忌談百刑

第2話 道化死化粧師

22 名前:語り部 ◆B9UIodRsAE[] 投稿日:2017/07/11(火) 05:57:26 ID:gGrCXBbQ0
【第2話 道化死化粧師】

"川 ゚ -゚)"








――ふむ、ではいかせてもらう。

しかし、こんな始め方は少々鼻に付くとは思うが、

みんな、私の顔をどう思う?



いや、戸惑うような質問である事は重々承知しているが、正直に答えてほしい。



ξ゚听)ξ「……綺麗だと思うわ」


ありがとう。同性からそう言われると、なんだか照れてしまうな。



みんなも、そう思ってくれているか?







――なんだか、"口裂け女"みたいになってしまったな。

23 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 05:58:26 ID:gGrCXBbQ0

すまない。続けさせてもらう。

私は、自分の顔を美しいと思っている。
しかし、それは仮初の物であることも知っているんだ。

それは化粧が濃いとか、過去に整形をした事があるとか、そういう物理的なものではない。


本当に、"仮"であり"借り"なのだ。



私の小学校のあだ名を知ってるやつはこの中にはいないな?
それも当然、私だけは君たちと知り合ったのは高校に入学してからだからな。


私の小学校の頃のあだ名は"ハダカデバネズミ"

略して"ハデミ"だった。





(´・ω・`)「っく」




ξ゚听)ξ「ちょっと」

24 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 05:59:18 ID:gGrCXBbQ0

いやいや、笑ってくれて全然かまわない。


それこそ、小学生の心をズタズタに切り裂いて、涙も枯れ果てるぐらいの仕打ちは受けてきたから、
今はもう過去だと笑って流せるさ。





私はクラスでも群を抜いて小柄で、顔も小さく、その割に顔面の皮膚が余っていたのか
笑うとデコや目尻、口周りに顎先、至る所に皺が出たんだ。

更にタイミングの悪いことに、前歯が乳歯から永久歯に生え変わり終えたタイミングで、
その横の歯が犬歯まで一斉に抜け始めてな。

自分でも妙に納得してしまうほど、まさに"ハダカデバネズミ"の化身と言った顔立ちだったんだ。

クラスの男子に至っては、わざわざ家でプリントアウトしたハダカデバネズミの画像を黒板に張り出し
チョークでデカデカと"素直クールの前世"なんて書いては、何も知らず登校してくる私を嘲笑った。



ξ゚听)ξ「クズね」



まぁ、そう言ってやるな。

子供という生き物は、目ざとく"異質"を見つける。
その時たまたまクラスにいた"異質"の中でも際立っていたのが私だったというだけだ。

もちろん今だから言えることであって、当時はそんな自分の顔が大嫌いだったし、
その事で、親を呪い、友を呪い、美人を呪い、自身の運命を呪ったりしたものだ。

家の中の鏡全てに布をかけ、なるべく視界に自身の皺くちゃの顔が入らない様にして過ごした。

今では"醜形恐怖症"という病名が付けられるような状態だったのだと思うよ。

とにかく醜い自分が大嫌いだった。

25 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:00:06 ID:gGrCXBbQ0

――3年生の秋の頃だ。

学校の行事で、美符市にある、SoGoランドという遊園地に遠足に行くというものがあった。
みんなもいったことあるか?



(´・ω・`)「僕らは拝成市だったから、あんまり縁がないかも」



まぁ、きょうび小学生でも楽しめないような寂れた遊園地だよ。

現在は閉館しているはずだ。その廃墟は心霊スポットとして、県外からもマニアが不法侵入しにくるとか。

ともかく、私たちはそこに行くことになった訳だ。

当然班決めの時に、私は余る。



誰も"ハダカデバネズミ"なんかを班に組み込みたくない。



最初から用途の無い、余ることの確定した予備の部品。

いや、その予備の部品を作る際に産み落とされた鉄くずが私なのだから、
居場所がないのは当然のことだな。





そんな私を疎ましく思っているのが丸わかりの先生が、無理やりある班に私を入れた。

26 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:00:45 ID:gGrCXBbQ0
アトラクションを回る順番を班ごとに決めるのだが、当然私に発言権は無い。

私もそれを分かっているので何も喋らない。



男子があからさまにニヤけた面でこっちを指差す。

女子は眉を顰めて内緒話。



――あぁ、置いてけぼりにする算段か。



私の鬱屈した精神は、すぐに彼らの悪意に気が付いた。

私を置き去って、右往左往する様を、ゴミ箱の陰から眺めて嘲り笑うのだろう。



まっぴらごめんだった。



私はそのまま、その場から動かず、ベンチにでも座り、ジュースを飲んで集合時間までぼーっと空を見て過ごそう。

慌てず、騒がず、狼狽えず、悲しまず、頼らず、泣かず、怒らず、驕らず、そうやって時間を空費しようと密かに決意したんだ。

27 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:01:41 ID:gGrCXBbQ0
当日、全くその通りになった。

先生が各班の自由行動を宣言し、生徒たちが蜘蛛の子を散らすように四方八方に飛び散っていく中に班員たちは紛れ、
先生の目の前には、私がただ一人ぽつんと残ったんだ。

先生も、汚いものを見るような、実に忌々しいという視線を、笑顔の仮面の下に隠して
猫なで声で私に話しかけてくる。



『どうしたの、クーちゃん。ちゃんとついていかなかったの』



全て分かっているくせに。

他の五人を叱るよりは、弱い立場の私に罪を被せれば、労力は1/5で済む。

だから悪いのは私なのだ。



「大丈夫です。集合時間まで、集合場所にいますから」



そぉ、とラムネの瓶に息を吹き込んだ時のような気の抜けた声が担任の喉の奥で鳴った。

そのまま、先生、見回りに行かないと、というと、こちらを一瞥し、どこかへ消えた。




残された私は、普段自販機では買う事の出来ない、少し割高に設定されたメロンソーダでも飲みながら
観覧車の見えるベンチで、集合時間までに何周あれが回るのかをカウントして過ごすつもりだった。

28 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:02:25 ID:gGrCXBbQ0

『やぁ』

突然、声をかけられた。

本当に人に話しかけられるのが久しぶり過ぎて、持っていたメロンソーダを落としてしまった。
靴の上にひっくり返ったコップから、しゅわしゅわの液体が、じんわり靴の中に染みわたっていくのを爪先に感じたよ。

でも、辺りを見回しても、誰もいないんだ。





――本当に、誰もいないんだよ。





3年生全体で80名弱+教員。他のお客さん。遊園地のスタッフ。マスコットの着ぐるみ。
そういったものが、私が緑に染まった靴に視線をやった一瞬ですべて消えてしまったんだ。

雑踏は遠のき、そばにあった船をひっくり返すようなアトラクションの、海賊をイメージしたであろうBGMだけが辺りに響いていた。

私はもう一度視線を回した。

すると、遠くの――そう、ちょうどメリーゴーラウンドの裏側から
カラフルな粒の塊がにょきと顔を出すのが見えたんだ。

丁度m&m'sのチョコレィトみたいな色とりどりが、ふんわり宙に浮かんでいた。
それが風船の集合体だと気付くのにそう時間はかからなかったよ。それから、それを手に持った奴の事も。



『やぁ』

奴はもう一度、さっきと全く同じ音程と抑揚でそう言った。
私の目の前まで迫ったそいつは――







――ピエロだった。

29 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:03:25 ID:gGrCXBbQ0
赤地と、青地が継ぎ接ぎされたツナギには水玉模様が散っていて、
手首足首にはレースがあしらわれている。

前を止めるボタンは色も形も大きさもチグハグで、妙に目に痛かった。

襟首には教科書でしか見たことのない、南蛮貿易で南蛮人が着けていたような、ひだのエリザベスカラーみたいな不格好な意匠があって。

顔は真っ白のファンデーションで首から耳から全て塗り潰され、髪の毛は真っ赤なもじゃもじゃだった。
口は耳まで裂けるように巨大な赤で縁どられていて、口元からは歯並びが嫌にグロテスクなのを強制している器具が見え隠れしていた。

眼は十字架模様だったんだが、閉じられていて、瞼には、その十字架に磔にされた男が描かれていた。
それが"イエス・キリスト"だと知ったのは、小学校高学年になってからだったが。

でな、さっきは目が閉じられていると言ったが、ほんとは違ったんだ。
本当は、薄くあけられているらしく、一円玉の厚みくらいの隙間から、大きな黒目がキョロキョロ動くのが見えた。



『やぁ』



三度目の挨拶だ。

不思議と恐怖は無かった。

あったのは、人に話す言葉を忘れてしまったかの様に引っ付いた自分の喉に対する焦りだった。
声が上手く出せないんだよ。理由は分からないけど。

喉の奥に小人が住んでいて、無理やり声門を閉じているかのように、
自分ではない力が、内側から喉に加わっているのを感じた。



『お返事は結構。首を縦はイエス、横はノー。オーケー?』



そういってピエロは、右手の人差し指と親指で丸を作って笑った。

矯正器具に詰まった何かの食べかすが、生臭いにおいを放っていたが、不快には思わなかった。

30 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:04:45 ID:gGrCXBbQ0
『君は迷子かい?』


首を横に振った。

だって、私は最初から、スタートであり、ゴールである場所から動いてはいないのだから。


『お友達とはぐれたのかい?』


これも横。
私に友達などいないのだから、はぐれるなんてことはないのだ。


『じゃあ――』


顎に手を当て数秒黙った後、やけにオーバーに拳を掌に打ち付けると、
ピエロは上機嫌にこう言った。


『君は"独り"なんだねっ!』


そこで私は初めて首を縦に振ったよ。

"ハダカデバネズミ"という生き物は、女王を中心としたコロニーを形成する、
蟻の様な習性をもった哺乳類らしい。独りでは生きていくことすらできないんだ。

私は、独りの"ハダカデバネズミ"。

生きることすら拒絶されたのに、醜悪な顔面を引っ提げて、のうのうと、こんなところまで来てしまった、
哀れな"道化師"

そんな私に向かって、ピエロは『Jeez!』というと、持っていた風船を全て空に放った。

今にも雨が降り出しそうな曇天に、カラフルが吸い込まれてやがて消えていく。

その最後の一つが消えるか消えないかのところで、ピエロは私の手を掴んで走り出した。


ピエロの足元からは、歩くたびに、幼児用サンダルの様なぴよぴよが聞こえてきて、
思わず私は笑顔になった。

31 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:05:43 ID:gGrCXBbQ0

『How cute!』


ピエロはそう言ってくれた。もちろん当時の私にはキュートという英語の意味さえ分からなかったけど
私の醜形を甚く前向きに捉えてくれている事だけは理解できた。


私たちはいくつものアトラクションに乗った。

メリーゴーラウンドのユニコーンに跨るワタシを、柵の外からピエロが見ていて
私たちは互いが見えるたびに千切れるほど腕を振った。


コーヒーカップは、私がハンドルを回し過ぎたせいで、ピエロがカップの外に放り出されたけど、
ピンピンと跳ねながら、『Okey-dokey!』とおどけてくれた。


本当は身長制限があって乗れないはずのジェットコースターにも特別に乗せてくれた。
私はそれが嬉しくって、結局3回も乗ってしまったよ。


ピエロは3回目は流石に嫌がっていたけど、無理やり乗せた。

降りた後に虹色の吐瀉物をまき散らしていたが、『Rainbow!』と言いながら、
シャボンの膜の様に不思議に光を反射した矯正器具を見せつけてきた。


楽しかった。

死んでもいいと思った。

もう、私の人生で、これ以上楽しい事なんて何も起きないって思った。







だから、もう、ここで殺してくれと。

32 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:06:33 ID:gGrCXBbQ0

最後に、ピエロが私を連れて行ったのは、人気アトラクションの陰にひっそりと建っていた"ミラーハウス"だった。

私は、入るのを拒んだ。

だってそうだろう? ここまでかかっていた、"幸せの魔法"が、一気に解けてしまう気がしたんだ。

自分に刻まれた皺の一本一本が、私に現実を突きつける。

もしかしたらこのピエロだって、現実逃避の末に私が生み出した"イマジナリィフレンド"かもしれないのだ。
その時の私は、現実の不幸よりも、妄想の中の幸福を強く望んでいたのだ。


お願いだから、そこには入りたくないの。


喋れない代わりに、首が?ぎ取れるぐらい強く横に振った。

それでもピエロは優しく微笑みながら、背中を押してきた。

最終的に私は根負けしてしまった。ピエロを信じたいという気持ちもどこかにあったのかもしれない。

ミラーハウスの中は、外とは比べ物にならないほどひんやりとしていた。

秋と言えど残暑という言葉がぴったりな、皮膚に張り付くような湿気は無く、
無音と、無数の鏡だけがそこにあった。


私は、ピエロの眼の様に、薄く、薄くだけ目を開き、なるべく自身の鏡像が視界に入らない様に心がけた。

33 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:07:37 ID:gGrCXBbQ0
でも、ピエロは言う。


『目を開けるんだ、Coo』


ピエロは喋れないはずの私の名前を知っていた。

それに驚いたせいか、思わず目を開いてしまった。



――私を取り巻くすべてに、私が映っていた。



でもそれは、私であって、私ではなかった。

その一枚一枚が、微妙に現実の私と乖離している。

目元だったり、口元だったり、鼻筋だったり、おでこの広さだったり。


今いる私の場所から遠い場所の鏡ほど、現実の私からかけ離れていく。

一番端の、奥の、暗い、隅の、鏡に映った私は、美しかった。


もう、私であるべきパーツなんて一つもない。
それでも、あれは私だと、浅ましくもそう思った。


ピエロは、いつの間にか持っていた小振りなハンマーを私に握らせた。



『最後の鏡に映った君が、本当の君になるんだよ』






そう言い終わるか終わらないかの内に、私はめちゃめちゃにハンマーを振り回した。

34 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:08:29 ID:gGrCXBbQ0
目がぱっちりした私の鼻が砕けて、弾け飛ぶ。

鼻筋の通った私が、目玉を飛び出させて、砕け散る。

愛らしい口元の私が、頭蓋をカチ割られて、崩れ去る。



もう、私は、誰を、何を、どこを、ぶち壊しているのか分からなくなっていた。


何十、何百、何千の私を殺した。
辺り一面が、私のパーツの海に溺れた。
歩くたびに、私の部品が、パリパリと音を立てた。


私は、予備の部品の、あまりの、鉄くずの部分なのに、
じゃあ、この足元に散らばる幾千の"私"はなんなのだろう。



もう頭が狂いそうだった。



いや、もう狂っていた。




醜悪な自分を殺すことに至上の喜びを見出していた。

嗜虐性は加速し、より細かく、より派手に砕くことで、己を殺す快楽を貪った。

35 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:09:33 ID:gGrCXBbQ0




――パンパンッ!





ピエロが手を叩いて、私を止めた。

気が付けば、もう残り2枚の鏡しか残っていなかった。



最初に自分が映った、醜くグロテスクな鏡。
最後に自分が見た、美しく、麗しい鏡。


ピエロは言う。



『この鏡は、どこかの宇宙、どこかの世界の君なんだよ』

『この鏡に映るのは、君と同じように悩み、嘆き、それでもなお生きようとした、どこかの誰かなのさ』

『君はそんな大勢の"他人の自分"を殺したんだ』

『さぁ、最後の選択だ。君は、誰を殺して誰になるんだい?』



――ピエロの眼は、大きく見開かれていた。

大きいなんてもんじゃない。ピンポン玉ぐらいの黒目がいっぱいに広がった瞳を、鏡の中の私に向けていた。
白い指先に張り付いたボロボロの噛み跡だらけの爪が、ブラウスを突き破って私の肩に食い込む。

逃がさないよ。

無言の圧力で、ピエロはそう言っていた。

無数の私の屍の上で、私は、何者になるかを選択しなければならなかった。

36 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:11:48 ID:gGrCXBbQ0
答えはとうに決まっているはずだった。


醜い私が死ぬのが正解に決まっていた。



でも、振り続けた腕がダルくて、

     熱を持っていて、


 重くて、                痛くて、
        仕方がなくて、

                         どうしようもなくて、

だから、振り上げられなくて、

                  決して死ぬのが怖いんじゃなくて、

  殺したことに後悔なんてなくて、


今更友達がほしくなんてなくて、          呪った人たちに謝りたくなんてなくて、


   お父さんお母さんに産んでくれてありがとうなんて言いたくなくて


泣きたくなくて、

           逃げたくなくて、
                                     喚きたくなくて、


                 しゃがみ込みたくなくて――



――もうどうにでもなれって、ハンマーを、醜い私が映る、鏡に向かって振り上げて。




"鏡像のハダカデバネズミ"をブチ殺すべく、頭上に掲げたハンマーを振り下ろした。

37 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:12:49 ID:gGrCXBbQ0

沢山の鈴が鳴るような、金属のたわんだ唸り声が響いた。









――鏡には、ヒビが入っただけで、割れていなかった。





鏡に映るワタシは、泣き顔で、いつも以上にぐしゃぐしゃで、それでも、安堵の中で、歪な笑顔を浮かべていた。

ヒビのせいで、福笑いのパーツみたいに目も鼻も口も、本来の位置には無かったけど、それは少しだけ自分が好きになれるような笑い顔だった。



ピエロはいつの間にか目を閉じていて、ヒビが無い方の遠くの鏡を指差して、



『いつか君もあの子の様になれる』



と言ってくれた。



私はそれが嬉しくて、同時に悲しくて、ピエロのボタンに噛り付くように泣き伏せた。









『ただ、行為には責任が、責任には代償が伴うものだ』

38 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:13:44 ID:gGrCXBbQ0

――ミラーハウスを出ると、既にそこは元の世界に戻っていた。

走り回る子供、それを追う先生、風船を配るマスコット。

やがて、私に気付いた先生が、私の班の生徒を引き連れて、やってきた。

『ちょっと、クーちゃん、どこ行ってたのっ!?』

いつもこちらに向けるような、昼行燈で曖昧な笑顔ではなく、
あまりりの剣幕だったので、私は思わず笑ってしまった。



瞬間、生徒たちが悲鳴を上げた。



先生も泡を吹いて失神した。

一番気の強い男子生徒が、私を指差しながら、上ずった声でこう言った。

『お前っ、顔っ、化けものっ!!!』

そう言いながら、泣きじゃくる女子生徒のポーチから手鏡を取り出すと、私に投げてよこした。

その鏡に映る自分を見て、私は気付いてしまった。




――なるほど、これが代償なのだ、と。





ξ゚听)ξ 「どういうこと?」

君たち、私の笑った顔見たことあるか?

ξ゚听)ξ 「そういえば、無い」

別に、鉄面皮、という訳では無い。

いい機会だ。君たちちょっとそっちに並んでくれるか?

39 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:18:10 ID:gGrCXBbQ0


ξ゚听)ξ ('A`)    「こう?」
( ^ω^)(´・ω・`)                                     ( 川川从

ξ゚听)ξ ('A`)
( ^ω^)(´・ω・`)                                     ( 川川从「そう、それでいい」


ξ゚听)ξ ('A`)
( ^ω^)(´・ω・`)                                     ( 川川从「いくぞ」



ξ゚听)ξ ('A`)    「……」
( ^ω^)(´・ω・`)                                    ( 川川从


ξ;゚听)ξ (;'A`)
(;^ω^)(;´・ω・`)                                    ( 川川从 ニッ






ξ;゚×゚)ξ (;゚A゚)
(;゚ω゚)(;´゚ω゚`)                                      ( 川川从 ニィィ……






ξ;゚×゚)ξ (;゚A゚)  「……」
(;゚ω゚)(;´゚ω゚`)                                      ( 川川从

40 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:18:42 ID:gGrCXBbQ0












                  な?













【道化死化粧師 了】

41 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 06:20:17 ID:gGrCXBbQ0
【幕間】





( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「……」

(´・ω・`)「……」

(;゚A゚)「……ウォエッ! オエェエエエエエエッ!!!」

川 ゚ -゚)「ふふん」

ξ゚听)ξ「"ふふん"じゃあないわよ」

ξ゚听)ξ「あんなの卑怯じゃないの」

川 ゚ -゚)「そんなことないだろう。のっぺらぼうの昔話と同じさ」

( ^ω^)「ドクオ大丈夫かお?」

(;'A`)「あ、あぁ……」

(´・ω・`)「ドクオ結構グロ耐性ある方なのにね」

(;'A`)「いや、普段のクーさんを知ってる分だけ、落差が」

川 ゚ -゚)「私たちは何が何でも百物語を完遂しなければならないのだ」

川 ゚ -゚)「出だしからこれでは先が思いやられるぞ」

ξ゚听)ξ「はぁ、次の語り部はハードルが上がるわね」

( ^ω^)「誰にするんだお?」

(´・ω・`)「じゃあ、ここは上げたハードルをくぐる事に定評のあるショボン様が行こうかな」

( ^ω^)「凄い悲しい自負だお」

ξ゚听)ξ「"題"はどうするの?」

川 ゚ -゚)「>>45に任せよう」



ξ゚听)ξ「では、次の"解"を求めましょうか。」

45 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/11(火) 13:13:11 ID:pMvxNGo20
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