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36 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/02(土) 01:45:03 ID:oUsQLLos0
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【インチキオジさん東條】
VIP国の軍隊には「ドッグタグアニマル」というものがある。
体長45センチほどの小さな生き物で、戦死者の首に付いている認識票を戦死者の家族に届けるのが役割だ。
(*゚∀゚)アヒャー
てってってっ、と忙しそうに道を走っている、このちんまくて赤い生き物
―――「つー」も、何を隠そう「ドッグタグアニマル」なのである。
(*゚∀゚)アヒャー?←地図を確認してる
(*゚∀゚)ウーーン←あれ、北ってどっちだっけ
(*゚∀゚)アヒャ!←だいたいこっちであってるだろう
本日も一人、戦死者が出た。
彼女は(メスである)その遺族にタグを届けるという、大事な任務を背負っているのだ。
遺族の家の前に来たつーは、玄関前でぴょいん、と飛びあがり、インターホンを押した。
ぴんぽーん、と、気の抜けた音がした。
表札には、「東條」とあった。
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37 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/02(土) 01:46:19 ID:oUsQLLos0
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(´・ω・`)<はい、どちらさ……
(*゚∀゚)ノ<アヒャ!
(;´・ω・`) !!
玄関から顔を出した青年は、つーの姿を見て凍りついた。
しばらくして、青年は何かを悟ったように、深くため息をついた。
(´・ω・`)<キミは……そうか、じゃあ父の
(*゚∀゚)アヒャ!
元気よく返事をするつー。これが彼女のお仕事なのだから、しかたがない。
(´-ω-`)=3
青年はゆっくりと深呼吸をして、やがて決意したように、言った。
(´・ω・`)<……心の準備はできたよ、受取ろうか、父の形見を
震える手を、ちいさなつーにさし出す青年。
つーはその手に、タグを渡す。
(*゚∀゚)ノ◇
角のないひし形をした、銀色の板が青年の手に渡った。
青年は、タグに書かれた名前を確認し、そして―――
(#´゚ω゚`)<<あんのクソおやじいいいいいいいいい!!!!
―――激怒した。
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38 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/02(土) 01:47:46 ID:oUsQLLos0
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(;*゚∀゚)アッヒャー?
首をかしげるつーに対して見向きもせず、青年はドッグタグをぽいと捨てて携帯電話を取り出した。
(*゚∀゚) ……
不思議に思ったつーは、床に投げられた銀色のそれを拾い上げてみる。
ドッグタグには名前が彫られていた。
――――「インチキオジさん東條」
(*゚∀゚)アッヒャー
それを見て、つーは納得した。
「インチキオジさん」。VIP国の軍に導入されている、笑えないジョーク制度。
死んでもいない軍人の家にタグを運び、自分はまだこんなバカができるくらい元気だぞ、と伝えるものである。
「バカおやじ!! 死んだかと思ったじゃないか!!!」
「連絡してなかったって……いや、それはボクもバイトとかで忙しかったし」
「スネないでよ、ああもう……」
聞こえてくる罵声。
(*゚∀゚)アヒャー
どうやらお仕事も終ったようだし、さて、自分も帰るか。
つーはきびすを返して、帰路につく。
「おやじ、よかった、生きてて、よかったよお……」
―――後ろから聞こえた涙声に、よかったね、と心で呟きながら。
+(*゚∀゚)ノシおしまい!+