- 1 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:01:37 ID:AyxP9huI0
-
――『大ブン動会』会場
/||ヽ_
/ || \ _ ヘ、
ノ | |_ ヽ_/ \
〈 ヽ _/、 _/` 〉
ヽ ヽノ、◎ _/ ̄ ノ 「キョエエエエエエエエエエエ!!!!」
( ヽノ `_ノ /
ヽ_ ノ |/ _ /
\__|_ ̄ヽ__\ ヽ 、
∠ 人_ \`´/ |
∠_/ 人  ̄ _ノ
∠ __ノノ ヽ、_ / ζ(゚Δ゚ζ
.
- 2 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:03:13 ID:AyxP9huI0
-
どすん、どすん、という大きな足音。
鳥のようなくちばし、翼竜のようなシルエット。
エリマキのような耳、珍妙な鳴き声。
/|l
l lソ°ヲ「キョエエエエエエエエエエエエ!!」
ξ゚Δ゚)ξ
白線の引かれた運動場のど真ん中で、体操服姿の少女は茫然としていた。
ξ゚Δ゚)ξ
――ちなみに、下はハーフパンツである。
今時ブルマ履かせる学校があると思うな、現実は厳しい、甘えるな。
ξ゚听)ξハッ
赤いハチマキの少女は、ここでようやく我に返った。
彼女はツンデレ、説明するまでもなくブーン系のメインヒロイン。
今回も大ブン動会の作品に出演するべく、会場へとやって来たのだ。
ξ゚听)ξ(これは……)
本日、彼女は出演する作品のジャンルも聞かされず、台本も渡されていない。
ただ、会場に直行してくれという依頼の元、指定された服装でやってきた。
そんな彼女を待っていたのは……
/|l
l lソ°ヲ「キョエエエエエエエエエエエエ!!」
……まさかの鳥竜種だった。
- 3 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:04:08 ID:AyxP9huI0
-
大ピンチ!! ツンちゃんがイャンクックに狙われているようです!!!!
.
- 4 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:05:37 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚听)ξ(ここにきて、唐突なタイトルコール……)
3月下旬。
生温かい春風が、ツンの赤いハチマキと、鳥竜種に無理矢理巻かれた白ハチマキを揺らす。
ξ゚听)ξ(タイトルと現在の状況から推察するに……これは、この作品は)
/|l
l lソ°ヲ「クマカカカカカ……」
どすん、どすん、と足音。
ばっさばっさ、とイャンクックが羽をばたつかせる度に風が起きて、小さなツンは少し身体が浮いてしまいそうになる。
ξ゚听)ξ(まちがいない、モンスターパニックもの……!)
このタイミングでいうのもなんだが、ツンはモンスターハンターというゲームを知らなかった。
/|l
l lソ°ヲ「キュオオオオオオオオオオ!!!」
ξ゚听)ξ(そして、わたしの『役』は……)
だんっ、という音を響かせながら、イャンクックが地面を蹴った。
その、エリマキ付きの鳥のような、特徴的な顔面が、一瞬で、小さな少女の眼前へと迫る。
ξ゚听)ξ(プロローグでころされる、かわいそうなモブ少女……!)
ずざざざ、という大きな音と共に、イャンクックはその巨体を地面に滑り込ませた。
グラウンドを砂埃が舞う。
ツンは――
ξ゚听)ξ+
∞
――立っていた。なぜかドヤ顔で。
- 5 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:06:53 ID:AyxP9huI0
-
両腕を組んで、足を大股で開き、仁王立ちをしている少女。
凛としたその双眸が、目の前でまぬけな格好をしている化け物を見据える。
ξ゚听)ξ(偶然にも、軌道がそれてくれたおかげで助かった)
∞
実は、ちょっとちびっていた。
具体的にいうと、2.5デシリットルくらい、ちびっていた。
/|l
l lソ°ヲ「ク、ク、コココココ……」
ξ゚听)ξ(さて、どうしたものか)
こんなこともあろうかと、多い日も安心ガードをつけていてよかった、とツンは思った。
ロリエは女性の味方なのである。
ξ゚听)ξ(おかげで、ちびってる事がバレる事態だけはさけられた。ありがとう、ロリエ……)
- 6 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:07:44 ID:AyxP9huI0
-
大ピンチ!! ツンちゃんがちびってるようです!!!!
.
- 7 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:08:20 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚Δ゚)ξ
ξ゚Δ゚)ξ
/|l
l lソ°ヲ ζ(゚Δ゚ζ
/|l
l lソ°ヲ ξ゚Δ゚)ξ
ξ゚Δ゚)ξ
/|l
l lソ°ヲ「クココココwwwwww」
ξ゚Δ゚)ξ
ζ(゚Δ゚ζ
ξ゚Δ゚)ξ
ξ゚Δ゚)ξ
ξ゚Δ゚)ξ(おのれ、タイトルコール……)
- 8 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:09:27 ID:AyxP9huI0
-
/|l
l lソ°ヲ「キョエエエエエエエエエエエエ!!!」
ξ゚听)ξ !
いつの間にか立ちあがっていた怪鳥が、よたよたと踊るような足付きで、再びツンの元に迫る。
/|l
l lソ°ヲ「ピュイオオオオオオオオオオ!!!」
開かれるくちばし。
放たれるは、液体。
ξ゚听)ξ !!
ツンの真横に落ちた液体は、ぼんっ、という音を立てて小さな火柱を上げる。
肌に伝わる高熱。
やばい、とツンは思った。
思ったので、逃げだすことにした。
/|l
l lソ°ヲ「キョエエエエエエエエエエエエ!!!」
踊るような足取りで迫る鳥竜種。
ただでさえ歩幅が違うというのに、向こうはその気になれば空も飛べるはず。
/|l
l lソ°ヲ「ピュイオオオオオオオオオオ!!!」
――おまけに、走りながら可燃液なんぞ吐き出し始めた。
- 9 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:10:58 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚听)ξ(なんとかしないと)
どかん、どかん、と周りの地面を焼く火柱。
命の危機が迫る中、ツンは冷静に考える。
ξ゚听)ξ(あのトリっぽいの……あのエリマキ、位置的にすぐそばに耳があるはず)
ξ゚听)ξ(つまり、集音器官と考えるのが妥当。
大きな音をたてれば、一時的に動きを封じることができるのでは)
繰り返すが、ツンはモンスターハンターというゲームを知らないのである。
知らないのである。
ξ゚听)ξ(ここは、ブン動会の会場……なら、『あれ』があるはず)
ξ゚听)ξ(競技用の『スターターピストル』、そう、あのテントあたりに……)
/|l
l lソ°ヲ「キョエエエエエエエエエエエエ!!!」
踊るように迫りくる怪鳥。
ツンは走る、白線で描かれたトラックのはずれにある、テントへ。
飛びこむ。
ξ゚听)ξ(よし)
備品入れらしい木箱。
ツンは中を覗き込む。
- 10 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:12:12 ID:AyxP9huI0
-
●〜*チチチチ ζ(゚Δ゚ζ
――爆弾があった。
.
- 11 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:13:44 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚Δ゚)ξ
ξ゚Δ゚)ξ
「キョエエエエエエエエエエ!!」
ξ゚听)ξハッ
怪鳥の声に、ツンは我に返った。
ξ゚听)ξ(いけない、こんなことをしてる場合じゃなかった)
なぜ爆弾が、とか、なぜ火がついているのか、とか、
頭の中に色々疑問はあったが、この状況にいちいち突っ込みを入れていたら日が暮れてしまう。
「キョエエエエエエエエエエ!!」
大きな怪鳥の影が、ツンの影に重なる。
後ろに、いる。
ツンは、とにかく目の前の爆弾を掴むと
エイャアアアアアア
*~●⊂ζ(>Δ< ミξ><)ξシ== (((*~●
アアアアアア!!
真後ろに向かって、思いっきりブン投げた。
- 12 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:16:04 ID:AyxP9huI0
-
ξ><)ξ
とっさに目を閉じ、両手で耳を塞ぐ。
/|l
l lソ;°ヲ「キュオオオオオオオオオオオゥ!!?」
炸裂する、爆音、瞼の裏にも届く閃光、悲鳴。
ξ><)ξ
ξ>听)ξ
目を開ければ
/|l
l lソ; ヲ フラフラ
そこには、ふらつくイャンクックの姿があった。
ξ゚听)ξ(よし)
動作を止めたイャンクックを見て、ツンは満足そうに頷き、そして気付いた
ξ゚听)ξ(このあとどうしよう……?)
――動きを止めたあとの事については、特になにも考えていなかったという事に。
- 13 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:17:20 ID:AyxP9huI0
-
ξ--)ξ
∞
腕を組み、目を閉じる。
ツンは考える。
逃げようか?
ξ--)ξ(無駄。あいつたぶん飛べるし、すぐ追いつかれる)
∞
では、戦うか?
ξ--)ξ(爆弾くらっても、ほぼほぼ無傷の相手をどうしろと)
∞
ξ--)ξ
∞
ξ--)ξ
∞
ξ゚听)ξ
∞
最終的に、ツンは覚悟をきめた。
ξ゚听)ξ(あきらめよう)
∞
- 14 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:19:09 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚听)ξ(モンスターパニックもののモブ少女にしては、よくやったほうだろうし)
/|l
l lソ; ヲ フラフラ
ξ゚听)ξ(わたしが死んだあとに、妹のデレがわたしの死の原因を探る、みたいな展開になるんだろうなあ)
完全に諦めきったツン。
ふらふらとする怪物をどこか他人事のように見ている。
ξ゚听)ξ(で、調べてる内に偏屈学者のニュッ君とかと出会ったりなんかしちゃったりして?)
ξ゚听)ξ(ラブロマンスとか……あー、いいな、そういうの)
ξ゚听)ξ(でも、できないんだろうなー)
自分は今から、目の前の怪物に殺されるのだから。
ξ゚听)ξ(……)
/|l
l lソ; ヲ フラフラ
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ(せめて、一発殴ってみるか)
そのときのツンの心情たるや複雑だった、文章では表しづらいが、
端的に説明するなら、イャンクックのまぬけ面がなんかむかついたのである。
- 15 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:20:09 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚听)ξ
ツンはふらつく化け物に歩み寄る。
自分より二回りほど大きな化け物の足元に立つと、
思いっきり拳を突き出した。
/|l
l lソ; ヲ((⊂ζ(>Δ<ζエイッ
音速を超える拳。
圧倒的な威力をもった、絶対的な『破壊』がイャンクックの腹部に襲いかかる。
ξ゚听)ξ(え?)
衝撃は見事にイャンクックを貫通。
化け物のあらゆる内臓と骨を破壊尽くした。
ξ゚听)ξ(え?)
断末魔を上げる余裕すら与えられず、イャンクックは絶命した。
ξ゚听)ξ(え?)
l\ヘ
ヽソ×ヲ
イャンクックは死んだ。
ξ゚听)ξ
死んだったら死んだのである。
ξ゚Δ゚)ξ
- 16 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:20:58 ID:AyxP9huI0
-
大ピンチ!! ツンちゃんがイャンクックをブチ殺したようです!!!! 残虐!!
.
- 17 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:22:01 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚Δ゚)ξ(おのれタイトルコール……さりげなく悪口を)
ξ゚Δ゚)ξ(いや、そうじゃなくて)
l\ヘ
ヽソ×ヲ ζ(゚Δ゚ζ
l\ヘ
ヽソ×ヲ ζ(゚Δ゚ζ
l\ヘ
ヽソ×ヲ ξ゚Δ゚)ξ(なにごと!?)
l\ヘ
ヽソ×ヲ ξ゚Δ゚)ξ(ねえ、これ、なにごと!?)
――2回思った。
ξ゚Δ゚)ξ
ξ゚Δ゚)ξ
ξ゚听)ξ
ξ--)ξ
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ(オーケー、おちつこう)
- 19 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:23:47 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚听)ξ(わたしは、さっきまで自分が『モンスターパニックもののモブ』だと思っていた)
ξ゚听)ξ(しかし、どうやらそれは勘違いだったらしい)
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ(わたしの戦闘力、そしてこの冷静な洞察力から推察するに)
ξ゚听)ξ(わたしの『役』、それは……)
ξ゚听)ξ(バトルものの『ヒーロー』。それもチート級に強いパターンのやつ)
ξ゚听)ξ(とすると、これからわたしに助けを求める人の悲鳴が――)
「おーん!! おーーーん!!!」
ξ゚听)ξ!(この声は!!)
- 20 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:24:42 ID:AyxP9huI0
-
/||ヽ_
/.:.:. ||;:;:\ _ ヘ、
ノ.:.:.: | |_;:;:;:;:ヽ_/ \
〈;:;:;:;: ヽ _/、 _/` 〉
ヽ;:;:;:;: ヽノ、◎ _/ ̄ ノ 「キョエエエエエエエエエエエ!!!!」
( ;:;:;:;: ヽノ `_ノ /
ヽ_;:;:ノ |/ _ /
\__|_ ̄ヽ__\ ヽ 、
∠;:;:人_ \`´/ |
∠_/;:;:;:;:人  ̄ _ノ
∠;:__ノノ ヽ、_ / (;ω; )「おーん!! おーん!!」
ξ゚听)ξ(ブーン!!)
- 21 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:25:38 ID:AyxP9huI0
-
大ピンチ!! ブーンくんがイャンクック(亜種)に狙われているようです!!!!
.
- 22 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:26:22 ID:AyxP9huI0
-
/|l
l lア°ヲ「キョエエエエエエエエエ!!!」
( ;ω;)「おーん!! おーん!!」
ξ゚听)ξ(大変、はやく助けないと!!)
ツンは走り出そうとする、しかしそのとき彼女の冷静な思考が発動する。
ξ゚听)ξ(いま、この距離から走り出しても、ブーンを助けられる可能性は低い)
ξ゚听)ξ(具体的に言えば、わたしの拳があの化け物に届くより、
あの化け物のくちばしがブーンに届く方が0,2秒早い)
ξ゚听)ξ(拳よりリーチの長いもの……『武器』が必要)
ξ゚听)ξ(なにかないか……なにか……)
l\ヘ
ヽソ×ヲ
ξ゚听)ξハッ
ξ゚听)ξ(こ れ だ)
全ての思考を0,1秒以内に終らせたツンは、自らが骨肉を破砕せしめたイャンクックのしっぽを掴むと、
青い体色の化け物に向かって突撃した。
- 23 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:27:21 ID:AyxP9huI0
-
大ピンチ!! ツンちゃんがイャンクックを武器に戦うようです!!!! まさに鬼畜!!
.
- 24 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:28:42 ID:AyxP9huI0
-
l\ヘ
ヽソ×ヲ
ピンク色の体色をした化け物の死体が、ふわりと浮く。
そのしっぽを握る少女の位置はそれより高い。
跳んでいる。
/|l
l lア;°ヲ「キョエエエエエエエエエエ!?」
ξ゚听)ξ
はためくは赤のハチマキ。
体操服姿の少女は、空中でイャンクックのピンク色の巨躯を振るう。
回転。
遠心力が上乗せされた、その大質量を眼下の青い化け物にむかって――
ξ゚听)ξ(おのれタイトルコールッ!!)
――叩きつけた。
⊂ξ゚听)ξシュタッ
∪
着地。
同時に、少女はイャンクックのしっぽから手を離した。
青いイャンクックは地面にめり込んでいた。
l\ヘ
ヽア×ヲ
いうまでもなく、内臓がすべて破裂した上あらゆる骨が複雑骨折して死んでいた。
- 25 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:29:38 ID:AyxP9huI0
-
( ;ω;)「おーん、おーん!」
ξ゚听)ξ(ブーン!!)
地面に座り込んで泣いている、体操服を着たまるい生き物。
彼は内藤ホライゾン、いうまでもなく、ブーン系の主人公枠。
頭には、ツンの物と同じ赤いハチマキが巻かれている。
ξ゚听)ξ「大丈夫? けがとかしてない?」
( ;ω;)「おーん、おー……お?」
( ;ω;)
( ;ω;)「お? おー、おっおっ」
ξ゚听)ξ「ええ、もう大丈夫よ、危機は去ったわ」
( ;ω;)「おー……?」
( ;ω;)
( ^ω^)
(*^ω^)「おー、おっおっお!」
ξ゚听)ξ「どういたしまして」
ツンは気付いた。
ξ゚听)ξ(あ、話せないタイプのブーンだ……)
( ^ω^)「おー?」
ξ゚听)ξ「ううん、こっちのはなし」
- 26 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:30:30 ID:AyxP9huI0
-
大ピンチ!! ブーンくんは日本語話せない系なまものだったようです!!!! かわいい!!
.
- 27 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:31:26 ID:AyxP9huI0
-
( ^ω^)「おー?」
( ^ω^)
\(*^ω^)ノ「おっおっおっ!」
ξ゚听)ξ(よろこんでる……)
ぴょんこぴょんこ、と跳ねて喜びを表わすブーン。
ξ゚听)ξ
それを見ながら、ツンは冷静に考えていた。
ξ゚听)ξ(突然襲ってくる化け物、無駄に何度も挿入されるタイトルコール、喋れないブーン……)
ξ゚听)ξ(もしかして、いや、もしかしなくても、この作品は)
認めたくはなかったが、認めざるを得ない、とツンは思った。
ξ゚听)ξ(……『クッソスレ』ってやつじゃないかしら)
と、すると、とツンは考える。
ξ゚听)ξ
ξ--)ξ
ξ゚听)ξ
- 28 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:32:47 ID:AyxP9huI0
-
ぴょんぴょんと跳ねるブーンを、空中でキャッチすると、
ツンはそのままブーンを自分の胸に抱き寄せた。
( ^ω^)「おー?」
ξ゚听)ξ(やわらかい、マシュマロみたい)
あごを、毛の無い、やわらかな頭に埋める。
(;^ω^)「おっおっ、おー?」
ξ*゚ー゚)ξ「なんでもないから、おとなしくしてて」
(;^ω^)「おー?」
(;^ω^)
( ^ω^)
(*^ω^)「おっおっ!」
無邪気にはしゃぐブーンを、どこか寂しげな笑みを浮かべながら、ツンは見た。
ξ*゚ー゚)ξ(『クッソスレ』の最後、それには多くの場合逃れられない『お約束』がある)
ξ* ー )ξ(それは『爆発オチ』。タイミング的に、そろそろやってくるはず)
爆発オチには、多くの場合、町や国家レベルで焼き尽くすような、大規模な爆発のAAが用いられる。
それは全てを焼きつくす、逃げる方法など存在しない。
- 29 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:35:31 ID:AyxP9huI0
-
ξ* ー )ξ(なんだかなー、がんばったとは思うんだけどなー)
台本もなく、ジャンルも事前に知らされなかった、今回の作品。
自分の『役柄』について、手さぐりで模索して、思考錯誤して、
どうしようもない状況に抵抗してみたり、その中で思わぬ才能に気付いたり、
その終着点が、この『オチ』。
ξ* ー )ξ(あー、でも、こういうもんなのかも)
みんなそうなのかもしれない、とツンは思った。
自分も、腕の中ではしゃいでいるブーンも、――これを"読んで"いる『だれか』だって。
あるとき、台本も渡されず、ジャンルも知らずに、
顔も知らない誰かが用意した舞台で、『役柄』を模索している。
それにどんな『オチ』が用意されていたとしても、文句は言えない。
そういうものかもしれない、と。
ξ* ー )ξ(あーあ、なんだかなー……)
( ^ω^)「おー?」
ξ* ー )ξ「ん? あ、ごめん。なんでもない」
( ^ω^)「おー? おっお!」
ξ* ー )ξ「大丈夫だって、ちょっとかんがえごとしてただけ、ありがと」
( ^ω^)「おー?」
- 30 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:36:58 ID:AyxP9huI0
-
ξ*゚听)ξ「そうだ、ブーン。あなた、もう『ヒロイン』はだれにするかきまってるの?」
( ^ω^)「お?」
ξ*゚听)ξ「もしきまってないなら、だけどさ、わたしとか、どう?」
( ^ω^)「お? お?」
ξ*゚听)ξ「だから、つまりね――」
ξ*゚听)ξ「――もし生きて帰れたら、わたしと結婚してくれない?」
( ^ω^)「おー?」
( ^ω^)
(*^ω^)
\(*^ω^)ノ「おっおっ!!」
ξ*゚听)ξ「よし、やくそくね」
\(*^ω^)ノ「お!」
穏やかな雰囲気、やさしく春風がふたりを包む。
そして、終わりが訪れた。
- 31 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:37:49 ID:AyxP9huI0
-
.
- 32 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:38:19 ID:AyxP9huI0
-
.
- 33 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:39:14 ID:AyxP9huI0
-
あ、あれ……? たしかこの辺に、あれ?
.
- 34 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:40:00 ID:AyxP9huI0
-
.
- 35 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:40:45 ID:AyxP9huI0
-
あ、そうか、あのとき……え、マジか、えー……
.
- 36 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:43:55 ID:AyxP9huI0
-
.
- 37 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:44:43 ID:AyxP9huI0
-
大ピンチ!! 爆発オチ予定だったのに爆弾がなくなってるようです!!!!
.
- 38 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:45:31 ID:AyxP9huI0
-
ξ*--)ξ
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ
ξ゚听)ξ「え?」
( ^ω^)「おー?」
死を覚悟した彼女の耳に届く、タイトルコール。
そして、また例の冷静な思考が発動した。
ξ゚听)ξ(タイトルコールは「あのとき」と言った、そして「爆弾がなくなってる」とも)
ξ--)ξ(「あのとき」? ……『爆弾』?)
ξ゚听)ξ「あ」
- 40 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:46:43 ID:AyxP9huI0
-
以下回想===回想===回想===回想===回想===回想===回想===以下回想
●〜*チチチチ ζ(゚Δ゚ζ
回想中===回想===回想===回想===回想===回想===回想===回想中
エイャアアアアアア
*~●⊂ζ(>Δ< ミξ><)ξシ== (((*~●
アアアアアア!!
回想中===回想===回想===回想===回想===回想===回想=ち=回想中
(´・ω・`)「ちくわ大明神」
回想中===回想=く=回想===回想===回想===回想=わ=回想===回想中
/|l
l lソ;°ヲ「キュオオオオオオオオオオオゥ!!?」
以上回想===回想===回想===回想===回想===回想===回想===以上回想
ξ゚听)ξ「だれだいまの」
- 41 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:47:41 ID:AyxP9huI0
-
ξ゚听)ξ「だれだいまの」
( ^ω^)「おっ? おっ?」
ξ゚听)ξ「え? ああ、うん。大丈夫、こっちの話」
( ^ω^)「おー?」
ξ゚听)ξ「えーっと、これは……あー……」
ツンは考える。
ξ゚听)ξ(爆弾オチに使うつもりだった爆弾は、わたしがあの化け物に投げてしまった)
ξ゚听)ξ(ということは、タイトルコール側からわたしに与えられる『オチ』は、もうない)
ξ゚听)ξ(つまり……)
( ^ω^)「お?」
ξ゚听)ξ
( ^ω^)
ξ゚听)ξ「ブーン」
( ^ω^)「お?」
ξ゚听)ξ
ξ*゚听)ξ
ξ*゚ー゚)ξ
ξ*゚ー゚)ξ「結婚、しましょうか」
( ^ω^)「おー?」
( ^ω^)
\(*^ω^)ノ「おっお!!」
- 42 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:48:13 ID:AyxP9huI0
-
.
- 43 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:48:53 ID:AyxP9huI0
-
――4月某日、ファイナル板内『終焉観測教会』
暖かな気候。
桜はすっかり咲ききった今日このごろ。
ξ*゚听)ξ
(*^ω^)
桜に囲まれた、縁起でもない名前の総合スレ。
青空の下、簡易的に造られた教会。
みかんが入っていたであろう段ボールで造られた祭壇。
その前には、ウエディングドレスを着ているツンと白いタキシードのブーンの姿。
祭壇の向こう側にいる色黒で大柄な神父が、口を開く。
l\ヘ
ヽガ°ヲ「ツン、汝、新郎内藤ホライゾンに永遠の愛を誓いますか?」
ξ*゚听)ξ「誓います」
l\ヘ
ヽガ°ヲ「内藤ホライゾン、汝、新婦ツンからの愛を受け、生きる限り彼女を愛し続けることを誓いますか?」
\(*^ω^)ノ「お!!」
l\ヘ
ヽガ°ヲ「元気でよろしい。それでは、誓いのキスを……
あー、だれかそこのキジバトをふんじばって、式場では静粛に」
- 44 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:50:32 ID:AyxP9huI0
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ツンのファンが暴走したりと一部ハプニングもあったが、
紫色っぽい黒色の神父イャンガルガによって、おおむね式は穏やかに進行した。
このタイミングでいうのもなんだが――
l\ヘ
ヽソ°ヲ
l\ヘ
ヽア°ヲ
式場の椅子には、バロー、穴本、その他もろもろの白組作者のブーン系力により復活した2体のイャンクックが用いられた。
ツンとブーンを襲った理由としては、
2体とも、いきなり赤組作者に白いハチマキを巻かれ、その後は記憶がないとのことだった。
ξ--)ξ
ξ*゚听)ξ
ブーケを持ったツンは考える。
ξ*゚听)ξ(みんな、こういうもんなのかもなー)
台本もなく、ジャンルも事前に知らされなかった、今回の作品。
自分の『役柄』について、手さぐりで模索して、思考錯誤して、
どうしようもない状況に抵抗してみたり、その中で思わぬ才能に気付いたり、
その中で気付いた、出演しているその作品のジャンルが、たとえ『クッソスレ』だったとしても。
思考錯誤の中でやってきたちょっとしたことで、自分の作品のジャンルは変わるかもしれない。
- 45 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:52:02 ID:AyxP9huI0
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――それはきっと、画面の前のあなただって同じことなのだ。
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- 46 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/03/27(日) 00:52:34 ID:AyxP9huI0
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大円団!! ツンちゃんがブーンくんと結婚したようです!!!!
\(*^ω^)人ξ(^ー^*巛ノ
( .∽ ) Y^-^花)
U U ∫ ヽ__
~~`"'`~` ̄
終劇!
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- 49 名前:月光仮面 ◆AMHcWVgUtk[] 投稿日:2016/03/27(日) 00:54:39 ID:AyxP9huI0
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BGM:ttps://www.youtube.com/watch?v=h752Qi42klE
やあ、画面の前の良い子のみんな。
おじさんは月光仮面っていうんだ、よろしくね。
基本戦後生まれの君たちは名前も知らないかもしれないが、
おじさん、実は『正義の味方』をやっていてね。
このお祭りにこれ以上なく不穏な悪の気配を感じたので、戦うためにやってきたのさ。
何と戦うつもりかって? それはちょっと説明しづらいが……
しいていうなら、『諦め』とか『絶望』とか言われているものだね。
さて、書きためが終らないとか、自分なんか書かなくても一緒とかいってたそこの君。
おじさんは、君の悪を倒せただろうか?
なんてね。
それじゃあ、おじさんは行かないと。
ああ、この水あめは、ここまで読んでくれた良い子のみんなへのプレゼントだ。
じゃあね、みんな。
また会おう!!
AnotherBGM:ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm16010044