■( ´_ゝ`)時間を司るようです(´<_` )
└第2話「知」
- 21 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:14:29 ID:eH7oOPFY0
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「逃がさない」
その声が孕んでいた、狂気は。
第2話「知」
- 22 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:15:57 ID:eH7oOPFY0
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世界は不安定である。
ゆえに、世界は人柱によって支えられている。
人柱にそれぞれ力が宿り、代替わりする時には生まれたばかりの赤子にその力を宿すという。
力を宿した者、人柱のことを、受け継ぎし者、「受継者」と呼ぶ。
その中でも時間の受継者は、代々関わりの深い二人組に力が受け継がれるという――
- 23 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:17:23 ID:eH7oOPFY0
- ( ,,゚Д゚)「で、兄のあんたが過去を、弟者は未来を司るってわけだ」
( ・∀・)「僕らは時間の受継者の守護者の一族でね。その中でも過去の受継者である君を守ることになってる」
ちなみに一瞬で移動したのはこれ、と、モララーが持っていた小さな青い石の破片を兄者に見せた。
( ・∀・)「過去に指定した場所に瞬間移動できるようになってる。守護者である僕らが使えるものだけど、使い捨てだよ」
言ったそばから、石の破片は淡い光を発してその姿を砂に変えた。先ほどまでの青とは似つかない黒い砂を、モララーは「あーあ」と言いながら窓を開けて外に捨てた。
- 24 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:19:37 ID:eH7oOPFY0
- 砂を捨てたモララーの肩が未だ赤い血に濡れていて、兄者ははっとした。
( ;´_ゝ`)「そうだお前! 血!」
( ・∀・)「ん? ああ、もう傷は塞がってるんだけどさあ」
ははは、と笑いながらモララーは肩を回して見せた。
確かに血は流れないが、固まった血がぱらりと地面に落ちて兄者は顔を顰める。
( ・∀・)「僕のことは気にしないでいいよ。治療担当の奴もいるから」
( ´_ゝ`)「治療担当?」
( )「帰ってきたんなら報告しなさいよ」
- 25 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:22:04 ID:eH7oOPFY0
- 兄者が聞き返した直後、背後にあった扉が開いた音がした。
そこから聞こえた凛とした声に振り返る。
ξ ゚听)ξ「げ。何、怪我してるのあんた」
( ・∀・)「僕だって怪我くらいするよ」
(*゚ー゚)「平然とした顔しないの、モララー!」
扉を開けた少女の後ろから、女が声を上げてモララーに駆け寄った。
咎めるような色を含んだその声音に、モララーは少し困ったように笑う。
( ・∀・)「悪かったよ、しぃ」
(*゚ー゚)「分かったならいいけど、ちゃんと報告してね。じゃないともう治してあげないよ!」
- 27 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:23:57 ID:eH7oOPFY0
- モララーに駆け寄った女はしぃというらしい。
ふとただならぬ雰囲気を感じて、兄者は視線を横に遣った。
ギコが、モララーとしぃを鋭い目でじっと見つめている。
( ´_ゝ`)「……ギコさーん?」
呼びかけてみたが返事は無い。
ふと兄者は、その視線の中に隠しきれない心配と愛情が見えているのを発見した。
視線をモララーとしぃに向けてみる。
すると、しぃは何かを感じたようにきょろきょろと周りを見渡した。ギコと目が合う。
しぃは花が咲いたような、可憐な笑顔を見せた。
- 28 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:25:31 ID:eH7oOPFY0
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( ´_ゝ`)(あー……なるほど、そういうこと)
リア充爆発しろ。
兄者が小さく呟いたその言葉は、ギコには聞こえなかったらしい。
( ・∀・)「さて、ご主人。君、青い石を持ってるよね?」
傷はもう塞がっているから、と肩に包帯を巻かれたモララーはそう口を開いた。
- 29 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:27:20 ID:eH7oOPFY0
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( ´_ゝ`)「……ある」
兄者は服の首元に手を突っ込み、服の下から青い石の付いたネックレスを出して見せた。透き通るような青色は、海の色を彷彿とさせる。
( ・∀・)「それは君が過去を司るっていう証明みたいなものだよ。で、もう一つ」
モララーの瞳が、期待と不安を孕む。
( ・∀・)「緑の石が、どこにあるか知ってるかい?」
- 30 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:28:46 ID:eH7oOPFY0
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( ´_ゝ`)「……弟者のものだが、俺が持ってる。部屋の真ん中に落ちてた」
兄者の言葉に、モララーを含めた一行が歓喜の声を上げた。
自分だけ置いて行かれて周りは喜んでいる。その状況についていけず、兄者は「ちょっと待ってくれ」と思わず言った。
( ´_ゝ`)「石って何なんだ? 俺らが物心ついた時から持ってたものだが、そんなに価値があるのか」
( ・∀・)「価値も何も、力そのものだよ」
( ´_ゝ`)「……は?」
( ・∀・)「いいかい、ご主人」
- 31 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:30:32 ID:eH7oOPFY0
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「思い出してごらんよ」モララーはそう言った。
( ・∀・)「僕らが瞬間移動に使った石の破片。あれも青かっただろう? 同じものなんだ」
( ´_ゝ`)「同じ?」
( ・∀・)「そう。つまりね」
( ・∀・)「君は石があれば、過去を操ることができるんだ」
( ´_ゝ`)「……は?」
- 32 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:34:16 ID:eH7oOPFY0
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( ^ω^)「……これ、は」
過去の守護者の男――内藤ホライゾンは、目の前に広がる地獄絵図に思わず口を覆った。
川 - )
_
( ∀ )
从 ∀从
倒れ伏しているのは、未来の受継者の守護者達だ。
倒れた皆からは、すでに命の灯火は消えている。
( ^ω^)「間に合わなかったお……でも、足りないお」
- 33 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/04(月) 22:36:40 ID:eH7oOPFY0
自分の記憶では、あと2人守護者がいた筈だ。
その守護者と受継者がいないということは――まだ、可能性はある。
( ^ω^)「未来の受継者はぼくらに任せるお。だから……ゆっくり、休むといいお」
内藤は膝をついて、繋がった彼らの手に自分の手を重ねた。
第2話「知」・終
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