忌談百刑

第11話 指揮者はいざなうものなので

389 名前:語り部 ◆B9UIodRsAE[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:03:28 ID:UciS/vrE0
【第11話 指揮者はいざなうものなので】

"(´・ω・`)"






('A`) 「そういや、次誰行くか決めてなかったな」



――僕でもいいかな?



川 ゚ -゚)「任せた」



僕が、君たちと知り合ったのは、中学に入ってからだったね。

諸事情あって、僕は地元の中学ではなく、"越境"して、拝成北中に入学した。
その時に、ブーンと、ドクオと、ツンちゃんに初めて会ったんだ。

その後、高校で色んな意味で目立ってたクーさんを取り込んで、今の形に落ち着いた。



ξ゚听)ξ「結構厄介な五人組だと思われているらしいわよ」



まぁ、僕も関係者じゃなかったら、実にそう思うよ。




だから僕は、小学校は君たちとは違うんだよね。




これは、僕が小学六年生だった頃の話だよ。

390 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:04:07 ID:UciS/vrE0

――僕らの、拝成南第二小学校は、その頃結構ザワついてたんだ。


僕のクラスの担任が、今年から晴れて先生になった新人の女の人で、
まぁ、一般的に言って指導力欠如って感じの能力しか持ち合わせていなかったせいで
まさに"学級崩壊"に陥っていた。


特に酷かったのが、特定児童に対する"イジメ"


その頃、僕らのクラスには、ベテランの副担任が常に後ろに立って目を光らせているなんていう
状態で、席替えなんかも自由に行わせてもらえなかった。

だから、常に、誕生日順で並ばされていたんだ。

僕は3/27日生まれでクラスの中で一番最後の誕生日だったから、
窓際の、一番後ろなんていう一番目立たないポジションを、うらやましがられたりした。

廊下側の一番前は、イヨウ君っていう男の子だったんだけど、
誕生日がこの中で一番早い割に小柄で、引っ込み思案で、いつもオドオドしているっていう
いじめっ子からしたら、まさに"的"みたいな生徒だった。

今考えると、成長障害だったんだと思う。

親が資産家で、擬似帝王学みたいな厳しいお稽古をいくつもかけ持って、
更には中学受験をするために、この辺でも一番厳しくて宿題も多い塾に入れられていたみたい。
そのせいで、夜中まで、その塾の宿題をやらなきゃいけないから、必然的に睡眠時間が削られて
その分だけ、成長ホルモンがでていないのでは? って感じ。

だからかな、目の下にはいつも、絵具でも塗りたくったように色濃い隈がいつも出ていて、
しかも授業中に白目を向いて、涎を垂らしながら居眠りしてしまう癖もあって、
クラスでも浮いていたし、よくからかわれていた。




そんな彼に対する"イジメ"が顕著に顕在化していったのは、
夏休みが終わって、半そでから長袖に切り替えようかな、くらいの時期だった。

391 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:04:51 ID:UciS/vrE0


――僕らの住む、拝成南では、毎年10月に、第一南から第五南までの小学校の六年生が、マーチングバンドをやるのが恒例だったんだ。


マーチングバンドって言われて、ピンとくるかな?


('A`) 「楽器持って、近所を練り歩くあれだろ?」



そう言われると、なんかお祭りの鼓笛隊感が凄いけど、まぁ、そんな感じ。

それぞれの学校が、隊列を組んで、音楽を演奏しながら、国道を西から東へ移動するんだ。
その時は警察も協力して車道のど真ん中を歩けるってんで、結構六年生は前々からその非日常感を楽しみにしているんだって。

でも、僕らのクラスは、絶賛"学級崩壊"中だから、みんな乗り気じゃなかったんだ。

そもそも、"協調性"というものが無いから、生徒それぞれが、テンでバラバラな方向に動いて学級が崩壊している訳で。

副担は、これを機にクラスにまとまりを、なんて息巻いていたんだけど、
正直、僕ですらそんなかったるい事に一所懸命になるのはごめんだと思っていたんだ。


だからかな? 楽器のパート決めは揉めに揉めた。


男子はまず、口に咥えて楽器を吹くっていう行為がダサいってんで、ピアニカや、トランペットを拒否。

女子は女子で、重い楽器を腰に固定して長い距離を歩くのは絶対無理って騒いでた。

392 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:05:34 ID:UciS/vrE0

その中でも、全員が満場一致で嫌がったのが"指揮者"だった。


君たちは、"指揮者"って、棒を振ってるだけで楽じゃないか、なんていうけど、とんでもない。

まず、マーチングっていうのは、オーケストラのコンサートみたいに隊列が扇形に横に広いんじゃなくて、
"列"なんだよね。だからどうしても、移動方向に、縦に長くなるんだ。

だから、後ろの方からも、その指揮が見えるように、馬鹿デカくて、重い特別な指揮棒を使うんだよね。

先端がスビッと天まで伸びて、柄の先には、付けなきゃいいのに、金色の丸い大きな玉と、赤い"房"がついている。
それを、演奏中はずぅーっと、上下に大きく振り続けなきゃいけない。


しかも当然後ろ歩きね。


それを、2kmくらいかな? 延々と繰り返すの。


聴いてるだけでも嫌にならない?


こんなの、自己顕示欲の強い奴しかやりたがらない、地獄の役職だと、みんな放棄していたね。



ちなみに僕は、逆に目立たな過ぎてダサいという理由で、二番目に人気の無かった
"トライアングル"にちゃっかり就任し、一曲の中で二、三回だけ"ちりり〜ん"ってやるのが関の山という担当をゲットしたよ。



( ^ω^)「流石ショボ、クッソ小狡いお」

393 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:06:29 ID:UciS/vrE0

会議はだるんだるんのまま進行し、それでも何となく生徒たちがそれぞれのパートにつき始める。

ただ、全員が、『指揮者は誰がやるんだ』みたいな押し付け合いのピリピリした空気が徐々に張りつめていくのが分かったね。



僕は鼻ほじりながら見てたけど。



ξ゚听)ξ「今の情報いる?」






そしたら、クラスでもガキ大将を気取っている、一番体格の男の子が手を上げてこう言ったんだ。
フォックス君って言ったけな。もう何年も会ってないし、もう会う事もないだろうからちょっと曖昧なんだけどさ。


『せんせー、指揮者って、楽譜とか読めないといけないんじゃねーの? だったら、このクラスでそんなの出来るの、"イヨウ"だけじゃね?』



確かにその通りだった。

僕らのクラスは、世の中の平均的なクラス編成にしては珍しく、ピアノをやってる女子だとかが1人もいなかったんだ。
だから、様々なお稽古の一つに、"ピアノ"を抱えるイヨウ君が適任で、間違いなかった。

全員の目線が、イヨウ君に集中する。


その目線は、"今まで黙ってやがったな"なんていう、中傷的なニュアンスを含んでいたように思うよ。


イヨウ君が、自分から手を上げて、指揮者をやりますっていえば、こんな風に帰りの会も長引かずに、
さっさと遊びに行けたというのに、っていう感じね。

394 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:07:21 ID:UciS/vrE0

イヨウ君は、これ以上ないほど肩をすくめて、真っ青な顔で机を見つめている。

それこそ、"穴が開くほど"っていうのがピッタリなくらいに。

まるで、今のフォックス君の言葉が聞こえていないし、視線にも気づいていませんっていう、
そういう"弱い拒絶"のオーラを漂わせていた。



でも、その態度が、フォックス君の導火線に火をつけてしまったんだよね。



『オイッ! イヨウッ! テメェ黙ってないでなんとか言えよチビッ!!』



思わず僕も2cmくらい尻が浮くほどの大声で、イヨウ君に向かって怒鳴ったんだ。



副担が慌てて『フォックス君、やめなさないッ!!』なんてたしなめたけど、
その効果は、抜群だった。


彼の眼の下からは、じんわりと涙が染みだして、表面張力で大きな盛り上がりを作る。


でも、それを零してしまうと、より"痛い視線"で見られるのが分かっているのか、
ギリギリのところで耐えながら、左手だけ、小さく、ゆっくり上げた。







『僕が、指揮者を、やるよぅ……』

395 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:07:50 ID:UciS/vrE0

その時、僕は、果たしてイヨウ君の声ってこんな女の子みたいだったっけっていう
ちょっと的外れな事を考えていた。

そういえば、彼の声なんて聴いたのは、数か月ぶりだった気がする。

それくらい彼は、目立たないように、この学級崩壊っていう荒廃した砂塵の中に、己の姿を隠し続けてきたんだ。
それなのに、"砂漠の狐"に目ざとく見つかって、砂の中から引きずり出された。



『イヨウ君、無理しなくてもいいんだよ?』



担任の新人教師が、ここぞとばかりに"優しい女教師"アピールをしてきたけど、
そんな言葉、未だにイヨウ君を睨み続けている、フォックス君の視線をどうにかしなければ
何の意味も持たない事を、彼女は理解できていないようだった。

そんなだから、このクラスは崩壊したのだというのに。





そうやって、イヨウ君は、僕らのクラスの"指揮者"になったんだ。

396 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:08:45 ID:UciS/vrE0



――次の日の、演奏曲目決めは、意外とすんなり決まった。




フォックス君の昨日の怒号の効力が、まだ色濃く残るこの空間で、彼はまさに王様のように振る舞った。

当時彼がはまっていた、"スターウォーズ"と"ドラゴンクエスト"この二つのメインテーマになったんだ。

まぁ、小学生にも比較的演奏しやすいって副担も了承したし、

僕もなまじ、ハチャトゥリアンの"剣の舞"とか、"威風堂々"みたいな、何とも言えない、
僕ら子供から数メートルずれたようなセンスの曲ではない事に安堵した気がする。


早速その日から、練習が始まった。

最初は音楽の先生が主導になって、楽器の扱い方や、音の出し方を。

そして、生徒たちには、インターネットか何かから引っ張ってきたと思われる、ドレミの記入された楽譜が配られた。
二つの曲とも、基本的には2分程度しかないんだよね。それを数回繰り返すことで、"1曲"って扱いにするみたいだった。

どのタイミングで終わらせるかは、イヨウ君の指揮によって列に知らされる手筈になった。




当然、練習なんて、上手くいくわけなくて。


みーんな好き勝手に、好きな曲を弾いてみたり、
興味本位で楽器を分解して、元に戻せなくなったり、
ワザと滅茶苦茶に弾いてウケを狙ったりと、散々だった。


本来だったら、クラスのしっかり者の学級委員長の可愛い女の子が、
『もう男子ちゃんとやってよっ!』なんて怒り出して、最終的には泣いちゃって、
お調子者が罪悪感に囚われるみたいな展開が待っているのかな?


でも、ウチのクラスの学級委員長はフォックス君で、誰よりも率先してふざけ廻っていたし、
怒って泣くのは担任の新人女教師で、しかも泣いても無視っていう地獄みたいな状況だった。

397 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:09:14 ID:UciS/vrE0
そんな中で、イヨウ君だけは、壊れたロボットみたいに指揮棒を振り続ける。

そんなある意味では"異様"に"愚直"な彼に対して、フォックス君は全ての責任を押し付けた。



『指揮者が不甲斐ねーから練習がすすまねーよー。ちゃんとオレらを、"指揮"しろよな』



そういって、度々取り巻きとゲラゲラ笑ったりした。



そんな時イヨウ君は、決まって目の下から盛り上がる涙が零れないように、
下唇を歯型がつくくらい噛み締めて、ひどく曖昧な表情で笑って見せた。

彼の靴が無くなったり、教科書が破かれるようになったのも、その頃からだった。

犯人なんてクラスの全員が分かっていたけど、それでも誰も注意しなかったし、
むしろ面白がっていた風な場面さえあった。

398 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:09:53 ID:UciS/vrE0



――僕?





僕は、"我関せず"だよ。



例えば、イジメられているのが、君たちだったら、
僕は何を失ってでも、そいつ等の息の根を止めてやる。








でも、イヨウ君は友達でもなんでもなかったから。





それに、僕には彼が、好き好んで、その場所から出てこないようにしているようにも見えたんだ。

399 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:10:49 ID:UciS/vrE0

進まない音楽の練習と裏腹に、イヨウ君へのいじめは反比例的に加速していく。

物を隠す、壊すが、公然とした借りパクや強奪へ。
陰口が、直接的な罵倒に変わるのに、半月も掛からなかったよ。



挙句の果てに、フォックス君が、昼休みに訳の分からない提案を、クラス全員の前でしたんだ。


『マーチングの練習が遅れてるのは、指揮者がだっせーからだと思うんだ。だから、明日から、練習が上手くいかなかったら、席順に、イヨウを"処刑"しようぜ』


実にいじめっ子らしい、頭の悪い、クソみたいな、悪意に満ちた提案だったね。
下手に権力を持った愚君って、こんな感じに際限なく暴走してしまうものなのだろう。


そんな、自身の処刑宣告を聞いてもなお、イヨウ君は声一つ上げず、
何時もみたいに、机を穴が開くほど見つめていた。


そんなイヨウ君に、フォックス君はニヤニヤと近づいて、荒々しく肩を抱いたんだ。



『だぁーいじょーぶだって、明日から、俺らちゃんと練習すっからさぁ』



クズ、って表現がぴったりの下衆びたニヤケ面で、彼の耳元にそう吹き込む。

誰もが、絶対嘘だって分かってたし、多分イヨウ君だって分かっていた。



でもそんな事いう奴は、誰1人現れないまま、そうやって彼にとって"最低の日々"がスタートしたんだ。

400 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:11:54 ID:UciS/vrE0

初日は、イヨウ君の後ろの席のやつが、
お道具箱の中の、彼の夏休み全てを費やして集めたセミの抜け殻をすり潰して、"ふりかけ"を作った。

それを、担任にばれないような角度で、イヨウ君のご飯にふりかけた。
イヨウ君は目をひん剥いて、周りをキョロキョロ見渡したけど、女子は目をそらし、男子はニヤニヤ彼を見ている。

彼は自分に救世主が現れない事を悟ると、もそもそと、その茶色いご飯を、少しづつ頬張った。
なんのリアクションもせず、美味しいとも不味いともなく、簡素に、黙々と、食べ進んでいく。
僕はその姿に、なんというか空恐ろしさを感じたよ。



次の日は、画びょうを上履きの底にセロテープで幾つも固定し、"地獄の健康シューズ"を履かされていた。
イヨウ君の席から、二つ離れた彼は、"足つぼ刺激されてるか?"なんて笑いながら聞いていたけど、
イヨウ君は、また淡々とそれを履いて、痛みに顔をしかめることすらせずに、その日一日を過ごした。



よくテレビ番組や、雑誌なんかで、イジメッ子は、相手のリアクションが楽しいから続けるんだよ、
リアクションをしなければ、おのずとイジメは止むんだ、なんて言っていたけど、あれ、嘘だから。



そんな事すれば、際限なく、イジメは進化する。



そいつから至極のリアクションを引き出すために、更に悪辣に改良を加えたイジメが次々に生み出されるだけさ。


小学生って言っても、六年生なんて、ほぼ僕らと変わらない知能と知識があるもんだ。
絶対に顕在化しない位置に、彼らは痛みを与え、傷を作った。







イヨウ君の脇の下の皮膚をカッターで剥離し始めたあたりから、僕はもう関知することすら止めたから、
その後どんな事が、彼に起こったのかは知らない。

401 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:13:22 ID:UciS/vrE0


そんなこんなで、あと二週間でマーチングバンド本番まで迫ってしまった。

担任は、毎日精神不安定患者みたいに怒鳴っては泣いてを繰り返していたけど、
誰も真面目に練習しようなんて思っていなかったし、むしろ真面目にやらない方が
毎日お昼休みに行われる"イヨウ君処刑ショー"が見られるから、彼らにとってはそちらの方が重要になってきた。

そんな日の朝の会。先生の挨拶が終わると同時に、イヨウ君が手を上げたんだ。
あの指揮者に決まった日みたいじゃなく、右手を、高々と、真っ直ぐに。




『あ、あれ、イヨウ君、どうしたの?』


おずおずと腫物でも触るような、担任の声。


クラスに緊張が走る。




イヨウ君が、今までのイジメに耐えかねて、この場で暴露を始めると、誰しもが思った。

あの王様気取りのフォックス君でさえ、顔を大きく引きつらせていた。

しかし、そんなクラスの思惑とは裏腹に、彼は至極真っ当な提案をした。



『あのぅ、もう、演奏曲二つは、今からじゃ難しいんだよぅ。だから、曲目を、もっと簡単な、曲、1曲に変えたいんだよぅ』



その時の声は、一か月前の、女の子みたいな声じゃなく、
確かにイヨウ君の声帯なんだけど、"誰か別の何かがそれを使って演奏しているような"やけに他人行儀で、重みの無い言葉に聞こえた。



『――ふ、ふざけッ!』



一瞬、間があって、フォックス君が座っていた椅子が倒れる勢いで立ち上がった。

402 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:13:50 ID:UciS/vrE0

でも、それと同時に、イヨウ君は、自身の机の横にかけてあった、黒い楽器ケースを片手に、教壇に立ったんだ。

そのケースを開くと、中からは、紙の束と、それから、ヴァイオリンを、少し大きくしたような楽器が出てきた。
紙の束の方を担任に渡してから、彼はこう言う。



『今から、その曲を演奏するよぅ。みんながいい曲だと思ってくれたら、変えさせてほしいんだよぅ』



紙束は、その楽曲の楽譜の様だ。ちらっと見えたそれには、音符のほかに、丁寧にドレミが書き加えられていた。
既にクラス全員分印刷してきたらしい。かなり準備周到だ。



彼は大きめのヴァイオリン――後で知ったんだけど"ヴィオラ"っていうらしいね――を肩に乗せて、その端を、顎で挟む。




その姿が、あまりにも"決まっていた"から、僕らはもちろん、フォックス君も、動くことが出来なくなった。

403 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:14:38 ID:UciS/vrE0


――その曲は、なんていうか、あまりにも、暴虐的だった。



ヴィオラの優しい音色の中に、幾本もの悪魔の腕が見え隠れしている。

その悪魔の腕には、それぞれ見たことも無いような幾何学的な構造の楽器が握られていて、蠱惑的な音色を奏でている。

頭の中心に、丸ノコでもぶち込まれて、中身がシェイクのように流動性を持った液体に変わって、
鼻から全部出て行ってしまったかのように、何もものが考えられなくなる。

そうしているうちに、視界がぐにゃりと歪み、ネガが反転したような色彩の世界で、
見たことも無いほど複雑な正多面体が、その質量を保ったまま、次々に形を変えていく。

その奇妙なきらめきの中に、僕らは宇宙を見た。

輝く銀河の塊を、更に飲み込む星雲の、その全てを内包したあぶくが、生まれては弾け、生まれては弾けを繰り返す。

サイケデリックな楽団は、脳髄の絨毯を上を、超新星爆発の紙吹雪を振りまきながら、行進する。







すちゃらか、ちゃかぽこ。すちゃらか、ちゃかぽこ。







僕らは時間が高速で進んだり、戻ったりしながら、宇宙に置いての時間は実に可変的な性質を持っている事を突き付けられて、
その無限に増殖する蟻塚のような、混沌の王城の中で、鈍色の光を四方八方にまき散らす我らが王が、
小さな世界を極限まで内包して、鼠を数百匹飲み込んだ蛇の腹みたくぼこぼこと膨らんだ、自らの食腕の一つを美味そうにしゃぶっている。


そもそも、そこが口なのか、ケツの穴なのかもわからないけど、とにかくじゅぽじゅぽといやらしい音をたてながら、
世界の隅々を、あますことなく、味わい尽くし、蹂躙し、破壊し、再生し、また味わい尽くしを繰り返している。


そうやって、一度食んだ草を、第一の胃袋に入れた後に、そこで発酵させた黄土色を、また吐き出して反芻する偶蹄目のように
自身の体を、自身の体で、慰める様に、王は、王たる、王権を、その醜く捩じれた体躯から滲ませていた――。

404 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:15:20 ID:UciS/vrE0






――え?

今のは、なんだ?


いつの間には、イヨウ君の演奏は終わっていて、気が付けば、全員がスタンディングオーベィションをしていた。
あのフォックス君ですら、首を傾げながらも、拍手を止めようとしない。

担任に至ってはその風景に、あるいは今の演奏に、号泣しており、



『本当はウチのクラスだけ、演奏できずに学校で補習授業になるはずだったんだけど、先生そんな事絶対させないからっ!』



と今までひた隠しにしてきたであろう衝撃の事実を暴露した。









――それから本番まで、僕らはとり憑かれた様に練習に励んだ。


僕なんて、ただトライアングルをちりり〜んするだけのパートだったはずなのに、
"如何にこの楽曲を素晴らしく演出するか"なんてことに執心してしまって、結局、学校の備品よりも上等な、
マイトライアングルを、使わずに溜めておいた、今年のお年玉を使って購入してしまった程だった。

405 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:15:51 ID:UciS/vrE0

でも、それから、妙な事件が、学校内で相次いだ。
それも、必ず、僕らが演奏の練習をしている裏で。




始まりは、隣のクラスだった。

算数のテスト中、クラスの後方から、ばちゅんっ! っていう何かが水中で弾けるような音がしたんだ。
丁度、風船か何かを水中で割ったみたいな。

クラス全員が振り向くと、その視線は、金魚がいるはずの水槽に注がれた。

夏祭りで、とり過ぎてしまった金魚を、女の子が持ってきてしまって
結局このクラスで飼う事になったのだった。

結構な大きさまで成長したはずの、紅金が、その水槽から消失していた。

担任の先生が慌てて調べて見たが、どこにも見当たらない。
結局、ポンプフィルターに吸い込まれて、潰れてしまったと結論付けたが、もうそんな大きさではない事は、全員知っていた。



そして給食の時間。その金魚は、大食缶のクリームシチューの中から発見される。

丁度その金魚を盛りつけられた女の子が悲鳴を上げて器を落としたのだが、
床にぶちまけられた、他の具材に紛れたその死骸は、雑巾を絞ったみたいに捻り上げられていたにもかかわらず、
その皮膚には裂傷が見当たらず、内臓がはみ出しているということもないという奇妙な状態を保っていた。

406 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:16:31 ID:UciS/vrE0

同様の事件が、ウサギ小屋でも起こる。

飼育委員が、お昼休みに当番の掃除をしに、ウサギ小屋の中に入ると、
丁度、その中の一匹が、うさぎとは思えない『ごぇ゛ぇ゛……』という断末魔を上げながら、
耳と足を誰か見えない存在に掴まれて、絞られていくように捩じれていく最中だった。

その飼育委員が絶叫して気絶した時、僕らのクラスは、体育館で、隊列を組んで演奏する練習に励んでいた。




原因不明の"捩じくれ事件"はその後も相次いだが、先生たちはそれを解明できないまま、ついにマーチング本番を迎えたんだ。




僕らはその日、学校側で用意された赤と白の制服を着て、マーチング帽を被って、出発の時を待っていた。

学校から出発して、国道を西に行進していき、拝成公園の中の野球広場に辿り付けば、そこで終了となる運びだった。

407 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:17:17 ID:UciS/vrE0





――そして、地獄の行進が始まった。



僕らは訓練され切った軍隊のように、一糸乱れぬ行進と演奏で、国道を進んだ。
担任は、校門を出る前に、その姿に感動し泣き崩れ、そうそうにリタイアした。




楽隊は、その音色を町中に振りまきながら、練り歩く。




そういえば、この次の日の新聞は、随分と動物の怪死で賑ったそうだね。









すちゃらか、ちゃかぽこ。すちゃらか、ちゃかぽこ。









全員が全員、イヨウ君の指揮棒を凝視し、最高の演奏の為に五指を動かす。





僕も気が狂ったようにちりんちりんさせていただいたよ。

408 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:17:40 ID:UciS/vrE0

でも、行進も中盤に差し掛かったあたりで、イヨウ君が、その大きな行進の波から、外れたんだ。

本来予定されていない、狭い路地裏に入るように左折した。

僕らは、それの違和感を感じながらも、なぜか逆らえないんだ。

僕らは、白痴のように、彼が描く足跡の軌跡をなぞる事しか出来ない。

周りの観客や、他のクラスの担任も、僕らを引き留めなかった。

409 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:18:51 ID:UciS/vrE0


僕らは、進んだ。



山を越えた気がする。

海を越えた気がする。

中世の街並みを超えた気がする。

きらびやかなショッピングモールを超えた気がする。

この世のすべての華が咲き誇る丘を越えた気がする。

渡っちゃいけない川を越えた気がする。

戦場を超えた気がする。

死体の山を越えた気がする。

田園を超えた気がする。

オシャレなオフィスを超えた気がする。

動物園の檻を超えた気がする。

水族館の水槽を超えた気がする。

七色の澱んだあぶくが絶えず湧き出す洞穴を超えた気がする。

海底にそびえる、巨大な神殿を超えた気だする。

硫酸の嵐が吹き荒ぶ惑星の、植物のような動物の密林を超えた気がする。

どの神話の図鑑にも載っていないような、僕らの理解の及ばない化け物が跳梁跋扈する夢世界を超えた気がする。




"指揮者"って、英語で、"Conductor"って言うんだって。



イヨウ君は、まるで僕らの、"Tour Conductor"のように、見たことも無い風景の先へといざない続ける。

410 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:19:24 ID:UciS/vrE0

そのうち、靴がすり減って、足の裏がむき出しになって、全員のそこの皮がべろべろに向けたあたりで
彼はやっとその歩みを止めたよ。








――霧の街だった。



数メートル先すら見ることの出来ない、深い濃霧に取り囲まれた、死んだように静かな町。


いつの間にか、僕らは演奏をやめていたけど、その音色は、僕らを取り巻き続けていた。

それもその筈。霧の向こうの存在が、延々と演奏を続けていたんだから。



精神を穢すことだけに特化した音色が、僕らの鼓膜を劈くんだけど、
不思議と不快感は無くて、むしろその冒涜的な汚濁の中に身を沈めてしまいたいような欲求にさえ駆られる。

411 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:19:53 ID:UciS/vrE0



そうして、今まで腕を降り続けていたイヨウ君は、その動きを止めて、やけに静かな顔で、僕らを見やった。







『僕は、今から、君たちを、席順に、"処刑"するよぅ』







そう言って、今までよりも大きく、腕を振り上げた。

412 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:20:53 ID:UciS/vrE0

すると、彼の後ろの霧から、幾本かの巨大な触手が、這いずり出てきた。

表面に暗澹たる螺旋状の輝く粘性体をへばり付けた、ソレからは、無数の生き物が、シャボンのように絶えず生成されている。

それが、捩じくれたように、破裂すると、すぐに別の生物へと姿を変えるのだ。

猫が、豚に、豚が、シャチに、シャチが蜘蛛に、蜘蛛が、ヒキガエルに、ヒキガエルが、蝙蝠に。

それが一通り地球上の生物を網羅しつくすと、次に、僕らの理解を超えた生命体が、次々にその側面に生み出されては死んでいく。

円筒形の、鋏角の、ポリプ状の、虹色の鱗の、五芒星の、卵殻の、可塑性の、脳漿の。

おおよそ地球上では、その存在すら許されないような、生物的常識を破壊しつくした生物の様相が、その触手の螺旋の渦に飲み込まれていく。



僕らは、動けないまま、全員失禁していた。



びしゃびしゃと自身から漏れ出す生暖かい液体を、太ももに感じながらも、指先一本動かすことが出来ない。




まずは、イヨウ君に、"セミふりかけ"を食べさせた男の子が、触手の先端に触れた。

途端、彼の背中はバックりとさけ、中から、乳緑色の液体に塗れた、一回り小さいもう一人の彼が、"脱皮"してきた。
急に彼は、自身の背中に手を回し、中心に向けて、ぎゅうと自身の肉を寄せたが、
その抵抗もむなしく、また背中がバリッと割れて、同じように一回り小さい彼がはじき出される。

彼は玉ねぎの皮をむくように、最後にその存在が消滅するまで、永久に"脱皮"し続けるのだろう。



次に、イヨウ君に"地獄の健康シューズ"を履かせた男の子に、触手が触れる。
彼の身体は宙に浮き、僕らの方に、べろべろに皮の向けた足裏を向けるように回転させられて、固定された。
すると、その足裏に、空中から現れた、"鋼鉄のハリガネムシ"がとりつき、
その足裏にずぶずぶと侵入していく、そして高速で、縦横無尽に、その足裏の中を、"鋼鉄のハリガネムシ"が泳ぎ始めた。

空間を満たす下劣な太鼓の連打をかき消すような悲鳴が彼の口から、血の泡と一緒にひり出された。






次も、また次も、その触手が触れるたびに、凄惨としか言いようのない結末を迎える。

413 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:21:24 ID:UciS/vrE0



そして、ついに、フォックス君の番になった。



フォックス君は、ズボンの中にまき散らした糞尿のせいで、おしりの辺りがこんもりと盛り上がっていた。

いつの間にそんな高性能な振動機能を搭載したんだいっていうぐらい震え尽してなお、直立不動だったね。








そして、彼だけは、その触手に、触れられるんではなく、"飲み込まれた"







――その瞬間、霧の街に鳴り響いていた、楽器の音色が、全て、彼の、絶叫に、変わった。

414 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:22:02 ID:UciS/vrE0

『ひぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!!!!』


『ぎゃぁあぁああああああああああああああああああああああッ!!!!!』


『い゛ぎぃ゛ぃいぃいいいぁ゛あぁああああ゛ぁあ゛ぁぁ゛ぁああああああああああああッ!!!』


『うごごっごごごおっごごっごっごごごごごごごおごおごごごごごぉおおおおッ!!!!!』


『ぐぎゃげぐぎがぎがぐげぎががガガガガがガガガガガガガガガガガガガガガガぁああああッ!』


『がぼっ! がぼっ! がぼっ! がぼっ! がぼっ! がぼっ! がぼっ!』


『ゲべげべべべべべっべがががっぎぎぎえぇべべっべべべがガガガガがあっがあガガガべべあげがあぁッ!』


『ハスッ! ハスッ! ハスッ! ハスッ! ハスッ! ハスッ! ハスッ! ハスッ! ハスッ! 』


『おぼぼろぼろぼろおおろろぼろろぼろろおろろぼぼぼぼぼぼぼぼおぼろろろろろろろろッ!!』


『ごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごぼごごぼぼごぼごぼ』


『お゛がぁ゛ざん゛っ゛! お゛がぁ゛ざん゛っ゛! お゛がぁ゛ざん゛っ゛! お゛がぁ゛ざん゛っ゛!』


『ごべん゛な゛ざい゛っ゛! ごべん゛な゛ざい゛っ゛! ごべん゛な゛ざい゛っ゛! ごべん゛な゛ざい゛っ゛!』


『ゆ゛る゛じ で ぇ゛っ!ゆ゛る゛じ で ぐ だ ざ い゛ぃ゛い゛ぃ゛い゛ぃ゛っ゛っ゛っ゛!』

415 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:23:11 ID:UciS/vrE0






四方八方、360°、その霧から突き出された楽器から、無数に響き渡る発狂した声。






なにが起こってるのかは、想像したくなかった。







.

416 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:24:17 ID:UciS/vrE0





イヨウ君は、今まで見たことのないような、血色の良い、実に溌剌とした顔で、
いつの間にか取り出したフルートを吹いていた。


でも、そのイヨウ君も、後ろから伸びる、触手に包まれ、その霧の向こうに引きずり込まれていった。







『今日は、ここまでにするよぅ……。でも、必ず、全員、"処刑"してやるよぅ……。必ず……、全員……』







.

417 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:24:42 ID:UciS/vrE0

――僕らが発見されたのは、自分たちの小学校の体育館だった。


あれから既に三日以上の時が経ってたんだけど、イヨウ君を含む十名の生徒以外は、健康状態に異常も無く、全くの無傷で、
まるで眠るように床に倒れていたんだって。

もちろんその中には僕もいたんだけど、足の裏の傷も無くなってたし、失禁した跡も無かった。





その後、僕らは残された二十名は、その三日の内に自殺した担任のせいで維持できなくなったクラスに居続けることは出来ず。


それぞれバラバラに、他のクラスに編入させられた。

418 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:25:36 ID:UciS/vrE0


僕らは中学生に上がった。

僕は、その後に起こったとある事件のせいで、越境進学したんだけど、
最近、その時のクラスメイトに、たまたまあったんだよね。

僕らは、あの日の事には一切触れずに、当たり障りのない近況報告だけして、すぐに別れるはずだった。

でも、僕が行こうとすると、そのクラスメイトは、僕の袖を軽くつかんで引き留めるんだ。



『……どうしたの?』



僕がそう聞くと、彼は、凄く恐ろしい事を聞くように、口を開いた。



「お前、さ。"聞こえてる?"」



意味が、分からなかった。

思わず、そのままの言葉で返してしまった。



『"聞こえてる"って、何が?』



やや間があって、彼がもう一度、カラカラに乾いている口を開く。

419 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:26:09 ID:UciS/vrE0





       「"イヨウの、ヴィオラ"」





.

420 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:26:38 ID:UciS/vrE0

それだけ言って、僕の眼を見つめると、
同族を見つけることの出来なかった、なんかの種族の最後の生き残り、みたいな寂しい顔をして、人ごみの中に消えていった。







彼は、二十五番目だったはずだ。




そして、僕は知っている。




"二十四番目"まで、全員死んだことを。

421 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:27:07 ID:UciS/vrE0













             最近、僕の耳にも、あの日の"ヴィオラ"が、聞こえ始めている――。
















【指揮者はいざなうものなので 了】

422 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:28:05 ID:UciS/vrE0

【幕間】









(´^ω^`)「ふぅっ! 満足っ!」

( ^ω^)「僕、この話好きだお」

川 ゚ -゚)「所謂、"アレ"ものな」

ξ゚听)ξ「ええ、"アレ"ね」

('A`) 「なにその名前を出してはいけない雰囲気」

( ^ω^)「ドクオは知らんのかお?」

('A`) 「何が? この手のジャンル?」

川 ゚ -゚)「ドクオはあまり文学的素養が無いからな」

('A`) 「え、文学的な、そういうセンテンスなの?」

(´・ω・`)「まぁ、多くは語らないのが、いいって話さ」

('A`) 「気になんなぁ」

423 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/16(日) 23:28:26 ID:UciS/vrE0

ξ゚听)ξ「でもショボ、アンタ、この独房から出ても、結局死にそうじゃない?」

(´・ω・`)「あ、それ結構気にしている奴だから触れないで」

川 ゚ -゚)「意外にナイーヴだな」

( ^ω^)「鬼畜のくせに」

('A`) 「きんも」

(´^ω^`)「今から、その曲口笛でふきま〜す(笑)」

川 ゚ -゚)「コイツ、私たちも巻き添えにしようとしてるぞ」

(;'A`) 「次の"題"だ、急げ急げ」

ξ;゚听)ξ「>>430にするわ」

(´^ω^`)「5…4…3……」

(;^ω^)「タチ悪ぃっ!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、はっ!」



ξ;><)ξ「しゃっ、しゃあっ! ちゅぎの"解"を、もとめまちょ……しょうっ!!」

430 名前:名無しさん[] 投稿日:2017/07/17(月) 00:06:17 ID:BH.HlOj20
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