川 ゚ -゚)クールに決める逆転裁判のようです

第一話「逆転のバレンタイン」

Part2

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415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:25:58.82 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川 ゚ -゚)「……言うまでもない」
 
川 ゚ -゚)「『ベランダ』のほう……そこから、犯人は発砲したのだ!」
 
 
(;=゚ω゚)ノ「異議ありィ! きっと、そう言うと思っていたよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「なに?」
 
 
(;=゚ω゚)ノ「こんなこと、言わなくてもわかるよぅ?」
 
(;=゚ω゚)ノ「ほんとうの犯行現場がそこだったなら……」
 
 
 
(;=゚ω゚)ノ「二発目!」
 
(;=゚ω゚)ノ「被害者の命を奪う弾を、撃つことができないよぅ!」
 
 
.

416 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:26:48.16 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ´∀`)「確かに! 弾丸の軌道が、カンゼンに食い違っています!」
 
川 ゚ -゚)「……フ」
 
(;=゚ω゚)ノ「なにがおかしいよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「むろん、そうなる。すると、答えは簡単だ」
 
 
 
 
川 ゚ -゚)「 “発砲は、二箇所に渡って行われた” 」
 
 
 
.

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:29:11.08 ID:fJTgQXGu0
 
 
(;=゚ω゚)ノ「なにィ!?」
 
( ;´∀`)「どういうことですか! …二箇所?」
 
川 ゚ -゚)「まず、犯人はベランダのほうから一発、被害者に向けて撃った。
     その結果が、この 『割れた花瓶』 だ」
 
川 ゚ -゚)「その次に犯人は、『上画面』 の位置に被害者を運んで、もう一度……撃ったのだ!」
 
 
(;=゚ω゚)ノ「……?」
 
(;=゚ω゚)ノ「…さすがに、それはおかしいよぅ」
 
川 ゚ -゚)「なにがだ?」
 
(;=゚ω゚)ノ「被害者の命が奪われたのは、確かに二発目の弾なんだよぅ」
 
(;=゚ω゚)ノ「血痕は、『上画面』 の例の位置からしか検出されなかったんだから」
 
川 ゚ -゚)「…」
 
 
(;=゚ω゚)ノ「だとすると、一発目のあと!」
 
(;=゚ω゚)ノ「どうやって、被告人は二発目、『上画面』 の位置から被害者を撃ったって言うんだよぅ!」
 
.

419 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:31:51.22 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 ――このときになって、クールは、ようやく
 今までのナゾがひとつにつながったことを実感した。
 
 
 
川 ゚ -゚)「……そうなってくると、かねてからのギモンにも合点がいく」
 
(;=゚ω゚)ノ「ギモン…?」
 
川 ゚ -゚)「そもそも、証人がウソをついた、その根本はなんだっただろうか?」
 
(;=゚ω゚)ノ「コンポン…… “打撲” 云々の話だよぅ」
 
(;=゚ω゚)ノ「……! もしかして!」
 
 
 クールは、大きくうなずいた。
 
 
.

421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:33:17.90 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川 ゚ -゚)「犯人はベランダの位置から一発、撃った」
 
川 ゚ -゚)「ここで被害者はおそらく、抵抗に出たのだろう。
     被害者はガタイがいい。背を見せて逃げるよりは、生存確率が高まると思ったのだろうな」
 
(;=゚ω゚)ノ「抵抗……?」
 
川 ゚ -゚)「ああ。すると、二発目の照準を合わせる前に、犯人は相手に襲われてしまう。
     こうなると……自然と、次の行動が見えてくるだろう?」
 
 
( ´∀`)「二発目を撃とうとする前に、接近された……」
 
(;=゚ω゚)ノ「……ま、まさか! 弁護人!」
 
 
 
 
(;=゚ω゚)ノ「 “拳銃の柄で被害者を殴った” とか、言うのかよぅ!?」
 
 
 
.

424 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:35:34.42 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ;´∀`)「!」
 
川 ゚ -゚)「おそらく捜査陣は、このケースを考慮にいれてなかったのだろう」
 
川 ゚ -゚)「当初の 『上画面』 の位置からすると、拳銃を使った殴打のケースは想定されないからな」
 
(;=゚ω゚)ノ「……! と、いうことは……」
 
 
川 ゚ -゚)「犯人はここで、被害者を殴った」
 
川 ゚ -゚)「拳銃は言うまでもないが、重い。
     思いっきり殴りつければ、成人男性を “キゼツ” させられるほどには、な」
 
(;=゚ω゚)ノ「き、キゼツさせた!?」
 
 
.

428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:43:24.50 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(;=゚ω゚)ノ「………」
 
川 ゚ -゚)「これが――」
 
 
 
 
(;=゚ω゚)ノ「―――証拠」
 
川 ゚ -゚)「……?」
 
 
(;=゚ω゚)ノ「証拠は………あるのかよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「証…拠……だと?」
 
(;=゚ω゚)ノ「 《発砲は二箇所に分けて行われていた》 ことを証明する、証拠だよぅ!」
 
(;=゚ω゚)ノ「いままでの話はゼンブ、弁護側の勝手な憶測だよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「………」
 
 
.

430 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:44:39.80 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 すっかり興奮したいようは、大きな声で、弁護側にそううながした。
 裁判長の目も、クールのほうに向けられる。
 ここにきてクールは、ここが運命の分かれ道だ、と思った。
 
 
 
(;*゚ー゚)「証拠! あるんですか!?」
 
川 ゚ -゚)「証拠、証拠か……」
 
川 ゚ -゚)「……証拠は………」
 
 
 
 
 
川;゚ -゚)「…………ないな」
 
 
 
 
 
.

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:47:17.47 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 クールがちいさく言ったとき。
 そのときの声は、先ほどまでの、威勢の良かった彼女のものとはまるで違っていた。
 
 それまでを、イキオイとノリだけで進めていたのが、ばれたかのように。
 とたんに、クールの張っていた虚勢は、もろく崩れていってしまったのだ。
 
 
 その姿を見て、いようはそれまでの態度が一変、
 ふん、と鼻を鳴らしては、その細い腕を組んだ。
 
 
(;=゚ω゚)ノ「……」
 
(=゚ω゚)ノ「……そうだよぅ」
 
川;゚ -゚)「…?」
 
 
.

434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:48:42.67 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(=゚ω゚)ノ「そもそも、もし弁護側の立証しようとした方法で殺害が行われたとして……」
 
(=゚ω゚)ノ「証人の場合、どのみち犯行は不可能なんだよぅ」
 
(=゚ω゚)ノ「それは弁護側もじゅーぶんわかってるハズなんだよぅ」
 
 
 
川 ゚ -゚)「( 『留守電のメッセージ』 と 『コンビニの防犯カメラの映像』 ……っ)」
 
 
 前者の証拠品により、それまで被害者のギコが存命だったこと。
 後者の証拠品により、ギコの存命時には既にじぃが現場を離れていたこと。
 その両方が証明されている以上、クールはいかなる場面においてでも、気をゆるませることはできなかった。
 
 
.

436 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:53:34.02 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(=゚ω゚)ノ「――そうなると、考えられることはただひとつ、だよぅ」
 
( ´∀`)「というと?」
 
 いようは、すぅ、と息を吸った。
 もう、調子は元に戻っているようだ。
 そのため、いっそう、クールはあせった。
 
 
(=゚ω゚)ノ「花瓶は、証人の “カン違い” ……ってところだったんだよぅ」
 
( ´∀`)「しかし、台所に面したなら、必然的に……」
 
(=゚ω゚)ノ「だけど、弁護人が自分で言ったように、この花瓶はその場に不釣合いなもので、
.     しかも花は生けられてなかったんだよぅ」
 
(=゚ω゚)ノ「証人が、初見でそれが花瓶だと見分けられた……
.     そう考えること自体がおかしかったということだよぅ」
 
( ´∀`)「だとすると、この証人は――」
 
 
爪;゚ -゚)
 
 
.

438 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:54:38.08 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(=゚ω゚)ノ「まったくの無実、ケッパクですよぅ」
 
(=゚ω゚)ノ「証人。花瓶は、最初それが花瓶だとわからなかった。
.     だから弁護人からの尋問のときに、答えあぐねていた。違うかよぅ?」
 
爪;゚ -゚)
 
 
爪゚ー゚)「……そうです。なんだかよくわからないものだったから……てっきり」
 
(=゚ω゚)ノ「…ということですよぅ」
 
( ´∀`)「ほほう」
 
 
.

439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:55:26.24 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川;゚ -゚)「(そんなハズはない!)」
 
川;゚ -゚)「(確かに、証人は花瓶を “見ることができなかった” んだ!
.     だとすると、結果的に “発砲は二箇所に渡って行われた” ということにつながる!)」
 
川;゚ -゚)「(そうなれば……しぃさんに犯行は難しくなる――よって、無罪、……って、なるのに!)」
 
 
 しぃは、アイドルという仕事からもわかるように、女性的な体つきをしており、腕なんか当然細い。
 そんな彼女が、気絶したギコを運ぶとなれば、時間もかかる上に、そうする意味もわからなくなる。
 弁護側としては、その点を衝けば、判決を揺るがすことができていたのだが――
 
 
 そう主張するには、証拠が足りなかった。
 そもそも、誰か――じぃ――が犯人だ、という決定的な証拠など、あるはずがないのだ。
 あったなら、しぃがこうして審理にかけられることはなかった。
 つまり、ここで覆すのは、もう――
 
 
.

442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 02:58:11 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ´∀`)「多少の回り道をしてしまいましたが……もう、充分でしょう」
 
川;゚ -゚)「!」
 
 裁判長が、クールの思考を妨げるかのように、言った。
 その言葉を聞いて、クールはドキッとした。
 
 
( ´∀`)「被害者は、事件発生少し前に、植木鉢に転んで打撲を負った」
 
( ´∀`)「花瓶のことが少し気になりましたが……ただのカン違い、でしょう」
 
( ´∀`)「そして証人が帰ったあと、招かれた被告人はリビングに入ると同時に、発砲」
 
( ´∀`)「続けて逃げようとする被害者を、弾丸が外に飛び出さないように注意を払って射殺」
 
( ´∀`)「現状としては、これで充分のようです」
 
( ‐∀‐)「……そしてなにより、弁護側は状況証拠こそ指摘してきておりますが、
      肝心な、“被告人が無罪である” ということをまったく立証できておりません」
 
( ´∀`)「もう、判決を下すのに充分です。私の決意も、かたまりました」
 
 
.

444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:00:24 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川;゚ -゚)「えっ……?」
 
(;*゚ー゚)「…」
 
 
 クールは、全身に汗が染み渡ってゆくのを、このときになってはじめて実感した。
 舌が乾いてくる。
 いま発せた、ささやきにも近いその一言は、どこか涙声のように聞こえた。
 それを聞いて、しぃもいよいよ顔を歪ませていく。
 
 「これから」のことを想像したのか、冤罪を主張しているからなのか――
 それはわからないが、彼女はとにかく、腿の上に置いてあった手に力を籠め、スカートを握った。
 
 
( ´∀`)「弁護側、並びに検察側。
      ……もう、異論はないですね?」
 
(=゚ω゚)ノ「立証できる限りのことは立証したよぅ」
 
( ´∀`)「弁護側。素直さんは?」
 
 裁判長が、こちらに目を遣る。
 彼の顔を見て、クールは、自分の瞳が涙で厚くなってきているのがわかった。
 
 
.

446 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:02:07 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川;゚ -゚)「………べ……弁護側は……」
 
( ´∀`)「……」
 
川; - )「えっと……その……!」
 
( ´∀`)「………」
 
 
 
 
( ´∀`)「……そういえば」
 
川;゚ -゚)「……?」
 
 
 クールが、なにをどう言葉にすればいいかわからず、答えあぐねていた。
 かみ殺した嗚咽が、声帯を震わせる。
 すると、それを見かねたのか、裁判長はあたたかい声色で言葉をかけた。
 
 
.

449 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:04:38 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ´∀`)「あの、数年前に起こった、火事の事件」
 
川 ゚ -゚)「…!」
 
( ´∀`)「確か、被害にあった人の苗字が『素直』でしたが……
      ひょっとすると、ひょっとするのですかね」
 
 
川 ゚ -゚)「……」
 
 
 ――数年前、火事、「素直」。
 そのワードが並んだのを認識すると
 クールの瞳を覆っていた涙は、すぅ、と消えていった。
 
 クールは、裁判長の問いに答えない。
 しかし、その目が、肯定をあらわしているかのように思えた。
 
 
( ´∀`)「おそらく、あのとき、あなたは現実を受け止められなかったのでしょう」
 
( ´∀`)「……そして、今回も」
 
川 ゚ -゚)「っ」
 
 
.

453 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:11:03 ID:fJTgQXGu0
 
 
( ´∀`)「確かに、受け止めたくない、認めたくないのはわかる」
 
( ´∀`)「ですが、《真実》 とは、そんな私情でもっていたずらにゆがめていいものではないのです」
 
 
 
( ´∀`)「法廷では、証拠がすべて」
 
川 ゚ -゚)「…!」
 
 
 
( ´∀`)「……手垢のついた、有名な言葉ですね」
 
( ´∀`)「つまり、法廷では、ただアヤシイからとか、ただ信じられないからとか……
      そんな、ワレワレ人間が判断するようなものではなく、決して主観を介さない、
      証拠品によってでのみ 《真実》 を語ってゆくものなのですよ」
 
 
( ´∀`)「……あなたは、よくがんばりました」
 
( ´∀`)「が、これ以上あなたが執着すると、今度は司法への冒涜につながります」
 
( ´∀`)「証言も検討した、証拠も検討した。もう、できる限りのことは、済ませました」
 
( ´∀`)「だから、以上をもって、判決を迎えるべきなのです」
 
.

454 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:12:53 ID:fJTgQXGu0
 
 
川 ゚ -゚)「……」
 
( ´∀`)「わかりましたか?」
 
川 ゚ -゚)「……」
 
 
 ――クールはこのとき、すっかり、目を覚ましていた。
 先ほどまでの、生ぬるい池に浮かんでいたかのような感情はすっかり消え去り
 気がつけば、凛と立っては、凛と前を見つめる自分へ、と戻っていた。
 
 モナーの言葉も、一字一句違えることなく、聞くことができた。
 できたからこそ、クールは、“不敵に笑った” 。
 
 
川 ゚ -゚)「……ああ、わかったよ」
 
( ´∀`)「そうですか。では――」
 
川 ゚ -゚)「弁護側には、まだ!」
 
 
 
川 ゚ -゚)「異議が残っていることを――な!」
 
 
 
.

460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:14:25 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ´∀`)「…へ?」
 
(;=゚ω゚)ノ「な、なにを……」
 
 
 
(;*゚ー゚)「ほっ……ホントウですか!?」
 
川 ゚ -゚)「ウソに決まっている」
 
(*゚−゚)
 
 
川 ゚ -゚)「……が。まだ、“つけいる隙” は、あった」
 
(*゚ー゚)「!」
 
 
 クールは、前――いようのほうに目を遣る。
 ここにきての、いきなりの豹変に、いようはたじろいでいるようだった。
 だから、そこを攻撃するべく、クールは指を突きつける。
 
 
.

461 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:15:54 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川 ゚ -゚)「検事!」
 
(;=゚ω゚)ノ「なんだよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「……なぜ、黙ったままなのだ?」
 
(=゚ω゚)ノ「…へ?」
 
 
 いようがきょとんとした顔をする。
 最初は、彼は悪意を持ってそうしているのか――と思っていたクールだが、それを見て考えを改める。
 しかし、故意だろうが事故だろうが、クールはただ、前に進むしかなかった。
 決して、先ほど一瞬見せていた弱気な自分をさらけ出さないように、彼女は続けた。
 
 
川 ゚ -゚)「裁判長! まだ審理の余地は残されている!」
 
( ´∀`)「……と、いうと?」
 
川 ゚ -゚)「 《まだ充分に審議されていない証拠品》 ……が、まだ、あるではないか!」
 
( ´∀`)「な、なんと!」
 
 
.

466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:18:44 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(*゚ー゚)「あるのですか!」
 
川 ゚ -゚)「た、たぶん」
 
(*゚−゚)「………弁護士さん」
 
川;゚ -゚)「い、いや……合ってる、とは……その。思う……ん、だけど」
 
 
 
( ´∀`)「それは面白い。いいでしょう。
      ……しかし、これで “最後” です」
 
川 ゚ -゚)「!」
 
 裁判長が、念を押して、言う。
 もうあとにはひかない――と決心したクールだったが、それを聞いてやはり、ドキッとしてしまった。
 
 
 
( ´∀`)「 《まだ充分に審議されていない証拠品》 。 それを、示してください!」
 
 
 
.

467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:21:38 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
川 ゚ -゚)「……ち」
 
( ´∀`)「ち?」
 
 
 
川 ゚ -゚)「その、動かされたという……植木鉢、だ」
 
 
 
( ´∀`)「な、なんと!」
 
( ´∀`)「――……それが、なにか」
 
川;゚ -゚)「(あ、あれー…)」
 
 
.

472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:24:11 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
(=゚ω゚)ノ「審議? 交わす必要がないよぅ」
 
川 ゚ -゚)「…なに?」
 
(=゚ω゚)ノ「植木鉢において重要なのは、植木鉢そのものではなく、あくまでその 『土の跡』 だよぅ」
 
(=゚ω゚)ノ「大方、植木鉢に、ほんとうに被害者が足をとられた痕跡でも調べようと思っているんだろうけど……
.     無駄だよぅ。痕跡がないことが証拠にはならないよぅ」
 
( ´∀`)「ちなみに、その植木鉢は、今、どこに……?」
 
(=゚ω゚)ノ「現場にあるよぅ。検察側にとっては、植木鉢なんてなんの立証能力も持っていないものなのだから」
 
 
川 ゚ -゚)「(……そう。 “検察側にとっては” 、意味のない証拠品だろう、植木鉢は)」
 
川 ゚ -゚)「(でも、それはあくまで、検察側の用意した仮定から見たら、の話だ!)」
 
川 ゚ -゚)「( “弁護側にとっては” ……まだ、検証の余地は、ある!)」
 
 
.

474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:25:19 ID:fJTgQXGu0
 
 
( ´∀`)「もっともです。どうして、植木鉢の検証が必要となるのでしょうか?」
 
川 ゚ -゚)「……弁護側の主張を、思い出してほしい」
 
(=゚ω゚)ノ「 “発砲は二箇所に渡って行われていた” ……とかいう、アレかよぅ?」
 
川 ゚ -゚)「そうだ。あくまで、それが、弁護側の主張だ」
 
( ´∀`)「しかし、それがなにか」
 
 
川 ゚ -゚)「思い出してほしい」
 
川 ゚ -゚)「 “どうして、植木鉢は動かされたのか” ……を!」
 
 
( ´∀`)「それは……被害者が、足をとられて……」
 
(;=゚ω゚)ノ「……あああッ! まさか、弁護人――」
 
川 ゚ -゚)「……そう」
 
 
 
川 ゚ -゚)「 “合わない” のだよ。弁護側の主張からすると、な」
 
 
.

476 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:26:56 ID:fJTgQXGu0
 
 
( ´∀`)「ど、どういう意味ですか!」
 
川 ゚ -゚)「もし、弁護側の主張どおり、“発砲は二箇所に渡って行われていた” とすると……」
 
 
川 ゚ -゚)「植木鉢が動かされる理由が、ない!」
 
川 ゚ -゚)「額の打撲は、銃の柄によってつくられたからだ!」
 
 
( ´∀`)「!」
 
(;=゚ω゚)ノ「異議ありィ! その、弁護側の主張がただしい、という証拠を示してもらうよぅ!」
 
川 ゚ -゚)「まったく同じことが、検察側にも適応されるぞ」
 
(;=゚ω゚)ノ「なんだって……?」
 
川 ゚ -゚)「花瓶の件から、私は検察側の提示する仮定とは、まるで違う仮定を示した」
 
川 ゚ -゚)「そうなってしまった今、どちらが正しいのか……それは、ワレワレ人間には判断のしようがないのだよ!」
 
(;=゚ω゚)ノ「あッ!」
 
川 ゚ -゚)「……そう。」
 
 
.

477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:28:28 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 
 
川 ゚ -゚)「法廷で 《真実》 を物語るのは、証拠品だけなのだ!」
 
 
 
 
( ´∀`)「…!」
 
 クールのその発言を聞いて、裁判長は目を見開いた。
 そして同時に、その言葉は彼にある一つの決断をさせた。
 
 裁判長が、手を二回叩く。
 加えて、彼はいようの名を呼んだ。
 
 
( ´∀`)「伊予検事! 至急、その植木鉢を本法廷に提出するのです」
 
(;=゚ω゚)ノ「な………」
 
( ´∀`)「そこに “なにか” があれば……
      本法廷では、本件における見解を変えざるを得なくなりますからな」
 
(;=゚ω゚)ノ「……ッ!」
 
 
.

480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:30:50 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
( ´∀`)「ここで、休廷を……最後の休廷を、挟みたいと思います」
 
( ´∀`)「現場は、この裁判所から、そう遠くない。時間はかからないでしょう」
 
( ´∀`)「それまでの間に、弁護側、及び検察側は、
      各自の持つ仮定について、いま一度検証を命じます」
 
 
(;=゚ω゚)ノ「……わかったよぅ。
      刑事! わかったかよぅ? 植木鉢だよぅ!」
 
   「わかんないんです!」
 
(;=゚ω゚)ノ「刑事ィィッ!!」
 
 
 
.

481 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:33:38 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 
 ――こうして。
 
 素直クールは、かろうじてこの劣勢をくぐりぬけ
 
 そして、今度こそ「最後」の審理を、休廷を挟んで迎えることになったのであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
.

483 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2013/03/26(火) 03:35:07 ID:fJTgQXGu0
 
 
 
 
 
 
 
 
  ◆第一話 「逆転のバレンタイン」
 
 
  つづく
 
 
 
 
 
 
 
.


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