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203 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/26(水) 01:53:22 ID:RE7jLBfo0
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【イヤホン】
目に映るのは、ネオンの光。
/⌒ヽ
((´・ω・`)〜♪
フードを目深にかぶったショボンは、夜の歓楽街を歩いていた。
/⌒ヽ
((´・ω・`)<お。
じじじ、と、音を立てるネオンの下。
両手にポケットを突っ込んだ青年が、そこに立っていた。
名前はミルナ。顔見知りだ。
( ゚д゚ )<……また、フードをかぶってるんだな
/⌒ヽ
((´・ω・`)<「とりあえずフード被っとけば問題ない」って、偉い人がいってたからね
( -д- )=3<どこの誰の話なんだ、それは
「たぶん自然の敵とかの話」、とひょうひょうと答えるショボン。
ミルナは意味不明なことを言う彼を無視して、
ネオンの看板の下―――店の入り口へと歩き出した。
( ゚д゚ )<……始めるぞ、”俺達の世界”を
/⌒ヽ
((´-ω-`)<ん
短く答えた彼の声は、なんでもないようで、しかしどこか怖がっているような響きがあった。
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204 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/26(水) 01:54:42 ID:RE7jLBfo0
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数分後、彼らは店があるビルの、屋上に立っていた。
/⌒ヽ
((´・ω・`)<……はじめるよ
( ゚д゚ )<ああ
蒸し暑い、熱帯夜。
ショボンは眼下に広がる、虹色の街に両手を伸ばした。
着ている服は、長袖。
腕と袖の間の、小さな隙間から、銀色に光るそれは姿を見せた。
/⌒ヽ
((´-ω-`)<『接続【アクセス】』
シュルシュルと、何本もの白い線がショボンの腕から街へと伸びていく。
先端に銀色のプラグを持つ、ゴム質の白い線。
―――それは、イヤホンのコードだった。
/⌒ヽ
((´・ω・`)<聞かせてくれ、ボクが名前を知らないキミたち
街に伸びる白い線の先端は、下で暮らしている人々に”刺さる”。
コードの反対側は、ショボンの耳に―――イヤホンに繋がっている。
/⌒ヽ
((´-ω-`)<『挿入【インサート】』完了。発動するよ―――
ショボンはひとつの超能力を持っていた。
それは、人の”心を聞く”能力。
始めはただ、悩みを聞くのがうまいとか、その程度の適正でしかなかったそれは、
やがて”心を聞く”イヤホンを具現化させ、
プラグを挿した”相手の心を強制的に聞く”というところまで昇華していったのだった。
彼は言葉にする。
自らが名付けた、能力の名前を。
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205 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/26(水) 01:55:28 ID:RE7jLBfo0
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/⌒ヽ
((´・ω・`)<【テル・ユア・ワールド】。聴かせてくれ、『キミたちの世界』を!
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206 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/06/26(水) 02:05:35 ID:RE7jLBfo0
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少し離れた場所から、ミルナは目を閉じ、何かを聞いているショボンの姿を見ていた。
今、彼の耳には、何百、何千という人々の『心』が聞こえているはずなのだ。
( ゚д゚ )(ここから、始まる。ショボンの力で聞いた『心』を、俺達で表現することによって)
人間は、理解し合うことができない。
どんなに言葉を尽くしても、どんなに身体で触れ合っても、それには限界があるのだ。
( ゚д゚ )(俺達の、世界。人々が理解しあい、新しい物を見つけていける世界。
それがこの先にあるんだ、だから―――)
/⌒ヽ
((;´-ω-`)
脂汗を流しながら、『心』を聴いているショボンを見ながら、ミルナは願った。
( -д- )(―――だから、折れないでくれ、ショボン。
”点”でしかない人間の心を、繋いで”線”にすることができるのは、お前しかいない)
ミルナの手には、ギターが握られている。
これが、世界を繋ぐ筆。
この楽器が、新たな世界を描く。
彼らは、そう信じていた。
ぽろろん、と、ミルナはギターを軽く鳴らした。
アンプに繋いでいないそれは、とくに街に響くことはなく、その場に小さく響いただけだった。
( -д- )
目を閉じ、沈黙する青年と、脂汗を流し、『心』を聴く青年。
彼らは、その瞼の裏に、同じものを見ていた。
/⌒ヽ
((;´-ω-`)
自分たちの使う、ギターと、マイク。ステージに立つ、自分たち。
アンプとエフェクターを通して、自分たちの音が世界を繋ぐ明日を。
現在、夜の11時30分。
彼らの描く明日は、もうそこまで迫っている……。
+( -д- )ベベベンおしまい((*´・ω・`)ボクタチノウタゴエヲキケエエエエ+