■( ゚∀゚)嫌われ者ロケンロー!のようです。
└2、きっかけはいつもとつぜんに
- 18 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:27:14 ID:dAyGbWeI0
2、きっかけはいつもとつぜんに
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- 19 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:27:58 ID:dAyGbWeI0
突然だが、集団生活、特に学校で生きていく上で一番大事なことって何だと思う?
協調性?社交性?寝たふりの技術?
…違うな。正解は「自分を殺す技術」っていう奴だ
それができるやつは上手く学校という環境で溶け込んでいける。
花もなく不可もなくって奴だ。
…あれ、なんか違うか?まぁいいや。
それができない奴っていうのは大抵つまはじきに合う。
妻弾き、って誤変換したらなんかそそられない?
「真昼の団地淫乱妻弾き!」
…違うか。
まぁgdgdとご高説垂れてる俺が結局何が言いたいかっていうと
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( ;∀;)「ビバ☆ぼっち☆イェー!」
ボクチン友達がいないんだよね!
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- 20 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:28:58 ID:dAyGbWeI0
- ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・・・・・・………
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( ゚∀゚)「まぁ、去年からわかりきってたことなんだが」
完全な独り言。パーフェクト。パーフェクトノーコミュニケーション。
どっかの課金ゲームなら高感度がアップしそうだ。
いや、むしろコミニュケーションがないから下がるのか?
そんなプロデューサーな事を考えながら放課後の廊下を歩いてるわけなんだが、
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( ゚∀゚)(びっくりするほど避けられてる)
俺が歩くところ人混みが割れる、ってほどじゃないが、
すれ違う善良な皆さまは明らかに目を合わせようとしない。
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( -∀-)(校内の情報伝達力と噂って怖いわよね)
俺は授業だってちゃんと受けてるし夜の校舎の窓ガラスを壊して回ったりもしないんだが。
まぁ、仕方ない。自分のせいじゃないとはいえ誤解される『原因』はあったんだから。
高岡にも言ったように人生は何が起こるかわからないもんなのだ。
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- 21 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:30:10 ID:dAyGbWeI0
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( ゚∀゚)「それにしてもなぁ」
つい1,2週間前に入ったばかりのハズの一年生にすら避けられてるのはなぜだろう。
きっとちらほらと校内に見かける部活の勧誘が増えたからだろう。
自問自答で即答解決、寂しいったらありゃしないね。
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( ゚∀゚)「後輩に語り継ぐような人なのかねぇ、俺」
諺だか慣用句だかでは人の噂は何日だって言ったっけな?
とりあえず俺は残り365×2日くらいは噂は付きまとうんじゃねぇかなと思う。
ま、もう諦めたけどね、言うだけ無駄さ。
開き直れば案外一人での学校生活も楽しいもんだ。
人混みが割れるのもモーゼ気分で悪い気はしないじゃないか
ハリウッドスターにでもなった気分で校内を練り歩いて悦に浸ってやんよ!
まぁ、5分で悲しくなって結局やめるんだけどね。
最終的にトイレに落ち着くっていうオチつくからな!どや!
え?やっぱりつまんない?そっか…
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- 22 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:31:02 ID:dAyGbWeI0
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( ゚∀゚)「というわけで、部室棟にやってきたのだ!」
説明しよう!
我らが私立VIP高校はクラス教室がある教室と理科室とか視聴覚室がある特別棟、
そして部活動を行ったり運動部の部室があるこの部室棟に分かれているのだ!
コの字型に三つの校舎が建っていると言ったら分かりやすいね!説明乙!
まぁ、流石に運動部は校庭で練習しているが、放課後のこの時間はどこへいっても騒がしい。
一応県下一の進学校といわれてるんだけどな、部活はきっちりやるやつが多いんだよね。
あっちからは金管楽器の間の抜けた音が聞こえてくるし。
かと思えば何かが爆発する音だったりと、色々とアウトな気もするのだが、
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( ゚∀゚)「そのなかでも一際怪しい地下への階段というのがあってだな…よっと」
いや、ね、活動の性質上仕方ないんだよ。防音って必要だからさ!
べつにイメージが悪いから追いやられたとかじゃないんだからね!
つまらない言い訳を頭の隅に追いやって、やたらと狭くて急な階段を降りると、
『軽音楽部』と書かれた分厚いドアを押しあける。
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- 23 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:32:13 ID:dAyGbWeI0
手探りで壁を探って蛍光灯をつける。
ドラムセットと、ギターアンプが2つ。ベースアンプが1つ。
そして机の上にはPA用の盤。それに繋がる2つのでかいスピーカー。
マイクスタンドにキーボード用のスタンドetc...
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( ゚∀゚)「設備だけはやたらいいんだよなぁ」
代々の先輩方が染み込ませていきやがったタバコやらの匂いが鼻を突く。
タバコ「やら」っていうのは、まぁ、うん。想像にお任せする。
まぁ、すえた臭いってのはこういう事をいうんじゃないかなぁ、
ほらウエスタンな酒場って感じで、ロマンを感じないかな、無理か。無理だな。
ぱち、と机に載せられた機械のスイッチを押すと、赤やら緑やらのランプが一斉に灯る。
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( ゚∀゚)「さて、と」
スタンドに立てかけていた俺の楽器を取りだす。
アトリエールViper、通称アトリエVの木目調のフレットレス。
コツコツ小遣いをためて、バイトをやって、去年やっと買った相棒だ。
やっぱイチキュッパな初心者用ベースとは違う、抜けるような心地いい低音が気にいっている。
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( ゚∀゚)〜♪
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- 24 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:33:54 ID:dAyGbWeI0
アンプに直で繋いで、ボリュームを上げる。
アンプが少しノイズを吐き出したが、少しつまみを弄ってやると黙り込んだ。
とりあえず軽くワンフレーズ爪弾く。
弦の振動が、電気信号に変わり、シールドを通って、アンプから流れ出す。
外からの音を遮断する防音壁は、それでいて室内に独特な音の響きを生み出す。
俺はこの音を表すんなら「まろやか」って言うのが一番だと思う。
あの、ほら、カレーとかシチューのとろみ的な何か。
…うん、カッコよく決めようと思ったけど、自分でも何言ってるかよくわかんねぇ。
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( -∀-)〜♪
俺の大好きな、SiberianSのリフ。
流れるような緩やかなフレーズと、ジャジーなしっとりさの混ざった、穏やかな音。
俺は、ベースを弾くんなら指弾きのほうが好きだ。
なんていうか、自分を出せる気がするんだよね、表情っていうのかな?
もちろんピックでも良いんだけど、まぁ気分の問題もあるんだろうな。
あぁ、俺、音楽好きなんだなぁ
もっと、こう語りあえるような人とかほしいなぁ。
開き直るってのもいいんだけど、やっぱ誰かとバンドしてぇなぁ。
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( ゚∀゚)「友達、ほしいなぁ…」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・・・・・・………
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- 25 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:35:22 ID:dAyGbWeI0
どのくらい経っただろうか。
好きな事をやってると、時間ってのは飛ぶように過ぎるっつーのは本当で。
っていうか地下室だから外が見えなくて時刻がわからないんだが、ね。
残念ながら一緒に帰る女の子も友達もいないから呼びに来てもらえないしね!
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( ゚∀゚)「Oh、もうこんな時間か」
時刻午後7時。
そろそろ腹も減ってきたし、帰るとしよう。そうしよう。
_
( ゚∀゚)「晩飯なんにすっかなー」
コンビニ飯でもいいんだが、何か作るってのもいい。
自炊は一人暮らしの味方ってやつなんだぜ。なぁ?
アンプのボリュームを0まで下げて、電源を切る。
今日も使わなかったミキサーも、電源を切っておく。
そしていざ行かん!我が家へ!
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- 26 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:37:51 ID:dAyGbWeI0
「ぎゃっ!」
意気揚々とドアを開けると、聞こえたのは悲鳴が1つ。
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( ゚∀゚)「お?」
見ると、人が倒れていた。いや、尻もちをついていた。
ふむ。真新しい制服、色褪せても壊れてもいない靴。
見紛う事なきいっちねんせーいってやつだな。
_
( ゚∀゚)「…」
しばらくだまっていると、ソイツは「おー」とか言い出した。
どうやら目の前の状況が飲み込めていないようだ。
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( ゚∀゚)「お前は…」
じっと見つめていると、また「おー」とかぬかし始める
え、なに、しゃべれないタイプの人なの?
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- 27 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:38:34 ID:dAyGbWeI0
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( ゚∀゚)「もしもーし、生きてるか?」
沈黙に耐えきれなくなった俺が話しかけると、
突然ソイツは立ち上がって脂汗をにじませながらまくし立てる。
…って、やめろやめろ唾飛んでるっておい、焦るな気持ち悪いなチクショウ!
_
(;゚∀゚)「とりあえず落ち着け!」
ピシッ!と音がしそうなくらい直立で気をつけをするソイツは
まぁ、ピザまではいかないかな、うん、まぁちょっとたるんでるくらいかな?
うん。身体的特徴を言うのはやめよう、うん。
どもりながらばたばたと謎の動きをしながらされる話をやっとのことで全部聞くと、
軽音楽部に入りたいと思ってるってこと。
人がいるかどうかもわからない上にこの部室の雰囲気に飲まれて入れなかった、と
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- 28 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:39:22 ID:dAyGbWeI0
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( ゚∀゚)「まぁ、言いたいことはわかった。だがな、この部は俺しかいないし、俺も今日は帰るとこなんだわ」
そうなんですかお、とピz…いや、ちょっと大きな体をしゅんと小さくさせる。
なんというか子犬を連想させるような落ち込み方だな
いやね、可愛くはないんだが、見ているとだんだん哀れに…
まぁ話くらいは聞いてやってもいいんじゃないかなって気分に…
…はっ!?
危なく流されるとこだった。やべぇやべぇ。
_
(;゚∀゚)「と、とりあえずだな!さっさと他の部でも見学したほうがいいぜ?」
ま、可哀想だが、まぁ俺みたいなのとつるんでも碌な事はないし、諦めさせたほうが、な。
嫌われ者と一緒にいる奴ってのは周りから疎んじられるもんだからな。
前途ある後輩の学校生活をなんていうか潰すのは良くないな、うん。
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( ゚∀゚)「んじゃな。部活探し頑張れよ」
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- 29 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:40:24 ID:dAyGbWeI0
話題を打ち切って帰ろうとするのだが、通れない。
地下から出てきた俺の前には一年生。狭い階段、しかも相手はピザ。
おい、ちょっと、そんなきょとんとした顔で見るなよ。
_
( ゚∀゚)「…いや、どけよ」
俺の言葉に慌てて立ち上がるソイツのカバンが、派手に荷物をぶちまける。
階段を転がり落ちるペンケースに、広がる真新しいノート。
どう考えても土下座みたいな状態で拾い始めるソイツ。
一つため息を吐いて、拾い集めるのを手伝う。
しかし、散乱した文房具たちの中の一つを見て、手が止まる。
黒地に、妙にかっちりした字体で"SiberianS"とプリントされたクリアファイル。
_
( ゚∀゚)「シベリアンズ、好きなのか?」
はい!と今日一番の大声でそいつは返事する。
良い趣味だ、このバンドのベースがカッコいいんだよなぁー、マイナーだけど。
そう言うと、なかなか知ってる人がいなくて話が合わないんですお。
と相手もボヤく。
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- 30 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:41:37 ID:dAyGbWeI0
俺もやりたいなぁ。と呟いて。
ふと、数時間まえの自分を思い出す。
これは、友達を作る「きっかけ」じゃないのか?
ほら、音楽について語れる人ができるじゃないか!
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(;‐∀-)(いやいや待ていかん、さっき思ったばっかだろう)
しかし軽音部にいるなんてそんな事知れたらこの一年生の評判がやばい。
『えーあの先輩と一緒の部活なのー?』
『あいつヤバい奴なんじゃないのー?』とか言われるのが目に見えるだろ!
むしろ変に声をかけてこの一年生にすら怪しがられて避けられたら…
だが、しかし!
このチャンスを逃したら!
真っ暗な高校生活が続くんだ。ここは、勇気を出すべきじゃないのか長岡譲二…!
『一緒に何かできる友達っていいぞー今しかできないぞー』
頭の中に、ぐるぐると高岡の言葉が渦巻く。
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( ‐∀-)(俺は、俺は…)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・・・・・・………
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- 31 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:42:18 ID:dAyGbWeI0
2、きっかけはいつもとつぜんに おわり?
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- 32 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:43:45 ID:dAyGbWeI0
「なぁ、お前、よかったら、俺と一緒にラーメンでも食いに行かないか?」
「お?」
「あー、いや、なんていうか、ほら!せっかく部活見に来てくれたしな!ほら!」
「で、でも…」
「この時間じゃ他の部活もいきづらいだろ、一緒にSiberianSについて語ろうぜ」
「うーん…じゃあ…行きますお…!」
「よっしゃ!決まりだな!」
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- 33 名前: ◆B8ZFMw8HsE[] 投稿日:2013/03/02(土) 22:44:29 ID:dAyGbWeI0
2、きっかけはいつもとつぜんに おわり
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