(*^ω^)<20minutes challenge!

【ドアボーイ】

133 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/08(金) 21:28:26 ID:ffFzbJ/U0
【ドアボーイ】

カビと埃の臭いがした。

(;^ω^)(ほんとに、いるのかお……?)

薄暗い空間が、目の前に広がっている。
ここはとある廃ビルの2階。

今年高校二年生になるブーンは、目的の部屋を目指して、おそるおそる歩いていた。

(;^ω^)(噂だと、2階の一番奥の部屋にいるって……)

それは、ちんけな都市伝説だった。
この廃ビルの2階の、一番奥に位置する部屋に『ドアボーイ』と呼ばれる怪人がいる、という。

(;^ω^)(ここかお)

ここにくるまでにあった扉の、1.5倍ほどの大きさのある扉。
その前にブーンは立っていた。

2階の一番奥、おそらくここで間違いない。
彼は、ドアに手をかけて、一息おいて、一気にそれを開いた。

(;^ω^)<お

恐らく、元は何かの会議をする場所として使われていたのだろう。
机が円形に並べられている、その中心に”そいつ”はいた。

(´・ω・`)<おや、ようこそ

バーテンダーの着るもののような、ぴしっとしたスーツに蝶ネクタイ。
それは都市伝説に聞く、『ドアボーイ』そのものの姿だった。

134 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/08(金) 21:29:11 ID:ffFzbJ/U0

(;^ω^)<お、えっと、あなたがドアボーイですかお?

恐る恐る少年が聞くと、なんでもないように、男はこたえた。

(´・ω・`)<そうだよ、ああ、噂を聞いてきてくれた人?

言いながら、彼はブーンの方に歩みよってくる。
ブーンは少し後ずさりながらも、ここにきた理由を彼に向かって話す。

(;^ω^)<あの、あなたに会えば、誰とでもあわせてくれるって……ほんとですかお?

(´・ω・`)<ああ、本当さ

(;^ω^)<たとえそれが―――死んだ人間であっても?

(´・ω・`)<ああ、可能だね

さらっと答えられてしまって、ブーンは唖然とするしかなかった。

都市伝説にきく『ドアボーイ』、
それは”どんな相手とでも逢わせてくれる謎の怪人がいる”というものだ。

(´・ω・`)<さて、さっそく注文を聞こう。きみはだれに会いたいのかな

(;^ω^)<お……おさななじみに、去年の夏、車にひかれて死んだ―――津村ツンに

震える声で、いう少年。
それに対しやはり男は無感動なままに、言った。

(´・ω・`)<把握したよ、ちょっとまっててね

そこで、男は妙な挙動をとったのだった。

135 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/08(金) 21:30:02 ID:ffFzbJ/U0

(;^ω^)<お? なんで、服を脱ぐんですかお?

(´・ω・`)<まあ、見てればわかるよ

バーテン衣装を脱ぎ、上半身裸になる男。
意外と体つきはいい……いや、その体にはおかしな点があった。

(;^ω^)(おなかに入れ墨……? それも、『ドア』みたいな)

男は、腹部に入れ墨で描かれたドアノブにそっと触れ、そして”開いた”。

(´・ω・`)<ふんっ!!

(;^ω^)<お!?

彼の腹がぱかりと開いた。
とはいっても、それは思ったよりグロテスクな光景ではない。

ドアのようにこちら側に開いた腹の中には、黒い空間が広がっていて、
そして、その向こうから、ふいに金髪の少女が顔をのぞかせたのである。

ξ;゚听)ξ<へ!? ブーン!?

( ^ω^)<……ツン

ぎょっとした顔の幼馴染に対し、少年はひどく落ち着いた声でそれに答える。

( ^ω^)

( ;ω;)ブワッ

ξ;゚听)ξて

―――いや、答えたのだが、しばらくして抑えきれなくなったらしく泣き出した。

136 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/08(金) 21:31:00 ID:ffFzbJ/U0

ξ;゚听)ξ<ちょ、いきなり泣くんじゃないわよ!!

( ;ω;)<ごめんだお! ごめんだお! ツン……もう久しぶりすぎて、つい

(*´ ω `)(お、お腹に息が……)

男の腹ごしにぎゃあぎゃあと語り合う少年少女。
それは、言うまでもなく、かなりシュールな光景だった。

ξ;゚听)ξ<で、どーしたの? 
         正直死んでる私と会話すんのって、あんたの体にはあんまりよくないよ?

( ;ω;)<お、そうなのかお? じゃあ手短にすませるお。はい、これ

ξ゚听)ξ<……なにこれ

( ;ω;)<ツンの、誕生日プレゼントだお。あげるって約束してたのに、できなかったから

ξ゚听)ξ

ξ゚听)ξ

ξ 凵@)ξ<・・・・・・そのために、会いにきたの?

( ;ω;)<お

ξ 凵@)ξ<ばかだなあ、あんたは。そんなの、誕生日前に死んじゃった私が悪いんじゃん

( ;ω;)<そんなことないお! ツンは、一生懸命がんばったお!

ξ 凵@)ξ

:ξ 凵@)ξ::

:ξ;凵G)ξ::<ほんと、バカ!

廃ビルの、一番奥の部屋。男性の腹部を通してわんわん泣きあう少年少女の姿が、そこにあった。
それはやはりシュールだったが、どこか、馬鹿にできない雰囲気があった。

―――
――


137 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/08(金) 21:31:56 ID:ffFzbJ/U0

――
―――

( ^ω^)<ありがとうございますお、ドアボーイさん

(´・ω・`)<いや、礼にはおよばないよ

放棄された会議室で、少年と、バーテン服を着た男は話をしていた。

(;^ω^)<それであの、お礼のことなんですけど……

言い難そうにしている少年に、男は言った。

(´・ω・`)<ああ、それならもうもらった

( ^ω^)<お?

(´・ω・`)<きみがあの子に対して抱いていた”暖かい気持ち”それだけでぼくは十分だ

(;^ω^)<お、お?

それでいいのか、と、聞きたげな少年に背を向けて、男は歩きだす。

(;^ω^)<お、あの、待って下さいお! せめて、せめてお名前を―――

(´・ω・`)<ぼくはしがない『ドアボーイ』さ、それ以上でも以下でもない。

男は手をひらひらとふって、そして唐突に消えた。
もとからその場所に、男などいなかったように、本当に突然、いなくなった。

( ^ω^)<お……

古びた会議室に、少年だけが残される。
まるで、先ほどまでのできごとが全て夢だったかのようだ。

(*^ω^)<ありがとう、ございましたお

誰もいない会議室に、少年の声だけが、小さく響いた。

  +(*´ ω `)(少年の吐息が股間に少年の吐息が股間に少年の・・・・・・)おわれっ!!+

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