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83 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/04(月) 01:24:07 ID:tySstdow0
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【季節外れの餅】
夏。
さんさんと照る太陽が肌を焼き、
空気は包み込むものを蒸し焼きにせんとするがごとく。
そんな季節に、ビロードはこの村へとやってきた。
(;><)<あっついんですー
営業の一環で訪れた、このド田舎の村。
彼は今、神社近くの家から駅まで行く途中だった。
(;><)<はやく駅に行くんです、駅に。
文明まみれのコンクリートジャングルがぼくを待っているんです!
ぶつぶつ呟きながら、彼の会社で開発した最新式の歯ブラシの入ったカバンを持って、
彼は駅を目指し、歩く。
幸い商談はうまくいった。
このサンプルは、向こうの技術屋さんに気に入っていただけたようで、
来月からこの村の小さな工場で、歯ブラシの量産がはじまる予定だ。
( ><)(それにしても、さっきの工員さんの注意、なんだったんでしょう?)
ふと、ビロードは首を傾げる。
先ほど工場から出るとき、彼はそこの従業員から、妙な注意を受けたのだった。
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84 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/04(月) 01:25:25 ID:tySstdow0
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( ><)(「道に餅が落ちていたら、絶対に”目を合わすな”」って、どういうことなんです?)
詳しく聞いても教えてはくれなかったが、一体どういうことなのか。
そもそも、餅と”目を合わす”とはどういう状況なのだろう?
( ><)(……わかんないんです)
ビロードは考えるのをやめることにした。
多分自分の聞き間違いだろう。
( ><)(さて、もうすぐ駅に……あれ?)
ビロードの視界に、白くて丸い物体が入ってきた。
それは、電信柱の根元に、ひどく当たり前のように落ちていた。
( )
(;><)(え、なんですこれ……お餅?)
( )ピクッ
( ><)
気のせいだろうか、今、目の前の餅が動いたような。
( )ピクピク
いや、気のせいではない。本当に動いているのだ。
真っ白く小さなそれは、ぴく、ぴく、と一定のリズムで動いている。
その動きは、まるで―――
(;><)(なんでしょう……疲れとかで、筋肉が痙攣するときみたいな)
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85 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/04(月) 01:26:35 ID:tySstdow0
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痙攣する、餅。
( )ピクピクピク
その痙攣は段々激しさを増していき、
( )ピクピクピクピク
そして―――
( <)ピクピクピクピクピク
(|l|><)ゾッ
ビロードは走り出した。
一目散に駅まで走って、丁度よく来てくれた電車に飛び乗った。
車内、震えながら、彼は思う。
(|l|><)(まちがいないです、あのとき、あれ以上見ていたら
( <)
(<●)
(<●>)
(|l|><)<<うわあああああああああああああああああああ!!!!!
今月の終わりに、ビロードはまた、この村に来なくてはならない。
今度は絶対に、道に落ちている餅を見つけたりしない。
彼はそう心に誓った。
+おわり+