■('A`)人生は選択だ!のようです
└第2話
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28 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:32:26 ID:XVp8R31Y0
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【0】
「無い……無いお……」
「もー、まだ見つからないわけ?いつまで待たせるのよ」
「ちょっと待っててお、どこで無くしたのか記憶辿ってるんだかr……あ」
「見つかったの?」
「あぁ……うん……『人間』が持ってる……無くした5枚……全部」
「……は?はぁぁぁぁ!?アンタどうして『人間』なんかに渡したの!?」
「いや、僕はツンを待たせないように急いでたし!!その拍子にぶつかって……」
「どうすんのよその人!ただでさえ普通じゃなくなるのに、
『5枚』しかないんじゃまともな生活送れなくなるわよ!?」
「お、でもさぁ……」
「でもさぁ、じゃない!『選択』を迫られる前にさっさと回収してきなさい!!」ボゴォッ
「へぶ!!分かったお、回収してきますおー!!!」
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29 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:33:08 ID:XVp8R31Y0
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【1】
ピピピ!! ピピピ!! ピピpカチッ…
('A`)「……ふぁぁ、仕事かー」
今日はロクな夢も見ずに、目覚ましの音で目が覚める
('A`)「マンドクセ……」ポリポリ
今日からまたバイトが始まるのか、次の休日まで大分長いから鬱になる
本当はニートやナマポにでもなりたいが、どっちもやりたくないので仕事をする
ぶっちゃけ面倒くさいが生きるためには働かなきゃ食っていけないし仕方ない
昨日エロゲーをして賢者モードになった後スーパーに行き、
適当に買った冷凍食品を電子レンジで温めて食べる
('A`)「……」モグモグ
俺の家にはテレビがないから、朝食なんて静かなもんだ
たまに上の部屋から重低音が響いてくるが、ここ最近は静かだ、大家にでもキレられたのだろう
('A`)「……さて行くか」
朝食を食い終わり、さっきまで食い物があったトレーをゴミ箱に捨てようと思ったが、
結構たまってたのでゴミ袋を結び、バイト先に向かう途中にある収集所で捨てることにする
バイトに必要なものとゴミ袋を持って、俺は自分の家を出た
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30 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:33:52 ID:XVp8R31Y0
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('A`)「……よっと」ボスン
ゴミ取集所に適当に捨ててから、俺はバイト先の工場へと向かう
道中俺は昨日の出来事についてぼーっと考えていた
世界が変わる感覚
カードに浮かび上がった文字
『協力』を引いたその結果
すべてはあのカードを拾った時に起こった出来事だ
あのカードを持ってれば実は面白いことが起こり続けるんじゃないか、なんて考えていたが
('A`)「マンドクセ、どうせ破り捨てたんだ」
それにゴミの中に一緒に消えていったのだ、もう二度とあんな体験はしない
それに一々あんなことやってたらいつも使わない俺の脳味噌は熱で溶けてしまうだろう
('A`)「あー仕事だよもうマンドクセ」ハァ
『無難』が一番いいんだよ、波風立たないように生きることが一番賢いやり方だ
俺は軽くため息を吐きながら、今日から再び始まる『日常』に溶けていく
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31 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:34:44 ID:XVp8R31Y0
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そう、溶け込めると思っていた
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('A`)人生は選択だ!のようです 第2話
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32 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:35:25 ID:XVp8R31Y0
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【2】
('A`)「うーっす」
いつものように出勤時間の十数分前にタイムカードを切る
着替えの時間もあるためこの時間に切るのは妥当ともいえる
( ゚∀゚)「うす!なーなー今週のジャンプ見たかー?」
先に着替えて休憩所でくつろいでるジョルジュ、一応同じ同僚だ
もうじき30にもなるというのに未だにジャンプ読むのはどうかと思うが人の事は言えない
('A`)「悪い、まだ見てない」
( ゚∀゚)「ンだよ今週のNARUTO面白かったぜ?特にさ……」
('A`)「ネタバレ止めろし」
作業服に着替えながらジョルジュのネタバレ話を適当に阻止する
三年もこんな調子で言われていれば話の受け流しなんか慣れたものだ
( ゚∀゚)「くそう、久々に見てない日だったから今度こそバラせると思ったのに!」
('A`)「はいはいワロスワロス、ほら、作業行くぞ」
( ゚∀゚)「うーっす」
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33 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:36:06 ID:XVp8R31Y0
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今日から次の休みまで、再びおもちゃを組み立てる単調な作業が始まる
最初こそ失敗が目立ち弁償くらうハメになることが多くてブラック企業だと思ったが、
もうそんなこともなくなって普通の会社だと思っている
まぁ普通の会社はバイトに責任を取らせないはずだがな
ウィーン ガコン
ウィーン ガコン
('A`)「……」ガコン
機械音が工場中に鳴り響く
皆がみな作業が始まると集中して、さっきまで喋ってたジョルジュすらも静かに作業をする
俺は目の前に流れてくるこれから何かのおもちゃになるであろう基礎的な部品を、
ミスが無いように最低限の注意を払って組み立てる作業をしていく
('A`)「……」ガコン
そういえば、なんて作業をしながら考える
あの時の俺、今こんなことをしてる時より集中してたんだよな
カードを手に取ってからは周りなんか目に見えてなくて、あの二人をどうするかでいっぱいだったし
('A`)「……俺、今日捕まるのかな」ガコン
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34 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:36:49 ID:XVp8R31Y0
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ビー!! ビー!!
ビー!! ビー!!
(;'A`)そ ビクゥ!!
そんなことを考えていると、突然目の前のコンベアが止まり、警告音が鳴り響く
しまった、他のことを考えすぎてミスをしてしまった
そう思って部品の一個一個を入念にチェックしたが、どれも全てきちんと組み立てられている
('A`)「じゃあ誰が……「おいビロードぉ!!!!!」
工場長の怒号が響き渡り、どかどかという足音がコンベアの先から地面を伝ってくる
その先に目をやると、今年入ったばかりの新人が肩を震わせて、工場長に怒鳴られていた
「おまえなぁ、何度同じミスをしたら気が済むんだ、えぇ!?」
(;><)「え、あの、だって」
「だっても何も無いだろ!これで今月入ってから20回目だぞ!?20回目!
こんなに組み立てる部の中で簡単なのはここだけなんだぞ、分かってるのか!?」
(;><)「うぅ……」
そういえばあいつ、あの場所に就いてからミスが多くなったなぁと考えていると、
ビロードは一瞬こっちを見ると、工場長に震え声で反論をした
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35 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:37:31 ID:XVp8R31Y0
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(;><)「で、でも、僕、ここ、ぁあんまり得意じゃない、です……」
「……何ィ?」
(;><)「僕、ドクオ、さんのい、いるところが、一番、やりやすかった、んです……」
('A`)「……え?」
確かに少し前ビロードに此処の組み立てを教えはしたが、それでもミスは多かった
それにこの担当は全体の二三を争うくらいに難しいとされているところだ
「そんな訳あるか!!あそこは全体の二三を争うぐらい難しいところだぞ!?
言うなればウチの工場でいう内臓!それをそんなミスが多くて任せられるか!!」
(;><)「うぅ……」
工場長が俺が思ったのと同じ言葉を口に並べ、青筋を立ててビロードを責めたてる
工場内はすでに凍り付いたように空気が冷たく、誰もがビロードと工場長の様子を見ていた
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36 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:38:13 ID:XVp8R31Y0
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(;゚∀゚)「お、おい誰かアレ止めねぇの……?」ヒソ
気づくと俺の隣にはジョルジュが立っていて、誰が工場長を止めるかを相談してきた
(;'A`)「いや……だってお前あぁなった工場長止められるか?」ヒソ
(;゚∀゚)「……ムリ」ヒソ
(;'A`)「……だよなー」ヒソ
周りを見ても、どうやら俺たちみたいに誰が止めるのか相談する人はいても、
止めようと動く人がいないか見ている状況だ
これじゃあビロードがあんまりだ
(;'A゚)「……ッ!?」
そう考えていると、俺が昨日感じた、もう二度と感じないであろうと思っていた感覚がよみがえる。
世界はビロードと工場長、そして自分以外が再びモノクロになり、近くで話しかけていたジョルジュすらも
白黒で構成された人間になってしまっている。
そして、俺の前に現れたのは
【説得】 【傍観】 【反論】 【便乗】 【謝罪】
(;'A`)「な……なんで……!?」
破り捨てたはずの、5枚のカード。
しかし、昨日見たときとはうって変わって、『傍観』以外はすべて変わっている。
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37 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:38:54 ID:XVp8R31Y0
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カードに浮かぶ、1つ以外がすべて変わった、5つの文字。
俺とビロード、工場長以外が、同僚のジョルジュすらもモノクロな世界。
そして、破り捨てたはずのカード。
(;'A`)「……また選べってのか、この選択を」
この、5つの選択を。
to be >>41
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41 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 19:51:28 ID:6OP6FK9E0
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謝罪
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43 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:47:51 ID:XVp8R31Y0
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【3】>>謝罪
(;'A`)「……」
俺は右手で一瞬『謝罪』のカードを取りかけたが、手を一度引っ込める。
違う。
ビロードが『謝罪』するならまだしも、これでは俺が謝ることになるではないか。
('A`)「やっぱここは『説得』か」スッ
('A`)「……」
(;'A`)「う、動かねぇ……!」
しかし俺の右手は、『説得』のカードの前でピタリと止まったまま、動こうとしない。
それどころか、先ほど取りかけた『謝罪』のカードにゆっくりと向かっているではないか。
どれだけ手を指を動かそうと必死になっても、全然いうことを聞いてくれない。
左手も動かそうと力を入れてみるが、こちらも動く気配がまるでない。
(;'A`)「と……止まれ!『説得』、『説得』だ!!」
とにかく『説得』に向かわせようと、叫び、もがき、意識を集中させたが、
右手はついに『謝罪』を掴み、思い切り引き抜いていく。
(;'A゚)「や……止めろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
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45 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:48:45 ID:XVp8R31Y0
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・・・・・・
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46 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:49:28 ID:XVp8R31Y0
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('A`)「……」
世界がすべて元通りになっていく
さっき俺はその世界の中で「『謝罪』するのを止めろ」と叫んでいたようだが、
なぜそう思ってしまったのだろう?
(;゚∀゚)「……おい、ドクオ?」
ジョルジュが気にかけたのを無視して、俺は二人の前に歩み寄る
工場長は俺に気が付いたみたいで、ビロードに叱るのを止めて俺を見た
「なんだドクオ!?俺はいまビロードを……」
( A )「」スゥーッ
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47 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:50:11 ID:XVp8R31Y0
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(゚A゚)「すんっっませんっでしたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」
「はぁ!?」
(;><)「はっ!?」
(;゚∀゚)「ええええぇぇぇっ!!??」
決まった
カンペキな土下座だ
カンペキすぎて周りが明らかに動揺している
工場長ですら怒りのオーラをどこかに忘れて俺を「なんだこいつ」みたいな目で見ている
「いや、どうしてお前が謝るんd(゚A゚)「本当に、申し訳ありませんでしたああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「いやだからお前g(゚A゚)「ビロードもおおおおおお、ほらあああああああああああああ!!!!」
(;><)「は、はいいいいいいいいいいいい!!!!」
(;><)゚A゚)「もう二度としませんのでえええええええええええええええ!!!!ゆるしてくださあああああああああああああい!!!!!」
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48 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:51:26 ID:XVp8R31Y0
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それから何分経っただろうか
「すいませんでしたあああぁぁぁ・・・・・・」
(、'A`)「……」ガコン
(丶><)「……」ガコン
俺とビロードはあの後ひたすら謝った、もうそれは全精魂を込めて大きな声で謝った
ジョルジュに揺さぶられ我に返った時には工場長はもう消えていて、「ビロードはドクオの担当する
部品に試験的に配置する」と書かれていた紙だけがそこに置かれていた
(;、'A`)「あ、それ間違ってる……」ガコン
(丶><)「え……あ」ビー!! ビー!!
『おいドクオー、ビロードぉー……お前ら、今日帰っていいぞー……』
工場長の声がアナウンスで聞こえてくる
俺とビロードは黙って頷き、軽く職場の奴らに一礼をしてから工場内を後にした
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49 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:52:18 ID:XVp8R31Y0
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(、'A`)「……」
黙って二人で着替える俺たち
ノックがドアから聞こえてすぐに、工場長が顔を出す
「ドクオ、お前どうした……?」
さぁ……俺も一体全体どうしたものか分かっていませんが
「……まぁいいや、俺も家族のことでピリピリしてたんだ、すまんな」
これは奢りだ、と休憩所のテーブルにコーヒーを2つ置き、そのままタバコを取り出して一服を始める
「ビロード」
(;丶><)「は、はぃ!?」
「お前次ミスしたら給料抜きな」
(丶><)「は!?……はい……」
「冗談だ、ドクオの給料から引かせてもらうから安心しろ」
何せ有望な社員希望だからな、と黄ばんだ歯をニカっと見せながら工場長は笑みを浮かべる
工場長、それは俺が困るわけなんですがそこについてはどうなんですか
「お前ら今日は早めに返してやるけどな、二度目はないぞ?ゆっくり休めよぉ『土下座ブラザーズ』!」
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50 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:53:24 ID:XVp8R31Y0
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大声で笑いながら、工場長は去っていく
ていうかなんだ『土下座ブラザーズ』って、明日からそれ流行るのかよ止めろよ
(*><)「……プッ、『土下座ブラザーズ』ですってドクオさん!」
('A`)「いや笑えないぞ、つーか全部お前のせいだからな?」
(;><)「そ、そりゃそうですけど……」
( ><)「でも意外でした!」
('A`)「……あ?」
( ><)「何ていうか、ドクオさんって静かな人だと思ってましたから……」
『意外だ』と言われて俺は立ちすくんだ
波風の立たない『無難』な生活を望んだ俺に、その言葉は痛くしみ込んでくる
('A`)「止めろよ、俺は普通でいたかったんだ」
(;><)「そ、そうですよね、工場長止めるために仕方なくやったんですもんね」
ビロードは何か勘違いして受け止めたようで、
「それじゃあ明日から宜しくなんです!」と何度も礼をしたあとそそくさと帰ってしまった
('A`)「……ハァ、明日からマンドクセぇな……」
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51 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:54:05 ID:XVp8R31Y0
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工場を出た後はコンビニに寄り、今日の夕飯になるコンビニ弁当を買って家に帰る
面倒事を避けるために今日は裏道を使って自宅に着いた
面倒事なんか早々起こる事もないと思うが一応保険だ
('A`)「いつもより帰る時間が遅くなった……」ハァ
俺は改めて出てきたカードを眺める
何度眺めてもそのカードは正真正銘俺が拾ってきたカードそのものだった
俺はとにかく細かく破り、灰皿の上にその破片を盛ってライターで火を着ける
これで今度こそこいつとはオサラバだ、もうあんな感覚にはならない
(;'A`)「……と思ったが、あれ?」
ところが、このカードはいくらライターで炙っても煙すら立ってくれない
どれだけ時間を掛けて火をかけようが何ともならないのだ
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52 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/07(金) 22:54:46 ID:XVp8R31Y0
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「無駄だお、そいつは『神様』が作ったカードだからね」
突然後ろから声が聞こえてきたので、俺は慌てて振り返る
(;'A`)「……!アンタ、たしか……!」
そこにいたのは
( ^ω^)「やあ、お久しぶりだお!」
昨日俺にぶつかってきた、デブのオッサンだった
第2話 「選択はつねに非常である」 続く
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