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2 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 14:46:18 ID:ZtrMSwuI0
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(*゚ー゚)
俺は彼女に恋をした。
とても長く、深い恋を―――
そんな俺の恋物語について、今から話そうと思う。
なぜ語るのかって?
皆に知ってもらいたいからさ。
これは俺の実体験だから、そのとき思っていたことをそのまま正直に話す。
だからくせぇとかバカだなぁと思うかもしれないが、黙って聞いてほしい。
あと省くところは極端に省くが、それは勘弁してくれ。
それでは、始めようか。
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3 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 14:50:41 ID:ZtrMSwuI0
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彼女との出会いは3歳くらいまで遡る。
(*゚−゚) ('A`)
俺と彼女は幼稚園が一緒だった。
小さい子ってちょっと声をかければ知らない子でもすぐ仲良くできるだろ?
クラスが一緒だった俺達はそのちょっと声をかける機会が多くてさ、そこから接点ができて
仲よく遊ぶようになった。
とはいっても昔の記憶などほとんどなかったから、親から聞いた話なのだが……。
覚えていることといえば、彼女はどちらかというと笑わない子だったということぐらいだ。
まったくというわけではなかったが、卒アルの写真ですら笑ってないのだから笑う方が
少ないだろう。
お子ちゃまということもあって、当時の俺には彼女に対して恋愛感情などあるはずもなく、
幼稚園時はただの仲のいい友達で終わった。
卒業後はそれぞれ別の小学校へ行き、その6年間は彼女との関わりなど一切なかったため、
彼女は俺の記憶から消えた存在となった……。
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4 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 14:53:29 ID:ZtrMSwuI0
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しかし、そんな彼女と同じ中学校でクラスメイトとして再会した。
(*゚ー゚)
幼い頃の面影はあったが、あの頃にはない太陽のような明るい笑顔が可愛らしい女の子と
なっていた。
両眼は彼女に釘付けになり、心臓の鼓動が高ぶる。
('A`*)
俺は一目惚れした。
単純だと思うか?
単純で結構、人が人を好きになるのは一瞬で理由なんざいらないものさ。
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5 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 14:57:36 ID:ZtrMSwuI0
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俺はまた昔のように仲良くなり、告白して恋仲になろうと思った。
しかし、恥ずかしながらこの頃の俺は異性を過剰に意識してしまっていた。
急に女子にツンツンし始める時期ってあるだろ?
それだ。
そのため、あまり話すことができず、昔のように仲良くなるどころか知り合いとも
言っていいのかわからないというレベルで一年を終えてしまった。
そして最悪なことに、中2からは彼女と別々のクラスになってしまい、
さらに関わることができなくなった。
(*^ー^)
それでも廊下で、集会で、部活で彼女を目で追うのは変わらなかった。
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6 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 14:59:18 ID:ZtrMSwuI0
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そんな中2の夏だろうか。
いきなり男女共に告白ブームが到来したのだ。
主に女子からだが、その告白ブームのおかげでカップルがいくつか誕生した。
そして俺もこのブームに乗ることになった。
理由は単純、友達に推されたのと、俺の思いを留めておくことに耐えれなくなったからだ。
その頃定番となっていた告白スポットに手紙で彼女を呼び出し一人待つ。
この時の俺は言葉にできないほどの緊張を味わっていた。
多分春に行われたサッカーの都大会決勝戦よりも緊張していたと思う。
真夏の暑さもあり、ぶっ倒れそうだったのをよく覚えている。
今までの関係からしたら付き合えないだろう。
わかっていた。
でも、もしかしたら―――
そんな淡い希望を抱いて待っていた。
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7 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:00:45 ID:ZtrMSwuI0
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(*゚ー゚)
彼女が来た。
目の前に。
俺は思わず唾をのむ。
飲み込んだ音が思ったより大きく少し恥ずかしかった。
呼び出されて、2人きりの状況で察せない女子などいないだろう。
しかし、彼女は高揚も焦りも感じられず、いつもの表情であった。
ならば俺も堂々と伝えなければ―――
勇気をもって一歩踏み出す。
('A`*)!
俺は告白した。
ありったけの思いを率直に伝えた。
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8 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:04:32 ID:ZtrMSwuI0
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(* ー )
彼女は黙ったままであった。
俺の額から汗が落ちる。
その時間はとても長く感じられた。
なーんて表現を本当はしたかったのだが―――
(*^ー^)
ごめん、無理!
汗が落ちる暇もなく、むしろ清々しいほどに即答されてしまった。
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9 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:06:46 ID:ZtrMSwuI0
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あぁ、わかっていた。
わかっていたさ。
わかっていたけど―――
なんで笑顔なん?
そんな感じで、俺の初恋は失恋で終わった。
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10 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:09:22 ID:ZtrMSwuI0
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それからは、以前と変わらず彼女と関わりのない世界ですごした。
クラスも違うため、会わないようにするのは簡単なことだったし、一早く彼女のことを
忘れてしまいたかったからだ。
受験勉強もあるため、ひたすら勉強に打ち込んだ。
そんなある日のことだ。
受験に必要な資料を都立の高校に提出しに行ったとき、学生の列の中に見覚えのある
後ろ姿の学生がいた。
窓口では横顔が見えたため目を凝らす。
(*゚ー゚)
彼女だった。
俺は驚きのあまり硬直した。
くろがね堅パンのごとく硬直した。
そりゃそうだ、好きな人が同じ高校を受けるのだから。
もしこの高校に行けば彼女と学生生活を満喫できる。
そう考えるだけで胸の高鳴りを抑えられなかった。
俺は期待を込めて資料を提出し高校を後にした。
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11 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:12:14 ID:ZtrMSwuI0
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その後、彼女はその高校が第一志望だという確定情報を得た。
俺の親は厳しく、基本的に私立の難関高校を受けさせられ、もしどれかに受かってしまったら
都立は絶対に行かせてもらえない。
ならどうしたら都立に行けるのか、考えた。
考えた結果、滑り止め以外の高校は全て手を抜いた。
わかるのは合否だけなんだぜ?
点数なんて出ないんだぜ?
もう鉛筆コロコロしたよね。
彼女と意地でも同じ高校に入るためだ。
落ちてしまっても、全力を尽くした感をアピールしていれば何も言われまい。
幸いにも都立の方もそれなりの高校であったため、受かってしまえば問題なかった。
おそらく他人からしてみれば馬鹿な男だと確実に思うだろう。
しかし俺にとっては彼女と同じ高校に通うことが何よりも大切だった。
そのため都立の試験は全力で臨んだ。
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12 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:15:02 ID:ZtrMSwuI0
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結果発表当日、俺は当たり前のように受かってみせた。
毎年同じような問題が出されているのだ。
過去問さえやりまくっていれば点数はとれる。
だが社会が45点だったのは今でも親には内緒だ。
都立は点数出るんだよな……。
他はそれなりにいい点とれてたよ?
ホントだよ?
さて、問題は彼女の方だ。
合格者は試料の受け取りや入学手続きがあったため、校内に案内された。
その際周りを見渡してみたが、彼女はいなかった。
この後もひたすら彼女を探してはみたものの、見つけることはできなかった。
しかし、この数日後思わぬところから情報を得ることができた。
J( 'ー`)し
それは俺の母さんだった。
母親同士が幼稚園からの知り合いということもあり、昔はよく困らせられた“お母さん網”によって
彼女の合否を確認できたのだ。
このときはナイス!と思ったけど“お母さん網”はマジ恐い。
学校での知られたくないこと全力で隠してもすぐバレるんだもん……。
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13 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:17:34 ID:ZtrMSwuI0
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さて、気になる彼女の結果だが……。
見事、合格してくれていた。
('∀`*) ♪
当然俺は舞い上がった。
そりゃもうウハウハだった。
また彼女と学生生活を送ることができる。
また彼女にリベンジできるのだ。
そんな希望と野心を胸に抱えながら、残り少ない中学生活を過ごし、
涙と笑顔で卒業式を終えたのであった。
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14 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:22:00 ID:ZtrMSwuI0
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ここからは高校編に入る。
燃えるに燃えたリベンジ編ともいえるだろう。
高校からちゃんと頑張りだすので期待しててくれ。
('A`) (*゚ー゚) ミセ*゚ー゚)リ ('、`*川
入学した高校だが、同じ中学から俺と彼女以外にも二人の女子が合格していた。
一人は彼女と同じく幼稚園から(=もう一人の幼馴染)、もう1人は小学生から一緒で
彼女とも仲がいい。
親同士も仲が良く、俺もある程度は話すことができる人達であったため、
仲良く入学式へ行った。
高校生にもなれば、女子は化粧というものをちゃんと覚え始める。
入学式ということもあり、3人とも軽く気合を入れていた。
実際、ちょっとばかし背伸びした彼女は可愛かった。
いや、クソ可愛かった。
めっちゃキュンキュンした。
他の二人は(笑)って感じだったけど。
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15 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:24:37 ID:ZtrMSwuI0
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さて、ここで重要となってくるのは中学と同様クラスである。
この高校のクラス数は6つ。
下駄箱の前の掲示板に張られたクラス表を見て、まず俺の名前を探す。
俺の名前は2組の欄に存在した。
問題は彼女の名前だ。
自分のクラスの欄を何度も何度も必死に探した。
しかし、彼女の名前はなかった。
3組から順に探していく。
文字を負いすぎて軽く酔ってしまったが、見つけることはできた。
彼女の名前は6組にあった。
どうやら神様は俺の邪魔をしておもしろがっているようだ。
教室で彼女とイチャつくのが夢だったのに……。
ちょっと泣いたよね。
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16 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:27:43 ID:ZtrMSwuI0
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代わりに、もう一人の幼馴染が俺と一緒のクラスだった。
ミセ*゚ー゚)リ
一緒じゃん!イェーイ!
いや全然イェーイじゃなかった。
軽く殺意がわいた。
彼女と一緒のクラスになれなかったことにめちゃくちゃショックを受けたが、
味方になってくれそうな人がいてくれたのでまだ良しとした。
さらにいうと、俺のクラスには部活のサッカーを通して知り合った他の中学の友達がいた。
そして知らない人の中にも、俺と同じく高校でサッカー部に入部を希望する人が多かったので、
すぐ友達になり初日から楽しむことができた。
彼女達もそれぞれのクラスに馴染み、ダンス部に入部することになった。
ダンス部はこの高校で女子から一番人気があり、可愛い子が多く集まる部活であった。
女子だけでなく男子も入部することができるらしく、本当は俺もダンス部に入ることを考えたのだが、
男子が一人もいない中、入部する勇気は俺にはなかった。
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17 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:30:22 ID:ZtrMSwuI0
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クラスも部活も違うからといって、話す機会がないわけではなかった。
一つは登校の時間である。
実は俺達の高校は意外と近いところにあり、普段は自転車を使い、雨の日はバスを使うのが
一般的であった。
家も近いということもあり登校する時間が変わらなかったため、毎日とは言わないが
週に1,2回は会うことができた。
本当は毎日一緒に登校したかったし、合わせることもできた。
しかし俺自身話すのが下手で、話題が尽きてしまうとだんまりになってしまう。
そのため、ネタ溜め期間が必要なのだ。
あと下手したらストーカー扱いされちゃうからね、それを回避しにいったってのもある。
まぁとにかく、俺はこの幸せの時間のために高校に行っていたと言っても過言ではなったのだ。
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18 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:34:15 ID:ZtrMSwuI0
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あともう一つ。
3ヶ月くらいに1度、そして学際の時にダンス部の公演会がある。
もちろんこれに彼女も出る。
当然行くよね、応援に。
踊っている姿は、可愛いというよりかっこよかった。
ダンスは色々なジャンルがあるらしいのだが、彼女は可愛い系やセクシー系ではなく、
クール系のダンスを踊っていた。
そのため服装が男っぽくなっていた。
(;*゚ー゚)
スポットライトに照らされた彼女は、今まで見た中で一番輝いていた。
('A`*)
俺は彼女から目が離せない。
惚れ直したよね、本当に。
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19 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:37:32 ID:ZtrMSwuI0
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ちなみに、ダンスを見ている人は踊っている人の名前を呼ぶのがダンス業界では定番らしい。
('A`#)!
俺は全力で彼女の名前を叫んだ。
(#゚ー゚)
初めての公演会では叫び過ぎて、恥ずかしいと怒られてしまった。
しかし、迷惑だったかとしょんぼりした俺の顔を見て、
(*//ー/)
でも嬉しかったよ、ありがとう
と照れながら言ってくれた。
この時俺は、彼女の笑顔を見るために生きているのかと幸福を感じつつ確信した。
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20 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:40:33 ID:ZtrMSwuI0
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そんなこんなしをしているうちにあっという間に一年が過ぎた。
一気に省いたなと思っただろ?
実際この一年は忙しく、高校生活にやっと慣れたという感じだったので、
アクションを起こすことができなかった。
アクションは起こさなかったが、この一年でわかったことがある。
中学の時に彼女に恋した理由は外見であった。
外見がドストライクだったから好きになってしまった。
しかし、中学の時より彼女を間近で見れるようになった。
彼女と間近で話せるようになった。
だからもっと知れた。
ちょっとあざとかったり、サバサバしていること。
真面目そうに見えてふざけたこと、くだらないことが好きなこと。
大人びた思考をしていること、でもちょっと変わった方向性なこと。
将来は綺麗なお嫁さんになるという可愛い夢をもっていること。
頑張り屋で、友達思いなこと。
そして誰よりも優しいこと。
だから気づけた、彼女の良さを。
一緒にいると楽しくて、ドキドキして、胸が苦しくて。
でもやすらげて、安心できて、落ち着く。
ずっと一緒にいたい。
この一年で、彼女のすべてを好きになった。
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21 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:44:08 ID:ZtrMSwuI0
-
そんな俺がアクションを起こしたのは2年になってのことだった。
2年のクラス替えでも彼女と同じクラスになることができなかった。
しかし、1年のころと同じく朝会って話したり、ダンスの応援に行ったりしていたので、
このままいけば付き合えるのではないかと思っていた。
これが慢心だったのだ。
いつの間にか彼女に好きな人ができていた。
俺ではない他の男だ。
( A ;)
は?なんで?だれを?
頭の中がぐちゃぐちゃになる。
真実を確かめるためにもう一人の幼馴染を問い詰めた。
ミセ; ― )リ
質の悪いことに、その男とは俺の友達だった。
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22 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:49:28 ID:ZtrMSwuI0
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その友達は1年の時俺と同じクラスだったのだが、2年になって違うクラスになった。
そのクラスは彼女と同じクラス。
席が彼女と前後だったため仲良くなっていったらしい。
両想いだった。
彼には俺が彼女に恋をしていることはずっと前から話していため、
二人きりになったとき頭を下げられた。
(;‐∀‐)
俺も彼女のことが好きになった、本当にごめん。
俺は彼を責めることができなかった。
だって仕方のないことだから。
人を好きになるということは、意図しないで自然と好きになるものだから。
制御できない、止まらない、どうしようもないことだから。
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23 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:51:53 ID:ZtrMSwuI0
-
友達は彼女と花火大会に行く約束をし、そこで告白することになっていた。
ならその前にけじめをつけなければ―――
これが再び彼女に告白する理由となった。
彼女に前もって連絡し、一緒に帰る約束をした。
この日は雨が降っていたので、バスと歩きで帰宅する日となった。
バスの中ではたわいもない会話をした。
俺が告白しようとしているのを察しているのか、会話の応答がぎこちなく表情も硬かった。
俺も口の中がべたついていた。
バスを降りて少し歩くと、分かれ道がある。
そこで俺達はサヨナラだ。
分かれ道に着くと、彼女は立ち止まり聴く姿勢になってくれた。
(*゚−゚)
前とは違い顔が真剣そのものだった。
ありがとう、と心の中でつぶやいた。
そして俺は―――
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24 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 15:58:14 ID:ZtrMSwuI0
-
('A`#)!
好きという思いを全力でぶつけた。
今まで思っていたこと、そして付き合ってほしいということを。
返ってくる答えはわかっていたけど、そんなのはもうどうでもよかった。
ただ、俺がどれだけ彼女のことを見てきたか、俺がどれだけ彼女のことが好きかを
知ってほしかった。
(* ー )、
彼女は困ったように微笑んだ。
.
-
25 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:03:09 ID:ZtrMSwuI0
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その気持ちにはね、気付いてたよ
ずっと好きでいてくれてありがとう、本当に嬉しい
でもごめんね、その気持ちには答えられない……
.
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26 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:06:38 ID:ZtrMSwuI0
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彼女は申し訳なさそうにそう言った。
俺はその言葉を受け止めた。
受け止めるしかなかったのだ、前回のように。
ただせっかくここまで仲良くなったのに前回と同様関わりをなくすのが嫌だったので、
友達のままでいてほしいと頼んだ。
今度は普通に微笑んで、当たり前じゃんと言ってくれた。
気まずい時間ができないよう、俺はすぐにサヨナラを告げた。
( A )
こうして、俺は二度目の失恋をした。
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27 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:13:55 ID:ZtrMSwuI0
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この日から約2週間後に友達が彼女に告白し、付き合うことになった。
俺の方が彼女と長くいるのに。
俺の方が彼女を知っているのに。
俺の方が彼女を愛しているのに。
(*゚ー゚)(・∀・*)
彼女は他の男のものになってしまった。
なぜ彼なのか。
なぜ俺を選んでくれなかったのか。
その回答はあっさり導き出せてしまった。
彼女の求めていたのは、世界一彼女を愛した男ではなく、彼女の心を揺らす男だった。
俺は彼女の心を揺らせなかった、ただそれだけだった。
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28 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:17:56 ID:ZtrMSwuI0
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この後の話はというと、約束通り彼女との関係は何も変わらなかった。
勿論登校の会話、ダンスの応援についても変わらない。
変わったのは俺自身だった。
大きな変化を具体的に挙げるなら、2年の終わりにサッカー部をやめたことだ。
理由は部活を何度もサボって彼女のダンスを見に行っていたからだ。
ただの練習ならまだいいが、大会をサボって見に行ったのがいけなかったらしく
顧問から説教をくらうハメになり、女と部活を天秤にかけられたので女をとった。
中学の時はそれなりにサッカーが好きだったが、高校に入ってからはそれほど好きではなくなったので正直どうでもよかった。
部活の友達からは、自分を貫け!などと背中を押されたのでその通りにした。
未練も後悔もない。
他に挙げると、3年になってから体育祭では応援団の副団長をやったり文化祭では劇の主演をやったりと、
普段目立たないような俺がとても目立つようなことをやった。
なぜこんな活発になったかは自分でもわからない。
だがおそらく彼女に見てもらいたかったのだと思う。
何を見てもらいたかったのかも言葉にできないが、まぁそんな感じだろう。
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29 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:20:22 ID:ZtrMSwuI0
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ちなみに彼女のことは好きなままだ。
むしろ前より好きになっていたと思う。
彼女に彼氏ができたからって諦められるような半端な恋などしていない。
てか諦めようと思って諦められるなら、そんな恋などやめてしまったほうがいい。
恋なんて壁にブチ当たってなんぼのものだ。
当たって砕けろ、なんて言葉があるが本当に砕けた人間を見たことがあるか?
ないだろ?
人間意外と丈夫なものだ、俺は壁にブチ当たりまくる。
そんな俺の気持ちを察してくれたのか、彼女は前よりも仲良くしてくれた。
勿論つらいこともあった。
目の前でイチャつかれたときは発狂しそうになったが、それでも黙って見過ごした。
これが負け犬の宿命なのかと思い知らされた。
それでも、彼女が幸せならそれでよかった。
彼女の幸せが一番の願いだったから。
時が経つにつれ考え方も変わっていき、俺は彼女を幸せにする恋人の存在ではなく、
彼女の幸せを見守る兄妹みたいなものなのだと思えるようになった。
実際彼女にもそのようなことを言われた。
そのおかげで割り切って過ごせるようになったのだ。
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30 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:22:50 ID:ZtrMSwuI0
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高校最後の夏休みが明けてからは、あっという間に終わりへ向かっていった。
志望大学に向けて一日中勉強する日々が続き、冬休みには合格祈願をしに行き、
センター試験を受け、本受験をした。
すべてが終わり、喜びの涙を流す者もいれば悲しみの涙を流す者もいた。
俺はというと、第一志望は落ちたものの第二志望は受かることができたので、
泣きはしなかったがそれなりに喜びはできた。
彼女の方は、第一志望の大学に受かることができ大喜びしていた。
ほとんど同じであった学生生活がついに分かれてしまう。
理系と文系で異なるため同じ大学に行けないことはわかっていたが、それでも悲しい。
しかし、この年になってまで、好きな人を追いかけるために進路を変えるほど馬鹿ではない。
おとなしく自分の道を進むことを決めていた。
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31 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:25:23 ID:ZtrMSwuI0
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高校の卒業式は中学とは違い、あまり感動するようなものではなかった。
適当に式を終わらせた後はそれぞれのクラスに戻り、担任からのあいさつと個人の
あいさつを済ませ、形式的なお別れした。
その後は皆友達同士で写真を撮り合ったり、卒アルにメッセージを書いたりなどと
個人での別れをした。
俺も友達との別れを済ませ、最後に彼女のところへ向う。
廊下に出ると彼女がこっちへ向かってくるのが見えた。
(*゚ー゚) ('A`)
タイミングが被ったらしい。
以心伝心、流石だと言いたい。
写真を撮りメッセージを書いたところで彼女が話し出す。
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32 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:28:28 ID:ZtrMSwuI0
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ついに別れちゃうね
な、俺すげぇさみしい
私はそんなに
えーマジかよ
だって家近いしすぐ会えんじゃん、てか会うつもりだし
お、おう
ね?さみしくないでしょ?
俺しぃのそういうとこ大好き
バカ。まぁそんな感じだからお別れの言葉なんて用意してないよ?
あぁ、そんなんいらねぇな
よし、じゃあ他の人のとこ行ってくる!またね!
おう、またな
.
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33 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:35:57 ID:ZtrMSwuI0
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俺達の挨拶はこれでおしまい。
短いと思うかもしれないが、俺は満足だった。
また会ってくれると言ってもらえたのだから。
俺も他の友達と別れを済ませ、帰ることにした。
ふりかえれば、恋人はできず片思いをしたままだったが、それなりに楽しい高校生活を満喫できた。
彼女とはもう同じ学生生活を送ることができないが、それでも大学生活は楽しいことで
いっぱいなのだろう。
そんな期待を胸に、高校を後にする。
こうして、俺の高校生活は幕を閉じた。
.
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34 名前: ◆lQljb90NiE 投稿日:2016/04/01(金) 16:37:39 ID:ZtrMSwuI0
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ここで話は終わらない。
もう少し続くので付き合ってほしい。
ここからは大学に入ってからの話だ。
先に言っておくと、彼女とは9月まで会うことはなかった。
連絡はちょくちょく取っていたのだが、お互い忙しくて会う時間がなかったからだ。
そして今からちょっと脱線した話をする。
その話とは大学入学から彼女に会うまでに起こった出来事についてだ。
なぜそんなことを話すのかって?
それは俺に恋人ができたからだ。
彼女ではない他の人で―――
.