('A`)人生は選択だ!のようです
第1話



2 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:35:02 ID:ZNVpn/g20
【0】

俺の目の前には、何個かに分かれている道があった


('A`)「……」


俺は特に悩むことなく、真ん中の道を進んでいく
悩むことなんか何もない、悩むことなんかめんどくさいだけだから

しかしその道は、どうやら間違えていたようだ


('A`)「?」


俺の足元にあった道が、まるで薄いガラスのような世界へと変わっていく
少し動揺して体を動かしただけで足元からヒビが入り始め、ぱん、と弾ける様に砕けた


(;'A゚)「うわっ……!」


おちる、おちる、落ちていく
俺の体は底なしの闇の中へと吸い込まれていく

あの時ちゃんと考えていたら、こんなことにはならなかった

俺はこの時初めて、先ほどの選択を悔やんでいた

3 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:35:47 ID:ZNVpn/g20
【1】

・・・・・・

(゚A゚)「……ッハァ!!」ガバッ!!

(;'A`)「……なんだ、夢かよ」


バイトが終わってやっとこさ休日になったってのに、朝からいやな夢を見た


('A`)「あーマンドクセ」

俺はいつもめんどくさがりだ
『それがいつかは仇になるよ』みたいなご親切な夢に起こされて、今はすこぶる機嫌が悪い


('A`)「チッ、冷蔵庫には干からびたレモンしかねぇや……」


頭を掻きながら今日の朝食を漁るがロクなものが無い
面倒だが腹が減っては仕方がないので、近くのコンビニに買い物に出かけることにする


('A`)「マンドクセーなーもう」ポリポリ


近頃『めんどくさい』と言うのさえ面倒になって『マンドクセ』というのが口癖になってしまった
事実マンドクセのだから仕方がないわけだが

4 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:36:36 ID:ZNVpn/g20

( ・3・)「ラッシャーセー」


朝からダルそうな店員の声を聞きつつ、俺は弁当のコーナーへと歩いていく
いつも買ってる五目とエビマヨのおにぎりを手に取り、昼飯用にいつものカップ麺を買う

別にこれが気に入ってるわけじゃない、他を選ぶことが面倒なだけなのだ
その気になればいつも買うものを変えることだってできるが、そんなの要らない労力だ


('A`)「コーラ、いや、コーヒー、いやぁ……マンドクセ、水でいいや」

【身体にいやらしい水エロハス100円】


飲み物選ぶにも今日はコーラにしようとかいちいち悩ましい、めんどくさくて大抵は水になる


( ・3・)「525円にナリャッス」

('A`)つ[1000エン]

( ・3・)「475円のオツリッス、アリャッシター」


当然というか何というか、会計の時も小銭を出すのが面倒だからいつも紙幣を出す
小銭はどうせ自販機とかで消えていくし、一ケタの小銭は最悪募金箱にぶち込めばいい

人生には悩む時間やそれにかける頭なんざ必要ないんだ
『人生は選択だ』なんてどこかの偉人さんが言ってたが、俺の人生に選択するほど贅沢なものはない

5 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:37:21 ID:ZNVpn/g20


なんて、その時までは思っていた



∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵



        ('A`)人生は選択だ!のようです



∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵

6 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:38:16 ID:ZNVpn/g20
【2】

コンビニの帰り道、俺は水をチビチビ飲みながら家路に着いていた


('A`)「はぁ、メシ食ったあとどうすっかな……エロゲでもしようか……ん?」チビチビ

( ω ;)三「やばい、どうすんの、どうすんの俺!?」ダダダッ


俺の歩く先に、なんだか一人でブツクサ言ってるデブいオッサンが走ってくる
朝からダイエットのマラソンなんざご苦労なこった


(^ω^;)三「ん?」

('A`)「え」


         ドッカーーーン!!
     ('A゚)ノ  _人人_(xωx;∩
     ハ レ  >    <ノ⊃ ノノ
      ノ    ̄Y^YY ̄⊂_ノ


まさかのデブオッサンが避けもせずに俺に向かってまっすぐ突進
俺はデブッサンの体当たりをモロにくらい軽く吹っ飛んだ


(゚A゚)「あ、い、い、いで……」

(^ω^;)「き、君……ごめん、僕急いでるから!本当にごめんお!」

(゚A゚)「ま、待て……がっ」


地面に倒れこんだままの俺に何回かペコペコと頭を下げると、そのまま走り去るデブ
俺はデブを呪い殺す勢いで見つめ…………

7 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:39:03 ID:ZNVpn/g20

(゚A゚)「……」

(;'A`)「ハッ!?待て、クソデブ……痛ぁッ!?」バッ


俺が起きた時にはすでにあのデブが消えていて、
全身の痛みとコンビニで買ったものだけが残っていた


('A`)「……ハァ、朝からなんか、ついてねぇな」ポリポリ


道路に散らばった五目おにぎりとカップ麺をコンビニ袋に戻す
水は……あぁもうダメだ、アスファルトのシミになってる

ため息を吐きつつエビマヨを拾うと、その近くに何かを見つけた


('A`)「ん、なんだ?」


どうやらカードのようだった
俺はそのカードを全部拾って見てみると、あることに気づいた


('A`)「?なんだこれ、トランプ?いや五枚しかないし、てか片面真っ白だし」


大きさや形はトランプのそれのはずだが、プリントが施されてるのは片面のみ
もう片面はすがすがしいまでに真っ白で、何も描かれていない

ただ、なんとなく、なんとなく拾ったこの五枚のカードを両手で広げて持っていたその時だ

8 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:39:45 ID:ZNVpn/g20

(;*゚ー゚)「あの!やめてください!」


手元のカードに意識を集中させてたせいか、
気が付くと目の前で少女がチャラそうな男に絡まれているのに気が付いた


( ´_ゝ`)「大丈夫、ちょっとだけ、ちょっとだけだから、ほらおいで!」


男はバイクにまたがってニヤニヤしながら少女に話しかけている
少女はどうやら女子高生くらいで、いかにも清楚な感じに見える


(;*゚ー゚)「いっ、いい加減にしないと警察を呼びますよ!」

(#´_ゝ`)「ったくよぉー、おとなしくついて来いってんだよ!!」グイッ


男が痺れを切らしたようで、少女の手を掴みバイクに乗せようとしている

あれ?これって


(;*゚ー゚)「だっ誰かー!」

(;'A`)「え、人攫い?え、ちょ、どうしよう」

9 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:40:40 ID:ZNVpn/g20

これは助けないとだめだよな、とか、警察呼んだほうが良いんじゃ、とか、
俺の今まで使っていなかったノーミソがフル回転を始める


するとその瞬間、俺は今までに感じたことのない感覚に襲われる。
全身に電気が走り、目が冴えて、今ならどこまでも集中することができるような、そんな感覚。

世界は俺と目の前にいる二人以外がモノクロになり、男の口の動き、鳥の羽ばたきさえも止まりそうに動いている。


(;'A`)「これは……じ……時間がものすごくゆっくりになっている……!?」


そして無意識に俺は手にしていたカードを眺めると、真っ白な面に文字が浮かんできたのだ。




【救出】 【逃走】 【協力】 【無視】 【傍観】




(;'A`)「な……なんじゃコリャ……!?」

10 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 06:41:20 ID:ZNVpn/g20

カードに浮かぶ、5つの文字。

俺と目の前の二人以外が、モノクロな世界。

時間が止まりそうなほどにスローモーションに動いている状況。


(;'A`)「……選べってのか、この選択を」


この、5つの選択を。


to be >>14

14 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/06(木) 08:02:12 ID:eoe1oDj60
協力

17 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 11:51:12 ID:ZNVpn/g20
【3】>>協力

('A`)「……」


俺の手はまっすぐに、真ん中にある『協力』のカードを引き抜いていた。
そう。俺が女の子に『協力』して、男から救い出せばいいのだ。


世界の時間が解かれていき、俺の視界は非常に鮮明になる
色を取り戻した世界は、時間も取り戻していく

そこからの俺の行動は、非常に早かった


(#'A`)「何してんだアンタ!!」

(#´_ゝ`)「あぁん?」


つかつかと早歩きで二人の前に進み出る
力が漲って、俺はこの男にも負けない確信があった

いいぞ、あとは男にガツンと言ってやればいいんだ

18 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 11:52:09 ID:ZNVpn/g20





(#'A`)「そこの男が必死に誘ってるのに、なんで一緒に行ってやらないんだアンタ!!!!」





( ´_ゝ`)


(*゚ー゚)


(;*゚ー゚)そ「えっ、私!?」


えっ

何言ってんだ俺


(#'A`)「そうだよそこのお嬢ちゃんだよ!話を聞いてりゃ嫌々イヤイヤマンドクセぇなアンタ!
    大体なぁ、その年になって男遊びの一つもできなきゃ綺麗な女になれねぇワケ、わかる?」


言えば言うほどこの少女にだんだん嫌気が差してくる
あれ、おかしいな……俺は少女を救わなきゃいけないんじゃなかったか……

そしてなんか俺と二人の間には微妙な空気が流れ始める
そりゃそうだ常識で考えればそうなるわ


(#'A゚)「そこの男ォ!!」

(;゚_ゝ゚)そ「ファイ!!!」ビクゥ!!

(#'A゚)「早いとこその嬢ちゃんそのバイクに乗せてどっか行け!ただしレイプはすんなよ!
    少女が嫌がることは絶対すんな、わかったか!!!」

( ;_ゝ;)「ヒャイ!わがりまじたぁ!!!」

19 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 11:54:43 ID:ZNVpn/g20

(#'A゚)「そして女もだァ!!」

(;*゚ー゚)そ「ヒッ!!」ビクゥ!!

(#'A`)「アンタ、彼氏はいるのか……?」

(;*゚ー゚)「いないで(#'A゚)「だったらナンパの一回二回体験してみろやぁぁぁ!」

(*;ー;)そ「ヒィ!!やりますやってみますうぅぅぅ!!」


俺はとにかく男と少女をせかしてバイクに乗せて、さっさと行けと叫ぶと、
男はバイクを急発進させて少女と一緒に俺の前からいなくなった


(*'A`)「……」


俺の中から達成感が湧き上がるのを感じながら、自宅に帰るため歩き始める
非常にすがすがしく、スキップでもしたくなるような心持ちになる


(*'A`)


('A`)


:(うA∩):「よく考えたら、犯罪に『協力』してんじゃねぇか……」

20 名前: ◆tDN4QF.obM[sage] 投稿日:2013/06/06(木) 11:55:25 ID:ZNVpn/g20
【4】

('A`)「……」


それ以降なにごともなく自宅に着いた俺は、
おにぎりを食べながら先ほど拾った5枚のカードを眺めていた

今は拾った時と同じように片面は真っ白なトランプだ
こいつのせいで散々な目に合った、あの少女はどうしているのだろうか


('A`)「……マンドクセ、俺が捕まるときは捕まるだろ、嫌だけど」ハァ


とりあえずこいつを処分さえ出来れば話は早い、俺は白いカードを次々と破り、ごみ箱に投げ捨てた


('A`)「……エロゲでもしてもう一回寝るか、今日は疲れた」


パソコンの画面に向かい、今日の出来事を忘れようとパソコンを起動する
しかしその時破り捨てたカードが元に戻っていることを、この時の俺は知らなかった


第1話 「その時俺の人生はハードモードになった」  続く



第2話>>>

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