー^)「でも、貴方の部下はダメだったみたいね」
  _
( ;゚∀゚)「!!! 」


振り返ると、部下達が剣を抜き、槍を構え、互いに殺し合いを始めていた。
しかし、この惨状を止める方法をジョルジュは持ち合わせていなかった。
出来る事は、虫唾が走るような笑顔を貼り付けている吸血鬼を倒すことだけである。

  _
( #゚∀゚)「殺す!! 」


槍を構え、駆ける。
吸血鬼の首元へ、鋭い一撃をお見舞いする為に。
部下の敵を、討つために。


(*゚ー゚)

334 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 19:07:59 ID:vEqha/uM0

ごろり。
ジョルジュの生首が、転がっていた。


(*゚ー゚)「あーあ」


ジョルジュの生首を蹴り上げる。
彼の部下はもう既に、全員息絶えていた。


(*゚ー゚)「こーろしちゃった」

(*゚ー゚)「あっけなーい。つまんなーい」

(*゚ー゚)

(*゚ー゚)「……はぁ」

(*゚ー゚)「最近、人間共が調子に乗ってる気がするのよねぇ」

335 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/26(火) 19:09:26 ID:vEqha/uM0

(*゚ー゚)「私の眷属のモララーも、モナーちゃんも倒されちゃったし」

(*゚ー゚)「そういえば、モララーもモナーちゃんもあの辺りにいたのよね」

(*゚ー゚)「えーっと、確か」

(*゚ー゚)「……し、しば?」

(*゚ー゚)「あ、シタラバニア」

(*゚ー゚)「そうそう。シタラバニア、シタラバニア。あの辺は魔物が大分追い払われちゃってるのよね」

(*゚ー゚)「殺されてはいないけど、その所為で魔物がみんなあの場所はダメだって思っちゃってるし」

(*゚ー゚)「せっかく魔物を活発にさせて、人間をどんどん殺させて楽しみたかったのに」

(*゚ー゚)「きっと凄腕の戦士か、魔法使いでもいるのでしょうね」

(*゚ー゚)「うふふふふふ。シタラバニアかぁ」

( ー )「うふふふふふふふふふふふふふふ」


廃城に、笑い声が響き渡った。



第二十話『ジョルジュ長岡』 完

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