( ^ω^)とξ゚听)ξは虹を越えて征くようです

81 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:22:38 ID:F4fbQg2U0

 私の檄に応えるように、
 
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
 
 大地を揺るがす咆哮を、天に放った。
 
ξ;--)ξ「……ッ」
 
 生身の人間にしたら、咆哮ですらが暴力のように感じられる。
 覚醒した竜は、周囲の木々よりも高く、森を突き抜けるように立っていた。
 三十メートルはあるだろうか、十年前とは比べ物にならない程に成長している。
 
ξ;゚听)ξ「ブーン……」
 
 怖い。
 ブーンだとわかっているのに、信じているのに。
 あまりの巨躯と、迸る殺意に、ただただ恐れることしかできない。
 
『────────グ、ル』
 
 一瞬、喉を鳴らした様に低い音を発してから、飛んだ。
 モララーの元へと向かったのだろう。漆黒の竜が夜の闇へと溶けていく。
 震える足を三度叩き、私も駆け出した。
 
 モナーさんの集落とモララーの城、丁度中間の辺りでモララーは戦乙女を相手にしている。
 彼女の甲冑は既にぼろぼろで、あと数分もつかどうか、というところだった。
 牙や尾の攻撃に、直撃はもちろん掠ってもいなかったが、風圧、衝撃だけでダメージが蓄積しているのだ。

82 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:26:24 ID:F4fbQg2U0
 
ξ;゚听)ξ(下がって!)
 
 もう、すぐにブーンが到着するだろう。彼女は役目を全うしてくれた。
 
 私は森を抜け、平地へと出た。右目を手で覆い、意識を左目の視界だけに集中する。
 左目の視界には戦乙女の視界が映っている。
 
 
 彼女が下がり、モララーが追いかけようとした所に────
 
 ────巨大な黒い塊が、モララーにぶつかった。
 
 凄まじい衝突音が遠くに聴こえる。
 黒い塊、すなわちブーンは、そのまま自分の体でモララーを押し、大地に激突した。
 
 今度は、地鳴りと地震。
 規格外の竜同士の戦いが、幕を開けたのだ。
 どちらかが食われるまで続く戦いが。
 
 勿論私は、ブーンが食われるなんて塵ほども思っていない。
 ブーンの邪魔にならないように、戦乙女に充分な距離を開けさせ、待機させた。
 
 モララー────青い竜に覆い被さっているブーンは、そのまま喉に牙をたてる。
 その途端、紫色の血が噴出した。
 
ξ;゚听)ξ(よし! そのまま……!)
 
 しかし、青い龍は足でブーンを思い切り蹴り、離れ際に尾を払ってブーンを弾き飛ばした。
 その衝撃で喉の肉が幾らか千切れ、肉片が紫の粒子を撒きながら飛び散る。

83 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:29:58 ID:F4fbQg2U0
 
 一撃で仕留め損ねたが、充分なダメージを与えることに成功した。
 喉の傷に構うこと無く、青い竜はすぐに起き上がり、ブーンを睨みつけ、
 
『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!』
 
 咆哮、と同時に口から青い光線を吐き出した。
 
ξ;゚听)ξ(ッ!!)
 
 ブーンも人型で竜化した時に扱う、竜の強大な魔力を圧縮させて放つ魔力波だ。
 これができるということは、竜としての位が高いということだろうか。
 
 吹き飛ばされながらもなんとか直撃を避けた。
 だが、魔力波はブーンの翼を掠めて抉り取る。
 ブーンの翼に、大きな穴が生まれてしまった。
 
 体に受ければただでは済まないだろう。
 凄まじい力を持つ竜同士の戦いは、一撃一撃が致命を負う威力を有しているということだ。
 
 反撃。
 間を空けずにブーンも赤黒い魔力波を放った。
 青い竜は空へと飛び上がり、避けられてしまう。
 
 ブーンも追いかける為に飛翔した。
 上昇しながら後を追う形のブーンは魔力波を断続的に放ち続けた。
 後方を確認している様子は窺えないが、モララーはそれを確実にかわし続けている。
 
 上昇はまだ続く。
 雲を突き抜け、雲の上に来た所で漸く停止した。

84 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:34:52 ID:F4fbQg2U0
 
 夜なのに雲の上はこちらに比べると少し、明るかった。
 煌々と輝く月のおかげだろう。
 
 二体の竜は同じ高さで停止して、睨み合う。
 魔力波の打ち合いでは決定打に欠けるだろう。
 機動性の高い竜同士では、簡単に直撃するようなものではないからだ。
 
 弱らせて、怯ませて、もしくは至近距離で。
 竜となったブーンが私のように思考しているのかはわからないが、考えるとしたらそうなるのではないかと思う。
 
 先に動いたのはブーンだった。
 ダメージを与えた喉元を狙い、口を開いて突進していく。
 青い竜はそれを受け止めた。上顎と下顎を左右の腕を掴むようにして。
 
 人間状態だった二人が最初に衝突した時のようにだ。
 
ξ;゚听)ξ(ブーン……!)

(;'A`)「おい! なんでこんなとこにいるんだ!?」
 
ξ;゚听)ξ「は!? ちょっと! びっくりさせないでよ!」

(;'A`)「びっくりしてんのはこっちだよ! なんか地響きがすごいし竜の鳴き声は聞こえるし、お前がこんなとこいるし!」
 
 突然声をかけてきたのは、ドクオだった。
 平地に出て、気付かずに歩いている内にモナーさんの村に近づいていたのだろうか。
 
ξ;゚听)ξ「こっちのセリフよ! なんでアンタがこんなとこいるのよ!」
 
(;'A`)「近くの森が白っぽく光ったり、白い光が飛んで行ったり、馬鹿でかい竜が飛んでったんだ!
.    気になってきてみたらお前がいたんだよ!」

85 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:37:54 ID:F4fbQg2U0
 
ξ;゚听)ξ「あぁ……」
 
 落ち着いて考えれば、はたから見れば気になるだろう。
 私だったら絶対に確認するはずだった。
 
(;'A`)「ブーンは……どうしたんだ?」

ξ゚听)ξ「アンタが見た黒い竜、あれがブーンよ」

(;'A`)「まじか……覚醒したのか?」

ξ゚听)ξ「そう。自分の意思でね。竜になったモララーを倒すために」

(;'A`)「モララー!? 奴も竜だったのか!?」

ξ゚听)ξ「そうよ。それも残念ながら、超強力な、ね」

(;'A`)「そ、そうか……道理でおかしな奴だったはず……」

(;'A`)「あ……すまん。別にブーンのことを悪く言ってるわけじゃ……」

ξ゚听)ξ「わかってるわよ。よそはよそ、うちはうちだからね」

ξ゚听)ξ「……ありがとね」

('A`)「……それで、戦況はどんな感じなんだ? 二人はどこに?」

ξ゚听)ξ「今は雲の上よ」

(;'A`)「雲の上!?」

86 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:40:47 ID:F4fbQg2U0
 
ξ゚听)ξ「今は私の魔法で様子を見ているわ」

(;'A`)「すげぇな……それで、ブーンはどうなってんだ?」

ξ゚听)ξ「……互角、ね」

(;'A`)「……勝てるのか?」

ξ゚听)ξ「あの女の時と同じこと訊くのね? ブーンは絶対に負けないわよ」

(;'A`)「…………」
 
ξ゚听)ξ「ブーンは、誰よりも強いから」
 
 均衡状態を打破したのは、モララーだった。
 ブーンよりも長い尾を有する青い竜は、頭を掴んだ状態で脇腹付近に尾撃を放ったのだ。
 空中で踏ん張りが効かず、そのままブーンの体は右へと流されてしまう。
 
 掴んでいた頭をすぐに解放し、
 
ξ;゚听)ξ「ッ!!」
 
 青い、魔力波を放った。

87 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:43:52 ID:F4fbQg2U0

ξ;゚听)ξ(ブーン!!)
 
 青い魔力波がブーンの頭に直撃した。
 
 ように、見えた。
 
 直撃する既の所で、同じく魔力波を放ったのだ。
 赤と青の魔力波が、ぶつかり合った。
 
 後手に回されたブーンが、やや不利だろうか。
 赤と青のコントラストの比率は、圧倒的に青が優っている。
 
(;'A`)「お、おい、なんかあったのか!?」
 
 私の焦燥が伝わったのか、ドクオが心配そうに問いかけてくる。
 
ξ;゚听)ξ「魔力波の……押し合い……」
 
(;'A`)「ど、どういう状況だ!?」

ξ;゚听)ξ「ブーンが吹き飛ばされた所にモララーが魔力波を撃って、ブーンも魔力波を当てて押し合ってる」

(;'A`)「……アンタの顔色を見る限り、ブーンが危ないってのはわかったぜ」
 
ξ;゚听)ξ「……大丈夫よ。ブーンが勝つに決まって────」

('A`)「……俺も連れてってくれ!」
 
ξ;゚听)ξ「……え?」

88 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:46:52 ID:F4fbQg2U0
 
ξ;゚听)ξ「何言ってるの!? 竜同士の戦いに入り込めるわけないじゃない!!」

(;'A`)「ほんとにそうか!? 小さい人間だからこそ掴める隙だってあるんじゃないか!?」

ξ;゚听)ξ「だからって……でも……」

(#'A`)「俺は男だ! 信じて待つなんてできないんだよ!!」

(#'A`)「俺だって俺の人生を滅茶苦茶にしたモララーに復讐したいんだ!! 頼む!!」

ξ;゚听)ξ「……」

 腰に帯刀した短剣を掴み、雄弁に語る。
 最初の情けなさはどこにも見当たらない。
 けれども、人間に何ができるのか、私の魔法をもってしても、何もできないはずなのに。
 
(#'A`)「物は試しだ! 大丈夫! 俺は 不 死 身 の ド ク オ だからな!!」
 
ξ゚听)ξ「…………」
 
(;'A`)「……だめか?」

ξ*゚听)ξ「あっはっはっはっはっはっは!!!」
 
(;'A`)そ

ξ*゚听)ξ「はぁ……“Platinum”!!」

 呼び、眼前にすぐ現れた戦乙女。実際にこの目で見ると、甲冑だけに留まらず、皮膚にも傷が刻まれていた。

89 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:50:35 ID:F4fbQg2U0
 
ξ゚听)ξ(ごめんね……でも、もうひと頑張りしてくれる?)

ξ )ξ

 私の問いに、白銀の乙女は小さく頷いてくれた。
 
ξ゚听)ξ「この男を上まで連れて行って!」

(;'A`)「こ、これが魔法なのか?」

ξ゚听)ξ「そうよ。私の命令に忠実に従ってくれるわ。彼女に話せばそのまま私に通じるから」
 
 戦乙女はドクオを後ろから抱き上げるようにして持ち上げた。
 
(*'A`)「良い匂いだ……ハァハァ」

ξ#゚听)ξ「早くいけ!」
 
 その一声で、戦乙女とドクオは凄まじい勢いで飛翔していき、ドクオの悲鳴はすぐに聞こえなくなった。
 
ξ゚听)ξ(あんな奴にお説教されるなんて……ね)

ξ゚听)ξ(私にもできることはある! ブーン、待ってて!!)
 
 この戦いに終止符をうつ為に。
 皆でモララーを、倒すのだ。

90 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:53:49 ID:F4fbQg2U0
 
(;゚A゚)「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
 
 戦乙女の意識に集中しだすと、ドクオの悲鳴が聴こえた。
 相当な速度がでているのだから、私でもこうなっていただろう。
 
 雲を、抜けた。
 
 魔力波の押し合いは続いていた。
 やはり、ブーンが押されている。
 
(;゚A゚)「ああああああああああああああ……でけぇ!!! あれか!!!」
 
 興奮しているのか、無駄に声が大きく、うるさい。
 
(;゚A゚)「頼む!! モララーに後ろから近づいてくれ!!」
 
 戦乙女がそう動くように、私は意思を送る。
 モララーとブーンは、どちらかが押し切らない限り動けない状態にある。
 
 ドクオと戦乙女は静かに近づいていく。
 後方から近づき、背にそって上昇し、頭の頂上に到着した。
 
ξ;--)ξ(う……あつっ……)
 
 放出されている魔力波に近づいた所為か、戦乙女を通して熱が伝わってくる。
 彼女に意識を向けている比率が普段よりも大きい所為だろう。

91 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:57:02 ID:F4fbQg2U0
 
(;゚A゚)「うおおおおおおおおおお!! モララー!!!」
 
 ドクオが、短剣を抜いた。
 
(;゚A゚)「俺の人生を滅茶苦茶にしやがって!! 喰らいやがれ!!」
 
ξ;--)ξ(そんな短剣じゃ竜には何も……!!)

(;゚A゚)「離してくれ!!」
 
 構わず、ドクオが言った。
 戦乙女はそれに従い、ドクオを離した。
 
 当然、ドクオは落下していく。
 
(;゚A゚)「こんな剣じゃてめぇは殺せないだろうがなぁ────!!」
 
 着地する、そこは。
 
(;゚A゚)「“目ん玉”は柔らかそうだよなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
 刃を、突き立てた。
 モララーの、青い竜の、瞳に。
 
『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!?』

92 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 20:59:48 ID:F4fbQg2U0
 
(;゚A゚)「いてぇか!? ざまぁみろ! てめぇからしたら俺なんて蝿みたいなもんだけどなぁ!!!」


(;゚A゚)「虫が目に入ったら痛いんだよ!! 覚えとけ!!!」
 
 
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』
 
 咆哮と共に、ブーンが魔力波の出力を上げた。
 温存しておいた魔力を一気に放出したのだろう。
 魔力波を放出することすら困難になった青い竜は、その直撃を受けた。
 
 体を貫通して、赤い魔力波が空の彼方まで突き進んでいく。
 それでもモララーは、まだ空に居た。
 
 ブーンがモララー目掛け、飛翔する。
 喉に噛みつくが、青い竜も最後の抵抗を試み、爪を立て、尾を払う。
 だが、ブーンを振り払う力は残っていないようだった。
 
 程なくして、青い竜は抵抗もできなくなり動かなくなった。
 
ξ;゚听)ξ「“Platinum”!!」
 
 私の一声で、戦乙女はドクオを回収し、地上へと戻ってきた。
 空はもう、心配ない。
 ブーンが事を終わらせて、地上に降りてくるのを待つだけだ。

93 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:02:00 ID:F4fbQg2U0
 
(;゚A゚)「はぁっ! はぁっ! はぁっ!」

ξ゚听)ξ「お疲れ様……よくやったわね!」

(;゚A゚)「やったのか……? 俺はやったのか!?」

ξ゚ー゚)ξ「ええ、やったわよ。モララーは倒せたわ。あなたのおかげで……」

(;'A`)「そ……そっか……」
 
 安心したドクオは糸が切れたように、ぐったりと項垂れた。
 
ξ゚ー゚)ξ「ドクオ、ありがとう。ゆっくり休んでいてね……」
 
(;'A`)「は、はは……今頃になって足が震えて……立てねぇ……」

 次は、私の番だ。
 遠くに、黒い影が地上に降りてくる様子が見えた。
 
ξ゚听)ξ「お願い。私をあそこに連れて行って」
 
 ドクオに気をつけろよと言葉を投げかけられた。
 その言葉を背中で受けて、ブーンを目指す。
 
ξ゚听)ξ(ブーン……待っててね)
 
 彼から聞いたことがある。竜になっている時の記憶は、鮮明に覚えていることを。
 きっと、苦しんでいるに違いない。破壊衝動を必死に抑えているに違いない。
 必ず、私が解放してみせる。

94 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:05:00 ID:F4fbQg2U0
 
ξ゚听)ξ「…………」
 
 巨大な竜が横たわっていた。
 夥しい出血が、一つ一つの傷の深さを物語っていた。
 竜につけられた傷は治りが遅いようだ。
 
ξ゚听)ξ「ここまででいいわ。ありがとう」
 
 戦乙女に礼を言い、彼女の色を消した。
 静かに、近づいていく。
 
 『────────グ、ル』
 
 ブーンが喉を鳴らすような声を上げた。
 気にせず、地に寝かせた頭の前で、止まる。
 
ξ゚听)ξ「ブーン」
 
 呼ぶ。返事はない。
 眉間の辺りに触れ、撫でた。
 硬い感触は、竜そのものだ。
 
ξ゚听)ξ「今、楽にしてあげる」
 
 沸々と湧き上がるのは、殺気。
 竜は私を殺そうとしている。
 ブーンはそれを止めようとしている。
 
ξ゚听)ξ「一緒に止めましょう。この忌々しい竜を!」

95 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:07:42 ID:F4fbQg2U0
 
ξ゚听)ξ『“Rainbow”!! ツン=デレンカの名において命じる!!』

 込められる、全ての魔力を呼び起こし、
 
ξ゚听)ξ『“Purple”! 汝は竜の血色! 体を巡る全ての流れを堰き止めよ!』
 
ξ゚听)ξ『“Blue”! 汝は竜の翼! 空を駆る自由を奪え!』

ξ゚听)ξ『“light blu”! 汝は竜の感情! 一切の感情を停止させよ!』
 
 色を紡いでいく。
 一色を紡ぎ終える度に、起こされた色の帯が竜の体を駆け巡り、交差し、巻き付いていく。
 
ξ゚听)ξ『“Green”! 汝は竜の四肢! 大地を踏みしめることを禁じよ!』

ξ゚听)ξ『“Yellow”! 汝は竜の魔力! 高貴なる力を放ち消し去れ!』

ξ゚听)ξ『“Orange”! 汝は竜の活力! 生への望みを否定せよ!』
 
 残り、一色。
 
ξ;゚听)ξ(ッ……!)
 
 足が震える。呼吸が乱れる。
 今日は様々な色を紡いだ。相当な疲労が蓄積されていた。
 
ξ;゚听)ξ(でも……! ブーンはもっと……苦しんでるはずだから……!)

96 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:10:14 ID:F4fbQg2U0
 
 最後の、色を。
 
 
ξ;゚听)ξ『“Red”! 汝は竜の体! 躍動する肉と臓物を灼き尽くせ!!』
 
 
 紡いだ。
 
『グ…………オオオオオオオ…………』
 
 呻く竜の全身に、七色の帯が駆け巡っていく。
 封印魔法が発動し、確実に竜の封印が進んでいる。
 が、私に向けた眼光は衰えていない。
 
 モララーに対して魔力をかなり消費していたことが僥倖だった。
 万全の状態であれば、恐らく詠唱を終えることすら困難だっただろう。
 
 それでも、ここまで抵抗されている。
 
ξ;゚听)ξ(後は……)
 
 私にできることは、一つだけ。
 
ξ゚听)ξ「……ブーン。いつまで寝てるの? 早く起きなさい」
 
 ブーンを、呼ぶことだけだ。

97 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:12:16 ID:F4fbQg2U0
 
ξ゚听)ξ「今回は……大変だったね。結局また空回りだった…・…」

ξ゚听)ξ「でも、ミセリやモナーさん、レモナさんと会えたのは……良かったね」

ξ゚ー゚)ξ「それからドクオ。まさかあのブサイクがあそこまで頑張るなんて、びっくりしたわ」

ξ゚ー゚)ξ「ね? ブーン、明日になったらモナーさんたちにちゃんとお礼を言って、また旅にでよう?」

ξ゚ー゚)ξ「次はきっと、この竜を追い出す方法が……きっと見つかるはずよ!」
 
 竜の目が、細く、細くなっていく。
 もう少し、もう少しだ。
 
 けれど、私の意識も、段々と遠のいていくのがわかる。
 虹色に囲まれた空間は、現実と夢を錯覚してしまうような世界だった。
 単純に、封印によって魔力を消費しすぎたことが要因なのだけれど。
 
 それでも、私が不安になっていたら、ブーンが心配してしまう。
 
ξ゚听)ξ「……そうだ。ブーン」
 
ξ゚听)ξ「あの時の賭け、覚えてる? 負けちゃったよね、私」

98 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:14:36 ID:F4fbQg2U0
 
 
 
ξ*゚听)ξ「……今、するから」
 
 
ξ*゚听)ξ「だから……帰ってきて、ね」


ξ*゚听)ξ「帰ってきてくれないと────嫌いになっちゃうんだからね」
 
 
 そう、つぶやいて。
 
 瞳を閉じて、竜の額にキスをした。
 
 瞳を閉じたはずなのに、とても眩しい光が放たれたように感じた。
 
 
 
 そこで、私の意識は光の中へと溶けていった。

99 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:17:49 ID:F4fbQg2U0
 
 
──・・・・・・・・──
 

 『あなたはどこからきたの?』
 
 女の子が問いかけてきた。
 竜であるぼくはそれに答えることができなかった。
 
 
 『あなたはどうしてここにいるの?』
 
 女の子が問いかけてきた。
 竜が勝手に動いただけで、ぼくがきたかったわけじゃなかった。
 
 
 『ことばがはなせないの?』
 
 女の子が問いかけてきた。
 今のぼくは言葉が話せなかった。
 
 
 『……あなたのおなまえは?』
 
 女の子が問いかけてきた。
 ブーンだお、と言いたくても、グル、グルと変な声が出るだけだった。

100 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:20:29 ID:F4fbQg2U0
 
 『ねぇ? どこかけがしてない?』
 
 女の子が問いかけてきた。
 けがはしていなかった。けれどもぼくは、動けなかった。
 
 そうして、返事をしないぼくに女の子は困った顔をした後に、寂しそうな顔をした。
 綺麗な金髪を横で結び、見たことがない髪型をゆらゆらと揺らしていた。
 
 その髪が、突然鼻にかかった。
 良い匂いだ、と思ってから、女の子がぼくを抱きしめたことがわかった。
 
 いけない。
 
 竜が、暴れてしまう。
 
 『ねぇ? おともだちに……なってくれる?』
 
 女の子が問いかけてきた。
 心臓が大きく跳ね上がった。
 とてもうれしい言葉だった。
 
 でも、このままだと竜が女の子を食べてしまう。
 ぼくは必死で、必死で言葉をひねり出そうとした。

101 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:23:24 ID:F4fbQg2U0
 
( ´ω`)『……逃げて……』

( ´ω`)『早く……早くしないと……きみを』
 
( ´ω`)『……ぼくは…………きみを……────食べて────…………』
 
( ´ω`)「……あれ?」

ξ*゚听)ξ「わ! にんげんだったの!?」

( ´ω`)「お……あれ、あれ?」

ξ*゚听)ξ「すごい! どうやって竜からにんげんに!?」

(;^ω^)「お……わからないお……」

ξ*゚听)ξ「そう! ねぇ、ねぇねぇ!」

(;^ω^)「お?」



ξ*゚听)ξ「おともだちになってくれる?」

102 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:27:14 ID:F4fbQg2U0

──モナーの家・寝室──



 「失礼します……どうでしょうか?」

( ^ω^)「ッ……」
 
 突然のモナーの声に、少し驚いた。
 気配を感じない程に、思いふけっていたようだ。
 気がつけば、外は雨が降っていた。
 
 目の前のベットでは、ツンが静かな寝息を立てていた。
 モナーはただの疲労だと言うが、心配だから付き添っている。
 
( ´∀`)「いやぁ、意識を失ったツンさんを抱えてきた時は驚きました」

( ^ω^)「突然押しかけて申し訳なかったですお」

( ´∀`)「いいんですよ。あなた方はミセリの命の恩人なんですから」

( ^ω^)「……」

( ´∀`)「……終わったのですか?」
 
 一呼吸、空けて、
 
( ^ω^)「まだ、ですお」

 何が、とは聞かなかった。

103 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:30:04 ID:F4fbQg2U0
 
( ´∀`)「そうですか」
 
 言うと、自分に向けられていた視線が消えた。
 モナーもツンを見ているようだった。
 
( ´∀`)「ブーンさん。あなたも休んだ方がいいですよ」

( ^ω^)「ぼくは平気ですお。ありがとうございますお」

( ´∀`)「いえ、とてもそうは見えないので」

( ^ω^)「……」

( ´∀`)「ツンさんもあなたもまだ若い。過酷な旅を続けていればそのうちに……疲れてしまいます」

( ´∀`)「体も、心も」

( ^ω^)「……」

( ´∀`)「せめて、ここにいる間くらいは……休んではいかがでしょう?」
 
 優しい人だ。素直にそう思った。
 
( ^ω^)「モナーさんはぼくが怖いないんですかお?」

( ´∀`)「はい、怖くありませんよ」

( ^ω^)「ぼくは……竜化病なんですお……?」

( ´∀`)「知っています。でも、ブーンさんは怖くありませんよ」

104 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:33:16 ID:F4fbQg2U0
 
 幼い頃から父と旅をして、各地を転々としていた。
 どこの町も、村も、自分が竜化病であることがわかると、罵声と石を投げつけられた。
 
( ^ω^)「モナーさんたちを見てると、昔を思い出しますお」
 
( ´∀`)「昔、ですか?」

( ^ω^)「ツンが暮らしていた村……モナーさんのように優しい人たちがたくさんいた村のことですお」

( ´∀`)「なるほど。よろしければ詳しく聞かせてもらっても?」
 
 静かに一つ頷いて、ゆっくりと口を開いた。
 
 父は色魔法に精通している人間だった。
 自分の中に竜がいることを知った父は、竜を封印する魔法の研究を始めた。
 母のことは覚えていないし、父に尋ねたことも父の口から聞かされたこともなかった。
 
 竜が覚醒した瞬間、住む家は無くなった。
 破壊したというわけではなく、竜化病という理由で町をおわれたのだ。
 竜とは言え、覚醒したばかりの幼い竜に家を破壊するまで力はない。
 
 最初の覚醒には個人差がある。モララーは十歳程度で覚醒したと言っていた。
 今思えば早くに覚醒したおかげで、自分は助かったのかもしれない。
 
 そこから、父との旅が始まった。
 様々な町、村を追い出され、最終的に辿り着いたのがツンが暮らす村だった。
 そして、初めてその村に足を踏み入れた時、自分は竜の姿だった。
 
( ´∀`)「覚醒してしまったのですね」
 
( ^ω^)「ですお」

105 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:35:56 ID:F4fbQg2U0
 
( ^ω^)「村に入った時も、最初にツンと会った時も、ぼくは竜の姿でしたお」
 
 その時の覚醒は突然訪れた。
 父が止める間もなく、自分は人の匂いを嗅ぎつけて、ツンの村に着いていたのだ。
 
 ツンはその時、一人で家の外にいた。
 小さな村で、子どもはツンしかいなかったのだ。
 毎日外で、一人で遊んでいたらしい。
 
 子どもの竜とはいえ、人間の小さな子どもくらいなら簡単に殺せる程度の力がある。
 幼いながら自分はそれを自覚していた。
 だから心の中で、話しかけてくるツンに離れろ、離れろと、竜に抵抗しながら必死で訴えていた。
 
( ^ω^)「そうしていたら……なぜか竜化が解けていたんですお」

( ´∀`)「……ツンさんに、何か不思議な力があったのですか?」

( ^ω^)「わからないですお。でも、ぼくの父親から色魔法を学んでいた時、とても筋が良いって褒められていましたお」

 遅れて村に到着した父は、驚いていた。
 竜化が解け呆然としている自分と、ただひたすらはしゃいでいたツンの姿を見て。
 
 その後、ツンに案内されて父は村の長と話した。
 包み隠さずに、全てを話した。
 その日から自分と父は、ツンの村で暮らすようになった。
 
( ^ω^)「どうしてぼくらを受け入れてくれたのか、わからなかったですお」

( ´∀`)「……恐らく、ツンさんが寂しがるからでしょう」

106 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:38:37 ID:F4fbQg2U0
 
( ^ω^)「……そんな理由で、他ではあんなに差別していた竜化病を受け入れるんですかお?」

( ´∀`)「小さな村では竜化病に対する認識が他と違うこともあると思います」
 
( ´∀`)「そういう小さな理由が、たくさんあっての選択だったのではないでしょうか」

( ^ω^)「……」
 
( ´∀`)「ブーンさんのお父上と話した内容の中にも、一つの理由があったと感じます」
 
 定住の地が確保されると、父は竜を封印する魔法の研究を始めた。
 結果を見れば、定期的に封印を強化しなければならないが、竜を封印することに成功している。
 腰を据えて研究に取り組めたからこその結果だった。
 
 驚いたのは、いつのまにかツンが父から色魔法を学び、使いこなしていたことだ。
 
( ^ω^)「……今日のことでも、ぼくは自分が竜なんだ、人間じゃないんだってことを痛感しましたお」

( ´∀`)「何故ですか?」

( ^ω^)「ぼくは人を躊躇なく殺せますお。今日だって……相手は竜だったけど人間だったとしても、同じ結果でしたお」

( ´ω`)「赤の他人に優しくしてくれる人の気持ちが、わからないんですお……」

( ´∀`)「ブーンさんだって、ミセリを助けてくれたじゃありませんか」

( ´ω`)「あれは……偶然悲鳴を聞いたからですお……」

107 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:42:29 ID:F4fbQg2U0
 
( ´∀`)「どちらにせよ、私にとってあなたとツンさんは赤の他人ではありません」

( ´∀`)「愛娘を助けてくれた、恩人ですから」

( ´∀`)「その方々に礼儀を尽くすのは当然のことですよ」

( ´ω`)「お……」
 
( ´∀`)「逆に、ブーンさんがミセリを殺したとしたら、私はあなたを殺すでしょう。どんな手を使ってでも」

(;^ω^)「お……」

( ´∀`)「そんなものですよ、人間なんて。大切な何かのためなら、天使にでも悪魔にでもなるんです」

( ´∀`)「だから、ツンさんのために必死に動き、こうして付き添っているブーンさんはとても人間らしく感じます」

( ´∀`)「人間ですよ。あなたは」

( ^ω^)「…………」

( ´∀`)「一度その村に帰ってみてはいかがでしょう? 休むことは大事ですから」

( ^ω^)「もう……村はなくなりましたお……」

(;´∀`)「そうですか……失礼しました」

( ^ω^)「そんな……いいんですお」

108 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:45:54 ID:F4fbQg2U0
 
( ´∀`)「先ほど、まだ終わっていないと言っていましたね?」

( ^ω^)「はいお」

( ´∀`)「でしたら、いつでもいいのでたまにはこの村に帰ってきてはどうでしょうか?」

(;^ω^)「おっ……」

( ´∀`)「できれば、そうですね。これは私のお願いですが、この村を故郷のように思ってもらえれば、と思います」

(;^ω^)「…………」

( ´∀`)「ミセリもレモナも喜ぶでしょう。たまには、この村に」

(  ω )「ありがとうございますお」

( ´∀`)「……いえ」

( ´∀`)「もう、夜も深い。ゆっくり休んで下さい」

(  ω )「……わかりましたお」
 
 モナーはそう言い残し、部屋を出て行った。
 最初は気づかなかった雨の音が、いやに大きく聴こえてくる。
 同時に、モナーの言葉も、頭の中でぐるぐると回っていた。
 
(  ω )(……この村を……故郷のように……)

109 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:50:05 ID:F4fbQg2U0
 
 
 
 
 嬉しかった。
 
 あの時、ツンに友達になってくれと言われた時と、同じくらいに。
 
 きっとツンも喜ぶだろう。
 
 
( ;ω;)「ふっ……うう……うううううううううううう……!」
 
 
 涙が、止まらなかった。
 こんなにも溢れだしてくるのは、いつぶりだろうか。
 父が死んだ時に、涙は枯れたと思っていたのに。
 
 嬉しくて、嬉しくて、悲しくないのに涙が止まらない。
 自分はやっぱり、人間とどこかが違うのだろうか。
 
 そう思ったのに、心は満ち満ちていた。
 
 
 
 
.

110 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:53:09 ID:F4fbQg2U0
 
 
 ──数日後・集落の入り口──
 
 
 
 数日続いた雨はやみ、この日の朝は見事な晴天が広がっていた。
 青がどこまでも続き、その中を白い雲たちが軽快に泳いでいた。
 
 旅の出発には申し分のない朝だった。
 
ミセ*;д;)リ「絶対! 絶対またきてくださいね!!」

ξ;゚听)ξ「うん、うん、絶対またくるから! 泣かないで!」
 
 すっかり回復したツンが、別れを惜しむミセリを必死になだめている。
 態度には表さないが、ここにいる全員が互いの別れを惜しんでいた。
 
( ´∀`)「是非、またいらして下さい」

|゚ノ ^∀^)「ブーンちゃんもツンちゃんもうちの子になっちゃえばいいのに〜!」

( ^ω^)「ありがとうございますお!」
 
 この数日間繰り返されたレモナの“うちの子になればいいのに”攻撃に対し、ブーンはスルーという技術を身につけていた。
 
('A`)「……二人とも」

('A`)「頼む! 俺も連れて行ってくれ!!」

111 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:55:47 ID:F4fbQg2U0

(;^ω^)「だから、だめだってずっと言ってるじゃないかお」
 
('A`)「俺も普通の人間に戻る方法を探したいんだ! お前らと一緒ならきっと見つかる気がする!」

(;^ω^)「何かわかったら戻ってくるから!」

('A`)「頼む! 頼む!!」

(;^ω^)「ああもう! ツン!」

ξ゚听)ξ「うん!」
 
 ブーンの声に、ツンはすぐさま彼の背中に飛びついた。
 その瞬間、自身の腕を竜化させ、空へと舞い上がる。
 
ξ゚听)ξ「ドクオー! 悪いわねー! ブーンは一人乗りなのよー!」
 
(;'A`)「足にしがみつくから!! 足にしがみつくから!!」

( ^ω^)「落ちたら面倒だからだめだおー!」

ξ゚听)ξ「ドクオ! 私たちが戻ってくるまでこの村を守っててねー!」

(;'A`)「……守る?」

ξ゚ー゚)ξ「あの時のあなた、ちょっとかっこよかったわよ!」

('A`)

112 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 21:58:44 ID:F4fbQg2U0
 
('A`)b「任せとけ!!!」

( ^ω^)「おっおっ! そんなわけでモナーさん、お願いしますおー!」

( ´∀`)「モナモナ。良い奴隷が見つかった!」

(;'A`)「まって!?」

ξ*゚听)ξ「それじゃあー! また絶対に帰ってきます!」

|゚ノ ^∀^)「いってらっしゃいー! 夕飯までには帰ってきてね〜!」

ミセ*;д;)リ「ブーンさまああああああ!! ツンさまああああああ!! お元気でえええええええ!!」

( ´∀`)「お気をつけて!」

('A`)「俺のこと忘れんなよ!!」
 
 飛翔。
 
 瞬く間にモナーたちの視界から、二人の姿が消え去った。
 
ξ゚听)ξ「ブーン」
 
( ^ω^)「お?」

ξ゚听)ξ「よかったね……モナーさんたちと会えて……」

( ^ω^)「なんだお? もうホームシックかお?」

113 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 22:04:26 ID:F4fbQg2U0
 
ξ;゚听)ξ「ち、違うわよ!」

( ^ω^)「おっおっ! ぼくもそう思うお!」

ξ*゚听)ξ「……うん」
 
 二人の心に残るのは、モナーたちの姿だった。
 また、絶対に帰ってくる。その思いは二人の間に寸分の狂いもなく。
 
 そして、もう一つの決心もだ。
 
( ^ω^)「ツン」

ξ゚听)ξ「うん?」

( ^ω^)「竜を完全に消し去る前に……ぼくはしないといけないことが見つかったお」

ξ゚听)ξ「……私もよ」

( ^ω^)「モララーみたいな奴がきっとまだどこかにいるお。そいつらを止めないといけないお!」

ξ゚听)ξ「うん。これはきっと、私たちにしかできないことだから!」

( ^ω^)「おっおっ! さすがぼくの相棒だお!」

ξ*゚听)ξ「ちょ、ちょっと! 何言ってんのよ!!」

( ^ω^)「照れるなお!」

114 名前: ◆Tk5XFE8AeI 投稿日:2016/03/31(木) 22:08:26 ID:F4fbQg2U0
 
ξ;゚听)ξ「照れてなんかないわよ! ……あ! ブーン! 見てみて!」

( ^ω^)「虹だお!」
 
 大地には壮大な渓谷が広がっていた。
 その上空にかかるのは、見事な曲線を描く七色だった。
 
( ^ω^)「景気づけにあの虹を通るお!! ブ────ン!!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと!! 急にスピード上げないで!!」

 今の今まで、ツンは自分が高所恐怖症だったことを忘れていたようだ。
 思い出すと、途端に恐怖を感じ始めていた。
 
 ブーンの景気づけには、もう一つの意味があった。
 
 虹。つまり、彼の父親が、ツンが施した虹色の封印。
 
 
 
 
 
 
 
 それを必要としない時がくることを信じて────
 

 
 
 ────( ^ω^)とξ゚听)ξは虹を越えて征くようです。
 
 
 
 
 

                                        終わり。

支援イラスト

inserted by FC2 system