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13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:31:47.03 ID:fJTgQXGu0
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(;*゚ー゚)「……」
川 ゚ -゚)「……気分はどうだ、しぃさん」
(;*゚ー゚)「………い」
川 ゚ -゚)「い?」
(;*゚ー゚)「生きた心地が、しません」
川 ゚ -゚)「……ムぅ。ひどいものだな、あの検事の追及のしようは」
(;*゚ー゚)「 あ な た の 弁 護 が 危 な っ か し す ぎ て !
. ……生きた心地が、しないんですよ!」
川;゚ -゚)「……ごめん」
しかし、内心はクールも一緒だった。
なんとか、注意の目を植木鉢に逸らせたことで、こうして延命につなげることができた。
だが、それはただのハッタリ、イチャモンに過ぎないことを、何よりクール本人がよく知っている。
そのため、弁護する立場のクールも、しぃと同じように、「生きた心地」がまるでしなかった。
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14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:35:04.11 ID:fJTgQXGu0
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(*゚ー゚)「……でも」
川 ゚ -゚)「?」
(*゚ー゚)「弁護士さん、やっぱりカッコよかったです」
川 ゚ -゚)「……そ、…そうか」
(*゚ー゚)「あ、照れてるー」
川 ゚ -゚)「照れてなんかいないぞ」
(*゚ー゚)「ケッコウ可愛いところもあるんですね」
川;゚ -゚)「私のほうが年上だぞ。少しは敬意ってものをだな……」
「はいはい」と、いたずらに笑うしぃは、それまでの雰囲気とは打って変わって
とたんに、まじめな――深刻な表情を浮かべた。
クールがそれに気づき、「ム」と声を漏らす。
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15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:37:52.08 ID:fJTgQXGu0
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(*゚ー゚)「……ところで」
川 ゚ -゚)「なんだ」
(*゚ー゚)「あの植木鉢……そこまでダイジなんですか?」
川 ゚ -゚)「考えてみたまえ。あの植木鉢は、なにかしかるべき理由があって、動かされたのだ」
(*゚ー゚)「だから、ギコくんが転んだんじゃあ……」
川 ゚ -゚)「ばかな。そんなもの、証人が犯行を隠すためにとっさについたウソ、に決まっている」
(*゚ー゚)「…! あの人が、犯人なんですか?」
川 ゚ -゚)「君が犯人でない、と信じるなら、あの人にしか犯行は無理だ」
川 ゚ -゚)「……それに、花瓶の件といい何度も偽証したことといい、彼女は怪しい」
川 ゚ -゚)「イキオイとノリでチャッカリ無罪をいただくなら……今しか、ないんだ」
(;*゚ー゚)「イキオイとノリでチャッカリ無罪って……」
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17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:41:42.48 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「語呂がいいだろ。無罪のあかつきにインタビューされたら、これを言うつもりだ」
(*゚ー゚)「やめたほうがいいと思いますよ……」
川;゚ -゚)「そ…そうかな?」
「それはいいとして、だ」。
クールがしぃの哀れんだ目から逃げるべく、無理やり話を遮った。
川 ゚ -゚)「しぃさんが犯人じゃないとするなら、犯人はあの証人だ」
川 ゚ -゚)「すると、その手口は、さっき言ったようなものとなるだろう」
川 ゚ -゚)「……とすると、植木鉢が動かされた理由は、被害者が足をとられたからではない」
川 ゚ -゚)「 “その場に置いておくと証人にとって不利益なことが生じるから”
したがって、あの植木鉢は動かされた……そう捉えるべきなのだ」
(*゚ー゚)「…!」
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19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:45:18.66 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「もっとも……」
(*゚ー゚)「?」
川 ゚ -゚)「その “理由” ……まったく見当がつかないのだがな」
(*゚−゚)「おい」
川;゚ -゚)「い、言っただろ! これは “イチャモン” なんだ、って!」
( `・д・)ゞ「時間です」
(*゚−゚)「行きましょう」
しぃは、不機嫌な顔をしたまま、すたすたと控え室から出て行った。
川;゚ -゚)「ちょ…ちょっと待て! おい!」
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20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:49:20.66 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚) クールに決める逆転裁判のようです
File.1 「 逆転のバレンタイン 」
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21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:51:28.86 ID:fJTgQXGu0
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“最後” の休廷を終えて
当初、あれほど騒がしく、また邪念で満ち溢れていた法廷内が
気がつけば、当時のそれを疑わざるを得ないほどの静けさで満ちていた。
しかし、それも当然だった。
当初は、傍聴人の大半が被告人、アイドルのしぃの有罪を信じて疑わなかったのが
クールが立て続けに不自然な状況証拠の指摘を繰り返した結果
傍聴人の皆がみな、しぃを疑っているわけではなくなったのだから。
むろん、証拠という証拠は未だに、しぃを指し示している。
そのため、判決が揺るがされそうだ――と考える人はいなかったが。
クールが所定の位置についたとき、まず最初に目に付いたのは、向かい、いよう検事の様態だった。
どこかそわそわしている。腕を組み、苦い顔を浮かべていたのだ。
クールが「おや」と思っていると、それを遮るかのように、裁判長が手を叩いた。
厳かな空気が、その瞬間に場内に充満した。
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23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:53:23.82 ID:fJTgQXGu0
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( ´∀`)「……さて」
川 ゚ -゚)「…」
(;=゚ω゚)ノ「…」
( ´∀`)「では、伊予検事」
(=゚ω゚)ノ「……ぃょぅ」
( ´∀`)「言っていた、例の植木鉢はどうなりましたか?」
(=゚ω゚)ノ「刑事に頼んで、現場からそのままを持ってきてもらったよぅ」
(=゚ω゚)ノ「これが、その観葉植物だよぅ」
( ´∀`)「どれ」
川 ゚ -゚)「……」
いようが、その植木鉢を卓上に置いた。
白い植木鉢で、どうやらちょっとした観葉植物のようだ。
クールは植物には疎いため、それがなんという植物なのかはわからなかったが
ただ、特別な雰囲気を感じ取ることはできた。
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24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:54:28.22 ID:fJTgQXGu0
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(=゚ω゚)ノ「 “ユグドラシルゴム” って呼ばれている、ゴムの木の一種だよぅ」
( ´∀`)「ユグドラシル……ですか」
(=゚ω゚)ノ「別名 “ユグドラシル” とも呼ばれる珍樹、 “世界樹” に似ていることからつけられた名前だよぅ」
(=゚ω゚)ノ「似ているだけ、でありながらも、このゴムの木でさえなかなかの希少価値がある……」
(=゚ω゚)ノ「観葉植物なんかを嗜む人の間では、ちょっとした人気があるゴムの木なんですよぅ」
( ´∀`)「わかりました、受理します」
川 ゚ -゚)「 『観葉植物』 ……ねぇ」
『観葉植物』 。
ユグドラシルゴムと呼ばれる種類の観葉植物。
事件当日にじぃによって動かされた形跡がある。
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27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:55:07.36 ID:fJTgQXGu0
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( ´∀`)「では、素直さん」
川 ゚ -゚)「なんだ」
( ´∀`)「なんだ……って言われましても」
(=゚ω゚)ノ「ちゃっちゃと 《調べる》 んだよぅ」
川 ゚ -゚)「 《調べる》 ……?」
(;=゚ω゚)ノ「この 『観葉植物』 に問題性を見出したのは弁護側なんだよぅ!
そのくらいのことはしろよぅ!」
川;゚ -゚)「あ、ああ……そうだな」
そう言って、渡された 『観葉植物』 を前に、クールは目を細めた。
クールは世界樹という木をそもそも知らないのだが、確かにどこかに神秘性を感じられるゴムの木だった。
ただ、育てるのにはなかなか労力が必要とされそうだな、と彼女は感じた。
しぃも 『観葉植物』 見たさのためか、振り返った。
被告人が姿勢を変えるのは構わないのか――と思うも、クールは気にせず、その 『観葉植物』 に目を遣る。
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29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:56:01.08 ID:fJTgQXGu0
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(*゚ー゚)「…」
川 ゚ -゚)「(一見……異常は見当たらないな)」
(*゚ー゚)「……」
川 ゚ -゚)「(しかし、必ず 『観葉植物』 のどこかに、異常が……)」
(*゚ー゚)「………」
川 ゚ -゚)「…? どうしたのだ、しぃさん」
(;*゚ー゚)「え? いや……」
クールが彼女に声をかけたのは、しぃが『観葉植物』を見る目が、どこか奇妙な色を帯びていたからだ。
きょとんとした、まの抜けた顔をしていた。
『観葉植物』を十秒ほど眺めたあたりで、クールは彼女のその視線に気がついたわけである。
そこで、声をかけると同時に、クールはあることを思い出した。
この『観葉植物』は、少なくともここ数日間は現場に置かれていたわけだ。
つまり、しぃも少なからず、『観葉植物』は見てきていたわけである。
そう思うと、クールは、しぃの視線の “意味” がなんとなくわかった気がした。
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30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:56:32.91 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「……どこかに」
(*゚ー゚)「?」
川 ゚ -゚)「どこかに、気になる点でもあるのか?」
(*゚ー゚)「あ、いや……その」
川 ゚ -゚)「…」
しぃはどこか、歯切れの悪い言葉を並べた。
それにクールはぎこちなさを感じた。
川 ゚ -゚)「言ってみてくれ」
(*゚ー゚)「……なんとなく、ですよ?」
川 ゚ -゚)「問題ない」
(*゚ー゚)「じゃ、じゃあ……」
こほん、としぃ。
(*゚ー゚)「なんだか…… “小さい” 気がして」
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31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:57:34.34 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「 “小さい” ?」
(;*゚ー゚)「あっ…、いつもと見てる角度が違うからかもですが……」
川 ゚ -゚)「…ふーん」
(*゚−゚)「……自分から聞いといてそのリアクションはないと思います」
川;゚ -゚)「弁護士にリアクションを求めるな……」
川 ゚ -゚)「(それはいいとして……)」
川 ゚ -゚)「( “小さい” とは……どういうことだ?)」
川 ゚ -゚)「(この場合、“小さい” というよりは、むしろ、)」
川 ゚ -゚)「 “形がビミョーに変わってる” ……?」
(*゚ー゚)「?」
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32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 19:59:11.13 ID:fJTgQXGu0
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クールがぼそっと口を動かしたのを見て、しぃは首を傾げた。
首を傾げたのは、向かいにいるいようも同じだった。
(=゚ω゚)ノ「はやくしてくれよぅ。また遅延行為をするつもりかよぅ?」
川;゚ -゚)「いま検討中なんだ!」
(=゚ω゚)ノ「……」
いようは黙った。
それを見て、クールはすぐさま “検討” に戻った。
川 ゚ -゚)「(しぃさんは、この 『観葉植物』 を見慣れている。
ただ角度の問題とかじゃあないだろう)」
川 ゚ -゚)「(だとすると、事件当日…… “なにかがあって” 、
この 『観葉植物』 は “形を変えられた” ことになる)」
川 ゚ -゚)「(観葉植物は、盆栽とは違うんだ。
だから、“形を変えられた” というのなら、一番考えられるのは……)」
川 ゚ -゚)「………折られた」
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33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:00:14.73 ID:fJTgQXGu0
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――そう仮定を立ててもう一度 『観葉植物』 を見回すと
クールは、あることに気がついた。
確かに、枝に “折られたような跡があった” のだ。
それも、断面の色からすると、できてまもないと判る。
クールは「もしかすると、もしかするかもしれない」と思った。
(*゚ー゚)「ど、どうしたんですか。さっきから、ぼそぼそ……」
川 ゚ -゚)「……! 裁判長、ここを見てくれ!」
( ´∀`)「はい?」
すぐさま、その枝の断面を裁判長に見せる。
すると裁判長も「あっ」と言った。
一人取り残されたいようは、急にソワソワし始めた。
(;=゚ω゚)ノ「な、なにがあったんだよぅ!」
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34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:01:28.00 ID:fJTgQXGu0
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これを好機と見たクールは、にんまりと口角を吊り上げて、言った。
川 ゚ -゚)「…… “折られている” のだよ、この 『観葉植物』 は」
(=゚ω゚)ノ「 “折られている” ?」
そして、いようもその断面を見た。
色とその折れ方から、自然的に折れたものとは思われなかった。
どう見ても――とまでは言い切れないのだが、どうもそれは人為的な折れ方のように見えた。
一瞬、いようは目を細めた。
しかしそれも次の瞬間には元に戻っていた。
(=゚ω゚)ノ「ハン! それがどうかしたかよぅ?」
川 ゚ -゚)「…」
(=゚ω゚)ノ「それが、この事件となにか関係でもあるのかよぅ?」
川 ゚ -゚)「……?」
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35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:03:21.55 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「………あ」
(;*゚ー゚)「……って、ええッ!? それだけですか!?」
川;゚ -゚)「まずかった…?」
(;*゚ー゚)「まずいですよ!」
(=゚ω゚)ノ「……え?」
(=゚ω゚)ノ「まさか……ほんとうに、ただ言っただけなのかよぅ?」
川;゚ -゚)「そ、そんなことはない!」
(=゚ω゚)ノ「じゃあ、それがどうしたっていうんだよぅ」
川;゚ -゚)「ちょっと、待ってくれ」
(;=゚ω゚)ノ「え、…えぇ……? いい加」
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37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:04:55.16 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「(…… “何かが原因で、この枝は折られた” んだ。それは違いない)」
川 ゚ -゚)「(しかし、だとすると “どうして枝は折られたのか” ……それが、問題となる)」
川 ゚ -゚)「(……… “どうして” ……だと?)」
川;゚ -゚)「(部外者の私が、わかるわけもないだろう!
. いったいどうして、この 『観葉植物』 の枝は折られたっていうんだ!)」
川;゚ -゚)「(証人が犯人だったとすると、間違いなく
. この 『観葉植物』 には “なにか” が起こったことになる)」
川;゚ -゚)「(しかし……その “なにか” は……なんだったって言うんだ?)」
川;゚ -゚)「(ただでさえ、犯人は 『観葉植物』 を動かしている。
. ……そうだ。そもそも、“どうして動かされなくてはならなかったのか” すらわかってないんだ)」
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40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:06:38.17 ID:fJTgQXGu0
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川;゚ -゚)「 “どうして” ……が、二つも、あるな」
(*゚ー゚)「……弁護士さん」
川 ゚ -゚)「ム……なんだ」
(*゚ー゚)「最初の休廷前に私が言ったこと……覚えてますか? 見方、がどうこうの」
川 ゚ -゚)「言ったこと……当然だ」
(*゚ー゚)『 “見方が違う” …んだと、思います』
川 ゚ -゚)『見方?』
(*゚ー゚)「あれなんですが……もっと、的を射た表現を思いつきました」
川 ゚ -゚)「?」
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42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:07:27.70 ID:fJTgQXGu0
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すぅ、としぃが息を吸う。
このときに限り、クールの五感は、目の前のしぃの言葉にしか機能しなくなっていた。
(*゚ー゚)「 《逆転》 」
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45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:12:15.01 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「逆転……?」
(*゚ー゚)「大方、いま弁護士さんが考えてることといえば、
この 『観葉植物』 に残されたナゾのことでしょ」
川 ゚ -゚)「……顔に出てたか」
(*゚ー゚)「 “どうして枝は折られたのか”
“どうして植木鉢は動かされたのか”」
(*゚ー゚)「……こういったナゾも、証拠品と一緒。
“見方が違う” から、それはナゾのまんまなんだと思います」
川 ゚ -゚)「……どういうこと、だ」
(;*゚ー゚)「私、頭よくないから、この言い方でただしいかはわからないけど……」
(*゚ー゚)「枝と、植木鉢のナゾ。……それらのナゾを…」
(*゚ー゚)「 《逆転》 させるんです」
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47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:15:24.18 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「……?」
(*゚ー゚)「 “発想の逆転” 。今回の、この二つのナゾを逆転させると……こうなります」
(*゚ー゚)「 “枝を折らざるを得ない状況とはなんだったのか”
“植木鉢を動かさざるを得ない状況とはなんだったのか”」
川 ゚ -゚)「……!」
(;*゚ー゚)「あ、合ってる……よね?」
しぃが、弱気な様子で訊いた。
そんな態度とは対照的に、クールは自信に満ちた様子で、大きく、うなずいた。
川 ゚ -゚)「…… 《逆転》 、か……!」
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48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:16:55.45 ID:fJTgQXGu0
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クールは、拳を握りしめた。
胸に、形のない昂揚感が積み上げられてきたような気さえした。
逆転。逆転……、逆転?――
クールの脳内を、その言葉が駆け巡る。
川 ゚ -゚)「( “枝を折らざるを得ない状況” だと?)」
川 ゚ -゚)「(証人が犯人だ、という前提で考えるなら……)」
川 ゚ -゚)「(わざわざそんな危険を冒してまで、枝を折った理由。 それは―――)」
川 ゚ -゚)「――― 犯行の形跡が、残ってしまった?」
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49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:18:40.53 ID:fJTgQXGu0
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(*゚ー゚)「!」
(;=゚ω゚)ノ「いま、フキツな声が聞こえた気がしたよぅ」
( ´∀`)「時間です。答えを聞きましょうか、素直さん」
川 ゚ -゚)「!」
( ´∀`)「弁護側の言う 《現場の観葉植物に残されたナゾ》 とはなにか。それが、残された唯一のポイントです」
(=゚ω゚)ノ「と、当然、事件との関連性を提示してもらわなくちゃだめだよぅ」
( ´∀`)「では、示してもらいましょう」
( ´∀`)「 《現場の観葉植物に残されたナゾ》 を……示してください!」
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50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:22:55.24 ID:fJTgQXGu0
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――この場で、クールに与えられた選択肢は、二つだ。
証拠品を提示する。
証拠品はない。
今までのクールだったなら、事実の如何を無視して、イキオイとノリで前者を選んでいただろう。
しかし。
このときに限っては、明確な答えが自分のなかに浮かび上がっていたため
イキオイもノリも投げ捨てて―― “後者” を、選んだ。
川 ゚ -゚)「指摘できる証拠品は………ない。」
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53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:24:56.56 ID:fJTgQXGu0
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(=゚ω゚)ノ「やっとわかったのかよぅ! “ 『観葉植物』 は事件とは関係なかった” と――」
川 ゚ -゚)「いや、そう言いたいわけではない」
(=゚ω゚)ノ「……?」
川 ゚ -゚)「捜査陣のほうで、この証拠品に費やした調査は?」
(=゚ω゚)ノ「え…? ちょっと待つよぅ」
弁護側の唐突な質問に、いようは書類を見直した。
捜査陣から届けられている捜査結果の書類である。
(=゚ω゚)ノ「 “指紋” だけだよぅ」
川 ゚ -゚)「!」
(=゚ω゚)ノ「それ以外に、なにも調べるものはなかったんだし、トーゼンだよぅ」
( ´∀`)「警察の捜査に、なにかモンダイでもあるのですか?」
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54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:26:17.88 ID:fJTgQXGu0
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モンダイなし。
モンダイあり。
――この二択にも、クールは即答することができた。
川 ゚ -゚)「大アリだ、裁判長!」
( ;´∀`)「わ、私に指をささないように!」
川;゚ -゚)「あ……う。」
川 ゚ -゚)「……コホン」
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57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:29:56.97 ID:fJTgQXGu0
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川 ゚ -゚)「弁護側は、こう主張する!」
川 ゚ -゚)「 “警察の捜査は不十分だった” ――と!」
川 ゚ -゚)「だから、いま、証拠品を提示するのは不可能だ!」
(=゚ω゚)ノ「異議ありィ! だったら、弁護側に言ってもらうよぅ!」
川 ゚ -゚)「なにをだ?」
(=゚ω゚)ノ「言うまでもないよぅ!」
(=゚ω゚)ノ「 《なににおける調査が足りていなかったのか》 ……を、具体的に!」
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59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:31:09.30 ID:fJTgQXGu0
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(;*゚ー゚)「ケーサツの捜査が “不十分” だったって、ホンキで言ってるんですか!?」
川 ゚ -゚)「当然。……と、言い切れないのが悔しいところだ」
(*゚−゚)「……」
川;゚ -゚)「あ、合ってるとは……思うんだよ」
(*゚−゚)「……」
(*゚ー゚)「……指紋以外に調べられそうなことと言えば…… “三つ” くらいしかありませんね」
川 ゚ -゚)「三つ?」
クールが問うと、しぃは指折りしながら “三つ” を挙げていった。
(*゚ー゚)「 “血液反応” 」
(*゚ー゚)「 “擦過(さっか)痕” 」
(*゚ー゚)「そして……さっき話にあった、 “硝煙反応” 」
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60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:33:49.71 ID:fJTgQXGu0
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血液反応。
擦過痕。
硝煙反応。
ここで、三択か――
川 ゚ -゚)「……言うまでもないだろう」
(*゚ー゚)「! じゃあ――」
――などと迷うことは、今のクールにはなかった。
クールは、この劣勢を 《逆転》 させるつもりしかなかったのだから。
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63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 20:35:46.02 ID:fJTgQXGu0
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( ´∀`)「答えは……決まったようですね」
( ´∀`)「では、指摘してもらいましょうか、素直さん」
( ´∀`)「ケーサツの捜査における “不備” とは、いったい!」
川 ゚ -゚)「 『解剖記録』 の追加を提出したのは残念だったな、検事!」
(=゚ω゚)ノ「なんだって……?」
川 ゚ -゚)「ケーサツ側の犯した、捜査上の “不備” ――それは!」
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