(*^ω^)<20minutes challenge!

【アダムとイヴ】

214 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/27(木) 00:53:31 ID:7NoR4bkA0
【アダムとイヴ】

ただただ、真っ黒な世界に彼は居た。

('A`)

何も見えず、何も聞こえない。
触覚にはなにも訴えかけてこないし、嗅覚を刺激するものなどなにもない。
まったく、自分以外が存在しているのかどうか、怪しい世界。

そんな状況が、生まれてこのかたずっと続いているもので、
彼は自分というものが存在しているのかどうかさえ、正直よく分かっていなかった。

「やあ」

('A`) ?

ふいに、声が聞こえた。
顔を上げれば、そこには○が5つほどついた、妙な物体があった。

川 ゚ -゚)<こんにちは。何をしているんだ?

その物体の○のひとつから、音が出ている。
”意味”がある、不思議な音だ。
―――ああ、なぜか知っている。これは『声』ってものじゃなかったか。

('A`)<なるほど、それじゃあそれがあんたの『顔』か

真っ暗だからよく覚えていなかったが、そういえば自分にも『顔』というものがあって、
ハナとか、クチとかメという名前の○が五つほどついていたな。
そんな風に彼は思い出して、納得したのだった。

215 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/27(木) 00:54:49 ID:7NoR4bkA0

川 ゚ -゚) ?

相手は首を傾げている。
自分はよほど変なことを言ったらしい。

('A`)<いや、ごめん。こっちの話

多分生まれて初めて使う言葉というものに、少々のぎこちなさを感じつつも、彼は相手に謝った。
そして、あらためて目の前の相手の姿を見る。

('A`)<……あんたもしかして『人間』なのか?

川 ゚ -゚)<いかにも。キミと同じ人間だよ

答えられて、彼は首を傾げた。

('A`)<うーん、そうだよな。言葉話してるし、そうなんだろうな。
     でも、あんたちょっとオレと姿が違うよな?

彼は相手の姿を見ながら言った。
自分と比べて、目の前の相手は、
またの間に有るはずのものが無く、胸のあたりにふくらみがあるようだ。
こころなしかいい匂いがする。
これははたして同じ生き物なのだろうか。

川 ゚ -゚)<うむ。『女』というそうだ。父なる母だか、母なる父だかにそう聞いてきた

('A`)<女? ふーん、じゃあオレは人間だけど、お前は女なのか

川 ゚ -゚)<いや、私が出来たので、キミのことは『男』と呼ぶことにしたそうだ

('A`)<ん? でも、オレはもう『人間』だぞ?

川 ゚ -゚)<『人間の男』、なんだそうだ。だから私は『人間の女』、ということになるな

(;'A`)<……ややこしいな、それ

216 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/27(木) 00:56:42 ID:7NoR4bkA0
「すぐになれるさ」と言う彼女に、彼は「そんなもんかなあ」とまた首を傾げた。

('A`)<しっかし”親”は、なんであんたを創ったんだ?
     今まで人間はずっとオレだけだっただろう?

腕を組み、考える彼に彼女は言った。

川 ゚ -゚)<教えたかったんだそうだ。キミに

('A`)<? 教えるって何を?

川 ゚ -゚)<『愛』を

そういって、彼女は彼の隣に腰を下ろした。

('A`)<『愛』? 愛ってのはなんだ?

川 ゚ -゚)<うーん……それは簡単に説明できるものではないな

彼女は、そう言ってぽりぽり、と頬をかいた。

川 ゚ -゚)<そうだな、実際に見せたほうが分かりやすいか

そう言って彼女は立ち上がり、そして、彼の手を取った。

('A`)(え……?)

彼女のやわらかい手を取ったとき、彼は胸の奥のとても深い部分がどくん。と動くのを感じた。
そして、彼女の手に引かれるままに、彼は立ち上がり。

そして、見た。

(;'A`)<え? ……あ

一瞬、目がくらんだ。
目に入ってくるのは、大量の光。
色。
そして、匂い。風が身体をなでる感触。

217 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/27(木) 01:02:07 ID:7NoR4bkA0

川 ゚ -゚)<驚いたか? キミはいままで真っ暗な世界にいたようだが、
       キミと同じ場所に居た私は、ずっと楽園にいたんだよ

(;'A`) ……

目の前に広がる、楽園。
彼はそれに圧倒されて、しばらく何も考えられなかった。
しばらくして、彼はぽつりと呟いた。

(;'A`)<これが……『愛』なのか

聞いた彼女はにこり、と微笑む。

川 ゚ー゚)<こんなものはまだ手始めさ、『愛』を知ればもっと世界は変わって見える

彼女は彼の手を掴んだ。

川 ゚ -゚)<行こう。私がもっと、キミに『愛』を教えてやる

風が吹く草原を、彼女に手を引かれた彼は歩き出す。

急に変わってしまった世界への戸惑いと期待。
そして、先ほどからとまらない胸の鼓動に、少しの疑問を感じながら―――


    +おしまいオ、オイ(;'A`)ノ⊂川*゚ -゚)ハヤクイクゾ+

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