■( ゚∀゚)嫌われ者ロケンロー!のようです。
└4、けつだんはいつもしんちょうに
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86 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:49:13 ID:HLJKiejo0
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古今東西、差別とか偏見っていうのはどこにでもあるものだ。
人種だの、思想だの、ってその原因はいろいろなんだろうが、
それでも身近にそんな事が起こるっていうのは稀なことなんだろう
……と俺は思っていた。
確かにこのイエローモンキーしか暮らさない日本において、
特に人種差別なんていうのはナンセンスなのは確かだろう。
思想の自由が約束されているこの国で思想で迫害、ってのもないだろう。
一昔前ならあったかもしれないが、現代ではまず見かけない。表面上は。
まぁ、とりあえず、そんなデリケートかつ小難しい話題は置いておいて、だ。
_
(#゚∀゚)「だからさぁ……なに?喧嘩売ってんの?」
ξ゚听)ξ「は?下劣な物を下劣と言って何が悪いの?」
俺は齢17歳にして、音楽についての偏見と差別を受けることになるとは思わなかったぜ。
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87 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:49:54 ID:HLJKiejo0
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4、けつだんはいつもしんちょうに
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88 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:50:45 ID:HLJKiejo0
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***************************
新顧問、高岡を半ば強制的に迎えて、数日が経った。
え?前顧問?知らないなぁ。
いや、同情くらいはしてやってもいいかなとは思う。
回想のみ、数レスの登場回数だった事に関しては、まぁ可哀そうだと思ってやってもいい。
_
( ゚∀゚)「うん、やっぱりメタは良くないよな」
独り言は誰にも拾われることなく空気に溶けて消えていった。
やべぇ、このフレーズ超いい。俺の詩人さに涙が出てくる。マジ泣ける。
いや、別に一人で校内徘徊してるのが寂しくて泣いてるわけじゃないんだからねッ!
_
( ゚∀゚)y―・~「今日もぼっちだ空気が美味い!っと」
そして行く場所がなくなったら最終的に来るのは屋上なんだよね。
――訂正。屋上しかないんだよね。
ここ最近は内藤の入部やら、高岡の顧問就任やらで慌ただしかったから、一人でタバコもいいもんだ。
_
( ゚∀゚)y―・~(ちょっと前までは普通だったはずなんだがな)
最近が騒がしすぎただけだな。うん。
アイラブロンリー。アイラブ屋上。そしてアイラブシガレット。
-
89 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:51:34 ID:HLJKiejo0
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从 ゚∀从「今日もいたのか不良学生」
――バットアイドントライクティーチャー。
从 ゚∀从「おい、シカトか?」
触らぬ神に祟りなし。話さぬ高岡に面倒なし。
ここはスルーで面倒事を回避するのが一番だ。
堅き意志を持ってシカトしよう、そうしよう。
从 ゚∀从「おーい、ながおかー?」
顔を覗きこまれても反応しないぞ。
胸のグランドキャニオンに目線なんか行かないんだからな!
別にちょっと今日は暑いからボタン多く開いてるとか気にしてないんだからな!
_
( *゚∀゚)チラッ
从 ゚∀从「?」
……いや、やっぱちょっとだけ、うん、ちょっとだけ。見よう。
前言撤回。
アイドントライクティーチャー。
バットアイラブおっぱい。
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90 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:52:30 ID:HLJKiejo0
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今日の高岡は空色のポロシャツのボタンを3つ開けて、その上に白衣を羽織っている。
襟からのぞく透き通るような地肌を下へと目で追っていけば、
なめらかなプリンみたいな肌が、なだらかな曲線を描いて盛り上がってやがる。
そしてその間にはTHE谷間!良い感じに影ができてるじゃないの!
あの隙間には夢が、いや、無限の可能性が詰まっている。
それは、決して、考えるんじゃない。
そう!目で見て、自分の心で感じるものなんだ!
俺に表現力が欠片もなかったとしても、皆の心の中にはあるはずだ。
そう、白い透き通るような二つの丘が。
从 ゚∀从「長岡ー?聞こえてんだろー?」
いやいや、いかんいかん。トリップしてる場合じゃない。
面倒を避けるために無視すると決めたんだった。
俺は絶対にこの声には反応はしない。白くて柔らかい双丘がすぐそこにあろうとも!
これ以上!誘惑には!屈しない!
決して!
――決してだ!
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91 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:53:21 ID:HLJKiejo0
-
从 ゚∀从「おい、無視すんなや。また反省文書きたいのか?」
_
( ゚∀゚)「はい、何の御用でございましょうか高岡先生様。あ、お煙草ならこちらをどうぞ」
.
-
92 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:55:00 ID:HLJKiejo0
-
ごめん無理だった。
降伏の証しとして煙草まで差し出す俺はキング・オブ・チキン。
从 ゚∀从「良い心掛けだ。シカトの罰はそれ相応に受けてもらうが」
そう言って俺の煙草からタバコを抜きとる高岡。
おい、またかよ、待て待てもうあんまり残ってないんだって。
焦る俺を尻目に満足したのか、箱をオーバースローで投げて返す。
_
( ;゚∀゚)「ちょっとおい!一本しか残ってねーじゃねーか!?」
見事な直線を描き俺の懐に命中した箱からは、最後の一本が力なく転げ落ちる。
慌てて掴もうとするが、指がはじいてしまい灰皿へホールインワン。
从 ゚∀从「ナイッシュー」
_
( ;゚∀゚)「おいぃ!?」
从 ゚∀从「無茶しやがって……最期の一服ぐらいさせてやるだろ……常識的に考えて……」
_
( ;゚∀゚)「え、なに、俺死ぬの?これから何か起きるの!?」
-
93 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:56:58 ID:HLJKiejo0
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ピンポイントで隕石でも落ちてくるんだろうか。
それとも濃い顔の凄腕スナイパーとかが狙っているのだろうか。
そんな非日常的な事があるのだろうか。
いやそんなはずがない。反語。あ、これテストに出るからね。
と、くだらない古文の復習を頭の中で一通りした瞬間。
蝶つがいの軋む音を響かせて、屋上と校舎を繋ぐ唯一のドアが開く。
(-@∀@)「高岡先生。学校の敷地内は禁煙のはずなのですが?」
从 ゚∀从「あら教頭先生、火は点いていないですよ」
(-@∀@)「疑わしい行動はやめてほしいものですねぇ?」
从 ゚∀从「教頭先生だって疑わしい事をしていらっしゃるじゃないですか」
教頭の嫌味に全く臆することなく、高岡は頭部を見る。
そこには疑わしい盛り上がり方の髪の毛が――
っておい。やめてやれって。それはタブーって奴だろ。
(-@∀@)「……それはどういう意味ですかな?」
ほら教頭顔真っ赤じゃねぇか、変に怒らせたら面倒くせーんだって!
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94 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:58:11 ID:HLJKiejo0
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(-@∀@)「で、長岡、。お前は何してたんだ?」
ほら、お鉢がこっちに回ってきた。
_
( ;゚∀゚)「寝てたら高岡先生に邪魔されてました」
高岡にジロリと睨まれるが気にしない。
まぁ屋上で昼寝してたって時点でアウトっちゃアウトなんだが。
それくらいは勘弁してくれ。
教頭は俺をジロジロと疑わしそーうな目で見ると、突如クルリと背を向けて。
(-@∀@)「とにかく、あんまり問題を起こさないでくださいね。特に」
再びドアが軋む。
半分校内に入りながら、ねちっこい、嫌な声色でつぶやく。
(-@∀@)「高岡先生は、昔は『やんちゃ』だったそうですからね」
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95 名前: ◆B8ZFMw8HsE[sage] 投稿日:2013/07/26(金) 03:58:56 ID:HLJKiejo0
-
ドアが閉まり、完全に教頭が立ち去った事を確認してからため息をつく。
全く同じタイミングで隣の高岡もため息をついたため、チラリと顔を見ると、にやけている。
「どーだ、助かっただろ?」とでも言いたげな顔だ。こんちくしょう、事実助かったよ。
苦々しい笑いを顔に出すと、ドヤ顔の高岡は
从*゚∀从「どーだ、俺のおかげで助かっただろ?」
――全く予想通りの事を言いやがった。
.
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96 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 03:59:44 ID:HLJKiejo0
-
_
( ;゚∀゚)y―・~「じゃあなんだ、教頭が来るって事を分かってて没収したのか」
高岡から返してもらった煙草に火をつけ、ふぅ、と吐き出す。
さっき焦った分ゆっくりと深呼吸したい気分だった。
从 ゚∀从y―・~「まぁ、普通に隠させても良かったんだが、そのほうが面白いからな」
高岡も、教頭が去った後に俺から何本か巻き上げたマルボロを上手そうに咥える。
結局無視の代償は高くついたわけだ。畜生。
从 ゚∀从y―・~「もっと感謝してもいいんだぜ」
_
( ;゚∀゚)y―・~「箱が軽くなるくらいタバコとっていってよく言うよ」
从 ゚∀从y―・~「また反省文……」
_
( ;゚∀゚)y―・~「マジで勘弁して。もう懲りたんだから」
从 ゚∀从y―・~「懲りたやつはこんなところでタバコなんか吸わん」
2人で顔を見合わせてニヤリと笑いあう。
そうして軽口の応酬が終わると、心地いい沈黙が流れる。
校庭では運動部が何やら叫びながら走ったり跳んだりと、元気なもんだ。
校舎からは良く分からないラッパの音が、音階を上から下までいったりきたりしているのが聞こえる。
-
97 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:00:35 ID:HLJKiejo0
-
从 ゚∀从y-・~「……」
_
( ゚∀゚)y-・~「……」
実に平和な放課後だ。
あまり吸わないうちにどんどん短くなっていくが、まぁそんなのも煙草の醍醐味だ。
しばらくして、思い出したように揃って煙草を口へ運ぶ。
俺らの吐いた煙は、二つの白い線になって空へ消えていく。
最初から何もなかったみたいに消えた頃に高岡が再び口を開いた。
从 ゚∀从y-・~「文化祭、出るのか?」
_
( ゚∀゚)y-・~「……内藤と2人でか?俺が?」
予期しなかった言葉に、質問に質問で返しちまった。
从 ゚∀从y-・~「2回だ。お前の卒業までにチャンスはまだ2回ある」
_
( ゚∀゚)y-・~「……」
从 ゚∀从y-・~「だがな、長岡。今年は1回しか来ないんだ。何年たっても高2は1回だけだ」
_
( ゚∀゚)y-・~「まぁ、留年しなければな」
-
98 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:01:35 ID:HLJKiejo0
-
軽く茶化したつもりだったが、高岡は乗ってこない。
それどころか真面目な顔で真っすぐに目を見てきやがる。
赤みがかった綺麗な瞳が、俺の心の底まで見透かしている、そんな錯覚を覚える。
从 ゚∀从y-・~「今年やらなかったらお前は来年もやらない。絶対にな」
正直、図星だった。きっと、俺は諦める。そんな予感めいたものはある。
こいつの目は本当に俺の心を見透かしてやがった。
从 ゚∀从y-・~「まぁ、それは自由だ。あんまりうるさく言いたくねぇ」
高岡は「俺もうるさく言われるのは嫌いだからな」と付け加えると、煙草を灰皿にゆっくりと押しつける。
从 -∀从「だがチャンスはあるんだ、って事と、早く決めないといけない、って事はわかっておけよ」
目一杯伸びをすると、それだけを言い残し、校舎へ入っていく。
言い返す暇すら与えちゃくれない。どういう事だよ。
高岡の背中に向かって吐き出そうとした「一人で弾くのが楽しいんだ」とか「バンドやっても面倒なだけだ」とか
そんな言い訳じみた反論は、ぶつけるところを無くしてどうしようもなくなった。
おい、言い逃げかよ、おい。
_
( ゚∀゚)「……ファック」
悪態を1つ吐いてから、高岡に倣って煙草の火をゆっくりと消す。
灰皿を片づける間も、高岡の残した言葉と、校舎への扉の錆びた蝶つがいの音が、俺の耳に残り続けていた。
-
99 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:02:27 ID:HLJKiejo0
-
****************************************
部室の蛍光灯が1つ切れかけていた。
チカチカと明滅するのに合わせて、部屋全体が現れたり消えたりしているように見える。
ずっとそのまま見ていると部屋の現実味が薄れる錯覚に襲われる。
気づいたらそこは異世界で。美少女の使い魔になることになりました!
そりゃないな。うん。
_
( ゚∀゚)〜♪
まぁ、多少暗くても楽器を弾く分には問題ない。
点滅で少し目が辛い事を無視すれば、そんなに気になる事じゃない。
なんだか今日はいろいろと無視してばっかだな俺。
思わず笑いが漏れる。ンフフとか言っちゃったわ。恥ずかしいな畜生。
(●-ω-)〜♪
漏れ笑いが聞こえていないかとドラムセットをちらりと見ると、内藤はヘッドホンで音楽を聴いている。
それに合わせて手足が上下しているのを見る限り、耳で曲をコピーしているのだろう。
スティックを当てる気はないらしく、たまに音が出てびっくりしている。ちょっと面白れぇ。
_
( ゚∀゚) (おっと)
内藤を見ていたら、自分の手がお留守になっていたらしい。
抑える位置を間違えたのか、いきなり拍子抜けするような音が出る。
いかんいかん。気が逸れるとすぐに音に出ちまう。
-
100 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:04:05 ID:HLJKiejo0
-
_
( -∀-)〜♪
さっきまで平気だった蛍光灯の点滅が眼に痛くて、自然と目を閉じて弾き始める。
長時間いるもんじゃねぇな。後で高岡に替える時どうするのか聞かないとな。
知ってるかどうかは別として一応顧問らしい事をしてもらわないとな。うん。
……流石に知ってるよな?
( ^ω^)タン!タン!
乾いた音に目を開くと、ヘッドホンを外した内藤がスネアのチューニングをしている。
叩いては周りの金具を締め、また叩いては締めを繰り返している。
ほっとくと緩んで音が変わってしまうらしい。ようわからんけど。
(;^ω^)「お、うるさかったですかお?」
_
( ゚∀゚)「いや、大丈夫だ」
手を止めてじっと見ていたせいか、内藤が遠慮がちに聞いてきた。
奥さん見てくださいよこの謙虚さ!
畜生。まったくもって良い奴だよコイツ。
_
( ゚∀゚)「それ終わったらちょっと合わせるか?」
(*^ω^)「お!いいんですかお?」
-
101 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:05:19 ID:HLJKiejo0
-
おう、と答えると内藤は再びチューニングに取り掛かる。
心なしか作業のスピードが上がっている気がするのは気のせいじゃないだろう。
現金な奴め。
_
( ゚∀゚)(まぁ、合わせるって言ってもただのセッションなんだが)
もちろん俺も内藤も特定の曲を練習してきている訳じゃあない。
というか、ギターもボーカルもいないのに曲をやったって、あんまり面白くないんだよな、これが。
(*^ω^)「おっけーですおー」
_
( ゚∀゚)「おっし、じゃあはじめっか」
スティックでの4カウントの後に、もう俺たちの間でお決まりになったブルースコードで軽く流す。
(*^ω^)〜♪
_
( ゚∀゚)〜♪
正直、リフやコード進行のアレンジにも限界がある。
俺だってプロじゃあない、ただの高校生なんだから当たり前なんだが。
(*^ω^)〜♪
_
( ゚∀゚)〜♪(アレンジのネタが切れてきた)
-
102 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:06:33 ID:HLJKiejo0
-
それでも、内藤は楽しそうにベースラインに音を乗せてくる。
スネアが、拍の表に裏にと巧みに組み込まれているかと思えば
ハイハットからフィル、フィルの後にライドに刻みを変えて、曲調に変化を持たせる。
(*^ω^)〜♪
_
( ゚∀゚)(あぁ、こいつは音楽が好きなんだなぁ)
(*^ω^)〜♪
_
( ゚∀゚)(一緒に何かをできる友達、かぁ)
少し前の高岡の言葉を思い出す。
本当に、そんな奴ができるとは思わなかった。
( ^ω^)〜♪
_
( ゚∀゚)(1年の時以来、俺に進んで関わる奴なんていなかったからな)
(;^ω^)?「どうかしましたかお?」
内藤に声を掛けられて我に返ると、アンプからブルースコードとは明らかに違う音が出ていた。
考えながら弾いていたら、とんでもないところを抑えてたようだ。
_
(;゚∀゚)「お、おう。悪い悪い、ちょっと考え事してて」
慌てるが、内藤もすでに演奏を止めていたため、流れが切れてしまった。
-
103 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:08:05 ID:HLJKiejo0
-
(;^ω^)「真剣そうでしたけど、なにか悩みでもあるんですかお?」
_
(;゚∀゚)「あ、いや、その……な?」
心配そうに顔を覗き込む内藤にためらう。
ええい。普段のんびり系なのになんでこんなときだけ鋭いんだ。
お前はエロゲの主人公か!
_
(;゚∀゚)「いや、そろそろ暑くなってきたし、みんな薄着だろ?」
( ^ω^)「そうですおね。最近暑くてたまんないですお」
_
(;゚∀゚)「あれだよな、女子の薄着って、いいよなって考えてたんだ」
(;^ω^)「えっ?」
ごまかそうと頑張ってみるが怪訝な顔をする内藤。
これはピンピンチ。た、助けて!
……いや、まだだ。まだ終わってない。たたみ掛ければごまかせる!
俺の脳みそが唸りをあげて、今日一日の記憶を反芻!最適な話題を選択!
_
(;゚∀゚)「いや、この季節のさ、ボタンが開いててそこからチラ見えするパイ乙とか最高だと思うだろ?
最近知ったんだがポロシャツって案外ボタン開いてると胸が見えるんだよな。そう、巨乳のあのハリ!白い双丘にはロマンがあるよな!
そしてちょっと汗ばんでたりしたらそれはエロスを感じるじゃん?でもひんぬーでブラに隙間ができてたりして、そんな子がかがんだ瞬間とか最高だよねもう。
あと女子の透けブラヒモは最高だろ。普段清純っぽいあの子のブラが黒とかだったらウッヒョー!ってなるだろ?いやしかしギャルっぽいやつが案外花柄のピンクとかつけてても燃えるよな。
あ、萌えるじゃなくて燃えるの方なんだが内藤はどう思う?」
(;^ω^)「えっ」
あ、これダメなパターンだ。
-
104 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:09:12 ID:HLJKiejo0
-
*********************************
_
( ∀ )チーン
(;^ω^)「あ、あの……」
_
( ∀ )「いい、いいんだ。何も言うな……」
部室に残されたのは真っ白に燃え尽きた俺と困る内藤。そして微妙な空気。
自爆というのはこういう事を言うんだろうな。いや、これが黒歴史というやつか。
なぜ俺はよりにもよっておっぱいを思い出したし。全然最適な話題じゃねぇよ。
考え事してたのも、おっぱいの話題が出たのも、さっきの高岡のせいだ。あんにゃろう畜生。
_
( ∀ )「うん、今日は帰るわ。俺、疲れてるのかもしれん」
(;^ω^)「あ、あの」
早急に消えたい。恥ずかしすぎてできれば世界から抹消されたい。
帰っても家の布団で思い出して暴れそう。死にたい。
_
( ∀ )「鍵頼むわ」
ベースをスタンドに立てて、教科書やらノートの入ったカバンを持つ。死にたい。
外へと続く扉に手をかけ「おつかれ」と言い残そうと思った瞬間、俺が開ける前にドアが迫ってくる。
-
105 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:10:18 ID:HLJKiejo0
-
うちの部室の扉っていうのは、部屋の内側へ開くタイプのドアな訳だ。
しかも防音仕様。つまり厚くて重い。それが顔面めがけて迫ってくれば
_
( ∀ )(避け……否、死n……!)
なんて考える暇もなく"ジョルジュと壁のサンドイッチ〜饐えた臭いを添えて〜"が完成するわけだ。
ドヤ顔シェフも真っ青だぜ。そんな誰も得しねぇ料理があってたまるかよ!
从 ゚∀从「おっすー!長岡いるかー!」
そんな俺に気づくこともなく大声でご指名のコールがかかる。
もう声をあげる気力すらないんですが高岡センセイ。俺に恨みでもあるんでしょうか。
(;^ω^)「あの、そこに……」
从 ゚∀从「え?そこってどこだよ?」
(;^ω^)「ドアのところに……」
从 ゚∀从「おぉ。そんなところ挟まってるとは思わなかったぞ。新しい遊びか?」
理不尽が極まりすぎて言葉が出てきません高岡センセイ。
とりあえず扉に体重かけるのはやめてください。
-
106 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:11:14 ID:HLJKiejo0
-
_
( ∀ )「あのさぁ、なに?お前は俺の事殺しにかかってんの?」
从 ゚∀从「いやーそんなつもりはミジンコもないんだが」
(;^ω^)「微塵じゃなくてミジンコなんですかお…?」
やっと退けた高岡と対面すると、いつも通りふざけた事をぬかしやがる。
昼間の真面目な顔はどこへ捨ててきたんだ。おい。
从 ゚∀从「ま!こまけぇ事はいいんだよ!それより顧問らしい事しに来たぞ」
_
( ゚∀゚)「蛍光灯でも取り換えてくれんの?」
( ^ω^)「あ、それは嬉しいですお。目がチカチカして困ってましたお」
_, ._
从 ゚∀从「蛍光灯ぉ?そんなもん用務員に頼め。私は知らん」
やっぱり知らないのかよ!
ある意味予想通り過ぎて怖いわ!
从*゚∀从「そんなチャチなことじゃなくてなぁ!」
もったいぶった言い方をしてから、高岡は開けっ放しになっていたドアの方へ声をかけると、短い返事が聞こえる。
-
107 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:12:31 ID:HLJKiejo0
-
从*゚∀从「ほらお前ら!泣いて喜べ!部員をスカウトしてきてやったぞ!」
ξ;゚听)ξ「あの、いや、まだ入るとは…」
ドアから外へ続く階段の上に現れたのは、一人の女子生徒。
金髪、縦ロール。薄く化粧をしているのだろうか。やたら肌が綺麗に見える。
残念ながら胸の方は発育途中らしいサイズだ。だがそれもいい。
从*゚∀从ドヤ「見学という事で来てもらった、2年俺のクラスの津出だ!」
いや、ドヤ顔やめろって。
っていうかお前スカウトじゃなくて絶対強制連行してきただけだろ。
(*^ω^)「おー。これまた綺麗な方ですおねー」
内藤はなんだ。お前は嫌味を感じさせなく褒めるプロかなんかなのか?
ピザじゃなければエロゲの主人公だな本当。
_, ,_
( ゚∀゚)(津出……どっかで聞いた名前な気がする……)
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108 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:13:41 ID:HLJKiejo0
-
いやね、そりゃ同じ学年なら名前と顔くらいどこかでは見るだろうけどさ。
友達がいない俺でも、なーんか引っかかるっていうか。聞いた覚えがあるんだよね。
そんな俺の考え事も、次のその女の一言で完全にどこかへ飛んでいった。
ξ゚听)ξ「というか、高岡先生がこんな下劣な部の顧問だったなんて知りませんでした」
从 ゚∀从「へ?」
( ^ω^)「お?」
_
( ゚∀゚)「は?」
エターナルフォースブリザード。空気は死ぬ。
おい、この女は一体いきなり何を言ってるんだ?
解熱?いや熱冷ますシートでも座薬でもない。
下劣って言ったよな?GERETSU.下に劣るとかいてげれつ。
-
110 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:14:33 ID:HLJKiejo0
-
_
( ゚∀゚)「そりゃ、どういう意味だ?」
ξ゚听)ξ「この楽器と機材からみて、ここは軽音楽でしょ?」
_
( ゚∀゚)「そうだな」
ξ゚听)ξ「どうせジャンルはロックなんでしょ」
_
( ゚∀゚)「……まぁ、そうなるな」
ξ゚听)ξ「じゃあ、下劣じゃない」
は?という声が漏れそうになる。
どんな思考を経ればそうなるのか小一時間問い詰めたいんだが。
見渡すと、内藤と高岡も完全に呆気にとられたという顔をしている。
……いや、高岡は自分で連れてきたんだからおかしいだろ。
_
( ゚∀゚)「そこんところの『ロック=下劣』っていう超展開がわかんねぇな」
ξ--)ξ「あんなもの音楽じゃないじゃない。もっと情緒的な美しさがあるものを『音楽』っていうのよ?」
まるで、「そんなこともわからないのか」と言わんばかりに溜息。
階段を一段ずつ降りながら、俺らに言い聞かせるように話し始める。
-
111 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:15:40 ID:HLJKiejo0
-
ξ゚听)ξ「何を言ってるかわからないボーカルに、ガチャガチャうるさい楽器」
ミキサーの卓を見て、それから俺の相棒のベースを一瞥する。
ξ゚听)ξ「汚い部室。どうせ学校から厄介払いされたんでしょ?」
いや、まぁ確かに先輩たちが色々激しい人たちだったから、それは否定はできない。
もっと昔にはこの学校にも伝説と言われてるような上手い人たちもいたらしいが。
ξ゚听)ξ「ロック(笑)騒音撒き散らして騒いで自己満足してるだけでしょ」
しかしここまで来ると、俺のこめかみにはもれなく青筋が立ってるだろうな。
出来れば今すぐ殴り倒したい衝動に駆られちゃってますよボク。
ξ゚听)ξ「最近はテレビにすら出てこないし。迷惑だって思われてる証拠なんじゃないの」
そして、ふん、と鼻を鳴らしてとどめの一言を言い放つ。
ξ゚听)ξ「クラシックのような気品がある美しさが音楽っていうのよ」
俺の中で何かがキレた瞬間だった。もう本当に我慢の限界ってやつだ。
人間、怒ると本当に目の前が真っ白になるんだな。はじめて知ったぜ。
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112 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:16:42 ID:HLJKiejo0
-
流石にまずい、とか、やめておこう。とかっていう理性はもうない。
「あぁ、これは退学かな」とやけに冷静な頭があるだけだった。
一歩前に踏み込む。右手をしっかりと握りこむ。
腰の回転をつかって、そのまま綺麗な白い肌に拳を叩きこむ。
そして津出が吹っ飛んで。俺は良ければ停学、普通なら退学。ってところだな。
文化祭出るとかそれ以前の問題になっちまうな。
――それも高岡が間に入っていなければの話だったが。
.
-
113 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:17:29 ID:HLJKiejo0
-
ξ#;凵G)ξ「きゃあ!?」
先に声を上げたのは階段にしゃがみこんだ津出だった。
从; ∀从「いってぇ……なんでお前ら息ピッタリなんだよ……」
そして津出に覆いかぶさる形で高岡。
_
( ゚∀゚)「………あ」
そこまで見て、頭が急激に冷えた。
とりあえず高岡が殴られた衝撃で津出を倒したであろうことは分かった。
そして段々冷静な思考が戻ってきた頭に高岡の言葉が入ってくる。
――って何が息ぴったりだよ。
見渡すと、地面に転がる見覚えのある木の棒。
おいおい、これってもしかしなくても…
(#^ω^)
それは、ドラムセットから乗り出した状態で固まっている内藤のドラムスティックだった。
从; ∀从「大丈夫か?」
ξ;凵G)ξ「だ、大丈夫、です」
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114 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:18:37 ID:HLJKiejo0
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从; ∀从「どっか打ったとかじゃねぇな?」
ξ;凵G)ξ「はい、びっくりしただけで……」
仕掛けたのはあっちだとしても、さすがに罪悪感を感じる。
とりあえず謝らねーと、手が出たのは俺が悪いしな。
(#^ω^)「謝るお!」
っておい。声でかいよ。
まっすぐ津出を見つめて謝罪宣言……
(#^ω^)「僕達に、長岡先輩に、謝るお!」
じゃねーのかよ!?
ξ;凵G)ξ「な、なんで謝らなきゃいけないのよ!図星突かれて手を上げたのはあんたたちでしょ!」
(#^ω^)「ふざけんなお!!ロックに、音楽に上も下もないお!」
手に残っていたもう一本のスティックを振り上げる。
おいおい、それはまずいだろ!
_
(;゚∀゚)「やめろ、内藤」
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115 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:19:47 ID:HLJKiejo0
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(#^ω^)「先輩は悔しくないんですかお!?」
_
(;゚∀゚)「スティックを投げても何の解決にもならないっつーの!」
ξ;凵G)ξ「そーよ!この暴力野郎!」
おい、お前に何も言わないからって便乗してくんじゃねぇよクソ女。
お前に構ってたら俺の堪忍袋の緒がスペアの長さで地球一周なんだよ。
从; ∀从「落ち着け、おまえら」
高岡の声に俺らはゼンマイが切れた人形みたいにピタッと止まる。
今までに聞いたことが無いような、重くて、静かな声だった。
从;゚∀从「内藤は、スティックを下ろせ」
(#^ω^)「……」
不服そうな顔をした内藤が静かにスティックをスネアの上に置く。
从;゚∀从「津出は、今日は帰れ。誘って申し訳なかった。」
ξ;凵G)ξ「でも!」
从;゚∀从「理由はどうあれ、お前が暴言を吐いたのは事実だ。少しここを出て話そう。部室の外で待ってなさい」
高岡は深々と頭を下げて謝罪をした後、津出の反論を遮る。
津出本人は一瞬何か言いたそうにしたが、一応納得したのか、これまた不服そうに部室を出ていく。
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116 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:21:41 ID:HLJKiejo0
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从;゚∀从「長岡、」
_
(;゚−゚)「すんませんでした。背中」
从;゚∀从「……内藤と一緒にここで待ってろ。津出と話したら来る」
それだけ言って、立ち去ろうとする背中を呼びとめる。
_
(;゚∀゚)「津出にも、謝っといてください」
高岡は一瞬立ち止まるが、返事をせずに階段を上って行きやがった。
了解なのかどうか全く分からねぇ。
防音のドアがゆっくりと閉まると、部室が外と隔絶された空間になる。
(#^ω^)「……」
部室にはまだ怒りが収まらない様子で憮然とドラムセットに座る内藤と
_
(;゚∀゚)「……」
津出と高岡に対しての罪悪感を感じながらも。
退学は無いんじゃないかと、どこか変な安心をしている俺が残されたのだった。
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117 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:23:07 ID:HLJKiejo0
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4、けつだんはいつもしんちょうに おわり?
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118 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:26:02 ID:HLJKiejo0
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「……なぁ、お前案外怒ると怖いのな」
「……あんまり褒められてる気はしないですお」
「だよなぁ……」
「……」
「……」
「……ちょっとは相手に悪いと思ってますお」
「……そっか」
「…でも……バカにされて…悔しくて…」
「泣くなっておい!……おっし!分かった!高岡の説教終わったらラーメンでも食いに行こうぜ!」
「……はい゙」
「今日は俺が奢ってやっから!な!な?」
「あ゙りがどうございます……あ、あと……言いそびれてた事が」
「ん?なんだ?」
「僕は、透けブラの方が好きですお……」
「……へへっ」
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119 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/07/26(金) 04:27:28 ID:HLJKiejo0
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4、けつだんはいつもしんちょうに おわり
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4、けつだんはいつもしんちょうに
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