ノパ听)いんだくしょん・ひーとのようです
第五話「表皮効果」



96 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:08:30 ID:t.w9PXaQ0
第五話「表皮効果」

97 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:09:30 ID:t.w9PXaQ0

翌日、ヒートは再びハインの家の前まで来ていた。

結局昨日は

从 ゚∀从「今日はこんなもんにしとこう。いっぺんに詰め込むのは良くない。また来な」

と、ハインにそう言われ、ヒートはモヤモヤしたまま帰宅したのだった。

ヾノパ听)ノ"「ハーイーンー」





98 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:10:30 ID:t.w9PXaQ0

从;゚∀从「お前もよく飽きずに毎日来るなぁ…」

ノハ*゚听)「いーじゃん、どうせヒマだろ?」

从#゚∀从「何を言う!この狂気のメァッドサイエンティスト、ハインリッヒ高岡は常に新技術の開発に余念がない!
      本来であれば貴様のような小娘を相手にしている時間は惜しいのだっ!」

ノハ#゚听)「誰が小娘だ…」



<ピンポーン ガチャ



  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「おーいハインちゃん、頼んでたコイル出来てっか?」

从*゚∀从「おーう渋沢のオッサン!バッチリだぜ!!!このハインリッヒ高岡のIMEに不可能という変換候補はない!!フゥーハハハ!!」

ノハ;゚听)「近所のおじさん!!!???っていうか利用者いるのここ!!?」

99 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:12:03 ID:t.w9PXaQ0

  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「なんだ素直さんとこの嬢ちゃんじゃねーか。ここでアルバイトでもしてんのか?」

ノハ;゚听)「え?ええ?えええ???ばば、ばいと??」

从 ゚∀从「ヒートよ、オレは単なる暇人ではないぞ…。
      一応、ここ高岡研究所(仮)は電気機器全般のオーダメイドやらなんやらを請け負っているちゃんとした場所なんだ…。仕事殆ど無いけど…」

ノハ;゚听)そ「ちゃんとした仕事だったの!!???っていうかじゃあ今までの発明(笑)はなんだったの!!!!!???????
       しかも(株)とかじゃなくて(仮)なの!!!???????ツッコミどこ多すぎてどこからツッコんでいいかわかんねーよ!!!!!!!!!」

  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「…素直さんとこの娘さんにしちゃえれえ元気いいな…クーちゃんやらシューちゃんはもっとおとなしかったが…」

从* ゚∀从「おもしろかろ?」

ノハ;゚听)「面白がるなっ!!」

100 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:13:07 ID:t.w9PXaQ0

从 ゚∀从「あ、そーだ」

从 ゚∀从「ヒート、お前がここまでに勉強してきた『誘導加熱』は、IH以外にも使われているんだぜ。渋沢さんのところでも使ってもらってる」

ノパ听)「そーなのか?」

  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「うちの会社なんかでは金属の『焼入れ』に使ってるな」

ノパ听)「ヤキイレ?」



  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「金属の熱処理の手法さ。金属を加熱させたあと急速冷却することで材料の強度を増したり摩擦に対する強さを向上させるんだ」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「オレは電気の詳しい理屈はわからねーが、表面だけ焼入れをするときにコイルを使ってるんだ」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「もちろん、コイルに入らない形状の材料はダメだし、フクザツな形状のものは温度に差が出ちまうから出来ねえんだけど、
         他の方法と比べると調整がラクだったり、短い時間で処理ができる。小さい部品…軸や歯車なんかにはちょうどいいのさ」

102 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:14:30 ID:t.w9PXaQ0

ノパ听)「なんで表面だけなんだろう?」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「それはハインちゃんに聞いてみたほうがいいな。ハインちゃん、オレは装置を運び出すけどいいか?」

从 ゚∀从「おう、いつものとこに置いといてあるから持ってってくれ」
  _、_
 ( ,_ノ` )y━・~「じゃーな、素直の嬢ちゃん、頑張んなさいネ〜」

ノハ*゚听)ノシ「ありがとうございました!!さよーなら!!」



从 ゚∀从「「じゃあヒート、順番に説明していくぜ」

从 ゚∀从「渋沢さんの言ってる焼入れは、正確には『高周波焼入れ』って言ってな」

从 ゚∀从「高い周波数の電流をコイル…エナメル線をぐるぐる巻いたアレに流すんだ」



从 ゚∀从「電磁石の時には鉄の棒を中に入れただろ?
      あれは鉄心って言うもので、電磁石の磁力を強化するために入れたものなんだが…実はアレにも誘導電流は流れる。磁場があるから、あたりまえだな」

从 ゚∀从「電流が流れるってことは加熱するってことだ。つまり、金属焼入れは鉄心のかわりに焼入れしたい材料を通すんだ」

从 ゚∀从「まあ、渋沢さんのところのヤツなんかだと流す電流が大きいから『銅線』っつーか『銅棒』ってくらいの太さのコイルなんで、
      ヒートが作ったやつとは見た目が全然違うんだけどな」

103 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:15:51 ID:t.w9PXaQ0

从 ゚∀从「で、本題だが…何故表面の焼入れに使うのかってことなんだが」

从 ゚∀从「ヒート、誘導電流をいっぱい流すためにはどうしたらいいんだったかな?」

ノハ*゚听)ノ「短い時間でいっぱい磁界を変化させて、大きい誘導起電力を作る。磁界を作る交流電流の周波数を高くするか電流自体を大きくする!」

从 ゚∀从「うん、その通り。周波数が高くなると1秒あたりに極性の入れ替わる回数が増えていくから、短い時間でたくさん磁界が変動する。
      もしくは電流自体を大きくして磁界そのものを強化することで、誘導電流量は増加する」



从 ゚∀从「電流をいっぱい流すには電圧を大きくしなきゃいけないし、磁界を作るコイル自体が加熱しちまうから危ない。
      最近は周波数を変化させるのも簡単になったから、周波数を高くして誘導させてることが多いな」

从 ゚∀从「この高い周波数ってのが厄介でね」

104 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:16:48 ID:t.w9PXaQ0

从 ゚∀从「実は電流は導体の中を均一に流れているわけじゃないんだ」

从 ゚∀从「電流は、周波数が高くなると金属の表面側に集中して流れるようになる。表面のほうが電流密度が高くなるってことだな」

从 ゚∀从「これを『表皮効果』って呼ぶぜ」

ノハ*゚听)「おお、周波数が高いから表面だけにしか電流が流れないんだ。それで表面だけが加熱していくんだな!」

从 ゚∀从「そういうこと。ちなみに、同じ周波数の磁界をかけても『抵抗の小さい導体』や『磁気を強くする材料』のほうが表面に集中しやすくなる」

ノパ听)「『磁気を強くする材料』?」

从 ゚∀从「鉄とかニッケルとかだな。一般には『磁性材料』とか『磁性体』とかって呼ばれてるもんだ」

ノパ听)「ほぇー」

从 ゚∀从「だから、正確には高周波焼入れは『表面にだけ使う』んじゃなくて、『表面しか出来ない』ってのが正解かもな。
      勿論周波数を落として全体を加熱するようにしてやりゃ全体をやれなくはないけど、そうすると電流が小さくなるから難しいんだ」

105 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:18:38 ID:t.w9PXaQ0

从 ゚∀从「ついでだから言っとくと、実はこれ、オールメタル対応と関係がある」

ノハ;゚听)「あ。そんなヒントもあったな!」



从 ゚∀从「それについては少し休憩してからにするか、お茶でも出すぜ」

ノパ听)「この前みたいに運ばれてきてハインが飲む、みたいなのはカンベンだぞぉ」






106 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2014/10/29(水) 21:19:22 ID:t.w9PXaQ0
第五話「表皮効果」 終



<<<第四話第六話>>>

トップ中編・長編作品一覧ノパ听)いんだくしょん・ひーとのようです第五話「表皮効果」
元スレ inserted by FC2 system