沼男はいないようです

194 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:31:37 ID:6uu3gP120







【第一実験 全員終了】






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195 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:32:48 ID:6uu3gP120



 あれから1ヶ月。

 私の目の前に座っているのは、変わらずに3人の学生達。
少しやつれている者もいるが、今の所全員ちゃんと生きている。

 3人もいたら1人くらい脱落するかもと思っていたが、そんな心配も杞憂に終わったようだ。


 それでいい。

 これから行われる「最終実験」を前に壊れられてしまっては、つまらない。


 きっと私は、「彼女」を失ってから、狂ってしまったのだろう。

 じゃないと、こんな狂気に満ち溢れた人体実験を出来る筈がない。

 被験者達には、大変申し訳なく思っている。

 が、あくまで彼らは実験対象だ。
最後まで、この実験に付き合ってもらうとしよう。

196 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:34:56 ID:6uu3gP120

 今回は隣にクールを立たせている。
これから行う「最終実験」で、被験者達が暴れないとも限らない。

 「彼女」は生前、格闘技をやっていた。
クールも、それを引き継いでいることだろう。
万が一に備え、クールには側にいてもらうこととした。



 さぁ。



 下準備は整った。



 はじめようか。




「よく来てくれた、学生諸君」


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197 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:35:30 ID:6uu3gP120







【最終実験】






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198 名前:名無しさん[] 投稿日:2016/04/04(月) 00:36:28 ID:6uu3gP120

 一月前と、同じ状況。

 今はそれに、秘書が同席している。



 荒巻は3人から受け取ったレポートを読み終え、それぞれに語りかける。



/ ,' 3「内藤君は、スワンプマン肯定派のようだね。まさか自分から進んでスワンプマンになるとな思わなかったよ」

( ^ω^)「そうですかお」

/ ,' 3「猫田君は、否定派か。概ね予想通りの結果だが、どうやら大変だったみたいだね」

(* ー )「……」

/ ,' 3「最後に、茂羅君。君は大変興味深い。スワンプマン否定派なのに、スワンプマンを別個体と認識した上で関係を続けるというのか」

( ・∀・)「その通りです」

/ ,' 3「くくく……素晴らしい。まさしく三者三様の答えだ。ここまで綺麗に分かれるとは、私も思っていなかったよ」

199 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:37:34 ID:6uu3gP120

 そう笑いながら、荒巻は懐から封筒を3つ取り出す。
厚さは1センチほどあるのではないだろうか。


/ ,' 3「被験者諸君、実験協力ありがとう。これはほんの気持ちだ」


 それを各々に渡す。
これまた三者三様の態度で受け取る。
その金額に一番驚いているのは内藤だった。


(;^ω^)「こんなに……ですかお?」

/ ,' 3「それもまた、価値観の違いだ。他の2人を見てみなさい。君ほど驚いていないだろう?」

( ・∀・)「そうですね。こんな実験なら、これくらい妥当だと思います」

/ ,' 3「はっはっ、『こんな』とは言うじゃないか。だが私も同意見だ。気にせず受け取っておきたまえ」

(;^ω^)「……わかりましたお」

(* ー )「……」

200 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:38:40 ID:6uu3gP120

(* ー )「もう帰って……結構ですか」

/ ,' 3「いや、まだだ。あと少しだけ待ってくれ」

(* ー )「…………」

( ・∀・)「まだ何かあるのですか?」

/ ,' 3「そうだ。あとほんの5分で終わるので、もう少し待ってくれ。おい、クール」

川 ゚ -゚)「は」


 合図を送り、クールと呼ばれた女性はそれに応じて奥の部屋に入る。

 すると10秒も経たず、こちらに戻ってきた。
手にはノートパソコンを抱えている。


何やら少し操作した後に、画面をこちらに向けてくる。

荒巻はそれを確認して、3人に説明をする。

201 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:40:25 ID:6uu3gP120

/ ,' 3「それはテレポート装置利用者のログだ。私はテレポート装置の使用にあたり、1つ義務を設けた。それが、テレポートカードの提示だ」

( ^ω^)「あ、それなら僕も作りましたお」

/ ,' 3「そう、それと同じものだ。それをとある機械に通すと、本部のマザーコンピュータに使用者のログが残る仕様になっている。さて、ここで少し、君たちに画面を確認してもらいたい」


 言われて3人が画面を見る。
すると茂羅が、いち早く気付く。

( ・∀・)「……Error?」

 画面の下部にあるのは、Errorの文字列が3行。
一体これは、どういうことか。

202 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:41:54 ID:6uu3gP120

/ ,' 3「エラー表記は、テレポートカードを通さずにテレポート装置を利用した証だ。きっと画面には、3人分のエラーが表示されているね?」

( ^ω^)「……ほんとですお。一体、何故……」



/ ,' 3「さて、ここで少し話は変わるが君たち。この部屋へは、どうやって辿り着いた?」

( ^ω^)「……?」

( ・∀・)「どうやってって、そりゃあエレベーターに乗って……」

/ ,' 3「そう、それ。エレベーターだと思っただろう? だがあれは、エレベーターではないのだ」

(*゚ー゚)「……?」

( ^ω^)「……いや、普通のエレベーターでしたお?」

203 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:43:09 ID:6uu3gP120

/ ,' 3「あれは業者に頼んで、内装だけをエレベーターに似せたものだ」

( ・∀・)「いやだから、現に僕たちはここに――」



( ・∀・)



(;・∀・)



(;・∀・)「ま、さか…………」



( ^ω^)「……?」

(*゚ー゚)「……?」

204 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:44:01 ID:6uu3gP120





/ ,' 3「本当に察しがいいな、茂羅君。その通りだ」





/ ,' 3「あれはテレポート装置だ」




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205 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:46:41 ID:6uu3gP120



(;^ω^)「――――!?」


(;*゚ー゚)「――――っ!!?!?」


(;・∀・)「ちょっと待て!! いつからだ!!」


/ ,' 3「君たちが『初めてこの部屋に来た時』から、だ。あの時既にあれは、テレポート装置だった」


(;・∀・)「そんな、そんなことが――っ!!」


(;*゚ー゚)「ま、待ってよ!! それってつまり、私たちは、もう――!!?」


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206 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:48:56 ID:6uu3gP120


 ニヤリ。
 荒巻が笑う。
 クールは黙っている。

 内藤が驚く。
 茂羅が叫ぶ。
 猫田が狼狽える。





 地に堕ちた科学者は、告げる。





/ ,' 3「さぁ、『スワンプマン諸君』。今回は私の実験に付き合ってくれて、どうもありがとう」



/ ,' 3「これが今回、正真正銘、最後の実験、最後の質問だ」




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207 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:49:48 ID:6uu3gP120







/ ,' 3「もう一度問おう」







/ ,' 3「君たちは、ニセモノを許すことが出来るか?」






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208 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2016/04/04(月) 00:50:59 ID:6uu3gP120







【最終実験 終了】






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209 名前:名無しさん[] 投稿日:2016/04/04(月) 00:51:50 ID:6uu3gP120










沼男はいないようです









おわり

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