■( ´_ゝ`)時間を司るようです(´<_` )
└第4話「縋」
- 64 名前: ◆MH/VTCEj3A[] 投稿日:2013/03/08(金) 21:54:32 ID:NCS7eLS60
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夢であれ、と。
第4話「縋」
- 65 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 21:56:15 ID:NCS7eLS60
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どん、と床が僅かに揺れた。
( ・∀・)「おや?」
モララーは座っていた椅子から立ち上がると、少し考え込むような素振りを見せる。
だがそれも一瞬のことで、次の瞬間にはもう歩き出していた。
(*゚ー゚)「モララー、何か良いことでもあったの?」
心なしか弾んでいるようにも見えるモララーの足取りに、すれ違ったしぃが問いかける。
モララーは振りかえると、漆黒の瞳を細めて笑った。
( ・∀・)「うん。とっても良い予感がするんだ」
- 66 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 21:57:46 ID:NCS7eLS60
(;*゚ー゚)(……予感なんだ)
楽しげに歩いて行ったモララーの背を見ながら、しぃは心の中で思った。
( ・∀・)「はいおかえりー」
一つの部屋の扉を疑いもせず言いながら開いたモララーは、目の前の光景に隠しきれない笑みを浮かべた。
着地に失敗したらしい、兄者・ツン・ギコの三人が床に尻餅をついていた。
気付いたギコがモララーに視線を向ける。
- 67 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 21:59:58 ID:NCS7eLS60
( ,,゚Д゚)「……今帰った」
そう言うギコの手には、「帰り用に」と渡した使い捨ての青い石の破片がある。そしてそれは今もなお砂になる様子を見せない。
それが意味するのは、期待していたことの成功だ。
モララーの笑みの理由がわかっていたらしい。ギコは「気持ち悪い」と一蹴した。
( ,,゚Д゚)「成功した。お前が聞きたいのはこれだろ」
( ・∀・)「さっすがギコ! わかってるねえ」
(#,,゚Д゚)「うるせえんだよゴルァ! さっさとその気持ち悪い笑いをやめろ!」
- 68 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:01:11 ID:NCS7eLS60
状況を読み込めていない兄者が「え? え?」と困惑した声を上げているのを、ツンが溜息を吐きながら宥めた。
( ・∀・)「ああ、そうだ。ツン」
ξ ゚听)ξ「何?」
( ・∀・)「言い忘れてた。彼、帰ってるよ」
モララーのその言葉に、ツンの表情が輝いた。
- 69 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:03:13 ID:NCS7eLS60
- だが、すぐにツンははっとしたように自分の両頬を手で覆う。
言葉にならない声を出しながら俯いた。
ツンの様子はまさに恥じらう乙女という言葉が相応しかった。
間近で見ていた兄者がそのツンの変化を見て、不快そうに顔を歪ませる。
( ´_ゝ`)(え、なに、こっちもリア充?)
( ・∀・)「ご主人ご主人、こっちの中で非リア充僕らだけだよ」
( #´_ゝ`)「やかましいわ! 言うな傷付く!!」
- 70 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:04:22 ID:NCS7eLS60
モララーはけらけらと笑っている。
ツンが「べっ別に嬉しいわけじゃないんだから!」とツンデレを発揮したすぐ後だった。
( ^ω^)「ツン!?」
モララーが開け放しにしていた扉から、男が顔を見せる。
たった今本人のいない所で否定をしていたツンは、その声にびくりと肩を震わせて真っ赤になった。
( *^ω^)「うおおおおツンー! ただいまだおーっ!!」
ツンだと確証を持った男――内藤が、駆け寄って真っ赤になったツンに抱き着いた。
否定をしていた傍からこのラブラブアピールである。
- 71 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:05:57 ID:NCS7eLS60
ξ ///)ξ「〜〜ッ!!」
嬉しさよりも羞恥の方がずっと勝ったらしい。
ツンは抱き着いてきた内藤の鳩尾に、鋭い拳をお見舞いした。
「あ」周りが見守る中で、内藤がずるずると崩れ落ちる。効果は抜群だった。
(;^ω^)「ひ、久しぶりなのに酷いお……」
ξ ゚听)ξ「はっ」
意識を失う直前、最後の最後に内藤が呟いた言葉にツンが我に返る。が、時すでに遅し。
内藤はツンに正面から寄りかかるようにして気を失った。
- 72 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:08:00 ID:NCS7eLS60
ξ ゚听)ξ「ちょっブーン! ごめんってば! しっかりしてブーン!」
( #´_ゝ`)「あああ甘い! くそ甘い!! 誰かブラックコーヒー持ってこい!」
(*゚ー゚)「……みんな元気だねえ」
部屋が離れていても、ツン達の騒ぎはしっかりと聞こえていた。
しぃはその楽しげな声に口元を綻ばせる。
(*゚ー゚)「ドクオも早く、元気になるといいね」
- 73 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:09:06 ID:NCS7eLS60
しぃが視線を戻した先には、ベッドに横たわるドクオ。
左頬には大きなガーゼが、頭と腹には包帯が巻かれている。
それ以外の場所にも、掠り傷や切り傷が多く見られた。
ドクオは眠っている。
兄者達が緑の石を取りに出発したすぐ後だった。
未来の守護者達と連絡が取れないと、直接探しに行った内藤がドクオを連れ帰ってきたのだ。
- 74 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:10:19 ID:NCS7eLS60
- ドクオは未来の守護者達の中で副リーダーのような存在だった。
そのドクオがここまで傷を負って、しかも一人しかいない。
そのことを追及すると、内藤は視線を伏せた。
( ^ω^)『……遅かったお』
その言葉が意味することは、明白だった。
それに焦ったのも無理はない。
未来の守護者がここまでいなくなった以上、こちらの準備も、そして何より兄者に自覚と自衛手段を身に付けさせねばならないとモララーは判断した。
- 75 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:11:57 ID:NCS7eLS60
- それの結果。
無事、兄者は過去の力を操ることができたという。
(*゚ー゚)(弟者さんのこと、あと兄者さんに戦いを教えないと)
しぃは治療担当だが、戦闘ができないというわけではない。
頑張らないと、としぃは密かに拳を握った。
('A`)「……う、」
ふと、呻くような声が聞こえた。
- 77 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:13:10 ID:NCS7eLS60
- (*゚ー゚)「ドクオ!」
ドクオの瞼が震える。苦しみに引き攣った表情は、見ていて気持ちのいいものではなかった。
は、としぃはあることに気が付いて身構えた。
('A`)「――主ッ!」
悲鳴にも近い声だった。
怪我している腹などお構いなしに起き上がろうとするドクオの肩を、しぃは医師として押さえた。
だが、男と女の力の差など目に見えている。
- 78 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:15:20 ID:NCS7eLS60
('A`)「主……主ィッ!」
(;*゚ー゚)「ドクオ、落ち着いて! 傷が開いちゃう!」
('A`)「主……オレは、オレはぁ……ッ!」
あああああ。焦りを帯びた、懺悔の声。
聞く者の耳に痛い声だった。
( ,,゚Д゚)「……おい、何か聞こえないか?」
ふと、ギコが漏らした言葉に一同は声を止めた。
耳を澄ませると、男の呻き声が聞こえてくる。
徐々に大きく響いてくるその声に、内藤が起き上がり――血相を変えた。
- 79 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:17:18 ID:NCS7eLS60
(;^ω^)「ドクオ……!」
ξ ゚听)ξ「え? ドクオがいるの?」
先ほどまで気を失っていたとは思えない機敏な動きで、内藤は立ち上がり駆け出した。その尋常ではない様子に、周りはしんと静まり返る。
( ・∀・)「……ブーンの話を聞く限り、これはまずいかもねえ」
ξ ゚听)ξ「ドクオがどうかしたの?」
( ,,゚Д゚)「未来の守護者達が、な」
未来、という言葉に兄者がぴくりと反応した。
- 80 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:18:48 ID:NCS7eLS60
( ,,゚Д゚)「壊滅だ。モナーは行方不明、内藤が瀕死のドクオを連れ帰った」
( ´_ゝ`)「え、」
兄者の頭に、最悪の事態が浮かぶ。
( ´_ゝ`)(未来の守護者が、壊滅? じゃあ、)
弟者は?
口に出さない代わりに、視線は自分の手の中にある石へと移る。
罅が入った緑の石。その罅が、何か意味を持っていたら。
- 81 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:20:19 ID:NCS7eLS60
- ( ´_ゝ`)(弟、者)
( ・∀・)「とにかく、行こうか」
モララーの移動を促す声に我に返る。
兄者は「ああ、」と力の無い声で答えて立ち上がった。
モララーの視線には、気付かなかった。
( ^ω^)「ドクオ!」
駆け付けた内藤は、しぃの「内藤君!」と切羽詰まった声に頷いた。
- 82 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:21:48 ID:NCS7eLS60
- ドクオはなおも起き上がろうとしている。腹に巻いた包帯に、僅かに赤が滲んでいた。
( ^ω^)「ドクオ、落ち着くお!」
('A`)「あああああ、オレ、オレが、」
オレが死ねばよかったのに。
ドクオの言葉に、内藤が息を飲んだ。
ξ ゚听)ξ「ドクオ!」
後から駆け付けたツンの声に、ドクオの視線が向く。
それまで激しく暴れていたのが嘘のように、ドクオの動きが止まった。
- 83 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:23:27 ID:NCS7eLS60
('A`)「……ある、じ」
視線はツンの奥にいた兄者に向いていた。
(;A;)「あ、あああ……」
ドクオが、ぼろぼろと涙を流した。
全ての力が抜けたらしい。ドクオはベッドに倒れ込んだ。
( ・∀・)「……何があったのかを聞くのは、まだ無理そうだね」
モララーは言う。
- 84 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:25:08 ID:NCS7eLS60
- ドクオの様子に、これからの覚悟をしなければならないと感じていた。
( ´_ゝ`)「……あの、さ」
兄者はぎゅっと緑の石を握って口を開いた。
( ´_ゝ`)「お前ら、俺らのこと、正直俺らよりも詳しいよな?」
( ・∀・)「それは受継者とかのことかな? なら詳しいと思うよ」
( ´_ゝ`)「じゃあ、教えてくれ」
- 85 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:26:07 ID:NCS7eLS60
- 兄者は握っていた緑の石を見せた。
最初は何かと見つめていたモララーの顔色がさっと変わる。
( ´_ゝ`)「弟者の石に罅が入ってた。これがどういうことだか、分かるか」
( ・∀・)「……まずいね」
モララーが真っ先に発した言葉に、兄者は嫌な予感が的中することを恐れた。
だが、それはすぐに裏切られる。
- 86 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/08(金) 22:27:36 ID:NCS7eLS60
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(;・∀・)「未来の受継者が、危ない」
第4話「縋」・終
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