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266 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/06/05(木) 01:35:16 ID:1aqNWR.U0
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【決闘】
川 ゚ -゚)<では、準備はいいな?
('A`)<ああ、いつでもこい、だ
夏。
陽炎に揺れる公園で、10歳くらいの少年と少女が奇妙な姿勢を取っていた。
具体的に言うと、両手を地面について、臀部を上に上げる体制―――
―――そう、それはいわゆる”クラウチングスタート”の姿勢。
川 ゚ -゚)<買った方が、ゴリゴリきゅん一本を一人占めできる
('A`)<お小遣い上限ぎりぎりをかけた勝負……腕がなるぜ
少年と少女の目線の先には、一本の木。
その根元に、空き缶が一本置かれている。
少年少女の頬に、熱さによって生じた汗が伝っている。
川 ゚ -゚)<……おんゆあまーく
海外帰りの体育教師から教わった、「位置について」という意味の下ったらずな英語。
それに少年が続いた。
('A`)<……せっと
頬を伝う汗のしずく。
その一滴が地面に落ち、ぽたりと音を立てる。
それと同時に少年と少女は叫んだ。
川#゚ -゚)<<ドン>>('A`#)
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267 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/06/05(木) 01:36:54 ID:1aqNWR.U0
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駆けだす、ふたりの足。
むせかえる熱さの中、ぬるま湯のような空気を切って二人は走る
川#゚ -゚) !!
(#'A`) ッ!
手を振り、足を上げ、進む。
目標は大木の根元。
川#゚ -゚) ―――!!
(#'A`) ――ッ!
その缶を蹴った勝者だけが、ゴリゴリきゅんを食べる権利を得られる。
二人の体は、あっという間に目標に近づいていき、そして、
川#> -<) ―――!!!
(#>A<) ――――!
同時に、地面を蹴った。
宙を舞う、小さな二人の身体。
つきだす足。
そのつまさきの先端は、ほぼ同時に缶の腹を捉えた。
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268 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/06/05(木) 01:38:43 ID:1aqNWR.U0
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川#゚ -゚)<だーかーらー、私の方が早かった!
(#'A`)<いーや、俺だね、ぜってー俺のが早かった!!
木の根元、ぎゃーぎゃーと言い合いをする二人。
その場に審判を務める第三者がいたとしても、引き分けとしかいいようがないほどの僅差だったので、
幾ら彼らが言い合いをしようが決着がつくはずもなかったが、
当然、そんなことをこの二人が分かるはずもない。
川#゚ -゚)<よし、じゃあこうしよう。さきにベンチに置いてある戦利品に辿り着いたほうの勝ちだ。
はい、よーいどん!
一方的に行って、そして少女は駆けだした。
(;'A`)<うわっ、ずりぃ!! まてこの!!
あわてて少年も追いかけるが、ほぼ同じ速さの相手に、スタートダッシュで遅れた彼が適うはずもなく。
結果、ベンチの戦利品に先に辿り着いたのは、少女のほうだった。
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269 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/06/05(木) 01:40:33 ID:1aqNWR.U0
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(; A )<ぜえ、ぜえ……くそっ、卑怯だぞ
川 ゚ -゚) ……
(; A )<おい……なんとかいえよ……
川 ゚ -゚) ……
(;'A`)<? どうした?
川 ゚ -゚)<溶けてる
(;'A`)<へ?
少女が鞄から取り出した、アイスの入った袋。
ただ、その見た目はどう見ても固形物の入っている感じではなく、
中の物がすでに液状に変化していることは、外観から容易に想像がついた。
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270 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2014/06/05(木) 01:43:08 ID:1aqNWR.U0
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ベンチに座る、少年と少女。
川 ゚ -゚)チュルチュル
袋に口をつけて、中身を啜る少女。
(;'A`)
隣には、汗だくで疲れた様子の少年。
川 ゚ -゚)
少女は、ちょっとだけ少年のほうを見て、そして自分が持っている袋を見た。
川 ゚ -゚) ……
少しの間、考え、そして
川 ゚ -゚)<ん
(;'A`)<あ?
袋を、少年のほうに付きだした。
(;'A`)<……いいのかよ
川 ゚ -゚)<……今日のところは引き分けだ、そういうことにしておいてやる
なんだか偉そうな少女の言葉に、少年はちょっとだけ眉をひそめながらも、
少女の手から袋を受け取り、中身を啜った。
(*'∀`)プハァ<んめえ!
川#゚ -゚)<おいばか、全部飲むな、返せ!!
(*'∀`)<やーだよっ、もう全部もらったもんねー!!!
真夏の公園。
ぎゃーぎゃーと、賑やかな二人。
小さな二人の、ささやかな”決闘”は、こうして幕を閉じたのだった。
+カーエーセー川#゚Д゚)おしまいヽ(*'∀`)ノフヒヒヒ+