( ´_ゝ`)時間を司るようです(´<_` )
第11話「真」



223 名前: ◆MH/VTCEj3A[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:27:42 ID:..tylcf.0
『――ッ!』

(  _ゝ )(?)

泣いている。泣いている。
誰かが泣いている。

『……、――』

血を吐くような、嗄らした喉から絞り出す怨念の声だった。
視界が明確になっていく。

224 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:29:06 ID:..tylcf.0
女が胸から血を流している。
女を抱えた男が、誰かの足首を掴んで、叫んでいる。

『……ろう、……』

男が、ぎっと掴んでいる足首の持ち主を睨みあげた。

『いいだろう、―――――』

男は笑った。
憎い憎いと語る、凄惨な笑みだった。

225 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:31:08 ID:..tylcf.0
『そんなに分からないなら、永遠に与えてやるよ』

男の瞳は、緑色だった。
 
 
 
 
 
変わらないまま、ずっと恨んで怨んで憾んで。
 
 
 
第11話「真」

226 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:32:56 ID:..tylcf.0
(´<_`; )「兄者ああッ!!!」

( ・∀・)「!」

弟者がそう叫んだ瞬間、モララーは支えていた弟者の体を置き去りにして駆けた。
駆ける最中に青い光を収束させて具現化したのは、青い刃を持ったサーベルだ。
右手に掴んだその持ち手をぐっと左に突き出し――兄者に馬乗りになっているその人物へ向かって、左から右へ一気に横へ薙いだ。

( ФωФ)「ふっ」

227 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:34:12 ID:..tylcf.0
馬乗りになっていたのは男だった。
モララーの攻撃に当たるまいと、即座に兄者の体から飛び退いて避ける。
それだけで十分だった。
飛び退いて距離を取ったその男から、モララーは兄者とその男の間に立つように兄者を背後に庇ってサーベルを男に向ける。

( ・∀・)「……お前か、時間の受継者を狙っているのは」

( ФωФ)「いかにも」

男は不気味なほどに落ち着いている。
むしろ、これが平静なのかと思えるほどだった。

228 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:35:21 ID:..tylcf.0
( ・∀・)「どうして狙う」

( ФωФ)「それは言わぬ。だが、名は名乗っておこうか」

男は演技かかった口振りで、両手を広げて朗々と話した。
騒ぎを聞きつけたギコ達が、入口で無闇に手出しできずに武器を構えたまま止まっている。
窺うようなギコ達に、モララーは視線で「待て」と合図した。

( ФωФ)「吾輩の名はロマネスク。杉浦ロマネスクだ。
        此度は邪魔が入ったが、次こそは過去の受継者を殺しに来よう」

男――ロマネスクがそう言い終えた直後、しぃの銃が火を噴いた。

229 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:36:15 ID:..tylcf.0
だがその銃弾は当たらずに、ロマネスクに当たる直前に、真っ二つに割れて床に落ちた。
からんからんと、乾いた音がした瞬間ロマネスクはその姿を消していた。

( ・∀・)「っ探せ!」

モララーの声に頷いたギコとしぃが立っていた扉から離れて、部屋から廊下に向かって走り出した。
内藤が弟者の体を支え、ツンが倒れたドクオの元に向かう。

( ・∀・)「……杉浦、ロマネスク?」

230 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:37:36 ID:..tylcf.0
引っかかる、とモララーは呟いた。
どこかで聞いた覚えのある名だと思った。

( ・∀・)(……これは、調べる必要がありそうだね)

(´<_` )「兄者、」

( ^ω^)「主は大丈夫だお。気を失っただけだお」

内藤の言葉に、弟者は表情がほっと安心したように落ち着いた。
だがそれも一瞬のことで、悔やむように顔をくしゃりと歪ませる。

231 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:39:21 ID:..tylcf.0
(´<_` )(守れなかった)

ぐ、と唇を噛んだ。
「弟者、」ドクオを見ていたツンが声をかける。
両腕を刃物で斬り付けられたような傷があり、そこから流れていた血の止血をしていた。

ξ ゚听)ξ「もう力は使える? 今となっては、あんたの守護者はドクオしかいないのよ。私達も守ろうと思えば守れるんだけど、同じ受継者でも相性が違うと不完全になるの」

(´<_` )「……大丈夫だ。使える」

手順は既にモララーから聞いていた。

232 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:40:52 ID:..tylcf.0
弟者は首に緑の石のネックレスをかけていることを確認してから、ドクオに触れる。
詠唱するとざわりと空気が震え、弟者の瞳が緑色に変わった。

('A`;)「う、」

ξ ゚听)ξ「大丈夫? ドクオ」

('A`)「ああ……気分は最悪だけどな」

ξ ゚听)ξ「あんたのクロスボウは近距離じゃなかなか難しいしね」

('A`)「返す言葉もねえわ」

233 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:42:30 ID:..tylcf.0
ドクオがよっ、と声を付けて体を起こす。
傷は塞がりはしたが痕が残っていた。

モララーは起き上がったドクオに向かって声をかける。

( ・∀・)「あいつはどうやって現れた? 前触れも何も無かったのかい」

('A`)「ああ、無かった。いきなりそこら辺の空間が歪んで、あいつが現れたんだ」

( ・∀・)「空間転移か? なんらかの受継者と見ても、受継者に受継者を殺すメリットなんて無いはずだ」

(´<_` )「……なあ」

234 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:44:09 ID:..tylcf.0
それまで口を閉じていた弟者が、口を開いた。
自然と視線は弟者に集まる。
集まった視線を気にすることも無く、弟者は凛とした声で言葉を紡いだ。

(´<_` )「守護者は、どうしているんだ?」

ξ ゚听)ξ「え?」

(´<_` )「受継者に受継者を殺すメリットは無い。なら、必然的に一般人でも受継者を殺すメリットは無いよな。殺したら自分の住んでる世界のバランスが崩れるんだから」

235 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:45:20 ID:..tylcf.0
(´<_` )「なら、なんで守護者は存在してるんだ?」

( ・∀・)「……なるほど」

モララーは眉を顰め、そう呟いた。
言われてみればそうだと納得する。

受継者が生まれた歴史は、そこまで詳しく記されていない。
あって当然のように、残された資料からは発動条件などが淡々と記されているだけなのだ。
弟者の言葉に、これは資料を全て読み直してさらにまた新たに資料を探した方がいいのかもしれないとモララーは腕を組んだ。

236 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:47:19 ID:..tylcf.0
そして、今回新たに現れた「杉浦ロマネスク」という存在も。

( ・∀・)「調べ直そうか。ドクオも、未来の守護者として協力してくれないかい?」

('A`)「勿論だ」

( ,,゚Д゚)「見回ったが、奴はいなかった」

飛空艇の中を回ってきたギコとしぃが戻ってきた。
その表情にはやりきれないという気持ちがありありと表れている。

( ・∀・)「ああ、でも場所がバレたのは痛いね。どうしようか」

237 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:48:42 ID:..tylcf.0
( ,,゚Д゚)「とりあえず、飛空艇の飛んでる場所を変えるか? ずっと同じ場所に居るのもおかしかったな」

( ・∀・)「うん、とりあえずやらないよりはマシだね。変えようか」

モララーは倒れたままの兄者の腕を自分の肩に回し、立ち上がった。
兄者の首にはロマネスクによって付けられた絞め痕が残っている。

それに静かに眉を顰め、弟者はモララーに支えられた兄者に触れて素早く詠唱した。
「ん?」突然近づいてきた弟者を疑問に思ったのだろう、モララーは一度声は上げたが消えていく痕に合点がいったように小さく頷いた。

238 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/03/20(水) 22:50:18 ID:..tylcf.0
( ・∀・)「少し気になってたんだよね」

(´<_` )「……別に」

( ・∀・)「包帯で隠すのもあれだしね。ありがとう」

「ご主人は部屋で寝かせておくよ」モララーと共に、ドクオが部屋から出て行った。
だが、部屋を出ていくその直前に。

(  _ゝ )「……ロマ、ネスク……」

兄者の唇から零れ落ちたその名前には、誰も気が付かなかった。
 
 
 
 
 
第11話「真」・終



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