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108 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/07(木) 23:00:22 ID:IvNkipII0
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【ダンスバトル】
どうしようもなく薄暗い、森。
('A`)<ふん
目の前の古い洋館を前に、ドクオは鼻を鳴らした。
('A`)<これがお前の”ダンス”ってわけか、ブーン
呆れているような、バカにしているような、そんな表情。
しばらく洋館を見つめていたドクオは、その身に纏うコートの裾をぶんと振った。
('A`)<くだらねえ、こんなもんを見に来たわけじゃねえんだよ。オレは
転瞬、両手に現れるのは巨大な二丁の拳銃。
('A`)<ぶっ壊してやる
ドクオは、洋館に向かって駆けだす。
古びた扉を蹴破り、薄暗い洋館の中に飛び込むドクオ。
ろくに見えもしない室内に響き渡るのは、連続した銃声。
(#'A`)<オレの―――ダンスでな!
だん、だん、だん、だん
音と共に赤いマズルフラッシュが辺りを照らし、金色の薬莢がきらめきながら宙を舞う。
洋館の中に人はいない。
その中で、銃を両手に構えた男は踊っている。
誰に攻撃するわけでもなく、辺りかまわず銃を撃ちまくる。
だん、だん、だん、だん
('A`)
銃口から発生する光がスポットライトとなり、
雷管がハンマーに撃たれる爆音がバックミュージックになる。
('A`)
それらすべてが最高頂に達し、ドクオが両手の銃を天井に向けて連射したとき、変化が生じた。
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109 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/07(木) 23:01:08 ID:IvNkipII0
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「ちょwwドクオ、ちょっとは僕に合わせてくれおー」
突然気の抜けたような声が聞こえて、そして、風景が変わった。
今までの不気味な風景を醸し出していた洋館はぐにゃりと歪み、
代わりに表れたのは、壁にラクガキがされた、高架下のトンネルのような風景。
('A`)<うるせえ、オレのセンスのほうが客が受けるんだよ、
オレと”セッション”するときはオレの”ダンス”にあわせやがれ
退廃的な空間の中で、ドクオの本気のダンスが始まる。
辺りのものを壊し、傷つけ、汚し、踏み躙る。
両手の銃を乱射する彼のスタイルと相まって、そのダンスは最高に”ロック”だった。
('∀`)(ほら、きやがった)
右の方から大量に白い文字の談幕が飛んでくる。
多少の誹謗中傷はあるが、それらの殆どは彼のダンスを称賛するものである。
ドクオのダンスは続く、残り39秒、時間切れを迎えるまで。
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110 名前:名も無きAAのようです[] 投稿日:2013/02/07(木) 23:02:00 ID:IvNkipII0
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( ´ω`)(これじゃ”セッション”じゃなくて”バトル”みたいだお、ドクオ)
空中に表示された画面を見ながら、演出担当のブーンはため息をついた。
( ^ω^)(まったく、ドクオはいつもいつも僕の演出をないがしろにして)
呆れながらも、ブーンは踊るドクオの姿と、
自分が彼に合わせて用意した背景がマッチしているのを見て、満足する。
彼との仕事は、いつも”戦い”だとブーンは思う。
”ダンス”と”演出”についてお互いの主義と信念をぶつけあう、”ダンスバトル”。
そのはてに生み出される”作品”を本当に楽しみにしているのは、観客より自分なのかもしれない。
そんなことを思って、ブーンはまた、ため息をついたのだった。
+('∀`)おしまい+