■('A`)人生は選択だ!のようです
└番外編
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57 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 23:41:23 ID:XVp8R31Y0
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【番外編】(*゚ー゚)と( ´_ゝ`)の人生の選択!のようです
そこそこ大きなバイクにちょこんと座り、男の人の肩にしっかりつかまる。
涼しい風がバイクの風も巻き込んで、薄着の私には寒く感じるほどに全身を包む。
(;´_ゝ`)「……」ブロロロ…
(;*゚ー゚)「……」ブロロロ…
バイクを運転している男の人は、さっき私を強引に連れ去ろうとしていた誘拐犯。
それが誘拐犯よりも変な男の人に気おされて、なぜか私からこの誘拐犯のバイクに乗っていた。
この訳の分からない展開に頭を冷やしたいところだけど、その前に身体が冷えてしまって仕方がない。
(;*゚ー゚)「あの……寒いんですが……」ブロロロ…
(;´_ゝ`)「ハッ!?あ、あぁ、そうだな、ゴメン」ブロロロ…
男の人は少し困った顔を見せると、ちらりとファミレスの看板に視線を送る。
(;´_ゝ`)「とりあえず、あそこのファミレスで暖まろうか」ブロロロ…
(;*゚ー゚)「あ、はい……」ブロロロ…
ファミレスのある方向へとウィンカーを出し、駐車場の適当な場所へとバイクを止める。
私はとりあえず誘拐犯の言う通りに、おぼつかない足でファミレスまで歩く。
彼はなんだか手を繋いだほうが良いのか、後ろから支えてあげたらいいのか分からない
というような感じで、ファミレスまで前に出てきたり後ろに下がったりしていた。
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59 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 23:42:04 ID:XVp8R31Y0
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(’e’)「いらっしゃいませー、2名様でよろしいですか?」
( ´_ゝ`)「はい、あ、禁煙席でお願いします」
(’e’)「かしこまりました、お好きな席にどうぞー」
ファミレスの中はちょうどいい感じに暖かくて、冷えた体に染み渡る。
私は誘拐犯の指示で窓際の席に案内されると、メニューを開いて私の前へとゆっくり差し出してきた。
どうやら、先にメニューを頼んでいいらしい。
(;*゚ー゚)「……あの」
( ´_ゝ`)「あぁ、なんか好きなの頼んでいいよ」
(;*゚ー゚)「で、でも」
(;´_ゝ`)「……もうあんなことはしないさ、それにここを出たらすぐ返すよ」
ちょっとトイレに行ってくる、と席を立つ誘拐犯。
私は彼がトイレに入った後、窓から見える建物からどこにいるのかをぼーっと考えてみる。
だけど、私の知ってるとこ建物が少ないところを見ると、けっこう遠いところまで連れていかれたみたいで。
警察に通報してもいいけど、寒いし、そういえばおなかも減ったしで、通報する気にもなれなかった。
(*゚ー゚)「……好きなの、頼んでいいんだよね?」ソワソワ
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60 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 23:42:53 ID:XVp8R31Y0
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・・・・・・
(;´_ゝ`)「……あ、あのさ、しぃちゃん?」
(*゚〜゚)「なぁひ?あにしゃしゃん?(なぁに?兄者さん?)」
(;´_ゝ`)「いや、何ていうかこういうのもなんだけど」
(;´_ゝ`)「よく食べるね……」
数十分後、狭いテーブルの上にはところ狭しと食事が並んでいた。もちろん全部私のだけど。
兄者さんは遠慮しがちにコーヒーをすすりながら、私が食べる姿を眺めている。
テーブルに食事が来る前に、お互いのことについて軽く話した。
誘拐犯の名前は『兄者』さん。このファミレスの近くで働いている25歳。
そして私も自分の名前が『しぃ』という名前であること、現役の17歳の高校生であることを明かした。
そのあとしばらく沈黙が流れていたけど、次々と出てくる料理に驚いたみたいで、今に至るというわけだ。
(*`ー´)「ふん、私を誘拐しようとした罰だと思ってくださいよね!」エッヘン!
(;´_ゝ`)「反省してます(あぁ、俺の財布が軽く……)」
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61 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 23:43:35 ID:XVp8R31Y0
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兄者さんはコーヒーを飲むのを止めて再び私の食事を眺めたかと思うと、
私にぽつりと呟くように話しかけてきた。
( ´_ゝ`)「……しぃちゃんさぁ」
(*゚〜゚)「はい?」
( ´_ゝ`)「俺の格好、どう思う?」
とりあえず頬張っていたスパゲティを飲み込んだ後、傷つけないように優しく感想を述べた。
(*^ー^)「チャラいです!」
(ill´_ゝ`)そ「ドストレート!!!」
ガクっ、とその場に突っ伏す兄者さん。
その拍子にミートボールが一つ転がっていくのが見えて、もったいないなぁと感じる。
兄者さんはしばらくそのままの体制でいたけど、その顔を上げた時に私は驚いた。
( ;_ゝ;)「やっぱ、俺は弟者には、なれないんだなぁ……」グスン
(;*゚ー゚)「な……泣いてるんですか……?」
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62 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 23:44:15 ID:XVp8R31Y0
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……話を聞くと、兄者さんには『弟者』さんという人がいて、
自分よりもずっとかっこよく、女の子にもモテるというのだ。
そんな弟者さんについ最近、兄者さんが「お前は良いなぁ」なんて愚痴をこぼした時に、
(´<_、` )「じゃあ兄者も俺と同じ格好してみたら?モテルかもよww」
とほくそ笑んで言われたのを、その通り実行してみたというのだ。
結果は惨敗。
街にかり出てナンパをしても、合コンに誘われて行ってみても、
女の人には笑われるばかりだという。
(*゚ー゚)「それで、やけになって兄者さんは誘拐なんかを考えちゃったっていう……」
( ;_ゝ;)「ごめんなさい」
何ていうか、羨ましかったんだろうなぁ、弟者さんのこと。
兄者さん、けっこう純粋な性格してるみたいだし。
よし、ここは少しアドバイスをしてあげよう。
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63 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 23:45:20 ID:XVp8R31Y0
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(*゚ー゚)「えっと、なんで『弟者さん』になりたいんですか?」
(;´_ゝ`)「それはさっきも言ったでしょ、弟者はカッコよくて……」
(*゚ー゚)「ストップ!」
(*゚ー゚)「私が言っているのは『どうして弟者さんになりたいか?』ってことですよ?
兄者さんは兄者さんの性格があるし、顔も私から見れば悪くないと思うよ?」
(*゚ー゚)「だけど弟者さんを真似するあまりに、もともと持ってるいいところが全部ダメになってる。
兄者さんは『弟者さんのようになりたい』んじゃない。『弟者さんになりたい』って思ってる」
( ´_ゝ`)「!……た、たしかにそうかも」
(*`ー´)「弟者さんみたいになりたいなら、まずは自分の一番似合う服を選ぶこと!」
(*゚ー゚)「そうだな、兄者さんならクールにキメたほうが似合うんじゃないかな?」
そのあとも兄者さんに似合いそうなファッションを次々と挙げていくけど、
当の本人は首を傾げていくばかり。
(;´_ゝ`)「……すまない、『ふぁっしょん』には疎いんだ……」
(*゚ー゚)「じゃあいつもどんな服着てるの?」
( ´_ゝ`)「ジャージ」
(;*゚ー゚)「……」
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64 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 23:49:02 ID:XVp8R31Y0
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駄目だこの人。
こーいうタイプって私、どうしても手を焼きたくなるんだよね!
(#*゚ー゚)「もう!仕方がないなぁ兄者さんは!ほら行きますよ!」
(*゚ー゚)「あ、お勘定お願いしまーす!」
( ´_ゝ`)「行くって……どこに?」
(*゚ー゚)「決まってるじゃないですか!兄者さんのファッションセンスを磨きにですよ!」
(;´_ゝ`)そ「えぇ、今からぁ!?」
(*゚ー゚)「今から、って、まだお昼ですよ?ジャンジャン回っていきましょーよ、ジャンジャン!」
「ちょっと待って、まずはお金を下ろさせて!」
「お金なんか持ってなくても、見て回れれば面白いですよー!」
「でもそれ絶対買う流れになるじゃないか!!」
「なりません!……いやなるかも?」
「どっちだよ!?」
私は兄者さんの手を引いてファミレスを後にする。
こーいうのは男の人がやるものだけど……たまには私がやってみても、いいよね!
【番外編】(*゚ー゚)と( ´_ゝ`)の人生の選択!のようです おわり
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